JP4601774B2 - 巻線装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コイルボビンに対し線材の巻き付け作業など各種の作業を順次行う巻線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コイルボビンに対して線材の巻き付けおよび、巻き付けた線材の端部をコイルボビンの端子に半田付けするなど各種の作業を一貫して行う巻線装置が知られている。この巻線装置は、各種の作業ユニットをコンベアに沿って順次配列し、パレットに搭載したコイルボビンをコンベアによって移動させている。各種作業ユニットの位置にコイルボビンが到達したら、パレットをストッパなどで停止、位置決めした後、パレットからコイルボビンを作業ユニット側に受け渡す。作業ユニットがコイルボビンに対し所定の作業を終了したら、再びコイルボビンをコンベア上のパレットに戻し、パレットのストッパを解除して、そのパレットを次の作業ユニットへ移動させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の巻線装置は、コンベア上のパレットと作業ユニットとの間で、コイルボビンを受け渡す作業が必要なことから、受け渡し時にミスが発生する場合があり、特にパレットから作業ユニットへの受け渡し時にミスが発生すると、作業ユニットで正常な作業が行われず、不良品を作ってしまうという問題がある。
【0004】
また、受け渡しに要する時間も必要になり、作業時間がその分余計にかかる上、受け渡しのための専用の受け渡しユニットが必要となり、その分費用がかかるという問題もある。
【0005】
そこで、この発明は、コイルボビンの受け渡し作業を必要とすることなく、コイルボビンに対して線材の巻き付け作業を始め各種の作業を一貫して行えるようにすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、コイルボビンを保持して回転可能な巻軸と、この巻軸を上下方向および水平方向に移動させる移動機構とを有し、前記移動機構による前記巻軸の水平方向への移動方向に沿って、前記巻軸に保持されたコイルボビンに対して線材を巻き付ける巻線ユニットならびに前記巻軸に保持されたコイルボビンに対する各種の作業ユニットをそれぞれ配列した巻線装置であって、前記巻線ユニットならびに前記作業ユニットを、装置基台のベース部上に配置するとともに、このベース部の側縁から立設される上部フレームの前記ベース部側の前面に、前記移動機構を配置した構成としてある。
【0007】
このような構成の巻線装置によれば、巻軸に保持されたコイルボビンが、移動機構によって水平方向に移動することで、巻線ユニットおよび各種作業ユニットに対応する位置となる。そして、各ユニットにおいて巻軸に保持されたコイルボビンが、移動機構によって適宜上下方向に移動して、各作業に適した上下位置となる。巻線ユニットにおいては、巻軸自身が回転して線材がコイルボビンに巻き付けられる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、巻軸と直交する軸回りに前記巻軸を回転させるインデックス機構を移動機構により上下方向および水平方向に移動可能に設けた構成としてある。
【0009】
上記構成によれば、巻軸に保持されたコイルボビンが、巻線ユニットおよび各種作業ユニットにおけるそれぞれの作業に適した姿勢となるように、インデックス機構によって回転する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明の構成において、巻軸は、コイルボビンに設けた保持穴に挿入して保持する構成である。
【0011】
上記構成によれば、コイルボビンは、巻軸を保持穴に挿入するだけで容易に巻軸に保持される。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の発明の構成において、保持穴が上方を向いた状態のコイルボビンがセットされるワークセット部を、巻線ユニットによる巻線作業の前工程としてインデックス機構の水平方向への移動方向に沿って配置した構成としてある。
【0013】
