以下、本発明に係る特徴ある構成の現像装置を備えた画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。
本実施例にて、画像形成装置は、プロセススピードが500mm/secで毎分90枚の白黒デジタル電子写真複写機とされ、像担持体としてドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を有する。本実施例にて、感光ドラム1は、直径108mmのa−Si感光体を用いている。a−Si感光体は、有機感光体に比べ高耐久で寿命が300万枚以上あり、高速機に向いているという特徴がある。
画像形成装置は、図1に示すように、感光ドラム1がR1方向(時計方向)に回転し、先ず帯電装置3により例えば−500Vに一様帯電された後、露光装置9によって600dpiで画像露光12がなされる。画像露光12は、本実施例では、半導体レーザーを光源として画像信号により変調された波長680nmのレーザービームとされる。このレーザービームは、モーターにより一定の回転数で回転する多面鏡(図示せず)により偏光され、結像レンズ(図示せず)を経て、折り返しミラー91で反射された後、感光ドラム1上をラスタ走査される。それによって、感光ドラム1は、その露光部の表面電位を例えば−100Vに減衰させて、像状の静電潜像を形成する。
その後、現像装置2によって感光ドラム1上の静電潜像を現像剤像(トナー像)として現像する。感光ドラム1上のトナー像は、次いで、ポスト帯電器10でマイナスに帯電させると共に、感光ドラム1とトナ一像との間の吸着力を弱め、転写、分離し易いようにする。
尚、本実施例では、現像剤としては、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用した。トナーは、粒径6.5μmのネガトナーを使用し、反転現像を行なうものとした。
ポスト帯電器10によって総電量−100μA(AC+DC)を流され帯電したトナー像は、図1に示す矢印方向に移動する転写材Sに転写帯電器4によって転写された後、分離帯電器5により除電され、感光ドラム1から分離される。転写材Sは、その後、定着装置7に送給され、トナー像が転写材S上に定着される。
次に、図2を参照して、現像装置2について説明する。
現像装置2は、ハイブリット型現像装置とされ、現像剤撹拌部材29(図1)と、現像剤供給手段としての磁気ブラシロール22と、該磁気ブラシロール22に対して所定間隔をもって配設された現像剤担持体としてのドナーロール21とを有している。
磁気ブラシロール22は、内部に、磁界発生手段としての本実施例では八つの磁極をもつ固定マグネット23を有しており、固定マグネット23の周りに非磁性で導電性の金属である、例えばSUS305などで作製されたスリーブ24が設けられる。磁気ブラシロール22の表面は、固定マグネット23の磁力により、トナー26とキャリア25を含有する二成分現像剤Tがコーティングされる。
又、現像装置2は、磁気ブラシロール22の表面に近接してブレード30が配設されており、磁気ブラシロール22上の現像剤Tの高さ及び量を所望レベルに規制する。
磁気ブラシロール22は、例えば、砥粒(アランダム♯400)などを使用して、その外周面が粗面化されている。
又、磁気ブラシロール22は、所定に帯電された所定量のトナー26を、電界発生手段にて、ドナーロール21及び磁気ブラシロール22の間に印加されたバイアス電圧により、ドナーロール21に搬送する。磁気ブラシロール22から搬送されたドナーロール21上の所定の電荷を有する所定量のトナー26は、ドナーロール21と感光ドラム1とが対向した現像領域Aに供給され、感光ドラム1上の静電潜像を現像する。
尚、本実施例においては、ドナーロール21と磁気ブラシロール22の回転方向は、図2に示すよう、ドナーロール21と磁気ブラシロール22とが対向した対向領域、即ち、現像剤供給領域Bにおいて逆方向となるように、ロール21及び22がそれぞれ、R2(反時計方向)及びR3(反時計方向)に回転される。しかしながら、現像装置2の構成に応じて回転方向を適宜変更して適正化することが好ましい。
本実施例にて、現像剤Tは、粒径35μmのフェライト系のキャリア25と、カーボンをポリエステル樹脂に分散したトナー26とを含有している。又、現像剤中のトナー26及びキャリア25の含有率(重量)は、キャリア25が約95%乃至約99%となっており、トナー26が約5%乃至約1%となっている。
本実施例では、設定値として現像剤中のトナー26の含有率(T/D比)を5%とし、感光ドラム1上に形成したパッチの濃度を光ATRによって検知し、トナー濃度制御を行なっている。
