JP4598626B2 - 流し台のシーム溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ステンレス製の薄板プレス品からなる流し台のシンクに天板を接合する際のシーム溶接方法に関する。
流し台は例えば図9の平面図でその一構成例を示すように、一般にはシンクAの開口した上端を外方に向けて縁折りしたフランジ部Bに天板Cを重ね合わせ、その重ね合わせて形成された継ぎ手をシーム溶接機で気密に接合して製作される。
従来の流し台のシーム溶接方法としては、例えば特許文献1の発明が知られている。この種の方法は、例えば図10に示すように、シンクA側の開口した上端を外方に向けて縁折りしたフランジ部Bに天板Cを重ね合わせ、その重ね合わせて形成された継ぎ手をシーム溶接機の上部電極輪11と下部電極輪12で挟みつけて加圧し、これに電流を流して双方の電極輪を回転駆動しながら継ぎ手全周を電極加圧線Wに誘導させて気密に接合する。
この場合、溶接部が製品に含まれるために、製品の表面に溶接跡すなわち凹み(圧痕ともいう)が生じると、製品の品質上当然問題となる。そこで、特許文献1の発明は、この凹みを製品の表面に生じさせないために、上部電極輪1と下部電極輪2の断面形状に着目し、下部電極輪2の先端断面幅eを小さめにすると共に被溶接物と接する部位に凸状部13を形成し、上部電極輪1に下部電極輪2よりも広い幅Eの傾斜踏み面5を形成したものである。これによれば、溶接跡の凹みは製品の目立たないフランジ部Bの裏側に付くだけで、上部電極輪1が加圧転動する製品の表面は平坦かつ滑らかになる、というものである。
特開平11−291055号公報(段落0006〜0008、図1)
しかしながら、シンクAのフランジ部Bと重ね合わせて形成された天板Cの継ぎ手である開口端角部Gは、図11に示すように、完全に平滑には至らず未溶接の端材がフランジ部Bの曲り際に浮いた状態で残存してしまう。この残存部分は通常切削除去されるが、切削除去して後に残った部分は面取りやバフ研磨加工等の複数工程により滑らかに仕上げなければならない。この未溶接部の後処理作業は仕上げ加工に先立って人手や熟練者によって行なわれてきた。この種の従来工法は、作業性の改善の他に、粉塵・騒音等による衛生・環境問題も課題となっていた。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、未溶接部の切削除去作業を軽減すると共に衛生・環境条件を改善することができる流し台のシーム溶接方法を提供することを目的とする。
請求項1にかかる発明は、シンクの底部から垂直方向に立ち上がる側板の開口縁を外方に向かって湾曲状に縁折りして水平面内に形成されたフランジ部に開口端を有する天板を重ね合わせ、その重ね合わせて形成された継ぎ手に上下から一対のシーム溶接用電極輪を当接してこれら電極間に溶接に必要とする加圧力と溶接電流を供給し、電極輪を回転駆動しつつ継ぎ手を全周にわたって気密に溶接する方法であって、上部電極輪の先端に、シンクの内側から外方に向かって次第にシンクのフランジ部から離れるように水平面に対して6度〜10度の角度で傾斜する踏み面が形成され、下部電極輪は、上部電極輪の先端断面幅と同等かまたはそれより広い先端断面幅を有し、下部電極輪の先端面に断面が平面状の平面部が形成されると共に、先端面の一端側にはシンクのフランジ部の縁折りされた湾曲面と略同等の曲率を有する曲面部が形成され、上部電極輪の踏み面が、天板に対して、下部電極輪の平面部から曲面部への曲がり際またはその近傍位置からフランジ部の曲がり際から突き出る天板の開口端角部を加圧するようにして、継ぎ手の全周にわたりマッシュシーム溶接を施すことにより、天板の開口端角部をシンクのフランジ部の縁折り際又はその近傍に沿って密着させ且つ天板の開口端角部の厚さを薄くして天板の開口端角部をシンクのフランジ部に接合する方法である。
