JP4597299B2 - X線ビーム量検出方法及びx線ct装置 - Google Patents

X線ビーム量検出方法及びx線ct装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はX線ビーム量検出方法及びX線CT(Computed Tomography) 装置に関し、更に詳しくは、X線管から照射され、被検体を透過したX線ビームを対向する検出器で検出し、その出力を積分及びA/D変換してX線ビーム量検出データ(投影データ)を得るX線ビーム量検出方法及びX線CT装置に関する。
【0002】
一般に、X線CT装置の撮像条件(X線管の管電圧kV、管電流mA、被検体の体軸方向における検出幅Thic 及び被検体へのX線照射時間Sec等)は、被検体の体格や医療に基づく撮像目的等により大きく異なっており、いかなる撮像条件下でも適正なX線CT画像が得られることが望まれる。
【0003】
【従来の技術】
図10は従来のX線CT装置の主要部構成を示す図で、主にデータ収集システム(DAS)の構成を示している。図において、40はX線管、50はX線の曝射範囲(ファン方向及びスライス厚方向)を制限するコリメータ、100は被検体、20は被検体100を載置し、体軸方向に移動する撮影テーブル、70は多数(例えばn=1000)のX線検出器が円弧状の例えば1列に配列されているX線検出器アレイ、XD1〜XDnはシンチレータとフォトダイオードとからなるX線検出器、811 〜81n はX線ビーム量を検出する積分器、A1〜Anはアンプ、SH1〜SHnはサンプルホールド回路、82は信号マルチプレクサ(MPX)、83はA/D変換器(A/D)、15はデータ収集バッファ、11はX線CT装置の主制御・処理(スキャン制御,CT画像再構築処理等)を行う中央処理装置、11aはそのCPU、11bはCPUが実行する制御プログラム等を記憶している主メモリ(MEM)、14はCPU11aの制御インタフェース、84はX線データ検出・収集制御に係る各種タイミング信号を発生するタイミング発生部(TG)である。
【0004】
動作の概要を述べると、X線管40から曝射され、かつコリメータ50で制限されたファンビームは被検体100を介してX線検出器アレイ70に一斉に入射する。今、X線ビームXB1の信号処理に着目すると、X線検出器XD1はX線ビームXB1の強度に応じた電流信号IB1を出力し、積分器811 は入力の電流信号IB1を一定の時定数(容量C)で積分する。
【0005】
ここで、この積分動作を一般的な式で記述すると、積分器の出力電圧Voと入力電流Iiとの間には(1)式、
【0006】
【数1】
Figure 0004597299
【0007】
の関係がある。これは積分器の入力(信号源)を電流源とした場合であり、(1)式によれば積分器の出力電圧Voは入力電流Iiを(1/C)の比で積分する関係にある。そこで、本明細書ではこの容量Cのことを積分の時定数とも呼ぶ。また、この場合の抵抗Rは抵抗値の比較的小さい所謂回路の保護抵抗であり、積分動作(時定数)には寄与しないものとする。
【0008】
更に、アンプA1は積分器811 の出力を増幅し、サンプルホールド回路SH1はアンプA1の出力を所定のタイミングでサンプルホールドする。他のX線ビームXB2〜XBnの各信号処理についても同様である。そして、信号マルチプレクサ82はサンプルホールド回路SH1〜SHnの各サンプル出力を高速でスキャンし、A/D変換器83は信号マルチプレクサ82の各出力を高速でA/D変換する。こうして得られた一連の主信号データ(X線ビーム量検出データ)はデータ収集バッファ15に蓄積され、CPU11aにより処理される。
【0009】
なお、積分器811 〜81n において、ブロック「RESET」は容量(コンデンサ)Cのリセット回路であり、タイミング発生部84のリセット信号RSが付勢されると、アナログスイッチS5が閉成され、容量Cの電荷Qがリセット回路を介して放電される。またブロック「AUTO ZERO」はオペアンプOAの入力オフセット電圧キャリブレーション回路であり、タイミング発生部84のキャリブレーション信号CALが付勢されると、アナログスイッチS6,S7が図示の反対側に切替えられ、その時のオペアンプOAの出力電圧が0Vとなる様にキャリブレーション回路のバイアス状態が更新される。
【0010】
ところで、上記では積分器811 がX線検出器XD1の検出電流出力IB1を直接積分して対応する積分電圧信号V1を生成する場合を述べたが、これに限らない。X線CT装置によっては、図の矢印で挿入する如く、X線検出器XD1の検出電流出力IB1を一旦プリアンプPA1により電圧信号VB1に変換(対数変換を含む)して後、積分器811 に入力する方式のものが存在する。
【0011】
この場合の積分器811 (オペアンプOA1)の入力回路では、常に、
IB1=VB1/R
の関係が成り立つ、即ち、これを一般的に言うと、積分器811 の入力電流Iiと入力電圧Viとの間には、常に、
Ii=Vi/R
の関係が成り立つため、これを上記電流積分の(1)式に代入すると、積分器の出力電圧Voと入力電流Iiとの間には(2)式、
【0012】
【数2】
Figure 0004597299
【0013】
の関係がある。これは積分器の入力(信号源)を電圧源とした場合であり、(2)式によれば積分器の出力電圧Voは入力電圧Viを(1/C・R)の比で積分する関係にある。そこで、本明細書ではこの容量Cと抵抗Rとの積(C・R)を積分の時定数とも呼ぶ。この場合の抵抗Rは積分動作(時定数)に寄与するものであることは明らかである。なお、以下の説明では上記(1)式の電流積分に対応する構成を中心に述べるが、必要に応じて上記(2)式の電圧積分に対応する構成についても言及する。
【0014】
