JP4597984B2 - 火災を制御する組成物および方法 - Google Patents

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Description

本発明は火災を制御する組成物および方法に関する。より詳しくは本発明は建物の火災、森林の火災、および野火のような火災を防ぎ、遅らせ、制御し、または消火する組成物および方法に関する。消火組成物は超吸収剤ポリマー(SAP)、着色剤、不透明剤および水を含有する。前記方法は燃焼の開始の前または後に火災を防ぎ、遅らせ、制御し、または消火するために十分な量の水性消火組成物を天然または人工の燃えやすい物体に適用することからなる。
水は火災を最もよく消火し、または燃えやすい物体を燃焼から守る選択性のある物質である。水は主にパイプのネットワークから供給され、または森林火災の場合は例えば天然水から供給される。消火の際に水が燃えている物体と接触し、物体が十分に冷却され、燃えている物体が燃焼または発火温度より低い温度に低下し、新たな発火が阻止される。更に水が熱い物体と接触する場合に、水が蒸発し、水蒸気を生成し、水蒸気が燃焼に必要な空気を膨張し、排出する。
火災中に水を吹き付けることにより火災が消火する場合に、流出または蒸発のような水の損失のために吹き付けた水の10%未満が有効である。これは特に森林火災および野火の場合にかなりの部分の水がしばしば多くの費用をかけて長い距離を搬送し、引き続き消費されるので不利である。これらの火災はしばしば日照りの期間に先行され、従って地面が特に高い吸水能力を有するために森林火災および野火で水の使用を最適にすることは現在まで可能でなかった。水の消費は森林火災が典型的に乾燥したやぶ(例えば草、葉および荒地)を消費し、個々の冠状の火災を生じ、これが更に合体するので、森林火災の消火のきわめて重要な要素である。
効果のない水の使用の問題は他の種類の火災で、例えば建物の屋根が燃焼する場合にも生じる。この場合に水はしばしば、例えば床、通路、階段をとおり建物の低い階に到達し、これにより消火目的が失われる。これは場合による水の欠乏を生じ、火災が燃焼する屋根から下方に広がる。更に下の階に流出する水がしばしばかなりの水の損失を生じる。
森林火災および低木の火事は毎年数100万ドルの価値ある木材および他の財産の損失を生じる。火災が発見される時間までに、および制御手段が適用される前に、野火として知られる状況で火災が制御できなくなるのでしばしば大きな損失が生じる。このような火災による直接的な財産の損失は大きな災害であり、関係した土の浸食および水の流出の問題が著しい。従って可能な限り森林火災の拡大を最小限にし制御することが重要である。
森林火災を消火する際に生じる他の問題はどの物体または地域に吹き付けたか、吹き付けなかったか、正確に決定できないことである。これは森林火災の空からの消火の際に生じる特に困難な問題である。有効な消火は関係するすべての物体および地域が吹き付けられ、一部の物体または地域の二重の吹きつけを最小にすることが必要である。
森林火災を消火する場合に水の作用を改良するために、濃縮した水または化学的難燃剤を含有する水を火災の通路にある木材および他の葉に適用し、火災の進行を遅らせた。直接的吹きつけおよび空中の滴下を含む、水を分配する種々の方法が使用された。容易に到達できない地域に噴霧できるので、空中の滴下が有利である。
森林、牧草地、草地および低木地域の野火に通常使用される難燃剤は2つの種類がある。これらの難燃剤は短期難燃剤または長期難燃剤として分類される。短期難燃剤は燃焼を遅らせるために、主に水による。長期難燃剤は水のほかに水が蒸発した後でも短時間燃焼を有効に遅らせる水溶性化学物質を含有する。
本発明はSAP、着色剤、および不透明剤を含有する十分な量の水性組成物を、燃焼の開始の前または後に、燃えやすい物体に適用することにより火災を防ぎ、遅らせ、制御し、および消火する組成物および方法に関する。
火災の制御にSAPを使用することは技術水準、例えば米国特許第5190110号、および5849210号に記載される。米国特許第3354084号は(a)SAP、(b)非イオン性水不溶性固体、および(c)任意の非イオン性またはアニオン性水溶性染料を含有する組成物を開示する。水不溶性固体は消火を改良するためにSAPヒドロゲルの粘度を高める。不溶性固体の水性分散液が少なくとも約50000オームの抵抗を有するかまたは、SAPのゲル容量が減少することが必要である。米国特許第3354084号に記載される不溶性固体は実質的に完全に水不溶性であり、例えば二酸化チタン、シリカゲル、粉末アルミニウム、および珪酸カルシウムを含む。米国特許第3354084号に記載された唯一の任意の染料はロダミン(rhodamine)Bである。
欧州特許第0649669号は(a)SAP、(b)大きい表面構造、毛細管構造、または繊維構造を有する物質および(c)任意の生分解染料を含有する消火剤を開示する。成分(b)の物質はのこ屑、セルロース、多孔質珪藻土、粉砕プラスチック、粉砕発泡プラスチック、および疎水性二酸化珪素のような水不溶性材料である。この特許明細書は具体的な染料が開示されていない。
本発明は燃えやすい物体を、燃焼の前にまたは燃焼の間に、水不溶性SAP,着色剤、および不透明剤を含有する水性消火組成物と接触することにより、燃えやすい物体が燃焼することを回避し、燃焼する燃えやすい物体の燃焼を制御する組成物および方法に関する。本発明の方法は森林火災または野火を防ぎ、遅らせ、制御しおよび/または消火する際に特に有効である。
従って本発明の1つの目的は、火災が開始する前にまたは後に、草、葉、低木、木および類似の植物に適用できる水性組成物を提供することである。本発明の他の目的は地面の噴霧装置、ヘリコプター、または飛行機または消防業者に知られた他の手段を使用して有効に適用できる消火組成物を提供することである。
本発明の他の目的は予め処理された火災地域が処理されていない火災地域と、空中の適用装置と地面の適用装置の両方の面で、容易に区別される、野火を制御する組成物および方法を提供することである。
