JP4595875B2 - Icp分析装置 - Google Patents

Icp分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4595875B2
JP4595875B2 JP2006116546A JP2006116546A JP4595875B2 JP 4595875 B2 JP4595875 B2 JP 4595875B2 JP 2006116546 A JP2006116546 A JP 2006116546A JP 2006116546 A JP2006116546 A JP 2006116546A JP 4595875 B2 JP4595875 B2 JP 4595875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma
flow rate
cooling gas
differential pressure
detection means
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006116546A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007093578A (ja
Inventor
豊 蔵谷
努 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2006116546A priority Critical patent/JP4595875B2/ja
Publication of JP2007093578A publication Critical patent/JP2007093578A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4595875B2 publication Critical patent/JP4595875B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

本発明は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分光分析装置やICP質量分析装置など、液体試料をプラズマ発光させる或いはイオン化させるICP光源を用いたICP分析装置に関する。
ICP発光分光分析装置では、液体試料をネブライザで霧化させアルゴンガスなどのキャリアガスに乗せてプラズマトーチへと運ぶ一方、このプラズマトーチの外周に配設した誘導コイルに高周波電力を供給しトーチに導入されたガスをプラズマ状態にする。このプラズマ炎中を上記霧化された試料が通過すると、試料分子(又は原子)は加熱・励起されて発光する。この発光光を取り出して分光器により波長分散させて検出器で検出することにより発光スペクトルを取得し、その発光スペクトルに現れているスペクトル線(輝線スペクトル)の波長から試料に含まれる元素の定性分析(同定)を、スペクトル線の強度からその元素の定量分析を行う(例えば特許文献1など参照)。
図4は従来知られている一般的なICP分析装置におけるプラズマトーチを中心とする概略構成図である(例えば特許文献2など参照)。
プラズマトーチ1は石英から成る同軸三重管構造を有しており、外側から冷却ガス(クーラントガス)、プラズマガス、霧化試料を含むキャリアガスが流される。通常、これらガスはいずれもアルゴン(Ar)ガスであり、アルゴンガス供給源2から供給されるガスがそれぞれガス流量制御部3で流量制御されている。キャリアガスはガス流量制御部3からキャリアガス供給管4を経てネブライザ7に導入され、試料槽9に貯留されている液体試料とともにネブライザ7からチェンバ8内に噴霧されて霧化された後にプラズマトーチ1に送られる。プラズマガスはガス流量制御部3からプラズマガス供給管5を経てプラズマトーチ1へと供給され、主としてプラズマの形成に寄与する。冷却ガスはガス流量制御部3から冷却ガス供給管6を経てプラズマトーチ1へと供給され、主としてプラズマトーチ1を冷却するのに寄与する。
プラズマトーチ1へのプラズマガスの導入口近傍には高電圧が印加されるイグニッションコイル10が設けられ、このイグニッションコイル10をアルゴンガスが通過するとガスは電離する。電離したガスが、高周波電源11により電力が供給されることでプラズマトーチ1内部に高周波磁界を生成させる銅管製の誘導コイル12の近くに達すると、その磁界の作用により電離ガス中に誘導電流が流れプラズマが生成される。このプラズマ中に霧化した試料が導入されることで、試料分子の励起発光が生じる。
分析中にガス流量が異常な変動を生じると分析に支障をきたす。即ち、キャリアガスが異常な流量変動を生じると、ネブライザ7による試料の霧化効率が悪化するため、分析データのノイズ量が大きくなる。また、プラズマガスが異常な流量変動を生じると、プラズマの発光強度が変化するため、その結果、分析データの安定性が悪くなる。