上記構成によれば、コイルボビンは、巻軸が挿入される保持穴が上方を向いた状態でワークセット部にセットされ、この状態で巻軸が、移動機構によってインデックス機構とともに下降することで、保持穴に挿入されて、コイルボビンが巻軸に保持された状態となる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明の構成において、ワークセット部にコイルボビンを順次送り込むパーツフィーダを設けた構成としてある。
【0015】
上記構成によれば、コイルボビンは、パーツフィーダからワークセット部に順次送り込まれる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項3の発明の構成において、巻軸に保持されたコイルボビンを、巻軸と平行に移動して巻軸から引き抜く排出具を備えた排出ユニットを、各種の作業ユニットによる各種作業の後工程としてインデックス機構の水平方向への移動方向に沿って配置した構成としてある。
【0017】
上記構成によれば、排出具が、コイルボビンを移動させるべく巻軸と平行に移動することで、コイルボビンが巻軸から引き抜かれる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明の構成において、各種の作業ユニットは、コイルボビンに巻かれた線材を前記コイルボビンの端子に対して半田付けする半田付けユニットと、半田付けされたコイルボビンの抵抗値を測定する検査ユニットとから構成してある。
【0019】
上記構成によれば、巻線ユニットによって線材が巻き付けられたコイルボビンが、半田ユニットまで移動し、ここで巻軸に保持されたまま、コイルボビンに巻かれた線材が端子に半田付けされる。半田付け作業後、コイルボビンは検査ユニットまで移動し、コイルボビンの抵抗値が巻軸に保持されたまま測定される。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明の構成において、巻線ユニットは、線材を保持する線材保持部と、前記線材を案内するノズルと、このノズルを三次元方向に移動させる三次元移動機構とを備えた構成としてある。
【0021】
上記構成によれば、線材は、線材保持部に保持された状態で、三次元方向に適宜移動するノズルに案内されて順次繰り出され、回転する巻軸に巻き付けられる。
【0022】
請求項9の発明は、請求項7の発明の構成において、半田付けユニットは、巻軸に保持されているコイルボビンの下方に半田槽が配置される構成としてある。
【0023】
上記構成によれば、コイルボビンを保持している巻軸が水平となっている状態で、コイルボビンの端子が下部位置となるよう自身が軸周りに回転するとともに、移動機構によって下方に移動することで、コイルボビンの端子が半田槽に浸されて半田付けされる。
【0024】
請求項10の発明は、請求項7の発明の構成において、検査ユニットは、巻軸に保持されているコイルボビンの下方にプローブが配置される構成としてある。
【0025】
上記構成によれば、コイルボビンを保持している巻軸が水平でかつ、コイルボビンの端子が下部位置となっている状態で、コイルボビンが移動機構によって下方に移動することで、コイルボビンの端子がプローブに接触して抵抗値が測定される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0027】
図1は、この発明の実施の一形態を示す巻線装置の全体構成を示す斜視図で、図2は、コイルボビン1を保持する巻軸としての複数の巻治具3周辺の拡大された斜視図である。巻治具3は、先端が先細のテーパ部を備えてスピンドル軸5に挿入され、止めねじ7によって固定されている。一方コイルボビン1は、保持穴9を備え、この保持穴9に巻治具3が挿入されることで巻治具3に保持される。
【0028】
各スピンドル軸5の基端部は、インデックス機構11におけるハウジング13の内部に配置され、その基端部にはプーリ15が装着されている。隣接するスピンドル軸5のプーリ15相互は、歯付きベルト17によって連結されている。ハウジング13の図中で右側の端部には、スピンドルモータ19が設けられ、スピンドルモータ19は、図中で右側端部のスピンドル軸5に、図示しないギアなどを介して連動連結されている。すなわち、スピンドルモータ19の駆動によって各スピンドル軸5が同期して回転する。
【0029】
インデックス機構11のハウジング13の図中で左側の端部には、インデックスモータ21の駆動軸23が連結され、インデックスモータ21の駆動によりハウジング13が、巻治具3と直交する軸回りにスピンドル軸5および巻治具3とともに回転する。