本発明のもう1つの目的は(a)SAP約0.01〜約20質量%、(b)着色剤約0.005〜約10質量%、(c)不透明剤約0.005〜約10質量%、(d)水および(e)任意成分を含有する消火組成物を提供することである。典型的に着色剤および不透明剤は組成物中に不透明剤約0.25〜約5部に対して着色剤1部、有利に不透明剤約0.5〜約3部に対して着色剤1部の質量比で存在する。着色剤およびSAPは一般にSAP約1.5〜約10部に対して着色剤1部の質量比で存在する。不透明剤およびSAPは一般にSAP約1.5〜約10部に対して不透明剤1部、有利にSAP約2〜約4部に対して不透明剤1部の質量比で存在する。
本発明のもう1つの目的は消火組成物で処理された燃えやすい物体が裸眼で容易に認識され、これにより予め処理された燃えやすい物体への前記組成物の第2の適用が有効に排除され、関係するすべての燃えやすい物体が処理されることが保証される、消火組成物および方法を提供することである。
本発明のもう1つの目的は燃えやすい物体の処理の目に見える兆候が処理後約30日以下で裸眼に実質的に減少する消火組成物および方法を提供することである。
本発明の他の構成および利点は実施例および請求項と一緒に以下の有利な構成の説明から明らかになる。
ここで使用されるように、消火および火災の制御は火災での物体の燃焼を消火し、制御し、および/または遅らせ、および/または燃えやすい物体が発火することを防ぐと定義される。燃えやすい物体は天然に存在するもの、例えば低木、草、木等または人工物、例えば建物、プラットホーム等であってもよい。
1つの構成において、本発明は十分な量の消火組成物を、発火の前または後に、燃えやすい物体に適用し、火災を防ぎ、制御し、遅らせおよび/または消火することからなる、燃えやすい物体の燃焼、特に森林火災、または野火を制御する方法に関し、前記組成物がSAP,着色剤、不透明剤および水からなる。
他の構成において、本発明は火災の進行を防ぎ、制御し、消火しおよび/または遅らせることに有効な消火組成物に関し、前記組成物が(a)SAP(b)着色剤(c)不透明剤(d)水および(e)当業者に知られた任意成分からなる。本発明は更に(a)、(b)、(c)および(e)の2種以上の成分を水に溶解または分散する前に予め混合する、濃縮した消火組成物に関する。選択的に成分(a)、(b)、(c)および(e)を個々に水に添加し、本発明の組成物を生じることができる。
本発明の種々の実施例および本発明の消火組成物の成分の限定されない説明を以下に記載する。
超吸収剤ポリマーSAP
本発明の消火組成物は一般にSAPを、水により生じる損失を最小にして、すぐれた消火作用を生じ、純水と同様にきわめて良好な湿潤能力を保証して組成物の適用を可能にするために十分に自由な水が存在する量で含有する。
より有利にSAPは消火組成物に、組成物の約0.01〜約20質量%、有利に約0.05〜約10質量%の量で存在する。本発明の十分な利点を達成するために、組成物はSAP約0.1〜約5質量%を含有する。本発明の組成物中のSAPの質量%は最終生成物を生じるために使用される水和されていないSAP粒子の量である。
SAPは吸水樹脂である。SAPは衛生用品およびトイレ用品、生理用品、保水剤、脱水剤、スラッジ凝固剤、使い捨てタオル、バスマット、使い捨てドアマット、増粘剤、ペット用使い捨てゴミマット、凝結防止剤、および種々の化学薬品の放出調節剤に広く使用される。SAPは澱粉−アクリロニトリル−グラフトポリマーの加水分解生成物、カルボキシメチルセルロース、架橋ポリアクリレート、イソブチレンと無水マレイン酸の架橋および部分的中和コポリマー、酢酸ビニル−アクリル酸コポリマーのけん化生成物、スルホン化ポリスチレン、加水分解ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、およびポリアクリロニトリルのような置換されたまたは置換されていない天然および合成ポリマーを含む多様な化学物質の形で入手できる。
これらのポリマーは例えば超吸収剤ポリマー、ヒドロゲル、ヒドロコロイド、吸水性親水性ポリマーのような種々の名称で知られている。ここで使用されるように、SAPの語は超吸収剤ポリマーと呼ばれ、正しくは吸水材料と呼ばれる。SAP粒子の語は乾燥状態の超吸収剤ポリマー粒子、より詳しくは水を含まないものから粒子の質量より少ない水の量までの粒子、典型的に約5質量%未満の水を含む粒子に関する。SAPゲル、SAPヒドロゲルまたはヒドロゲルは水和状態の超吸収剤ポリマー、より詳しくは水に少なくとも粒子の質量が吸収された粒子、典型的には水に粒子の数倍の質量が吸収された粒子に関する。
SAPは光架橋した親水性ポリマーであり、米国特許第5669894号および5559335号に一般的に記載され、それぞれ引用により本発明に含まれる。SAPはその化学的同一性が異なっていてもよいが、すべてのSAPは中程度の圧力下においても、その自重の何倍にも相当する量の水性液体を吸収し、保持することができる。例えばその自重の100倍またはそれ以上の蒸留水を吸収できる。
SAPは最適な吸収性を達成するために、典型的に少なくとも約25モル%、有利に少なくとも約50モル%、および一般に約70〜80モル%中和されている。中和はアクリル酸モノマーの重合の前にアクリル酸モノマーを中和することにより達成することができ、または重合反応が実質的に終了した後にポリマーを中和することができる。重合およびモノマーの内部架橋、引き続く部分的中和、例えば50〜100モル%中和、有利に70〜80モル%中和の後に、ポリマーを細分、例えば細かく切断または切り刻み、より有効に乾燥するために引き続き乾燥し、所望の粒度に粉砕する。引き続きポリマーを表面架橋し、再び乾燥して最終生成物を形成する。
本発明の組成物および方法に使用されるSAPはSAPがその自重の数倍の水性流体を吸収することができ、膨張してヒドロゲルを形成するもののみに限定される。SAPは酸性吸水樹脂または塩基性吸水樹脂であってもよい。SAPの製造に有用なモノマーは米国特許第5149750号およびWO01/68156号に記載され、それぞれ引用により本発明に含まれる。本発明の消火組成物のSAP成分は約25%〜約100%中和された酸性または塩基性吸水樹脂を含有し、すなわち約25〜約100の中和度(DN)を有する。
SAPはアニオン性(酸性吸水樹脂)またはカチオン性(塩基性吸水樹脂)であってもよい。アニオン性SAPは酸性吸水樹脂にもとづく。アニオン性SAPは強酸性または弱酸性であり、中和された形でSAPとして作用する任意の樹脂であってもよい。酸性樹脂は典型的に多数のカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸および/または硫酸単位を含有する。