請求項2にかかる発明は、請求項1の流し台のシーム溶接方法において、上部電極輪の先端の踏み面にシンクのフランジ部の縁折りされた湾曲面と略同等の曲率をもつ曲面が形成され、その曲面に沿って天板の開口端角部をシンクのフランジ部の縁折り際又はその近傍に密着させるようにした方法である。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2の流し台のシーム溶接方法において、シンクの底部から垂直に立ち上がる側板の内側にガイドブロックを当接させてこの側板に外方に向かう張力を付勢することによりシンクのフランジ部の縁折り際またはその近傍を外方に押圧してフランジ部の下側に下部電極輪を当接させて誘導されるフランジ部の溶接線のアライメントを安定化させ、ガイドブロックの側面に形成された逃げ溝により上部電極輪の側面を垂直方向にガイドすると共に上部電極輪を圧下させたときに上部電極輪の傾斜踏み面の先端を逃がすようにした方法である。
請求項にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一項の流し台のシーム溶接方法において、上部電極輪を一定の溶接回数または溶接長に応じて上部電極輪の先端断面幅方向にシフトさせるようにした方法である。
請求項にかかる発明は、シンクと天板の材質:ステンレス材、板厚:0.6〜0.9mm、天板出し代:2〜3mm、溶接電流:7.0〜8.0kA、上部電極輪と下部電極輪による加圧力:3.0〜8.0kNの溶接条件により溶接を行う方法である。
請求項1にかかる溶接方法によれば、加圧時の上部電極輪と下部電極輪の間の強大な加圧力で継ぎ手部の天板側の開口端角部をシンク側の底部から垂直に立ち上がる側板の開口縁を外側に湾曲状に折り曲げて形成されたフランジ部の外側方向への曲がり際またはその近傍に完全に密着させて重ね合わせ部を形成することができる。
また、天板の開口端角部をシンクのフランジ部の曲がり際に位置させて開口端角部近傍にナゲットを形成することができるために、上部電極輪と下部電極輪の間を通過する間に開口端角部が抵抗加熱と高い加圧力によって塑性流動して板厚が薄くなると同時に正常なナゲットがシンクのフランジ部の曲がり際に沿って連続的に形成される。したがって、従来のような天板の開口端角部の切削加工や面取り加工などの溶接後の荒削り工程が省略できる他、溶接品質の向上、溶接後処理工数削減によるコストカット、生産性の向上、設備省力化を同時に図ることができる。また、従来行なわれてきた未溶接部の後処理作業の軽減化により、衛生・環境条件を大幅に改善することができる。
請求項2にかかる溶接方法によれば、天板の開口端角部をシンクのフランジ部の上に密着させ、フランジ部の湾曲状の曲がり際で所望の継ぎ手厚さまでマッシュダウンしながらシーム溶接することができ、開口端角部を溶接と同時に平滑加工することができる。このため、溶接後の仕上げ工数を省略することが可能となる。
請求項3にかかる溶接方法によれば、ガイドブロックがシンクの内側から外方に向かって張力を付勢してシンクの内側からフランジ部の曲がり際を押圧することで継ぎ手近傍の変形を防止し、継ぎ手精度の向上を図ることができる上に、ガイドブロックの垂直面を上部電極輪の側面に当接させることにより溶接時の加圧方向の動きと上部電極輪の回転時の動きとをガイドすることもでき、溶接時における上部電極輪と下部電極輪の間に継ぎ手を導く際の溶接軌跡のアライメントを安定化することが可能となり、薄板特有のシーム溶接時の熱影響によるワーク変形や熱歪にも十分に対応することができる。
また、天板の開口端角部が常時同じ踏み面のところに当るとその部分が異常消耗し、凹みや段差ができ、溶接時に溶接軌跡が位置ズレして表面ビード荒れ等が生じるおそれがある。この場合、ナゲットの正常な生成が難しく、溶接軌跡も安定しなくなる。これを修正するためには一般に消耗変形した電極面の研削やドレッシングなどによる電極整形処理を頻繁に行なわなければならない。
