JP4593797B2 - 感光体の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアモルファスシリコンカーバイドもしくはアモルファスカーボンからなるフッ素含有の表面保護層を備えた感光体およびその製法ならびにこの感光体を搭載した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)を光導電層とした感光体が、すでに製品化されているが、このa−Si感光体は導電性基板上にグロー放電分解法により水素化アモルファスシリコン(以下、水素化アモルファスシリコンをa−Si:Hと略記する)からなる電荷注入阻止層と、a−Si:Hからなる光導電層と、水素化アモルファスシリコンカーバイド(以下、水素化アモルファスシリコンカーバイドをa−SiC:Hと略記する)からなる表面保護層とを順次積層した層構成である。
【0003】
しかしながら、このような層構成の感光体においては、とくに高湿環境下で耐刷をおこなうと、画像流れと呼ばれる画像不良が発生していた。
【0004】
この画像流れは、以下の理由により発生することがわかっている。
すなわち、帯電をおこなうと、その放電によりオゾンが発生するが、このオゾンにより空気中の成分が分解され、NOxやSOx等のイオン生成物が生成される。このイオン生成物は水溶性であることで、感光体の表面に付着し、さらに大気中の水分を取り込むことで、表面の抵抗が低下し、これにより、静電潜像のエッジ部にて電位の横流れが起き、その結果、像流れとなっていた。
【0005】
この画像流れの発生を防止するために、ヒーターを用いて感光体を加熱して、その原因となる水分を飛散させる技術が提示されているが、これによって画像流れが改善されたが、その反面、感光体の帯電能が低下したり、感光体表面にトナーが固着したり、画像形成装置の消費電力が増大していた。
【0006】
かかる課題を解消するために、a−Siを主成分とする感光体層の上に水素化アモルファスカーボン(以下、水素化アモルファスカーボンをa−C:Hと略記する)からなる表面保護層を積層し、ついでフッ素を含むガスでプラズマ放電処理をおこない、表面近傍中にCF、CF2 等の官能基を形成し、これによって疎水性を高め、オゾンの照射による疎水性の劣化を抑制して耐環境性が高める技術が提示されている(特公平7−3597号参照)。
【0007】
上記のようなプラズマ放電処理をおこなうと、膜の表面がエッチングされるが、加えて成膜とエッチングを交互に複数回繰り返すことで表面保護層を形成する技術も提案されている(特開平10−177265号参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平7−3597号においては、a−C:Hからなる表面保護層を設けて、フッ素を含むガスでプラズマ放電処理し、疎水性を高めることができるが、画像形成装置に感光体用ヒーターを設けないでもよい程度の高い疎水性能は達成されていない。
【0009】
また、同公報に提案された技術のように、表面保護層を形成した後にフッ素を含むガスでプラズマ放電処理しても、そのフッ素化された領域は、きわめて表面だけであり、実際の使用において、研磨するプロセスがある場合には、そのフッ素化領域では不十分であり、効果が小さいと言える。
【0010】
しかも、炭酸水素ガス(CmHn,n,m≧1又は整数)とフッ素系ガス(CF4 、C2 H6 ,CHF3 等)の混合ガス、あるいはCF4 とH2 の混合ガスによって得られた膜は、(−CF3 −)の鎖結合が多くなり、そのために硬度が小さくなり、その結果、耐久性に劣るという課題もある。
【0011】
また、特開昭62−272275号においても、表面保護層にフッ素を含む感光体でもって画像流れを抑制する技術が提案されているが、耐久性については、問題があった。
【0012】
さらにまた、特開平10−177265号においては、表面保護層をBN膜で形成しても、硬度が低く、耐久性に劣ったり、原子レベルにおける結合状態が不安定であるために、電位特性にバラツキが生じるという問題点もある。
【0013】
本発明者は上記事情に鑑みて鋭意研究に努めた結果、グロー放電法によりシリコンカーバイドもしくはカーボンからなるアモルファス層を成膜形成し、ついでこのアモルファス層に対しフッ素を含むガスによりエッチング処理するフッ素化工程を経て、動的押し込み硬さが450〜900kgf/mm2 以上の表面保護層を形成することで、疎水性が著しく高くなり、しかも、ヒーターを用いないでも研磨用の弾性ロ−ラにより表面を適度に研磨して、表面層に吸着した放電生成物などを除去し、画像流れが解消されることを見出した。
【0014】
したがって本発明は上記知見により完成されたものであり、その目的は感光体加熱用のヒーターを設けない程度にまで表面の疎水性を高めた感光体を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は表面保護層の硬度を高めて優れた耐久性を達成するとともに、電位特性のバラツキをなくした高信頼性かつ低コストの感光体を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、かかる本発明の感光体を得るための感光体の製法を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は感光体用のヒーターを設けないことで、構造上簡単となり、製造歩留りが向上し、さらに部品点数が少なくなることで優れた耐久性が得られ、その結果、低コストかつ高信頼性の画像形成装置を提供することにある。