尚、本実施例で用いたトナー26は負に帯電されており、ドナーロール21上のトナー26の平均トリボQ/Mは、−25μC/gであった。
次に、図2及び図3を参照して、ドナーロール21の構成について説明する。図3は、ドナーロール21の横断面構成を、直線状に展開して示す模式断面図である。
ドナーロール21は、導電性のスリーブ41と、誘電体層42と、ドナーロール21の周方向に配設された電極部材43aにて構成される電極パターン43と、電極緩和許容層44と、を有している。
電極パターン43は、図3に示すように、電極部材43aがドナーロール21の周方向に互いに実質的に等間隔に配列されており、誘電体層42によってスリーブ41と絶縁されている。尚、本実施例においては、スリーブ41は、例えば、アルミニウム(A6063)にて作製されている。
電極部材43aにて構成される電極パターン43は、バイアス電源に接続された、即ち、本実施例では交流電源31及び直流電源32に接続されたワイピングブラシ27が、現像ニップ(現像領域A)において、ドナーロール21の絶縁された電極部材43aにワイピング接触することにより、電気的に交流電圧が重畳された直流電圧が印加される。これによって、ドナーロール21上にトナークラウド(雲)が形成され、感光ドラム1上の静電潜像を現像し、トナー像として可視化する。
本実施例では、上述のように、電極パターン43は、ドナーロール21の長手方向(ドナーロール21の軸線方向)に平行し、ドナーロール21の全周面に亘り複数配設された電極部材43aで構成される。
各電極部材43aの長さは、好ましくは、ドナーロール21の軸線方向に沿った画像域以上、かつ、ドナーロール21の全長以下であり、本実施例では305mmとした。また、図3にて、電極パターン43の電極部材43aの幅(w)は約200μmとした。又、電極パターン43の電極部材43aの有効な深さ(h)は、好ましくは約3μm〜約20μmであり、本実施例では10μmとした。また、各電極部材43aの間隔(p)は200μmより僅かに大きくした。各電極部材43a、43a間は、電気的リークを避けるために誘電体層42で絶縁されている。
尚、電極部材43aの抵抗は、10−3Ωcm程度である。従って、電極部材43aの材質は、Ag、Cu、Ni等が好ましく、本実施例ではCuを用いた。
誘電体層42は、スリーブ41の外周面に塗布されている。誘電体層42は、全体の厚さ(t1)が約25μm〜約75μmの陽極酸化アルミニウム又はポリマーが好ましく、本実施例では50μmのポリアミドイミドを70%重量部から100%重量部有するものを採用している。
尚、誘電体コーティングは、さまざまな酸化物、セラミクス等の無機物であってもよい。
電荷緩和許容層44は、ドナーロール21の最外層に全周面に亘って被覆されており、電極パターン43と磁気ブラシロール22との間、及び、電極パターン43の各電極部材43a、43a間の電気短絡を防止すると共にドナーロール21表面を保護する。電荷緩和許容層44の厚さ(t2)は、約5μmとされる。
尚、電荷緩和許容層44の誘電率は、数秒の時間で電荷の集積を消散させるに足りるものでなければならず、しかもフリンジ電荷が約数ミリ秒以下程度でコーティングを貫通できる必要がある。本実施例においては、電荷緩和許容層44は、液浸コーティングにより塗布した。
次に、図2を参照して、電界発生手段であるバイアス電源について説明する。
本実施例にあっては、現像領域Aで、バイアス電源としての交流電圧源31及び直流電圧源32が、AC+DCバイアスを電極パターン43に印加する。
ドナーロール21が図2の矢印(R2)方向に回転すると電極パターン43が現像領域Aへ次々と進み、図2に示すように、電圧源31、32に電気的に接続されたワイピングブラシ27が、現像領域Aにおいて電極パターン43にワイピング接触する。これにより、ドナーロール21に備えられた電極パターン43と感光ドラム1との間にAC+DC電界を発生させ、現像領域Aにおいてドナーロール21上にトナー雲を形成する。これにより、感光ドラム1上の静電潜像を現像する。
また、磁気ブラシロール22とドナーロール21との対向領域である現像剤供給領域Bにおいても、両ロール21、22間に電界を発生させるための電界発生手段としてのバイアス電源が設けられる。即ち、本実施例では、電界発生手段として直流電源35が設けられ、この直流電源35に接続されたワイピングブラシ28がドナーロール21にワイピング接触する。これにより、現像剤供給領域Bでは、磁気ブラシロール22表面上の現像剤Tからトナー粒子26をドナーロール21に引き付け、磁気ブラシロール22からトナー26が供給される。本実施例にて、磁気ブラシロール22は接地されている。