これに対し、請求項にかかる溶接方法によれば、上部電極輪を一定の溶接回数または溶接長に応じて上部電極輪の先端断面幅方向にシフトさせることによって、電極消耗量を上部電極輪の先端断面幅方向へ分散させることで、過剰な電極研削や整形処理回数を削減し、上部電極輪の寿命延長を図ると共に、軌跡位置ズレを防止し、滑らかな表面ビードを形成することで溶接軌跡の安定化を図ることができる。
また、請求項の溶接条件によれば、溶接部の塑性変形による板厚減少と同時にフランジの平面から曲面への移り際に正常な溶接ナゲットを生成することができ、しかも溶接部に圧痕や歪がなく天板の開口端角部を平滑に接合することができる。

以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1にこの発明の実施の形態1に係る流し台のシーム溶接方法を示す。上部電極輪1と下部電極輪2はそれぞれ銅又は銅合金からなり、上部電極輪1は略12〜15mm程度の先端断面幅E1を有し、下部電極輪2は上部電極輪1の先端断面幅E1と同等かまたはそれより広幅の先端断面幅E2を有している。下部電極輪2の先端面に、断面が平面状の平面部3が形成されると共に、先端面の一端側には、シンクAのフランジ部Bの表面を傷つけないようにフランジ部Bの縁折りされた湾曲面と略同等の曲率を有する曲面部4が形成されている。
一方、上部電極輪1の先端には、シンクAの内側から外方に向かって次第にシンクAのフランジ部Bから離れるように水平面に対する傾斜角度が略8度程度の傾斜踏み面5が形成されている。この上部電極輪1の傾斜踏み面5の加圧線Wは、下部電極輪2の平面部3から曲面部4への曲がり際またはその近傍に位置している。
流し台はワーク板厚0.6mm〜0.8mm程度の薄いステンレス板から形成される。シンクAは水槽にあたる部分が有底面Fから垂直方向に立ち上がる側板Dの上端の開口縁を外方に向かって湾曲状に折り返して水平面内にフランジ部Bがプレス形成されたものである。天板CにはシンクAのフランジ部Bの上に重ねられる開口端が形成されている。天板Cの開口端角部GはシンクAの垂直方向に立ち上がる側板Dの内側延長線aから開口端の上端を外方に向かってフランジ部Bが縁折りされた湾曲面の曲がり際の加圧線Wまでの中間点bを天板の出し代として略2.0mm程度内側に位置させて平坦なフランジ部Bの上に重ね合わせる。
これによって天板Cの開口端角部Gはフランジ部Bの湾曲面から水平面内に僅かに突き出た状態でフランジ部Bの上に継ぎ手が形成される。かくして形成された継ぎ手には図1に示すように水平面内に突き出た開口端角部Gとフランジ部Bの湾曲面との間に僅かな断面三角形状の隙間Sが形成されるが、フランジ部Bと天板Cとがズレないようスポット溶接により仮付けされる。仮付けされた後、ワークは産業用ロボットまたはマニュピュレータ等の自動搬送機によってマッシュシーム溶接機に搬送され、このシーム溶接機により継ぎ手部分の全周に対して本溶接が行なわれる。
ワークは手持ちで誘導するか、またはシンクAの形状と相似形のバックバーをフランジ部Bの下側に当てがい、バックバーをリンク機構等の自動倣い機構によりシーム溶接機の電極輪の回転力で溶接軌跡を倣い誘導して溶接が行なわれる。フランジ部Bと天板Cとの継ぎ手はシーム溶接機の上部電極輪1と下部電極輪2との間の加圧点Wにおいて誘導され、継ぎ手全周にわたって気密に溶接される。
このようにすることにより、天板Cの開口端角部Gをフランジ部Bの水平面から湾曲面に移る縁折り際R(曲がり際ともいう)又はその近傍に密着させて接合することができる。
実施の形態1の方法により接合された天板Cの開口端角部GとシンクAのフランジ部Bとの継ぎ手溶接部を光学顕微鏡で撮影した断面写真を図2に示す。天板Cの開口端角部Gの近傍にナゲットNが形成されている様子が示されている。上部電極輪1と下部電極輪2との間を通過するときに開口端角部Gが抵抗加熱と高い加圧力によって塑性流動して板厚が所望の厚さまで薄くなると同時にナゲットがフランジ部Bの曲がり際に沿って連続的に形成される。このようにして、開口端角部Gをフランジ部Bに平滑に接合することができる。
実施の形態2
