JP4601137B2 - 円形遮断壁の内面にバリアフィルムが配設された容器蓋 - Google Patents

円形遮断壁の内面にバリアフィルムが配設された容器蓋 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化防止が望まれる内容物あるいはにおいの漏れ防止が望まれる内容物を収容した容器に適用される容器蓋、更に詳しくは、バリアフィルムをインサート部材として合成樹脂製蓋本体を射出成形或いは圧縮成形することによつて形成される容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、牛乳、ヨーグルト飲料等の乳製品、あるいはレモン果汁等、酸化防止が望まれる内容物を収容した容器に適用される容器蓋の一つの典型例は、円形遮断壁と、円形遮断壁の周縁から垂下する筒状シール壁と、筒状シール壁の上端に付設された外側係止壁とを含む合成樹脂製蓋本体と、合成樹脂製蓋本体の遮断壁の内面に配設された円板状バリアフィルムとを備えている。合成樹脂製蓋本体の外側係止壁は、半径方向外方に延びる上壁部と、上壁部の円形外周縁から垂下するスカート壁とを含んでいる。上記円形遮断壁と、外側係止壁に含まれる上壁部とは、容器蓋の天面壁を構成している。スカート壁の開口端部における内周面には、周方向に延在する被係止突条が形成されている。この被係止突条は、容器の開口端部の外周面に形成された係止突条の下面側に離脱自在に係止しうるよう構成されている。外側係止壁の上壁部の内面は、円形遮断壁の内面とほぼ同一平面をなすように形成されている。上記容器蓋は、円板状バリアフィルムをインサート部材として合成樹脂製蓋本体を射出成形することにより形成される。上記バリアフィルムは、気体バリア性を有するバリア層と、バリア層の両面に積層された合成樹脂層とから構成され、合成樹脂製蓋本体の遮断壁の内面に配設されている。バリアフィルムの外径は筒状シール壁の内径よりも若干大きく形成されているが、この構成は、容器蓋の射出成形時に、バリアフィルムの外周部が筒状シール壁内に埋没されることを意図したものである。
【0003】
上記構成を有する容器蓋を射出成形するための金型は、雌型と、雄型と、静止型台とから構成されている。雌型は、平坦な分離面と、分離面から後退するように形成されたキャビティーとを備えている。キャビティーは、円形の周縁を有する底壁面と、底壁面の周縁から分離面に向かって延在しかつ円形の内周面を有する側壁面とを有している。雌型の内部には、一端がキャビティーの底壁面の軸心部、すなわち中央部に開口しかつ他端が射出成形機に連通された合成樹脂供給路が形成されている。雄型は、ほぼ円柱形状をなしかつ雌型のキャビティーと共通の軸線上に配置された中央コアと、中央コアの外周面に対し相対的に摺動可能に嵌合された、ほぼ円筒形状をなす外側コアとからなる。静止型台は、外側コアの外周面に対し相対的に摺動可能に嵌合されかつ雌型の分離面に対し密着しうる分離面を有している。中央コアの内部には、一端が先端面に開口しかつ他端が真空ポンプに連通された吸引路が形成されている。外側コアの先端部の内周面は、中央コアの先端部の外周面との間に環状の隙間が形成されるよう、中央コアの先端部の外周面よりも所定量だけ大径に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
バリアフィルムをインサート部材として容器蓋の合成樹脂製蓋本体を射出成形するに際しては、雌型と静止型台とが相互に接近するよう相対移動させられ、雌型の分離面が静止型台の分離面に密着するよう位置付けられる。中央コアの先端面にはバリアフィルムが所定の位置に配置され、真空ポンプの作動により吸着保持される。バリアフィルムが吸着保持された中央コアは、雌型に対して接近するよう移動させられて、その先端面が雌型の底壁面に対し所定の隙間をおいて対向するよう、先端部が該キャビティー内に位置付けられる。外側コアは、雌型に対して接近するよう移動させられて、その環状の先端面が雌型の底壁面に対し所定の隙間をおいて対向しかつその外周面が雌型の側壁面に対し所定の隙間をおいて対向するよう、先端部が該キャビティー内に位置付けられる。外側コアの先端部の内周面は中央コアの先端部の外周面に対し所定の隙間をおいて対向するよう位置付けられる。