JP4598413B2 - 貼り合わせウエーハの製造方法及び貼り合わせウエーハの酸化膜除去用治具 - Google Patents
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具体的には、例えば、鏡面研磨された2枚のシリコンウエーハを用意し、少なくとも一方のウエーハに酸化膜を形成させる。そして、これらのウエーハを接合させた後、200〜1200℃の温度で熱処理して結合強度を高める。その後、素子作製側ウエーハ(ボンドウエーハ)を研削及び研磨して所望の厚さまで薄膜化することにより、SOI(silicon on insulator)層が形成された貼り合わせSOIウエーハを製造することができる。
このような貼り合わせウエーハをデバイス工程に投入すると、残留する未結合部分がデバイス工程で剥離し、パーティクルを発生させ、デバイス歩留りを低下させてしまう。
そのため、薄膜化後のボンドウエーハの上面に周辺部が露出するようにマスキングテープを貼り付けてエッチングを行うことにより、残留する未結合部分を予め除去する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
イオン注入剥離法では、例えば2枚のシリコンウエーハのうち少なくとも一方に酸化膜を形成するとともに、薄膜化する側のウエーハ(ボンドウエーハ)の上面から水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、ウエーハ内部に微小気泡層(封入層)を形成させる。次いで、イオン注入面を、酸化膜を介して基台となる他方のウエーハ(ベースウエーハ)と接合させる。その後、熱処理(剥離熱処理)を加えて微小気泡層を劈開面(剥離面)としてボンドウエーハを剥離する。このとき、ボンドウエーハの未結合部分は剥離された側のウエーハ(剥離ウエーハ)に残り、ベースウエーハ上には小径の薄膜化されたボンドウエーハ、すなわち薄膜状のシリコン層(SOI層)が形成される。さらに熱処理(結合熱処理)を加えて強固に結合させることでSOIウエーハを得ることができる。
さらに、イオン注入剥離法では、剥離後、ボンドウエーハの周辺部分を除去する工程が不要であるとされていた。
このような方法によれば、マスキングテープ等により保護された部分以外の表面がエッチングされることになる。従って、エッチング液を適宜選択し、マスクされた部分以外の露出しているSOI層等の周辺部を除去する。さらにマスキングテープ等を除去した後、残留した酸化膜をマスクとしてエッチングを行うことも提案されている。
そして、フォトレジスト等によりマスクする場合に比べ設備も少なく、真空チャックにより容易にかつ短時間で着脱することができるため作業が簡素化され、また、使用するエッチング液も少なくて済む。
ボンドウエーハとしてシリコンウエーハを用いたSOIウエーハが汎用されており、本発明を適用すれば、高生産性、低コスト化を達成することができ、特に有効となる。
HF水溶液は酸化膜に対するエッチング効果が高く、その蒸気により露出した酸化膜を確実に除去することができる。
イオン注入剥離法によれば、ベースウエーハ上に極めて薄い膜を形成した貼り合わせウエーハとするができる。従って、極めて高品質の貼り合わせウエーハを、より高い生産性で製造することができる。
このように、薄膜化されたボンドウエーハ上に残留した酸化膜をマスクとしてアルカリエッチングを行えば、薄膜化されたボンドウエーハのうち結合力の小さい周辺部を確実に除去することができる。
前記貼り合わせウエーハを吸着保持する真空チャックと、前記酸化膜を除去するためのエッチング液を収容する容器とを具備し、
前記真空チャックは、真空ポンプと通じるチャック本体と、該チャック本体と一体化され、前記薄膜化されたボンドウエーハ側又はベースウエーハ側の保護すべき酸化膜が形成されている部分を吸着保持する保持部を有するものであり、
前記容器は、前記エッチング液を収容する容器本体と、該容器本体の側壁から内側に突出する支持部を有するものであり、
