JP4597309B2 - 織ラベルおよびラベル加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両側縁の繊維溶融部が平滑で皮膚を刺激しない織ラベルに関し、テープ素材の両側縁における繊維溶融部を研磨処理するラベル加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
織ラベルは、一般に矩形平面でポリエステル製であり、色糸の横糸でブランドや図柄を織り出し、背広やスーツの前身頃裏側またはワイシャツやスポーツシャツの衿裏側などに縫着する。この種の織ラベルは、従来、細幅織機でテープ状に織り上げ、ついで1枚ごとに寸断している。
【0003】
細幅織機によるラベル織成方法は、テープを1本ずつ織り上げるため、生産効率が低くてコスト高になるという欠陥がある。現在では、レピア織機のような高速の広幅織機によってまず広幅織物を織り上げ、この広幅織物をテープ状にヒートカットする方法が主流であり、ヒートカット可能な織糸としてポリエステル繊維を使用することが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記の織成方法において、広幅織物をテープ状にヒートカットすると、その広幅織物の横糸を溶融切断することになり、得たテープ素材の両側縁に線状の繊維溶融部が形成されてしまう。この繊維溶融部は、ポリエステル繊維であるので硬いガラス様を呈し、触感や外観において全体組織との違和感が著しく、テープ素材から寸断したラベルは、縫着のために折り曲げると両側縁の繊維溶融部が折れて溶融突片を生じやすい。
【0005】
この溶融突片が生じたラベルを衣服に縫着すると、肌着であれば溶融突片が使用者の肌に接触して痒く、着用時に不快感が生じるうえに、皮膚を傷つけることがある。また、スキーウェアなどの外衣であれば、下に着込んだセーターや中衣シャツにほつれが生じたり毛羽立ってしまう。アパレルメーカや縫製業者などの多数のユーザは、ヒートカットで製造する織ラベルについて、繊維溶融部の発生防止をラベル製造業者に強く要望している。
【0006】
繊維溶融部の発生防止策として、広幅織物を超音波で切断する方法が提案されている。この場合、繊維溶融部が超音波切断によって減少しても切断個所がほつれやすくなる。また、織ラベル両側縁をオーバーロックミシンによって縫い糸で繊維溶融部を包み込むと、両側縁の繊維溶融部による突き出しが減少する反面、オーバーロック縫製では、両側縁の縫い幅が太くなるうえにその部分が高く盛り上がり、織ラベルの縫着に際して不便であって美観的にも好ましくない。
【0007】
本発明は、広幅織物をヒートカットしたテープ素材から製造する織ラベルに関する前記の問題を改善するために提案されたものであり、衣類に縫着した際に不快感を与えることが少ない織ラベルを提供することを目的としている。本発明の他の目的は、触感が良好であるうえに、両側縁の縁縫い部が目立たずに美観的に優れた織ラベルを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、テープ素材を高速走行させてその両側縁を迅速に研磨するラベル加工方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、テープ素材の両側縁を研磨した後に縫い糸で繊維溶融部を包み込むので糸切れや毛羽立ちが発生しないラベル加工方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る織ラベルは、広幅織物をヒートカットしたテープ素材から寸断し、テープ両側縁にヒートカット時に形成された繊維溶融部を有する。この織ラベルは、研磨によって繊維溶融部の幅が元の約20〜80%に減少する。繊維溶融部について、その幅が元の約20%未満になると、融着繊維が少なくなりすぎて端縁個所がほつれやすくなり、幅が元の約80%を超えると繊維溶融部が残りすぎて触感の良化が殆ど期待できない。