有利なSAPは25〜100%中和された酸性吸水樹脂である。酸性吸水樹脂は単独の樹脂または樹脂の混合物であってもよい。酸性樹脂はホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。酸性吸水樹脂の同一性は樹脂が中和された形で存在する場合は水中で少なくとも自重の10倍に膨張し、吸収することができる限りで限定さない。
酸性吸水樹脂は典型的に光架橋したポリ(アクリル酸)のような光架橋したアクリル樹脂である。光架橋した酸性樹脂は典型的にアクリル単位を有する酸性モノマー、例えばアクリル酸または酸基を生じることができる単位、すなわちアクリロニトリルを内部架橋モノマー、すなわち多官能性有機化合物の存在で重合することにより製造する。酸性樹脂は他の重合可能な単位、すなわち当業者に知られた他のモノエチレン性不飽和コモノマーを、ポリマーが実質的に、すなわち少なくとも10%、有利に少なくとも25%酸性モノマー単位である限りで含有することができる。本発明の十分な利点を達成するために、酸性樹脂は少なくとも50%、より有利に少なくとも75%および100%までの酸性モノマー単位を含有する。
酸性吸水樹脂に有用なエチレン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーにはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、α−クロロケイ皮酸、β−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニチン酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、および無水マレイン酸が含まれる。アクリル酸がSAPを製造するための最も有利なエチレン性不飽和カルボン酸である。
エチレン性不飽和スルホン酸モノマーには脂肪族および芳香族ビニルスルホン酸例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルおよびメタクリルスルホン酸、例えばスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が含まれる。燐酸塩含有酸性樹脂は燐酸単位を含有するエチレン性不飽和モノマー、例えばメタクリルオキシエチルホスフェートのホモ重合または共重合により製造する。適当なSAP形成モノマーの広い範囲のリストは米国特許第4076663号に見出すことができ、引用により本発明に含まれる。
アニオン性SAPは例えばポリ(アクリル酸)、加水分解澱粉−アクリロニトリルグラフトコポリマー、澱粉−アクリル酸グラフトコポリマー、ケン化酢酸ビニル−アクリル酸エステルコポリマー、加水分解アクリロニトリルコポリマー、加水分解アクリルアミドコポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニル−ホスホン酸)、ポリ(ビニル燐酸)、ポリ(ビニル硫酸)、スルホン化ポリスチレン、およびこれらの混合物である。有利なアニオン性SAPはポリ(アクリル酸)である。
酸性モノマーおよび存在する場合は共重合可能なモノマーの重合は最も一般的にはラジカル法により多官能性内部架橋モノマーの存在で実施する。ポリマーが水不溶性になるように十分な程度に酸性樹脂を架橋する。架橋は酸性樹脂を実質的に水不溶性にし、部分的に樹脂の吸収能力を決定するために用いる。吸収の用途に使用するために、酸性樹脂を光架橋し、すなわち約20%未満、有利に約10%未満、特に有利に約0.01〜7%の架橋密度を有する。内部架橋モノマーはモノマーの全質量に対して最も有利に約7質量%未満、典型的に約0.1〜5質量%の量で使用する。
内部架橋モノマーの例は以下の式(I)
Figure 0004597984
(式中、xはエチレン、プロピレン、トリメチレン、シクロヘキシル、ヘキサメチレン、2−ヒドロキシプロピレン、−(CHCHO)CHCH−または
Figure 0004597984
であり、式中、nおよびmは独立に5〜40の整数であり、kは1または2である)により表されるポリアクリル酸(またはポリメタクリル酸)エステルおよび以下の式(II)
CH=CH−C(=O)−NH(CHCHNH)C(=O)−CH=CH
(式中、lは2または3である)により表されるビスアクリルアミドを含むが、これらに限定されない。
式(I)の化合物はポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールと、アクリル酸またはメタクリル酸を反応させることにより製造する。式(II)の化合物はポリアルキレンポリアミン例えばジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンをアクリル酸と反応させることにより得られる。具体的な架橋モノマーは米国特許第6222091号に記載され、引用により本発明に含まれる。特に有利な架橋剤はペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、N,N´−メチレンビスアクリルアミド、N,N´−メチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートである。
酸性樹脂と同様に本発明のSAPクレー粒子に有用な塩基性吸水樹脂、すなわちカチオン性SAPは強塩基性または弱塩基性吸水樹脂であってもよい。塩基性吸水樹脂は単一樹脂または樹脂の混合物であってもよい。塩基性樹脂はホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。塩基性樹脂の同一性は荷電された形で存在する場合に塩基性樹脂が水中に自重の少なくとも10倍を膨張し、吸収することができる限りで限定されない。弱塩基性樹脂は有利にカチオンの形で存在し、すなわち塩基性単位、例えばアミノ基の約25〜100%が荷電された形で存在する。強塩基性樹脂は典型的に水酸化物(OH)または重炭酸塩(HCO)の形で存在する。