従来は、係る構成により被検体100のX線CT撮像を行うが、上記の如く、一般にX線CT装置の撮像条件は被検体の体格や医療に基づく撮像目的等により大きく異なっており、これに応じてX線CT装置の撮像パラメータ(X線管の管電圧kV,管電流mA,被検体の体軸方向における検出幅Thic 及び被検体へのX線照射時間Sec等)を広範囲に設定変更することが行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、係る状況の下で、従来のDASゲイン(即ち、積分器81の時定数Cに相当)は撮像条件によらず一定のものに固定されていた為、撮像条件(管電圧kV,管電流mA等)の大きさによっては、アンプA(即ち、サンプルホールド回路SH)の出力電圧がA/D変換器83の変換上限値LIMに対してオーバレンジとなっていまい、それらの収集データによってCT画像を再構成すると、ストリークアーチファクトや一部が黒く落ち込むアーチとなっていた。
【0016】
以下、従来の積分器81の動作特性を具体的に説明する。なお、以下の説明では積分器81の積分出力VとA/D変換器83の変換出力上限値LIMとの関係が問題となるため、説明の簡単の為に、アンプAの利得は1であるとして説明を行う。即ち、以下の説明では積分器81の積分出力V=A/D変換器83の入力である。
【0017】
図11は従来の積分器の動作特性を説明する図で、図11(A)は単位積分時間t2につき、大きさの異なる電流(i1<i2<i3)が入力した時の積分出力電圧(v1<v2<v3)の関係を示している。ここで、LIMはA/D変換出力の上限値である。従来のDASゲイン(積分器81の時定数Cに相当)は、入力電流IBの大きさが例えばi2の時にその積分出力v2が上限値LIMと等しくなる様に固定されていた。このため、もしi2よりも大きい例えばi3が入力すると、その積分出力電圧v3は図示の如く上限値LIMをオーバしてしまい、そのA/D変換出力は上限値LIMにクランプされていた。
【0018】
図11(B)は1ビュー分の主信号データ(プロファイル)を示しており、横軸はX線検出器XD1〜XDn(即ち、検出チャネルCH1〜CHn)に対応している。図において、入力電流がi2を超えない検出チャネルでは夫々に適正なA/D変換出力が得られるが、入力電流がi2を超える検出チャネルではそのA/D変換出力が上限値LIMにクランプされてしまうため、この様な主信号データはアーチファクトの原因となっていた。
【0019】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的とする所は、常に最適レンジの撮像データが容易に得られるX線ビーム量検出方法及びX線CT装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は例えば図1の構成により解決される。即ち、本発明(1)のX線ビーム量検出方法は、所定の撮像パラメータの下、X線管40から被検体100に対してX線ビームを照射し、被検体100を透過したX線ビームを検出し、その検出出力を積分器811 〜81n で積分してX線ビーム量検出電圧を生成し、その出力をA/D変換器83でA/D変換してX線ビーム量検出データを得るX線ビーム量検出方法において、撮像パラメータであるX線管40の管電圧kV、管電流mA、被検体100の体軸方向における検出幅Thic 及び被検体100へのX線照射時間Secの内の何れか1又は2以上の撮像パラメータに応じて積分器811 〜81n の時定数を変更するものである。
【0021】
本発明(1)によれば、X線CT撮像時の撮像パラメータに応じて積分器811 〜81n の時定数を変更可能とする構成により、被検体の体格や医療に基づく撮像目的等によりX線CT撮像時の撮像パラメータが広範囲に設定変更されても、A/D変換器83に対してオーバレンジとならない様な常に最適レンジのX線ビーム量検出電圧を生成可能となる。
【0022】
なお、上記積分器811 〜81n は被検体100を透過したX線ビームの検出出力を積分してX線ビーム量検出電圧を生成するが、このX線ビームの検出出力には、X線ビームの検出電流及びX線ビームの検出電圧が含まれる。
【0023】
好ましくは本発明(2)においては、上記本発明(1)において、A/D変換器83の変換上限値をVLIM とする場合に、予め第1の撮像パラメータをX線管40の管電圧kVs 、管電流mAs 、被検体100の体軸方向における検出幅Thic s 及び被検体100へのX線照射時間Secs とする第1の撮像により被検体100の所望撮像領域についてのX線ビーム量検出データを収集し、かつ後に第2の撮像パラメータをX線管40の管電圧kVa 、管電流mAa 、被検体100の体軸方向における検出幅Thic a 及び被検体100へのX線照射時間Seca とする第2の撮像を行うに際しては、前記第1,第2の撮像パラメータの比Ratioを該両撮像パラメータの内の何れか1又は2以上の対応項目値の比又は各比の積により求め、該第2の撮像で検出されるべきX線ビーム量検出電圧が前記上限値VLIM を超えないための積分器811 〜81n の時定数を前記求めた比Ratioを基に決定するものである。
【0024】
本発明(2)によれば、予め第1の撮像で採用した第1の撮像パラメータと後の第2の撮像時に設定する第2の撮像パラメータとの間の何れか1又は2以上の対応項目値の比(例えばmAa /mAs 等)又は各比の積{例えば(mAa /mAs )×(Thic a /Thic s )×…等}を求め、得られた比Ratioを基に第2の撮像時における積分器811 〜81n の時定数を決定する構成により、第2の撮像時における第2の撮像パラメータがどの様に大きく設定変更されていても、第2の撮像で検出されるべきX線ビーム量検出電圧がA/D変換器83に対してオーバレンジしないばかりか、積分器811 〜81n のX線ビーム量検出電圧をA/D変換出力の上限値VLIM を下回る線形のフルレンジで動作させることが可能となり、よって常に最適レンジ(最適分解能)の撮像データ(X線ビーム量検出データ)を取得可能となる。
【0025】
また好ましくは、本発明(3)においては、上記本発明(2)において、時定数は、第1,第2の撮像パラメータの比Ratioと、第1の撮像で収集したX線ビーム量検出データの内の最大値VMAX 及び又は最小値VMIN とに基づいて決定するものである。
【0026】