図3に実施の形態2に係る流し台のシーム溶接方法を示す。この実施の形態2においては、上述した実施の形態1の上部電極輪1の傾斜踏み面5に代わって下部電極輪2の曲面部4と略同等の曲率半径に適合する湾曲踏み面6が形成された上部電極輪1が用いられる。下部電極輪2は実施の形態1で用いられたものと同じく、上部電極輪1の先端断面幅E1と同等かまたはそれより広幅の先端断面幅E2を有し、その先端面に平面部3と曲面部4とを有している。
上部電極輪1の湾曲踏み面6が下部電極輪2の曲面部4と略同等の曲率半径を有するため、継ぎ手における天板Cの開口端角部Gに強力な加圧力をかけながら通電・加熱溶融して湾曲踏み面6で溶接することができる。
実施の形態3
図4に実施の形態3に係る流し台のシーム溶接方法を示す。シンクAと天板Cは0.6mm程度の薄板プレス品であるため、シーム溶接機にセットするときに継ぎ手が安定しないおそれがある。そこで、この実施の形態3は、溶接線のアライメントをよくするため、継ぎ手の近くを押えるガイドブロック7を使用した方法である。ガイドブロック7は、上部電極輪1の加圧方向のガイドと回転方向へのガイドを兼ねるもので、絶縁性の合成樹脂材又はウレタンゴムや絶縁被覆された金属から形成されている。
図5に示されるように、ガイドブロック7は図示しないシリンダ又はモーターなどのアクチュエータまたはバネなどの弾性機構等の駆動ロッド9の先端に連結されていて、シンクAの側板Dを内側から外方に向けて張力を付勢させてフランジ部Bの正規溶接線の位置ズレを防止している。この場合、シンクAの側板Dから開口端の上端を縁折りしたフランジ部Bの近傍をガイドブロック7が継ぎ手全周方向に沿ってリング状に押えるか、または継ぎ手を周方向に適当な間隔をもって直線部とコーナー部とに分けてブロック毎に押えるようにしてもよい。
ガイドブロック7は、シンクAの底部Fから垂直に立ち上がる側板Dの上端部の縁折り際又はその近傍を内側から外側に向かって押圧し、開口端角部Gを重ね合わせたフランジ部Bの下側に下部電極輪2を当接してフランジ部Bの溶接線を電極位置に誘導する際に、溶接線のアライメントを安定させる。
図4に示されるように、ガイドブロック7には逃げ溝8が形成されている。この逃げ溝8は、上部電極輪1の側面を垂直方向にガイドするためであり、上部電極輪1を圧下させたときに上部電極輪1の傾斜踏み面5の先端を逃がすための逃げ溝としても作用する。また、上部電極輪1が圧下しつつ回転駆動するときにも上部電極輪1の側面を逃げ溝8の垂直面でガイドすることによりフランジ部Bの溶接線の誘導を常に安定させることができるため、シーム溶接時の熱膨張・熱歪によるワーク変形を防止することが可能となる。
なお、図4及び5には実施の形態1で用いた傾斜踏み面5を有する上部電極輪1が示されているが、湾曲踏み面6を有する上部電極輪1を用いる実施の形態2のシーム溶接方法にこの実施の形態3のガイドブロック7を適用することもできる。
実施の形態4
図6に実施の形態4に係る流し台のシーム溶接方法を示す。上部電極輪1の傾斜踏み面5には常時天板Cの開口端角部Gが当たるため、マッシュ溶接に必要な強大な加圧力と加熱によりこの傾斜踏み面5の消耗が無視できなくなる。そこで、この実施の形態4は、上部電極輪1による加圧線Wが傾斜踏み面5の特定の箇所に固定されないように、上部電極輪1を有するシームヘッドを図示しないシフト機構に取り付けて、上部電極輪1を電極先端断面幅方向(図6の矢印方向又は逆方向)へ移動させるようにした方法である。シフト機構により、所定の溶接回数又は溶接毎に毎回少しずつ上部電極輪1を電極先端断面幅方向にシフトさせるか、もしくはシーム溶接長に応じて上部電極輪1の傾斜踏み面5を溶接過程中に電極先端断面幅方向に移動させる。これにより、上部電極輪1の消耗量を傾斜踏み面5の電極先端断面幅方向へ分散させることができる。したがって、過剰な電極研削や整形処理回数を削減して電極輪の寿命延長を図ると共に、軌跡位置ズレを防止して滑らかな表面ビードを形成することで溶接軌跡の安定化を図ることができる。
試験結果
本発明の溶接方法を次の溶接条件に基づき溶接試験を行い、溶接品質を確認した。