外側コアの先端面は中央コアの先端面に対しほぼ同一平面上に位置付けられる。中央コア及び外側コアの各々の先端面と雌型の底壁面との間に、容器蓋の円形遮断壁及び上壁部を形成するための成形空洞が形成される。中央コアの先端部の外周面と外側コアの先端部の内周面との間に、容器蓋の筒状シール壁を形成するための成形空洞が形成される。また外側コアの先端部の外周面と雌型の側壁面との間に、容器蓋のスカート壁を形成するための成形空洞が形成される。なお、上記したように、バリアフィルムの外径は、筒状シール壁の内径よりも若干大きく形成されているので、中央コアの先端部の外径よりも若干大きく、したがって、バリアフィルムの外周縁部は、筒状シール壁を形成するための成形空洞内に突出して位置付けられる。
【0005】
次いで、射出成形機から溶融された合成樹脂が成形空洞に充填される。合成樹脂は、雌型に形成された合成樹脂供給路を介して、円形遮断壁を形成するための成形空洞の外面中央部から、容器蓋の上記蓋本体を形成するための成形空洞に流入させられる。円形遮断壁を形成するための成形空洞の中央部から流入させられた合成樹脂は、中央コアの先端面に吸着保持されたバリアフィルムの外面を半径方向外方に流れる。先に述べたように、外側コアの先端面は中央コアの先端面に対しほぼ同一平面上に位置付けられているので、バリアフィルムの外面を半径方向外方に流れる合成樹脂は、中央コアの先端部の外周面と外側コアの先端部の内周面との間に形成される、筒状シール壁を形成するための成形空洞を通過して、外側コアの先端面と雌型の底壁面との間に形成される、上壁部を形成するための成形空洞側に流れる傾向が強く、合成樹脂が流入させられる初期の段階において、合成樹脂が、筒状シール壁を形成するための成形空洞の外周面に沿って該成形空洞内に積極的に導入される傾向が認められない。そしてまた、先に述べたように、中央コアの先端面に吸着保持されたバリアフィルムの外径は、中央コアの先端部の外径よりも若干大きく、バリアフィルムの外周縁部が筒状シール壁を形成するための成形空洞内に突出して位置付けられているので、合成樹脂が流入させられる初期の段階において、合成樹脂は、筒状シール壁を形成するための成形空洞の開口端から、該成形空洞内に突出しているバリアフィルムの外周縁部の軸方向外側(雌型の底壁面に対向する側)を軸方向下側(雌型の底壁面に対向する側と反対側であって、筒状シール壁を形成するための成形空洞の閉塞端側)に向けて押し込むように流入させられる傾向が強い。すなわち該成形空洞に流入させられた合成樹脂が、該成形空洞の閉塞端において反転させられてバリアフィルムの外周縁部の上記軸方向下側から外側に向かって流れる現象は認められない。このため、合成樹脂が流入させられる初期の段階において、バリアフィルムの外周縁部が中央コアの先端部外周面に向かって半径方向内側に大きく変位させられ、この変位状態のまま、合成樹脂がシール壁部を形成するための成形空洞に充填されてしまう。その結果、射出成形後の状態において、バリアフィルムの外周縁部が十分確実にシール壁内に埋没させられない不具合が発生する。バリアフィルムの外周縁部が十分確実にシール壁内に埋没させられない場合には、その密封性が損なわれるおそれがある。すなわち、バリアフィルムの外周縁部の上記変位が大きい場合には、バリア層の一部が筒状シール壁の内側に露呈されるおそれがあり、バリア層がシール壁の内側に露呈された場合には、容器蓋内容物を収容した容器の開口部に装着した時、バリア層が内容物によつて侵されたり、あるいはバリア層が内容物の品質に悪影響を与えることとなる。また、バリアフィルムの保持力が不安定となって容器蓋から剥離するおそれがある。
【0006】
本発明は上記事実に基づいてなされたものであり、その主たる技術課題は、バリアフィルムの外周縁部が筒状シール壁内に十分確実に埋没され、バリアフィルムに含まれるバリア層の密封性が確実に保証される、改良された、円形遮断壁の内面にバリアフィルムが配設された容器蓋を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、円形遮断壁、該遮断壁の周縁から垂下する筒状シール壁及び該シール壁の上端に付設された外側係止壁を含み、該外側係止壁は半径方向外方に延びる上壁部を含む合成樹脂製蓋本体と、該蓋本体の該遮断壁の内面に配設された円板状バリアフィルムとを備え、該蓋本