【0010】
本発明の織ラベルは、研磨によって幅が減少した両繊維溶融部の表面は直線状で平滑である。この繊維溶融部は、例えば、約35倍に拡大した顕微鏡写真によって直線状になっていることが確認できる。好ましくは、本発明の織ラベルは、糸環部の縫い糸がテープ側縁を越えながら横方向に連続する単環縫いをテープ側縁の近辺に沿って形成することにより、該縫い糸で各側縁の繊維溶融部をほぼ完全に被覆している。
【0011】
本発明のラベル加工方法は、広幅織物をヒートカットしたテープ素材の両側縁を平滑化するに際して、1対の研磨ディスクを所定間隔をおいて水平且つ回転自在に配置し、テープ素材を引き出して水平状態で直線状に走行させる。両研磨ディスクは、テープ素材の走行時にテープ側縁とそれぞれ接触し、テープ素材の走行方向と反対の方向へ高速回転することによってテープ両側縁を研磨する。両側縁を研磨したテープ素材は、さらに別のヒートカッタによってラベルごとに寸断する。
【0012】
本発明のラベル加工方法は、テープ素材の両側縁を平滑に研磨した後に一旦巻き取り、所望に応じて水平作動のミシン針と前後揺動のルーパとを備えるミシンに送り込む。このミシンに対して、テープ素材を長手方向に向けて立てて走行させ、その一方の側縁の近辺に沿って縫い糸を前後に送りながら横方向に連続する単環縫いを形成する。次に別の同様のミシンによって、他方の側縁にも単環縫いを形成する。
【0013】
本発明方法において、1対の研磨ディスクを所定間隔をおいて水平且つ回転自在に配置し、両ディスクの横間隔はテープ素材の幅にほぼ等しい。この研磨ディスクは、周面が断面V字または凹状であると好ましい。テープ素材の側縁を研磨する際には、該テープ素材を受け台と保持プレートとの間を通過させ、テープ素材が揺動することを防いでいる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の織ラベルは、広幅織物をヒートカットしたテープ素材から製造し、該テープ素材は両側縁の研磨によって繊維溶融部の幅が元の約20〜80%に減少する。この両側縁研磨に用いる研磨装置は、1対の研磨ディスクを有する構造を有していればよく、その一例を図1から図3に示している。
【0015】
図1に示す研磨装置1は、1対の研磨ディスク2,2を有し、両ディスクはテーブル3上で所定間隔をおいて水平且つ回転自在に配置する。図2に示すように、両ディスク2,2の横間隔は、走行するテープ素材5を挟むように該テープ素材の幅にほぼ等しく、両ディスクの位置はテープ素材の幅に応じて調整できる。
【0016】
研磨ディスク2は、ディスク本体の周辺に環状にホイールを形成し、ホイール周面は断面V字または凹状である。ディスク2のホイールは、研削した繊維溶融部が表面に融着しないように高精度用で気孔の比較的大きい研磨材が好ましい。研磨ディスク2は、テーブル3上でそれぞれブロック7に垂直に取り付け、両ブロック7,7は平行に並べて配置する。各ブロック7は、フレーム8(図2)に取り付けた調整つまみ10を回すことで摺動でき、個々に横方向に摺動させることでディスク2,2の横間隔を調整する。
【0017】
図3から明らかなように、研磨ディスク2の軸はブロック7を通過して下方へ延び、その下端部にプーリ11を固着する。各ブロック7の下方には、電動モータ12を設置し、その軸に固着したプーリ14とディスク2のプーリ11とにベルト16を張設することにより、モータ12でディスク2を2000rpm前後で高速回転できる。ディスク2,2は、図2において矢印で示すように相互に反対方向に回転する。
【0018】