前記真空チャックにより、前記薄膜化されたボンドウエーハ側又はベースウエーハ側の保護すべき酸化膜が形成されている部分を吸着保持し、該吸着保持された側と反対側を前記容器の支持部で支持し、該反対側を前記容器内に収容されているエッチング液の蒸気にさらすことにより、該反対側から、前記吸着保持された側の周辺部分に前記エッチング液の蒸気を回り込ませ、前記真空チャックにより保護された部分以外の表面に形成されている酸化膜を除去するものであることを特徴とする貼り合わせウエーハの酸化膜除去用治具が提供される。
このように支持部が4ヶ所に等間隔で設けられていれば、貼り合わせウエーハを安定して支持する一方、容器本体からのエッチング液の蒸気の回り込みを妨げることなく、露出した酸化膜を確実に除去することができる。
従って、フォトレジスト等によりマスクする場合に比べ、必要となる設備も少なく、作業が簡素化されるので、高品質の貼り合わせウエーハを容易に、且つ低コストで製造することができる。
図1は、イオン注入剥離法によりSOIウエーハを製造する工程の一例を示すフロー図である。
まず、基台となるベースウエーハ1とSOI層となるボンドウエーハ2として、2枚のシリコン鏡面ウエーハを準備する(図1(a))。
そして、少なくとも一方のウエーハ、ここではボンドウエーハ2を熱酸化し、表面に例えば0.1μm〜2.0μm厚の酸化膜3を形成する(図1(b))。
表面に絶縁膜(酸化膜)3を形成したボンドウエーハ2の片面に対して水素イオンを注入し、イオンの平均進入深さにおいて表面に平行な微小気泡層(封入層)4を形成させる(図1(c))。このときの注入温度は例えば25〜450℃とすることができる。なお、水素イオンのほかに希ガスイオンあるいは、これらの両方を注入しても良い。
例えば不活性ガス雰囲気下約500℃以上の温度で熱処理を加えれば、結晶の再配列と気泡の凝集とによって剥離ウエーハ5とSOIウエーハ6(SOI層7+埋め込み酸化膜3+ベースウエーハ1)に分離される。このとき、図1(e)に示されているように、酸化膜3とSOI層7の未結合部分8(例えば、ベースウエーハ1の外周端から約1mm〜2mm程度の幅の領域)は剥離ウエーハ5に残り、ベースウエーハ1と結合している部分だけが薄膜9(SOI層7+酸化膜3)としてベースウエーハ1上に形成される。これにより、ベースウエーハ1上には、ベースウエーハ1よりも小径の薄膜化されたボンドウエーハ(SOI層)7が形成されることになる。
そこで、SOI層7の剥離し易い周辺部分を除去する必要があり(図1(g))、本発明では以下のようにして周辺部分を除去する。
まず、前記の結合熱処理として、酸化性ガス雰囲気下、例えば1050℃〜1200℃で30分から2時間の熱処理を行う。このような熱処理により、結合力を高めることができるとともに、図3(A)に示されるようにSOIウエーハ6の全面に酸化膜10が形成される。
図4は、真空チャック21の構成の一例を示している。この真空チャック21は、図4(C)、(D)に示されるように、吸引口24を介して真空ポンプ(不図示)と通じるチャック本体22と、チャック本体22と一体化された保持部23を有している。この保持部23により、薄膜化されたボンドウエーハ側の保護すべき酸化膜が形成されている部分を吸着保持することができる。なお、ベースウエーハ側の酸化膜を残留させる場合には、保持部23によりベースウエーハ側の保護すべき酸化膜が形成されている部分を吸着保持することもできる。
真空チャック21は、例えばゴム、特にバイトン製ゴムで一体成形したものとすれば耐食性と柔軟性に優れるため、SOIウエーハ6を確実に吸着保持することができる。
容器31の材質としては、耐薬性が高いものとし、収容するエッチング液にもよるが、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のものとすることが好ましい。