【0018】
なお、特開平9−204056号によれば、a−SiC:H表面保護層の元素比率と自由表面の動的押し込み硬さとを規定することで、ヒーターを用いないでもクリーニング手段などにより表面を適度に研磨して、表面層に吸着した放電生成物などを除去し、これによって画像流れを解消する技術が提示されているが、同公報にはフッ素を含む表面保護層については、記載されていない。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性基板上に光導電層を形成し、該光導電層上にグロー放電法によりシリコンカーバイドもしくはカーボンからなるアモルファス層を成膜形成し、フッ素を含むガスを高周波電力でプラズマ化して前記アモルファス層をエッチング処理すると同時に、膜内にフッ素を含有させる工程を経て、動的押し込み硬さが450〜900kgf/mm 2 の表面保護層を形成せしめる感光体の製法であって、前記エッチング処理する際の前記高周波電力が、100(W)〜300(W)であることを特徴とする感光体の製法を提供する。
【0020】
また、導電性基板上に光導電層を形成し、該光導電層上にグロー放電法によりシリコンカーバイドもしくはカーボンからなるアモルファス層を成膜形成し、フッ素を含むガスを高周波電力でプラズマ化して前記アモルファス層をエッチング処理すると同時に、膜内にフッ素を含有させる工程を経て、動的押し込み硬さが450〜900kgf/mm2 で、かつフッ素含有割合が12〜35原子%の表面保護層を形成せしめたことを特徴とする感光体の製法を、併せて提供する。
【0021】
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、この感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、感光体の帯電領域に対して光照射する露光手段と、これら帯電手段と露光手段とにより感光体表面に形成された静電潜像に対してトナー像を感光体の表面に形成する現像手段と、上記トナー像を被転写材に転写する転写手段と、この転写後に感光体表面を研磨する弾性ロ−ラとを配設したことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
(感光体の構成)本発明の製法によって作製される感光体は導電性基板の上に少なくとも光導電層と表面保護層との積層構造を基本とするものであって、さらに性能を上げるために、たとえば図1に示すような積層構造にする。
【0023】
同図は本発明の実施形態に係る感光体1の層構成であり、グロー放電分解法などによりa−Si:Hなどからなる電荷注入阻止層3およびa−Si:Hなどからなる光導電層4とを順次積層し、この光導電層4上に表面保護層5を積層する。
【0024】
導電性基板2は銅、黄銅、SUS、Al、Niなどの金属導電体、あるいはガラス、セラミックなどの絶縁体の表面に導電性薄膜を被覆したものなどがある。この導電性基板2はシート状、ベルト状もしくはウェブ状可とう性導電シートでもよく、このようなシートにはSUS、Al、Niなどの金属シート、あるいはポリエステル、ナイロン、ポリイミドなどの高分子樹脂フィルムの上にAl、Niなどの金属もしくは酸化スズ、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)などの透明導電性材料や有機導電性材料を蒸着などにより被覆して導電処理したものを用いる。
【0025】
また、電荷注入阻止層3をa−Si:Hなどで構成した場合には、酸素や窒素を含有させて、禁制帯幅を大きくし、これによって電荷注入阻止という機能上、障壁を高くしてもよい。しかも、酸素を含有させることで基板との密着性が高められる。ただし、酸素のみではシランガスとの反応して爆発を引き起こし易いので不活性な窒素も併存させるとよく、実際には一酸化窒素(NO)ガスなどを使用する。
【0026】
光導電層4はa−Si以外に、Se、Se−Te、As2 Se3 などのSe合金、ZnO、CdS、CdSeなどのII−VI族化合物の粒子を樹脂に分散したもの、ポリビニルカルバゾール等の有機半導体材料などがあり、これでもって単層型とする。あるいは光導電層4を電荷発生層と電荷輸送層に分けた機能分離型にしてもよい。
【0027】
そして、上記表面保護層5については、シリコンカーバイド(SiC)もしくはカーボン(C)からなるフッ素含有のアモルファス層により構成して、動的押し込み硬さを450〜900kgf/mm2 に規定したことが特徴である。
【0028】