矩形平面の受け台18と保持プレート20は、各ブロック7の上に配置し、その側端面はディスク2の周面と近接する。保持プレート20は、受け台18に比べて幅が狭く、ピン22,22によってプレート下表面と受け台18の上表面との間に狭い水平隙間を有する。この水平隙間は、ディスク2の軸方向中間とほぼ同じ水平面に位置する。
【0019】
図1において、テープ引き出し用の巻芯載置台24およびテープ巻き取り用の巻芯載置台26は、研磨ディスク2,2を挟むように所定間隔をおいてテーブル3上に回転自在に設置し、両載置台はほぼ同じ水平面に位置する。巻芯載置台26には電動モータ(図示しない)を付設し、テープ素材5を約50m/分の速度で巻き取る。テープ素材5のガイドバー28,30は、両載置台24,26の近傍に垂直に取り付け、該テープ素材をディスク2のブロック7と常に直交して走行させる(図2参照)。
【0020】
巻芯載置台24から引き出されたテープ素材5は、ガイドバー28からガイドローラ32を通過するまでに90度捻られて水平に走行し、さらにガイドプレート34とローラ対36を経て、その両側縁が研磨ディスク2,2と接触する。研磨後のテープ素材5は、ガイドプレート38とローラ対40を経て、ガイドローラ42からガイドバー30を通過するまでに90度捻られて元に戻り、載置台26の巻芯に巻き取られていく。繊維溶融部の研削粉塵は、ダクト44(図2),46(図3)などを経て真空集塵機(図示しない)によって吸い取り、所望の作業環境を維持する。
【0021】
本発明で用いるテープ素材5は、その両側縁を研磨した後に、単環縫いを側縁の近辺に沿って形成し、該縫い糸で織ラベルの両側縁の繊維溶融部をほぼ完全に被覆してもよい。この縁縫いに用いる装置は、その一例を図4から図8に示している。
【0022】
図4に示す縁縫い装置50は、矩形テーブル52上に全部材を載置し、該テーブル52の前方中央に公知の縁縫いミシン54を設置する。ミシン54の前方両側に第1および第2案内部材56,58を垂直に固着し、両案内部材はミシン前面と平行に一直線状に配列する。第1案内部材56の後方には、芯立て棒と円座を有するテープ巻芯載置台60を垂直に取り付け、且つ第2案内部材58の後方に水平案内部材62が位置する。また、ローラ対64は、テーブル右側において水平案内部材62の後方に回転自在に設置する。
【0023】
縁縫いミシン54は、テーブル52の裏側に取り付けた電動モータ(図示しない)で駆動し、該ミシンの回転軸に固着したプーリ66およびベルト68を介して、プーリ70を固着したローラ対64の回転軸72を同期回動する。ミシン54の前方中央には、回転可能な円形平面の突出台74を水平に取り付け、周面に刻み目を有する水平の押え円盤76を突出台74の周面と近接させて設置する(図6参照)。押え円盤76は、ミシン前面上方から前方斜め下向きに張り出したアーム77によって回転可能に支承する。図7に示すように、湾曲平面の押え金78は、突出台74の上方において近接設置し、該突出台の左側方から前方突出面まで延びてテープ素材5の側縁と接触し(図8参照)、突出台74および押え円盤76は矢印方向に間欠的に回動する。押え金78の上面は、図8のようにテープ素材5の側縁から約0.2mm上方に位置する。
【0024】
ミシン54において、ミシン針80は、図6に示すように突出台74の上面と近接させて水平に取り付け、図7の線80aで示すように押え円盤76上まで水平方向に往復作動し、この際に図8の位置80bで示すように押え金78の先端部の下方を通過する。一方、ルーパ82は、図5に示すように垂直バー84の下端に横向きに突出させた爪部材であり、該垂直バーはミシン前面上方から前方へ水平に突き出した揺動バー86に固着する。図6の一点鎖線から明らかなように、ルーパ82は、ミシン針80が前端まで前進して後退作動する直後に該針の針穴後方の位置82aまで下降し、針80の後退とともに上昇し、後端まで後退した際に針尖端の前方位置82bまで下降する。
【0025】