一方、冷却ガスに異常な流量変動が生じた場合には、事態はより深刻である。即ち、プラズマが発生している状態では、プラズマトーチ1の先端温度は6000〜8000℃程度にまで上昇しており、冷却ガスの供給によりこれ以上の温度上昇を防止している。そのため、冷却ガスの流量が減少したり供給が停止したりしてしまうと、プラズマトーチ1の温度が上がり過ぎて熱による損傷が起こる可能性がある。この場合、さらに高温で溶け出したプラズマトーチ1により周囲の部品が損傷するおそれもあり、最悪の場合に、発火等を引き起こすこともあり得る。
ところで、ICP分析においては、測定する試料の種類や用途によって形状が異なるプラズマトーチを使い分けるのが普通である。例えば、高塩用のトーチは、析出した塩の付着を防止するために出口付近の形状が標準のトーチよりも広くなっている。また、有機溶媒用のトーチは、トーチ内での試料の揮発分を見込んでその内容積が大きくなっている。逆に、分析ガスの消費を抑えるためのトーチは、その内容積が小さくなっている。このようにトーチは種類毎にその形状や内容積が異なっており、それに応じて冷却ガスの流量の適正値も相違している。さらには、冷却ガスの流量には、それ以下になるとトーチの冷却が不十分になって高温のプラズマによりトーチが溶け出すおそれのある下限値があるが、その下限値もトーチの種類毎に相違する。そのため、トーチを異なる種類のものに交換する場合には、冷却ガスの流量可変範囲の下限を、装着したトーチの種類に対応した冷却ガス流量の下限値に変更する必要がある。従来、こうした変更作業は使用者が行っているが、そうした作業にミスがあったり変更を忘れたりすると、装着されたトーチに対する冷却ガス流量の下限値を下回るような冷却ガス流量設定が可能となり、その結果、トーチの損傷を引き起こすおそれがある。
トーチが交換されたときに、装着されたトーチの種類を自動的に識別することが可能であれば、上記のような問題を解決できる可能性がある。しかしながら、プラズマトーチは高温になるため、識別用のスイッチや光センサといった電気部品を取り付けることは実質的に不可能であり、このために従来、トーチを正確に識別することはできなかった。
一方、上述したような冷却ガスの流量の極端な減少や供給停止の際の安全対策として、例えば冷却ガスの管路内のガス圧を検知し、そのガス圧が低下したときに高周波電源11からの電力供給を遮断するような機構が利用されている。しかしながら、こうした従来の方法では、冷却ガスの流路の下流側で例えば配管部品のシール滓やガスに混入した油成分などの付着による詰まりが生じたことによりガス流量が低下してもこれを検知することができず、十分な安全対策がとれないという問題がある。もちろん、上述したようにトーチを交換したときのそのトーチの種類に応じた冷却ガス流量下限値を基準として安全性を判断する、といった精度の高い制御も困難である。
また従来のICP発光分光分析装置では次のような問題もある。図5は上述したような構造のプラズマトーチ1の要部のガス配管を示す概略図である。即ち、ハウジング13内に収容されているプラズマトーチ1に対し、そのプラズマトーチ1の下部に設けられたプラズマガス配管接続部1a及び冷却ガス配管接続部1bと、ハウジング13に設けられたプラズマガス配管用ジョイント13a及び冷却ガス配管用ジョイント13bとの間は、それぞれ樹脂製のプラズマガス配管チューブ14及び冷却ガス配管チューブ15で接続されている。プラズマガス配管チューブ14及び冷却ガス配管チューブ15はそれぞれ上記プラズマガス供給管5及び冷却ガス供給管6の一部を構成するものである。
プラズマ点灯時にはイグニッションコイル10に高電圧を印加することで火花放電を発生させ、これによりプラズマを点灯させるようにしているが、例えば配管チューブ15の経時劣化や長さ、或いは電気的な接地の取り方などの諸条件によっては、火花放電が冷却ガス配管チューブ15中を遡るように広がる現象が起こる場合がある。この場合、トーチの種類にも依るが、配管チューブ15内の圧力が急に高くなり、該配管チューブ15が冷却ガス配管接続部1bから抜けてしまってプラズマトーチ1に冷却ガスが供給されなくなることがある。通常、こうした異常時にはプラズマは点灯しないため装置を損傷するような深刻な問題とはならないが、希にではあるが、プラズマが点灯した後に配管チューブ15が抜けてしまうことがある。そうなると、トーチの冷却ができなくなり高温のプラズマによりトーチが溶けてしまうおそれがある。
特開平10−253540号公報 特開2002−39944号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その第1の目的とするところは、装着されたトーチの種類を自動的に識別して、トーチの種類に対応した冷却ガスの流量下限値や適正流量値などに基づいた確実性の高い安全対策をとることができるICP分析装置を提供することである。
また本発明の第2の目的とするところは、プラズマ点灯開始時に配管チューブが抜けてしまうような異常を迅速に検知して高い安全対策をとることができるICP分析装置を提供することである。