すなわち、表面保護層5にフッ素を含有させることで、CFあるいはCF2 等の官能基が形成され、これによって表面自由エネルギ−が大幅に小さくなり、その結果、イオン生成物が付着しなくなり、また、付着した場合でも容易にクリ−ニングすることができた。また、従来のフッ素を含まない表面保護層では、コロナ放電によって結合力の弱いC−H結合やC−C結合が切れてC=Oなるカルボニル基が生成されるが、フッ素エッチング処理などでもってフッ素を含有させることで、これらを事前に結合エネルギ−の大きいC−F結合に置き換え、これにより、耐酸化性をきわめて向上することができた。
【0029】
本発明者が繰り返しおこなった実験によれば、フッ素含有量は表面保護層5を構成する各種原子の全量に対し12〜35原子%、好適には18〜26原子%にするとよく、この範囲内であれば、耐酸化性をきわめて向上し、表面自由エネルギ−が大幅に小さくなり、これによって、イオン生成物が付着しなくなり、また、付着した場合でも容易にクリ−ニングすることができた。
【0030】
12原子%未満の場合には画像流れが発生しやすくなり、35原子%を超えると結合状態において終端部が増え、原子間のネットワークが少なくなり、C−C、Si−Si、Si−Cというような原子間結合が減少し、これによって膜強度が弱くなり、その結果、膜削れおよびキズが発生することがある。
【0031】
しかも、本発明においては、フッ素含有量を規定するとともに、硬度を高めることが重要である。すなわち、上述のようにフッ素を多く含有させる処理(フッ素を含むガスのプラズマ化)をおこなって、表面をエッチングすると、その表面の硬度にバラツキが生じやすくなり、低い硬度になる場合もあり、そこで、原料ガスを希釈ガスでもって希釈させたり、高周波電力を高くする、というような製造条件でもって動的押し込み硬さを450〜900kgf/mm2 にまで高めている。さらに一回のエッチング量を少なくすることで、膜強度のバラツキを小さくするとともに、硬度を高めている。
【0032】
本発明にて規定する動的押し込み硬さは島津製作所製の超微小硬度計DYNAMIC ULTRA MICRO HARDNESS TESTER (DUH−201・202)を使用してダイナミック硬さでもって表す。この測定方法によれば、電磁石により圧子(三角すい圧子)を試料に押しつけ、この押圧力を0.1gの荷重まで一定の割合で増加させ、圧子が試料に侵入していく過程で、圧子の試料への侵入深さを自動計測するものであって、その際に生じるくぼみの大きさを顕微鏡にて測定し、塑性変形分から硬さの値を得る。
【0033】
かくして上記構成のように表面保護層5の動的押し込み硬さを450〜900kgf/mm2 にしたことで、優れた耐刷性が得られ、紙などでもって擦れる度合いが著しく低減し、これによって優れた耐久性が得られ、しかも、ヒーターを用いないでも研磨用の弾性ロ−ラにより表面を適度に研磨して、表面層に吸着した放電生成物などを除去し、画像流れが発生しない高性能な感光体となった。
【0034】
(表面保護層5の形成方法)
つぎに上記構成の表面保護層5の形成方法を図3および図4により述べる。
図3(イ)〜(ニ)は表面保護層5の形成方法Aを示す各工程図であって、図4(イ)〜(ホ)は表面保護層5の他の形成方法Bを示す各工程図である。
【0035】
〔表面保護層5の形成方法Aについて〕
以下、図3の各工程(イ)〜(ニ)を述べる。
【0036】
(イ)工程:光導電層4の上にグロー放電法によりシリコンカーバイド(SiC)もしくはカーボン(C)からなるアモルファス層6aを成膜形成する。
【0037】
(ロ)工程:フッ素を含むガスによりエッチング処理する。このエッチング処理はCF4 ガス、NF3 ガス、SF6 ガス、C2 F6 ガス、F2 ガス、ClF3 ガス、CHF3 ガス、CH2 F2 ガス、CH3 Fガスなどのガスを用いて、たとえばCF4 ガスを使用した場合であれば、真空度0.35torr、基板温度270℃、高周波電力200Wという条件でもってプラズマ化し、これによってアモルファス層6aの表面から内部に漸次フッ素を侵入させると同時に、表面がエッチングされる。
【0038】
6bはアモルファス層6aのうちフッ素が侵入していない領域(フッ素未侵入領域)、6cはフッ素化領域、6dはアモルファス層6aのうち上層領域のエッチング処理された領域(エッチング領域)である。
【0039】
また、エッチングレートが膜質に影響することもわかり、エッチングレートを50〜500Å/分、好適には100〜250Å/分に規定することで、膜表面に対するダメージが小さくなり、膜剥がれや画像欠陥等が発生しなくなるとともに、十分にフッ素化処理される。
【0040】
フッ素化領域6cにおいては、エッチング処理されたことで、水素原子がフッ素原子に置換されたり、終端部にフッ素原子が結合し、C−F、C−F2 、C−F3 などの官能基が生成され、とくにC−F2 が多く生成される。そして、これらの生成物は疎水性を高めるのに顕著な効果がある。これら各官能基の量はフーリエ変換赤外分光光度計により測定する。
【0041】
(ハ)工程:(ロ)工程のエッチング処理によりフッ素化領域6cが形成されるが、そのエッチング処理をさらに進行させると同時にエッチング領域6dもさらに大きくすることで、実質上フッ素未侵入領域6bがない程度にまでエッチング処理を進める。これによってアモルファス層6aの全体がフッ素化されるまでエッチング処理してフッ素化アモルファス層6eとなす。
