JP4603112B2 - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関する。さらに詳しくは、フォトリソグラフィ技術によりスペーサが形成されてなる液晶表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、LCDを製造する際にスペーサの基板上への散布は湿式や乾式散布が行われている。しかしながら、スペーサは画素上にも分散配置されるため、スペーサの存在部分は表示されず、しかも、スペーサ自身や、液晶の配向乱れによるスペーサ周囲は、バックライトの光が通過するという光抜けが発生し、その結果、LCDのコントラスト低下やざらつきの要因となって表示品位が大幅に低下するという問題があった。
【0003】
そこで、画素以外の非画素領域に正確にスペーサを配置または形成するために、フォトリソグラフィ技術を用いることが従来から知られている。例えば、特開平9−160009号公報には、固体微粒子からなるスペーサをフォトレジストと混合してフォトリソグラフィ技術により露光、現像処理を行って、ブラックマトリクス上にスペーサを存在させる方法が開示されている。また、特開平10−73827号公報には、フォトリソグラフィ技術により感光性樹脂からなる柱状のスペーサをブラックマトリクス上に形成する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、液晶表示素子は、軽量・薄型という特徴を生かし、携帯電話、ポケベルなどの携帯情報端末や移動体通信、カーナビゲーションなど車載用途にも使用されている。これらの用途では、デスクトップタイプのパソコン、ワープロ、TVなどの用途に比べて、移動に伴う振動・衝撃などの負荷を受け、スペーサの移動が生じやすい。
【0005】
また、近年、モニター・パソコン・TVなどでは、画面が著しく大型化される一方であり、基板サイズが大型になったり(例えば550×650mm以上)、パネルサイズが大きくなったり(例えば14インチ以上)すると、電極基板のたわみが生じやすく、液晶表示装置の製造工程における液晶表示装置への振動や衝撃によってスペーサが移動しやすい。
【0006】
例えば、特開平9−160009号公報の方法では、上述したように、スペーサが移動して、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持できなくなるためギャップ均一性が悪くなったり、画素部へスペーサが移動した場合にはコントラスト低下を引き起こす問題もあり、フォトリソグラフィ技術により正確に非画素領域にのみスペーサを配置・形成した意味が失われてしまう。一方、特開平10−73827号公報の方法では、固体微粒子を用いないため、スペーサの移動の問題はないが、柱状のスペーサを形成するためにはフォトリソグラフィ技術を何回も行う必要があり、煩雑でコストも高くなる。
【0007】
したがって、本発明の課題は、固体微粒子からなるスペーサがフォトリソグラフィ技術を用いて正確に非画素領域にのみ形成されており、しかも、スペーサの移動が少なく、高表示品位の液晶表示装置を得させるための液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、以下の構成の発明を提供する。
すなわち、本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、一対の透明基板の間に液晶が封入されており、前記液晶を挟んで相対する前記透明基板面にそれぞれ透明電極が設けられており、さらに前記液晶の層の厚みを一定に保持するためのスペーサが備えられた液晶表示装置を製造するに際し、エチレン性不飽和二重結合を1つ以上有する光重合性化合物と光重合開始剤を含むとともに前記光重合性化合物に対し反応可能な二重結合基からなる官能基を有しスペーサとなる固体微粒子をも含むフォトレジスト組成物を用いて、非画素領域に該フォトレジスト組成物の膜が残留するように、フォトリソグラフィ技術により露光、現像処理を行う工程を含むことを特徴とする。
本発明においては、スペーサとなる固体微粒子を含むフォトレジスト組成物として、下記2つのタイプのものが用いられる。後者のタイプの組成物も、前者と同様、スペーサ形成用フォトレジスト組成物として用いられるものではあるが、前者の組成においてさらに遮光性物質をも含み、フォトリソグラフィ技術を用いて形成された膜がブラックマトリクスになるものであるので、本明細書では、これを、ブラックマトリクス用組成物と呼ぶこととする。
そして、本発明においては、感光性樹脂として、エチレン性不飽和二重結合を1つ以上有する光重合性化合物と光重合開始剤を含むものが用いられ、固体微粒子として、前記光重合性化合物に対し反応可能な二重結合基からなる官能基を有しスペーサとなるものが用いられる。したがって、以下における「感光性樹脂と反応可能な官能基」とは、光重合性化合物に対し反応可能な官能基を意味することになる。
(1) 感光性樹脂と、前記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子とを含む、スペーサ形成用フォトレジスト組成物。
(2) 感光性樹脂と、遮光性物質と、前記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子とを含む、スペーサ形成用フォトレジスト組成物(カラーフィルタのブラックマトリクス用組成物)。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、固体微粒子からなるスペーサの移動を防ぐために、スペーサとして作用する、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子を、感光性樹脂とともに用いるものであり、具体的には次の2つの技術を提案する。
(1) 感光性樹脂と、前記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子とを含む、スペーサ形成用フォトレジスト組成物を用いて、液晶表示装置の非画素領域に該フォトレジスト組成物の膜が残留するように、フォトリソグラフィ技術により、露光、現像処理を行う。これによると、フォトリソグラフィ技術を用いるので正確に非画素領域にのみスペーサを形成でき、しかも固体微粒子の有する感光性樹脂と反応可能な官能基と感光性樹脂とが化学結合するので、スペーサ(固体微粒子)が強固に固定化され、液晶表示装置に振動や衝撃が加わってもスペーサが移動しにくく、画質が向上する。