本発明(3)によれば、時定数の決定に際しては、第1,第2の撮像パラメータの比Ratioを基準とすることに加え、第1の撮像で収集したX線ビーム量検出データの内の最大値VMAX 及び又は最小値VMIN を更に考慮に入れることにより、第1の撮像で収集したX線ビーム量検出データを有効に活用できると共に、第2の撮像時における時定数のよりきめ細かい設定が可能となる。
【0027】
具体的に言うと、例えば両者の差(VMAX −VMIN )が小さい場合は、被検体100の体格が普通以下である可能性が高く、よって両撮像パラメータの比Ratioがこれを単独で評価すると多少大きくても、第2の撮像時のデータ収集においてオーバレンジする可能性は低く、よってこの場合の容量(時定数)Cを大きくしないことが可能である。一方、両者の差(VMAX −VMIN )が大きい場合は、被検体100の体格が大きい可能性が高く、よって両撮像パラメータの比Ratioがこれを単独で評価するとあまり大きくなくても、第2の撮像時のデータ収集においてオーバレンジする可能性が高く、よってこの場合は容量(時定数)Cを大きくすることが可能である。
【0028】
上記の課題は例えば図1の構成により解決される。即ち、本発明(4)のX線ビーム量検出方法は、所定の撮像パラメータの下、X線管40から被検体100に対してX線ビームを照射し、被検体100を透過したX線ビームを検出し、その検出出力を積分器811 〜81n で積分してX線ビーム量検出電圧を生成し、その出力をA/D変換器83でA/D変換してX線ビーム量検出データを得るX線ビーム量検出方法において、A/D変換器83の変換上限値をVLIM とする場合に、予めX線管40の管電流を所定値mAs とする第1の撮像により被検体100の所望撮像領域についてのX線ビーム量検出データを収集し、これらの内の体軸方向における最大値VMAX を検出すると共に、後に行う第2の撮像で検出されるべきX線ビーム量検出電圧が前記上限値VLIM を超えないための管電流mAa を前記上限値VLIM と最大値VMAX との比に基づいて求めるものである。
【0029】
本発明(4)によれば、第2の撮像時の管電流mAa を、A/D変換出力の上限値VLIM と、予め第1の撮像で収集したX線ビーム両検出データの最大値VMAX との比(例えばVLIM /VMAX )に基づいて求める(予測する)構成により、第2の撮像時には適正な管電流mAa が容易に設定可能となる。従って、第2の撮像時のX線ビーム量検出電圧がA/D変換器83に対してオーバレンジとならないばかりか、例えば被検体100をA/D変換出力の上限値VLIM を僅かに下回る様な最適のダイナミックレンジで撮像でき、よって最適レンジ(最適分解能)の撮像データ(X線ビーム量検出データ)を容易に取得できる。
【0030】
また上記の課題は例えば図1の構成により解決される。即ち、本発明(5)のX線CT装置は、被検体100を挟んで相対向するX線管40及び検出器70と、検出器70によるX線ビーム強度の検出出力を積分して対応するX線ビーム量検出電圧を生成する積分器811 〜81n と、積分器811 〜81n の出力電圧をA/D変換するA/D変換器83とを備え、A/D変換器83の出力のX線ビーム量検出データ(主信号データ)に基づき被検体100の断層像を再構成するX線CT装置において、撮像パラメータであるX線管40の管電圧kV、管電流mA、被検体100の体軸方向における検出幅Thic 及び被検体100へのX線照射時間Secの内の何れか1又は2以上の撮像パラメータに応じて積分器811 〜81n の時定数(例えば抵抗値R1〜R4及び又は容量値C1〜C4)が可変に構成されているものである。
【0031】
なお、上記積分器811 〜81n は検出器70によるX線ビーム強度の検出出力を積分して対応するX線ビーム量検出電圧を生成するが、このX線ビームの検出出力には、検出器70によるX線ビームの検出電流及び検出器70によるX線ビームの検出電流を例えばプリアンプPA1〜PAnで電流−電圧変換(対数変換等を含む)した検出電圧が含まれる。
【0032】
好ましくは本発明(6)においては、上記本発明(5)において、A/D変換の上限値をVLIM とするA/D変換器83と、予め第1の撮像パラメータをX線管の管電圧kVs 、管電流mAs 、被検体の体軸方向における検出幅Thic s 及び被検体へのX線照射時間Secs とする第1の撮像により被検体の所望撮像領域についてのX線ビーム量検出データを収集する撮像制御部(中央処理装置)11と、前記撮像制御部が後に第2の撮像パラメータをX線管の管電圧kVa 、管電流mAa 、被検体の体軸方向における検出幅Thic a 及び被検体へのX線照射時間Seca とする第2の撮像を行うに際して、前記第1,第2の撮像パラメータの比Ratioを該両撮像パラメータの内の何れか1又は2以上の対応項目値の比又は各比の積により求める比演算手段3と、前記第2の撮像で検出されるべきX線ビーム量検出電圧が前記上限値VLIM を超えないための積分器811 〜81n の時定数を前記求めた比Ratioを基に選択する選択制御手段4とを備える。
【0033】
好ましくは本発明(7)においては、上記本発明(6)において、選択制御手段4は、第1,第2の撮像パラメータの比Ratioと、第1の撮像で収集したX線ビーム量検出データの内の最大値VMAX 及び又は最小値VMIN とに基づいて積分器811 〜81n の時定数を選択する。
【0034】
