本発明の一実施形態について図1ないし図23に基づいて説明すると以下の通りである。
(実施の形態1)
<装置全体の構成説明>
図1は、実施の形態1に係る欠陥修復装置1の外観を示す斜視図である。図2は、欠陥修復装置1の模式的断面図である。
欠陥修復装置1は、基体2を備えている。液滴吐出装置1には、基体2上に搭載され基板搬入及び搬出時に移動する基板載置台3と、基板載置台3の上方を該台に接触することなく横断しているヘッドガントリーユニット7とが設けられている。ヘッドガントリーユニット7は、基体2に連結しているガントリースライド機構4により、一方向(図1のY方向に平行な方向)に往復移動できる構成となっている。
ヘッドガントリーユニット7の側面には、液滴吐出ユニット11をヘッドガントリーユニット7の移動方向(図1のY方向に平行な方向)とは異なる方向(図1のX方向に平行な方向)に移動させることのできる吐出ユニットスライド機構10が搭載されており、吐出ユニットスライド機構10上に搭載された液滴吐出ユニット11は、吐出ユニットスライド機構10上の移動可能領域の範囲内で、ヘッドガントリーユニット7の移動方向と異なる方向(図1のX方向に平行な方向)に移動可能となっている。
液滴吐出ユニット11は、ヘッドガントリーユニット7の側面に、複数個(図1では9個)搭載され、それぞれに個別の吐出ユニットスライド機構10を有している。そして、複数の液滴吐出ユニット11は、それぞれの吐出ユニットスライド機構10上を、欠陥修復装置1からの制御指令に基づいて、個別に独立して図1のX方向に平行な方向に移動する。
また、液滴吐出ユニット11は、ヘッド吐出面を有している。ヘッド吐出面は、基板載置台3に略平行であって、かつ、液滴を吐出するための孔が形成されている。液滴吐出ユニット11は、液滴吐出装置1からの制御指令に基づいて、基板載置台3上に載置した対象基板にヘッド吐出面から液滴を滴下する。
装置基体2上には、基板載置台3の他に、液滴吐出ユニット11に対して、非使用時に吐出面をキャップする機構、不良吐出口を検出する機構、不良吐出口を回復する機構、などを有するメンテナンス機構15が設けられている。メンテナンス時は、ガントリースライド機構4により、ヘッドガントリーユニット7が、メンテナンス機構15の直上に移動し、液滴吐出ユニット11に対して各種メンテナンス動作を行う。
<装置基体2の説明>
装置基体2の構成について図2を用いて説明する。
装置基体2は、中央に位置するメインステージ2aを有しており、メンテナンス機構15を有するサブステージ2cと、サブステージ2bとをその両脇に機械的に連結している。
メインステージ2aは、御影石製の高精度のステージであり、液滴吐出ユニット11から基板載置台3上の対象基板に向けて液滴が吐出される間は、基板載置台3を正確に固定するものである。
サブステージ2cは、メンテナンス機構15を搭載するもので、メインステージ2aに比べ精度良く製造する必要はない。
サブステージ2bは、基板載置台3上に基板を搬入、または基板載置台3上から基板を搬出する際に、基板載置台3を装置端部に移動させる際に使用するステージである。
それぞれのステージには、メインステージ用ガントリーガイド5a、及びサブステージ用ガントリーガイド5b・5cが搭載されており、ガントリーガイド5a・5b・5cは、異なるガントリーガイド5a・5b・5c間を跨いでヘッドガントリーユニット7が自由にスライドできるように、それぞれの間に繋ぎ目を有しつつ連結している。
図1では、ヘッドガントリーユニット7は、浮上スライド機構8とガントリースライド機構4との間で常時エアー浮上しており、ガントリースライド機構4上の磁石式リニアスケール6と浮上スライド機構8との間のリニアモータ制御により、ヘッドガントリーユニット7の移動を可能としている。
そして、ガントリースライド機構4及びリニアスケール6は、それぞれのステージ2a・2b・2cを跨ってヘッドガントリーユニット7が自由に移動できるよう連続的に構成されている。また、装置基体2の地面側には図示しない従来技術の除振機構が設けられている。
<基板載置台3の説明>
基板載置台3は、上面には図示しない微小な孔が複数形成されており、その孔の全てが図示しない吸引/送風機構に連結し、吸引/送風制御を行うことにより、基板載置台3上に配置された対象基板の吸着固定、もしくは基板載置台3からの基板の解放を行うことが可能となっている。
図3は、欠陥修復装置1に設けられたヘッドガントリーユニット7及び基板載置台3の動作を説明するための模式的断面図である。基板載置台3は、装置基体2上に設けられた図示しないスライドレール上をリニアモータ制御により移動することが可能であり、基板搬入若しくは搬出時には、図3に示すように基板載置台3は、矢印r1の方向に沿ってメンテナンス機構15と反対方向の装置端部に移動する。
さらに、基板載置台3には、図示しないθ回転機構が内在しており、スライドレール上をリニアモータ制御により一方向に移動すること、及び載置した基板を面内方向に自在に回転させることが可能となっている。
さらに、基板載置台3は、スライドレールと直交する方向にも微調移動できる機構を有している。また、基板載置台3の上面は、上面の平坦性が良い石定盤からなり、液滴吐出ユニット11の吐出面と平行である。
<ヘッドガントリーユニット7の説明>
図4(a)は、ヘッドガントリーユニット7の構成を説明するためのZ方向から見た要部平面図であり、図4(b)は、X方向から見た要部正面図である。ヘッドガントリーユニット7の構成について、図4を参照して説明する。
ヘッドガントリーユニット7は、一対のガントリー9を浮上スライド機構8により連結した構成となっている。ガントリー9の一方の外側に向いた側面には、液滴吐出ユニット11及び吐出ユニットスライド機構10が複数個設けられている(図1では4ユニット)。
その反対面で、かつ2本のガントリー9間に位置する部分に、基板の面内回転制御用のアライメントカメラ12が2台固定設置されている。図4では1台のみ図示されているが、同等のカメラ12が図4(a)における上方にさらに一台設置されている。