【0042】
(ニ)工程:(イ)工程〜(ハ)工程を一サイクルとして、このサイクルを繰り返すことで複数のフッ素化アモルファス層6eを積層する。たとえば、(イ)工程にてアモルファス層6aを2000Åの厚みで成膜形成し、(ロ)工程および(ハ)工程によって1000〜1500Åにする。そして、このようなサイクルを5回繰り返すことで、すなわちフッ素化アモルファス層6eを5層積層することで、表面保護層5を形成する。
【0043】
かくして表面保護層5の形成方法Aによれば、結合エネルギの大きなC−F系の官能基が形成されることで、表面自由エネルギが大幅に小さくなり、耐酸化性に優れ、これにより、放電生成物が付着されにくくなり、現像剤に働く力がほとんど静電引力となって転写性が改善され、その結果、画像流れが発生しなくなった。そして、放電生成物がわずかに付着しても、表面硬度が高くなったことで、研磨用の弾性ロ−ラにより表面を適度に研磨して、表面層に吸着した放電生成物などを除去し、これによっても画像流れが発生しなくなった。
【0044】
本発明においては、(イ)工程〜(ハ)工程により単層のフッ素化アモルファス層6eでもって表面保護層5となしてもよいが、(ロ)工程のエッチング処理が長くなると、フッ素化領域6cの表面が荒れ、これによって膜の密着性が劣ったり、電子写真特性が低下する傾向にあり、そのためにアモルファス層6aの膜厚を小さくし、さらにエッチング処理時間を短くすることで、膜厚の小さいフッ素化アモルファス層6eを成膜形成し、このようなフッ素化アモルファス層6eを積層することで、個々のフッ素化アモルファス層6eの表面粗さを小さくして、膜の密着性が高めたり、電子写真特性を向上できる。望ましくは2層〜15層〔(ニ)工程におけるサイクル数:2〜15〕、最適には3層〜10層〔(ニ)工程におけるサイクル数:3〜10〕のフッ素化アモルファス層6eを積層することで表面保護層5を構成する。
【0045】
〔表面保護層5の形成方法Bについて〕
つぎに図4に示すような表面保護層5の他の形成方法Bを述べる。
【0046】
この形成方法Bにおいては、上述した形成方法Aに比べて(ハ)工程を除いている。すなわち、(ロ)工程のエッチング処理によりフッ素化領域6cが形成されるが、フッ素未侵入領域6bが残存する程度にエッチング処理を進める。そして、つぎの(ホ)工程にて、(イ)工程および(ロ)工程を一サイクルとして、このサイクルを繰り返すことでフッ素化領域6cとフッ素未侵入領域6bとを交互に積層させ、表面保護層5をなす。
【0047】
このようにフッ素未侵入領域6bが表面保護層5内に存在してもよいが、前述の形成方法Aのようにフッ素未侵入領域6bが存在しない方が成膜の信頼性が向上し、安定した電子写真特性が得られ、さらに生産歩留りも高められる。
【0048】
表面保護層5の形成方法Aおよび形成方法Bのいずれにおいても、アモルファス層6aの膜厚を0.01〜1μm、好適には0.05〜0.5μmにするとよく、この範囲内であれば、適度な量でもってエッチングされ、膜全体に対しフッ素化が容易になるという点でよい。
【0049】
フッ素化領域6cについても、膜厚を0.005〜0.5μm、好適には0.03〜0.3μmにするとよく、この範囲内であれば、耐久性および電位特性の双方を高めるという点でよい。
【0050】
そして、このように成膜した表面保護層5の膜厚を0.1〜1.5μm、好適には0.2〜1.0μmにするとよく、この範囲内であれば、耐久性および電位特性の双方を高めるという点でよい。
【0051】
さらに形成方法Bについては、フッ素未侵入領域6bの膜厚を0.001〜0.05μm、好適には0.001〜0.01μmにするとよく、この範囲内であれば、適度な量でもってエッチングされて均等な膜厚が得られ、安定した膜厚となり、しかも、画像流れが発生しなくなるという点でよい。
【0052】
この形成方法Bにおいても、(イ)工程と(ロ)工程により単一のフッ素化領域6cと単一のフッ素未侵入領域6bとの積層でもって表面保護層5となしてもよいが、フッ素化領域6cの表面の荒れを防ぐために、望ましくは2積層〜15積層〔(ホ)工程におけるサイクル数:2〜15〕、最適には3積層〜10積層〔(ホ)工程におけるサイクル数:3〜10〕の範囲にて表面保護層5を構成する。
【0053】
〔アモルファス層6aの材質について〕
(イ)工程にて成膜形成するアモルファス層6aはシリコンカーバイド(SiC)またはカーボン(C)からなるが、a−C膜はa−SiC膜に比べて硬度が小さいことから、a−SiC膜にて形成するのがよい。そのために原子組成比率SiX C1-X のX値を0.5以下、好適には0.3以下、最適には0.1以下にするとよい。そして、このようにSiを減少させたままで含有させることで耐コロナ性が向上する。ただし、a−C膜については、ガス希釈することで硬度を大きくすることができるが、a−SiC膜にて得られる程度の硬度が得られない。
【0054】
(画像形成装置の構成)