塩基性吸水樹脂は典型的に光架橋した樹脂、例えばポリ(ビニルアミン)またはポリ(ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド)である。塩基性樹脂は例えば光架橋したポリエチレンイミン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルグアニジン)、ポリ(ジメチルジアリル水酸化アンモニウム)、四級化ポリスチレン誘導体、グアニジン変性ポリスチレン、四級化ポリ((メタ)アクリルアミド)またはエステル同族体であってもよい。米国特許第6235965号を参照、引用により本発明に含まれる。光架橋した塩基性吸水樹脂は酸性吸水樹脂に関して記載したように、他の共重合可能な単位を含有することができ、内部架橋モノマーを使用して架橋する。有利な塩基性樹脂はポリ(ビニルアミン)、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルグアニジン)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリルアミド)(ポリ(DAEA))およびポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)(ポリ(DMAPMA))を含む。
本発明のSAP粒子に使用される塩基性吸水樹脂は典型的に1つのアミノ基またはグアニジノ基を含有する。従って水溶性塩基性樹脂は架橋していない塩基性樹脂を水性またはアルコール媒体に懸濁または溶解させ、引き続き塩基性樹脂のアミノ基との反応により塩基性樹脂を架橋できる二官能性または多官能性化合物を添加することにより溶液で架橋することができる。これらの架橋剤は米国特許第6235965号に記載され、引用により本発明に含まれる。架橋剤は米国特許第5085787号にも記載され、引用により本発明に含まれ、および欧州特許第450923号に記載される。有利な架橋剤はエチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、水溶性ジグリシジルエーテルおよびジブロモアルカン、アルコール溶解化合物である。
酸性樹脂または塩基性樹脂に導入する共重合可能なモノマーはエチレン、プロピレン、イソブチレン、C〜C−アルキルアクリレートおよびメタクリレート、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、および式
Figure 0004597984
(式中、Rは水素またはC〜C−アルキル基を表し、フェニル環は場合により1〜4個のC〜C−アルキルまたはヒドロキシ基により置換されている)のスチレン化合物を含むがこれらに限定されない。
適当なC〜C−アルキルアクリレートはメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート等およびこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。適当なC〜C−アルキルメタクリレートはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等およびこれらまたはC〜C−アルキルアクリレートとの混合物を含むがこれらに限定されない。適当なスチレン化合物はスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等およびこれらまたはC〜C−アルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートとの混合物を含むが、これらに限定されない。
SAPの製造に使用する公知の任意の重合開始剤を使用することができる。有用な開始剤の例はレドックス開始剤および熱開始剤であり、例えば米国特許第6359049号に記載されるものであり、引用により本発明に含まれる。レドックス開始剤および熱開始剤は単独にまたは適当に組み合わせて使用できる。これらのうち特に有利な開始剤は過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウムを有するレドックス開始剤およびアゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、および2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩であり、商標名V−50、Wako Chemicals、米国、リッチモンド、バージニアで販売されている。開始剤は典型的に固体として計算してアクリル酸モノマーの質量に対して約0.1〜約10%であり、有利に前記モノマーの質量に対して約0.5〜約5%である。開始剤の量および種類に応じて、開始剤は、ポリ(アクリル酸)の分子量を調節するために、場合によりイソプロピルアルコール、アルキルメルカプタン、または他の連鎖移動剤と一緒に使用できる。
アクリル酸の重合を行うために紫外線(UV)を使用できる。紫外線はレドックス開始剤および/またはラジカル開始剤と一緒に使用できる。重合工程で紫外線を利用する場合は、反応混合物に光開始剤を当業者に周知の量で添加する。適当な光開始剤は2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンを含むが、限定されず、前者はCiba Additives of Hawthorne,New YorkからIRGACURE2959として販売され、後者はCiba AdditivesからDAROCUR1173として販売されている、
SAP成分を製造するために有効な工業的方法は例えばModern Superabsorbent Polymer Technology、F.L.Buchholz A.T.Graham、WileyVCH(1988)の第3章に記載されるSAPの合成に一般に使用されるすべての方法を含む。アクリル酸を重合する適当な方法は水性溶液重合であり、アクリル酸および重合開始剤を含有する水溶液を重合反応させ、内部架橋モノマー、例えばメチレンビスアクリルアミドを添加することにより架橋反応させる。本発明の消火組成物中の有利なSAPは中和されたポリ(アクリル酸)である。ポリ(アクリル酸)は典型的にDN約65〜約80の中和度を有する。有利に中和剤は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、または炭酸カリウムである。最も有利に中和剤は水酸化カリウムまたは炭酸カリウムであり、すなわち消火組成物のSAP成分は部分的に中和された、光架橋したポリアクリル酸カリウムである。