【0030】
インデックスモータ21は、上下移動ブラケット25に取り付けられ、上下移動ブラケット25は、図1に示してある水平移動ブラケット27に対し、上下ガイドレール29にガイドされて上下方向に移動する。水平移動ブラケット27には上下移動モータ31が設置され、上下移動モータ31の駆動軸は、上下移動ブラケット25に螺合しているボールねじ33に連結されている。すなわち、上下移動モータ31の駆動により上下移動ブラケット25が上下ガイドレール29に沿って上下方向に移動する。
【0031】
水平移動ブラケット27は、装置基台35の上部フレーム37の前面に左右方向に延長して設けられた取付板39上の水平ガイドレール41にガイドされて水平方向に移動する。取付板39上の図中で右側の端部には、水平移動モータ43が設置され、水平移動モータ43の駆動軸は、水平移動ブラケット27に螺合しているボールねじ45に連結されている。ボールねじ45の端部は、取付板39の図中で左側の端部に設けられたねじ保持具47に回転可能に保持されている。すなわち、水平移動モータ43の駆動により水平移動ブラケット27が水平ガイドレール41に沿って水平方向に移動する。
【0032】
上記した上下移動モータ31,上下ガイドレール29,水平移動モータ43、水平ガイドレール41およびボールねじ33,45などにより、インデックス機構11を上下方向および水平方向に移動させる移動機構を構成している。
【0033】
装置基台35のベース部48上には、図1中で右側の端部から、パーツフィーダ49、ワークセット部50,巻線ユニット51,半田付けユニット53、検査ユニット55および排出ユニット57が、インデックス機構11の水平移動方向に沿って配置されている。半田付けユニット53および検査ユニット55は、各種の作業ユニットを構成している。
【0034】
パーツフィーダ49は、コイルボビン1をワークセット部50まで順次送り出す。ワークセット59上でのコイルボビン1は、保持穴9が上方を向いた状態であり、複数の巻治具3に対応してその配列方向に沿ってセットされる。
【0035】
巻線ユニット51は、装置基台35における上部フレーム37の上部に設けた線材スプール61からの線材63を、テンション装置65およびガイドローラ67を経由して、ノズル69に挿入し、このノズル69の先端(下端)から線材63を繰り出す構成であり、ノズル69から繰り出された線材63の端部付近は、線材保持部としての線材クランプ71により保持されている。
【0036】
ノズル69は、複数の巻治具3に対応して複数のものがノズル保持ロッド73に直線状に保持固定されており、ノズル保持ロッド73は、ノズル保持ブラケット75に回転可能に保持されている。ノズル保持ブラケット75の一方の端部には、ノズル保持ロッド73を旋回させるノズル旋回シリンダ77が装着されている。
【0037】
ノズル保持ブラケット75は、図1に示してあるように、三次元移動機構79によって、上部フレーム37に対して接近離反する方向に対応するX方向、インデックス機構11の水平移動方向に対応するY方向および、上下方向に対応するZ方向の三次元方向に移動可能である。三次元移動機構79は、装置基台35上に固定されたベース板81上のガイドレール83に沿って枠体85がY方向に移動可能であり、この枠体85は、ベース板81上に設置されたY方向モータ87および、Y方向モータ87によって回転し枠体85に螺合しているボールねじ89によって移動する。
【0038】
枠体85には、X方向に延長される2本のガイドロッド91がその軸方向に移動可能に挿入され、ガイドロッド91の両端は枠体85の外部に突出している。枠体85内における2本のガイドロッド91には、ブロック93が固定されている。ブロック93の中央には、ガイドロッド91と平行なボールねじ95が螺合し、ボールねじ95の基端側は枠体85の外部に装着されたX方向モータ97に連結され、同先端側は、枠体85に対して回転可能に支持されている。すなわち、X方向モータ97の駆動によりブロック93が2本のガイドロッド91とともにX方向に移動する。
【0039】