図2は本発明の感光体を搭載したプリンター構成の画像形成装置7であり、基本構成として、感光体8と、この感光体8の周面にコロナ帯電器9と、その帯電後に光照射する露光器10(LEDヘッド)と、トナー像を感光体8の表面に形成するためのトナー11を備えた現像機12と、そのトナー像を被転写材13に転写する転写器14と、この転写後に感光体表面を研磨する弾性ロ−ラRとからなる。
【0055】
さらには必要に応じて、その転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段15と、その転写後に残余静電潜像を除去する除電手段16とを配設した構成である。また、17は被転写材13に転写されたトナー像を熱もしくは圧力により固着するための定着器である。
【0056】
このカールソン法は次の▲1▼〜▲6▼の各プロセスを繰り返し経る。
▲1▼ 感光体8の周面をコロナ帯電器9により帯電する。
▲2▼ 露光器10により画像を露光することにより、感光体8の表面上に電位コントラストとしての静電潜像を形成する。
▲3▼ この静電潜像を現像機12により現像する。この現像により黒色のトナーが静電潜像との静電引力により感光体表面に付着し、可視化する。
▲4▼ 感光体表面のトナー像を紙などの被転写材13の裏面よりトナーと逆極性の電界を加えて、静電転写し、これにより、画像を被転写材13の上に得る。
▲5▼ 感光体表面の残留トナーをクリーニング手段15により機械的に除去する。
▲6▼ 感光体表面を強い光で全面露光し、除電手段16により残余の静電潜像を除去する。
【0057】
本発明においては、上記構成の画像形成装置7に対し、感光体8の表面を研磨し、そこに付着したイオン生成物を除去するための弾性ロ−ラRを配設する。この弾性ロ−ラRはクリーニング手段15として兼用してもよく、もしくは別途、クリーニング手段15の前もしくは後に付設してもよい。
【0058】
この弾性ロ−ラRは、その感光体表面の当接面をシリコン、ウレタン、EPDMなどの合成樹脂などでもって構成し、そして、硬度を20〜60°HS(アスカ−C)にするとよい。
【0059】
また、弾性ロ−ラの回転速度を、感光体8の回転速度に対し0.9〜1.6倍に、さらに線圧を20〜200g/cmに荷重にて当接させるとよく、このように弾性ロ−ラの諸条件を設定することで、感光体8の表面に付着したイオン生成物を最適に除去することができる。
【0060】
なお、画像形成装置7はプリンターの構成であるが、露光器10に代えて原稿からの反射光を通すレンズやミラーなどの光学系を用いれば、複写機の構成の画像形成装置となる。また、この画像形成装置7には通常の乾式現像を用いているが、その他、湿式現像に使用される液体現像剤にも適用される。
【0061】
【実施例】
(例1)
純度99.9%のAlからなる円筒状の基板(φ30mm×長手寸法254mm)の上に表1に示すような成膜条件(この条件は一チェンバ内での値である)でもってグロー放電分解法により電荷注入阻止層3および光導電層4を積層した。
【0062】
【表1】
【0063】
ついで表面保護層5を形成方法Aにより設ける。
まず、表2に示す(イ)工程の成膜条件によりカーボン(C)からなるアモルファス層6aを2000Åの厚みで成膜形成する。
【0064】
【表2】
【0065】
つぎに表3に示す(ロ)工程の条件によりエッチング処理する。
【0066】
【表3】
【0067】
表3のエッチング処理を続けることで、(ハ)工程を経ることで、実質上フッ素未侵入領域6bがない程度にまでエッチング処理を進め、これによって膜厚1000Åのフッ素化アモルファス層6eとなす。
【0068】
しかる後に(ニ)工程、すなわち(イ)工程〜(ハ)工程を一サイクルとして、このサイクルを5回繰り返すことでフッ素化アモルファス層6eを5層積層し、動的押し込み硬さが750kgf/mm2 であり、フッ素含有量が24原子%の表面保護層5を形成した。
【0069】
かくして得られた本発明の感光体を前記画像形成装置7(京セラ株式会社製エコシスFS−1700でもって2成分現像方式を採用し、さらにトナ−には研磨剤としてTiO2 を添加している)に搭載し、この装置7に設けられた感光体加熱用ヒーターのスイッチングを常時OFFにして、感光体加熱をおこなわなかった。
【0070】
弾性ロ−ラとして発泡ウレタン製ロ−ラ(外径11mm、スポンジ厚1.5mm)を使用し、その発泡ウレタンの硬度は30°HS(アスカ−C)、弾性ロ−ラの回転速度は感光体の回転速度に対し1.20倍、線圧は100g/cmの荷重に設定している。
【0071】
そして、A4紙に対しカールソン法で5%印字でもって画像形成して、30万枚(300K枚)のランニングテストをおこない、画像流れと画質を測定したところ、表4に示すような結果(a−C:H:Fからなる表面保護層)が得られた。
【0072】
【表4】
【0073】
画像流れは33℃、85%湿度の環境下で8時間放置し、その画質を3段階にて評価し、○印は画像変化がまったくない場合であり、△印は一部画像が流れた場合であり、×印は全面にわたって画像が流れた場合である。
【0074】
