以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[1]第1の実施の形態
[1−1]基板処理装置の構成図1は、本発明に係る基板処理装置の第1の実施の形態の構成を示す平面図であり、図2は、同じく、側面図である。なお、図には、本発明を、枚葉クラスタ式のCVD(Chemical Vapor Deposition)装置に適用した場合を代表として示す。また、図では、一部を透視して示す。
図示のCVD装置は、例えば、ウェーハ成膜部10と、ウェーハ搬送部30とを有する。ここで、ウェーハ成膜部10は、化学反応を使ってウェーハ51に所定の薄膜を形成する部分である。このウェーハ成膜部10は、装置に対するウェーハ51の投入位置とは異なる位置に設けられている。また、ウェーハ搬送部30は、ウェーハ投入位置とウェーハ成膜部10との間でウェーハ51を搬送する部分である。
上記ウェーハ成膜部10は、例えば、2つの反応室11(1),11(2)と、2つのウェーハ待機室12(1),12(2)と、2つのウェーハ載置棚13(1),13(2)と、1つのウェーハ搬送室14と、1つのウェーハ搬送ロボット15を有する。
ここで、反応室11(1),11(2)は、ウェーハ51の表面に化学反応を使って所定の薄膜を形成するための密閉された反応空間を提供する部屋である。また、ウェーハ待機室12(1),12(2)は、ウェーハ51を一時的に待機させるための密閉されたウェーハ待機空間を提供するロードロック室である。また、ウェーハ載置棚13(1),13(2)は、ウェーハ待機室12(1),12(2)に搬入されたウェーハ51が載置される棚である。
また、ウェーハ搬送室14は、反応室11(1),11(2)とウェーハ待機室12(1),12(2)との間でウェーハを搬送するための密閉されたウェーハ搬送空間を提供するロードロック室である。また、ウェーハ搬送ロボット15は、反応室11(1),11(2)と待機室12(1),12(2)との間でウェーハ51を搬送するためのロボットである。
上記反応室11(1),11(2)は、それぞれゲートバルブ16(1),16(2)を介して搬送室14に連接されている。同様に、上記ウェーハ待機室12(1),12(2)は、それぞれゲートバルブ17(1),17(2)を介して搬送室14に連接されている。
上記ウェーハ載置棚13(1),13(2)は、それぞれ、上記ウェーハ待機室12(1),12(2)の内部(ウェーハ待機空間)に配設されている。このウェーハ載置棚13(1),13(2)の構成については、あとで、詳細に説明する。上記ウェーハ搬送ロボット15は、ウェーハ搬送室14の内部(ウェーハ搬送空間)に配設されている。
このウェーハ搬送ロボット15は、図2に示すように、ロボットアーム151と、アーム駆動部152を有する。ここで、ロボットアーム151は、例えば、3つのリンクを連結した3節のアームとして構成されている。アーム駆動部152は、ロボットアーム151の伸縮駆動及び回転駆動並びに昇降駆動を行うようになっている。
上記ウェーハ搬送室14は、例えば、5角形の箱状に形成されている。また、このウェーハ搬送室14は、直線L1に対して線対称に形成されている。以下、この直線L1をウェーハ搬送室14の中心線という。
上記反応室11(1),11(2)は、この中心線L1に対して線対称に配置されている。同様に、上記ウェーハ待機室12(1),12(2)も、この中心線L1に対して線対称に配置されている。この場合、反応室11(1),11(2)は、それぞれ中心線L1に対して斜めに交わる2つの辺a1,a2の位置に配設されている。これに対し、上記待機室12(1),12(2)は、中心線L1に対して直交する1つの辺a3の位置配設されている。
また、反応室11(1)とウェーハ待機室12(1)は、中心線L1に対して反対側に位置するように配設されている。同様に、反応室11(2)とウェーハ待機室12(2)は、中心線L1に対して反対側に位置するように配設されている。
なお、上述した反応室11(1),11(2)やウェーハ待機室12(1),12(2)等は、筐体18に収容されている。
上記ウェーハ搬送部30は、例えば、4つのカセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)と、1つのウェーハ搬送室32と、4つの蓋開閉機構33(1),33(2),33(3),33(4)と、1つのウェーハ搬送ロボット34と、真空排気ライン35と、不活性ガス供給ライン36と、酸素濃度検出計37と、制御部38とを有する。
ここで、カセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)は、カセット52が載置される台である。また、ウェーハ搬送室32は、カセット52とウェーハ待機室12(1),12(2)との間でウェーハ51を搬送するための密閉された搬送空間を提供するロードロック室である。このウェーハ搬送室32は、4の開閉機構収容部321(1),321(2),321(3),321(4)と、1つのロボット収容部322とを有する。
また、蓋開閉機構33(1),33(2),33(3),33(4)は、カセット52の蓋522を開閉する機構である。また、ウェーハ搬送ロボット34は、カセット52とウェーハ待機室12(1),12(2)との間でウェーハ51を搬送するためのロボットである。
また、上記真空排気ライン35は、ウェーハ搬送室32の内部(ウェーハ搬送空間)を真空排気するラインである。この真空排気ライン35は、ウェーハ搬送室32の排気部323に接続されている。なお、この真空排気ライン35は、例えば、真空ポンプ、排気配
管、エアバルブ等により構成されている。
また、上記不活性ガス供給ライン36は、ウェーハ搬送室32の内部に不活性ガスを供給するラインである。この不活性ガス供給ライン36は、ウェーハ搬送室32のガス供給部324に接続されている。なお、このガス供給ライン36は、例えば、ガス供給配管、エアバルブ、マスフローコントローラ等により構成されている。また、不活性ガスとしては、例えば、N2ガス等が用いられる。
また、上記酸素濃度検出計37は、ウェーハ搬送室32の酸素濃度を検出する。また、上記制御部38は、酸素濃度検出計37の検出結果に基づいて、ガス供給ライン36のガス供給動作を制御する。この場合、ガス供給動作は、酸素濃度が規定値以上になると実行され、規定値未満になると、停止される。
上記カセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)は、ウェーハ搬送室32の前面側に配設されている。このウェーハ搬送室32は、ゲートバルブ39(1),39(2)を介してウェーハ待機室12(1),12(2)に連接されている。