着色剤
SAPのほかに本発明の方法および組成物は着色剤を利用する。着色剤は本発明の方法および組成物により処理される燃えやすい物体を眼で確認するために組成物中に存在する。着色剤の眼でわかる効果は実質的に燃えやすい物体に組成物が二重に適用されることを排除し、同時に関係するすべての燃えやすい物体を処理することを保証する助けとなる。
従って本発明の消火組成物中の着色剤の導入は本発明の重要な特徴である。着色剤は染料または顔料であってもよい。本発明の方法および組成物に使用される着色剤の量は消火組成物により処理される種々の燃えやすい物体(例えば木、草、低木または人工の物体、例えばビルまたは車)を裸眼で見るために十分な量である。
本発明の組成物および方法の着色剤成分は消火者が燃えやすい物体の処理された面積および適用被覆速度を眼で決定することを可能にする。例えば処理された燃えやすい物体の色の濃淡、色合いおよび強度から消火者が燃えやすい物体に消火組成物の十分な量が適用されたか決定できる。
本発明の消火組成物に導入される着色剤は、処理された、燃えやすい物体の色と異なる色であり、染料が消火組成物に溶解または分散することのみが制限される。着色剤が組成物に全体に分配され、処理された、燃えやすい物体での着色剤の比較的均一な分布が保証されることが重要である。
典型的に着色剤の色の強度は消火組成物が燃えやすい材料上で乾燥するまで適用後数日間変化しない。乾燥は典型的に消火組成物の適用後約5日から7日間行われる。乾燥後着色剤の色の強度の低下が開始する。
1つの有利な構成において、着色剤は消火組成物の適用後約30日以内で分解可能であるかまたはそうでなければ処理された、燃えやすい物体から除去できる(例えば洗い落とせる)。この構成において、燃焼しないかまたは部分的に燃焼した燃えやすい物体は消火組成物の適用後約1ヶ月以内でその本来の色に戻る。選択的に記載すると、燃えやすい物体に付与された色は実質的にあせる、すなわち組成物の適用後30日以内で色強度の少なくとも50%が失われる。消火組成物が植物に適用される構成において、着色剤が除草剤でなく、そうでなければ環境に有害でないことが有利である。
本発明の組成物に存在する着色剤の量は消火組成物の適用後に処理された、燃えやすい物体に所望の色および濃淡が付与される量である。有利に着色剤は本発明の組成物に組成物の約0.005〜約10質量%の量で存在する。より有利に着色剤は組成物の約0.01〜約5質量%の量で存在する。本発明の十分な利点を達成するために、着色剤は組成物の約0.015〜約2質量%の量で存在する。
本発明の方法および組成物に使用できる着色剤は直接染料、塩基性染料、酸性染料、反応性染料、溶剤染料、分散染料、皮革染料、天然染料、硫黄染料、バット染料、合成顔料、天然に存在する顔料、安全染料またはこれらの混合物を含むが限定されない。有利に着色剤は直接染料である。
本発明に有用な着色剤の具体的な種類はANTHOSIN(登録商標)、BASACID(登録商標)、BASANTOL(登録商標)、BASAZOL(登録商標)、BASOVIT(登録商標)およびFASTUSOL(登録商標)の種類の着色剤を含み、これらはすべてBASF社、Ludwigshafen ドイツから入手できる。
典型的に本発明に有用な着色剤は本発明の方法および組成物により処理された、燃えやすい物体に赤、黄、オレンジ、紫、または青の色を付与する。従って本発明に有用な具体的な着色剤は以下のものを含むが限定されない。
(a)酸性染料、例えば
ANTHOSINオレンジ35L
ANTHOSINレッド49L
ANTHOSINイエロー47L
ANTHOSINイエロー57L
(b)塩基性染料、例えば
BASAZOLレッド71L
BASAZOLバイオレット45L
BASAZOLバイオレット47L
BASAZOLバイオレット49L
BASAZOLバイオレット57L
BASAZOLイエロー94L
BASAZOLイエロー40L
BASAZOLイエロー46L
(c)直接染料、例えば
FASTUSOLブルー31L
FASTUSOLブルー47L
FASTUSOLブルー79L
FASTUSOLオレンジ49L
FASTUSOLオレンジ80LN
FASTUSOLオレンジPR268L
FASTUSOLレッド43LN
FASTUSOLレッド45L
FASTUSOLレッド50L
FASTUSOLレッド50L150%
FASTUSOLレッド51L
FASTUSOLレッド53L
FASTUSOLイエロー08L
FASTUSOLイエロー14L
FASTUSOLイエロー30L
FASTUSOLイエロー49L
FASTUSOLイエロー66L
FASTUSOLイエロー70L
FASTUSOLイエロー76LN
FASTUSOLCブルー49LS
FASTUSOLCブルー76L
NB70%
FASTUSOLCブルー77LS
FASTUSOLCブルー
PR929L200%
FASTUSOLCレッド32L
FASTUSOLCレッド61L
FASTUSOLCバイオレット04
25%
FASTUSOLCバイオレット92
FASTUSOLイエロー36LV
FASTUSOLCイエロー97L
(d)付加的着色剤、例えば
BASANTOLオレンジ273
BASANTOLレッド311
BASANTOLイエロー099
BASANTOLイエロー215
BASONYLイエロー105
BASONYLオレンジ204
BASONYLレッド482
BASONYLレッド482LOW−DUST
BASONYLレッド483
BASONYLレッド485
BASONYLレッド540
BASONYLレッド545Liquid
BASONYLレッド555Liquid
BASONYLレッド560
BASONYLバイオレット600
BASANYLバイオレット602Liquid
BASANYLバイオレット609Liquid
BASANYLバイオレット610
BASANYLブルー636
BASONYLブルー640
BASONYLブルー644Liquid
BASACIDイエロー094
BASACIDイエローNB132Liquid
BASACIDイエローNB216Liquid
BASACIDイエロー226
BASACIDイエローオレンジNB282Liquid
BASACIDレッド316
BASACIDレッドNB384Liquid
BASACIDレッドNB391Liquid