縫い糸87の糸巻き載置台88は、テーブル52(図4)の後方中央に配置し、ミシン54の後側に位置している。載置台88は、図示のように、1組または2組以上の糸立て棒と糸立て座を有し、その上方に糸案内バー89を水平に取り付ける。ミシン針80に通す縫い糸87は、載置台88の糸巻きから糸案内バー89を越え、ミシン54の上方に設置した糸案内台組を経て針80へ供給する。
【0026】
ミシン54の前面において、図5および図6に示すように、テープ素材5の上縁部を受け止めるU字部90を有する第1ガイドプレート91と、該テープ素材の下縁部に接する水平部92を有する第2ガイドプレート94とを取り付け、これらはほぼ垂直に隣接設置する。第1ガイドプレート91は、U字部90が突出台74と押え円盤76の左側直前において水平面で接線方向に位置するように取り付け(図7参照)、ナットを緩めると上下方向に位置替えできる。また、第2ガイドプレート94は、押え円盤76の下方に位置し、クランプ96を調整して上下方向に位置替え可能である。第1ガイドプレート91のU字部90の内周面上方と第2ガイドプレート94の水平部92上面との垂直距離が、長手方向に立てて水平搬送するテープ素材5の横幅に相当する。
【0027】
図5に示す第1および第2案内部材56,58は、ミシン54の前方両側において、ガイドプレート91,94と一直線状になるように配列する。案内部材56,58は、それぞれ支持板98と水平板99との間に多数本の案内バー100を垂直且つ平行に設置し、各案内バーと嵌合する貫通孔を設けた案内板102を支持板98と水平板99との間に取り付ける。案内板102は、走行するテープ素材5の横幅に応じて、両端面にねじ込んだ蝶ボルトを締めて任意の水平位置で固定できる。テープ素材5は、各案内バー100の周囲を左右交互に回り込みながら水平板99と案内板102との間を通過する。
【0028】
一方、水平案内部材62は、テーブル52上において第2案内部材58の後方に位置し、その上端面が案内部材58の水平板99と案内板102とのほぼ中間の高さになるように高さ位置を調整できる。水平案内部材62は、左右上端部の間に多数本の案内バー104を水平且つ平行に設置する。片縁縫い後のテープ素材5は、第2案内部材58を出て縦向きから水平になり、各案内バー104の周囲を上下交互に回り込みながら通過する。ローラ対64は、水平案内部材62の後方において回転自在に設置し、ミシン54と同期して間欠的に回動し、左右両側のボルトで加圧力を調整できる。ローラ対64は、縁縫い後のテープ素材5を熱プレスする加熱可能な金属ローラでよく、ローラ表面をローレット加工したりまたは筒状布を被せる。
【0029】
図示しないけれども、縁縫い装置50は、実際には図4の装置を2台組み合わせた構造であり、ミシン54から送り出したテープ素材5を途中で180度捻り、これを別のミシンへ送り込む。この別のミシンは、ミシン54とはテープ送り方向が反対であり、ミシン54と配置位置を前後に入れ替えることは任意である。ローラ対64で引き取ったテープ素材5は、例えば該ローラ対の下方に設けた開口を経てテーブル52の下方へ送り出し、該ローラ対から上下動自在なローラに回し掛けし、さらに上方の水平ローラと水平案内部材を経て、別のミシン側の垂直ローラ(図示しない)へ送り出す。一方、別のミシン側では、引き取りローラの下方近傍においてテーブル52に開口を設け、前記と同様にローラ対で引き取ったテープ素材5をテーブル下方へ送り出し、該テープ素材を上下動自在なローラを経て適当な巻芯に巻き取る。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明の織ラベルに加工するテープ素材5は、図9に例示するような広幅織物110から多数本同時に織成する。
【0031】