上記第1の目的を達成するために成された第1発明は、プラズマ形成用のガスが導入されるプラズマトーチと、該プラズマトーチ内のガスに高周波電流を誘導させて高温のプラズマを生成する高周波誘導手段と、前記プラズマトーチを冷却するための冷却ガスを供給する冷却ガス供給管と、を具備するICP分析装置において、
前記冷却ガス供給管上に設けられた抵抗管、該抵抗管の両端に生じる差圧を検知する差圧検知手段、前記抵抗管の上流側において供給ガス圧を検知するガス圧検知手段、及び、前記差圧検知手段により検知される差圧、前記ガス圧検知手段により検知される供給ガス圧、前記抵抗管に関する既知の情報に基づいて抵抗管を流れる冷却ガス流量を計算する演算手段、を含む冷却ガス流量検知手段と、
前記冷却ガス供給管上で前記抵抗管よりも下流側に設けられた流量制御弁と、
前記冷却ガス流量検知手段により得られる流量値が既定値になるように前記流量制御弁の開度を制御した状態で、該流量制御弁の開度に基づいて流路形状や内容積の相違するプラズマトーチを識別する識別手段と、
を備えることを特徴としている。
また上記第2の目的を達成するために成された第2発明は、プラズマ形成用のガスが導入されるプラズマトーチと、該プラズマトーチ内のガスに高周波電流を誘導させて高温のプラズマを生成する高周波誘導手段と、前記プラズマトーチを冷却するための冷却ガスを供給する冷却ガス供給管と、前記プラズマトーチ内でプラズマ点灯を行うために放電を行う放電手段と、を具備するICP分析装置において、
前記冷却ガス供給管上に設けられた抵抗管と、
前記抵抗管の両端に生じる差圧を検知する差圧検知手段と、
プラズマ点灯開始前に前記差圧検知手段により検知される差圧と、前記放電手段による放電開始後に前記差圧検知手段により検知される差圧との変化に基づいて、プラズマ点灯開始時の異常を検知する異常検知手段と、
前記異常検知手段により異常が検知されたときに、前記高周波誘導手段の動作を停止させる制御手段と、
を備えることを特徴としている。
なお、第1及び第2発明に係るICP分析装置は、ICP発光分光分析装置やICP質量分析装置など、ICP光源を利用した各種分析装置に適用可能である。
第1発明に係るICP分析装置において、抵抗管、差圧検知手段、ガス圧検知手段、及び演算手段を含んで構成される冷却ガス流量検知手段は、抵抗管、即ち冷却ガス供給管に流れる冷却ガスの実際の流量を検知する。プラズマトーチ内で冷却ガスが流れる流路は冷却ガス供給管上の抵抗管及び流量制御弁の下流側に位置することになるが、プラズマトーチの流路形状や内容積などが相違すると上記下流側での流路抵抗が変わる。そのため、冷却ガス流量検知手段により得られる流量値が既定値になるように流量制御弁の開度が制御された状態では、その開度がプラズマトーチ内の流路抵抗に応じて異なるものとなる。そこで、識別手段はこのときの流量制御弁の開度により流路形状や内容積の相違するプラズマトーチを識別する。
したがって、第1発明に係るICP分析装置によれば、プラズマトーチ自体やそれを保持する部材などの周辺部にスイッチ類やセンサ類等の電気部品を設けることなく、装着されたプラズマトーチの種類を自動的に且つ正確に識別することが可能となる。これにより、従来のように、プラズマトーチを交換したときにそれに伴う情報を使用者が入力する作業などが不要になり、省力化が図れるとともに入力ミスや入力忘れなどに起因する不具合を防止することができる。
また第1発明に係るICP分析装置では、上述したように識別手段によりプラズマトーチの種類が識別されたならば、その識別結果を利用して、その時点で使用されているプラズマトーチに対応した冷却ガス流量の下限値又は適正値を判定基準として設定手段が設定し、分析時にその設定手段による判定基準と上記冷却ガス流量検知手段により得られる実流量値とに基づいて冷却ガス流量の異常な変化を検知する構成とすることができる。
ここでは例えば、判定基準として下限値が設定された場合には、実流量値が下限値を下回ったときに異常であると判定すればよく、判定基準として適正値が設定された場合には、実流量値がその適正値から所定以上少ない場合やその適正値に所定係数を乗じた値を下回った場合などに異常であると判定すればよい。
第1発明に係るICP分析装置では、冷却ガスの流量の低下を実流量値に基づいて判断しているので、冷却ガス供給管のいずれの部位で詰まりが生じて流量が減少したような場合でも確実にその減少を検知して異常と判定することができる。したがって、冷却ガス流量減少の検知見逃しを防止することができる。
さらに第1発明に係るICP分析装置では、好ましくは、上述したような冷却ガス流量の異常が検知されたときに高周波誘導手段の動作を停止させる構成とするとよい。
具体的には、例えば高周波誘導のためのコイルに供給する高周波電流を遮断する。これにより、プラズマトーチに供給される冷却ガスの流量が減少してプラズマトーチが過熱するおそれがあるときにその温度が下がるので、トーチやその周辺部の熱による損傷を未然に防止して高い安全性を確保することができる。