画質は3段階にて評価し、黒ベタ、白ベタおよびハーフトーン画像にて評価し、○印は黒ベタ濃度・白ベタにおいてかぶりにまったく問題なく、また、ハーフトーン画像にスジがまったく発生していない場合であり、△印はハーフトーン画像の一部にスジが発生している場合であり、×印はハーフトーン画像の全面にわたってスジが発生している場合である。
【0075】
比較例として、a−SiC:Hからなる表面保護層やa−C:Hからなる表面保護層を表5および表6に示すような成膜条件にて形成し、その他の層構成を表1の通りにして、それぞれの感光体を作製し、同様に評価したところ、表4に示すような結果が得られた。なお、表6に示すSiH4 ガス量は8.3SCCMから2.5SCCMに漸次減少させている。
【0076】
このようなa−SiC:Hからなる表面保護層の動的押し込み硬さは350kgf/mm2 であり、a−C:Hからなる表面保護層の動的押し込み硬さは200kgf/mm2 であった。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
表4に示す結果から明らかなとおり、本発明のようなa−C:H:Fからなる表面保護層を形成したことで、画像流れおよび画質の双方が向上していることがわかる。
【0080】
(例2)
(例1)にて得られた感光体に対し、水素ガスの導入量を変えることで、高周波電力を変えることで、表面保護層5の動的押し込み硬さ300kgf/mm2 、450kgf/mm2 、600kgf/mm2 、750kgf/mm2 、900kgf/mm2 、1050kgf/mm2 に設定し、それぞれの感光体について(例1)と同様に画像流れと画質を評価測定したところ、表7に示すような結果が得られた。ただし、いずれの感光体もフッ素含有量が12〜35原子%の範囲内にある。
【0081】
また、今回の測定においては、ガラス基板上に感光体と同条件にて表面保護層を形成し、それに対し2000Åまで侵入したときの硬度でもって動的押し込み硬さを示す。
【0082】
【表7】
【0083】
この表から明らかなとおり、表面保護層の動的押し込み硬さを450〜900kgf/mm2 にすることで、画像流れおよび画質の双方が向上していることがわかる。
【0084】
(例3)
(例1)にて得られた感光体に対し、表8に示すようにRF電力を変えることで、表面保護層5のフッ素量を規定した各種感光体A〜Gを作製した。
【0085】
【表8】
【0086】
これらの感光体を画像形成装置7に搭載し、画像流れと画質を評価測定したところ、表9と表10に示すような結果が得られた。
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
これらの表から明らかなとおり、本発明の試料である感光体C〜Fは画像流れと画質の双方とも優れている。しかし、感光体Gはフッ素含有量が多くなることで結合状態において終端部が増え、原子間のネットワークが少なく、膜強度が弱くなったため、膜削れおよびキズが発生した。
【0090】
(例4)
(例1)にて作製した感光体について、弾性ロ−ラの硬度をHS15°に小さくしたり、さらに弾性ロ−ラを設けない場合について、それぞれ(例1)と同じ測定条件でもって画像流れおよび画質を測定したところ、表11に示すような結果が得られた。なお、同表に示す結果は画像流れと画質の双方を共通するものである。
【0091】
【表11】
【0092】
同表から明らかなとおり、HS30°の硬度の弾性ロ−ラを用いることで、30万枚の印字枚数でも画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0093】
(例5)
(例1)にて作製した感光体について、弾性ロ−ラの硬度をHS5°〜HS100°にまで幾とおりにも変え、そして、(例1)と同じ測定条件(印字枚数:5万枚(50K枚))でもって画像流れおよび画質を測定したところ、表12に示すような結果が得られた。
【0094】
【表12】
【0095】
同表から明らかなとおり、HS20°〜HS60°の硬度の弾性ロ−ラを用いることで、5万枚の印字枚数でも画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0096】
しかし、HS20°未満の硬度の弾性ロ−ラを用いると、研磨能力が低下し、画像流れが発生し、HS60°を超える硬度の弾性ロ−ラを用いると、感光体の研磨量が大きくなりすぎてキズ等が発生し、画質が低下した。
【0097】
(例6)
(例5)にて作製した感光体について、弾性ロ−ラの硬度をHS20°、HS35°、HS60°の3とおりに変え、それぞれに対し印字枚数を多くすることで、耐久性を評価したところ、表13に示すような結果が得られた。この耐久性については、印字枚数を30万枚まで多くすることで画像流れおよび画質を測定した。
【0098】
【表13】
【0099】
同表から明らかなとおり、いずれの弾性ロ−ラにおいても、30万枚の印字をおこなっても、画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0100】
(例7)
