JP4602858B2 - 燃焼装置 - Google Patents

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本発明は加熱炉や熱処理炉に使用される燃焼装置に関する。
従来、加熱炉や熱処理炉に使用される燃焼装置として特許文献1〜7に示す種々のリジェネバーナが使用されている。図4は従来の代表的なリジェネバーナ21を示す。このリジェネバーナ21では、空気入口28からリジェネバーナ21内に供給された燃焼空気は蓄熱器22と熱交換し高温予熱空気となって空気ノズル孔23より炉体24の内部に吐出される。炉内温度が800℃以下の低温時には、バーナ内燃焼室に設置された1次ガスノズル26より供給される燃料をパイロットバーナ25により燃焼させ保炎する。炉内温度が800℃以上の高温時には、1次ガスノズル26からの燃料の供給を停止し、空気ノズル孔23から離れた位置にある2次ガスノズル27より燃料を供給し、炉内温度により自燃させる。この方式は、低NOx化を図る有効な方法である。
しかし、この方式では、図5に示すように、バーナ1台あたり、パイロットバーナ用の空気配管が1本とガス配管が1本、1次ガスノズル26用のガス配管1本、2次ガスノズル27用のガス配管2本の合計5本が必要であり、バーナ2台で総計10本の配管が必要である(燃焼空気配管と排ガス配管は除く)。このため、燃焼制御システムやバーナ周辺配管が複雑になる。また、2次ガスノズル27による火炎は炉内全体に広がるので、メイン拡散火炎を直接監視することは非常に困難であり、燃焼安全対策を講じにくいという問題がある。
さらに、低NOx化のために緩慢燃焼を行うと、低温時にCOが発生する。また、ON−OFF制御のOFF時間が長くなると、ガスノズルの切換弁から先端のノズル孔までのガスがクラッキング(炭化)し、ガスノズルが閉塞するという問題がある。
特公平8−6906号公報 特開2005−121329号公報 実用新案登録第2571556号 特許第2849062号公報 特許第2683545号公報 特許第3305506号公報 特開第3558183号公報
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、超低NOxで、かつ、メイン拡散火炎の監視が可能な燃焼装置を提供することを課題とする。
また、バーナ周辺機器や配管が簡素な燃焼装置を提供することを課題とする。
また、低温時のCO発生を抑制することができる燃焼装置を提供することを課題とする。
さらに、燃料切換弁から燃料ノズル先端までの燃料のクラッキング(炭化)を防止することができる燃焼装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明にかかる燃焼装置は、
先端にノズル孔を有する1次空気ノズルと該1次空気ノズル内に収容された燃料ノズルとからなり、前記燃料ノズルの先端にラジアル方向に設けた1次火炎ノズル孔とアキシャル方向に設けたメイン火炎ノズル孔とを有し、前記燃料ノズルの1次火炎ノズル孔の近傍にスパークプラグを有し、前記燃料ノズルの後端に前記1次火炎ノズル孔で形成される1次火炎と前記メイン火炎ノズル孔で形成されるメイン火炎及びそれに続くメイン拡散火炎を検出する火炎検出器を有する1対の火炎形成ユニットと、
内部に蓄熱器を有し、先端に高温空気ノズル孔を有する1対の高温空気供給ユニットとを備え、
前記1対の火炎形成ユニットの一方と前記1対の高温空気供給ユニットの一方を1つの組とし、前記1対の火炎形成ユニットの他方と前記1対の高温空気供給ユニットの他方を他の組とし、
前記各組の前記火炎形成ユニットのノズル孔と前記高温空気供給ユニットの高温空気ノズル孔とを炉体の壁を貫通させて炉体内に開口させ、前記火炎形成ユニットのノズル孔を前記高温空気供給ユニットの高温空気ノズル孔の近傍の位置に対して斜めに配置したものである。
前記構成によれば、1次火炎ノズル孔からの燃料は1次空気ノズル内を流れる1次空気と混合し、スパークプラグによりダイレクト点火され、1次火炎ノズルを形成する。また、メイン火炎ノズルからの燃料は1次空気ノズル内を流れる1次空気と混合し、1次火炎ノズルからの火移りによりメイン火炎を形成する。メイン火炎は、高温空気ノズル孔からの高温空気によって燃焼しメイン拡散火炎となる。また、1次火炎ノズル孔とメイン火炎ノズル孔でそれぞれ形成される1次火炎とメイン火炎及びそれに続くメイン拡散火炎は火炎検出器で検出されて監視される。