ガントリー9の他方の装置外側に向いた側面には、ガントリー9の一方と同様に液滴吐出ユニット11及び吐出ユニットスライド機構10とが複数個設けられている(図1では5ユニット)。その反対面で、かつ2本のガントリー9に挟まれた部分に、観察用カメラユニット14が、観察用カメラユニット14をガントリー9の長手方向に移動可能にするカメラスライド機構13を介して移動可能に取り付けられている。
<ガントリースライド機構4の説明>
ガントリースライド機構4は、浮上スライド機構8との間にエアー浮上させるとともに、浮上スライド機構8との間のリニア駆動制御により、欠陥修復装置1本体からの制御信号に従って、ヘッドガントリーユニット7を図1のY方向に平行な方向に沿って任意の位置に移動させることが可能である。
<液滴吐出ユニット11の説明>
図5は、液滴吐出ユニット11の構成を説明するための図1のY方向から見た要部側面図である。液滴吐出ユニット11は、ヘッドガントリーユニット7上に設置された吐出ユニットスライド機構10に搭載されており、矢印r3方向にそれぞれ独立して移動可能である。
液滴吐出ユニット11は、吐出素子17と、駆動制御回路18と、電気接続ケーブル19と、インクタンク20と、インク配管21と、とそれらを収納する筺体16とを有している。筺体16が、吐出ユニットスライド機構10上を移動する。
吐出素子17の基板載置台3の上面との平行面には、ノズルプレート22が接着されており、ノズルプレート22には複数のノズル孔23が形成されている。なお、ノズル孔23の直径は、10〜20μmである。
吐出素子17は、圧電体基板に複数のインク室となる溝を形成した後、隔壁側面の一部に電極を形成して、隔壁の両側面の間に電界を印加して隔壁自体をせん断変形させて吐出エネルギーを発生させる公知のものを使用した。駆動制御回路18は、図示しないケーブルにより、図示しない駆動制御システムに接続されて吐出制御が行われる。基板載置台3上に対象基板を搭載した場合、ノズルプレート22の最下面である液滴吐出面と対象基板の上面との間は、0.5〜1mmになるように予め調整されている。
<吐出ユニットスライド機構10の説明>
図6は、吐出ユニットスライド機構10の構成を説明するための図1のX方向から見た要部正面図である。吐出ユニットスライド機構10の構成を、図6を用いて説明する。
吐出ユニットスライド機構10は、2列のLMガイド25(株式会社THK製)と、2列のLMガイド25の列間に設置したガントリーリニアスケール26からなり、液滴吐出ユニット11に取り付けられているリニア駆動機構24を駆動制御することで、図1のX方向に平行な方向(図6において紙面に垂直な方向)の所定の位置に液滴吐出ユニット11を移動させることが可能である。リニアスケール26は、小型のN極及びS極の永久磁石を交互に規則配列させたものである。
リニア駆動機構24は、交流制御でN極及びS極を自在に発生できるものであり、リニアスケール26とリニア駆動機構24との磁石力により吐出ユニットスライド機構10上の液滴吐出ユニット11の位置制御を可能としている。なお、LMガイド25の有効移動ストロークは250mmであり、この有効ストローク以上の範囲でリニアスケール26は設置されている。吐出ユニットスライド機構10による液滴吐出ユニット11の移動は、基板載置台3の上面と、液滴吐出ユニット11の液滴吐出面であるノズルプレート22との間のギャップが常に一定となるように予め調整されている。このギャップは、例えば0.2mm以上0.8mm以下に調整される。一般にこのギャップを0.2mm以下に設定すると、基板面にヘッドが接触して装置を故障させる可能性が高まるとともに、液滴を基板へ着弾させたときに生じる微小な跳ね返り滴がノズル面に到達し、ノズル面上に蓄積されて結果的に大滴化してしまう恐れがある。一方、0.8mm以上とすると、液滴が飛翔する時に風の影響を受け、着弾精度が悪化する。なお、他のガントリー9の側面に設けられている吐出ユニットスライド機構10も同様の構成であるため説明を除く。
<カメラスライド機構28の説明>
カメラスライド機構28の構成を、図6を用いて説明する。観察カメラユニット14は、ガントリースライド機構4に設けられたY方向に平行な方向の情報取得機能と、カメラスライド機構28に設けられたX方向に平行な方向の情報取得機能とにより、アライメントマークに対する対象基板のアドレス情報を出力することが可能である。観察カメラユニット14は、主に液滴吐出ユニット11が基板上に着弾した着弾画像を観察し、それぞれの液滴吐出ユニット11の吐出状態、若しくはアライメントマーク基準の着弾位置のアドレスを出力することができる。
観察カメラユニット14で得た着弾位置座標を用いて、それぞれの液滴吐出ユニット11について、Y方向に対しては吐出タイミングの補正、X方向に対しては吐出ユニットスライド機構10の移動量の補正により、対象基板上の所望の位置に液滴を着弾させることができる。
カメラスライド機構28は、前述の吐出ユニットスライド機構10と同様に、2列のLMガイド29(株式会社THK製)と、2列のLMガイド29の列間に設置したカメラ用リニアスケール30からなり、観察カメラユニット14に取り付けられているリニア駆動機構27を駆動制御することで、図1のX方向(図6における紙面に垂直な方向)の所定の位置に観察カメラユニット14を移動させることが可能である。なお、LMガイド29の有効移動ストロークは2500mmであり、この有効ストローク以上の範囲でリニアスケール30は設置されている。
<ノズル列の配列>
図7(a)は、液滴吐出ユニット11の構成を説明するための要部下面図であり、図7(b)は、他の液滴吐出ユニット11aの構成を説明するための要部下面図である。液滴吐出ユニット内のノズル孔の配列を、図7(a)(b)を用いて説明する。図7(a)は、1種類の液体を吐出する液滴吐出ユニット11を複数搭載した装置を示す。ヘッドガントリーユニット7には、吐出ユニットスライド機構10を介して、液滴吐出ユニット11が矢印X方向(図1)に移動可能に取り付けられている。液滴吐出面であるノズルプレート22に形成されたノズル孔23は一列に配列し、矢印Bに対して直角な方向から数度傾いている。配列しているノズル孔23は全て同一の液滴材料が吐出する。