(例1)にて作製した感光体について、画像形成装置7(京セラ株式会社製エコシスFS−1700でもって2成分現像方式を採用し、さらにトナ−には研磨剤としてTiO2 を添加している)に搭載し、この装置7に設けられた感光体加熱用ヒーターのスイッチングを常時OFFにして、感光体加熱をおこなわなかった。
【0101】
また、弾性ロ−ラとして発泡ウレタン製ロ−ラ(外径11mm、スポンジ厚1.5mm)を使用し、その発泡ウレタンの硬度は35°HS(アスカ−C)、線圧は100g/cmの荷重に設定し、さらに弾性ロ−ラの回転速度の感光体の回転速度に対する比率を幾とおりにも変え、そして、A4紙に対しカールソン法で5%印字でもって画像形成して、5万枚のランニングテストをおこない、画像流れと画質を測定したところ、表14に示すような結果が得られた。
【0102】
【表14】
【0103】
同表から明らかなとおり、弾性ロ−ラの回転速度の感光体の回転速度に対する比率を0.90〜1.60にすることで、5万枚の印字枚数にて画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0104】
しかし、その比率が0.90未満の場合には、研磨能力が低下し、画像流れが発生し、比率が1.60を超えると、感光体の研磨量が大きくなりすぎてキズ等が発生し、画質が低下した。
【0105】
(例8)
(例7)にて作製した感光体について、弾性ロ−ラの回転速度の感光体の回転速度に対する比率を0.90、1.20、1.60の3とおりに変え、それぞれに対し印字枚数を多くすることで、耐久性を評価したところ、表15に示すような結果が得られた。この耐久性については、印字枚数を30万枚まで多くすることで画像流れおよび画質を測定した。
【0106】
【表15】
【0107】
同表から明らかなとおり、いずれの弾性ロ−ラにおいても、30万枚の印字をおこなっても、画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0108】
(例9)
(例1)にて作製した感光体について、画像形成装置7(京セラ株式会社製エコシスFS−1700でもって2成分現像方式を採用し、さらにトナ−には研磨剤としてTiO2 を添加している)に搭載し、この装置7に設けられた感光体加熱用ヒーターのスイッチングを常時OFFにして、感光体加熱をおこなわなかった。
【0109】
また、弾性ロ−ラとして発泡ウレタン製ロ−ラ(外径11mm、スポンジ厚1.5mm)を使用し、その発泡ウレタンの硬度は35°HS(アスカ−C)、弾性ロ−ラの回転速度の感光体の回転速度に対する比率を1.20に設定し、さらに線圧を幾とおりにも変え、そして、A4紙に対しカールソン法で5%印字でもって画像形成して、5万枚のランニングテストをおこない、画像流れと画質を測定したところ、表16に示すような結果が得られた。
【0110】
【表16】
【0111】
同表から明らかなとおり、弾性ロ−ラの線圧を20〜200g/cmの荷重に設定したことで、5万枚の印字枚数にて画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0112】
しかし、その比率が20g/cm未満の場合には、研磨能力が低下し、画像流れが発生し、比率が200g/cmを超えると、感光体の研磨量が大きくなりすぎてキズ等が発生し、画質が低下した。
【0113】
(例10)
(例9)にて作製した感光体について、弾性ロ−ラの線圧を20g/cm、120g/cm、200g/cmの荷重に設定し、それぞれに対し印字枚数を多くすることで、耐久性を評価したところ、表17に示すような結果が得られた。この耐久性については、印字枚数を30万枚まで多くすることで画像流れおよび画質を測定した。
【0114】
【表17】
【0115】
同表から明らかなとおり、いずれの弾性ロ−ラも、30万枚の印字をおこなっても、画像流れが発生せず、また、優れた画質が得られた。
【0116】
(例11)
(例1)〜(例10)はa−C:H:Fからなる表面保護層を形成した場合であるが、これに代えてa−SiC:H:Fからなる表面保護層を形成した場合も、その表面保護層の動的押し込み硬さを450〜900kgf/mm2 に規定することで、(例1)〜(例10)にて達成されたのと同じ作用効果を奏することを、繰り返しおこなった実験により確認した。
【0117】
以下、そのa−SiC:H:Fからなる表面保護層の作製方法を述べる。
【0118】
表1に示すような成膜条件でもって電荷注入阻止層3および光導電層4を積層し、その上にa−SiC:H:Fからなる表面保護層5を形成方法Aにより設ける。その場合、表18に示す(イ)工程の成膜条件によりa−SiC:Hからなるアモルファス層6aを2000Åの厚みで成膜形成する。
【0119】
【表18】
【0120】
つぎに表19に示す(ロ)工程の条件によりエッチング処理する。
【0121】
【表19】
【0122】
表19のエッチング処理を続けることで、(ハ)工程を経ることで、実質上フッ素未侵入領域6bがない程度にまでエッチング処理を進め、これによって膜厚1000Åのフッ素化アモルファス層6eとなす。
【0123】