上記蓋開閉機構33(1),33(2),33(3),33(4)は、それぞれ開閉機構収容部321(1),321(2),321(3),321(4)に収容されている。上記ウェーハ搬送ロボット34は、ロボット収容部322に収容されている。
各蓋開閉機構33(n)(n=1,2,3,4)は、図2に示すように、蓋保持部331(n)と、駆動部332(n)とを有する。蓋保持部331(n)は、カセット52の蓋522を保持する。駆動部332(n)は、蓋保持部331(n)の昇降駆動及び前後方向への回転駆動を行うようになっている。
上記ウェーハ搬送ロボット34は、ウェーハ搬送ロボット15と同様に、ロボットアーム341と、駆動部342とを有する。このウェーハ搬送ロボット34は、移動台40に保持されている。この移動台40は、レール41(1),41(2)上を摺動可能となっている。このレール41(1),41(2)は、カセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)の配列方向に延在されている。
図3は、ウェーハ搬送部30を前方から見た斜視図である。開閉機構収容部321(1),321(2),321(3),321(4)の前面には、4つのウェーハ出し入れ口(図示せず)が設けられている。各ウェーハ出し入れ口は、扉325(1),325(2),325(3),325(4)により閉じられている。
図4は、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ待機室12(1),12(2)等のアクセス方向やウェーハ51の移動軌跡等を示す図である。
図4おいて、X1−X2,X3−X4は、それぞれウェーハ搬送ロボット15による反応室11(1),11(2)のアクセス方向を示す。このアクセス方向は、反応室11(1),11(2)のウェーハ出し入れ口に対して垂直である。
同様に、X5−X6,X7−X8は、それぞれウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ待機室12(1),12(2)のアクセス方向を示す。このアクセス方向は、ウェーハ待機室12(1),12(2)の処理部側ウェーハ出し入れ口に対して垂直ではなく、ウェーハ搬送室14の中心線L1側に傾いている。ここで、処理部側ウェーハ出し入れ口とは、ウェーハ搬送室14に面するウェーハ出し入れ口である。
X9−X10は、ウェーハ搬送ロボット34によるウェーハ待機室12(1),12(2)とカセット52のアクセス方向である。このアクセス方向は、ウェーハ待機室12(1),12(2)の搬送部側ウェーハ出し入れ口とカセット52のウェーハ出し入れ口に対して垂直である。ここで、搬送部側ウェーハ出し入れ口とは、ウェーハ搬送部30のウェーハ搬送室32に面するウェーハ出し入れ口である。また、X11−X12は、移動台40によるウェーハ搬送ロボット34の摺動方向を示す。
O1,O2,O3,O4は、それぞれ反応室11(1),11(2)とウェーハ待機室12(1),12(2)に収容されたウェーハ51の中心を示す。また、O5は、ウェーハ搬送ロボット15のロボットアーム151の回転中心を示す。
また、O6,O7,O8,O9は、それぞれカセット載置台31(1),31(2),31(1),31(2)上のカセット52に収容されたウェーハ51の中心を示す。また、O10,O11,O12,O13は、それぞれカセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)上のカセット52の正面に位置決めされたウェーハ搬送ロボット34のロボットアーム341の回転中心を示す。
また、O14,O15は、それぞれウェーハ待機室12(1),12(2)の正面に位置決めされたウェーハ搬送ロボット34のロボットアーム341の回転中心を示す。
T1,T2,T3,T4は、それぞれウェーハ搬送ロボット15によって反応室11(1),11(2)とウェーハ待機室12(1),12(2)をアクセスする場合のウェーハ51の中心の移動軌跡を示す。同様に、T5,T6,T7,T8,T9,T10は、それぞれウェーハ搬送ロボット34によってウェーハ待機室12(1),12(2)とカセット52をアクセスする場合のウェーハ51の中心の移動軌跡を示す。また、T11は、移動台40によりロボットアーム341を移動させる場合のウェーハ搬送ロボット34のロボットアーム341の移動軌跡を示す。
[1−2]基板処理装置の動作
上記構成において、図5を参照品型、本実施の形態の基板処理装置の動作の一例を説明する。図5は、この動作のシーケンスを示す図である。
ウェーハ51の成膜処理を行う場合、まず、開閉機構収容部321(1),321(2),321(3),321(4)の扉325(1),325(2),325(3),325(4)が開かれる。次に、図5(a)に示すように、成膜すべきウェーハ51が収容されたカセット52がカセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)に載置される。このとき、開閉機構収容部321(1),321(2),321(3),321(4)のウェーハ出し入れ口は、カセット52の前部により塞がれる。これにより、ウェーハ搬送室32の密閉性が保持される。
この後、ウェーハ搬送室32の内部が真空排気ライン35により真空排気される。また、ウェーハ搬送室32の内部に不活性ガス供給ライン36により不活性ガスが供給される。これと並行して、ウェーハ搬送室32の酸素濃度が酸素濃度検出計37により検出される。この検出結果は、制御部38に供給される。制御部38は、この検出結果に基づいて、不活性ガス供給ライン26のガス供給動作を制御する。これにより、検出された酸素濃度が規定値以上のときは、不活性ガスの供給動作が実行され、規定値未満のときは、停止させられる。
ウェーハ搬送室32の酸素濃度が規定値未満になると、図5(b)に示すように、カセット52の蓋522が蓋開閉機構33(1),33(2),33(3),33(4)によ
り開かれる。次に、図5(c)に示すように、カセット52のウェーハ収容部521に収容されているウェーハ51がウェーハ搬送ロボット34によりウェーハ待機室12(1),12(2)に搬送される。この搬送処理は、例えば、次にようにして行われる。
すなわち、この搬送処理においては、まず、移動台40がカセット載置台31(1)側(図4に示すX11方向側)に移動する。これにより、ウェーハ搬送ロボット34がカセット載置台31(1)上のカセット52の正面に位置決めされる。次に、ロボットアーム341がカセット52の内部側(図4に示すX9方向側)に伸張駆動される。これにより、ロボットアーム341の先端部が、例えば、カセット52に収容されている複数のウェーハ51のうちの一番上のウェーハ51の直下に位置決めされる。