図7(b)は、3種類の液体を吐出するノズルプレートを複数搭載した液滴吐出ユニット11aを有する装置を示す。液滴吐出ユニット11aには、第一の液滴材料を吐出するノズル孔23Rの列、第二の液滴材料を吐出するノズル孔23Gの列、第三の液滴材料を吐出するノズル孔23Bの列、を有し、それぞれのノズル孔列が方向Bに対して直角な方向から数度傾いており、それぞれの列のB方向への投影領域はほぼ一致するように構成されている。また、それぞれのノズル孔列は、液滴吐出ユニット11a内でB方向に微小に移動可能となっていてもよい。
A方向からのノズル孔列の傾きをθとし、ノズルピッチをpとすると、B方向に投影したノズルピッチQは、
Q=p×sinθ、
となるため、実際のノズルピッチに比べてB方向のピッチQを高密度化できる利点がある。ピッチQを高密度化することで、複数のヘッドを組み合わせて1つのユニットを作製する際に、各ヘッドの位置合わせを厳密に行わなくとも、少なくともピッチQの精度以内で配列させることが可能となる。
なお、100〜200DPI(1インチ幅に100〜200個の孔が等ピッチで配列)のノズル孔ピッチで、1吐出素子あたり20〜80孔の吐出素子をθ=3〜10°傾斜させて用いることが好ましく、これは、吐出素子あたりの孔数が小さいほど、複数の素子を配列させてなる液滴吐出ユニットの全幅が小さくなり、不能領域が小さくすることができるためである。また、製造コストが安価な100〜200DPIの吐出素子をθ=3〜10°の範囲で傾斜させることにより、複数の吐出素子間の位置合わせを厳密に行わなくても、一度、試験吐出を行って吐出タイミング制御を行えば、B方向に投影したノズルピッチを5〜35μmにまで高密度化でき、カラーフィルタや、有機EL表示装置などの、画素サイズよりも高密度の配列を実現することができる。
<基板搬入動作の説明>
図8(a)〜図8(c)は、ヘッドガントリーユニット7及び基板載置台3の動作を説明するための図1のX方向から見た模式的断面図である。
図8(a)は対象基板35を処理した後の状態を示す。基板処理後は図8(b)に示すように、欠陥修復装置の基板載置台3は、矢印r1の方向に沿って紙面左側(サブステージ2b側)にスライドすると共に、ヘッドガントリーユニット7は、矢印r2の方向に沿ってメンテナンス機構15の直上に移動する。そして、基板載置台3は、処理済の対象基板35の吸着を解放した後に、図示しない搬送ロボットに受け渡す。その後、搬送ロボットは次の対象基板35aを基板載置台3に載せる。そして、載せられた対象基板35aは、即座に基板載置台3にエアー吸着され、基板載置台3は元の位置(図8(a)に示す位置)に戻る。
基板載置台3から対象基板35が搬出され、次の対象基板35aが搬入されて、基板載置台3が元の位置に戻る間に、並行して液滴吐出ユニット11に対して、通常のメンテナンス動作が行われる。メンテナンス動作では、ヘッドガントリーユニット7は、メンテナンス機構15上に移動し、移動を完了後はメンテナンス作業を行う。具体的には、液滴吐出ユニット11のノズルプレート面は、図8(b)に示すように、ゴム製のキャップ部材31によりキャップされる。また、キャップされた後、キャップ部材31の底部にある通気口より負圧吸引されて、ノズルプレートのノズル孔から液を強制排出することによりノズル孔のダスト等を除去する。その後、ノズルプレート面を図示しないワイプブレードでワイプする。そして、その後、後述する不吐出検出器により、ノズル孔からの吐出状態をチェックする。これら一連のメンテナンス動作は順序は、前述した順序と異なっていても良い。
新たな対象基板35aが搭載された基板載置台3と、液滴吐出ユニット11のメンテナンス動作が完了したヘッドガントリーユニット7とは、ほぼ同時に図8(c)に示す矢印r4・r5の方向にそれぞれ移動し、図8(a)に示す位置に到達する。
<メンテナンス動作の説明>
基板の搬出及び搬入を実行する間、または基板への液滴吐出動作を長期間実施しないときは、液滴吐出ユニット11に対してメンテナンス動作を実行する。このメンテナンス動作は、不吐出検出動作と、キャップ動作と、キャップ内吸引パージ動作と、ワイピング動作とを含む。先の対象基板を処理後に、直ちに次の対象基板の処理を行う場合、先の対象基板の搬出動作の命令が与えられるのと同時に、液滴吐出ユニット11を搭載したヘッドガントリーユニット7は、メンテナンス機構15の直上への移動命令が与えられる。
図9(a)は、不吐出検出器32の構成を説明するための図1のX方向から見た正面図であり、図9(b)は、図1のZ方向から見たその下面図である。メンテナンス機構15は、レーザー発光素子33とレーザー受光素子34とを有する不吐出検出器32を有しており、不吐出検出器32は、液滴吐出ユニット11毎に設置されている。
レーザー発光素子33と図示しないレーザー発光回路とは、不吐出検出の指令を受けるとレーザー光をレーザー受光素子34に向けて連続的に照射する。レーザー受光素子34に接続された受光量計測回路は通常の受光量を記憶している。レーザー照射方向は、図9(a)(b)に示すように基板面及びノズルプレート22の面に略平行で、かつノズル孔23R・23G・23Bの列に略平行である。レーザー光は直径1mmであり、一つの液滴吐出ユニット11aの全てのノズル孔23R・23G・23Bから吐出される液滴は、このレーザー光軸内を通過するように配置されている。
レーザー発光素子33及びレーザー受光素子34は微動機構を有しており、万一レーザー光軸内を液滴が通過しない場合は、位置を調整する。まず初めに第一番目のノズル孔23Rから液滴を一定時間吐出させて受光量計測手段からの光量を読み取り、通常の受光量と比較して、遮光量を計測しその値が予め設定した設定値の範囲内にあるか判断し、設定値の範囲内の場合は正常吐出とみなし、それ以外は吐出不良とみなす。
次に2番目、3番目と順次同様の吐出制御及び遮光量計測を行い、液滴吐出ユニット11の全てのノズル孔23R・23G・23Bについて、吐出不良の有無を確認する。吐出不良が無ければ、液滴吐出ユニット11をキャップ位置に移動させて、基板搬入動作が完了する直前までキャッピングを行う。