また上記の課題は例えば図1の構成により解決される。即ち、本発明(8)のX線CT装置は、被検体100を挟んで相対向するX線管40及び検出器70と、検出器70によるX線ビーム強度の検出出力を積分して対応するX線ビーム量検出電圧を生成する積分器811 〜81n と、積分器811 〜81n の出力電圧をA/D変換するA/D変換器83とを備え、A/D変換器83の出力のX線ビーム量検出データに基づき被検体の断層像を再構成するX線CT装置において、A/D変換の上限値をVLIM とするA/D変換器83と、予めX線管40の管電流を所定値mAs とする第1の撮像により被検体100の所望撮像領域についてのX線ビーム量検出データを収集する撮像制御部11と、前記収集したX線ビーム量検出データの内の体軸方向における最大値VMAX を検出する最大値検出手段1と、前記撮像制御部11により後に行われる第2の撮像において検出されるべきX線ビーム量検出電圧が前記上限値VLIM を超えないための管電流mAa を前記上限値VLIM と最大値VMAX との比に基づいて求める管電流演算手段2とを備えるものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に好適なる実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通して同一符号は同一又は相当部分を示すものとする。図2は実施の形態によるX線CT装置のブロック図で、図において、10はユーザが操作する操作コンソール、20は被検体を載せて体軸方向に移動させる撮影テーブル、30はX線のファンビーム等により被検体のAxial/Hericl スキャン・読取を行う走査ガントリである。
【0036】
走査ガントリ30において、40はX線管、41はX線の照射タイミング(被検体へのX線照射時間Secに対応)やX線の強度(管電圧kV,管電流mA)を制御するX線制御部、50はX線の曝射範囲を制限するコリメータ、51はX線の透過スリット幅(被検体の体軸方向における検出幅Thic に対応)や位置を調整するコリメータ制御部、60はX線管40やX線検出器アレイ70等を被検体の体軸の回りに回転させる回転制御部、70は多数(例えばn=1000)のX線検出器が円弧状の例えば一列に配列されているX線検出器アレイ、80はX線検出器アレイの検出データを収集するデータ収集部(DAS)である。
【0037】
操作コンソール10において、11はX線CT装置の主制御・処理(スキャン制御,CT画像再構成処理等)を行う中央処理装置、12は操作者の指示や情報等を受け付ける入力装置、13はスキャンプロトコル(撮像パラメータkV,mA,Sec,Thic 等)やCT再構成画像を表示するための表示装置(CRT)、14は走査ガントリ30や撮影テーブル20に各種制御信号等を出力する制御インタフェース、15はデータ収集部80からの主信号データを蓄積するデータ収集バッファ、16はX線CT装置の運用に必要な各種データやアプリケーションプログラム等を記憶している二次記憶装置(Disk等)である。
【0038】
図3は実施の形態によるデータ収集部(DAS)のブロック図である。本実施の形態による積分器811 〜81n は積分の時定数Cを所望に設定変更可能とするために複数の容量値C1〜C4からなるコンデンサC1〜C4(以下、容量C1〜C4と呼ぶ)を並列に備えており、該容量C1〜C4はアナログスイッチASWにより抵抗Rに切替接続可能に構成されている。即ち、CPU11aからの選択指令SLは制御インタフェース14を介して積分器811 〜81n の各デコーダDECに加えられ、選択指令SLに対応する1又は2以上のスイッチS1〜S4が閉成される。これにより積分器811 〜81n の時定数Cを微小〜広範囲に変更可能である。ここで、容量C1〜C4の値はC1<C2<C3<C4の関係にあるものとする。
【0039】
なお、図の挿入矢印で示す如く、X線検出器XD1〜XDnの各出力にプリアンプPA1〜PAnを挿入して、予め積分器811 〜81n への入力電流IB1〜IBnを対応する電圧信号VB1〜VBnに変換(対数変換を含む)する様なX線CT装置においては、上記1又は2以上の容量C1〜C4を選択する構成に代えて、例えば一つの容量Cと、及び図の抵抗Rに代えて該回路に複数の抵抗R1〜R4等を直列又は並列に備え、該抵抗R1〜R4をアナログスイッチASWで選択する様に構成しても良い。こうすれば、積分器811 〜81n の時定数(C・R)を変更可能となる。又は複数の容量C1〜C4及び抵抗R1〜R4を備え、これらの接続の組合せを変える様に構成しても良い。
【0040】
以下、本実施の形態によるX線CT装置を使用した撮像の動作を具体的に説明する。図4,図5は実施の形態によるスカウト(Scout)スキャンの動作説明図(1),(2)で、図4は被検体(患者)100の体格が普通の場合を示している。ここで、スカウトスキャンとは、続く本スキャンを適正に行うための最適撮像パラメータを得る目的で、本スキャンの前に行われる透視撮像を言う。また本スキャン(Axial/Helical Scan)とは、医療目的に従って被検体100から所望の撮像データを得る目的で行う撮像を言う。
【0041】
図4(c)において、撮影テーブル20の上には普通の体格の被検体100が載っている。被検体100の体軸(Z軸)方向の基準点をZ0とする時に、今、Z0−10cm〜Z0+10cmの範囲を本スキャンするとすると、この範囲で予め粗い精度(飛び飛びのスライス位置)のスカウトスキャンを行う。この時、撮影テーブル20は矢印a方向に移動する。またこのスカウトスキャンは、例えば図4(a)に示す如く、被検体100を真上から見下ろす角度(例えば0°)について行う。また更に必要なら、例えば図4(b)に示す如く、被検体100を真横から見る角度(例えば90°)について行っても良い。
【0042】
図4(d)に表示装置13上の撮像パラメータの表示例を示す。好ましくは、このスカウトスキャンは被検体100の被曝量が少ない態様で行われ、そのプロトコル(撮像パラメータ)の設定は例えば以下の通りである。
【0043】
X線管の管電圧(kVs )=120kV
X線管のフィラメント電流(mAs )=20mA
被検体のスライス厚(Thic s )=1mm
スカウトスキャンのX線照射時間をガントリ1回転分に換算した時間(スキャンタイムに相当)( Secs )=1Sec
なお、スキャンタイムについては、Axialスキャンではガントリ1回転分のX線照射時間を表し、またスカウトスキャンではトータルのX線照射時間を表す。そこで、上記スカウトスキャンにおけるスキャンタイムの設定は、スカウトスキャンのトータルのX線照射時間をガントリ1回転分に換算した時間とし、これにより後述の本(Axial)スキャンにおけるスキャンタイムと比較可能なものにしている。