広幅織物110は、例えばポリエステル繊維糸、ナイロン繊維糸、綿糸などで織成し、少なくとも各ヒートカット部に合成繊維糸を織り込んでいる。広幅織物110の織組織は平織、斜文織、朱子織のいずれでもよく、帯状に並列した文字や図柄などを有する。広幅織物110の織成には、例えば高速運転のレピア織機,プロジェクタイル織機,エアージェット織機などの広幅織機とジャカード機とを組み合わせて構成する。得た広幅織物110は、幅70〜260cmであり、広幅織機に設置した切断装置によって、例えば案内糸112,112間を帯状に5aごとにヒートカットする。この切断装置は、例えば、一定間隔を置いて並列に配置した多数本のナイフからなる。ヒートカットされた多数本のテープ素材5は、その両側縁に線状の繊維溶融部(図示しない)が発生しており、各テープ素材を広幅織機においてそれぞれ巻芯に巻き取る。
【0032】
テープ素材5の両側縁を研磨するには、図1に示す研磨装置1において、該テープ素材の巻芯を載置台24に載せる。載置台24から引き出されたテープ素材5は、ガイドバー28からガイドローラ32を通るまでに水平に捻り、さらにガイドプレート34とローラ対36を経て、その両側縁を研磨ディスク2,2と接触させる。テープ素材5は、両側縁の研磨後にガイドプレート38とローラ対40を通り、ガイドローラ42からガイドバー30を通過するまでに元に戻し、載置台26の巻芯に巻き取る。
【0033】
研磨装置1では、載置台26を回動してテープ素材5を約50m/分の速度で走行させる。一方、研磨ディスク2,2は、テープ素材5の走行方向と反対に2000rpm前後で高速回転する。研磨ディスク2,2は、テープ素材5の両側縁と回転接触することにより、その両側縁を研磨して繊維溶融部の幅を元の約20〜80%に減らすとともに、各繊維溶融部の表面を直線状に平滑化にする。一方、研磨ディスク2,2で発生する研削粉塵は、真空集塵機(図示しない)によって吸い取る。
【0034】
研磨後のテープ素材5から織ラベル120(図10)に加工するには、図10の一点鎖線122の位置でラベル1枚ごとに横方向にヒートカットする。得た織ラベル120は、後続の折り曲げ工程において、約140℃に加熱してプレスしてエンドホールドまたはセンターホールドする。織ラベル120において、両側縁124,124は繊維溶融部の幅が狭いうえに直線状で平滑であるため、衣類に縫着した際に不快感を与えたり皮膚を傷つけることがない。また、各織ラベル122は、エンドホールドやセンターホールドで折り曲げても突き出し片が発生しない。
【0035】
テープ素材5は、その両側縁を研磨した後に、その近辺に沿って単環縫いをテープ側縁形成してもよい。この際には、研磨後のテープ素材5の巻芯を図4の4縁縫い装置50における載置台60の上に載せ、該巻芯からテープ素材5を引き出して第1案内部材56で水平方向に搬送する。案内部材56は、長手方向に向けて立ったテープ素材5をミシン54へ送り込み、第1ガイドプレート91のU字部90と第2ガイドプレート94の水平部92との間でテープ素材5を正確に位置決めし、突出台74と押え円盤76で間欠的に図4の矢印方向へ送る。テープ素材5について、図8の針位置80bから上方の部分が縁縫い幅hであり、テープ位置を適宜に上下させると縁縫い幅hを調整できる。
【0036】
図8を参照すると、ミシン針80が前進して停止中のテープ素材5に例えば点130aで突き刺さると、針穴に通した縫い糸87がミシン針80とともにテープ裏側から表側へ通過し、テープ表側で糸環部134が生じる。針80が図6の位置80cまで前進してから後退を開始した直後に、ルーパ82がテープ表側において針80の針穴後方の位置82aまで下降し、さらに若干旋回して糸環部134を引っかける。次に針80が後退してテープ素材5から抜け、テープ素材5は図8の矢印方向つまり図4の矢印方向へ距離dだけ間欠的に移動する。
【0037】