吐出不良がある場合、従来技術で行われている回復動作を実行する。例えば、液滴吐出ユニット11をキャップ位置に移動させ、そして、キャッピングし、次に、キャップを負圧に引いてノズル孔から強制排出させ、その後、キャップ解除して、ワイピングを行い、再度、不吐出検出を行う。
この不吐出検出と回復動作とを、吐出不良が無くなるまで数回を限度に実行する。そして、吐出不良が回復しない場合は、その旨を装置に出力する。なお、先の対象基板を処理する直前の最後の不吐出検出結果と、先の対象基板を搬出中に行う最初の不吐検出結果を比較して、吐出状態に変化が認められる場合には、先の対象基板の処理が不適として廃棄するか、修復工程に回すことができる。
<液滴吐出ユニット11の配列>
図10(a)(b)は、欠陥修復装置1のアライメント動作を説明するための平面図である。図10(a)(b)は欠陥修復装置1を上方から見た図であり、ヘッドガントリーユニット7上に計9個の液滴吐出ユニット11が搭載されている。
液滴吐出ユニット11毎に設けられている吐出ユニットスライド機構10は、一対のヘッドガントリーユニット7の両外側に向いた両側面にそれぞれ設けられている。ヘッドガントリーユニット7の紙面左側面には4対の液滴吐出ユニット11と吐出ユニットスライド機構10とが一定間隔を空けて取り付けられている。ヘッドガントリーユニット7の紙面右側面は、5対の液滴吐出ユニット11と吐出ユニットスライド機構10とが一定間隔を空けて取り付けられている。そして、基板載置台3の上面に対して、それぞれの吐出ユニットスライド機構10は千鳥状に配列されている。すなわち、ガントリー移動方向である矢印r3に直交する方向に互いに隣接する2つの吐出ユニットスライド機構10は、吐出ユニットスライド機構10のスライド可能方向である矢印r3の方向に沿って、それぞれのスライド可能領域の端部が一部重複するように構成されている。なお、重複する移動可能領域はその領域が大きいほど好ましく、吐出ユニットスライド機構10の長手方向の長さの三分の一以上重複していることが望ましい。
<基板アライメント動作の説明>
対象基板のアライメント動作を図10(a)(b)及び図11(a)(b)を用いて説明する。図11(a)(b)は、ヘッドガントリーユニット7に設けられたアライメントカメラ12の構成を説明するための要部平面図である。基板載置台3上で吸着固定された対象基板35の基板端近傍には、対象基板35の面内回転方向を補正するためのアライメントマーク36が2箇所設けられている。
ヘッドガントリーユニット7に固定されている2個のアライメントカメラ12は、図10(a)に示す位置からヘッドガントリーユニット7と一体的に図10(b)に示す位置に移動する。そして、アライメントカメラ12の画像情報を元に、対象基板35の面内回転方向のずれを算出し、前述の基板載置台3のθ回転機構と矢印r3の方向の微動機構により、図10(b)に示す回転矢印r6の方向に対象基板35の姿勢を補正する。
対象基板35には、予め高精度の2つのアライメントマーク36が設けられており、対象基板35の液滴塗布位置は、このアライメントマーク36を基準として、予め決定されている。このアライメントマーク36は、同心円状のマークであり、対象基板35上の2つのアライメントマーク36のピッチずれは2μm以内である。2つのアライメントマーク36のピッチと同ピッチで2つのアライメントカメラ12はヘッドガントリーユニット7上に設置されている。また、アライメントカメラ12は、複数の広視野モード部43aと狭視野モード部43bとを有し、広視野モード部43aでθ回転機構及び微動機構によりアライメントしたのち、狭視野モード部43bで再度同様なアライメント動作を行う。
図12(a)(b)は、欠陥修復装置1のアライメント動作を説明するための要部平面図である。図13(a)(b)は、その要部拡大平面図である。図12(a)(b)は、広視野モードでのアライメントカメラ12による撮像画像を示す模式図であり、図12(a)は一対のアライメントカメラ12の一方による画像、図12(b)は一対のアライメントカメラ12の他方による画像である。
アライメントカメラ12の広視野モードは、搬送ロボットの基板載置台3への基板の配置精度以上の視野を有するように設計されている。この広視野モードでは、まず、同心円のアライメントマーク36の外側円環部37aを用いて、アライメントマーク36と基準位置とのずれを計測し、アライメントマーク36と基準位置とが一致するように、θ回転機構及び微調整機構により基板載置台3を調整し、対象基板35の姿勢を制御する。外側円環部37aの外径は、例えば2mmであり、内側円部37bの外径は、例えば0.2mmである。
次に図13(a)(b)に示すように、アライメントカメラ12を狭視野モードに切り替え、アライメントマーク36の同心円の内側円部37bを用いてアライメントマーク36と基準位置とのずれを計測し、アライメントマーク36と基準位置とが一致するように、θ回転機構及び微調整機構により基板載置台3を調整し、対象基板35の姿勢を制御する。また、一対のアライメントカメラ12による観察位置と液滴吐出ユニット11の液滴吐出位置は、液滴吐出ユニット11を取り付けた後の調整工程で予め計測されている。
図14は、欠陥修復装置1のアライメント動作を示すフローチャートである。まず、欠陥修復装置1に設けられた制御ユニットからアライメント開始指令が発行されると(ステップS1),サブステージ2b側に移動した基板載置台3上に対象基板35が搬入される(ステップS2)。そして、対象基板35を載置した基板載置台3は、メインステージ上の定位置に移動する(ステップS3)。
そして、図10(a)に示すようにメンテナンス機構15上に位置していたヘッドガントリーユニット7は、図10(b)に示すアライメント位置に移動する(ステップS4)。そして、アライメントカメラ12の広視野モード部43aをアライメントマーク36上の標準位置に移動させる(ステップS5)。
次に、アライメントカメラ12の広視野モード部43aは、アライメントマーク36の外側円環部37aを撮像し(ステップS6)、アライメント量を算出する(ステップS7)。その後、算出したアライメント量に基づいて、基板載置台3の位置を粗く調整する粗アライメント動作を実行する(ステップS9)。