尚、本実施例における現像装置2の各部材の具体的仕様は、
ドナーロール21の外径32mm
磁気ブラシロール22の外径32mm
ドナーロール21と磁気ブラシロール22との距離1.0mm
ドナーロール21と感光ドラム1との距離0.3mm
磁気ブラシロール22(固定マグネット23)の磁力600G
とした。
又、本実施例における電気的仕様としては、
交流電源31の電圧Vpp2KV、周波数2KHz、
直流電源32の電圧+200V、
直流電源35の電圧+330V、
とした。
本実施例の特徴は、磁気ブラシロール22からドナーロール21へトナーを供給する際のDC電界に勾配を設けることにある。
本実施例に示すようなハイブリッド現像によると、ドナーロール21の表面上にはトナーのみが担持されているため、画像を現像した後に、ドナーロール21上に画像の跡が残り、次に磁気ブラシロール22からトナーが供給される際にトナー層が多いところと少ないところが生じる。前の現像部はトナー量が少なくなっているため、結果として、次の画像に前の画像の鏡像がでる、所謂、ゴースト現象が生じていた。
これに対して、本実施例では、ドナーロール21と磁気ブラシロール22間に印加するバイアス電圧を、図2にて矢印B1で示すドナーロール21と磁気ブラシロール22が最初に向かい合う箇所では、トナー26をドナーロール21から磁気ブラシロール22側に戻すために、両者間の電位差を0Vにした。0Vにしても、磁気ブラシロール22からドナーロール21にトナーが供給された後のキャリア25にはカウンターチャージが生じるため、ドナーロール21のトナー26を回収できる。
一方、図2の矢印B2で示される側では、トナー26を供給するように電位差を330Vとなるようにした。
本実施例では、現像剤供給領域Bにて、ドナーロール21に印加する直流バイアスはプラスとされるが、図2に示すように、現像領域Aと現像剤供給領域Bは別のため、磁気ブラシロール22とドナーロール21間の電位差のみ考えればよい。
通常、磁気ブラシロール22とドナーロール21に別々のバイアスを印加するとリークを生じるが、本実施例では、これに鑑みて、各電極部材43a、43a間の電位差を小さくし、かつ徐々にドナーロール21と磁気ブラシロール22のニップ(即ち、現像剤供給領域B)で電位差を変化させることで、この問題を解決した。
図4に、本実施例における、ドナーロール21と磁気ブラシロール22に印加される図2の領域B1から領域B2にかけての電位差を示す。
また、図5に、現像剤供給領域Bにおけるドナーロール21の電極パターン43を直線状に展開した断面図を示す。図4は、現像剤供給領域Bにおける電極パターン43の左から右にかけて、即ち、領域B1側から領域B2側へと電極部材43aに順番をつけた時の各電極部材43a(43a1、43a2、43a3、・・・・・・、43a12)の電位を表したものである。
本実施例では、磁気ブラシロール22の電位が0V(接地)とされ、現像剤供給領域Bでのバイアス電圧は、0V〜+330Vまで段階的に増大する。
更に、ドナーロール21のバイアス供給方法について説明する。
図5にて、本実施例では、ドナーロール21と磁気ブラシロール22のニップ(現像剤供給領域B)は約5mmとされ、この現像剤供給領域Bに対して、前述のように、ドナーロール21の電極部材43aの幅(w)は200μm、間隔(p)は200μmより僅かに大きくされるので、電極部材43aに接するブラシ28の接点線28a(28a1、28a2、28a3、・・・・・28a12)は12本設けられる。
図5に示す、接点線28a(28a1、28a2、28a3、・・・・・28a12)の12本は、1番から12番の電極部材43a(43a1、43a2、43a3、・・・・・・、43a12)に対応しており、図4に示す1番から12番の異なったバイアス電圧をそれぞれ印加する。隣り合った電極部材43aに印加されるバイアス電圧の電位差が小さいため、各電極部材43a、43a間でリークすることはない。
このようにして、ドナーロール21のトナーを磁気ブラシロール22に戻し、また、磁気ブラシロール22からドナーロール21にトナーを供給することにより、前の画像に左右されずにドナーロール21上のトナー層厚が安定するのでゴースト画像が発生しなくなる。
また、本実施例では、磁気ブラシロール22とドナーロール21の回転方向は、対向領域Bにおいて逆方向に移動するようにした。これは、ドナーロール21のトナーを掻き落とし易くするためである。ドナーロール21の速度は、本実施例では550mm/secとし、磁気ブラシロール22は600mm/secとした。