【0010】
(2) 感光性樹脂と、遮光性物質と、前記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子とを含む、カラーフィルタのブラックマトリクス用組成物を用いて、フォトリソグラフィ技術により、露光、現像処理を行って、液晶表示装置のブラックマトリクスを形成する。これによると、フォトリソグラフィ技術を用いるので正確にブラックマトリクス(すなわち、非画素領域)にのみスペーサを形成でき、しかも固体微粒子の有する感光性樹脂と反応可能な官能基と感光性樹脂とが化学結合するので、スペーサ(固体微粒子)が強固に固定化されるため、液晶表示装置に振動や衝撃が加わってもスペーサが移動しにくく、画質が向上する。
【0011】
以下、上記(1) と(2) について順に具体的に説明する。
[(1) のスペーサ形成用フォトレジスト組成物を用いる場合]
(1) のスペーサ形成用フォトレジスト組成物は、感光性樹脂と、前記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子とを含む。
感光性樹脂とは、紫外光領域から可視光領域の範囲内の波長の光を照射することによって、現像液に対する溶解性が変化する性質を有する樹脂であり、ネガ型とポジ型に分類される。
【0012】
ネガ型の感光性樹脂の代表例としては、エチレン性不飽和二重結合を1つ以上有する光重合性化合物と光重合開始剤とを含む感光性樹脂が挙げられる。
上記光重合性化合物としては、公知の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。具体的には、各種のポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミドを骨格として備えたウレタン(メタ)アクリレート、ポリブタジエンを骨格として備えたウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物のオリゴマー;アルコキシポリエチレングリコール(n=1〜10)モノ(メタ)アクリレート、アルコキシポリプロピレングリコール(n=1〜10)モノ(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、N,N’−ジアルキルアクリルアミド、N,N’−ジアルキルエチル(メタ)アクリルアシド、N,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性のモノマー;エチレンジグリコール(メタ)アクリレート、プロピレンジグリコール(メタ)アクリレート類、ブチレンジグリコール(メタ)アクリレート類、ヘキシレンジグリコール(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、アルリル(メタ)アクリレート、メタアルリル(メタ)アクリレート、トリアルリル(イソ)シアヌレート、トリアルリルトリメライト、ジビニルベンゼン類、ジ(メタ)アルリルフタレート類、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、ビニルフェニル(メタ)アリルエーテル、メチレンビス(メタ)アルリルアクリルアミド等の多官能性のモノマー;ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリスチレンやポリ酢酸ビニルなどのポリマーの末端に重合性二重結合を有する化合物等の光重合性のマクロマー等が挙げられる。これらの光重合性化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0013】
これらの光重合性化合物は、感光性樹脂中60重量%以上の割合で使用するのが好ましい。
上記光重合開始剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
【0014】
これらの光重合開始剤は上記光重合性化合物に対し、0.5〜30重量%の範囲内で使用することが好ましく、より好ましくは2〜15重量%である。
上記ネガ型の感光性樹脂は、必要によりその他の高分子結合剤を含んでいても良いが、感光性樹脂中40重量%以下の割合で使用するのが好ましい。
ポジ型の感光性樹脂としては、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸ノボラックエステル、o−ジアゾナフトキノンスルホン酸ノボラックエステル、ポリフェニル(メタ)アクリレート、ポリ(p−ホルミロキシスチレン)、ノボラック/ジヒドロピリジン化合物、ノボラック/ニフェジピン、N−t−ブチロキシカルボニルマレイミド−スチレン共重合体等が挙げられる。また、紫外光によってポリマー主鎖が切断される物質、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリ(o−ニトロベンズアルデヒドグリコールアセタール)なども、ポジ型感光性樹脂として利用することができる。
【0015】
上記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子は、固体微粒子を、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物で処理することにより得られる。
感光性樹脂と反応可能な官能基としては、二重結合基、カルボキシル基、アミノ基、SH基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基等が挙げられ、好ましくは、感光性樹脂の二重結合基と反応し易い二重結合基、SH基であり、特に好ましくは二重結合基である。これら感光性樹脂と反応可能な官能基は、固体微粒子の表面に存在することが、感光性樹脂との反応が容易であるため好ましい。
【0016】
上記固体微粒子の平均粒子径は通常0.5〜100μmであり、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1.5〜30μmである。平均粒子径が上記範囲を外れると、液晶表示装置のスペーサとして用いられない領域である。