1.上部電極輪の傾斜条件
傾斜角度が6度未満では、天板の開口端角部又はこれに近いところに溶接部を生成することができなかった。また10度を越えると、天板の加圧力が開口端角部に掛かりすぎて溶接時に中散りが生じ、不規則表面ビートを発生した。研削工程は従来同様に必要であった。内部欠陥のない良好なナゲットを開口端角部またはその近傍に生成するためには、傾斜角度の最適値を6〜10度に限定することが好ましい条件であることが判明した。
2.流し台の板厚条件(ステンレス製シンクと天板)
板厚が0.5mm以下では、薄すぎてナゲットの形成が難しく、電極輪の踏み面にピックアップされやすくなる。一方、板厚が1.0mm以上では、溶接加圧時に天板が湾曲し難く、表散りによる内部欠陥が発生しやすくなった。板厚の最適値は、0.6〜0.9mmに限定することが好ましい。
3.天板出し代条件
天板出し代を1mm以下に設定すると、天板の開口端角部とフランジ部の縁折り際に溶接部を生成することができなかった。一方、天板出し代が4mm以上では、天板が湾曲し難く、表散りによる内部欠陥が発生しやすくなった。天板の開口端角部をフランジ部の湾曲状の縁折り際に圧下し、所望の継ぎ手厚さまで平滑に減少する効果を得るためには、最適値2〜3mmが好ましい。
4.溶接電流条件
溶接電流が6.0kA以下では、溶接部の連続ナゲットを得ることができなかった。また、溶接電流が10kA以上では、表散り、中散り、不規則ビードが顕著に発生してナゲットに内部欠陥が生じてしまった。溶接速度を3m/minとした場合では、溶接品質上、7.0〜9.0kAが適正電流値であることを確認した。
5.電極加圧力条件
上部電極輪及び下部電極輪による加圧力を2.0kN以下にすると、溶接部の圧力が不足して表散り、中散り、不規則ビードが発生してナゲットに内部欠陥が残留した。また、加圧力の上限値を6.0kA以上にすると、溶接部の加圧力が強すぎて安定した溶接軌跡が得られないので、不規則ビードや不完全ナゲットが発生した。天板の継ぎ手表面に圧痕を発生させないで健全なナゲットを形成するためには、加圧力の適正値は3.0〜8.0kNであることがわかった。
かくして、本発明に係る溶接方法の溶接パラメータによれば、シンクと天板の材質:ステンレス材(sus304)、板厚:0.6〜0.9mm、天板出し代:2〜3mm、溶接電流7.0〜8.0kA、加圧力:3.0〜8.0kN、上部電極輪の踏み面の傾斜角度:6°〜10°の範囲内であれば、光学顕微鏡400〜500倍の拡大写真で撮影した図7のコーナーフランジ部の溶接断面写真及び図8の直線フランジ部の溶接断面写真に示されるように、健全なナゲットが天板の開口端角部近傍に生成され、しかもフランジ部の湾曲状に縁折りされた縁折り際に密着した状態で継ぎ手厚さを平滑に減少した良好な溶接結果が得られることが判明した。
本発明は、流し台の以外に、浴槽、タンク類、パッケージ等のシーム溶接に応用することもできる。とりわけ薄板の重ね代の先端角部を溶接線とする場合にガイドブロックを利用することで溶接アライメントを安定させることができ、フランジ部の縁折り際に完全に密着しつつ所望の継ぎ手厚さまで平滑に減少することができるため、先端角部の製品化が可能となり、溶接後の未溶接端材の切削工程を省略することができ、材料歩留まりの改善にも寄与することができる。
本発明の実施の形態1に係る流し台のシーム溶接方法を示す図である。 実施の形態1の方法により接合された天板の開口端角部とシンクのフランジ部との継ぎ手溶接部を光学顕微鏡で撮影した断面写真である。 本発明の実施の形態2に係る流し台のシーム溶接方法を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る流し台のシーム溶接方法を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る流し台のシーム溶接方法を示す図である。 本発明の実施の形態4に係る流し台のシーム溶接方法を示す図である。 本発明の溶接方法で溶接したコーナーフランジ部を光学顕微鏡で撮影した断面写真である。 本発明の溶接方法で溶接した直線フランジ部を光学顕微鏡で撮影した断面写真である。 流し台の一構成例を示す平面図である。 従来方法における上部電極輪と下部電極輪の先端断面形状を示す断面図である。 従来方法で接合された天板の開口端角部とシンクのフランジ部との継ぎ手溶接部を光学顕微鏡で撮影した断面写真である。