次に、ロボットアーム341が上昇駆動される。これにより、その先端部に、ウェーハ51が保持される。次に、ロボットアーム341がカセット52の外部側(図4に示すX10方向側)に縮小駆動される。これにより、ウェーハ51がカセット52から取り出される。次に、ロボットアーム341が約180度回転駆動された後、移動台40がウェーハ待機室12(1),12(2)側に移動する。これにより、ウェーハ搬送ロボット34がウェーハ待機室12(1)の正面に位置決めされる。
次に、ゲートバルブ39(1)が開かれた後、ロボットアーム341がウェーハ待機室12(1)の内部側(図4に示すX10方向側)に伸張駆動される。これにより、ウェーハ51がウェーハ待機室12(1)の内部に挿入される。次に、ロボットアームが下降駆動される。これにより、ウェーハ51がウェーハ載置棚13(1)に載置される。次に、ロボットアームがウェーハ待機室12(1)の外部側(図4に示すX9方向側)に縮小駆動されたのち、約180度回転駆動される。
以上により、一番上のウェーハ51の搬送処理が終了する。以下、同様に、上から2番目、3番目、…のウェーハ51について、上述した搬送処理が実行される。そして、カセット載置台31(1)上のカセット52に収容されているすべてのウェーハ51の搬送処理が終了すると、次のカセット載置台31(2)上のカセット52に収容されているウェーハ51の搬送処理が実行される。
以下、同様に、最後のカセット載置台31(4)上のカセット52に収容されているウェーハ51の搬送処理が終了するまで、上述した処理が繰り返される。この場合、ウェーハ載置棚13(1)が満杯になると、ゲートバルブ39(1)が閉じられ、ゲートバルブ39(2)が開かれる。これにより、今度は、ウェーハ待機室12(2)へのウェーハ搬送処理が行われる。
このウェーハ搬送処理が終了すると、ウェーハ待機室12(1),12(2)から反応室11(1),11(2)へのウェーハ搬送処理が実行される。この搬送処理も、カセット52からウェーハ待機室12(1),12(2)へのウェーハ搬送処理とほぼ同じようにして行われる。
すなわち、この搬送処理においては、まず、ゲートバルブ17(1)が開かれる。次に、ウェーハ搬送ロボット15のロボットアーム151がウェーハ待機室12(1)の内部側(図4に示すX5方向側)に伸張駆動される。これにより、ロボットアーム151の先端部が、例えば、ウェーハ載置棚13(1)に載置されている複数のウェーハ51のうちの一番上のウェーハ51の真下に位置決めされる。
次に、ロボットアーム151が上昇駆動される。これにより、ロボットアーム151の先端部にウェーハ51が保持される。次に、ロボットアーム151がウェーハ待機室12
(1)の外部側(図4に示すX6方向側)に縮小駆動される。これにより、一番上のウェーハ51がウェーハ待機室12(1)から取り出される。
次に、ロボットアーム151が回転駆動されたのち、反応室11(1)の内部側(図4に示すX1方向側)に伸張駆動される。これにより、ロボットアーム151の先端部に保持されているウェーハ51が反応室11(1)に搬入される。次に、ロボットアーム151が下降駆動される。これにより、ウェーハ51が反応室11(1)の載置部に載置される。
次に、ロボットアーム151が反応室11(1)の外部側(図4に示すX4方向側)に縮小駆動されたのち、ゲートバルブ16(1)が閉じられる。これにより、ウェーハ待機室12(1)から反応室11(1)への一番上のウェーハ51の搬送処理が終了する。
この搬送処理が終了すると、ウェーハ待機室12(2)から反応室11(2)への一番上のウェーハ51の搬送処理が実行される。この搬送処理も、ウェーハ待機室12(1)から反応室11(1)へのウェーハ51の搬送処理と同じようにして行われる。
ウェーハ待機室12(1),12(2)から反応室11(1),11(2)へのウェーハ51の搬送処理が終了すると、このウェーハ51の成膜処理が実行される。この成膜処理が終了すると、成膜処理の済んだウェーハ51がウェーハ待機室12(1),12(2)に搬送される。この搬送処理は、反応室11(1),11(2)へのウェーハ搬送処理とは逆の手順で行われる。
この搬送処理が終了すると、ウェーハ待機室12(1),12(2)に収容されている複数のウェーハ51のうち、上から2番目のウェーハ51に対して、上述した処理が実行される。以下、同様に、上から、3番目、4番目、…のウェーハ51に対して上述した処理が実行される。
すべてのウェーハ51の搬送処理が終了すると、成膜処理の済んだウェーハ51をウェーハ待機室12(1),12(2)からカセット52へ搬送する処理が実行される。この搬送処理は、カセット52からウェーハ待機室12(1),12(2)へのウェーハ搬送処理とは逆の手順で行われる。
成膜処理の済んだすべてのウェーハ51がカセット52に戻されると、カセット52のウェーハ出し入れ口が蓋522により塞がれる。このあと、カセット52が図示しないカセット搬送装置により次のウェーハ処理装置に搬送される。また、開閉機構収容部321(1),321(2),321(3),321(4)のウェーハ出し入れ口が扉325(1),325(2),325(3),325(4)により閉塞される。この後、次の4つのカセット52に収容されたウェーハ51に対して、再び、上述した処理が実行される。
以上が、本実施の形態の基板処理装置の動作の一例である。なお、以上の説明では、カセット52からウェーハ待機室12(1),12(2)へのウェーハ搬送処理と、成膜処理と、ウェーハ待機室12(1),12(2)からカセット52へのウェーハ搬送処理とを順次実行する場合を説明した。
しかしながら、本実施の形態では、これらを並列に行うようにしてもよい。これは、本実施の形態では、ウェーハ待機室12(1),12(2)にウェーハ51を保持するウェーハ載置棚13(1),13(2)が設けられているからである。また、このウェーハ載置棚13(1),13(2)が複数のウェーハ51を保持することができるからである。
すなわち、このような構成によれば、ウェーハ載置棚13(1),13(2)は、搬送部側ウェーハ搬送処理と処理部側ウェーハ搬送処理との間の緩衝機構をなす。ここで、搬送部側ウェーハ搬送処理は、カセット52とウェーハ待機室12(1),12(2)との間のウェーハ搬送処理である。また、処理部側ウェーハ搬送処理は、ウェーハ待機室12(1),12(2)と反応室11(1),11(2)との間のウェーハ搬送処理である。
これにより、カセット52からウェーハ待機室12(1),12(2)へのウェーハ搬送処理と、ウェーハ待機室12(1),12(2)から反応室11(1),11(2)へのウェーハ搬送処理とを独立して行うことができる。また、反応室11(1),11(2)からウェーハ待機室12(1),12(2)へのウェーハ搬送処理と、ウェーハ待機室12(1),12(2)からカセット52へのウェーハ搬送処理とを独立して行うことが出来る。