前記火炎形成ユニットの燃料ノズルによる燃料噴出速度を40m/s以上、150m/s以下とすることが好ましい。また、前記高温空気供給ユニットによる高温空気噴出速度を40m/s以上、150m/s以下とすることが好ましい。
前記火炎形成ユニットの燃料ノズルを通過する燃料に前記1次空気ノズルから供給される空気を混合させることが好ましい。これにより、低温時のCOの発生が抑制される。
前記火炎形成ユニットの燃料ノズルに前記1次空気ノズルから空気を供給して燃料供給ノズル内をパージすることが好ましい。これにより、燃料がガスである場合に、燃料ノズル内での燃料ガスのクラッキング(炭化)が防止される。
本発明によれば、火炎形成ユニットを高温空気供給ユニットと別個のユニットとし、1次空気と燃料を混合させてダイレクト点火により1次火炎を形成後、火移りによりメイン火炎を形成し、さらに高温空気によるメイン拡散火炎を形成することができるので、配管が少なくなり、バーナ周辺機器や配管が簡素化され、空いたスペースを有効に活用することができるうえ、燃焼装置を安価に製造できる。
また、燃料ノズルの先端の1次火炎ノズル孔とメイン火炎ノズル孔でそれぞれ形成される1次火炎、メイン火炎、さらにメイン火炎に続くメイン拡散火炎を1台の火炎検出器で検出して監視することができるので、燃焼安全が保証される。
さらに、1本の燃料ノズルにより1次火炎とメイン火炎を形成できるので、2段燃焼による緩慢燃焼によって、低NOx化、低騒音化が可能となる。
火炎形成ユニットを高温空気供給ユニットと別個のユニットとしたので、火炎形成ユニットを炉の任意の位置に配置することができ、炉内拡散燃焼による低NOx化も可能となる。
燃料供給開始と同時にスパークプラグによりダイレクト点火することで、パイロットバーナが不要となり、安定した着火性を確保することができる。
このため、炉内温度が800℃以下の低温時にも、安定燃焼が可能で、低温から高温域まで超低NOxでの燃焼が可能である。
高温空気噴出速度を40m/s以上、150m/s以下とすることで、炉内で自己排ガス循環が生じ、低NOx化が可能となる。
火炎形成ユニットの燃料ノズルを通過する燃料に1次空気ノズルから供給される空気を混合させるので、低温時のCOの発生を抑制することができる。
火炎形成ユニットの燃料ノズルに1次空気ノズルから空気を供給して燃料供給ノズル内をパージするので、燃料がガスである場合に、燃料ノズル内での燃料ガスのクラッキング(炭化)を防止することができ、燃料ノズルの閉塞を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
図1(a)は、本発明にかかる燃焼装置を示す。この燃焼装置は、火炎形成ユニット1と、1対の高温空気供給ユニット2a,2bからなっている。火炎形成ユニット1は、図1(b)に示すように、1対の高温空気供給ユニット2a,2bの間に設置され、そのノズル孔3は高温空気供給ユニット2a,2bの高温空気ノズル孔4a,4bの近傍の位置に配置され、炉体5の内部に開口している。1対の高温空気供給ユニット2a,2bは、それぞれ蓄熱器6a,6bを有し、先端の高温空気ノズル孔4a,4bは炉体5内に開口している。一方の高温空気ユニット2aがその蓄熱器6aにより予熱された高温空気を炉内に供給しているときは、他方の高温空気ユニット2bは炉内の排ガスを吸引して蓄熱器6bに吸熱させる作用を行う。
図2に火炎形成ユニット1の詳細を示す。火炎形成ユニット1は、1次空気ノズル7と燃料ノズル8とから構成されている。1次空気ノズル7の先端は炉体5内に開口し、後端は閉塞されている。1次空気ノズル7には1次空気配管9が接続され、該1次空気配管9から1次空気が供給される。燃料ノズル8は、1次空気ノズル7内に収容され、先端は1次空気ノズル7の先端近傍に位置し、後端は1次空気ノズル7の閉塞端を貫通して燃料配管10に接続され、ON/OFF切換弁11を介して液体又はガスの燃料が供給される。燃料ノズル8の先端には、ラジアル方向に1次火炎ノズル孔12が形成され、アキシャル方向にメイン火炎ノズル孔13が形成されている。