第2発明に係るICP分析装置では、異常検知手段は、プラズマ点灯前つまり放電手段による放電開始の直前に差圧検知手段による差圧を検知するとともに、放電開始後にも同様に差圧を検知する。放電手段による放電の異常によって冷却ガス供給管の接続部の抜けが発生する場合、上記差圧が急激に変動(上昇)する。そこで、異常検知手段は、例えば差圧の変動量が所定値よりも大きい場合に抜け異常が発生した可能性があると判断し、制御手段は高周波誘導のためのコイルに供給する高周波電流を遮断する。これにより、供給管の抜けによってプラズマトーチに冷却ガスが供給されなくなりプラズマトーチが過熱するおそれがあるときにその温度が下がるので、トーチやその周辺部の熱による損傷を未然に防止して高い安全性を確保することができる。
但し、プラズマが正常に点灯した後には分析条件等に応じて冷却ガスの供給量は適宜変動されることがあるため、上記異常検知手段による異常検知をプラズマ点灯後にも継続すると冷却ガスの流量変化に対しても異常であると判断する可能性がある。そこで、上記異常検知はプラズマ点灯開始時のみに実行し、プラズマが正常に点灯した後には異常検知を実行しないものとする。具体的には例えば、プラズマが点灯したことを検知する点灯検知手段をさらに備え、異常検知手段は、前記点灯検知手段により点灯を検知してから所定時間が経過した時点でプラズマ点灯開始時の異常検知を終了する構成とするとよい。
以下、本発明の一実施例であるICP分析装置について図面を参照して説明する。図1は本実施例のICP分析装置におけるICP光源を中心とする要部の構成図である。なお、図1では、本発明の特徴である冷却ガスに着目しているため、図4で記載されていたプラズマガスやキャリアガスの流路については記載を省略している。
アルゴンガス供給源2からプラズマトーチ1に冷却ガスを供給するための冷却ガス供給管6上には、その上流側から、一次側のガス圧を検知するための圧力センサ21、所定の形状の抵抗管22、流量制御弁24が順に配置され、抵抗管22の両端の差圧を検知するために差圧センサ23が設けられている。ここでは、これらを併せてガス流量制御部20が構成されている。圧力センサ21及び差圧センサ23の検知信号はそれぞれA/D変換器25でデジタル値に変換されて、CPUなどを中心に構成される制御部26に入力される。制御部26には後述する情報が予め格納されるメモリ27が付設され、さらに制御部26には使用者がガス流量や分析条件を入力するための操作キーを備える操作部28と、入力情報や分析結果などを表示するための表示部29とが接続されている。
制御部26は、流量制御弁24に印加する制御電圧値を変更することで弁の開度を変化させ、それによって流量制御弁24は通過するガス流量を制御する。また、制御部26は、高周波電源11に送る制御信号により、誘導コイル12に高周波電流を流したりその電流を遮断したりする。
上記構成において、冷却ガス供給管6を流れる冷却ガスの流量Qと、抵抗管22の上流側圧力P1(圧力センサ21の示す圧力)と、差圧センサ23により検知される差圧ΔPとの間には、温度一定の場合、およそ、
Q=K×P×ΔP1/2 …(1)
なる関係がある。ここでKは抵抗管22によって決定される係数(抵抗管22の形状などによって決まる既知の値)であり、予め計算や実測等により求めておくことができる。制御部26はA/D変換器25を介して上流側圧力P1と差圧ΔPとを読み込み、予め内部に保持してある係数Kを用いて、上記(1)式に基づいて流量Qを計算する。したがって、冷却ガスの実際の流量Qを高い精度で得ることができる。
プラズマトーチ1は交換可能であり、そのトーチの種類によって供給すべき冷却ガス流量の適正値や下限値が相違する。そこで、メモリ27には、トーチの種類に対応して冷却ガス流量の下限値を示す情報が例えばテーブル形式で格納されている。また、トーチの種類を識別する情報として、流量制御弁24の開度に対応した情報(例えば上記制御電圧値)も格納されている。なお、トーチについては新型のものが追加して市販されることがあり得るから、本装置の出荷時点で予め格納されている情報以外に、メモリ27には適宜に情報を追加できるようにしておくことが望ましい。
本実施例のICP分析装置の具体的な動作を説明する。例えば操作部28からの指示に基づいて或いは装置の起動時等にトーチの自動識別を行う際には、制御部26は、上述したように上流側圧力P1と差圧ΔPとに基づいて算出される流量Qが既定の値になるように流量制御弁24の開度を調節する。具体的には、流量制御弁24に印加する制御電圧値を調節する。実際の流量が一定である条件の下では、流量制御弁24の開度はその下流側の流路の抵抗の影響を受ける。この流路抵抗は、そのときに装着されているプラズマトーチの流路の形状や内容積などに依存するから、制御電圧値はプラズマトーチの流路の形状や内容積、つまりはプラズマトーチの種類を反映したものとなる。