その結果、カセット52からウェーハ待機室12(1),12(2)へのウェーハ搬送処理と、成膜処理と、ウェーハ待機室12(1),12(2)からカセット52へのウェーハ搬送処理とを並列に行うことが出来る。
[1−3]ウェーハ載置棚13(1),13(2)の構成
次に、ウェーハ載置棚13(1),13(2)の構成を説明する。これらは、ほぼ同じ構成を有する。したがって、以下の説明では、ウェーハ載置棚13(1)の構成を代表として説明する。図6は、このウェーハ載置棚13(1)の構成を示す図である。
図6(a)は、ウェーハ載置棚13(1)を上方から見た平面図であり、同図(b)は、側方から見た側面図である。図示のごとく、ウェーハ載置棚13(1)は、底板131と、天板132と、4本の支柱133(1),133(2),133(3),133(4)とを有する。
底板131と天板132は、例えば、円盤状に形成されている。支柱133(1),133(2),133(3),133(4)は、例えば、細長い板状に形成されている。また、この支柱133(1),133(2),133(3),133(4)の断面は、例えば、細長い楕円状に形成されている。さらに、この支柱133(1),133(2),133(3),133(4)の長さは、同じ長さに設定されている。
このような構成において、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)は、底板131に垂直に立てられている。天板132は、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)の上端部に支持されている。
この場合、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)は、天板132の中心を中心とする円C1状に載置されている。なお、天板132の中心は、ウェーハ載置棚13(1)に載置されたウェーハ51の中心O3に一致する。したがって、以下の説明では、天板132の中心をO3と記す。
また、支柱133(1),133(2)は、天板132の中心線L2に対し、線対称に配設されている。ここで、中心線L2は、天板132の中心O3を通り、図4に示すX9−X10方向に延在する中心線である。同様に、支柱133(3),133(4)も、中心線L2に対し、線対称に配設されている。また、支柱133(1),133(3)は、中心線L2に垂直な中心線L3に対し、線対称に配設されている。同様に、支柱133(2),D3(4)も、中心線L3に対し、線対称に配設されている。
これにより、支柱133(1),133(4)は、天板132の中心O3に対し、点対
称に配設されている。同様に、支柱133(2),133(3)も、この中心O3に対し、点対称に配設されている。
また、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)は、長軸の延長線(以下「長軸線」という。)L4(1),L4(2),L4(3),L4(4)が天板132の中心O3を通るように設定されている。この場合、支柱133(1),133(4)が中心O3に対し、点対称に配設されているので、長軸線L4(1),L4(4)は一致する。同様に、長軸線L4(2),L4(3)も一致する。
各支柱133(n)には、ウェーハ51の周縁部が挿入される複数の溝134(n)が形成されている。この複数の溝134(n)は、それぞれ水平に形成されている。すなわち、深さ方向が水平方向を向くように形成されている。また、この複数の溝134(n)は、鉛直方向に配列されている。
図7は、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)を水平に切断した場合の断面図である。
図示のごとく、溝134(1),134(2),134(3),134(4)は、天板132の中心O3側から外側に向かうように形成されている。この場合、溝134(2)を除く溝134(1),134(3),134(4)の底面135(1),135(3),135(4)は、天板132の中心O3を中心とする円C2上に位置するように設定されている。これに対し、溝134(2)の底面135(2)は、天板132の中心O3を中心とする円C3上に位置するように設定されている。
ここで、円C3の径は、円C2の径より大きくなるように設定されている。これにより、溝134(2)は、溝134(1),134(3),134(4)より深くなるように設定されている。
上記構成においては、支柱133(3),133(4)の間が、ウェーハ搬送ロボット34によりアクセスされるウェーハ出し入れ口(以下「搬送部側ウェーハ出し入れ口」という。)136として用いられる。また、支柱133(1),133(2)の間が、ウェーハ搬送ロボット15によりアクセスされるウェーハ出し入れ口(以下「処理部側ウェーハ出し入れ口」という。)137として用いられる。
この場合、支柱133(3),133(4)は、直線L2に対し、線対称に配設されている。これにより、搬送部側ウェーハ出し入れ口136は、ウェーハ搬送ロボット34によるウェーハ載置棚13(1)のアクセス方向を向く。その結果、ウェーハ搬送ロボット34によるウェーハ載置棚12(1)のアクセスが可能となる。
これに対し、支柱133(1),133(2)は、直線L2に対し、線対称に配設されている。これにより、処理部側ウェーハ出し入れ口137は、ウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ載置棚13(1)のアクセス方向とは異なる方向を向く。その結果、ウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ待機室12(1)のアクセスは不可能となる。
しかしながら、本実施の形態では、溝134(2)の深さが溝134(1),134(3),134(4)の深さより深くなるように設定されている。これにより、処理部側ウェーハ出し入れ口137の位置が中心線L2より支柱133(2)側に偏移させられる。その結果、処理部側ウェーハ出し入れ口137がウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ載置棚13(1)のアクセス方向とは異なる方向を向いているにもかかわらず、ウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ待機室13(1)のアクセスが可能となる。