体は、該バリアフィルムをインサート部材として、該遮断壁を形成するための成形空洞の外面中央部から該成形空洞に射出流入させられる合成樹脂によって形成され、該バリアフィルムの外周縁部は該シール壁内に埋没されている容器蓋において、該外側係止壁の該上壁部の内面は、該遮断壁の内面よりも上方に変位されかつ該シール壁の外周面の上端から半径方向外方に延び出しており、該シール壁は、その外周面における少なくとも上部が下方に向かって半径方向外方に傾斜角αをなして延びる円錐台筒形状であり、該シール壁の外周面の該上部は、該遮断壁の内面よりも上方に位置付けられている、ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0008】
該外側係止壁の該上壁部の内面は該遮断壁の外面と実質上同高あるいはそれより上方に位置する、ことが好ましい。該シール壁の該傾斜角αは8乃至17度である、ことが好ましい
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0010】
図1〜図3を参照して、全体を番号2で示す容器蓋は、円形遮断壁4と、円形遮断壁4の周縁から垂下する筒状シール壁6と、筒状シール壁6の上端に付設された外側係止壁8とを含む合成樹脂製蓋本体10と、合成樹脂製蓋本体10の円形遮断壁4の内面に配設された円板状バリアフィルム12とを備えている。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の適宜の合成樹脂を射出成形することによつて形成される合成樹脂製蓋本体10の外側係止壁8は、半径方向外方に延びる上壁部14と、上壁部14の円形外周縁から垂下するスカート壁16とを含んでいる。上記円形遮断壁4と、外側係止壁8に含まれる上壁部14とは、容器蓋2における天面壁を構成している。スカート壁16の開口端部における内周面には、周方向に延在する被係止突条16aが周方向に間隔をおいて複数個形成されている。この被係止突条16aは、容器100の開口端部102の外周面に形成された係止突条104の下面側に離脱自在に係止しうるよう構成されている。容器蓋2は、円板状バリアフィルム12をインサート部材として合成樹脂製蓋本体10を、後述するとおりにして射出成形することにより形成される。バリアフィルム12は、気体バリア性を有するバリア層12aと、バリア層12aの両面に積層された合成樹脂層12bとから構成され、合成樹脂製蓋本体10の円形遮断壁4の内面4aに配設されている。バリア層12aは、例えばアルミニウム箔あるいは気体バリア性を有する適宜の合成樹脂から形成される。上記バリアフィルム12は、バリア層12aの両面に合成樹脂層12bを積層して形成したバリアフィルムシートを、プレス機械によって所要円板形状に打ち抜くことにより形成される。バリアフィルム12の外径は、筒状シール壁6の内径、すなわち筒状シール壁6における、バリアフィルム12の外周縁部が埋没される部位における内径よりも若干大きく形成されている。この構成は、容器蓋2の射出成形時に、バリアフィルム12の外周縁部が筒状シール壁6内に埋没されることを意図したものである。
【0011】
外側係止壁8に含まれる上壁部14の内面14aは、円形遮断壁4の内面4aよりも上方に変位されており、また、筒状シール壁6は、その外周面における少なくとも上部が、下方に向かって半径方向外方に容器蓋2の軸線に対して傾斜角αをなして延びる円錐台筒形状に形成されていることが重要である。上壁部14の内面14aが、円形遮断壁4の内面4aよりも上方に変位されていることに起因して、実施形態においては、上壁部14の外面14bは、円形遮断壁4の外面4bよりも上方に変位されている。なお、外側係止壁8に含まれる上壁部14の内面14aは、実施形態に示されるように円形遮断壁4の外面4bと実質上同高、あるいはそれより上方に位置することがことが好ましい。また実施形態において、筒状シール壁6は、上記傾斜角αをなして延びる外周面6aと、上記傾斜角αをなして延びる内周面6bと、外周面6aに続いて下方に向かって半径方向内方に延びる下端部外周面6cと、容器蓋2の軸線に直交する平面上に存在するよう形成された下端面6dとを有している。なお、筒状シール壁6の内周面6bは、必ずしも上記傾斜角αをなして延びるよう形成する必要はなく、上記傾斜角αとは相違する傾斜角をなして延びるよう形成してもよい。