JP4599302B2 - 方向性結合器 - Google Patents
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Description
このような送信電力レベルを監視・制御する手段には、一般的に方向性結合器が使用される。方向性結合器は、無線送信機の送信電力増幅器とアンテナとの間に挿入され、送信電力信号の一部を取り出すもので、送信機からアンテナ方向に出力する信送信電力(進行波)に応じた信号レベルが使用周波数帯域内において周波数に依存せず均一なレベルで取り出すことができ、逆方向の反射波信号レベルに対しては検出レベル信号が発生しないものが性能的に優れたものである。
即ち、図6は従来のマイクロストリップラインを使用した方向性結合器の一例を示す図である。この例に示す方向性結合器は、構成概要図(a)に示すように、長さが使用周波数波長λの四分の一(λ/4)の主線路61と、同長の副線路62との二つのマイクロストリップラインを、微小間隙を挟んで平行に並べたものであり、主線路61の一方端(図面左側)を入端子63、他方端(図面右側)を出力端64とし、副線路62の一方端(図面左側)をカップリング端子65、他方端(図面右側)の出力端66には所要値の抵抗器を終端器67として接続したものである。なお、各端子には同軸線路やマイクロストリップライン等が図示を省略したグラウンド(接地電極)を一方の電路として接続されている。同図6(b)は前記図(a)の構成による方向性結合器の諸特性を示したもので、縦軸は減衰量、横軸は周波数を示し、符号68はカップリング特性曲線、波線で示す符号69はアイソレーション(一方向特性)の特性曲線である。
また、図8は、マイクロストリップラインに代えて、ストリップライン72、73によって方向性結合器を構成した場合で、ライン長はλ/4である。なお、マイクロストリップラインについての説明は後述するが、ストリップラインがグランド導体に挟まれた絶縁基板内部に伝送路が存在するのに対し、マイクロストリップラインは絶縁基板の表面に伝送路があり加工が容易であるという点が相違している。同図8に示すようにストリップラインを使用する場合は、周波数特性が平坦になり方向性特性として約20dB乃至30dBが得られるものの、後工程での加工が困難であり設計通りに実現することが難しい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、方向性特性に優れ、広い周波数範囲にわたって安定した方向性特性やカップリング特性やアイソレーション特性を備えた方向性結合器を提供することを目的としている。
請求項2記載の方向性結合器は、微小間隙を挟んで平行に並べ、一方を主線路、他方を副線路とした任意長の二つのマイクロストリップラインと、前記副線路のカップリング端子とグラウンド間に接続する第1のキャパシタンス素子と、前記副線路の終端側とグラウンド間に直列接続した第2のキャパシタンス素子および抵抗素子とを備え、前記第1のキャパシタンス素子、前記第2のキャパシタンス素子、前記抵抗素子、前記副線路のインピーダンスで構成される共振周波数が無線送信機で使用される周波数帯域内となるように前記各素子値を設定したことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2記載の方向性結合器において、前記第1のキャパシタンス素子、前記第2のキャパシタンス素子、前記抵抗素子の少なくとも一つが素子値を変化できるものであることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の一実施形態例に係る方向性結合器の概要構成例を示す図である。この例では、任意の長さのマイクロストリップライン1、2二つの線路を微小間隙隔てて絶縁基板表面に形成すると共に、その絶縁基板の裏面には図示を省略した、少なくとも前記マイクロストリップラインに対抗する面積をもったグラウンド電極(接地電極)を形成している。そして、前記マイクロストリップライン1を主線路とし、その一方端3を入力端子とし、他方端を出力端子4とする。更に、前記マイクロストリップライン2を副線路として、その一方端(主線路の入力端に対応する端)をカップリング端子5、他方端を終端6として、前記カップリング端子5とグラウンド間に(並列に)キャパシタンス素子(コンデンサ)7を接続し、他方端の終端6とグラウンド間には、インダクタンス素子(コイル)8と終端抵抗器9とを直列に挿入する。この終端抵抗器9は固定抵抗器でもよいが、可変抵抗器にすれば特性の調整が可能となる。この方向性結合器は前記主線路1の入力端子3を、図示を省略した送信機の送信電力増幅器の出力端に接続し、他方端の出力端子4を図示を省略したアンテナ側装置に接続するように使用される。
即ち、図3に示す方向性結合器は、副線路2の終端用抵抗器9と直列にキャパシタンス素子としてコンデンサ31を挿入したものである。この構成は前記図1の終端のインダクタンス素子に代えてキャパシタンス素子を使用したので、副線路のマイクロストリップライン2の長さや構造パラメータは前記図1のものとは違ったものになるが、副線路2のカップリング端子5と終端6に接続する素子をコンデンサにしたので、高周波特性が安定したコンデンサのみで構成できる。
また、図4は前記図3の副線路2のカップリング端子5とグラウンドの間に接続するコンデンサと終端6のコンデンサを共に可変コンデンサ41、42に置換した点が特徴であり、これらの容量値を変化することによって個々に使用する方向性結合器を装置毎に調整することが可能となる。
以上本発明の実施態様例を示したが、本発明の実施に際してはこれらの例に限定する必要はなく、また、使用方法にも種々のものがあり得る。使用方法としては例えば、前記特許文献1に記載されたように送信電力の反射電力を検出することも可能であり、更には、副線路の入力端又は出力端子にダイオード素子を接続し、その電極の方向によって反射電力か進行電力を検出するように使用することも可能である。
Claims (4)
- 微小間隙を挟んで平行に並べ、一方を主線路、他方を副線路とした任意長の二つのマイクロストリップラインと、
前記副線路のカップリング端子とグラウンド間に接続するキャパシタンス素子と、
前記副線路の終端側とグラウンド間に直列接続したインダクタンス素子および抵抗素子と、を備え、
前記キャパシタンス素子、前記インダクタンス素子、前記抵抗素子、前記副線路のインピーダンスで構成される共振周波数が無線送信機で使用される周波数帯域内となるように前記各素子値を設定したことを特徴とする方向性結合器。 - 微小間隙を挟んで平行に並べ、一方を主線路、他方を副線路とした任意長の二つのマイクロストリップラインと、
前記副線路のカップリング端子とグラウンド間に接続する第1のキャパシタンス素子と、
前記副線路の終端側とグラウンド間に直列接続した第2のキャパシタンス素子および抵抗素子とを備え、
前記第1のキャパシタンス素子、前記第2のキャパシタンス素子、前記抵抗素子、前記副線路のインピーダンスで構成される共振周波数が無線送信機で使用される周波数帯域内となるように前記各素子値を設定したことを特徴とする方向性結合器。 - 前記キャパシタンス素子、前記インダクタンス素子、前記抵抗素子の少なくとも一つが素子値を変化できるものであることを特徴とする請求項1に記載の方向性結合器。
- 前記第1のキャパシタンス素子、前記第2のキャパシタンス素子、前記抵抗素子の少なくとも一つが素子値を変化できるものであることを特徴とする請求項2に記載の方向性結合器。
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