【0044】
また、上記のプロトコル設定は積分器81の時定数が比較的小さくてもDASゲインがオーバレンジしない範囲のものであり、これに応じて積分器81の例えば最適の容量C2が選択される。なお、このプロトコル設定はユーザがスカウトスキャンの度に任意値を設定しても良いし、又は上記プロトコル設定値をデフォルト情報として保持しておき、スカウトスキャンの度に自動的に設定される様にしても良い。
【0045】
図4(e)〜(g)に上記スカウトスキャンにより得られたX線ビーム量検出データ(A/D変換後の主信号データ)のプロファイル例を示す。図4(e)は撮像開始位置におけるある角度(例えば0°)のVEW1に対応しており、チャネルCH1〜CHnにつき図示のようなデータプロファイルP1sが得られた。ここで、LIMはA/D変換器83の変換上限値、MAXV1は撮像(チャネル方向)の注目領域におけるX線ビーム量検出データの最大値である。同様にして図4(f),(g)は撮像の中間及び最後における上記ある角度(0°)のVEWi,VEWkに夫々対応しており、チャネルCH1〜CHnにつき夫々図示のような各データプロファイルPis,Pks並びに夫々の最大値MAXVi,MAXVkが得られた。実際には更に多くの角度やスライス位置のデータプロファイルを収集可能である。
【0046】
なお、この例の各最大値MAXV1〜MAXVkは夫々airを介した(即ち、被検体100を介さない)X線ビーム量検出データに相当しており、これらはX線管40の略曝射エネルギーを一様に反映したものとなっている。即ち、この場合の各最大値MAXV1〜MAXVkは略同一である。
【0047】
ところで、X線管40の射出面に所要のフィルタ(水等)を設ける場合があり、この場合の各データプロファイルP1s〜Pksの両端部は、図の点線で示す如く、減衰されたものとなっている。従って、この場合の各データプロファイルP1s〜Pksはフィルタと被検体100の各減衰特性が重畳されたものとなり、注目領域における各最大値MAXV1〜MAXVkは必ずしも略同一とはならない。
【0048】
更に、この例では被検体100の体格が普通であるため、X線の被検体100による減衰量もあまり大きくなく、よって各データプロファイルP1s〜Pksにつき、そのX線ビーム量検出データが「0」以外の有為な値を持つ最小値MINV1〜MINVkが検出されている。従って、この場合は減衰量の振幅(MAXV−MINV)を検出可能であり、逆に本装置は、このことから被検体100の体格が普通(又は幾分小柄) であることを認識できる。
【0049】
更に、図4(e)〜(g)を参照すると、各データプロファイルP1s〜Pksは、X線の曝射出エネルギー(管電流mAs 等)が低い結果、X線ビーム量検出データは比較的低いダイナミックレンジで推移しており、A/D変換器83の変換レンジをフルに活用するものとはなっていない。従って、これは続く本スキャンのための必ずしも最適の撮像プロトコルとは言えない。
【0050】
図5は被検体(患者)100の体格が大きい場合を示している。ここで図5(a)〜図5(c)の説明は上記図4(a)〜図4(c)と同様である。図5(d)において、このスカウトスキャンでは被検体100の体格が大きいことを考慮して少し大きめの管電流mA(=30mA)が採用されている。
【0051】
図5(e)〜(g)にこのスカウトスキャンにより得られたX線ビーム量検出データのプロファイル例を示す。この場合の各データプロファイルP1s〜Pksは、上記X線管40の曝射エネルギー(管電流mAs )を高めた結果、これを反映して各最大値MAXV1〜MAXVkは一様にそのレベルが高くなっている。しかるに、この被検体100の体格は極めて大きいため、X線の被検体100による減衰量が極めて大きく、例えば図5(f),(g)に示す如く、これらのスライス位置では、プロファイルデータPis,Pksの一部がレベル0となっていしまい、図の点線で示す様な有為な最小値MINVi,MINVkを検出出来ない状態となっている。即ち、逆に本装置は、このことから被検体100の体格が大きいことを認識できる。またこの例の場合も、このスカウトスキャンで採用したプロトコルは続く本スキャンのための必ずしも最適の撮像プロトコルとは言えない。
【0052】
そこで、本実施の形態ではこの様なスカウトスキャンで得られた撮像データを基に、X線ビーム量検出データ(正確には、A/D変換器83の入力)がオーバレンジしない範囲内で最適の本スキャンを行う。以下、この制御・処理を具体的に説明する。
【0053】
図6は実施の形態によるオーバレンジ回避処理のフローチャートで、ここには上記スカウトスキャンにより得られた主信号データ等を基に、続く本スキャンを最適レンジで行う為の一連の処理が示され、この処理は図3のCPU11aにより実行される。ステップS1ではスカウトスキャンの上記プロトコル(撮像パラメータ等)の設定を行う。なお、この時、上記管電流mAs 以外の各撮像パラメータは、続く本スキャン時のプロトコルと同一に合わせておくことが可能である。こうすれば、本スキャン時には管電流mAa のみを変更(上昇)させれば良く、この設定方法を採用すれば後述の処理により本スキャン時の最適管電流mAa (同時に、DASゲイン)を正確に予測可能となる。勿論、このスカウトスキャン時のプロトコル設定を、本スキャン時とは無関係の任意値に設定できることは言うまでも無い。
【0054】
ステップS2では1ビュー(ある角度におけるあるスライス位置)のスキャンを行う。ステップS3ではチャネルCH1〜CHnの各X線ビーム量検出データ(A/D変換出力)をデータ収集バッファ15に収集する。ステップS4では収集データにつき、必要なら、所定のデータ補正処理(所謂リファレンス補正,チャネル間感度補正等)を行う。ステップS5では所望(スカウトスキャン計画)エリアの全スキャン終了か否かを判別し、終了でない場合はステップS2の処理に戻る。
【0055】