燃料ノズル8は、1次火炎ノズル孔12より後方において、環状のスタビライザ14により支持されている。スタビライザ14は多数の貫通孔15を有する円盤で、円盤によるリテンション効果により1次火炎ノズル孔12で形成される火炎を保持する作用を有する。1次火炎ノズル孔12の近傍にスパークプラグ16が設けられている。1次空気ノズル7の後端には、1次空気ノズル7内からスタビライザ14の貫通孔15を通して1次火炎ノズル孔12により形成される1次火炎とメイン火炎ノズル孔13で形成されるメイン火炎及びそれに続くメイン拡散火炎を検出する火炎検出器17と、これらの火炎を目視するためのサイトホール18とが設けられている。1次空気配管9からは、混合用及びパージ用の空気分岐管19が分岐して、開閉弁20を介して燃料配管10に接続されている。
次に、以上の構成からなる燃焼装置の動作を説明する。以下の説明では、高温空気供給ユニット2aを空気供給側、高温空気供給ユニット2bを排ガス吸引側とする。
高温空気供給ユニット2aの空気入口4より供給された空気は蓄熱器6aを通過し、ここで蓄熱材と熱交換し高温予熱空気となり、高温空気ノズル孔4aより炉体5内に1000℃雰囲気で40m/s以上、150m/s以下、好ましくは70m/s以上、100m/s以下の高速で吐出される。また、1次空気配管9より供給される1次空気は1次空気ノズル7内を通って燃料ノズル8の先端に向かって流れる。
一方、ON/OFF切換弁11を介して燃料配管10より供給される燃料は、燃料ノズル8内を通って先端の1次火炎ノズル孔12とメイン火炎ノズル孔13より吐出される。メイン火炎ノズル孔13より吐出される燃料は、50℃の雰囲気で40m/s以上、150m/s以下、好ましくは40m/s以上、100m/s以下の高速で吐出される。
1次火炎ノズル12より吐出される燃料は、1次空気ノズル7を流れる1次空気と混合し、スパークプラグ16によりダイレクト点火されて、1次火炎f1を形成する。1次火炎f1はスタビライザ14により保炎される。
メイン火炎ノズル孔13より吐出される燃料は、1次空気ノズル7を流れる1次空気と混合し、1次火炎f1からの火移りにより燃焼し、メイン火炎f2を形成する。メイン火炎f2は、1次火炎f1により保炎される。1次火炎ノズル孔12で形成される1次火炎f1とメイン火炎ノズル孔13で形成されるメイン火炎f2は、火炎検出器17により検出され、サイトホール18から目視でも火炎の状態を確認することができる。
なお、スパークプラグ16によるダイレクト点火は、ON/OFF切換弁11をONにして燃料配管10より燃料の供給を開始すると同時に行う。換言すれば、ON/OFF切換弁11をONに切り換えるごとに、スパークプラグ16によりダイレクト点火する。このため、パイロットバーナがなくても、安定した着火性を確保できる。また、スパークプラグ16は1次火炎ノズル孔12の近傍にあるので、スパークプラグ16によるスパーク時間は0.5〜5秒の間の短時間に設定することができ、スパークプラグ16の寿命が向上する。
メイン火炎f2は、高温空気ノズル孔4aより吐出される高温空気によって燃焼しメイン拡散火炎f3となる。このメイン拡散火炎f3は、火炎検出器17により直接検出することはできないが、1次火炎f1からメイン拡散火炎f3までは1本の連続した火炎であり、1次火炎f1とメイン火炎f2が消えると、メイン拡散火炎f3も消えるので、結局メイン拡散火炎f3も間接的に検出できることになる。炉体5内の排ガスは、排ガス吸引側の高温空気供給ユニット2bの高温空気ノズル孔4bから吸引され、蓄熱器6bを通過し、ここで蓄熱材と熱交換して蓄熱させ、空気出口4’より排出される。
炉内温度が高温時には、メイン拡散火炎f3により形成される炉内の渦流により排ガスがメイン拡散火炎f3と高温空気ノズル孔4aの近傍の間を循環する所謂自己排ガス循環が行われる。また、メイン火炎f2とメイン拡散火炎f3の2段階燃焼により緩慢燃焼が行われる。さらに、火炎形成ユニット1を分散配置することで、炉内拡散燃焼も可能である。このような燃焼状態により、超低NOx化が可能となる。
一方低温時には、空気分岐管19の開閉弁20を開いて燃料に1次空気を予め混合させることにより、COの発生を抑制することができる。