保護すべき酸化膜(エッチング後に残留させる酸化膜)は目的により異なるが、例えばSOI層7の結合力が小さい部分や、周囲の微小な凹凸部分を除去する場合には、これらの部分よりも内側に形成されている酸化膜に相当する。なお、結合力が十分でない周辺部は、通常、ベースウエーハ1の外周端から0.5〜5mmまでの領域に存在しているため、この範囲の領域よりも内側の部分の酸化膜を保護すれば良い。
また、真空チャック21の保持部23は、保護すべき酸化膜10aの外周部分にのみ接触してSOIウエーハ6を吸着保持することができるため、SOI層7等の汚染やキズの発生を防止することができる点でも有利である。
これにより、SOIウエーハ6のベースウエーハ側が容器内に収容されているHF水溶液40からの蒸気(HF−Vp)にさらされ、さらにその蒸気は、SOIウエーハ6と容器本体32と間の隙間を通じてベースウエーハ側から、薄膜化されたボンドウエーハ(SOI層)7側の周辺部分に回り込むことになる(図2(B)、図3(B))。
例えば、容器内に純水41を満たすことにより表面に付着しているHFを除去することができる。
例えば、SOIウエーハ6を、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等の強アルカリエッチング液中に所定時間だけ浸漬する。なお、このようなアルカリエッチングを施すと、SOI層7の露出している周辺部のみならず、ベースウエーハ1のSOI層7が形成されていない外側の部分(テラス部)や背面側もエッチングされるが、微量であるため特に問題とならない。
図6(A)(B)は、熱処理後、ベースウエーハ側の酸化膜10bを残留させた貼り合わせSOIウエーハを製造する場合の形状変化を概略的に示している。なお、図6に示されたSOIウエーハ6は、ボンドウエーハとベースウエーハ1の両方に予め酸化膜3を形成して接合させたものである。
そして、ベースウエーハ1側を吸着保持されたSOIウエーハ6の薄膜化されたボンドウエーハ7(SOI層)側をエッチング液の蒸気にさらす。これにより、薄膜化されたボンドウエーハ側から、ベースウエーハ側の周辺部分にエッチング液(フッ酸溶液)の蒸気を回り込ませ、真空チャック21により保護された部分以外の表面に形成されている酸化膜10を除去することができる(図6(B))。
このような方法により製造されたSOIウエーハ6bは、ベースウエーハ1の両面にほぼ同様の酸化膜3,10bが形成されたものとなる。従って、反りの発生を効果的に防止することができる高品質のSOIウエーハを容易に製造することができる。
また、酸化膜除去用治具に関しても、図示したものに限定されず、例えば容器の支持部の数、位置は、エッチング液が貼り合わせウエーハの背面側から薄膜側周辺部分に回り込むように適宜設定すれば良い。
4…微小気泡層(封入層)、 5…剥離ウエーハ、 6,6a,6b…SOIウエーハ、 7…薄膜化されたボンドウエーハ(SOI層)、 8…未結合部分、 10,10a,10b…酸化膜、 20…酸化膜除去用治具、 21…真空チャック、 22…チャック本体、 23…保持部、 24,25…吸引口、 26…当て板、 27…取っ手、 31…容器、 32…容器本体、 33…支持部。
Claims (9)
- 少なくとも、ベースウエーハとボンドウエーハを直接又は絶縁膜を介して接合させる工程と、前記ボンドウエーハ側を薄膜化する工程と、該薄膜化工程後、酸化性雰囲気中で熱処理する工程を有し、前記ベースウエーハ上に該ベースウエーハよりも小径の薄膜化されたボンドウエーハが形成された貼り合わせウエーハを製造する方法であって、前記熱処理工程後、前記薄膜化されたボンドウエーハ側の保護すべき酸化膜(残留させる酸化膜)が形成されている部分を真空チャックにより吸着保持し、該貼り合わせウエーハのベースウエーハ側をエッチング液の蒸気にさらすことにより、ベースウエーハ側から、薄膜化されたボンドウエーハ側の周辺部分に前記エッチング液の蒸気を回り込ませ、前記ベースウェーハ側の酸化膜及び前記ボンドウェーハ側の周辺部分までの酸化膜を前記エッチング液の蒸気によりエッチングし、前記真空チャックにより保護された部分以外の表面に形成されている酸化膜を除去することを特徴とする貼り合わせウエーハの製造方法。