そして、アライメントカメラ12の狭視野モード部43bをアライメントマーク36上の標準位置に移動させる(ステップS8)。その後、アライメントカメラ12の狭視野モード部43bは、アライメントマーク36の内側円部37bを撮像し(ステップS10)、アライメント量を算出する(ステップS11)。その後、算出したアライメント量に基づいて、基板載置台3の位置を精密に調整する本アライメント動作を実行する(ステップS12)。
その後、再び、アライメントカメラ12の狭視野モード部43bは、アライメントマーク36の内側円部37bを撮像し(ステップS13)、基板載置台3の位置精度を確認する(ステップS14)。そして、アライメント動作を完了する(ステップS15)。
<観察カメラユニット14による液滴着弾位置の計測>
図15(a)(b)は、欠陥修復装置1に設けられた観察カメラユニット14による液滴着弾位置の計測動作を説明するための平面図である。観察カメラユニット14は、液滴吐出ユニット11の液滴吐出素子17(図5)を交換して着弾位置補正を行うための情報を取得する場合や、使用中の着弾位置を再確認する際に用いる。観察カメラユニット14は、ガントリースライド機構4とカメラスライド機構28とにより、欠陥修復装置1上面の任意の位置を撮像することができ、また、欠陥修復装置1上面の任意の位置を割り出すことが可能である。観察カメラユニット14の撮像位置は、ガントリースライド機構4とカメラスライド機構28とに内在しているスケールにより、その位置情報を出力することが可能である。
液滴着弾位置を観察する場合、通常の対象基板35と同様の所定のアライメントマーク36が付与されたダミー基板38を欠陥修復装置1に搬入し、通常通りの基板姿勢制御を行う。次に、観察カメラユニット14は、ダミー基板38上の2つのアライメントマーク36をそれぞれ撮像し、その位置情報を取得する。
図15(a)に示すように、ヘッドガントリーユニット7は、ダミー基板38上の任意の位置まで移動する。そして、それぞれの液滴吐出ユニット11のノズル孔からダミー基板38に向けて液滴を吐出する。このとき、全てのノズル孔から液滴を吐出しても良い。また、それぞれの液滴吐出ユニット11は、ガントリースライド機構4とそれぞれの吐出ユニットスライド機構10に内在しているスケールに基づいて、仮想の着弾位置(理想的な着弾位置)をそれぞれ認識する。
次に、図15(b)に示すように、観察カメラユニット14は、ガントリースライド機構4とカメラスライド機構28とにより移動しながら、液滴着弾位置39を順次撮像して、アライメントマーク36に対する実際の着弾位置を割り出す。そして、仮想の着弾位置と実際の着弾位置との間の差分をそれぞれの液滴吐出ユニット11の補正データとして保管する。ずれ(差分)は、X方向、及びY方向に分解される。Y方向のずれは、ヘッドガントリーユニット7がY方向に移動しながら液滴吐出を行うため、吐出タイミングを調整することによって補正することができる。X方向のずれに関しては、吐出ユニットスライド機構10の移動量をオフセット補正する。この観察カメラユニット14の動作により、ノズル毎の不吐出を検出し、ノズル毎の着弾ずれを検出することも可能である。
<ヘッドガントリーユニット7の往復動作/液滴吐出ユニット11の移動動作>
図16(a)(b)は、ヘッドガントリーユニット7の往復動作を説明するための平面図である。姿勢制御が完了した対象基板35に対して、アライメントマーク36基準の所望位置に液滴を滴下する方法を以下に示す。
図16(a)は、対象基板35に液滴を滴下する作業において、ヘッドガントリーユニット7が図16(a)において最も右に移動した状態を示している。一方、図16(b)は、最も左に移動した状態を示している。ヘッドガントリーユニット7は、矢印r7によって示される範囲を1回〜複数回往復する。ヘッドガントリーユニット7に搭載されている複数の液滴吐出ユニット11は、図16(a)の矢印r3に示す方向にそれぞれ独立して移動可能である。ヘッドガントリーユニット7自体は、対象基板35上を、紙面左右方向(矢印r7の方向)に往復動作する。それぞれの液滴吐出ユニット11は、液滴吐出動作を実行する前に、矢印r3に示す方向に沿って所望のアドレスに移動し停止する。そして、ヘッドガントリーユニット7が矢印r7の方向に往復動作する過程で、矢印r7方向及び矢印r3方向の所望位置のアドレスが一致した時点で、液滴を吐出する。複数の液滴吐出ユニット11は、その動作を、それぞれ独立して制御される。
図16(b)において、矢印r7によって示されるヘッドガントリーユニット7の移動範囲は、液滴吐出ユニット11が移動する方向の直交方向の基板幅よりも大きく、基板幅の中心線をヘッドガントリーユニット7の移動範囲の略中心としている。
このように基板幅よりも大きい範囲を液滴吐出ユニット11が移動できることにより、着目した液滴吐出ユニット11は、その液滴吐出ユニット11が搭載されたヘッドガントリーユニット7の移動ストロークの範囲内の基板の所望の位置(帯状の領域)に対して、液滴を滴下することが可能となる。
<吐出動作の具体例>
図17(a)(b)は、ヘッドガントリーユニット7の対象基板35に対する動作を説明するための平面図である。ヘッドガントリーユニット7には、X方向に独立して移動可能な9個の液滴吐出ユニット11a・11b・11c・11d・11e・11f・11g・11h・11iが搭載されており、それぞれの液滴吐出ユニット11a〜11iには、対象基板35上の受け持ち領域41a・41b・41c・41d・41e・41f・41g・41h・41iが設定されている。
約2.2m×2.8mの対象基板35には、約30個から約300個の吐出箇所(欠陥)40が点在している。なお、基板サイズにもよるが、欠陥が30個以上の場合には、複数の液滴吐出ユニットが搬送方向と異なる方向に個別に移動する構成とすることにより、液滴吐出ユニットが1つの場合に比べてタクトタイム短縮の効果が大きくなる。一方、欠陥が300個以下の場合では、修復されたカラーフィルタ基板及び有機EL表示基板の修復部分に起因する色むらが、実使用上問題のないレベルとなり、高品位な前記基板を得ることができる。