BASACIDレッドNB432Liquid150%
BASACIDレッド495Liquid
BASACIDレッドNB510Liquid
BASACIDブルー762Liquid。
森林火災および野火に使用するために、有利な着色剤は処理された葉に黄、赤またはオレンジ色を付与する。種々の有効な着色剤はダイレクトレッド(DirectRed)81、ダイレクトレッド239,ダイレクトレッド254、ダイレクトイエロー(DirectYellow)11、ダイレクトイエロー6,ダイレクトイエロー127、ダイレクトオレンジ(DirectOrange)102、ダイレクトオレンジ102:1、ダイレクトオレンジ116、およびダイレクトイエロー(DirectYellow)5が含まれ、これらに限定されないが、これらはBASF社、MontOlive、NJから入手できる。
不透明剤
SAPおよび着色剤のほかに本発明の消火組成物は不透明剤を含有する。不透明剤は着色剤の目で見る効果を改良するために含まれる。一部の着色剤および一部の用途において不透明剤のない組成物で処理された燃えやすい物体は特に空中から観察することがある程度困難である。不透明剤の存在は適用された消火組成物の可視性を改良する。本発明の消火組成物に含まれる不透明剤の量は燃えやすい物体に適用した後に消火組成物の可視性を改良する不透明組成物を生じるために十分な量である。
不透明剤は化学組成が有機または無機であってもよい。特に不透明剤は無機化合物、有機ポリマー材料またはこれらの混合物を含有する。不透明剤は典型的に白またはオフホワイトの色である。不透明剤はSAPヒドロゲルを不透明にし、これにより燃えやすい物体に適用した後にSAPヒドロゲルの可視性が高まる。
本発明の組成物に使用される無機不透明剤はわずかに水に溶ける化合物である。ここで使用されるように、わずかに水に溶けるのは25℃で水100ml当たり約0.0005〜約0.005gの無水物の形での水溶性を有する無機材料として規定される。有機ポリマー不透明剤は有利にエマルジョンまたはラテックスを形成するために水に分散した合成ホモポリマーまたはコポリマーである。
従って不透明剤は炭酸カルシウム(CaCO)、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ビニルピロリドンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸ビニル、澱粉、ポリスチレン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、またはこれらの混合物であるが、これらに限定されない。有利に不透明剤は合成有機ホモポリマーまたはコポリマーであり、より有利に本発明の消火組成物に導入するためにエマルジョンまたはラテックスとして水に分散している。
消火組成物に存在する不透明剤の量は組成物の0.005〜約10質量%である。有利に不透明剤は組成物に組成物の約0.01〜約5質量%の量で存在する。本発明の十分な利点を達成するために、不透明剤は組成物の約0.015〜約2質量%の量で存在する。典型的に不透明剤の量は組成物に燃えやすい物体に組成物を適用した後に所望の不透明水準および色強度が生じるほど十分な量で存在する。

本発明の消火組成物の担体は水である。しかし少量、すなわち組成物の約10質量%まで、例えば約0.01〜約10質量%の有機溶剤が組成物の製造を容易にするために、または組成物の適用の容易さのような他の有利な特性を生じるために、場合により組成物に含まれていてもよい。有機溶剤は水溶性であり、例えばアルコール、ジオール、ポリオール、グリコールエーテルまたはこれらの混合物であってもよい。
任意成分
本発明の消火組成物は当業者に知られた任意成分を含有することができる。それぞれの任意成分は存在する場合は組成物に不利に作用せずに意図する機能または防火剤、制御剤、遅延剤、または消火剤としてのその使用を実施するために十分な量で組成物に含まれる。典型的にそれぞれの任意成分は組成物の約10質量%までの量で存在し、全体として任意成分は組成物の約30質量%まで存在する。例えば組成物は1種以上の粘度改質剤、分散剤、pH調節剤、および界面活性剤を含有することができる。
粘度改質剤は場合により組成物を安定化するためにおよび組成物の適用特性を改良するために本発明の組成物に含まれている。粘度改質剤は会合性増粘剤、アルカリ膨張性増粘剤、アルカリ溶解性増粘剤、ポリマー増粘剤およびこれらの混合物を含むが、限定されない。粘度改質剤の具体的な例はポリビニルアルコール、水溶性または水分散性セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエーテル、ウレタン改質ポリエーテル、ポリカルボン酸、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン誘導体、例えばポリエチレングリコールエーテル、またはポリエチレングリコールジステアレート、アルギン酸ナトリウム、およびこれらの混合物を含むが、限定されない。
必要な場合または望ましい場合は組成物を安定化し、適用特性を改良するために分散剤を添加することができる。有用な分散剤は無機分散剤、例えばポリカルボン酸のナトリウム塩、縮合環化したナフタレンスルホネートのナトリウム塩またはアンモニウム塩、フェノールエーテルのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンスチレンフェノール、ナトリウムトリポリホスフェート、ナトリウムヘキサメタホスフェート、桐油または亜麻仁油のオルガノシラノール誘導体、高級エルカ酸、菜種油およびこれらの混合物を含むが限定されない。
組成物は所望のpH値を生じるために場合により更にpH調節剤を含有することができる。消火組成物のpH値を約6〜約8に調節することにより防火のために噴霧される消火装置および物体の腐食を最小にできるかまたは回避できる。pH調節剤は所望のpHを生じる任意のpH調節剤であってもよい。pH調節剤は典型的に塩基である。pH調節剤の例は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、アミン、トリエタノールアミン、3−ジメチルアミノエタノール、およびこれらの混合物を含むが、限定されない。