上記固体微粒子の粒子径の変動係数は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。粒子径の変動係数が10%を超えると、液晶表示装置における液晶層の厚みを均一かつ一定に保持することが困難となり、画像ムラを起こしやすくなる。
【0017】
上記固体微粒子の形状は、液晶表示装置の隙間距離を均一に一定とする上で球状であることが好ましい。これは、粒子が球状であると、全てまたはほぼ全ての方向について一定またはほぼ一定の粒径を有することができるからである。このような球状の微粒子は、懸濁重合、乳化重合、分散重合、シード重合などにより製造される。
【0018】
上記固体微粒子としては、種々のものがあり、特に限定はされないが、たとえば、有機架橋重合体粒子、無機系粒子、有機質無機質複合体粒子等が挙げられる。これらの中でも、ビニル系架橋重合体粒子および有機質無機質複合体粒子が、電極基板、配向膜またはカラーフィルターの損傷防止や両電極基板間の隙間距離の均一性を得やすい点で好ましく、有機質無機質複合体粒子が最も好ましい。
【0019】
前記有機架橋重合体粒子としては、特に限定はされないが、たとえば、ジビニルベンゼン等のビニル基を2個以上有する架橋性ビニル単量体を単独で重合あるいは他のビニル単量体と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋樹脂粒子(特開平1−144429号公報参照)等のビニル系架橋重合体粒子が挙げられる。
【0020】
前記無機系粒子としては、特に限定はされないが、たとえば、ガラス、シリカ、アルミナ等の球状微粒子等が挙げられる。
前記有機質無機質複合体粒子は、有機質部分と無機質部分とからなる複合粒子である。この有機質無機質複合体粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定はされないが、たとえば、前記有機質無機質複合体粒子の重量に対して、無機酸化物換算で、好ましくは10〜90wt%、より好ましくは25〜85wt%、より好ましくは30〜80wt%の範囲である。無機質部分の割合を示す無機酸化物換算とは、有機質無機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率で示される。有機質無機質複合体粒子の無機質部分の割合が、無機酸化物換算で前記範囲を下回ると、有機質無機質複合体粒子が軟らかくなり、電極基板への散布個数が増えることがあり、また、前記範囲を上回ると、硬すぎて液晶表示装置における配向膜の損傷やTFTの断線が生じやすくなることがある。
【0021】
このような有機質無機質複合体粒子としては、特に限定はされないが、たとえば、有機ポリマー骨格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成するSiO2 の量が好ましくは10〜90wt%、より好ましくは25〜85wt%、最も好ましくは30〜80wt%の範囲である、有機質無機質複合体粒子等を挙げることができる。有機ポリマー骨格としては、ビニル系ポリマーがギャップコントロールを制御できる高復元性を与えるため、好ましい。
【0022】
有機質無機質複合体粒子の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含む下記の製造方法が挙げられる。
縮合工程は、ラジカル重合性基含有シリコン化合物を用いて加水分解・縮合する工程である。
ラジカル重合性基含有シリコン化合物は、次の一般式(1):
【0023】
【化1】
【0024】
(ここで、Ra は水素原子またはメチル基を示し;Rb は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Ri は、炭素数1〜20の1価の有機基を示し;Rc は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。lは0又は1である。)
と、次の一般式(2):
【0025】
【化2】
【0026】
(ここで、Rd は水素原子またはメチル基を示し;Rj は、炭素数1〜20の1価の有機基を示し;Re は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。mは0又は1である。)
と、次の一般式(3):
【0027】
【化3】
【0028】
(ここで、Rf は水素原子またはメチル基を示し;Rg は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rk は、炭素数1〜20の1価の有機基を示し;Rh は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。nは0又は1である。)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表される化合物またはその誘導体であることが好ましい。
【0029】
重合工程は、縮合工程中および/または縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させて粒子を得る工程である。
熱処理工程は、重合工程で生成した重合体粒子を好ましくは800℃以下の温度、より好ましくは100〜600℃の温度で乾燥および焼成する工程である。熱処理工程は、たとえば、10容量%以下の酸素濃度を有する雰囲気中や減圧下で行われることが好ましい。
【0030】
上記固体微粒子を処理するのに用いられる、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物としては、上記固体微粒子に存在する官能基と反応可能な基を有し、かつ感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物や、固体微粒子表面の少なくとも一部を被覆することのできる、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物が挙げられる。