それぞれの液滴吐出ユニット11a〜11iには紙面横方向に帯状に伸びた受け持ち領域41a〜41iが割り当てられている。液滴吐出ユニット11aは、領域41aを受け持つ。液滴吐出ユニット11bは、領域41bを受け持つ。それぞれの液滴吐出ユニット11a〜11iは、受け持ち領域41a〜41iに点在する吐出箇所(欠陥)40に対して液滴吐出動作を行う。
ヘッドガントリーユニット7を紙面左右方向に繰り返し往復移動させる過程で、それぞれの液滴吐出ユニット11a〜11iは、それぞれ受け持つ吐出箇所40の直上に移動すべく、X方向(図1)に個別に移動しX方向のアドレスが一致した場所で停止し、ヘッドガントリーユニット7の移動に伴って、Y方向(図1)のアドレスが一致するまで待機する。そして、処理基板35上の所望位置が直下に来るタイミングで、液滴吐出ユニット11を駆動し、吐出口から液滴を処理基板35上の所望位置に吐出させる。
図17(a)(b)に示すように、9個の液滴吐出ユニット11a〜11iを2列の千鳥状に配列すると、図の点線によって示すように対象基板35を9個の領域41a〜41iに分割して、それぞれの液滴吐出ユニット11a〜11i毎にその受け持ち領域を決定することができる。
図18(a)〜図18(d)は、液滴吐出ユニット11の欠損部40a・40b・40cに対する吐出動作を説明するための模式的平面図である。液滴吐出ユニット11が、ヘッドガントリーユニット7の往復移動の過程で、複数の長方形状凹部(欠損部40a・40b・40c)に液滴を吐出させる工程を説明する。このような工程は、例として、一部に欠損を有するカラーフィルター基板をこの欠陥修復装置を用いて修復する場合が相当する。一例として、カラーフィルター基板の画素の1色が欠損した場合の欠陥修復装置としての説明を行う。
ここでの欠損部とは、製造工程でダストが混入した部分、空白の窪みが形成された部分等について、レーザー等により不良部分を一定形状に凹み修正した部分である。液滴吐出ユニット11は、全て同一種類の液滴材料を吐出するものとして、1種類の画素(レッド、ブルー及びイエローのいずれか)の欠損について、その修復方法を示している。よって、全ての色の欠損部を修復するには、本実施の形態の欠陥修復装置を色材毎に3台設けて逐次処理するか、実施の形態2において例示するように、液滴吐出ユニットを、複数色の液滴を吐出可能とするように構成することで可能となる。
図18(a)〜図18(d)は、ヘッドガントリーユニット7上に搭載されている複数の液滴吐出ユニット11のうちの1つに着目して、1つの液滴吐出ユニット11に設けられた液滴吐出面から複数の吐出箇所に吐出を行う動作を時系列に沿って示している。
図18(a)を参照すると、処理基板上の欠損部(欠陥)40a・40b・40cは、深さ2μm程度の凹部であり、その開口部はヘッドガントリーユニット7の移動方向を長辺とした200μm×70μm程度の長方形状をしている。図18(a)〜図18(d)では、欠損部(欠陥)40a・40b・40cの長辺は、ヘッドガントリーユニット7の移動方向Aに対して平行であるように描いているが、実際には図7(a)(b)に示すように数度傾いている。液滴吐出ユニット11のノズル吐出面は、対向する搬送ステージ面と平行にしており、ノズルプレート22には複数のノズル孔23が形成されている。この複数のノズル孔23は、ヘッドガントリーユニット7の移動方向である紙面左右方向に配列しており、個々のノズル孔23はそれぞれ、その背面側に液滴吐出制御可能な図示しない個別のインク加圧室と加圧制御手段とを有している。また、1列に配列しているノズル孔23は、同一の液滴材料を吐出することが可能となっている。
ヘッドガントリーユニット7は、液滴吐出ユニット11の移動や吐出動作によらず、常に紙面左右方向に略等速度(100mm/秒〜500mm/秒)で往復移動している。欠損部40aに液滴を吐出して修復するために、液滴吐出ユニット11は吐出ユニットスライド機構10を用いて高速移動させてノズル孔23を欠損部40aの中心線上に合わせて停止する。なお、液滴吐出ユニット11の移動時間は、実際に移動する時間に加えて、停止した後に吐出ユニットスライド機構10による残留振動が液滴吐出に悪影響を与えないレベルまで低減するまでの静定時間を含んだ時間をも考慮する必要がある。
基板載置台3の相対進行方向側において、欠損部40aの中心線上まで予め移動させた液滴吐出ユニット11は、ヘッドガントリーユニット7の等速移動により相対的に矢印D方向に移動し、欠損部40a上にあるノズル孔23から液滴が吐出される。このとき、使用するノズル孔23は、欠損部40aの直上にある複数のノズル孔23を使用することができるため、1つのノズル孔を使用する場合に比べてヘッドガントリーユニット7の等速移動速度を上げることができ、基板全体の処理速度を向上させることが可能となる。
次に欠損部40a上に液滴を吐出した液滴吐出ユニット11は、図18(b)に示すように、欠損部40cを修復するために、吐出ユニットスライド機構10を駆動して矢印E方向に移動して、欠損部40cの中心線がノズル孔23に一致する位置で停止する。このとき、ヘッドガントリーユニット7は一定速度で紙面左方向に移動しているため、液滴吐出ユニット11は、図18(c)の矢印F方向に相対的に移動し停止する。そして、ヘッドガントリーユニット7の移動により液滴吐出ユニット11は、相対的に矢印G方向に移動しながら、欠損部40cの直上にあるノズル孔23から液滴を吐出し、欠損部40cの修復を行う。
そして、ヘッドガントリーユニット7は、一方向の移動を完了した後に反対方向に移動を始める。図18(d)に示すように液滴吐出ユニット11は、欠損部40bを修復するために、吐出ユニットスライド機構10を用いて矢印K方向に移動し、欠損部40bの中心線上にノズル孔23を合わせて停止する。そして、ヘッドガントリーユニット7の移動により、液滴吐出ユニット11は相対的に矢印L方向に移動して、欠損部40bの直上にあるノズル孔23で液滴を吐出する。
このように、ヘッドガントリーユニット7の往復動作を利用して、3つの欠損部40a・40b・40cの修復を、欠損部40a、欠損部40b、欠損部40cの順で行っており、本欠陥修復装置の構成上の利点を最大限活用するものである。即ち、図18(c)に示すように、欠損部40aに複数のノズル孔23で吐出する際に、実際に吐出を行う紙面右端のノズル孔23が欠損部40a直上から離れるまでは、移動させることはできず、少なくとも使用するノズル孔23の両端間距離に相当する領域では、液滴吐出ユニット11を紙面上下方向に移動させて、次の欠損部の修復に向かうことはできない。