一方、本実施例におけるハイブリット現像方式の現像装置は、ドナーロール21に電極パターンを埋め込んだタイプであり、ワイヤー電極法を採用する現像装置の場合に生じるストロービングやワイヤー汚れ等がないという利点がある。
これに対して、従来、電極パターン43の電極部材43aは、ドナーロール21の周方向に対して連続でないため、ドナーロール21から感光ドラム1へのトナー供給が画像比率の高い場合に追いつかない虞があった。
又、ドナーロール21の周方向における上記電極部材43aの間隔については、製造の面で高精細にすることは困難で、あまり上記間隔を小さくすると電極同士が導通してしまう困難さがあった。
又、磁気ブラシロール22からドナーロール21への供給能力が低いため、飛翔しやすいトナーのみが、ドナーロール21に移動するため、磁気ブラシロール22に飛翔しづらいトナーが残る、所謂、選択搬送(選択現像)が起き、トナー粒径が小さいものが、磁気ブラシロール22に蓄積する現象があった。長期使用をすると、その結果、帯電能力が低いものが、最終的に残り、長期使用後に、画像かぶりや飛散を生じていた。
これに対して、上記構成とすることで、これらの問題も解決することができた。表1に、従来の例と実施例1での評価結果を示す。
表1は、キャリア付着、ゴースト、濃度、ベタ黒追従(トナー移動度)、(トナーに対する)選択搬送性、画像かぶり、トナー飛散についての評価結果を示す表である。
ここで、従来例1とは、磁気ブラシロール22とドナーロール21間に一定の200〜400Vの直流電圧をかけたものを示す。
従来例2とは、磁気ブラシロール22とドナーロール21間に一定の0〜200Vの直流電圧をかけたものを示す。
表1に示すように、キャリア付着について、初期はいずれのバイアスでも問題はない。
一方、従来例1に関しては、200〜400Vまで振っても、ゴースト画像がでる。また、従来例2では、ゴーストレベルはよくなるがドナーロール21へトナーが供給されないために、濃度がまったくでない状態である。すなわち、濃度も出して、ゴーストもなくすことは困難であった。
これに対して、本実施例1では、ゴーストをなくすことができた。また、べた追従性については、本実施例のように、磁気ブラシロール22からドナーロール21へニップ間、即ち、現像剤供給領域Bで次第にコントラストを大きくすることで、ニップ間で電界勾配を持つことにより、ニップの下流においてのトナー供給性を向上することができ、べた追従性もよくなった。すなわち、電界が変化する交流成分のような効果を直流成分で実現している。結果として、飛翔しないトナーが磁気ブラシロール22に溜まらないので、選択搬送性がないトナー供給状態を実現することができた。
本実施例では、ドナーロール21と磁気ブラシロール22間のバイアスは、直流バイアスの場合を示したが、図6に示すように、交流バイアス電源34を追加して設け、交流バイアスを直流バイアスに重畳して印加してもよい。
波形としては、例えば、図7に示すようにduty30%、Vpp1000Vのようにしてもよい。
つまり、T1=0.175msec、T2=0.075msec、Vdc=−450V(Vf=700V、Vb=300V)とすることができる。
このように、ACバイアスを印加することで、トナーは更に動きやすくなり、飛翔や回収をする速度が速くなるが、結局、最終的には電界でドナーロール21へのトナーの供給は決まるので、直流成分の状態がもっとも重要となる。
選択搬送性については、初期のトナー粒径に対して耐久により磁気ブラシロール22上のトナー粒径が変化し、変化の大きいものは選択搬送性が大きく、好ましくない。この結果として、画像かぶり、トナー飛散が生じるわけであるが、本実施例では、先に述べたように、トナー供給能力が十分なため、磁気ブラシロール22からドナーロール21へ一方向にトナーが移動するため、選択搬送性がなく、その結果、耐久による画像かぶりや飛散もなくすることができた。
尚、表1における評価基準に関して、キャリア付着にあっては、A3画像でベタ画像を出力させた際のキャリア付着量で評価し、評価基準を1mg以下で○、1mg〜20mgで△、20mg以上で×とした。
ゴーストに関しては、20×20mmのべたをとり、その後、濃度0.3のHTをとった場合の濃度差が0.02未満を○、それ以上を×とした。
濃度については1.2以上を○、それ未満を×とした。
ベタ黒追従性にあっては、ベタ黒画像(FFH)をA4サイズで連続コピーした際に白抜けせず画像形成できる枚数で評価し、評価基準を200枚以下で×、200枚〜500枚で△、500枚以上で○とした。