固体微粒子に存在する官能基と反応可能な基を有し、かつ感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物としては、例えば、二重結合基、カルボキシル基、アミノ基、SH基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基から選ばれる少なくとも一種の基を有するシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリアルコキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0031】
また、固体微粒子表面の少なくとも一部を被覆することのできる、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物としては、例えば、二重結合基、カルボキシル基、アミノ基、SH基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基から選ばれる少なくとも一種の基を有するポリマー等が挙げられる。該ポリマーは非架橋のものであっても、架橋されていてもかまわず、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等のビニル系樹脂;エポキシ樹脂;ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0032】
上記感光性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物の使用量としては、特に限定されないが、好ましくは固体微粒子に対して0.01〜100wt%の範囲であり、より好ましくは0.1〜30wt%の範囲である。
本発明のスペーサ形成用フォトレジスト組成物は、上記した感光性樹脂、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子以外の成分として、溶剤、増粘剤、レベリング剤等を含有するものであっても良い。
【0033】
本発明のスペーサ形成用フォトレジスト組成物は、液晶表示装置のスペーサをフォトリソグラフィ技術により作製するためのものである。
本発明の第1の液晶表示装置は、一対の透明基板の間に液晶が封入されており、前記液晶を挟んで相対する前記透明基板面にそれぞれ透明電極が設けられており、さらに前記液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサが備えられたものである。また、必要に応じて前記透明基板の片方にカラーフィルタが設けられている。このような液晶表示装置の一例を表す概略断面図を図1に示す。
【0034】
図1では、液晶材料を介在して対向配置された一対の電極基板(第1電極基板110と第2電極基板120)と、スペーサとを備える。第1電極基板110は、第1透明基板11と、第1透明基板11の表面に形成された電極5とを有する。第2電極基板120は、第2透明基板12と、その上に形成されたブラックマトリクス21と赤、緑、青の各画素22とからなるカラーフィルタ23と、さらにその上に形成されたカラーフィルタの表面の凹凸を埋めるための絶縁性の平坦化膜24と、さらにその上に形成された電極5と、さらにその上に形成された配向膜25とを有する。第1電極基板110と第2電極基板120とはその周辺部でシール材2によって接着されている。スペーサは、前記基板間に選択的に分散配置されて、前記基板の間隔を保持するものであり、シール材2中に分散するシール部スペーサ(図示せず)と面内に分散する面内スペーサ8とが存在する。面内スペーサ8はフォトレジスト組成物の膜26から一部突出した形で存在する。液晶材料7は、第1電極基板110と第2電極基板120との間に封入されており、第1電極基板110と第2電極基板120とシール材2とで囲まれた空間に充填されている。なお、図1ではカラーフィルタを有する液晶表示装置を示すが、カラー対応でない場合にはカラーフィルタは不要である。
【0035】
本発明の第1の液晶表示装置は、上記の本発明のスペーサ形成用フォトレジスト組成物を用いて、フォトリソグラフィ技術により、液晶表示装置の非画素領域に該フォトレジスト組成物の膜を残留させたものである。フォトレジスト組成物はスペーサとして機能する固体微粒子を含むものであるが、フォトレジスト組成物の膜は当初の塗布膜厚よりも厚さが大幅に減少するため、前記固体微粒子が該膜から一部突出した形となりスペーサとしての機能を果たす。画素領域にスペーサが存在するとスペーサの存在部分が表示されず、スペーサ自身や、液晶の配向乱れによりスペーサ周囲は光抜けが発生するからである。したがって、例えば、TNモードの場合には、文字や図案の周辺や間隙等、表示に直接かかわらない領域のみにスペーサを配置することが好ましい。また、例えば、STNモードの場合には、電極基板の透明電極がストライプ状に配列されているので、それらの透明電極の間隙にスペーサを配置することが好ましい。また、例えば、TFTやSTNのカラー表示の場合、カラーフィルタの画素のR、G、B以外の部分、すなわち、ブラックマトリクスの上に配置することが好ましい。また、カラーフィルタのある基板と対向した電極基板上にスペーサを配置する場合は、ブラックマトリクスに対する位置へ配置することが好ましい。
【0036】
本発明の第1の液晶表示装置を製造する方法としては、上記の本発明のスペーサ形成用フォトレジスト組成物を用いて、液晶表示装置の非画素領域に該フォトレジスト組成物の膜が残留するように、フォトリソグラフィ技術により露光、現像処理を行う。
具体的には、次のような方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。すなわち、透明基板上に、ブラックマトリクスと各画素とからなるカラーフィルタ、平坦化膜、透明電極、配向膜を常法にしたがって形成した後、前記配向膜上に、上記フォトレジスト組成物を全面塗布してフォトレジスト組成物の膜を形成する。該フォトレジスト組成物の膜を、所望のパターンのフォトマスクを介して紫外線を照射して露光し、現像により不要な部分を除去し、必要に応じてポストベーク処理する。
【0037】
該フォトレジスト組成物の膜の乾燥膜厚は、固体微粒子の直径より小さければ特に限定されないが、0.1〜2μmであることが好ましく、0.2〜1μmであることがより好ましい。前記範囲よりも乾燥膜厚が薄い場合にはスペーサの固定化が弱く、振動や衝撃によりスペーサが移動するおそれがある。前記範囲よりも乾燥膜厚が厚い場合は固体微粒子が感光性樹脂層に埋もれてしまい、スペーサとして機能しなくなる。