組成物の適用特性を改良するために、組成物に界面活性剤が含まれてもよい。界面活性剤はアニオン性、非イオン性または両性界面活性剤であってもよい。
消火組成物を製造するために、SAP、着色剤、不透明剤、および他の任意成分を水および任意の有機溶剤と混合する。成分は個々に水に添加できる。1種以上の成分を水に添加する前に有機溶剤に予め溶解するかまたは予め分散することができる。更に着色剤を不透明剤および/またはSAPと混合し、プレミックスを形成し、プレミックスを引き続き水に添加することができる。選択的に着色剤および不透明剤を混合し、引き続き水または予め形成したSAPヒドロゲルに添加することができる。
水に添加して本発明の消火組成物を生じることができる濃縮したプレミックスも考えられる。濃縮したプレミックスは適当な量の水に添加して本発明の消火組成物を生じるために、SAP、着色剤および不透明剤の少なくとも2個を予め決定された所望の量で含有する。濃縮したプレミックスは1種以上の任意成分を含有することができる。水はすでに記載されたように有機溶剤を含むことができる。
本発明の消火組成物は、水が必要な所に、すなわち燃えやすい物体に水を固定し、燃えやすい物体の表面から酸素を排除するので有効である。燃えやすい物体の表面でかなりガスを透過しないバリアを形成することにより組成物が機能し、前記バリアが燃えやすい物体の燃焼を支持するために酸素が表面に到達しないかまたは実質的に減少する。この作用はしばしば開始または連続して燃焼を防ぎ、燃焼に必要な時間を実質的に増加する。更に本発明の水性組成物は熱バリアを形成し、熱バリアが火災から燃えやすい物体への熱の移動を遅らせる。重要なことであるが染料および不透明剤は消火組成物が適用された所を記録する優れた目での指示器を生じ、これにより有効な組成物の適用を生じる。燃えやすい物体に十分な量の組成物を場合により適用することにより、すべての所望の燃えやすい物体が処理される場合に消火者が目で評価できるので火災の制御および予防が高められる。
すでに燃焼している物体に組成物を適用することにより、または燃焼していないが、葉、木、建物または燃焼している建物の近くの他の構造物のような発火の危険がある物体に組成物を適用することにより本発明の水性消火組成物を使用する。こうして水性消火組成物を火災を消火し、抑制し、火災の拡大を遅らせ、予防するために使用することができる。
本発明の消火組成物は例えば地面からの噴霧によりまたは空からの適用により適用することができる。着色剤および不透明剤は消火者にどの燃えやすい物体が処理されたかを目で確認するための指示器を提供する。不透明剤は燃えやすい物体上の組成物の可視性を高める。SAPは火災を消火する際に水の作用を促進し、発火していない燃えやすい物体の燃焼の予防に役立つ。有利な構成において、処理された燃えやすい物体は約30日以内で本来の色を実質的に回復する。特に組成物は典型的に洗浄され、または着色剤が約30日以内で色があせ。燃焼しない物体が実質的に本来の色を回復する。
すでに記載したように、水性消火組成物は火災の拡大を防ぐため、火災を消火するために使用できる。組成物は火災の拡大を防ぐ防火帯または防火壁を形成するために使用することができる。森林火災のような大きな火災を含む試みの場合は、消火者がしばしば燃えやすい材料を除去することにより火災の拡大を防ぐことを試みる。森林火災の消火において例えば消火者が火災から離れた連続する通路に沿って木の帯域を取り除き、除去した通路の燃えていない面に、他の木および燃えやすい物体に火災が拡大することを防ぐ防火帯を形成することができる。本発明の組成物および方法は燃えていない木を地域から除去せずに森林火災の拡大を防ぐために使用できる。
従って本発明の組成物は防火帯を形成するために木を除去するよりもむしろ木の帯域に適用できる。本発明の組成物により生じる色の対照は消火者が特に空から適用される組成物に関して必要な所により正確に組成物を適用することを可能にする。処理された葉は処理後約30日以内で実質的に本来の色に戻る。
本発明を更に以下の実施例により説明するが、これらの例は説明にすぎず、本発明の範囲を限定しない。
例1(比較例)
水1000g、SAP(ポリアクリル酸カリウム、BASF社)5gおよびFASTUSOL(登録商標)レッド51L着色剤(BASF社)2gを混合することにより消火組成物を製造した。混合後、水酸化ナトリウムを使用して組成物のpH値を7に調節した。得られたヒドロゲル組成物を約12″×12″平方の厚紙ターゲットに噴霧し、引き続きターゲットを種々の距離から裸眼により、屋内および自然の屋外の光条件下で観察した。着色剤の量を種々の水準に調節し、透明なヒドロゲルの色の可視性を最適にするために、得られた組成物を付加的な厚紙ターゲットに適用した。この調節した試験で色の可視性はかなり近い距離で十分であった。しかし離れた距離の場合に(例えば空からの適用)または植物を平らでない表面に適用する場合に、この消火組成物は検出が困難であり、従って燃えやすい物体への組成物の均一で完全な適用を保証することが困難になることが決定された。
例2
水1000g、SAP(BASF社)5g、FASTUSOl(登録商標)レッド51L着色剤(BASF社)2g、および不透明剤として炭酸カルシウム(CaCO)3gを混合することによりヒドロゲル消火組成物を製造した。混合後、水酸化ナトリウムを使用してヒドロゲルのpH値を7に調節した。得られたヒドロゲル組成物を約12″×12″平方の厚紙ターゲットに噴霧し、引き続きターゲットを裸眼により、種々の距離で、屋内および自然の屋外の光条件下で観察した。他の着色剤も可視性を評価した。着色剤およびCaCOの量を種々の水準に調節し、色の可視性および不透明ヒドロゲルの不透明度を最適にするために、得られた組成物を付加的な厚紙および着色した紙のターゲットに適用した。例2の組成物の可視性は特にターゲットから離れた距離で例1の組成物の可視性より改良された。
例3
例2に記載されるように消火組成物を製造し、組成物を暗緑色の紙、ビニール羽目板、シーダー材の振り出し器およびしっくいを含む種々のターゲット材料に噴霧した。処理されたターゲット材料を引き続き種々の距離から屋内および自然の屋外の光条件下で観察した。引き続きターゲット材料を自然の気候および直接的日光条件下に約7日間さらした。ターゲット材料に適用されたヒドロゲル組成物を乾燥の量および色の濃淡の程度に関して観察した。すべての暴露された領域はこの時間の間に透明な残留物に対して淡いオレンジに顕著に色あせた。前記ターゲットを引き続き新しい水道水および温和なこすり(すなわちスポンジまたは柔らかいたわし材料)を使用して部分的に洗浄した。ヒドロゲル組成物のすべての残留物はターゲット材料から容易に除去された。