符号の説明
1 上部電極輪、2 下部電極輪、3 平面部、4 曲面部、5 傾斜踏み面、6 湾曲踏み面、7 ガイドブロック、8 逃げ溝、9 駆動ロッド、A シンク、B フランジ部、C 天板、D 側板、E 電極先端断面幅、F 底部、G 開口端角部、R 縁折り際、S 隙間、W 加圧線。

Claims (5)

  1. シンクの底部から垂直方向に立ち上がる側板の開口縁を外方に向かって湾曲状に縁折りして水平面内に形成されたフランジ部に開口端を有する天板を重ね合わせ、その重ね合わせて形成された継ぎ手に上下から一対のシーム溶接用電極輪を当接してこれら電極間に溶接に必要とする加圧力と溶接電流を供給し、前記電極輪を回転駆動しつつ前記継ぎ手を全周にわたって気密に溶接する方法であって、
    上部電極輪の先端に、シンクの内側から外方に向かって次第にシンクのフランジ部から離れるように水平面に対して6度〜10度の角度で傾斜する踏み面が形成され、
    下部電極輪は、上部電極輪の先端断面幅と同等かまたはそれより広い先端断面幅を有し、下部電極輪の先端面に断面が平面状の平面部が形成されると共に、先端面の一端側にはシンクのフランジ部の縁折りされた湾曲面と略同等の曲率を有する曲面部が形成され、
    上部電極輪の踏み面が、天板に対して、下部電極輪の平面部から曲面部への曲がり際またはその近傍位置からフランジ部の曲がり際から突き出る天板の開口端角部を加圧するようにして、前記継ぎ手の全周にわたりマッシュシーム溶接を施すことにより、天板の開口端角部をシンクのフランジ部の縁折り際又はその近傍に沿って密着させ且つ天板の開口端角部の厚さを薄くして天板の開口端角部をシンクのフランジ部に接合することを特徴とする流し台のシーム溶接方法。
  2. 上部電極輪の先端の踏み面にシンクのフランジ部の縁折りされた湾曲面と略同等の曲率をもつ曲面が形成され、その曲面に沿って天板の開口端角部をシンクのフランジ部の縁折り際又はその近傍に密着させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の流し台のシーム溶接方法。
  3. シンクの底部から垂直に立ち上がる側板の内側にガイドブロックを当接させてこの側板に外方に向かう張力を付勢することによりシンクのフランジ部の縁折り際またはその近傍を外方に押圧してフランジ部の下側に下部電極輪を当接させて誘導されるフランジ部の溶接線のアライメントを安定化させ、ガイドブロックの側面に形成された逃げ溝により上部電極輪の側面を垂直方向にガイドすると共に上部電極輪を圧下させたときに上部電極輪の傾斜踏み面の先端を逃がすようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流し台のシーム溶接方法。
  4. 上部電極輪を一定の溶接回数または溶接長に応じて上部電極輪の先端断面幅方向にシフトさせるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の流し台のシーム溶接方法。
  5. 下記の溶接条件により溶接を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の流し台のシーム溶接方法。
    シンクと天板の材質:ステンレス材
    板厚:0.6〜0.9mm
    天板出し代:2〜3mm
    溶接電流:7.0〜8.0kA
    上部電極輪と下部電極輪による加圧力:3.0〜8.0kN
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