この不能範囲Hは、処理直後の欠損部端から使用するノズル孔23の両端間距離に相当する帯状の範囲に加えて、搬送ステージの移動速度と、矢印E方向(図18(b))の移動に要する時間及び移動後の残留振動の静定に要する時間の和、を掛け合わせた領域も含まれる。
図18(c)に示すように、欠損部40bは欠損部40aに対する不能範囲Hに入る場所に位置しているため、欠損部40aの修復の直後に欠損部40bの処理を行なわず、不能範囲Hに属さない欠損部40cの修復を行っている。そして、ヘッドガントリーユニット7の復路移動に伴って、欠損部40cの修復後に、その不能範囲Hに属さない欠損部40bの修復を行っている。
以上は、1つの液滴吐出ユニット11の移動動作について説明を行ったが、欠陥修復装置は複数の液滴吐出ユニット11を有し、それぞれが独立して動作している。なお、本実施の形態の欠陥修復装置は、カラーフィルター基板の欠陥修復装置に限るものではなく、基板上に点在する所望箇所に液滴を吐出させることが可能である。
図19(a)〜図19(c)は、3種類の液滴材料を滴下する液滴吐出ユニット11aの移動方向が、画素42R・42G・42Bの長手方向と直交する場合の液滴吐出ユニットの吐出動作を示す模式平面図である。図20(a)〜図20(c)は、3種類の液滴材料を滴下する液滴吐出ユニット11aの移動方向が、画素42R・42G・42Bの長手方向と平行な場合の液滴吐出ユニットの吐出動作を示す模式平面図である。ダスト等の原因によって製造途中にR及びGの画素間において混色が発生してしまい、所望の色を示さない画素ができた際に、その部分を矩形状にレーザーで除去し、本実施の形態の欠陥修復装置を用いて矩形部に液滴を滴下する。
図19(a)〜図19(c)及び図20(a)〜図20(c)では、液滴吐出ユニット11aとその液滴吐出ユニット11aが修復すべき画素42R・42G・42Bを示しており、画素42R及び画素42Gが混色リークしたために、あらかじめレーザーにより、混色箇所を除去して凹みを形成している。
図19(a)は、修復前の状態を示しており、液滴吐出ユニット11aは図の矢印方向に沿って画素42R・42G・42Bに向かって移動している。図19(b)はノズル孔23Rにより画素42Rに液滴を滴下した直後の図であり、次に、図19(c)に示すようにノズル孔23Gにより画素42Gに液滴を滴下する。
画素42R・42G・42Bの長手方向がヘッドガントリーユニット(液滴吐出ユニット11a)の移動方向と平行である場合についても同様に、図20(a)は修復前の状態を示しており、図20(b)、図20(c)の順にしたがって、画素42R、画素42Gを修復する。
(実施の形態2)
図21(a)は、実施の形態2に係る欠陥修復装置のヘッドガントリーユニットの構成を示す平面図であり、図21(b)は、その動作を説明するための平面図である。
実施の形態2に係る欠陥修復装置は、所定の間隔を空けて互いに並列に設けられた2本のヘッドガントリーユニット7を有している。各ヘッドガントリーユニット7には、4個の液滴吐出ユニット11が設けられている。従って、液滴塗布装置には計8個の液滴吐出ユニット11が搭載されている。
1本目のヘッドガントリーユニット7に搭載された4個の液滴吐出ユニット11をスライドさせる吐出ユニットスライド機構11の移動可能領域は、互いに重複している。このため、4個の液滴吐出ユニット11は、そのいずれかが基板の任意の位置に移動可能である。2本目のヘッドガントリーユニット7にも、同様に4個の液滴吐出ユニット11が搭載されている。
1つの液滴吐出ユニット11は吐出ユニットスライド機構10の移動範囲Pだけ移動可能であり、千鳥状に隣接する吐出ユニットスライド機構10の移動範囲は、液滴吐出ユニット11が移動する方向に沿って、一部を重複させている。このため、1つのガントリー上にある4つの液滴吐出ユニット11のいずれかが、ヘッドガントリーユニット7の長手方向に沿った位置に必ず移動することが可能である。互いに補完しながらヘッドガントリーユニット7の移動方向に直交する方向に沿った全ての位置への移動を網羅できる液滴吐出ユニット11の集合をユニット列とすると、本実施の形態では、2本のユニット列が存在することとなる。そして、1ユニット列は4つの液滴吐出ユニット11から構成されている。
対象基板35には、図中黒点で示す複数の欠損部40が点在する。対象基板35の領域は、ユニット列数を列数、ユニット列毎の液滴吐出ユニット数を行数として均等分割されて、具体的には、4行×2列の領域に分割して、それぞれの液滴吐出ユニット11の受け持ち領域となる。例えば、左側のヘッドガントリーユニット7に設けられた左上の液滴吐出ユニット11は、図中のハッチングで示されている受け持ち領域41に点在する欠損部40のみを修復する。なお、図17で前述したユニット配列では、ユニット列数は1となるために、図17に示すように9行×1列に分割されている。
図21(b)は、ヘッドガントリーユニット7の移動による対象基板35の往復動作の往路の半分の状態を示す図であり、図中の白矢印方向までヘッドガントリーユニット7は移動して往路を終える。その後、ヘッドガントリーユニット7は復路に転換し、図21(a)に示す位置まで戻る。この往復動作を1往復として、点在する欠損部40の多少に応じて1〜数往復を繰り返すことにより、対象基板35全体に点在する欠損部40を修復する。ここで、合計8領域ある液滴吐出ユニット11毎の受け持ち領域で欠損部40の多少の差のために、液滴吐出ユニット11毎に完了・未完了の差が生じるが、全ての液滴吐出ユニット11が欠損部40を修復するまでヘッドガントリーユニット7は往復を繰り返す。