さらに、燃料がガスの場合、燃料配管10のON/OFF切換弁11によるON/OFF制御時のOFF時間が長くなるときは、空気分岐管19の開閉弁20を開いて1次空気を燃料ノズル8に供給して燃料ノズル8内の残留燃料をパージすることで、ON/OFF切換弁11から燃料ノズル8先端までのガス燃料がクラッキング(炭化)するのを防止し、燃料ノズル8の閉塞を回避することができる。
本実施形態の火炎形成ユニット1は、1台当たり、燃料ノズル8が1本、1次空気ノズル7が1本の合計2本であり、バーナ回りの周辺機器や配管が簡素化できる。
バーナ回りが簡素化できることにより、スペースに余裕ができ、図1(b)のように、1台の火炎形成ユニット1に高温空気供給ユニット2a,2bを2台設置するセルフリジェネバーナ方式を採用することができ、従来方式のリジェネバーナの10本に比べて、2本まで配管系統を簡素化することができる。
また、炉内温度による燃料ノズル8の切替も不要となり、制御も合わせて簡素化でき、安価なリジェネバーナを提供できる。
なお、前記実施形態では、1つの火炎形成ユニット1に対し1対の高温空気供給ユニット2a、2bを配置する構成(セルフリジェネ)としたが、図3に示すように、1つの火炎形成ユニット1aと1つの高温空気供給ユニット2aの組と、1つの火炎形成ユニット1bと1つの高温空気供給ユニット2bの他の組からなる構成(ツインリジェネ)にすることもできる。
本発明の実施形態に係る燃焼装置の概略側面図(a)とその平面図(b)。 本発明に係る火炎形成ユニットの拡大図。 本発明の他の実施形態に係る燃焼装置の概略平面図。 従来のリジェネバーナの概略断面図。 図4のリジェネバーナの概略平面図。
符号の説明
1 火炎形成ユニット
2a,2b 高温空気供給ユニット
3 ノズル孔
4 空気入口
4’ 空気出口
4a,4b 高温空気ノズル孔
5 炉体
6a,6b 蓄熱器
7 1次空気ノズル
8 燃料ノズル
9 1次空気配管
10 燃料配管
11 ON/OFF切換弁
12 1次火炎ノズル孔
13 メイン火炎ノズル孔
14 スタビライザ
15 貫通孔
16 スパークプラグ
17 火炎検出器
18 サイトホール
19 空気分岐管
20 開閉弁

Claims (5)

  1. 先端にノズル孔を有する1次空気ノズルと該1次空気ノズル内に収容された燃料ノズルとからなり、前記燃料ノズルの先端にラジアル方向に設けた1次火炎ノズル孔とアキシャル方向に設けたメイン火炎ノズル孔とを有し、前記燃料ノズルの1次火炎ノズル孔の近傍にスパークプラグを有し、前記燃料ノズルの後端に前記1次火炎ノズル孔で形成される1次火炎と前記メイン火炎ノズル孔で形成されるメイン火炎及びそれに続くメイン拡散火炎を検出する火炎検出器を有する1対の火炎形成ユニットと、
    内部に蓄熱器を有し、先端に高温空気ノズル孔を有する1対の高温空気供給ユニットとを備え、
    前記1対の火炎形成ユニットの一方と前記1対の高温空気供給ユニットの一方を1つの組とし、前記1対の火炎形成ユニットの他方と前記1対の高温空気供給ユニットの他方を他の組とし、
    前記各組の前記火炎形成ユニットのノズル孔と前記高温空気供給ユニットの高温空気ノズル孔とを炉体の壁を貫通させて炉体内に開口させ、前記火炎形成ユニットのノズル孔を前記高温空気供給ユニットの高温空気ノズル孔の近傍の位置に対して斜めに配置したことを特徴とする燃焼装置。
  2. 前記火炎形成ユニットの燃料ノズルによる燃料噴出速度を40m/s以上、150m/s以下としたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
  3. 前記高温空気供給ユニットによる高温空気噴出速度を40m/s以上、150m/s以下としたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
  4. 前記火炎形成ユニットの燃料ノズルを通過する燃料に前記1次空気ノズルから供給される空気を混合させることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
  5. 前記火炎形成ユニットの燃料ノズルに前記1次空気ノズルから空気を供給して燃料供給ノズル内をパージすることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
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