【0038】
該フォトレジスト組成物に含まれる感光性樹脂がネガ型の場合は、露光された部分が硬化し、未露光部分を現像により除去するため、残留させたい部分が露光されるようなパターンを有するフォトマスクを用いる。一方、該フォトレジスト組成物に含まれる感光性樹脂がポジ型の場合は、露光した部分を現像により除去するため、除去したい部分が露光されるようなパターンを有するフォトマスクを用いる。
【0039】
本発明の第1の液晶表示装置において、スペーサ以外の、電極基板、シール材、液晶材料などについては従来と同様のものを従来と同様に使用することができる。
電極基板としては、ガラス基板、フィルム基板などが使用できる。シール材としては、エポキシ樹脂接着シール材などが使用される。液晶としては、従来より用いられているものでよく、たとえば、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキセン系、フッ素系などの液晶が使用できる。
【0040】
本発明の第1の液晶表示装置は、たとえば、上記のようにしてスペーサを形成した後、エポキシ樹脂等の接着シール材にシール部スペーサを分散させたものをもう一方の電極基板の接着シール部分にスクリーン印刷などの手段により塗布したものを載せ、適度の圧力を加え、100〜180℃の温度で1〜60分間の加熱、または、照射量40〜300mJ/cm2 の紫外線照射により、接着シール材を加熱硬化させた後、液晶を注入し、注入部を封止することで製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本発明の第1の液晶表示装置は、従来の液晶表示装置と同じ用途、たとえば、テレビ、モニター、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、カーナビゲーションシステム、DVD、デジタルビデオカメラ、PHS(携帯情報端末)などの画像表示素子として使用される。
[(2) のブラックマトリクス用組成物を用いる場合]
(2) のブラックマトリクス用組成物は、感光性樹脂と、遮光性物質と、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子とを含む。
【0042】
感光性樹脂としては、(1) のスペーサ形成用フォトレジスト組成物に含まれる感光性樹脂と同様のものを使用できるが、光重合に必要な紫外線を遮光性物質が吸収してしまうおそれがあるため、高感度な感光性樹脂を使用することが好ましい。
遮光性物質としては、カーボンブラック、カーボンブラックグラフトポリマー、黒色有機顔料、チタンブラック、鉄黒、クロム黒等を使用することができる。中でも感光性樹脂への分散性に優れる点で、カーボンブラックにポリマーがグラフトしたカーボンブラックグラフトポリマーが好ましく、感光性樹脂と化学結合して強固なブラックマトリクスが得られる点で、感光性樹脂と反応可能な官能基を有するポリマーがグラフとしたカーボンブラックグラフトポリマーがより好ましく、二重結合基を有するポリマーがグラフトしたカーボンブラックグラフトポリマーが最も好ましい。その使用量としては、感光性樹脂に対し10〜90重量%の割合であることが好ましく、20〜70重量%の割合であることがより好ましい。
【0043】
感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子としては、(1) のスペーサ形成用フォトレジスト組成物に含まれる感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子と同様のものを使用できる。
本発明のブラックマトリクス用組成物は、上記した感光性樹脂、遮光性物質、感光性樹脂と反応可能な官能基を有する固体微粒子以外の成分として、溶剤、増粘剤、レベリング剤等を含有するものであっても良い。
【0044】
本発明のブラックマトリクス用組成物は、液晶表示装置のブラックマトリクスをフォトリソグラフィ技術により作製するためのものである。
本発明の第2の液晶表示装置は、一対の透明基板の間に液晶が封入されており、前記液晶を挟んで相対する前記透明基板面にそれぞれ透明電極が設けられており、さらに前記液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサが備えられたものである。また、必要に応じて前記透明基板の片方にカラーフィルタが設けられている。このような液晶表示装置の一例を表す概略断面図を図2に示す。
【0045】
図2では、液晶材料を介在して対向配置された一対の電極基板(第1電極基板110と第2電極基板120)と、スペーサとを備える。第1電極基板110は、第1透明基板11と、第1透明基板11の表面に形成された電極5とを有する。第2電極基板120は、第2透明基板12と、その上に形成されたブラックマトリクス21と赤、緑、青の各画素22とからなるカラーフィルタ23と、さらにその上に形成されたカラーフィルタの表面の凹凸を埋めるための絶縁性の平坦化膜24と、さらにその上に形成された電極5と、さらにその上に形成された配向膜25とを有する。第1電極基板110と第2電極基板120とはその周辺部でシール材2によって接着されている。スペーサは、前記基板間に選択的に分散配置されて、前記基板の間隔を保持するものであり、シール材2中に分散するシール部スペーサ(図示せず)と面内に分散する面内スペーサ8とが存在する。面内スペーサ8はブラックマトリクスから一部突出した形で存在する。液晶材料7は、第1電極基板110と第2電極基板120との間に封入されており、第1電極基板110と第2電極基板120とシール材2とで囲まれた空間に充填されている。
【0046】
本発明の第2の液晶表示装置は、上記のブラックマトリクス用組成物を用いて、フォトリソグラフィ技術により、液晶表示装置のカラーフィルタのブラックマトリクスが形成されたものである。ブラックマトリクス用組成物はスペーサとして機能する固体微粒子を含むものであるが、ブラックマトリクス用組成物の膜は当初の塗布膜厚よりも厚さが大幅に減少するため、前記固体微粒子が該膜から一部突出した形となりスペーサとしての機能を果たす。ブラックマトリクスは非画素領域であるため、スペーサは非画素領域にのみ配置される。したがって、スペーサ自身や、液晶の配向乱れによるスペーサ周囲の光抜けが発生しない。
【0047】