例4
着色剤約1.8mlおよび高分子ポリエチレンイミン(BASONAL(登録商標)ホワイトFO1、BASF社から入手できる)1.8mlを水990mlに添加し、引き続き均一になるまで攪拌することにより消火組成物を製造した。得られた混合物にポリアクリル酸ナトリウム約5.75gを添加し、引き続き攪拌して均一な組成物を生じた。別々の組成物に添加された3種の着色剤はFASTUSOL(登録商標)レッド51L、FASTUSOL(登録商標)オレンジ80LNおよびFASTUSOL(登録商標)イエロー76LNであった。高分子ポリエチレンイミンおよび着色剤を含まない比較例を製造した。
それぞれの不透明組成物の試料をAstroturfの2´×4´のシートに適用した。着色していない、不透明でないSAPヒドロゲルはAstroturf上で見えなかった。本発明の組成物で処理されたAstroturfの色は明らかに見えた。不透明材と着色剤の質量比を2:1に増加した付加的な試料において、適用された消火組成物の色の可視性が更に高められた。
Astroturfに適用後、本発明の組成物を約5日後に乾燥し、この時点でAstroturfに適用された着色剤が色落ちを開始し、白い不透明剤が透明から淡い黄色になった。
明細書および実施例が説明にすぎず、本発明を限定するものでなく、本発明の範囲内で他の実施態様を当業者に提示できることは理解される。

Claims (15)

  1. 火災を遅らせ、抑制し、または消火するために十分な量の消火組成物を燃えやすい物体に適用する工程を有する、燃えやすい物体を消費する火災を制御する方法であり、前記消火組成物が
    (a)超吸収剤ポリマー0.01〜20質量%
    (b)着色剤0.005〜10質量%
    (c)炭酸カルシウム、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ビニルピロリドンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−コポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリ酢酸ビニル、澱粉、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される付加的な不透明剤0.005〜10質量%および
    (d)水
    からなる火災を制御する方法。
  2. 不透明剤が炭酸カルシウムからなる請求項1記載の方法。
  3. 不透明剤がスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ビニルピロリドンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−コポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリ酢酸ビニル、澱粉、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコールまたはこれらの混合物のエマルジョンまたはラテックスからなる請求項1または2記載の方法。
  4. 不透明剤がポリエチレンイミンからなる請求項3記載の方法。
  5. 組成物が更に水溶性有機溶剤10質量%までを含有する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 組成物が更に粘度改質剤、分散剤、pH改質剤、界面活性剤およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の任意成分を含有する請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 組成物が燃えやすい物体に色を付与する請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 組成物の適用後30日以内に燃えやすい物体に付与された色が実質的にあせる請求項7記載の方法。
  9. 燃えやすい物体に付与された色が、燃えやすい物体に適用された組成物を有する燃えやすい物体が組成物を適用しない燃えやすい物体から裸眼により区別される十分な強度を有する請求項7または8記載の方法。
  10. 地面用装置または空中用装置により組成物を適用する請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. (a)超吸収剤ポリマー0.1〜5質量%
    (b)着色剤0.015〜2質量%
    (c)炭酸カルシウム、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ビニルピロリドンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−コポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリ酢酸ビニル、澱粉、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される付加的な不透明剤0.015〜2質量%および
    (d)水
    からなる消火組成物。
  12. 更に水溶性有機溶剤10質量%までを含有する請求項11記載の組成物。
  13. 更に粘度改質剤、分散剤、pH改質剤、界面活性剤およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の任意成分を含有する請求項11または12記載の組成物。
  14. 着色剤および不透明剤が不透明剤0.5〜3部に対して着色剤1部の質量比で存在する請求項11から13までのいずれか1項記載の組成物。
  15. 不透明剤および超吸収剤ポリマーが超吸収剤ポリマー2〜4部に対して不透明剤1部の質量比で存在する請求項11から14までのいずれか1項記載の組成物。
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