これを、図8を用いて説明する。図8(a)は、溝134(2)の深さを溝134(1),134(3),134(4)の深さと同じにした場合を示し、同図(b)は、溝134(2)の深さを溝134(1),134(3),134(4)の深さより深くした場合を示す。
図8において、T5は、上記のごとく、ウェーハ搬送ロボット34でウェーハ載置棚13(1)をアクセスする場合のウェーハ51の中心の移動軌跡を示す。T21,T22は、同じくウェーハ51の周縁部の移動軌跡を示す。これに対し、T4は、上記のごとく、ウェーハ搬送ロボット15でウェーハ載置棚13(1)をアクセスする場合のウェーハ51の中心の移動軌跡を示す。T23,T24は、同じく、ウェーハ51の周縁部の移動軌跡を示す。
図8(a)の場合においては、ウェーハ51の移動軌跡T4Rが支柱133(2)と重なる。これにより、この場合は、ウェーハ51の周縁部が支柱133(2)に衝突する。その結果、この場合は、ウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ載置棚13(1)のアクセスが不可能となる。
これに対し、図8(b)の場合は、ウェーハ51の周縁部の移動軌跡T4Rが支柱133(2)と重なることはない。これにより、この場合は、ウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ載置棚13(1)のアクセスが可能となる。
なお、詳細な説明は省略するが、ウェーハ載置棚13(2)も、ウェーハ載置棚13(1)とほぼ同じように構成されている。但し、この場合は、支柱133(1)の溝134(1)の深さが他の支柱133(2),133(3),133(4)の溝134(2),134(3),134(4)の深さより深くなるように設定されている。
[1−4]効果以上詳述した本実施の形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)まず、本実施の形態によれば、カセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)上のカセット52とウェーハ成膜部10との間でウェーハ51を搬送する場合、ウェーハ51は、不活性ガスで浄化された密閉空間を介して搬送される。これにより、装置内搬送期間にウェーハ51が自然酸化膜等により汚染されることを防止することができる。その結果、今後の半導体ウェーハの高集積度化に対処することができる。
(2)また、本実施の形態によれば、カセット載置台31(1),31(2),31(3),31(4)とウェーハ成膜部10との間に不活性ガスで浄化された密閉空間を設けることにより、上記汚染を防止するようになっている。これにより、既存のCVD装置をほとんどそのまま利用することができる。
(3)また、本実施の形態によれば、ウェーハ待機室12(1),12(2)にウェーハ保持手段(ウェーハ載置棚13(1)、13(2))が設けられる。これにより、搬送部側ウェーハ搬送処理と処理部側ウェーハ搬送処理とを緩衝機構で結合することができる。その結果、この2つの搬送処理の独立性を実現することができる。これにより、CVD装置のスループットを向上させることができる。
(4)また、本実施の形態よれば、基板保持手段として、ウェーハ載置棚13(1),13(2)が用いられる。これにより、基板保持手段を簡単に構成することができる。
(5)また、本実施の形態によれば、ウェーハ載置棚として、複数のウェーハ51を保持可能なウェーハ載置棚13(1),13(2)が用いられる。これにより、ウェーハ搬送ロボット15,34により搬入されたウェーハ51を同時に保持することができる。すなわち、一方のウェーハ搬送ロボット15または34により搬入されたウェーハ51を保持している状態で、他方のウェーハ搬送ロボット34または15により搬入されたウェーハ51を保持することができる。その結果、1つのウェーハ51を保持可能な場合に比べ、搬送部側ウェーハ搬送処理と処理部側ウェーハ搬送処理との独立性を高めることができる。
(6)また、本実施の形態によれば、ウェーハ載置棚として、搬送部側ウェーハ出し入れ口136と処理部側ウェーハ出し入れ口137を有するウェーハ載置棚13(1),13(2)が用いられる。これにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセスが同時に発生しても、この競合を調整する必要がない。その結果、CVD装置のスループットを向上させることができる。
(7)また、本実施の形態によれば、ウェーハ載置棚13(1),13(2)の処理部側ウェーハ出し入れ口137の位置がウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ51の移動軌跡T4側に偏移させられている。これにより、簡単な構成により、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収することができる。
(8)また、本実施の形態によれば、溝134(2)の深さを他の溝134(1),134(3),134(4)の深さより深くすることにより、処理部側ウェーハ出し入れ口137の位置が移動軌跡T4側に偏移させられる。これにより、簡単な構成により、処理部側ウェーハ出し入れ口137の位置を偏移させることができる。
(9)また、本実施の形態によれば、搬送部側ウェーハ搬送室32の内部を不活性ガスで浄化する場合、酸素濃度が規定値以上の場合だけ、不活性ガスの供給処理が実行される。これにより、不活性ガスの使用量を少なくすることができる。
[2]第2の実施の形態[2−1]構成図9は、本発明の第2の実施の形態の要部の構成を示す図である。なお、図9において、先の図7とほぼ同一機能を果たす部分には、同一符号を付す。
先の実施の形態では、ウェーハ出し入れ口136,137の位置を適宜設定することにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、ウェーハ出し入れ口136,137の向きを適宜設定することにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収するようにしたものである。
これを実現するために、本実施の形態では、図9に示すように、支柱133(2)の位置が支柱133(4)側に偏移させられるようになっている。但し、この場合、先の実施の形態と異なり、支柱133(2)の溝134(2)の深さは、他の支柱133(1),133(3),133(4)の溝134(1),134(2),134(4)の深さと同じ深さに設定されている。
なお、図9は、ウェーハ載置棚13(1)の構成を代表として示すものである。ウェーハ載置棚13(2)の場合は、支柱133(1)が支柱133(3)側に偏移させられる。