したがって、本発明においては、先に述べたように、筒状シール壁6は、その外周面における少なくとも上部外周面6aが、下方に向かって半径方向外方に容器蓋2の軸線に対して傾斜角αをなして延びるよう形成されていることが重要である、といえる。更にはまた、合成樹脂製蓋本体10を射出成形する際には、円形遮断壁4を形成するための成形空洞50(図4参照)の外面中央部から合成樹脂が成形空洞50に流入させられることが重要である。以上の構成により、後述するとおりにして、バリアフィルム12をインサート部材として合成樹脂製蓋本体10を射出成形することによって容器蓋2を形成したときに、バリアフィルム12の外周縁部が筒状シール壁6内に十分確実に埋没され、バリアフィルム12に含まれるバリア層12aの密封性が確実に保証されるのである。その理由については後の記載から容易に理解されるであろう。
【0012】
次に、上記のように構成された容器蓋2の射出成形の実施形態を図4に基づいて説明する。容器蓋2を射出成形するための金型は、雌型20と、雄型30と、静止型台40とから構成されている。雌型20は、平坦な分離面21と、分離面21から後退するように形成されたキャビティー22とを備えている。キャビティー22は、円形の周縁を有する底壁面23と、底壁面23の周縁から分離面21に向かって延在しかつ円形の内周面を有する側壁面24とを有している。分離面21はキャビティー22の軸線に直交する平面上に存在するよう形成されている。底壁面23は、円形の周縁を有する中央部23aと、中央部23aの半径方向外側を囲むように延在する環状の周縁部23bとを有している。底壁面23の中央部23a及び周縁部23bは、キャビティー22の軸線に直交する平面上に存在するよう形成されており、分離面21からの深さは、周縁部23bが中央部23aよりも深く形成されている。側壁面24は、底壁面23から分離面21に向かって徐々にその内径が拡大されるよう、僅かに傾斜している。これは後述する離型を容易に行なうための構成である。雌型20の内部には、一端がキャビティー22の底壁面23の軸心部、すなわち中央部23aの中心部に開口しかつ他端が図示しない射出成形機に連通された合成樹脂供給路25が形成されている。
【0013】
雄型30は、ほぼ円柱形状をなしかつ雌型20のキャビティー22と共通の軸線上に配置された中央コア31と、中央コア31の外周面に対し相対的に摺動可能に嵌合された、ほぼ円筒形状をなす外側コア32とからなる。中央コア31の先端面31aは、キャビティー22の軸線に直交する平面上に存在するよう形成され、中央コア31の先端部の外周面31bは、先端面31aに向かって半径方向内方に中央コア31の軸線に対し傾斜角αをなして延びるよう形成されている。中央コア31の先端部を除く外周面31cは同径に形成されている。中央コア31の内部には、一端が先端面31aに開口しかつ他端が図示しない真空源である真空ポンプに連通された複数の吸引路31dが形成されている。外側コア32の環状の先端面32aは、外側コア32の軸線に直交する平面上に存在するよう形成され、外側コア32の先端部の外周面32bには環状の凹部32cが形成されている。外側コア32の、凹部32cを除く外周面32bは同径に形成されている。また外側コア32の先端部には、中央コア31の先端部の外周面31bとの間に環状の隙間が形成されるよう、中央コア31の先端部の外周面31bよりも所定量だけ大径に形成されている二つの内周面32d及び32eが形成されている。外側コア32の先端面32a側に形成されている内周面32dは、先端面32aから軸方向下側に向かって半径方向外方に外側コア32の軸線に対し傾斜角αをなして延びるよう形成されている。内周面32dに対し軸方向下側に形成されている内周面32eは、内周面32dとの境界から軸方向下側に向かって半径方向内方に延びるよう形成されている。外側コア32の先端部を除く内周面32fは同径に形成されている。外側コア32の内周面32eと内周面32fとの境界には、外側コア32の軸線に対し直交する環状の平面からなる肩面32gが形成されている。静止型台40は、雌型20の分離面21に対し密着しうる分離面41と、外側コア32の外周面32bに対し相対的に摺動可能に嵌合される貫通孔42とを有している。雌型20のキャビティー22の軸線と共通の軸線上に位置付けられている静止型台40の貫通孔42は、分離面41に開口しかつその内径は、雌型20のキャビティー22における側壁面24の開口端(分離面21における開口端)の内径よりも所定量だけ小さく規定されている。