選択搬送性にあっては、磁気ブラシロール22上のトナー粒径で評価し、トナー粒径が大きくなるとドナーロール21への移動が悪くなるため、評価基準を初期のトナー粒径に対して粗粉化の程度が1.0μm以下で○、1.0μm〜1.5μmで△、1.5μm以上で○とした。
画像かぶりについては、べた白画像上の反射濃度が0.2%未満を○、それ以上を×とした。
トナー飛散に関しては、現像まわりに飛散したトナー量が10万あたり5(5/100000)g未満を○、それ以上を×とした。
以上のように構成することで、本実施例では、電極埋め込み型のドナーロール21を有するハイブリット現像方式の現像装置において、耐久によっても磁気ブラシロール22からドナーロール21へキャリアが移動せず、画像キャリア付着のない高画質画像を出力することのできる現像装置を提供できる。
又、画像におけるゴースト画像のない現像装置を提供できる。
又、本実施例では、電極埋め込み型のドナーロール21を有するハイブリット現像方式の現像装置において、電極部材43aがドナーロール21上に間隔をもって配置されることに起因する磁気ブラシロール22からドナーロール21へのトナー移動効率低下や、高画像比率画像が続くことによる画像抜けを生じることのない現像装置を提供できる。
更に、トナーの選択性(トナー粒径、トリボ等)により、磁気ブラシ内のトナー粒径、トナー成分が変化することによる耐久による画像かぶりや、飛散を生じることなく、高速で高濃度且つ安定した現像装置を提供できた。
実施例2
次に、本発明に係る画像形成装置の第二の実施例について説明する。図8に、本実施例の画像形成装置の概略構成断面を示す。
尚、実施例1で説明したと同じ構成及び作用をなす部材については、同じ参照番号を付し、その説明を省略する。
先ず、図8を参照して、本実施例に係る画像形成装置について説明する。本実施例にて、画像形成装置は、多色画像形成装置とされ、像担持体として、ベルト状の電子写真感光体(以下、「ベルト感光体」という。)を使用する。本実施例では、感光体としては、OPCを使用した。
本実施例にて、ベルト感光体1は、駆動ローラ11、従動ローラ15及び他の支持ローラ13、14に懸架され、図中矢印R1方向に移動する。
ベルト感光体1の、駆動ローラ11と従動ローラ15との間に位置した直線部を構成する図8にて下方走行部に沿って、4色の、即ち、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの4色の現像剤を備えた現像装置2(2Y、2M、2C、2K)が配置される。
又、ベルト感光体1の従動ローラ15と支持ローラ13との間に位置した直線部を構成する図8にて右側走行部に沿って、クリーニング装置6及び帯電装置3が配置され、また、ベルト感光体1の支持ローラ13と支持ローラ14との間に位置した直線部を構成する図8にて上側走行部に沿って、転写帯電装置4及び分離帯電装置5が配置される。
上記構成により、先ず、ベルト感光体1は、帯電装置3により表面を例えば−600V(暗部電位)に一様帯電された後、画像露光装置(図示せず)によってイエロー色成分の画像露光12がなされる。画像露光12は、600dpiのLEDにより波長670nmで行なわれる。画像露光12は、結像レンズ(図示せず)を経た後、ベルト感光体1に照射され、その露光部の表面電位を画像信号レベルに応じて減衰させて像状の静電潜橡を形成する。例えば最大濃度部で−100Vにする。
この静電潜像は、イエロー色のトナーを有する2成分現像剤(トナー粒径6μm、キャリア粒系35μm)を用いた第1の現像装置2Yにより現像され、イエロー色のトナー像がベルト感光体1上に形成される。
次いで、同様に、帯電装置3によりベルト感光体1を一様帯電した後、画像露光装置(図示せず)によってマゼンタ色成分の画像露光12を行い、静電潜橡を形成する。
この静電潜像をマゼンタ色のトナーを有する2成分現像剤(トナー粒径6μm、キャリア粒系35μm)を用いた第2の現像装置2Mにより現像し、先のイエロー色のトナー像の上にマゼンタ色のトナー像を重ね転写する。
以下同様にして、第3及び第4現像装置2C、2Kを使用してベルト感光体上にシアン及びブラックトナー像を重ね転写することにより、ベルト感光体1上に4色のカラートナー像が形成される。
このカラートナー像は、転写材Sに転写帯電器4により一括転写され、分離帯電器5及びベルト感光体1の曲率によりベルト感光体1から剥離され、定着装置7にて定着された後カラープリントとして機外へと排出される。
一方、ベルト感光体1はクリーニング装置6によって残留トナーが除去された後、次の画像形成プロセスに供される。