[2−2]効果(1)本実施の形態によれば、処理部側ウェーハ出し入れ口137がウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向に向けられる。これにより、先の実施の形態と同様に、簡単な構成により、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収することができる。
(2)また、本実施の形態によれば、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)の配設位置を適宜設定することにより、ウェーハ出し入れ口136,137の向きが適宜設定される。これにより、簡単な構成により、ウェーハ出し入れ口136,137の向きを適宜設定することができる。
[3]第3の実施の形態
[3−1]構成図10は、本発明の第3の実施の形態の要部の構成を示す図である。なお、図10において、先の図7とほぼ同一機能を果たす部分には、同一符号を付す。
先の実施の形態では、ウェーハ出し入れ口136,137の位置または向きを適宜設定することにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、ウェーハ出し入れ口136,137の幅を適宜設定することにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収するようにしたものである。
これを実現するために、本実施の形態では、図10に示すように、支柱133(2),支柱133(4)を一体化するようになっている。なお、図10では、一体化した支柱に符号133(2)を付す。この場合、支柱133(2)は、例えば、直線L3上に配設される。
なお、図10は、ウェーハ載置棚13(1)の構成を代表として示すものである。ウェーハ載置棚13(2)の場合は、支柱133(1)が支柱133(3)と一体化される。
[3−2]効果
(1)本実施の形態によれば、処理部側ウェーハ出し入れ口137がウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向とは異なる方向に向けられる。しかし、この場合、処理部側ウェーハ出し入れ口137の幅W2が拡大される。これにより、先の実施の形態と同様に、簡単な構成により、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収することができる。これは、搬送部側ウェーハ出し入れ口136についても同様である。
(2)また、本実施の形態によれば、支柱133(1),133(2),133(3)の配設位置を適宜設定することにより、ウェーハ出し入れ口136,137の幅が適宜設定される。これにより、簡単な構成により、ウェーハ出し入れ口136,137の幅を適宜設定することができる。
[4]第4の実施の形態
[4−1]構成図11は、本発明の第4の実施の形態の要部の構成を示す図である。なお、図11において、先の図2とほぼ同一機能を果たす部分には、同一符号を付す。
先の第1〜第3の実施の形態では、ウェーハ待出し入れ口136,137の位置、向き、幅を適宜設定することにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚
13(1),13(2)のアクセス方向の違いを吸収する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、ウェーハ載置棚13(1),13(2)を回転駆動することにより、この違いを吸収するようにしたものである。
これを実現するために、本実施の形態では、図11に示すように、ウェーハ載置棚13(1),13(2)を回転板61に載置するようにしたものである。この回転板61は、回転駆動部62により回転軸63の周りに回転駆動される。この回転軸63は、鉛直方向に延在するように設定されている。また、この回転軸63は、天板132の中心O3を通るように設定されている。
[4−2]動作
このような構成では、ウェーハ搬送ロボット34によりウェーハ載置棚13(1),13(2)をアクセスする場合は、このウェーハ載置棚13(1),13(2)は、図12(a)に示すように、搬送部側ウェーハ出し入れ口136がウェーハ搬送ロボット34によるアクセス方向を向くように回転駆動される。
これに対し、ウェーハ搬送ロボット15によりアクセスする場合は、ウェーハ載置棚13(1),13(2)は、図12(b)に示すように、処理部側ウェーハ出し入れ口137がウェーハ搬送ロボット15によるアクセス方向を向くように回転駆動される。なお、図12には、ウェーハ載置棚13(1)をアクセスする場合を代表として示す。
[4−3]効果
(1)本実施の形態によれば、ウェーハ載置棚13(1),13(2)として、ウェーハ搬送ロボット15,34によるアクセス方向が同じ場合に用いられるウェーハ載置棚を用いることができる。これにより、図13に示すように、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)の形状(溝134(1),134(2),134(3),134(4)の深さ等)を統一することができる。また、支柱133(1),133(2),133(3),133(4)を対称に配置することができる。その結果、ウェーハ載置棚13(1),13(2)を簡単に製造することができる。
(2)また、このような構成によれば、図14に示すように、ウェーハ載置棚13(1),13(2)として、2枚の板状の支柱138(1),138(2)を有するウェーハ載置棚を用いることができる。これにより、ウェーハ51を安定に保持することができる。
なお、支柱138(1),138(2)は、平行に、かつ、中心線L2に対し、線対称に配設されている。また、この支柱138(1),138(2)は、中心線L3上に配設されている。また、ウェーハ51を保持するための溝139(1),139(2)は、中心線L2に沿って形成される。
(3)また、本実施の形態によれば、図15に示すように、結果的に、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向を合わせることができる。これにより、反応室11(1),11(2)におけるウェーハ51の結晶方向を所望の方向に設定することができる。その結果、この結晶方向が所望の方向からずれることによる成膜特性の低下を防止することができる。
すなわち、ウェーハ51には、結晶方向がある。この結晶方向が所望の方向からずれていると、反応室11(1),11(2)の内部の高温下で成膜処理を行う場合、ウェーハ51に反りが生じる。これにより、ウェーハ51の成膜特性が低下する。そこで、ウェーハ51に成膜処理を施す場合は、その結晶方向を所望の方向に合わせる必要がある。