トーチの種類に対応した開度の情報(制御電圧値)はメモリ27に格納されているから、制御部26は実際の制御電圧値とメモリ27に格納されている情報とを比較してトーチの種類を識別する。これにより、装着されているトーチの種類が確定する。さらに、メモリ27に格納されている情報から、確定したトーチの種類に応じた冷却ガス流量の下限値が読み出され、分析制御のためのパラメータとして内部に設定する。したがって、使用者がトーチを交換した場合でも、新たに装着されたトーチに対応した冷却ガス流量下限値が分析制御のためのパラメータとして設定されることになる。
実際の分析時には、冷却ガスの流量は試料の種類などに応じて適宜変えることが望ましいため、使用者は操作部28での操作により冷却ガス流量を設定することができる。但し、下限値よりも少ない流量が設定されると安全性に問題があるため、上述したように分析制御のためのパラメータとして設定された下限値よりも少ない流量の入力設定はできないようになっている。
こうして分析が開始されると、制御部26は入力設定に応じた流量になるように流量制御弁24の開度を調節し、高周波電源11を作動させて誘導コイル12に高周波電流を供給することでプラズマトーチ1中に高温のプラズマを発生させる。制御部26は、常時、流量Qを計算し、この流量Qが分析制御のためのパラメータとして設定された下限値を上回っているか否かを監視する。
例えば、冷却ガス供給管6上であってガス流量制御部20よりも上流側で管路の詰まり等が生じた場合、圧力センサ21が検知するガス圧Pが減少する。すると、流量Qも低下する。一方、冷却ガス供給管6上であって圧力センサ21よりも下流側で管路の詰まり等が生じた場合には、圧力センサ21が検知するガス圧Pは減少しないもののガス流量の低下とともに差圧ΔPが減少する。すると、流量Qも低下する。したがって、冷却ガス供給管6で詰まり等の障害がいかなる部位で発生した場合でも、少なくとも流量制御弁24の開度の調節では調節しきれないような流量低下が起きると、制御部26はこれを確実に検知することができる。
そして、検知した流量Qが分析制御のためのパラメータとして設定された下限値を下回ると、直ちに高周波電源11に対し高周波電流の供給を停止するように制御信号を送る。それによって、誘導コイル12に流れる電流が遮断され、プラズマトーチ1の温度は下がる。このように安全のために高周波電流が遮断される際の基準である冷却ガス流量の下限値は、そのときに装着されているトーチに対応したものとなっているため、装着されているトーチの種類に拘わらず、高い安全性が確保される。
なお、上記説明では、高周波電流の供給/遮断を決めるために、冷却ガスの実流量Qと冷却ガス流量下限値とを比較していたが、下限値の代わりに他の値を用いることもできる。例えば、冷却ガス流量の適正値(標準値)が決められている場合に、実流量Qがその適正値から所定値以上減っているか否かを判断したり、その適正値に1未満の所定の係数を乗じた値と実流量Qとを比較したり、するようにしてもよい。いずれにしても、装着されているトーチの種類に応じて適切な基準を決めることが可能であればよい。
次に、上記実施例のICP分析装置において、冷却ガス供給管6の一部である配管チューブ15の抜けの検知処理について図2及び図3を参照して説明する。図3はこの配管抜けチェックを中心とする処理フローチャート、図2はその動作を説明するための差圧の変動を示す図である。
例えば操作部28からプラズマ点灯開始の指示を受けると、制御部26はプラズマ点灯シーケンスを開始する。まず、点灯前シーケンス実行処理として、プラズマガス及び冷却ガスを所定流量で以てプラズマトーチ1に供給し始め、高周波電源11を作動させて誘導コイル12に高周波電流を供給し始める(ステップS1)。それから、プラズマ点灯処理を開始する(ステップS2)。プラズマ点灯処理開始前にはトーチに供給されるプラズマガス、キャリアガス及び冷却ガスの各流量は変更される可能性があるが、プラズマ点灯処理開始した後、点灯処理が終了するまでは流量は変更されない。そのため、プラズマ点灯処理開始直後には、アルゴンガス供給源2の圧力変動もなく各ガス流量はほぼ一定であるため、差圧センサ23により検知される抵抗管22の両端の差圧もほぼ一定に維持される。
制御部26は点灯を開始させるためにイグニッションコイル10から火花放電を発生させる前に、図2中の時刻t0において差圧センサ23により検知される差圧をA/D変換器25を介して読み込み、これを基準差圧P0として一時的に記憶する(ステップS3)。その後に時刻t1においてイグニッションコイル10からの火花放電が開始される。制御部26は基準差圧P0を記憶した後すぐに配管抜けチェックを開始する(ステップS4)。即ち、差圧センサ23により検知される現在差圧PをA/D変換器25を介して読み込み(ステップS5)、その現在差圧Pが先に記憶しておいた基準差圧P0に所定の係数kを乗じた値k×P0以上であるか否かを判定する(ステップS6)。ここで係数kは予め実験的に求めておくものとする。