本発明の第2の液晶表示装置を製造する方法としては、上記の本発明のブラックマトリクス用組成物を用いて、フォトリソグラフィ技術により露光、現像処理を行って、液晶表示装置のカラーフィルタのブラックマトリクスを形成する。
具体的には、次のような方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。すなわち、透明基板上に、各画素を形成した後、その上に上記ブラックマトリクス用組成物を全面塗布して該組成物の膜を形成する。該組成物の膜を、所望のパターンのフォトマスクを介して紫外線を照射して露光し、現像により不要な部分を除去し、必要に応じてポストベーク処理して、各画素とブラックマトリクスとからなるカラーフィルタを得る。その後、平坦化膜、透明電極、配向膜を常法にしたがって形成する。このとき、ブラックマトリクス用組成物に含まれるスペーサとして作用する固体微粒子は、配向膜の上に突出していて、かつ該固体微粒子が存在する箇所には透明電極が存在しないように注意する必要がある。固体微粒子の上に透明電極が存在すると上下基板間がショートするためである。
【0048】
該ブラックマトリクス用組成物の膜の乾燥膜厚は、固体微粒子の直径より小さければ特に限定されないが、0.1〜2μmであることが好ましく、0.2〜1μmであることがより好ましい。前記範囲よりも乾燥膜厚が薄い場合にはスペーサの固定化が弱く、振動や衝撃によりスペーサが移動するおそれがある。前記範囲よりも乾燥膜厚が厚い場合は固体微粒子が感光性樹脂層に埋もれてしまい、スペーサとして機能しなくなる。
【0049】
該ブラックマトリクス用組成物に含まれる感光性樹脂がネガ型の場合は、露光された部分が硬化し、未露光部分を現像により除去するため、残留させたい部分が露光されるようなパターンを有するフォトマスクを用いる。一方、該ブラックマトリクス用組成物に含まれる感光性樹脂がポジ型の場合は、露光した部分を現像により除去するため、除去したい部分が露光されるようなパターンを有するフォトマスクを用いる。
【0050】
本発明の第2の液晶表示装置において、スペーサ以外の、電極基板、シール材、液晶材料などについては従来と同様のものを従来と同様に使用することができる。
電極基板としては、ガラス基板、フィルム基板などが使用できる。シール材としては、エポキシ樹脂接着シール材などが使用される。液晶としては、従来より用いられているものでよく、たとえば、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキセン系、フッ素系などの液晶が使用できる。
【0051】
本発明の第2の液晶表示装置は、たとえば、上記のようにしてスペーサを形成した後、エポキシ樹脂等の接着シール材にシール部スペーサを分散させたものをもう一方の電極基板の接着シール部分にスクリーン印刷などの手段により塗布したものを載せ、適度の圧力を加え、100〜180℃の温度で1〜60分間の加熱、または、照射量40〜300mJ/cm2 の紫外線照射により、接着シール材を加熱硬化させた後、液晶を注入し、注入部を封止することで製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
本発明の第2の液晶表示装置は、従来の液晶表示装置と同じ用途、たとえば、テレビ、モニター、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、カーナビゲーションシステム、DVD、デジタルビデオカメラ、PHS(携帯情報端末)などの画像表示素子として使用される。
【0053】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下において「部」とは特にことわりがない限り、「重量部」を表すものとする。
<固体微粒子の平均粒子径、粒子径の変動係数>
固体微粒子を電子顕微鏡により観察して、その撮影像の任意の粒子200個の粒子径を実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準偏差および粒子径の変動係数を求めた。
【0054】
【数1】
【0055】
【数2】
【0056】
【数3】
【0057】
(固体微粒子の合成例)
[合成例1]
ジビニルベンゼン80重量%とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート20重量%とからなる単量体混合物を懸濁重合させた。デカンテーションによりスラリーから生成重合体粒子を分離し、水洗した後、分級することにより、球状の比較固体微粒子(11)を得た。
【0058】
得られた比較固体微粒子(11)は、平均粒子径5.8μm、粒子径の変動係数4.0%であった。
次に、比較固体微粒子(11)表面に二重結合基を導入する方法を以下に示す。
まず、水50g、イソプロピルアルコール50g、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを混合し、更に酢酸0.1gを添加して混合し、50℃で1時間加熱攪拌した。
【0059】
冷却後、前記で得られた溶液11gを採取してイソプロピルアルコール89gと混合して得られた溶液に比較固体微粒子(11)10gを添加して、超音波分散して混合した。得られた分散液を2時間攪拌後、エバポレーターを用いて溶媒を留去後、50℃で2時間減圧乾燥することにより、表面に二重結合基を有する固体微粒子(1)を得た。
[合成例2]
スチレン50重量%とメチルメタクリレート15重量%とγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン35重量%とからなる単量体混合物を分散重合させた。次いで、酢酸を添加してメトキシシリル基の加水分解・縮合を行わせた。デカンテーションによりスラリーから生成重合体粒子を分離し、水洗した後、分級し、200℃で減圧乾燥させて、球状の比較固体微粒子(12)を得た。
【0060】
得られた比較固体微粒子(12)は、平均粒子径5.7μm、粒子径の変動係数3.8%であった。
次に、得られた比較固体微粒子(12)の表面に二重結合基を実施例1と同様にして導入し、表面に二重結合基を有する固体微粒子(2)を得た。
(スペーサ形成用フォトレジスト組成物を用いた実施例・比較例)
[実施例1]