- 少なくとも、ベースウエーハとボンドウエーハを絶縁膜を介して接合させる工程と、前記ボンドウエーハ側を薄膜化する工程と、該薄膜化工程後、酸化性雰囲気中で熱処理する工程を有し、前記ベースウエーハ上に該ベースウエーハよりも小径の薄膜化されたボンドウエーハが形成された貼り合わせウエーハを製造する方法であって、前記熱処理工程後、前記ベースウエーハ側の保護すべき酸化膜(残留させる酸化膜)が形成されている部分を真空チャックにより吸着保持し、該貼り合わせウエーハの薄膜化されたボンドウエーハ側をエッチング液の蒸気にさらすことにより、薄膜化されたボンドウエーハ側から、ベースウエーハ側の周辺部分に前記エッチング液の蒸気を回り込ませ、前記真空チャックにより保護された部分以外の表面に形成されている酸化膜を除去することを特徴とする貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記ベースウエーハとボンドウエーハのうち、少なくともボンドウエーハとしてシリコンウエーハを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記エッチング液として、HF水溶液を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記ボンドウエーハ側の薄膜化を、イオン注入剥離法により行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記薄膜化されたボンドウエーハ側の保護すべき酸化膜が形成されている部分を真空チャックにより吸着保持する場合であって、前記真空チャックにより保護された部分以外の表面に形成されている酸化膜を除去した後、該貼り合わせウエーハを水で洗浄し、該貼り合わせウエーハから真空チャックを外し、該貼り合わせウエーハにアルカリエッチングを施すことにより、前記真空チャックにより保護されて残留した酸化膜をマスクとして、前記薄膜化されたボンドウエーハの周辺部を除去することを特徴とする請求項1、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記薄膜化されたボンドウエーハの周辺部を除去した後、前記薄膜化されたボンドウエーハ上に残留する酸化膜を、HF水溶液により除去することを特徴とする請求項6に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- ベースウエーハ上に直接又は絶縁膜を介して、薄膜化されたボンドウエーハが形成されている貼り合わせウエーハの表面に形成されている酸化膜の一部を除去するための酸化膜除去用治具であって、
前記貼り合わせウエーハを吸着保持する真空チャックと、前記酸化膜を除去するためのエッチング液を収容する容器とを具備し、
前記真空チャックは、真空ポンプと通じるチャック本体と、該チャック本体と一体化され、前記薄膜化されたボンドウエーハ側又はベースウエーハ側の保護すべき酸化膜(残留させる酸化膜)が形成されている部分を吸着保持する保持部を有するものであり、
前記容器は、前記エッチング液を収容する容器本体と、該容器本体の側壁から内側に突出する支持部を有するものであり、
前記真空チャックにより、前記薄膜化されたボンドウエーハ側又はベースウエーハ側の保護すべき酸化膜が形成されている部分を吸着保持し、該吸着保持された側と反対側を前記容器の支持部で支持し、該反対側を前記容器内に収容されているエッチング液の蒸気にさらすことにより、該反対側から、前記吸着保持された側の周辺部分に前記エッチング液の蒸気を回り込ませ、前記真空チャックにより保護された部分以外の表面に形成されている酸化膜を除去するものであることを特徴とする貼り合わせウエーハの酸化膜除去用治具。 - 前記支持部が、前記容器本体の4ヶ所に等間隔で設けられているものであることを特徴とする請求項8に記載の貼り合わせウエーハの酸化膜除去用治具。
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