ここで図21(b)に示すように、前述のユニット列は1本のヘッドガントリーユニット7上に搭載された4個の液滴吐出ユニット11であり、このユニット列の中心線は、Y2−Y2、及びY3−Y3となる。本実施の形態では、この2本のユニット列(ヘッドガントリーユニット7)の中心線Y2−Y2及び中心線Y3−Y3間の距離が、対象基板35の搬送方向に沿った長さの略2分の1になっている。そして、図21(b)に示すように、2本のヘッドガントリーユニット7の中心線Y2−Y2、及び中心線Y3−Y3との間の間隔が、対象基板35の幅の略半分となるように配置し、その配置位置を中心に両振幅を基板の幅の略半分の移動量で移動する。
このように、ユニット列数毎に基板幅を分割し、それぞれのユニット列がその分割領域内で走査することにより、効率よく修復作業を行うことが可能となる。なお、図17のようにユニット列数が1本の場合、基板中間線をユニット列中心として、両振幅を基板幅とする。
図22は、実施の形態2に係る欠陥修復装置のヘッドガントリーユニットの他の構成を示す平面図である。図22には、3列のユニット列(ヘッドガントリーユニット7)を有する構成の例が示されている。この場合、1ユニット当り4個の液滴吐出ユニット11が搭載され、計3列のユニット列を形成している。よって、対象基板35は4行×3列に分割されている。
n本(nは整数)のユニット列を有する欠陥修復装置においては、対象基板をn分割し、そのn分割領域の中間線を中心として、それぞれのユニット列を基板幅のn分の1の両振幅で複数回走査すると良い。このようにすることにより、往復動作によるヘッドガントリーユニット7の移動総距離を最小にすることが可能となり、基板の処理時間を最も短縮することができる。この比率は厳密に適用することなくとも、±20%程度の誤差以内であれば、時間短縮の効果は大きい。
ここで、対象基板35のヘッドガントリーユニット移動方向の幅をD、ユニット列の走査幅をd、ユニット列数をnとしたとき、
0.8d≦D/n≦1.2d、
の範囲にあると、基板の処理時間を短縮することができる。
修復が終えられた処理基板は図示しない搬送ロボットにより取り出される。カラーフィルター基板の場合は、基板は焼成炉に入れられて液滴材料は固化、完成する。実施形態2では2個のユニット列、及び、3個のユニット列を有する欠陥修復装置について説明したことから、n個のユニット列を有する場合、基板導入方向の基板サイズDに対して、基板をn分割し、ユニット列を分割したそれぞれの領域の中間線を中心に、基板のD/2nの振幅で往復走査することが良いことがわかる。また、dをD/nと略一致させることで、装置サイズの最小化を図ることが可能となるが、±10%程度の差異であれば、装置サイズが大幅に増加することは無く装置の占有面積を小さくすることができる。また、dとD/nは一致することが望ましいが、±20%までの差異であれば、基板一枚当たりに要する処理時間が大幅に増加することはなく、タクトタイムの短縮を実現することができる。
図23(a)(b)は、は、実施の形態2に係る欠陥修復装置のヘッドガントリーユニットのさらに他の構成を示す平面図である。ガントリー9の一方の側面には、液滴吐出ユニット11を搭載した吐出ユニットスライド機構10が設けられており、ガントリー9の他方の側面にも、液滴吐出ユニット11を搭載した吐出ユニットスライド機構10が設けられている。ガントリー9の一方の側面は、基板載置台3に垂直であり、ガントリー9の他方の側面は、基板載置台3に対して傾斜している。
ガントリー9の一方の側面の液滴吐出ユニット11のスライド方向は、ヘッドガントリーユニットのスライド方向(図1のY方向に平行な方向)に垂直な方向から若干傾斜しており、ガントリー9の他方の側面の液滴吐出ユニット11のスライド方向も、ヘッドガントリーユニットのスライド方向(図1のY方向に平行な方向)に垂直な方向から若干傾斜している。このように基板搬送方向に対して液滴吐出ユニットのスライド方向が垂直でなくとも、本発明は適用可能である。また、複数のスライド機構において、搬送方向に対するそれぞれのスライド方向が異なっていても、その移動軌跡を予め把握し、スライド位置座標に基づいて液滴吐出ユニットの吐出タイミングを補正することができる。
前述した実施の形態1及び2では、CFパネルに生じた欠陥画素の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数の被吐出部を有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の製造に対しても本発明を適用することができる。また、プラズマ表示装置の背面基板の製造に対しても本発明を適用することができ、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造、および配線の製造に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施例では、ガントリーが基板上を、基板の一端から他の一端まで、繰り返し往復走査する構成を示したが、必ずしも全往復動作において基板の全領域を走査する必要は無い。
特に、基板搬送方向と異なる方向に個別に移動可能である液滴吐出ユニットが、基板に対して略等速に搬送方向に相対移動する過程で、基板上に点在する複数の修復箇所を順次巡回して修復する場合には、相対移動の移動方向を繰り返し反転動作して、複数回基板上を走査することが可能である。
基板上を走査するにつれて、修復すべき箇所が減少していき、複数の走査の最終段階では、基板の全域を走査する必要がなく、基板の一部領域上を走査するだけでよい。
よって、予め基板上の修復すべき箇所がわかっている場合には、液滴吐出ユニットのそれぞれが、順次巡回する修復箇所が予め想定できるために、基板上の全ての領域上を走査する必要が無く、それぞれの走査毎に必要な部分のみを走査させることが可能となり、修復に要するタクトを低減することが可能となる。
なお、本発明では、搬送方向の略等速の移動は、緩やかな加速、減速状態も含まれる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上記実施形態の欠陥修復装置の各部や各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の欠陥修復装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。