【0014】
バリアフィルム12をインサート部材として容器蓋2の合成樹脂製蓋本体10を射出成形するに際しては、雌型20と静止型台40とが相互に接近するよう相対的に移動させられ、雌型20の分離面21が静止型台40の分離面41に密着するよう位置付けられる。中央コア31の先端面31aにはバリアフィルム12が所定の位置に位置付けられ、図示しない真空ポンプの作動により先端面31aに吸着保持される。バリアフィルム12が吸着保持された中央コア31は、雌型20に対して接近するよう移動させられて、その先端面31aが雌型20の底壁面23の中央部23aに対し所定の隙間をおいて対向するよう、先端部がキャビティー22内に位置付けられる。外側コア32は、雌型20に対して接近するよう移動させられて、その環状の先端面32aが雌型20の底壁面23の周縁部23bに対し所定の隙間をおいて対向しかつその外周面32bが雌型20の側壁面24に対し所定の隙間をおいて対向するよう、先端部がキャビティー22内に位置付けられる。外側コア32の先端部の内周面32d及び32eは中央コア31の先端部の外周面31bに対し所定の隙間をおいて対向するよう位置付けられる。外側コア32の先端部の傾斜した内周面32dは、中央コア31の先端部の傾斜した外周面31bに対しほぼ平行に対向するよう位置付けられる。外側コア32の先端面32aは、中央コア31の先端面31aよりもキャビティー22の底壁面23側に変位して位置付けられる。実施形態においては、外側コア32の先端面32aは、キャビティー22の底壁面23の中央部23aと実質上同一平面上に位置付けられている。
【0015】
中央コア31の先端面31a(厳密にはバリアフィルム12の外側面)及び外側コア32の先端面32aと、雌型20のキャビティー22の底壁面23との間に、容器蓋2の円形遮断壁4及び上壁部14を形成するための成形空洞50及び51が形成される。中央コア31の先端部の外周面31bと、外側コア32の先端部の内周面32d及び32eと、肩面32gとの間に、容器蓋2の筒状シール壁6を形成するための成形空洞52が形成される。また外側コア32の先端部の外周面32bと雌型20のキャビティー22の側壁面24との間に、容器蓋2のスカート壁16を形成するための成形空洞53が形成される。成形空洞53の開口端は静止型台40の分離面41により閉塞されている。なお、上記したように、バリアフィルム12の外径は、容器蓋2の筒状シール壁6の内径よりも若干大きく形成されているので、中央コア31の先端面31aの外径よりも若干大きく、したがって、バリアフィルム12の外周縁部は、筒状シール壁6を形成するための成形空洞52内に突出して位置付けられる。
【0016】
次いで、図示しない射出成形機から溶融された合成樹脂が成形空洞50〜53に充填される。合成樹脂は、雌型20内に形成された合成樹脂供給路25を介して、円形遮断壁4を形成するための成形空洞50の中央部から、容器蓋2の上記蓋本体10を形成するための成形空洞50〜53に流入させられる。円形遮断壁4を形成するための成形空洞50の中央部から流入させられた合成樹脂は、中央コア31の先端面31aに吸着保持されたバリアフィルム12の外面を半径方向外方に流れる。先に述べたように、容器蓋2における上壁部14の内面14aは円形遮断壁4の内面4aよりも上方に変位されていることに起因して、外側コア32の先端面32aは、中央コア31の先端面31aよりもキャビティー22の底壁面23側に変位して位置付けられているので、外側コア32の先端部の内周面32dは、中央コア31の先端面31a、更に具体的にはバリアフィルム12の外側面よりもキャビティー22の底壁面23側に延び出すように位置付けられる。その結果、バリアフィルム12の外面を通して成形空洞50の半径方向外方に流された合成樹脂は、成形空洞52の外周面を規定する外側コア32の先端部の内周面32dに衝突させられる。