ルーパ82は、ミシン針80の後退とともに糸環部134を引っかけたまま上昇し、さらにテープ表側から裏側へ後退移動し、テープ裏側へ来ると下降を開始する。ミシン針80が、図6の実線位置まで後退すると、糸環部134を引っかけたままのルーパ82は針尖端の前方位置82bまで下降する。この際に、糸環部134の縫い糸87は、テープ素材5の側縁と直接接触することなく、押え金78の先端部の上面と直接接触する。ミシン針80が再び前進すると、ルーパ82は逆旋回して糸環部134から外れ、該針はテープ裏側でルーパ82で引き出された糸環部134の中を通過し、点130bでテープ素材5に突き刺さる。この結果、縫い糸87の糸環部134をテープ側縁に縫い付ける。ミシン針80の前進とともにルーパ82は上昇を開始し、前記と同様の作動によって位置80bで次の糸環部134を縫い付け、テープ素材5が左方向へ距離dだけ移動すると、図示のように前の糸環部134が押え金78の先端部から外れて糸環部134の縫い糸87がテープ側縁と直接接触する。したがって、糸環部134の縫い糸87は強い引張り力が生じる締め付け時にテープ側縁と直接接触しないことにより、常に一定した単環縫い136(図11)を形成できる。
以下、前記の操作を繰り返して縁縫いを行っていく。
【0038】
片側136を縁縫いしたテープ素材5は、案内部材62およびローラ対64を経て水平方向に引き取り、下方へ送り出してから別の水平ローラと水平案内部材を経て水平方向に送り出す。テープ素材5は、垂直ローラ(図示しない)において長手方向に向けて立ち、この際に単環縫い136は下側に位置する。テープ素材5を別のミシンへ送り込むと、押え円盤で間欠的に右方へ送りながら他方の単環縫い138を形成していく。両側縁を縁縫いしたテープ素材5は、ローラ対で引き取り、テーブル52の下方で巻芯に巻き取る。
【0039】
縁縫い装置50を通過したテープ素材5では、単環縫い136,138を形成する1本の縫い糸87がテープ側縁の繊維溶融部と交差し、且つその縫い目が重合せずに連続的に存在する。実際には、縫い糸87は図5のような空隙を生じることなく密接し、細い縫い糸であっても繊維溶融部を密に被覆する。この種のテープでは、細い縫い糸87を用いるうえに糸刺し点130a,130bなどが一直線状の1列だけであるから、縫い付け時のテープ位置を適宜に上下させて縁縫い幅hを容易に調整でき、縁縫い幅hを可能な限り狭くするとテープの美観を殆ど損なわない。テープ素材5では、その横糸を縫い糸87として用いてもよく、テープ全体の色彩とデザインの統一をとることができる。
【0040】
縁縫いしたテープ素材5は、前記と同様に処理して織ラベルに加工できる。このテープ素材5は、縁縫いに際して繊維溶融部の幅が狭いうえにその表面が直線状で平滑であるので、生地の硬軟および厚みなどに関係なく、均一で美麗な単環縫い136,138を形成できる。このテープ素材5は、両側縁の研磨後に縫い糸で繊維溶融部を包み込むことにより、従来よりも縫い糸87の糸切れや毛羽立ちの発生がいっそう少なくなり、糸切れによる機械停止が減少して生産能率がいっそう上昇する。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る織ラベルは、ヒートカットしたままの織ラベルに比べて両側縁における繊維溶融部の幅が狭く、しかもより直線状で平滑であるため、衣類に縫着した際に不快感を与えたり皮膚を傷つけることがほぼ解消する。本発明の織ラベルは、繊維溶融部が目立たなくなって美観的に優れ且つ触感が良好になり、縫着時に折り曲げても突き出し片が発生しない。
【0042】
本発明の織ラベルは、両側縁の研磨の後に縁縫いすることにより、いっそう美観的に優れ且つ触感が良好になる。この織ラベルは、肌着に縫着すると肌着の良好な着用感を維持し、スキーウェアなどの外衣や毛布などの寝具類に縫着すると、下に着込んだセーターや中衣シャツまたはパジャマや寝巻にほつれが生じたり毛羽立つことがない。
【0043】