ガラス基板上に、まず全面的にブラックマトリクス膜を形成し、次いでフォトリソグラフィ技術により、所定の位置に所定の形状のブラックマトリクス膜が残留されるように、不必要な部分を除去した。ブラックマトリクス膜を除去した位置に、同様のフォトリソグラフィ技術を用いて、赤画素、緑画素、青画素を形成させ、カラーフィルタを設けた。次いで、カラーフィルタ上に絶縁性の平坦化膜を形成後、その上に透明導電膜よりなる走査電極を形成し、更にその上に配向膜を形成して、カラーフィルタ側電極基板とした。
【0061】
次に、感光性樹脂としてエポキシアクリレートオリゴマー10部、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート10部、エチルセロソルブアセテート68部を混合した溶液に、固体微粒子(1)10部を分散させた後、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2部を混合溶解させ、ネガ型のスペーサ形成用フォトレジスト組成物(1)を調製した。
次に、上記カラーフィルタ側電極基板の配向膜上へ上記フォトレジスト組成物(1)をスピンコートし、フォトレジスト組成物の薄い膜を形成させ、これをレベリング、プリベークした。次いで、ブラックマトリクスの上にだけ光が照射されるパターンを有するフォトマスクを用いて、ブラックマトリクスに対応する位置に存在するフォトレジストの膜に紫外線を照射して露光後、現像液へ浸漬して未硬化部分を溶解させて現像を行った。次いで、ポストベーク処理を行い、ブラックマトリクスに対応する位置にのみ固体微粒子(1)を混入したフォトレジストの膜を残留させた。
【0062】
以上のようにして作製したカラーフィルタ側電極基板とTFT側電極基板をシール材で貼り合わせて液晶セルを組み立て、これにフッ素系TN液晶を封入して封入孔を封止することにより、15インチの液晶表示装置(1)を得た。
この液晶表示装置(1)を駆動させたところ、スペーサ(固体微粒子(1))がブラックマトリクスに対応する位置(非画素領域)にのみ存在するため、コントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。
【0063】
次に、液晶表示装置(1)を、X、Y、Zの方向に2Gの加速度で各々1時間振動させて、振動試験を行ったところ、コントラスト及び表示のざらつき感は振動試験前と同じで、高表示品位を維持していた。
[比較例1]
実施例1において、固体微粒子(1)の代わりに比較固体微粒子(11)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較フォトレジスト組成物(11)を調製し、これを用いてフォトリソグラフィ技術によりブラックマトリクスに対応する位置にのみ比較固体微粒子(11)が混入したフォトレジストの膜が残留したカラーフィルタ側電極基板を作製した。
【0064】
次いで、実施例1と同様にして比較液晶表示装置(11)を作製したところ、振動試験前は、実施例1と同様にコントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。しかし、実施例1と同様の振動試験を行ったところ、コントラストの低下、表示のざらつき感が発生し、表示品位が低下した。
[実施例2]
実施例1において、固体微粒子(1)の代わりに固体微粒子(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、フォトレジスト組成物(2)を調製し、これを用いてフォトリソグラフィ技術によりブラックマトリクスに対応する位置にのみ固体微粒子(2)が混入したフォトレジストの膜が残留したカラーフィルタ側電極基板を作製した。
【0065】
次いで、実施例1と同様にして液晶表示装置(2)を作製したところ、振動試験前、振動試験後とも、実施例1と同様にコントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。
[比較例2]
実施例1において、固体微粒子(1)の代わりに比較固体微粒子(12)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較フォトレジスト組成物(12)を調製し、これを用いてフォトリソグラフィ技術によりブラックマトリクスに対応する位置にのみ比較固体微粒子(12)が混入したフォトレジストの膜が残留したカラーフィルタ側電極基板を作製した。
【0066】
次いで、実施例1と同様にして比較液晶表示装置(12)を作製したところ、振動試験前は、実施例1と同様にコントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。しかし、実施例1と同様の振動試験を行ったところ、コントラストの低下、表示のざらつき感が発生し、表示品位が低下した。
振動試験後のパネルを観視したところ、実施例1、2ではスペーサ(固体微粒子(1)、(2))が画素上には全く観察できなかったが、比較例1、2ではスペーサ(比較固体微粒子(11)、(12))が画素上に観察された。すなわち、実施例1、2ではパネルを振動させてもスペーサの移動がないのに対し、比較例1、2ではスペーサが画素領域へ移動したことがわかった。これは、実施例1、2では固体微粒子の表面に二重結合基が存在しているため、感光性樹脂と化学結合して強固に固定化されているのに対して、比較例1、2では固体微粒子の表面に二重結合基が存在していないため、感光性樹脂との化学結合がなく固定化が弱いために振動により移動したと考えられる。
(ブラックマトリクス用組成物を用いた実施例・比較例)
[実施例3]
感光性樹脂としてフェノールノボラックエポキシアクリレート30部、ビスフェノールA系多官能エポキシアクリレート30部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、光重合開始剤としてイルガキュア369(チバガイギー製)5部、溶媒としてエチルセロソルブアセテート25部を混合し、二重結合基を有するポリマーがカーボンブラックにグラフトしたカーボンブラックグラフトポリマー20部を加え、分散化した。更に固体微粒子(1)5部を加え、分散化してブラックマトリクス用組成物(1)を得た。
【0067】