上記した2本のガイドロッド91の上部フレーム37側の端部は、上下可動板99に連結され、この上下可動板99に対し、前記したノズル保持ブラケット75がガイドレール101に沿って上下方向に移動可能となっている。上下可動板99のノズルブラケット75側には、図示していないがZ方向モータが設置され、このZ方向モータの駆動軸は、ノズル保持ブラケット75に螺合している上下方向に延長されるボールねじ103に連結されている。すなわち、Z方向モータの駆動により、ノズル保持ブラケット75が、ノズル69およびノズル保持ロッド73とともにZ(上下)方向に移動する。
【0040】
線材クランプ71は、各ノズル69に対応して設けられ、装置基台35のベース部48上に設置されたクランプ支持台105に支持されている。クランプ支持台105は、左右一対の側板107と、各側板107の上端に装着される上板109とから構成され、上板109に線材クランプ71を構成する固定クランプ板111および可動クランプ板113がそれぞれ設けられている。可動クランプ板113は、上板109に形成した貫通孔115に上下に突出するよう挿入されている。一方、側板107の一方には、クランプシリンダ117が装着され、クランプシリンダ117のピストンロッド119が、前記可動クランプ板113の下方への突出した部位に連結されている。すなわち、クランプシリンダ117の駆動により、可動クランプ板113が上板109の長手方向に移動して、固定クランプ板111との間で線材63をクランプ、アンクランプする。
【0041】
クランプ支持台105に隣接してその上部フレーム37側には、線材63をカットするカット鋏121が設置されている。カット鋏121は、支持板123上に固定された駆動部125によって駆動して線材63をカットするもので、装置基台35のベース部48上に設置されたカット鋏支持台127上のシリンダ129により、支持板123とともに上下動する。
【0042】
なお、上記した線材クランプ71およびカット鋏121は、それらを支持するクランプ支持台105およびカット鋏支持台127などとともに図1では省略してある。
【0043】
半田付けユニット53は、装置基台35のベース部48上に支持台131が設置され、この支持台131上に半田槽133が設けられている。半田槽133の下面には、下方に向けて延長されて支持台131に対して上下動可能な一対のガイドロッド135が取り付けられている。一方、支持台131の下面には、モータ137が装着され、モータ137の駆動軸に連結する図示しないボールねじが、支持台131を貫通してその先端が半田槽133に螺合している。すなわち、モータ137の駆動により半田槽133が上下動する。
【0044】
また、上記した半田付けユニット53は、半田槽133に満たされた半田液の表面に浮遊する半田かすなどの異物を除去する異物除去具141が、前記巻線ユニット51におけるX方向に移動可能に設けられている。異物除去具141は、支持台131上に設置された一対のブラケット143,145に対して前記X方向に移動可能に支持された2本のガイドロッド146の端部に連結され、このガイドロッド146に固定してある連結板147に、ブラケット143に装着してあるシリンダ149のピストンロッドの先端が連結されている。すなわち、シリンダ149の駆動により、異物除去具141がX方向に移動する。
【0045】
検査ユニット55は、巻治具3と倍数のプローブ153が、複数の巻治具3の配列方向に沿って配置され、これら各プローブ153は、装置基台35のベース部48上に設置された支持台155に、スプリング157によって上方に付勢された状態で取り付けられている。各プローブ153は、リード線159を介し、ベース部48上に設置されている抵抗チェッカ161に接続されている。
【0046】
排出ニット57は、良品排出部163と不良品排出部165とに分かれており、いずれもコイルボビン1を巻治具3から引き抜くためのフォーク状の排出具167,169を、巻治具3と同数それぞれ備えるとともに、排出されたコイルボビン1を収容する収容箱171,173をそれぞれ備えている。排出具167,169は、装置基台35のベース部48上に設置した支持ブラケット175に取り付けたシリンダ177,179によって、互いに別々に前記X方向に移動する。
【0047】