本実施例の特徴は、像担持体であるベルト感光体に4色のカラートナー像を形成し、このカラートナー像を転写材に一括転写するフルカラー色画像形成装置に本発明を適用したことである。複数の色を用いる現像方式は、白黒よりも画像形成装置に求められる画像レベルが高い。
本実施例は、各現像装置2(2Y、2M、2C、2K)に対して、上記実施例1で説明したと同様の構成及び作用をなす2成分現像剤を使用したハイブリッド現像方式を用いている。
図9に本実施例で使用した各現像装置2(2Y、2M、2C、2K)の詳細を示す。本実施例では、ドナーロール21と、磁気ブラシロール22とが縦方向に配置されているが、本実施例の現像装置2におけるドナーロール21と磁気ブラシロール22の構成及び作用は、実施例1で説明した現像装置2と同様とされるので、同じ構成及び作用をなす部材には同じ参照番号を付し、実施例1の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
本実施例の現像装置2における、磁気ブラシロール22からドナーロール21ヘの現像剤供給領域Bの番号1から番号12の電極部材43a(43a1、43a2、43a3、・・・・、43a12)に印加するバイアス電圧を図11に示す。
本実施例では、図12に示すように、ワイピングブラシ28は、その接点線28aが三つの接点線28a1、28a2、28a3から成り、接点線28a1は、電極部材43a1、43a2、43a3にワイピング接触し、接点線28a2は、電極部材43a4、43a5、43a6にワイピング接触し、接点線28a3は、残りの電極部材43a7〜43a12にワイピング接触するように構成される。これによって、現像剤供給領域Bには、図11に示すように、三つの異なるバイアス電圧が段階的に印加されることとなる。
尚、本実施例では、磁気ブラシロール22は接地されるのではなく、直流電源36から直流バイアス電圧が印加されている。このバイアス電圧値としては、−300V程度とされる。
また、本実施例では、電極部材43aの番号1から番号3までは、即ち、電極部材43a1、43a2、43a3には、マイナスのバイアス電圧を印加することで、ドナーロール21からの現像後のトナーを磁気ブラシロール22に回収する能力を向上させることができる。これによって、更にゴーストが生じないようにすることができる。
段階状とされる各バイアス電圧間の電位差は大きくなっているが、印加する電極の距離をとっているために、リークはしない。
また、実際、現像残トナーをドナーロール21から剥ぎ取るのに、ドナーロール21と磁気ブラシロール22との間の電位差を0Vとするのではなく、マイナス電位差が生じるようにすることが効果的であり、また、現像剤供給領域Bは少なくてもよいことが分かった。
そこで、上述のように、ドナーロール21と磁気ブラシロール22の間のニップ間で、ドナーロール21から磁気ブラシロール22へとトナーを供給する幅と、磁気ブラシロール22からドナーロール21にトナーを供給する幅に差を設けた。すなわち、ドナーロール21から磁気ブラシロール22へとトナーを供給する幅を狭くし、磁気ブラシロール22からドナーロール21にトナーを供給する幅を広くすることで、ドナーロール21へのトナー供給能力をより高め、安定なトナー供給をするようにした。
また、ブラシ28の接点線28aについては、図12に示すように、三つの群、即ち、接点線28a1、28a2、28a3に分けて構成し、各接点線28a1、28a2、28a3毎に異なる大きさのバイアス電圧を設定することによって、バイアス電源数を減らすことができるので、簡単な構成にすることができる。
本実施例では、図9に示すように、ドナーロール21と磁気ブラシロール22間のバイアスは、直流バイアスの場合を示したが、交流バイアス電源を追加して設け、交流バイアスを直流バイアスに重畳して印加してもよい。本実施例では、図10に示すように、現像バイアス電源として使用する交流電源31を共用する構成とした。
波形としては、例えば、実施例1で説明した図7に示すようにduty30%、Vpp1000Vのようにしてもよい。
つまり、T1=0.175msec、T2=0.075msec、Vdc=−450V(Vf=700V、Vb=300V)とすることができる。
本実施例を実施した際の結果を上記表1に示す。
表1は、キャリア付着、ゴースト、濃度、ベタ黒追従(トナー移動度)、(トナーに対する)選択搬送性、画像かぶり、トナー飛散についての評価結果を示す表である。
表1に示すように、キャリア付着について、初期はいずれのバイアスでも問題はない。