また、やがて、全スキャン終了の場合はステップS6に進み、注目領域の全プロファイルデータにつき最大のX線ビーム量検出データVmax を抽出する。上記図4(e)〜(g)の例では、例えばMAXVi>MAXVk>MAXV1の関係にあり、よって注目領域の最大値Vmax =MAXViである。更にこのステップS6では上記全プロファイルデータにつき最小のX線ビーム量検出データVmin を抽出する。CPU11aは、この最小値Vmin >0の場合は被検体100の体格が普通以下と判断でき、また最小値Vmin =0の場合は被検体100の体格が大きいと判断できる。そして、ステップS7では本スキャン時の管電流mAa を(3)式、
【0056】
【数3】
Figure 0004597299
【0057】
により求める。ここで、もし係数α=1とすると、管電流mAa は管電流mAs における最大値Vmax を本スキャン時にA/D変換器83の上限値VLIM にまで引き上げる様な管電流となる。なお実際上は、例えばα=0.9とすることで、本スキャン時のダイナミックレンジに少し余裕を持たせる。ステップS8では上記得られた管電流mAa を表示装置13に表示する。同時に、上記抽出された最大値Vmax ,最小値Vmin (=0も含む)を表示しても良い。
【0058】
ステップS9では、ユーザが、本スキャンのためのプロトコルを設定する。その際には、好ましくは上記最適のダイナミックレンジを得るための管電流mAa の表示値が参考にされる。そして、もし管電流mA以外の各撮像パラメータがスカウトスキャン時と本スキャン時とで同一でも良い場合は、ユーザは管電流mAa のみを設定すれれば良い。又は上記表示れた管電流mAa を自動的に採用できる。勿論、この本スキャンの全撮像パラメータの設定を、上記スカウトスキャン時とは無関係に任意値に設定できることは言うまでも無い。
【0059】
上記いずれにしても、続くステップS10では、本スキャン時とスカウトスキャン時との間の撮像パラメータ(撮像エネルギー)の比Ratioを(4)式、
【0060】
【数4】
Figure 0004597299
【0061】
により求める。ここで、例えばβ=3である。なお、実際上は、両スキャンの間で常に比が1又は他の一定値となる様なパラメータ要素も存在し得るので、上記比Ratioの式は少なくとも両スキャン間で変化の生じ得る1又は2以上のパラメータ要素の比又は各比の積となっていれば良い。因みに、管電流mA以外の全パラメータの比が一定値γ(不変化)の用途では、
Ratio=γ×(mAa /mAs )=γ×α×(VLIM /Vmax
の関係となり、ユーザが上記ステップS9で本スキャン時の管電流mAa を設定入力するまでもなく、上記ステップS7では本スキャン時のための最適の管電流mAa が、また上記ステップS10では両スキャン間の撮像エネルギーの比Ratioが夫々自動的に求まる。
【0062】
ステップS11では前記求めた撮像エネルギーの比Ratioに基づき、なお、必要なら各パラメータ要素毎の比を考慮して、積分器811 〜81n の出力がオーバレンジとならないための最適のDASゲイン(即ち、容量C)を選択する。この選択の態様については後述する。ステップS12では本スキャン時の撮像プロトコルに従って被検体100の本スキャンを行う。
【0063】
図7は実施の形態による積分器の動作特性を説明する図で、図7(A)は、上記図11(A)の場合と同様に、単位積分時間t2につき、大きさの異なる電流(i1<i2<i3)が入力した時の積分出力電圧(v1’<v2’<v3’)の関係を示している。なお、この図7(A)には上記図11(A)と同一状態の積分特性が太い点線で重ねて描いてあり、ここでもし、本実施の形態における積分器81の時定数が上記スカウトスキャン時のC2(従来のCに相当)のままであるとすると、積分器81に電流i2よりも大きい例えば電流i3が入力したことにより、その積分出力電圧v3は図示の如く上限値LIMをオーバしてしまい、そのA/D変換出力は上限値LIMにクランプされてしまう。
【0064】
しかし、本実施の形態によれば、上記図6のステップS10で求めた撮像エネルギーの比Ratio(好ましくは管電圧kV,管電流mA,スライス厚Thic の各比等)が所定より大であることに基づき、そのステップS11では本スキャン時の選択容量(時定数)を例えばC3(>C2)とした結果、この場合の入力電流(i1<i2<i3)は図示の如く夫々の振幅が一定の比で圧縮された積分出力電圧(v1’<v2’<v3’)となり、こうしてオーバレンジを有効に回避できる。
【0065】
図7(B)は1ビュー分の主信号データ(プロファイル)を示しており、横軸は各X線検出器XD1〜XDnの検出チャネルCH1〜CHnに対応している。図において、上記の如く各積分出力電圧(v1’<v2’<v3’)の振幅が夫々一定の比(例えば2/3)で圧縮された結果、全検出チャネルCH1〜CHnにつき適正な主信号データが得られている。こうして、常にオーバレンジすることの無い最適レンジ(最適DASゲイン)の積分電圧Vが得られる。
【0066】
なお、上記積分器811 〜81n の容量の選択に関しては、上記CPU11aが自動的に行う以外にも、例えば図3に示す如く、表示装置13上に表示された各容量の番号1〜4を撮像に熟練したユーザが任意に強制選択する様にしても良い。
【0067】
図8,図9は実施の形態による本(Axial/Herical)スキャンの動作説明図(1),(2)で、図8は上記図4のスカウトスキャン(普通の体格の被検体)に対応する本スキャンを示している。図8(a)において、撮影テーブル20の上には上記図4(c)と同一の普通の体格の被検体100が同一状態で載っている。被検体100の体軸方向の基準点をZ0とする時に、Z0−10cm〜Z0+10cmの範囲で今度は精密な本(Axial/Herical)スキャンを行う。この時、撮影テーブル20は例えば矢印a方向に移動するが、Axialスキャンの場合は走査ガントリ30の1回転終了毎に撮影テーブル20を間欠的に移動し、またHericalスキャンの場合は走査ガントリ30の回転と同時に撮影テーブル20を連続的に移動する。
【0068】
本スキャン時のプロトコル設定は上記図6のステップS9で上記図4(d)の態様により行う。この本スキャンは被検体100の体格や医療目的に応じた所望の態様で行われ、この例では被検体100の体格が普通以下であるので、そのプロトコル設定は例えば以下の通りである。