通常、イグニッションコイル10による火花放電が起こると、これにより点灯してプラズマトーチ1内にArプラズマが形成される。このような正常な点灯の場合には、図2中に点線で示すように差圧はほぼ一定の状態で推移する。これに対し、火花放電が冷却ガス供給管6内に入り込んで逆流するような状態になり、接続部1bから配管チューブ15が抜けてしまうと図2に実線で示すように瞬間的に急激に差圧が上昇する。上記係数kを適切に定めておけば、このように現在差圧Pが急激に上昇したときにステップS6でYESと判定される。その場合、ステップS11に進んで再び同じ条件で現在差圧Pの異常が連続して検知されたか否かを判定し、2回連続して同じ異常が検知されると(図2中の時刻t2の時点)配管チューブ15の抜けが発生した可能性が高いと判断する(ステップS12)。そして、直ちに高周波電源11に対し高周波電流の供給を停止するように制御信号を送る。それによって、誘導コイル12に流れる電流が遮断される(ステップS13)。
上述のように冷却ガス配管チューブ15が抜けた場合にプラズマ点灯しない場合もあるが、プラズマ点灯した場合には冷却ガスが供給されなくなることで異常高温になるおそれがある。これに対し、ステップS13で高周波電流の供給が停止されることで、仮にプラズマが点灯していた場合でも瞬時にプラズマが消灯してプラズマトーチ1の温度は下がるため、高い安全性を確保することができる。
上記ステップS6で現在差圧Pがk×P0未満であると判定された場合には、制御部26は例えば図示しないモニタ用の受光センサによる検出信号に基づき、プラズマ点灯したか否かを判定し(ステップS7)、未だ点灯していなければステップS5に戻り再び現在差圧Pの判定を実行する。一方、プラズマ点灯している場合には最初の点灯検出時点からT秒(例えば数秒)経過したか否かを判定し(ステップS8)、T秒が経過していなければやはりステップS5に戻る。したがって、一旦点灯したと判定された後であっても、T秒が経過するまでに現在差圧Pがk×P0以上である状態が2回連続すると、配管抜けであると判定される。
図2中の時刻t3においてステップS8でYESと判定された場合には正常にプラズマ点灯したと判断できるから、配管抜け異常無しと結論付けて配管抜けチェックを終了する(ステップS9)。配管抜けチェック終了後は上記のような現在差圧Pの判定は実行されない。その後に、必要な点灯後処理を実行する(ステップS10)。例えば、プラズマガスや冷却ガスの流量の変更などを実行する際には、このステップS10において行う。こうした流量変更に伴って例えば図2中に示したように差圧が変動する可能性があり、その場合に差圧がk×P0以上になることもあり得るが、配管抜けのチェックは既に行っていないため何ら影響はない。
以上のように本実施例のICP分析装置によれば、プラズマ点灯開始時にのみ差圧に基づいて配管チューブ15の抜けの発生を迅速に検出し、プラズマが正常に点灯した後にはそうした差圧の変動があっても無視することができる。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜に変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
本発明に係るICP分析装置の一実施例によるICP光源を中心とする要部の構成図。 本実施例のICP分析装置における配管抜けチェック動作を説明するための差圧の変動を示す図。 本実施例のICP分析装置における配管抜けチェックを中心とする処理フローチャート。 従来のICP分析装置のICP光源を中心とする要部の構成図。 図4に示す構造のプラズマトーチの要部のガス配管を示す概略図。
符号の説明
1…プラズマトーチ
1a…プラズマガス配管接続部
1b…冷却ガス配管接続部
2…アルゴンガス供給源
10…イグニッションコイル
11…高周波電源
12…誘導コイル
13…ハウジング
13a…プラズマガス配管用ジョイント
13b…冷却ガス配管用ジョイント
14…プラズマガス配管チューブ
15…冷却ガス配管チューブ
20…ガス流量制御部
21…圧力センサ
22…抵抗管
23…差圧センサ
24…流量制御弁
25…A/D変換器
26…制御部
27…メモリ
28…操作部
29…表示部

Claims (5)

  1. プラズマ形成用のガスが導入されるプラズマトーチと、該プラズマトーチ内のガスに高周波電流を誘導させて高温のプラズマを生成する高周波誘導手段と、前記プラズマトーチを冷却するための冷却ガスを供給する冷却ガス供給管と、を具備するICP分析装置において、
    前記冷却ガス供給管上に設けられた抵抗管、該抵抗管の両端に生じる差圧を検知する差圧検知手段、前記抵抗管の上流側において供給ガス圧を検知するガス圧検知手段、及び、前記差圧検知手段により検知される差圧、前記ガス圧検知手段により検知される供給ガス圧、前記抵抗管に関する既知の情報に基づいて抵抗管を流れる冷却ガス流量を計算する演算手段、を含む冷却ガス流量検知手段と、