本実施例のように構成することで、白黒のみでなくカラー化した画像形成装置においても、電極埋め込み型のドナーロール21を有するハイブリット現像方式の現像装置において、耐久によっても磁気ブラシロール22からドナーロール21へキャリアが移動せず、画像キャリア付着のない高画質画像を出力することのできる現像装置を提供できる。
又、画像におけるゴースト画像のない現像装置を提供できる。
又、本実施例では、電極埋め込み型のドナーロール21を有するハイブリット現像方式の現像装置において、電極部材43aがドナーロール21上に間隔をもって配置されることに起因する磁気ブラシロール22からドナーロール21へのトナー移動効率低下や、高画像比率画像が続くことによる画像抜けを生じることのない現像装置を提供できる。
更に、トナーの選択性(トナー粒径、トリボ等)により、磁気ブラシ内のトナー粒径、トナー成分が変化することによる耐久による画像かぶりや、飛散を生じることなく、高速で高濃度且つ安定した現像装置を提供できた。
実施例3
次に、本発明に係る画像形成装置の第三の実施例について説明する。図13に、本実施例に係る画像形成装置の概略構成断面を示す。
尚、実施例1、2で説明したと同じ構成及び作用をなす部材については、同じ参照番号を付し、その説明を省略する。
先ず、図13を参照して、本実施例に係る画像形成装置について説明する。本実施例にて、画像形成装置は、電子写真プロセスを利用したタンデム型の多色画像形成装置とされる。
つまり、本実施例によると、多色画像形成装置は、一列に配置されたイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成部、即ち、画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)と、転写材Sを担持し搬送する転写材搬送体としての搬送ベルト8とを備えている。搬送ベルト8は、転写材Sを吸着し画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)に搬送する。この転写材Sには、画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)において形成された現像剤像、即ち、トナー画像が転写され、転写材S上にフルカラー画像を形成する。
ここで、この画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)は、それぞれ、像担持体として繰り返し使用されると共に、矢示の反時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される回転ドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の表面を一様に帯電処理する帯電装置としての1次帯電ローラ3(3a、3b、3c、3d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上に形成された静電潜像を現像する現像装置2(2a、2b、2c、2d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上を露光して静電潜像を形成する画像露光装置9(9a、9b、9c、9d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上のトナーを取り除くクリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)とを備えている。
本実施例の画像形成装置にて、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)としては、直径60mmのOPC感光体を用いた。
感光体ドラム1は、各画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)では1次帯電器3により、−700Vに一様帯電を行った後、露光装置9から半導体レーザーにより800dpiの画像情報が書き込まれ、静電潜像が形成される。
その後、各画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)の感光体ドラム1に形成された静電潜像は、各色の現像装置2(2a、2b、2c、2d)によりネガ帯電のトナーで反転現像を行い、トナー像が形成される。ネガトナーの粒径は9μmであり、用いたキャリアは粒径が50μmのフェライト粒子である。
その後、転写、定着工程を行い、定着画像として出力する。