上記したように、外側コア32の先端部の内周面32dは、筒状シール壁6の少なくとも上部が下方に向かって半径方向外方に傾斜角αをなして延びる円錐台筒形状をなすよう形成されていることに起因して、先端面32aから軸方向下側に向かって半径方向外方に外側コア32の軸線に対し傾斜角αをなして延びるよう形成されているので、外側コア32の先端部の内周面32dに衝突させられた合成樹脂の一部は、該内周面32dに沿って(換言すれば成形空洞52の外周面に沿って)成形空洞52内に積極的に導入させられる(図4における矢印参照)。このため、合成樹脂が流入させられる初期の段階において、合成樹脂は、成形空洞52内に突出しているバリアフィルム12の外周縁部を中央コア31の先端部外周面31bに向かって変位させながら成形空洞52内に流入させられるが、外側コア32の先端部の内周面32dに沿って成形空洞52内に導入させられることに起因して、バリアフィルム12の外周縁部の上記変位を強制する力が従来に較べて弱化され、上記変位を少なくすることに寄与するものである。成形空洞50から外側コア32の先端部の内周面32dに沿って成形空洞52内に積極的に導入させられた合成樹脂は、成形空洞52の閉塞端において積極的に反転させられる(図4における矢印参照)。成形空洞52の閉塞端において反転させられた合成樹脂は、バリアフィルム12の外周縁部の上記軸方向下側から外側に向かって流れるよう強制される(図4における矢印参照)。このような、成形空洞52内への合成樹脂の流入及び反転作用により、当初、変位させられたバリアフィルム12の外周縁部は、中央コア31の先端部外周面31bから離隔する方向に強制されて、中央コア31の先端面31aから半径方向外方に延び出すように矯正された状態で、成形空洞52内に充填された合成樹脂内に保持される。その結果、容器蓋2を射出成形した状態において、バリアフィルム12の外周縁部は筒状シール壁6内に十分確実に埋没され、バリアフィルム12に含まれるバリア層12aの密封性が確実に保証されると共に、バリアフィルム12を確実に蓋本体10内に保持することができる。
【0017】
本発明において、外側コア32の先端部の内周面32dは、筒状シール壁6の外周面6aにおける少なくとも上部が下方に向かって半径方向外方に傾斜角αをなして延びる円錐台筒形状をなすよう形成されていることに起因して、先端面32aから軸方向下側に向かって半径方向外方に外側コア32の軸線に対し傾斜角αをなして延びるよう形成されているので、外側コア32の先端部の内周面32dに衝突させられた合成樹脂の一部は、筒状シール壁6を形成するための成形空洞52の外周面、すなわち外側コア32の先端部の内周面32dに沿って成形空洞52内に積極的に導入させられる。本発明においては、筒状シール壁6の外周面6aにおける少なくとも上部の傾斜角αを8乃至17度に規定することが重要である。傾斜角αを8乃至17度に規定した場合には、外側コア32の先端部の内周面32dに沿って成形空洞52内に積極的に導入させられる合成樹脂の流れが円滑に遂行され、成形空洞52の閉塞端における合成樹脂の上記反転が効果的に遂行されるので、バリアフィルム12の外周縁部の上記軸方向下側からの積極的な充填を確実に遂行して、バリアフィルム12の外周縁部の上記変位を確実に矯正すると共に、成形後の筒状シール壁6のシール作用を十分確実に保持することを可能にするものである。また、本発明においては、合成樹脂蓋本体10を射出成形する際には、円形遮断壁4を形成するための成形空洞50の外面中央部から合成樹脂が成形空洞50に流入させられるよう構成されているので、筒状シール壁6を形成するための成形空洞52内への合成樹脂の導入が初期の段階において円滑にかつ均等に遂行されることを可能にするので、バリアフィルム12の外周縁部の埋没が安定して遂行される。本発明においてはまた、外側係止壁8に含まれる上壁部14の内面14aは円形遮断壁4の外面4bと実質上同高あるいはそれより上方に位置するよう構成されているので、バリアフィルム12の外面を通して成形空洞50の半径方向外方に流された合成樹脂を、成形空洞52の外周面を規定する外側コア32の先端部の内周面32dに効果的に衝突させることを可能にし、その結果、成形空洞52の閉塞端における合成樹脂の上記反転が効果的に遂行されるので、バリアフィルム12の外周縁部の上記軸方向下側からの積極的な充填を効果的に遂行することを可能にする。
【0018】