本発明のラベル加工方法は、超音波切断法に比べて装置が非常に安価であり、しかもテープ素材を段違いに高速に走行できるため、ラベル生産能率が遙かに優れている。また、本発明のラベル加工方法は、テープ両側縁の研磨後に縫い糸で繊維溶融部を包み込むことにより、従来よりも縫い糸の糸切れや毛羽立ちの発生が殆ど解消し、縁縫い織ラベルの品質を改善するとともに生産能率がいっそう上昇する。このラベル加工方法は、ラベルの寸法や品質に応じて両側縁の繊維溶融部の研磨量を調整することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法で用いる研磨装置をフレームを除いて示す概略側面図である。
【図2】 図1の要部を示す装置の平面図である。
【図3】 図2の装置の側面図である。
【図4】 テープ素材の両側縁を縁縫いする装置を概略的に示す部分平面図である。
【図5】 図4に示す縁縫い装置のミシン個所を拡大して示す部分正面図である。
【図6】 図5のA−A線に沿って拡大して示す部分側断面図であり、押え金などを省略している要部側断面図である。
【図7】 図6とほぼ同じ位置における部分平面図であり、押え金を加え且つ拡大率を変えて示す要部平面図である。
【図8】 縁縫いしたテープ側縁を裏側から示す拡大側面図であり、縁縫い状態を判りやすいようにデフォルメしている。
【図9】 テープ素材を得るための広幅織物を例示する部分平面図である。
【図10】 テープ素材の一例を示す概略平面図である。
【図11】 両側縁を縁縫いした別のテープ素材を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 研磨装置
2,2 研磨ディスク
5 テープ素材
110 広幅織物

Claims (5)

  1. 広幅織物をヒートカットしたテープ素材から寸断し、テープ両側縁にヒートカット時に形成された繊維溶融部を有する織ラベルにおいて、研磨によって繊維溶融部の幅が元の20〜80%に減少し、各繊維溶融部の表面が直線状で平滑である織ラベル。
  2. 広幅織物をヒートカットしたテープ素材から寸断し、テープ両側縁にヒートカット時に形成された繊維溶融部を有する織ラベルにおいて、研磨によって幅が減少した両繊維溶融部の表面は直線状で平滑であり、糸環部の縫い糸がテープ側縁を越えながら横方向に連続する単環縫いをテープ側縁の近辺に沿って形成することにより、該縫い糸で各側縁の繊維溶融部を被覆している織ラベル。
  3. 広幅織物をヒートカットしたテープ素材の両側縁を平滑化するに際して、1対の研磨ディスクを所定間隔をおいて水平且つ回転自在に配置し、テープ素材を引き出して水平状態で直線状に走行させ、該テープ素材の走行時に両研磨ディスクがテープ側縁とそれぞれ接触し、両研磨ディスクがテープ素材の走行方向と反対の方向へ高速回転することによってテープ両側縁を研磨し、さらにテープ素材をラベルごとに寸断するラベル加工方法。
  4. 1対の研磨ディスクを所定間隔をおいて水平且つ回転自在に配置し、テープ素材を引き出して水平状態で直線状に走行させ、該テープ素材の走行時に両研磨ディスクがテープ側縁とそれぞれ接触し、両研磨ディスクがテープ素材の走行方向と反対の方向へ高速回転することによってテープ両側縁を研磨し、一旦巻き取ってからテープ素材を長手方向に向けて立てて走行させ、その一方の側縁の近辺に沿って縫い糸を前後に送りながら横方向に連続する単環縫いを形成してから、他方の側縁にも単環縫いを形成し、さらにテープ素材をラベルごとに寸断するラベル加工方法。
  5. 研磨ディスクは周面が断面V字または凹状であり、テープ素材の側縁を研磨する際に、該テープ素材を受け台と保持プレートとの間を通過させる請求項3又は4記載の加工方法。
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