【0069】
X線管の管電圧(kVa )=120kV
X線管のフィラメント電流(mAa )=40mA
被検体のスライス厚(Thic a )=1mm
ガントリ1回転当たりのスキャンタイム(Seca )=1Sec
ここでは、管電流mAa =40mAのみが上記図4のスカウトスキャン時の2倍となっており、しかも、この管電流mAa =40mAは上記図6のステップS7でCPU11aにより求められたものが自動的に採用されている。従って、両スキャン間のエネルギー比Ratio=(2/1)×1×1×1=2である。
【0070】
更に、上記図6のステップS11では両スキャン間のエネルギー比Ratio=2に基づき積分器811 〜81n の時定数(容量)が選択される。この例では、更に、管電流mAa の比が2倍と小さいこと、かつスキャンタイムSeca の比が1であることを考慮して、例えばスカウトスキャン時と同一の容量C2が選択される。そして、続くステップS12では本スキャンが行われる。
【0071】
図8(b)〜(d)にこの本スキャンにより得られたX線ビーム量検出データ(正確にはA/D変換器83の入力)のプロファイルの一部P1a〜Pkaを夫々実線で示す。併せて上記図4のスカウトスキャンで得られたデータプロファイルP1s〜Pksを夫々点線で示す。図8(c)において、今、スカウトスキャン時の最大値Vmax (=MAXVi)に注目すると、同一チャネルにおける本スキャン時のX線ビーム量検出データは、上記図6のステップS7で求められた最適の管電流mAa =40mAをそのまま採用した結果、A/D変換出力の上限値LIMを越える(オーバレンジする)ことなく、上記エネルギー比Ratio=2に従ってA/D変換上限値LIMの90%程度のレベルに引き上げられている。また上記データプロファイルPisの最小値MINViも同時にこのエネルギー比Ratio分だけ底上げされており、よって本スキャン時のデータプロファイルPiaの全体が、有効なダイナミックレンジの全範囲内で、最適(所望の)レベルに展開している。他のデータプロファイルP1a,Pkaについても同様である。
【0072】
また図9は上記図5のスカウトスキャン(大きい体格の被検体)に対応する本スキャンを示している。図9(a)において、この例では被検体100の体格が大きいため、そのプロトコル設定は例えば以下の通りである。
【0073】
X線管の管電圧(kVa )=120kV
X線管のフィラメント電流(mAa )=90mA
被検体のスライス厚(Thic a )=1mm
ガントリ1回転当たりのスキャンタイム(Seca )=2Sec
ここで、管電流mAa =90mAは上記スカウトスキャン時の3倍、スキャンタイムSeca はスカウトスキャン時の2倍、他の各パラメータはスカウトスキャン時と同一となっており、両スキャン間のエネルギー比Ratio=(3/1)×1×(2/1)×1=6となっている。
【0074】
更に、上記図6のステップS11では両スキャン間のエネルギー比Ratio=6に基づき積分器811 〜81n の時定数(容量)が選択される。この例では、更に、管電流mAa が3倍(=90mA)であること、かつスキャンタイムSeca が2倍であることとを考慮して、例えば容量C3(>C2)が選択される。そして、続くステップS12では本スキャンが行われる。
【0075】
図9(b)〜(d)に本スキャンにより得られたX線ビーム量検出データのプロファイルの一部P1a〜Pkaを夫々実線で示す。併せて上記図5のスカウトスキャンで得られたデータプロファイルP1s〜Pksを夫々点線で示す。図9(c)において、今、スカウトスキャン時の最大値Vmax (=MAXVi)に注目すると、同一チャネルにおける本スキャン時のX線ビーム量検出データは、もし上記エネルギー比Ratio=6に従ってそのままレベルが引き上げられたとすると、図の破線で示す如くA/D変換出力の上限値LIMを大幅にオーバレンジしてしまう。
【0076】
しかし、本実施の形態によれば、上記積分器811 〜81n の各時定数がスカウトスキャン時のC2よりも大きい値C3に設定変更されている結果、上記MAXVi対応の本スキャン時におけるX線ビーム量検出データは、上記図7で述べたDASゲインの自動変更作用に従って、図9(c)の実線で示す如く、そのA/D変換上限値LIMを越えない(オーバレンジしない)ものとなっている。また上記データプロファイルPisのレベル0を下回る様な最小値MINViに対応する本スキャン時のX線ビーム量検出データも上記DASゲインの変更作用により相応に底上げされており、よって本スキャン時のデータプロファイルPiaの全体が、有効なダイナミックレンジの全範囲内で、最適(所望の)レベルに、かつフル解像度に展開している。他のデータプロファイルP1a,Pkaについても同様である。
【0077】
ところで、上記図6のステップS11における容量Cの選択に際しては、上記両撮像パラメータの比Ratioを基準とすることに加え、上記スカウトスキャンで取得された全X線ビーム量検出データについての最大値VMAX (=LIMを含む)及び最小値VMIN (=0を含む)を更に考慮に入れることが可能である。具体的に言うと、例えば両者の差(VMAX −VMIN )が小さい場合は、被検体100の体格が普通以下である可能性が高く、よって両撮像パラメータの比Ratioがこれを単独で評価すると多少大きくても、本スキャン時のDASにおいてオーバレンジする可能性は低く、よってこの場合の容量(時定数)Cを大きくしないことが可能である。一方、両者の差(VMAX −VMIN )が大きい場合は、被検体100の体格が大きい可能性が高く、よって両撮像パラメータの比Ratioがこれを単独で評価するとあまり大きくなくても、本スキャン時のDASにおいてオーバレンジする可能性が高く、よってこの場合は容量(時定数)Cを大きくすることが可能である。また、例えば最大値VMAX =LIMの場合も、本スキャン時のDASにおいてオーバレンジする可能性が高いから、よってこの場合も容量(時定数)Cを大きくすることが可能である。かくして、本実施の形態によれだ、スカウトスキャンで収集したX線ビーム量検出データを有効に活用できると共に、本スキャン時における時定数のよりきめ細かい設定が可能となる。