なお、上記射出成形において、外側コア32の先端部の内周面32dに衝突させられた合成樹脂の他の一部は、衝突しない合成樹脂と共に上記成形空洞51及び53に流入させられ、成形空洞51及び53を充填する。以上により、成形空洞50〜53の全てに合成樹脂が充填され、容器蓋2の射出成形が終了する。真空ポンプの作動が停止され、バリアフィルム12の吸引動作が停止される。冷却後の離型に際しては、先ず、雌型20と、雄型30及び静止型台40とが相互に離隔する方向に相対的に移動させられる。この離型動作により、容器蓋2の外表面が開放される。次いで、中央コア31が容器蓋2の開口端方向(図4において下方)に移動させられる。この離型動作により、容器蓋2における円形遮断壁4及び筒状シール壁6の内側が開放される。次に外側コア32が、容器蓋2の開口端方向(図4において下方)に移動させられる。この離型動作により、外側コア32は、容器蓋2の筒状シール壁6及びスカート壁16から、いわゆる無理抜きさせられるが、既に筒状シール壁6の内側及び容器蓋2の外表面が開放されているので、この無理抜きは容易に遂行される。この無理抜きに際しては、静止型台40の分離面41は、容器蓋2のスカート壁16の開口端に当接しているので、該分離面41はノックアウトとして機能する。以上のとおりにして容器蓋2の射出成形及び離型が遂行される。
【0019】
射出成形された容器蓋2は、図1に示されているように、内容物が収容された容器100の開口端部102に打栓される。容器蓋2のスカート壁16の内周面に形成された被係止突条16aは、容器100の開口端部102の外周面に形成された係止突条104の下面側に離脱自在に係止される。容器蓋2の筒状シール壁6の外周面は、容器100の開口端部102の内周面に離脱自在に圧入される。容器蓋2の上壁部14の内面は、容器100の開口端部102の端面に密着させられる。容器蓋2の円形遮断壁4の内面に配設されたバリアフィルム12の外周縁部は筒状シール壁6内に十分確実に埋没され、バリアフィルム12に含まれるバリア層12aの密封性が確実に保証されると共にバリアフィルム12を容器蓋2内に確実に保持することができる。バリアフィルム12に含まれるバリア層12aは、筒状シール壁6の内側に露呈されることはないので、バリア層12aが内容物によつて侵されたり、あるいはバリア層12aが内容物の品質に悪影響を与えることは確実に防止される。したがって、本発明による容器蓋2を、酸化防止が望まれる内容物あるいはにおいの漏れ防止が望まれる内容物(例えば、牛乳、ヨーグルト飲料等の乳製品、あるいはレモン果汁等)を収容した容器100に適用した場合には、内容物の酸化あるいはにおいの漏れを所要のとおりに確実に防止することを保証し、実用上、きわめて有用である。なお、上記容器蓋2において、バリアフィルム12の内面を脱酸素剤で覆うよう構成した場合には、容器100内に残留する酸素を吸収することが可能になり、上記効果を一層向上させることができる。
【0020】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は図示の実施形態のみに限定されるものでなく、本発明の技術思想の範囲で種々の変形例が可能であり、これらを本発明の技術思想から排除するものではない。例えば、上記の実施形態では、蓋本体を射出成形により成形する形態について説明を行ったが、本発明はこの実施形態のみに限定されれるものではなく、圧縮成形により成形することも可能である。また、本発明による容器蓋は、円形遮断壁、該遮断壁の周縁から垂下する筒状シール壁及び該シール壁の上端に付設された外側係止壁を含み、該外側係止壁は半径方向外方に延びる上壁部を含む合成樹脂製蓋本体と、該蓋本体の該遮断壁の内面に配設された円板状バリアフィルムとを備え、該バリアフィルムをインサート部材として該蓋本体を射出成形或いは圧縮成形することによって形成され、該バリアフィルムの外径は該シール壁の内径よりも若干大きく形成され、該バリアフィルムの外周縁部は該シール壁内に埋没されている、構成を有するものであれば、図示の実施形態に限定される理由はない。
【0021】
図示の実施形態において、外側係止壁8は、上記上壁部14と、上壁部14の円形外周縁から垂下するスカート壁16とを含んでいる。スカート壁16の開口端部における内周面には、周方向に延在する被係止突条16aが形成されている。本発明による容器蓋の他の実施形態としては、例えば、スカート壁16の内周面には、上記実施形態における被係止突条16aに代えて雌ねじが形成され、スカート壁16の開口端部には破断可能ラインが形成されており、その他の構成は上記実施形態と実質上同一である、容器蓋を挙げることができる。