しかしながら、先の第1〜第3の実施の形態では、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ載置棚13(1),13(2)のアクセス方向を一致させることができなかった。これにより、これらの実施の形態では、反応室11(1),11(2)に搬送されたウェーハ51の結晶方向を所望の方向に設定することができなかった。
図16は、この様子を示す図である。なお、図には、ウェーハ待機室と反応室として、ウェーハ待機室12(1)と反応室11(1)を代表として示す。
図において、53は、ノッチまたはオリフラと呼ばれる切欠きを示す。この切欠き53は、ウェーハ51の結晶方向を示すために、ウェーハ51に形成されている。L5は、切欠き53を通るウェ0は51の直径を示す。また、L6,L7,L8は、それぞれ、カセット52、ウェーハ待機室12(1)、反応室11(1)の中心線を示す。この中心線L6,L7,L8は、カセット52、ウェーハ待機室12(1)、反応室11(1)に収容されたウェーハ51の中心O6,O3,O1を通り、カセット52、ウェーハ待機室12(1)、反応室11(1)を2等分する線である。
図16(a)は、ウェーハ51がカセット52に収容されている状態を示し、同図(b)は、ウェーハ51がウェーハ待機室12(1)に搬送された状態を示し、同図(c)は、ウェーハ51が反応室11(1)に搬送された状態を示す。
今、反応室11(1)におけるウェーハ51の結晶方向を、その直径L5が反応室11(1)の中心線L8に沿うような方向に設定するものとする。また、ウェーハ51は、カセット52に対して、図16(a)に示すように、直径L5が中心線L6に沿うように収容されているものとする。
ここで、ウェーハ搬送ロボット34によるカセット52とウェーハ待機室12(1)のアクセス角度は同じである。図示の例の場合、このアクセス角度は90度である。これにより、ウェーハ待機室12(1)に搬送されたウェーハ51の直径L5は、図16(b)に示すように、ウェーハ待機12(1)の中心線L6に沿うようになる。
しかしながら、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向は異なる。これにより、反応室11に搬送された「ウェーハ51の直径L5は、図16(c)に示すように、その中心線L8に対して傾く。この傾きの角度は、ウェーハ待機室12(1)の中心線L7に対するウェーハ搬送ロボット15のアクセス方向の傾きの角度θに等しい。その結果、反応室11(1)におけるウェーハ51の結晶方向が所望の方向からずれる。これにより、ウェーハ51に反りが発生し、成膜特性が低下する。
この問題を解決するためには、例えば、次のような4つの構成が考えられる。
(A)ウェーハ搬送ロボット34によってウェーハ51をウェーハ待機室12(1)に搬入する場合、斜めに偏芯させて搬入する構成
(B)図17(a)に示すように、ウェーハ搬送ロボット34によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向をウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向に一致させる構成
(C)図17(b)に示すように、ウェーハ搬送ロボット15による反応室11(1)のアクセス角度をこのロボット15によるウェーハ待機室12(1)のアクセス角度(θ)に一致させる構成
(D)図17(c)に示すように、ウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ待機室12(1)の搬送方向をウェーハ搬送ロボット34によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向に一致させる構成
(A)の構成の場合、ウェーハ待機室12(1)におけるウェーハ51の向きを変えることができる。これにより、反応室11(1)に搬送されたウェーハ51の結晶方向を所望の方向に合わせることができる。
しかしながら、この構成では、ロボットアーム341の動作が複雑となる。その結果、ロボットアーム341の制御が難しくなる。仮に、この制御が可能となったとしても、装置の製造経費の上昇、装置の信頼度の低下といった問題が生じる。
また、(B)の構成の場合、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向を一致させることができる。これにより、反応室11(1)に搬送されたウェーハ51の結晶方向を所望の方向に合わせることができる。
しかしながら、この構成の場合、ウェーハ搬送ロボット34によるカセット52のアクセス角度とウェーハ待機室12(1)のアクセス角度が異なる。これにより、このロボット34の制御が煩雑になるという問題が生じる。
これに対し、(C),(D)の構成の場合、(A),(B)の構成のような問題は生じない。しかしながら、この構成の場合、反応室11(1)の向きを変更しなければならない。これにより、既存のCVD装置を利用することができないという問題が生じる。
これに対し、本実施の形態では、ウェーハ載置棚13(1)が回転駆動される。これにより、ウェーハ搬送ロボット15,34によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向を合わせることができる。これにより、既存のCVD装置を利用して、反応室11(1)に搬送されたウェーハ51の結晶方向を所望の方向に合わせることができる。
図18は、この様子を示す図である。ここで、図18(a)は、ウェーハ51がカセット52に収容されている状態を示し、同図(b)は、ウェーハ51がウェーハ待機室12(1)に搬送された状態を示し、同図(c)は、ウェーハ載置棚13(1)が回転駆動された状態を示し、同図(d)は、ウェーハ51が反応室11(1)に搬送された状態を示す。
図18(c)に示すごとく、本実施の形態では、ウェーハ載置棚13(1)が回転駆動されることにより、ウェーハ51の直径L5がウェーハ搬送ロボット15によるウェーハ待機室12(1)のアクセス方向に向けられる。これにより、反応室11(1)に搬送されたウェーハ51の直径L5が反応室11(1)の中心線L8に合わせられる。その結果、ウェーハ51の結晶方向が所望の方向に合わせられる。
[5]そのほかの実施の形態以上、本発明の4つの実施の形態を詳細に説明したが、本発明は、上述したような実施の形態に限定されるものではない。
(1)例えば、先の実施の形態では、ウェーハ載置棚として、複数のウェーハ51を載置可能なウェーハ載置棚13(1),13(2)を用いる場合を説明した。しかしながら、本発明は、1枚のウェーハ51のみを載置可能なウェーハ載置棚を用いるようにしてもよい。