【0078】
なお、上記実施の形態では一例の積分器81の回路構成(ミラー積分回路)を示したが、積分器81の基本的な回路構成については、他の公知の様々な回路構成を採用し得る。
【0079】
また、上記実施の形態では積分器81が入力電流IBを積分する場合を述べたが、積分器81が入力電圧VBを積分する場合も本発明を適用できることは明らかである。
【0080】
また、一般にこの種の積分器の時定数には高精度を要求されるため、上記実施の形態では一般に高精度のものが得易いデスクリートな容量C(又は抵抗R)を複数設けて、これらの接続を切り替える場合を述べたが、本発明における「積分器の時定数を変更する」ことの意味は、例えば単一の可変容量VC(又は可変抵抗VR)を用いて積分器の時定数を変更可能に構成することを除外するものでは無い。
【0081】
また、上記実施の形態ではファンビームを使用したRotate/Rotate 方式によるX線CT装置への適用例を述べたが、本発明はX線ビームの検出信号を積分する構成を有する他のあらゆる方式(Stationary/Rotate 方式、パラレル方式等)のX線CT装置にも適用できることは明らかである。
【0082】
また、上記本発明に好適なる実施の形態を述べたが、本発明思想を逸脱しない範囲内で各部の構成、制御、処理及びこれらの組合せの様々な変更が行えることは言うまでも無い。
【0083】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、X線CTの撮像パラメータに応じてX線ビーム量を検出するための積分器の時定数を変更することにより、常に最適レンジの撮像データが容易に得られ、よってX線CT画像の画質改善に寄与するところが極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する図である。
【図2】実施の形態によるX線CT装置のブロック図である。
【図3】実施の形態によるデータ収集部(DAS)のブロック図である。
【図4】実施の形態によるスカウトスキャンの動作説明図(1)である。
【図5】実施の形態によるスカウトスキャンの動作説明図(2)である。
【図6】実施の形態によるオーバレンジ回避処理のフローチャートである。
【図7】実施の形態による積分器の動作特性を説明する図である。
【図8】実施の形態による本スキャンの動作説明図(1)である。
【図9】実施の形態による本スキャンの動作説明図(2)である。
【図10】従来のX線CT装置の主要部構成を示す図である。
【図11】従来の積分器の動作特性を説明する図である。
【符号の説明】
10 操作コンソール
11 中央処理装置
12 入力装置
13 表示装置(CRT)
14 制御インタフェース
15 データ収集バッファ
16 二次記憶装置
20 撮影テーブル
40 X線管
30 走査ガントリ
50 コリメータ
60 回転制御部
70 X線検出器アレイ
80 データ収集部(DAS)
811 〜81n 積分器
82 信号マルチプレクサ(MPX)
83 A/D変換器(A/D)
84 タイミング発生部(TG)
100 被検体
A1〜An アンプ
ASW アナログスイッチ
DEC デコーダ
SH1〜SHn サンプルホールド回路
XD1〜XDn X線検出器

Claims (3)

  1. 被検体を挟んで相対向するX線管及び検出器と、検出器によるX線ビーム強度の検出出力を積分して対応するX線ビーム量検出電圧を生成する積分器と、積分器の出力電圧をA/D変換するA/D変換器とを備え、A/D変換器の出力のX線ビーム量検出データに基づき被検体の断層像を再構成するX線CT装置において、
    前記A/D変換器は、A/D変換器への入力が上限を超える場合A/D変換による出力が上限にクランプされるものであり、
    前記積分器は、複数の容量値C1〜C4からなるコンデンサC1〜C4を含む並列に備えられた各々容量値の異なる複数のコンデンサと、前記複数のコンデンサそれぞれへの接続を切り換えるスイッチとを有し、撮像パラメータであるX線管の管電圧kV、管電流mA、被検体の体軸方向における検出幅Thic及び被検体へのX線照射時間Secの内の何れか1又は2以上の撮像パラメータに応じて、前記複数のコンデンサのいずれか一つが選択されて接続されることによって、前記入力が前記上限を超えないための前記積分器の時定数が選択可能に構成されていることを特徴とするX線CT装置。
  2. A/D変換による出力の上限値をVLIM とするA/D変換器と、予め第1の撮像パラメータをX線管の管電圧kVs、管電流mAs、被検体の体軸方向における検出幅Thic s 及び被検体へのX線照射時間Secsとする第1の撮像により被検体の所望撮像領域についてのX線ビーム量検出データを収集する撮像制御部と、前記撮像制御部が後に第2の撮像パラメータをX線管の管電圧kVa、管電流mAa、被検体の体軸方向における検出幅Thic a 及び被検体へのX線照射時間Secaとする第2の撮像を行うに際して、前記第1,第2の撮像パラメータの比Ratioを該両撮像パラメータの内の何れか1又は2以上の対応項目値の比又は各比の積により求める比演算手段と、
    前記第2の撮像で検出されるべきX線ビーム量検出電圧が前記上限値VLIMを超えないための積分器の時定数を前記求めた比Ratioを基に選択する選択制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 選択制御手段は、第1,第2の撮像パラメータの比Ratioと、第1の撮像で収集したX線ビーム量検出データの内の最大値VMAX 及び又は最小値VMINとに基づいて積分器の時定数を選択することを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
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