しかる後に(ニ)工程、すなわち(イ)工程〜(ハ)工程を一サイクルとして、このサイクルを5回繰り返すことでフッ素化アモルファス層6eを5層積層し、動的押し込み硬さが770kgf/mm2 であり、フッ素含有量が21原子%の表面保護層5を形成した。
【0124】
かくして得られた本発明の感光体を前記画像形成装置7(京セラ株式会社製エコシスFS−1700でもって2成分現像方式を採用し、さらにトナ−には研磨剤としてTiO2 を添加している)に搭載し、この装置7に設けられた感光体加熱用ヒーターのスイッチングを常時OFFにして、感光体加熱をおこなわなかった。
【0125】
弾性ロ−ラとして発泡ウレタン製ロ−ラ(外径11mm、スポンジ厚1.5mm)を使用し、その発泡ウレタンの硬度は30°HS(アスカ−C)、弾性ロ−ラの回転速度は感光体の回転速度に対し1.20倍、線圧は100g/cmの荷重に設定している。
【0126】
そして、A4紙に対しカールソン法で5%印字でもって画像形成して、30万枚のランニングテストをおこない、画像流れと画質を測定した。
【0127】
画像流れは33℃、85%湿度の環境下で8時間放置して測定したところ、画像変化がまったくなく、さらに画質は黒ベタ濃度・白ベタにおいてかぶりにまったく問題なく、良好であった。
【0128】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の感光体によれば、フッ素含有のアモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)もしくはアモルファスカーボン(a−C)からなる表面保護層に対し、動的押し込み硬さを450〜900kgf/mm2 にしたことで、優れた耐刷性が得られ、紙などでもって擦れる度合いが著しく低減し、これによって優れた耐久性が得られ、しかも、ヒーターを用いないでも研磨用の弾性ロ−ラにより表面を適度に研磨して、表面層に吸着した放電生成物などを除去し、画像流れが発生しなくなり、さらに電位特性のバラツキがなくなり、その結果、高耐久性、高性能、高信頼性、かつ低コストの感光体が提供できた。
【0129】
本発明の感光体の製法によれば、グロー放電法によりシリコンカーバイド(SiC)もしくはカーボン(C)からなるアモルファス層を成膜形成し、ついでアモルファス層に対しフッ素を含むガスをプラズマ化してエッチング処理すると同時に、膜内に含有させる工程を経ることで、フッ素を含有し、動的押し込み硬さが450〜900kgf/mm2の表面保護層を形成でき、これによって、上記のような優れた耐久性を備え、さらに高性能かつ高信頼性、低コストを達成した感光体が提供できた。
【0130】
本発明の画像形成装置は、上記本発明の感光体を装着することで、感光体用のヒーターを設けなくてもよく、これにより、構造上簡単となり、製造歩留りが向上し、さらに部品点数が少なくなることで優れた耐久性が得られ、その結果、低コストかつ高信頼性の画像形成装置が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態に係る感光体の層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の概略図である。
【図3】(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)は本発明に係る表面保護層の形成方法を示す工程図である。
【図4】(イ)、(ロ)および(ホ)は本発明に係る表面保護層の他の形成方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1、8 感光体
2 導電性基板
3 電荷注入阻止層
4 光導電層
5 表面保護層
6a アモルファス層
6b フッ素未侵入領域
6c フッ素化領域
6d エッチング領域
6e フッ素化アモルファス層
7 画像形成装置
9 コロナ帯電器
10 露光器
12 現像機
14 転写器
15 クリーニング手段
16 除電手段
17 定着器
R 弾性ロ−ラ
Claims (2)
- 導電性基板上に光導電層を形成し、
該光導電層上にグロー放電法によりシリコンカーバイドもしくはカーボンからなるアモルファス層を成膜形成し、
フッ素を含むガスを高周波電力でプラズマ化して前記アモルファス層をエッチング処理すると同時に、膜内にフッ素を含有させる工程を経て、動的押し込み硬さが450〜900kgf/mm 2 の表面保護層を形成せしめる感光体の製法であって、
前記エッチング処理する際の前記高周波電力が、100(W)〜300(W)であることを特徴とする感光体の製法。 - 導電性基板上に光導電層を形成し、
該光導電層上にグロー放電法によりシリコンカーバイドもしくはカーボンからなるアモルファス層を成膜形成し、
フッ素を含むガスを高周波電力でプラズマ化して前記アモルファス層をエッチング処理すると同時に、膜内にフッ素を含有させる工程を経て、動的押し込み硬さが450〜900kgf/mm2 で、かつフッ素含有割合が12〜35原子%の表面保護層を形成せしめたことを特徴とする感光体の製法。
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