このような構成においても、カセット52から反応室11(1),11(2)に向かうウェーハ搬送処理、または、この逆のウェーハ搬送処理のいずれか一方において、このウェーハ搬送処理に含まれる2つのウェーハ搬送処理を独立に行うことができる。その結果、CVD装置のスループットを向上させることができる。
(2)また、先の実施の形態では、本発明を、ウェーハ成膜部10がウェーハ待機室12(1),12(2)とウェーハ搬送室14とを有するようなCVD装置に適用する場合を説明した。しかしながら、本発明は、ウェーハ待機室12(1),12(2)とウェーハ搬送室14とを有しないCVD装置にも適用することができる。すなわち、カセット52と反応室11(1),11(2)との間で、直接ウェーハ51を搬送するCVD装置にも適用することができる。
(3)また、先の実施の形態では、本発明を枚葉クラスタ式のCVD装置に適用する場合を説明した。しかしながら、本発明はこれ以外の方式のCVD装置にも適用することができる。例えば、本発明は、バッチ式のCVD装置にも適用することができる。
(4)また、先の実施の形態では、本発明をCVD装置に適用する場合を説明した。しかしながら、本発明は、CVD装置以外のウェーハ処理装置にも適用することができる。例えば、本発明は、ウェーハエッチング装置にも適用することができる。
(5)また、先の実施の形態では、本発明を、半導体デバイスのウェーハを処理するウェーハ処理装置に適用する場合を説明した。しかしながら、本発明は、半導体デバイス以外の固体デバイスの基板を処理する基板処理装置にも適用することができる。例えば、本発明は、液晶表示デバイスのガラス基板を処理するガラス基板処理装置にも適用することができる。
(6)このほかにも、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々様々変形実施可能なことは勿論である。
第2の発明の基板処理装置によれば、第1の発明の装置において、基板保持手段が搬送部側基板搬送処理と処理部側基板搬送処理との緩衝機構をなす。これにより、2つの搬送処理の独立性を実現することができる。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
第3の発明の基板処理装置によれば、第2の発明の装置において、基板保持手段が複数の基板を保持することができる。これにより、上記2つの搬送処理の独立性を高めることができる。
第4の発明の基板処理装置によれば、第2の発明の装置において、基板保持手段が基板載置棚によって構成される。これにより、基板保持手段を簡単に製造することができる。
第5の発明の基板処理装置によれば、第4の発明の装置において、基板載置棚が、基板出し入れ口として、搬送部側基板出し入れ口と、処理部側基板出し入れ口とを有する。これにより、搬送部側基板搬送手段と処理部側基板搬送手段による基板載置棚のアクセスが同時発生した場合でも、この競合を調整する必要がない。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
第6,7,8の発明の基板処理装置によれば、第5の発明の装置において、搬送部側基板出し入れ口と処理部側基板出し入れ口の位置、向き、幅を適宜設定することにより、搬送部側基板搬送手段と処理部側基板搬送手段による基板載置棚のアクセス方向の違いが吸収される。これにより、簡単な構成により、アクセス方向の違いを吸収することができる。
第9,10,11の発明の基板処理装置によれば、それぞれ第6,7,8の発明の装置
において、基板載置棚が、基板の周縁部が挿入される溝を有する複数の支柱を使って基板を保持するように構成される。また、搬送部側基板出し入れ口と処理部側基板出し入れ口の位置、向き、幅が、深さが溝の深さ、支柱の配節位置を適宜設定することにより適宜設定される。これにより、簡単な構成により、搬送部側基板出し入れ口と処理部側基板出し入れ口の位置、向き,幅を適宜設定することができる。
第12の発明の基板処理装置によれば、第5の発明の装置において、基板載置棚を回転駆動する回転駆動手段が設けられる。これにより、基板載置棚として、搬送部側基板搬送手段と処理部側基板搬送手段による基板載置棚のアクセス方向が同じ場合に用いられる基板載置棚を用いることができる。その結果、基板載置棚を容易に製造することができる。
また、基板載置棚として、2枚の板状の支柱を有する基板載置棚を用いることができる。これにより、基板を安定に保持することができる。
また、結果的に、搬送部側基板搬送手段と処理部側基板搬送手段による基板載置棚のアクセス方向を合わせることができる。これにより、基板処理空間における基板の結晶方向を所望の方向に設定することができる。その結果、この結晶方向が所望の方向からずれることによる基板処理特性の低下を防止することができる。
第13の発明の基板処理装置によれば、第1の発明の装置において、搬送部側基板搬送空間の酸素濃度が規定値未満の場合だけ、不活性ガスの供給処理が実行される。これにより、常時、不活性ガスを供給する構成に比べ、不可性ガスの消費量を少なくすることができる。
10…ウェーハ成膜部、11(1),11(2)…反応室、12(1),12(2)…ウェーハ待機室、13(1),13(2)…ウェーハ載置台、131…底板、132…天板、133(1),133(2),133(3),133(4)…支柱、134(1),134(2),134(3),134(4)…溝、135(1),135(2),135(
3),135(4)…底板、136…搬送部側ウェーハ出し入れ口、137…処理部側ウェーハ出し入れ口、138(1),138(2)…支柱、139(1),139(2)…溝、14…成膜部側ウェーハ搬送室、15…成膜部側ウェーハ搬送ロボット、151…ロボットアーム、152…駆動部、16(1),16(2),17(1),17(2)…ゲートバルブ、18…筐体、30…ウェーハ成膜部、31(1),31(2),31(3),31(4)…ウェーハ載置台、32(1),32(2),32(3),32(4)…ウェーハ搬送室、321(1),321(2),321(3),321(4)…開閉機構収容部、322…ロボット収容部、323…雰囲気排出口、324…不活性ガス供給口、33(1),33(2),33(3),33(4)…蓋開閉機構、34…搬送部側ウェーハ搬送ロボット、341…ロボットアーム、342…駆動部、35…真空排気ライン、36…不活性ガス供給ライン、37…酸素濃度検出計、38…制御部、39(1),39(2)…ゲートバルブ、40…移動台、41(1),41(2)…レール、51…ウェーハ、52…カセット、521…ウェーハ収容体、522…蓋、61…回転板、62…駆動部、63…回転軸。