次に、上記した構成の巻線装置の動作を説明する。パーツフィーダ49からワークセット部50に送り出されたコイルボビン1は、巻治具3と同数のものが、保持穴9が上方を向いた状態となってセットされている。ここで、水平移動ブラケット27は、図1に示した位置より右方向へ移動して、巻治具3がワークセット部50に対応する位置となるようにするとともに、上方に移動させておく。この状態で巻治具3は、インデックスモータ21の駆動により、先端が下方を向く状態となるよう図1および図2の状態から90度回転させ、この状態からインデックス機構11を上下移動モータ31の駆動により下方に移動させることで、各巻治具3がワークセット部50上のコイルボビン1の保持穴9に挿入され、これによりコイルボビン1が巻治具3によって保持される。
【0048】
コイルボビン1を巻治具3に保持させたインデックス機構11は、上下移動モータ31の駆動により上昇し、さらにインデックスモータ21の駆動により巻治具3が図1および図2に示してある水平状態となるようにする。その後さらに、水平移動モータ43の駆動により、コイルボビン1が巻線ユニット51に対応する位置となるようインデックス機構11を水平移動させる。一方、パーツフィーダ49は、次の複数のコイルボビン1をワークセット部50に送り出す作業を行う。
【0049】
巻線ユニット51では、ノズル69から繰り出されている線材63は、線材クランプ71によってクランプされており、この状態で三次元移動機構79およびノズル旋回シリンダ77の適宜の駆動により、ノズル69がコイルボビン1の巻始め端子1aに線材63を絡ませる。その後、線材クランプ71と巻始め端子1aとの間の線材63を、巻始め端子1aに近い位置でカット鋏121によりカットする。このカット作業は、シリンダ129の駆動によりカット鋏121を適宜上昇させるなどして行う。
【0050】
次に、ノズル69をコイルボビン1の巻胴部に移動させてから、スピンドルモータ19の駆動によって巻治具3を回転させることで、ノズル69から繰り出される線材63をコイルボビン1の巻胴部に巻き付ける。このとき、コイルボビン1の回転に同期させて、ノズル69をX方向に移動させることで線材63を巻胴部に整列状態で巻き付けることが可能となる。
【0051】
巻胴部に線材63を所定回数巻き付けたら、線材63をコイルボビン1の巻終わり端子1bに絡ませた後、ノズル69と巻終わり端子1bとの間の線材63を線材クランプ71によりクランプし、適宜上昇させたカット鋏121により、線材クランプ71と巻終わり端子1bとの間の線材63を、巻終わり端子1b近くでカットする。その後、X方向モータ97の駆動によりノズル69をノズル保持ブラケット75などとともに後退させておく。
【0052】
巻線ユニット51による巻線作業が終了したら、インデックス機構11は、水平移動モータ43の駆動により水平方向に移動して半田付けユニット53に達する。半田付けユニット53では、スピンドルモータ19の駆動により、コイルボビン1をスピンドル軸5回りに巻治具3とともに180度回転させて、巻始めおよび巻終わりの各端子1a,1bが下部位置となるようにする。この状態で、上下移動モータ31の駆動により、上下移動ブラケット25とともにコイルボビン1を半田槽133に向けて下降させ、コイルボビン1の各端子1a,1bを半田液に浸し、各端子1a,1bに絡ませた線材63を各端子1a,1bに半田付けする。なお、この半田付け作業に先立って、半田液表面に浮遊する半田かすなどの異物を異物除去具141により除去しておく。
【0053】
コイルボビン1を所定時間半田液に浸して半田付け作業が終了したら、コイルボビン1を半田槽133から引き上げた後、インデックス機構11は、巻治具3が水平状態のまま水平移動モータ43の駆動により水平移動して検査ユニット55に達する。
【0054】
検査ユニット55では、上下移動モータ31の駆動により、上下移動ブラケット25とともにコイルボビン1をプローブ153に向けて下降させる。コイルボビン1の各端子1a,1bがプローブ153に接触し、さらに下降すると、プローブ153はスプリング157の弾性力に抗して下降し、各端子とプローブ153との間で適度な接触圧が確保され、この状態でコイルボビン1の抵抗値が抵抗チェッカ161によって検査される。この抵抗値の検査により、良品と不良品とが判別され、この判別データが次の排出ユニット57に送られる。
【0055】
抵抗値の検査が終了したら、コイルボビン1をプローブ135から引き上げた後、インデックス機構11は、水平移動モータ43の駆動により水平移動して、良品排出部163および不良品排出部165に順次到達し、検査ユニット55からの判別データに基づく排出具167,169の適宜の前進移動により、コイルボビン1が巻治具3から引き抜かれ、良品およよび不良品が対応する収容箱171,173にそれぞれ収容される。