【0022】
本発明による容器蓋の更に他の実施形態としては、蓋本体と外蓋とから構成される容器蓋を挙げることができる。蓋本体は円形上面壁と、上面壁の周囲から垂下する円筒状スカート壁とを含んでいる。この上面壁の中央部は、上記容器蓋2における円形遮断壁4に相当する。上面壁には弱化ラインが形成されている。弱化ラインによって区画される分離領域の上面にはプルリングが配設されている。上面壁には、弱化ラインよりも外側において上方に突出するラッパ形状の排出案内筒と、この排出案内筒よりも外側において上方に突出する円筒状突出壁が配設されている。突出壁の自由端部外周面には環状突条が形成されている。上面壁の弱化ラインよりも外側における下面には、下方に突出するシール筒が形成されている。このシール筒は、スカート壁よりも内側に形成され、上記容器蓋2における筒状シール壁6に相当する。上面壁の、シール筒とスカート壁との間の領域は、上記容器蓋2における上壁部14に相当する。スカート壁の自由端部内周面には環状突条が形成されている。外蓋は円形天面壁と、天面壁の下面外周縁部から垂下する円筒状側壁とを含んでいる。天面壁の下面には、下方に突出する円筒状のシール筒が形成されている。円筒状側壁の内周面の自由端部には環状突条が形成されている。外蓋は、蓋本体の上面を露呈させる開位置と蓋本体の上面を覆う閉位置との間を旋回自在に蓋本体にヒンジ部を介して一体に連結されている。その他の構成は上記実施形態と実質上同一にすることができる。なお、円板状バリアフィルムは上面壁の内面に配設され、バリアフィルムの外周縁部はシール筒内に埋没されている。
【0023】
上記した容器蓋の他の実施形態、更に他の実施形態のいずれにおいても、先に詳述した、本発明における特徴ある上記構成を備えることは容易に可能であり、したがって先に述べたと実質上同じ、本発明の作用効果を達成することは可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の容器蓋によれば、バリアフィルムの外周縁部が筒状シール壁内に十分確実に埋没され、バリアフィルムに含まれるバリア層の密封性が確実に保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を、軸線の片側を断面図で、また軸線の他側を側面図で、それぞれ示す図。
【図2】図1の容器蓋の一部を拡大して示す断面図。
【図3】図2のA部を拡大して示す断面図。
【図4】図1に示されている容器蓋を射出成形するための金型の実施形態の要部を示す断面図。
【符号の説明】
2 容器蓋
4 円形遮断壁
6 筒状シール壁
8 外側係止壁
10 合成樹脂製蓋本体
12 バリアフィルム
14 上壁部

Claims (3)

  1. 円形遮断壁、該遮断壁の周縁から垂下する筒状シール壁及び該シール壁の上端に付設された外側係止壁を含み、該外側係止壁は半径方向外方に延びる上壁部を含む合成樹脂製蓋本体と、該蓋本体の該遮断壁の内面に配設された円板状バリアフィルムとを備え、該蓋本体は、該バリアフィルムをインサート部材として、該遮断壁を形成するための成形空洞の外面中央部から該成形空洞に射出流入させられる合成樹脂によって形成され、該バリアフィルムの外周縁部は該シール壁内に埋没されている容器蓋において、
    該外側係止壁の該上壁部の内面は、該遮断壁の内面よりも上方に変位されかつ該シール壁の外周面の上端から半径方向外方に延び出しており、
    該シール壁は、その外周面における少なくとも上部が下方に向かって半径方向外方に傾斜角αをなして延びる円錐台筒形状であり、該シール壁の外周面の該上部は、該遮断壁の内面よりも上方に位置付けられている、
    とを特徴とする容器蓋。
  2. 該外側係止壁の該上壁部の内面は該遮断壁の外面と実質上同高あるいはそれより上方に位置する、請求項1記載の容器蓋。
  3. 該シール壁の該傾斜角αは8乃至17度である、請求項1又は請求項2に記載の容器蓋。
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