    前記冷却ガス供給管上で前記抵抗管よりも下流側に設けられた流量制御弁と、
    前記冷却ガス流量検知手段により得られる流量値が既定値になるように前記流量制御弁の開度を制御した状態で、該流量制御弁の開度に基づいて流路形状や内容積の相違するプラズマトーチを識別する識別手段と、
    を備えることを特徴とするICP分析装置。
  2. 前記識別手段による識別結果を利用して、その時点で使用されているプラズマトーチに対応した冷却ガス流量の下限値又は適正値を判定基準として設定する設定手段と、
    分析時に前記設定手段による判定基準と前記冷却ガス流量検知手段により得られる実流量値とに基づいて冷却ガス流量の異常な変化を検知する異常検知手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のICP分析装置。
  3. 前記異常検知手段により異常が検知されたときに、前記高周波誘導手段の動作を停止させる制御手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のICP分析装置。
  4. プラズマ形成用のガスが導入されるプラズマトーチと、該プラズマトーチ内のガスに高周波電流を誘導させて高温のプラズマを生成する高周波誘導手段と、前記プラズマトーチを冷却するための冷却ガスを供給する冷却ガス供給管と、前記プラズマトーチ内でプラズマ点灯を行うために放電を行う放電手段と、を具備するICP分析装置において、
    前記冷却ガス供給管上に設けられた抵抗管と、
    前記抵抗管の両端に生じる差圧を検知する差圧検知手段と、
    プラズマ点灯開始前に前記差圧検知手段により検知される差圧と、前記放電手段による放電開始後に前記差圧検知手段により検知される差圧との変化に基づいて、プラズマ点灯開始時の異常を検知する異常検知手段と、
    前記異常検知手段により異常が検知されたときに、前記高周波誘導手段の動作を停止させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするICP分析装置。
  5. プラズマが点灯したことを検知する点灯検知手段をさらに備え、前記異常検知手段は、前記点灯検知手段により点灯を検知してから所定時間が経過した時点でプラズマ点灯開始時の異常検知を終了することを特徴とする請求項4に記載のICP分析装置。

JP2006116546A 2005-08-30 2006-04-20 Icp分析装置 Active JP4595875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006116546A JP4595875B2 (ja) 2005-08-30 2006-04-20 Icp分析装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005248737 2005-08-30
JP2006116546A JP4595875B2 (ja) 2005-08-30 2006-04-20 Icp分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007093578A JP2007093578A (ja) 2007-04-12
JP4595875B2 true JP4595875B2 (ja) 2010-12-08

Family

ID=37979459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006116546A Active JP4595875B2 (ja) 2005-08-30 2006-04-20 Icp分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4595875B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4692396B2 (ja) * 2006-06-01 2011-06-01 株式会社島津製作所 Icp分析装置
CN110546485B (zh) * 2017-04-17 2022-03-08 株式会社岛津制作所 发光分光分析装置
EP3654739A4 (en) * 2017-07-13 2021-04-07 Shimadzu Corporation PLASMA GENERATION DEVICE, LIGHT EMISSION ANALYSIS DEVICE, AND MASS ANALYSIS DEVICE INCLUDING SUCH PLASMA GENERATION DEVICE, AND DEVICE STATE ASSESSMENT METHOD
US10798809B2 (en) 2018-07-13 2020-10-06 Shimadzu Coporation Inductively coupled plasma generator