次に、フォトリソグラフィ技術により赤画素、緑画素、青画素を形成させた基板上に、更にブラックマトリクス用組成物(1)をスピンコーターで塗布、乾燥した。次いで、得られた塗膜に、作製したいブラックマトリクスの上にだけ光が照射されるパターンを有するフォトマスクを用いて、ブラックマトリクスに対応する位置に存在するフォトレジストの膜に紫外線を照射して露光後、現像液のシャワーにより未硬化部分を溶解させて現像を行い、スペーサとして作用する固体微粒子(1)を含有したブラックマトリクスを有するカラーフィルタ側透明基板を得た。
【0068】
次いで、カラーフィルタ上に絶縁性の平坦化膜を形成後、その上に透明導電膜よりなる走査電極を形成し、更にその上に配向膜を形成して、カラーフィルタ側電極基板とした。但し、スペーサとして作用する固体微粒子(1)の上には透明導電膜は形成しなかった。
以上のようにして作製したカラーフィルタ側電極基板とTFT側電極基板をシール材で貼り合わせて液晶セルを組み立て、これにフッ素系TN液晶を封入して封入孔を封止することにより、15インチの液晶表示装置(3)を得た。
【0069】
この液晶表示装置(3)を駆動させたところ、スペーサ(固体微粒子(1))がブラックマトリクスに対応する位置(非画素領域)にのみ存在するため、コントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。
次に、液晶表示装置(3)を、X、Y、Zの方向に2Gの加速度で各々1時間振動させて、振動試験を行ったところ、コントラスト及び表示のざらつき感は振動試験前と同じで、高表示品位を維持していた。
[比較例3]
実施例3において、固体微粒子(1)の代わりに比較固体微粒子(11)を用いた以外は実施例3と同様にして、比較ブラックマトリクス用組成物(11)を調製し、これを用いてフォトリソグラフィ技術により、スペーサとして作用する比較固体微粒子(11)を含有したブラックマトリクスを有するカラーフィルタ側透明基板を得た。
【0070】
次いで、実施例3と同様にして比較液晶表示装置(13)を作製したところ、振動試験前は、実施例3と同様にコントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。しかし、実施例3と同様の振動試験を行ったところ、表示されない画素の発生、色ムラの発生、コントラストの低下、表示のざらつき感が発生し、表示品位が大幅に低下した。
[実施例4]
実施例3において、固体微粒子(1)の代わりに固体微粒子(2)を用いた以外は実施例3と同様にして、ブラックマトリクス用組成物(2)を調製し、これを用いてフォトリソグラフィ技術により、スペーサとして作用する固体微粒子(2)を含有したブラックマトリクスを有するカラーフィルタ側透明基板を得た。
【0071】
次いで、実施例3と同様にして液晶表示装置(4)を作製したところ、振動試験前、振動試験後とも、実施例3と同様にコントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。
[比較例4]
実施例3において、固体微粒子(1)の代わりに比較固体微粒子(12)を用いた以外は実施例3と同様にして、比較ブラックマトリクス用組成物(12)を調製し、これを用いてフォトリソグラフィ技術により、スペーサとして作用する比較固体微粒子(12)を含有したブラックマトリクスを有するカラーフィルタ側透明基板を得た。
【0072】
次いで、実施例3と同様にして比較液晶表示装置(14)を作製したところ、振動試験前は、実施例3と同様にコントラストが高く、表示のざらつき感はなく、高表示品位を有していた。しかし、実施例3と同様の振動試験を行ったところ、表示されない画素の発生、色ムラの発生、コントラストの低下、表示のざらつき感が発生し、表示品位が大幅に低下した。
【0073】
振動試験後のパネルを観視したところ、実施例3、4ではスペーサ(固体微粒子(1)、(2))が画素上には全く観察できなかったが、比較例3、4ではスペーサ(比較固体微粒子(11)、(12))が画素上に観察された。すなわち、実施例3、4ではパネルを振動させてもスペーサの移動がないのに対し、比較例3、4ではスペーサが画素領域へ移動し、画素へダメージを与え、しかもギャップムラが発生したことがわかった。これは、実施例3、4では固体微粒子の表面に二重結合基が存在しているため、感光性樹脂と化学結合して強固に固定化されているのに対して、比較例3、4では固体微粒子の表面に二重結合基が存在していないため、感光性樹脂との化学結合がなく固定化が弱いために振動により移動したと考えられる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によると、固体微粒子からなるスペーサがフォトリソグラフィ技術を用いて正確に非画素領域にのみ形成されており、しかも振動や衝撃が加わった場合にもスペーサの移動が少ない液晶表示装置を提供することができる。特に、基板サイズが大型になったり(例えば550×650mm以上)、パネルサイズが大きくなったり(例えば14インチ以上)した場合にも、スペーサの移動が少ないため、非常に高表示品位の液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示装置の一例を表わす概略断面図である。
【図2】 本発明の液晶表示装置の他の一例を表わす概略断面図である。
【符号の説明】
2 シール材
4 配向膜
5 電極
6 偏光膜
7 液晶
8 面内スペーサー
11 下側ガラス基板
12 上側ガラス基板
21 ブラックマトリクス
22 画素
23 カラーフィルタ
24 平坦化膜
25 配向膜
26 フォトレジスト組成物の膜
110 下側電極基板
120 上側電極基板
Claims (1)
- 一対の透明基板の間に液晶が封入されており、前記液晶を挟んで相対する前記透明基板面にそれぞれ透明電極が設けられており、さらに前記液晶の層の厚みを一定に保持するためのスペーサが備えられた液晶表示装置を製造するに際し、エチレン性不飽和二重結合を1つ以上有する光重合性化合物と光重合開始剤を含むとともに前記光重合性化合物に対し反応可能な二重結合基からなる官能基を有しスペーサとなる固体微粒子をも含むフォトレジスト組成物を用いて、非画素領域に該フォトレジスト組成物の膜が残留するように、フォトリソグラフィ技術により露光、現像処理を行う工程を含むことを特徴とする、液晶表示装置の製造方法。
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