本実施例は、各現像装置2(2Y、2M、2C、2K)に対して、上記実施例1及び実施例2で説明したと同様の構成及び作用をなす2成分現像剤を使用したハイブリッド現像方式を用いている。
図14に本実施例で使用した各現像装置2(2Y、2M、2C、2K)の詳細を示す。本実施例では、実施例1で説明したと同様の構成とされる。
ただ、本実施例では、現像装置2は、一つの磁気ブラシロール22に対して、二つのドナーロール21(21A、21B)が設けられている点で実施例1の現像装置と異なる。
従って、本実施例では、ドナーロール21(21A、21B)と感光ドラム1との間には、それぞれ、現像領域A(AA、AB)が形成され、又、ドナーロール21(21A、21B)と磁気ブラシロール22との間には、それぞれ、現像剤供給領域B(BA、BB)が形成される。
従って、本実施例では当然に、現像領域A(AA、AB)にはそれぞれに、ワイピングブラシ27(27A、27B)が設けられ、又、現像剤供給領域B(BA、BB)にはそれぞれに、ワイピングブラシ28(28A、28B)が設けられる。
しかしながら、上述のように、本実施例の現像装置2におけるドナーロール21(21A、21B)と磁気ブラシロール22の構成及び作用は、実施例1で説明した現像装置2と同様とされるので、同じ構成及び作用をなす部材には同じ参照番号を付し、実施例1の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
本実施例の特徴は、図13に示すように、タンデム型のフルカラー画像形成装置であると共に、現像装置2に関しては、現像領域A(AA、AB)でワイピングブラシ27(27A、27B)によりドナーロール21の電極に印加するバイアスの交流成分と、磁気ブラシロール22からドナーロール21ヘトナーを移動させる際に用いるバイアスの交流成分とを同一電源、即ち、交流電源31を用いて、コストダウンを図ったものである。斯かる本実施例の構成は、実施例2の図10に示す構成と同様である。
尚、本実施例では、ACバイアスは、例えば、図7に示すようなバイアスを用いていることができる。
交流バイアス電源は高価であり、本実施例のように4つの現像装置2(2a、2b、2c、2d)を有する画像形成装置においては合計8つの交流電源が必要となる。本実施例によると、上記構成により、交流電源は半分となる。
また、ドナーロール21の電極部材43aに印加するDCバイアス、磁気ブラシロール22からドナーロール21に印加するDCバイアス成分は各々で最適化されている。
また、本実施例で印加するバイアスは、環境で変化するようにした。磁気ブラシロール22からドナーロール21へ供給されるトナー量は、環境によって変化し、低湿だと供給量が少なく、高湿だと供給量は増える。
このような変化に対して、ドナーロール21上のトナー量を安定させ、現像性を安定させるために、本実施例では装置本体100Aに環境センサー110を有し、絶対水分量で磁気ブラシロール22とドナーロール21の間のバイアス電源35によるバイアス電圧を変化させた。
絶対水分量の閾値は設計事項となるため、模式的に高温/高湿をH/H、常温/常湿をN/N、常温/常湿をN/Lとして、図15のようなバイアスにした。このように環境に応じて、バイアスを変化させることで、カラー機に重要な色味変動が更に少ない高画質現像を行うことができた。
本実施例を実施した際の結果を上記表1に示す。
表1は、キャリア付着、ゴースト、濃度、ベタ黒追従(トナー移動度)、(トナーに対する)選択搬送性、画像かぶり、トナー飛散についての評価結果を示す表である。
表1に示すように、キャリア付着について初期はいずれのバイアスでも問題はない。
本実施例のように構成することで、白黒のみでなくカラー化した画像形成装置においても、電極埋め込み型のドナーロール21を有するハイブリット現像方式の現像装置において、耐久によっても磁気ブラシロール22からドナーロール21へキャリアが移動せず、画像キャリア付着のない高画質画像を出力することのできる現像装置を提供できる。
又、画像におけるゴースト画像のない現像装置を提供できる。
又、本実施例では、電極埋め込み型のドナーロール21を有するハイブリット現像方式の現像装置において、電極がドナーロール21上に間隔をもって配置されることに起因する磁気ブラシロール22からドナーロール21へのトナー移動効率低下や、高画像比率画像が続くことによる画像抜けを生じることのない現像装置を提供できる。
更に、トナーの選択性(トナー粒径、トリボ等)により、磁気ブラシ内のトナー粒径、トナー成分が変化することによる耐久による画像かぶりや、飛散を生じることなく、高速で高濃度且つ安定した現像装置を提供できた。