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57104347U (ja) * 1980-12-18 1982-06-26
JPS63196841A (ja) * 1987-02-12 1988-08-15 Shimadzu Corp Icp発光分析装置
JPH07306144A (ja) * 1994-05-12 1995-11-21 Hitachi Ltd 原子スペクトル分析装置
JPH10189292A (ja) * 1996-12-25 1998-07-21 Shimadzu Corp Icp分析装置
JP2002148246A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Shimadzu Corp ガスクロマトグラフ装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57104347U (ja) * 1980-12-18 1982-06-26
JPS63196841A (ja) * 1987-02-12 1988-08-15 Shimadzu Corp Icp発光分析装置
JPH07306144A (ja) * 1994-05-12 1995-11-21 Hitachi Ltd 原子スペクトル分析装置
JPH10189292A (ja) * 1996-12-25 1998-07-21 Shimadzu Corp Icp分析装置
JP2002148246A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Shimadzu Corp ガスクロマトグラフ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007093578A (ja) 2007-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10039178B2 (en) Failure event detection in a plasma arc torch
JP4809325B2 (ja) プラズマトーチスペクトロメータ
JP4595875B2 (ja) Icp分析装置
US20150192549A1 (en) Liquid chromatograph and column oven used therefor
JP4692396B2 (ja) Icp分析装置
JPH10189292A (ja) Icp分析装置
CN106198493B (zh) 电感耦合型等离子体分析仪和等离子体炬管检查方法
US20200196427A1 (en) Plasma generator, light emission analysis device and mass spectrometer equipped with the plasma generator, and device status determination method
JP4586738B2 (ja) Icp分析装置
KR100736831B1 (ko) 가스 경보 장치
US9159599B2 (en) Apparatus for chemically etching a workpiece
JP7380324B2 (ja) ガスクロマトグラフ
WO2017138189A1 (ja) Icp分析装置
JP4586737B2 (ja) Icp分析装置
JP2008202990A (ja) Icp用高周波電源装置
WO2022044060A1 (ja) 原子吸光分光光度計および原子吸光分光光度計の制御方法
JP2010078577A (ja) フレーム原子吸光光度計
JP5151678B2 (ja) フレーム式原子吸光光度計
JP2010055500A (ja) 流量制御装置及び流量制御方法
JPH08313441A (ja) 高周波誘導結合プラズマ発光分析装置
JP3318538B2 (ja) 溶接装置及びその制御方法
US8086418B2 (en) Imperfect combustion detecting device
WO2019225044A1 (ja) 重水素ランプを備える装置及び液体クロマトグラフ
JP2007205897A (ja) Icp用高周波電源装置
JP5035748B2 (ja) 高圧放電灯点灯装置及びその制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080709

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100906

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4595875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3