【0056】
上記したような巻線装置によれば、コイルボビン1を巻治具3に保持させた状態で、コイルボビン1に対し、線材63の巻き付け作業、各端子1a,1bへの半田付け作業および抵抗チェック作業が行え、従来行っているコンベア上のパレットと作業ユニットとの間でのコイルボビンの受け渡し作業が不要になる。これにより、特にコンベアから作業ユニットへの受け渡しミスによる作業ユニットでの不良品発生を回避できるとともに、作業時間の短縮および、受け渡しユニット不要による費用の削減が達成される。
【0057】
また、巻治具3へのコイルボビン1の保持作業は、巻治具3をコイルボビン1の保持穴9に挿入するだけなので、簡単かつ確実に行うことができる。
【0058】
なお、上記実施の形態では、巻線ユニット51において線材63をカットする際にカット鋏121を使用した例を示したが、叩き棒により端子1a,1b近くの線材63を端子1a,1b付近に押し付けてカットするようにしても、またノズル69自身を移動させて線材63を端子1a,1b付近に押し付けてカットするようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、各種作業ユニットを、巻線ユニット51,半田付けユニット53,検査ユニット55として説明したが、これに限定されるものではない。
【0060】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、コイルボビンを保持した巻軸を水平方向に移動可能とし、この移動方向に沿って巻軸に保持された状態のコイルボビンに対する巻線作業や各種作業を行う作業ユニットを配列したので、従来行っているコンベア上のパレットと作業ユニットとの間でのコイルボビンの受け渡し作業が不要となり、特にコンベアから作業ユニットへの受け渡しミスによる作業ユニットでの不良品発生を回避できるとともに、受け渡し作業の不要による作業時間の短縮および、受け渡しユニット不要による費用の削減を達成することができる。
【0061】
請求項2の発明によれば、巻軸と直交する軸回りに前記巻軸を回転させるインデックス機構を設けたので、巻軸に保持されたコイルボビンを、巻線ユニットおよび各種作業ユニットにおけるそれぞれの作業に適した状態とすることができる。
請求項3の発明によれば、巻軸は、コイルボビンに設けた保持穴に挿入して保持する構成としたので、コイルボビンの保持動作が容易かつ確実にできる。
【0062】
請求項4の発明によれば、保持穴が上方を向いた状態のコイルボビンがセットされるワークセット部を、巻線ユニットによる巻線作業の前工程としてインデックス機構の水平方向への移動方向に沿って配置したので、巻軸は、移動機構によってインデックス機構とともに下降することで、ワークセット部にて保持穴に挿入されて、コイルボビンを保持することができ、巻軸に保持されたコイルボビンを、移動機構によって水平移動することで、次の巻線作業工程にて、巻線作業を行うことができる。
【0063】
請求項5の発明によれば、ワークセット部にコイルボビンを順次送り込むパーツフィーダを設けたので、ワークセット部へのコイルボビンのセット作業が容易となる。
【0064】
請求項6の発明によれば、巻軸に保持されたコイルボビンを、巻軸と平行に移動して巻軸から引き抜く排出具を備えた排出ユニットを、各種の作業ユニットによる各種作業の後工程としてインデックス機構の水平方向への移動方向に沿って配置したので、巻軸に保持されて各種の作業がなされたコイルボビンを、排出具が巻軸と平行に移動することで、巻軸から容易に引き抜くことでができる。
【0065】
請求項7の発明によれば、各種の作業ユニットは、コイルボビンに巻かれた線材を前記コイルボビンの端子に対して半田付けする半田付けユニットと、半田付けされたコイルボビンの抵抗値を測定する検査ユニットとから構成したので、コイルボビンに対する半田付け作業および検査作業を、コイルボビンが巻軸に保持された状態のまま行うことができる。
【0066】
請求項8の発明によれば、巻線ユニットは、線材を保持する線材保持部と、前記線材を案内するノズルと、このノズルを三次元方向に移動させる三次元移動機構とを備える構成としたので、線材保持部に線材を保持させた状態で、ノズルを三次元方向に適宜移動させかつ、巻軸の回転によりノズルから繰り出される線材を巻軸に巻き付けることができる。
【0067】
請求項9の発明によれば、半田付けユニットは、巻軸に保持されているコイルボビンの下方に半田槽が配置される構成としたので、コイルボビンの端子が下部位置となった状態で、コイルボビンを保持している巻軸を、移動機構によって下方に移動させることで、線材が巻き付けられているコイルボビンの端子が半田槽に浸され、容易に半田付け作業を行うことができる。
【0068】
請求項10の発明によれば、検査ユニットは、巻軸に保持されているコイルボビンの下方にプローブが配置される構成としたので、コイルボビンの端子が下部位置となった状態で、コイルボビンを保持している巻軸を、移動機構によって下方に移動させることで、線材が巻き付けられているコイルボビンの端子がプローブに接触し、抵抗値の測定作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態を示す巻線装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】コイルボビンを保持する複数の巻治具周辺の拡大された斜視図である。
【符号の説明】
1 コイルボビン
1a 巻始め端子
1b 巻終わり端子
3 巻治具(巻軸)
9 保持穴
11 インデックス機構
49 パーツフィーダ
50 ワーク保持部
51 巻線ユニット
53 半田付けユニット(作業ユニット)
55 検査ユニット(作業ユニット)
57 排出ユニット
63 線材
69 ノズル
71 線材保持部
79 三次元移動機構
133 半田槽
153 プローブ

Claims (10)

  1. コイルボビンを保持して回転可能な巻軸と、この巻軸を上下方向および水平方向に移動させる移動機構とを有し、前記移動機構による前記巻軸の水平方向への移動方向に沿って、前記巻軸に保持されたコイルボビンに対して線材を巻き付ける巻線ユニットならびに前記巻軸に保持されたコイルボビンに対する各種の作業ユニットをそれぞれ配列した巻線装置であって、前記巻線ユニットならびに前記作業ユニットを、装置基台のベース部上に配置するとともに、このベース部の側縁から立設される上部フレームの前記ベース部側の前面に、前記移動機構を配置したことを特徴とする巻線装置。
  2. 巻軸と直交する軸回りに前記巻軸を回転させるインデックス機構を移動機構により上下方向および水平方向に移動可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の巻線装置。
  3. 巻軸は、コイルボビンに設けた保持穴に挿入して保持する構成であることを特徴とする請求項1または2記載の巻線装置。
  4. 保持穴が上方を向いた状態のコイルボビンがセットされるワークセット部を、巻線ユニットによる巻線作業の前工程としてインデックス機構の水平方向への移動方向に沿って配置したことを特徴とする請求項3記載の巻線装置。
  5. ワークセット部にコイルボビンを順次送り込むパーツフィーダを設けたことを特徴とする請求項4記載の巻線装置。
  6. 巻軸に保持されたコイルボビンを、巻軸と平行に移動して巻軸から引き抜く排出具を備えた排出ユニットを、各種の作業ユニットによる各種作業の後工程としてインデックス機構の水平方向への移動方向に沿って配置したことを特徴とする請求項3記載の巻線装置。
  7. 各種の作業ユニットは、コイルボビンに巻かれた線材を前記コイルボビンの端子に対して半田付けする半田付けユニットと、半田付けされたコイルボビンの抵抗値を測定する検査ユニットとから構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の巻線装置。
  8. 巻線ユニットは、線材を保持する線材保持部と、前記線材を案内するノズルと、このノズルを三次元方向に移動させる三次元移動機構とを備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の巻線装置。
  9. 半田付けユニットは、巻軸に保持されているコイルボビンの下方に半田槽が配置されていることを特徴とする請求項7記載の巻線装置。
  10. 検査ユニットは、巻軸に保持されているコイルボビンの下方にプローブが配置されていることを特徴とする請求項7記載の巻線装置。
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