特に小形形状のファクタカードとしてパッケージ化されたEEPROMおよびフラッシュEEPROMの形の、電荷を不揮発性に蓄積することのできる固体メモリは、近ごろ、いろいろなモバイル装置およびハンドヘルド装置、特に情報装置および民生用電子機器において、一般的に好まれる記憶装置となっている。同じく個体メモリであるRAM(ランダムアクセスメモリ)とは異なって、フラッシュメモリは不揮発性であって、電源がオフに切り替えられた後にもその蓄積されているデータを維持する。コストが高いにもかかわらず、フラッシュメモリは大容量記憶アプリケーションでますます使われるようになっている。ハードディスクおよびフロッピーディスクのような回転する磁性媒体に基づく在来の大容量記憶装置は、モバイルおよびハンドヘルド環境には適しない。それは、ディスクドライバがかさばりがちで、機械的故障を起こしやすく、長い待ち時間と大電力要件とを有するからである。これらの望ましくない属性があるためにディスクをベースとする記憶装置は大抵のモバイルおよび携帯用アプリケーションにおいて実用的でない。一方、フラッシュメモリは、埋め込み形でも取り外し可能なカードの形でも、サイズが小さく、電力消費量が少なく、高速で信頼性が高いので、モバイルおよびハンドヘルド環境に理想的に適している。
EEPROMおよび電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)は、消去することができるとともに新しいデータをそのメモリセルに書き込むすなわち「プログラム」することができる不揮発性メモリである。両方が、ソース領域およびドレイン領域の間で半導体基板のチャネル領域の上に配置された、電界効果トランジスタ構造におけるフローティング(非結合)導電性ゲートを利用する。フローティングゲートの上にコントロールゲートが設けられる。トランジスタのしきい値電圧特性は、フローティングゲートに保持されている電荷量によって制御される。すなわち、フローティングゲート上の所与のレベルの電荷について、そのソース領域とドレイン領域との間の導通を許すようにトランジスタが「オン」に転換される前にコントロールゲートに印加されなければならない対応する電圧(しきい値)がある。
フローティングゲートは、ある範囲の電荷を保持することができ、従って1つのしきい値電圧ウィンドウの中の任意のしきい値電圧レベルにプログラムされ得る。しきい値電圧ウィンドウのサイズはデバイスの最高しきい値レベルと最低しきい値レベルとにより画定され、フローティングゲートにプログラムされ得る電荷の範囲に対応する。しきい値ウィンドウは、一般に、メモリ素子の特性、動作条件および履歴に依存する。ウィンドウ内の各々の識別可能で、分解可能なしきい値電圧レベル範囲は、原則として、セルの一定のメモリ状態を指定するために使用され得る。
メモリセルとして作用するトランジスタは、通常、2つのメカニズムの一方によって「プログラムされた」状態にプログラムされる。「ホットエレクトロン注入」では、ドレインに印加された高電圧が基板チャネル領域を横断して電子を加速する。同時に、コントロールゲートに印加された高電圧が薄いゲート誘電体を通してホットエレクトロンをフローティングゲートへ引っ張る。「トンネリング注入」では、基板に関して高い電圧がコントロールゲートに印加される。このようにして、電子が基板から、介在するフローティングゲートへ引っ張られる。
メモリ素子は、数個のメカニズムによって消去され得る。EPROMに関して、メモリは、紫外線照射によってフローティングゲートから電荷を除去することによりバルク消去可能である。EEPROMに関して、薄い酸化物を通って基板チャネル領域へトンネリングするようにフローティングゲート内の電子を誘導するために(すなわち、ファウラー−ノルトハイムのトンネリング)コントロールゲートに関して高い電圧を基板に印加することにより、メモリセルは電気的に消去可能である。通常、EEPROMは1バイトずつ消去可能である。フラッシュEEPROMに関して、メモリは一度に全体がまたは一度に1ブロックまたは数ブロックずつ電気的に消去可能であり、ここで1ブロックは512バイト以上のメモリから成る。
不揮発性メモリセルの例
メモリ素子は、通常、カードに搭載され得る1つ以上のメモリチップを含む。各メモリチップは、デコーダおよび消去回路、書き込み回路および読み出し回路のような周辺回路によりサポートされるメモリセルのアレイを含む。精巧なメモリ素子は、インテリジェントで高レベルのメモリ操作およびインターフェイス操作を実行するコントローラをも伴う。多くの商業的に成功した不揮発性個体メモリ素子が今日使用されている。これらのメモリ素子はいろいろなタイプのメモリセルを採用することができ、その各々のタイプが1つ以上の電荷蓄積素子を有する。
図1A〜1Eは、不揮発性メモリセルのいろいろな例を概略的に示す。
図1Aは、電荷を蓄積するためのフローティングゲートを有するEEPROMセルの形の不揮発性メモリを概略的に示す。電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)は、EPROMに似ている構造を有するけれども、UV照射への露出を必要とせずに適切な電圧の印加時にそのフローティングゲートに電荷を電気的にロードし除去するためのメカニズムを付加的に提供する。このようなセルとその製造方法との例が、米国特許第5,595,924号(特許文献1)において示されている。
図1Bは、選択ゲートとコントロールゲートまたはステアリングゲートとの両方を有するフラッシュEEPROMを概略的に示す。メモリセル10はソース拡散14とドレイン拡散16との間に「分割チャネル」12を有する。セルは実際上2つの直列のトランジスタT1およびT2で形成される。T1は、フローティングゲート20とコントロールゲート30とを有するメモリトランジスタとして作用する。フローティングゲートは、選択可能な量の電荷を蓄積することができる。チャネルのT1の部分を流れることのできる電流量は、コントロールゲート30の電圧と、介在するフローティングゲート20に存在する電荷量とに依存する。T2は、選択ゲート40を有する選択トランジスタとして作用する。T2は、選択ゲート40の電圧によってオンに転換されたとき、チャネルのT1の部分に存する電流がソースとドレインとの間を通ることを可能にする。選択トランジスタは、コントロールゲートの電圧から独立した、ソース−ドレインチャネルに沿ったスイッチを提供する。1つの利点は、それが、そのフローティングゲートでの電荷空乏(正)に起因してゼロのコントロールゲート電圧において依然として導通しているセルをオフに転換させるために使用され得ることである。他方の利点は、それがソース側注入プログラミングをより実行しやすくすることである。
分割チャネルメモリセルの一つの簡単な実施形態では、図1Bに示されている点線で概略的に示されているように、選択ゲートとコントロールゲートとが同じワード線に接続される。これは、電荷蓄積素子(フローティングゲート)をチャネルの一部分の上に配置し、コントロールゲート構造(これはワード線の一部である)を他方のチャネル部分の上かつ電荷蓄積素子の上に配置することによって達成される。これは実際上直列の2つのトランジスタを有するセルを形成し、一方(メモリトランジスタ)は、電荷蓄積素子に存する電荷量と、チャネルのその部分を通って流れることのできる電流の量を制御するワード線上の電圧との組み合わせを有し、他方(選択トランジスタ)は、そのゲートとして作用するワード線だけを有する。このようなセルの例と、メモリシステムにおけるその使用と、これを製造する方法との例が、米国特許第5,070,032号(特許文献2)、第5,095,344号(特許文献3)、第5,315,541号(特許文献4)、第5,343,063号(特許文献5)、および第5,661,053号(特許文献6)において示されている。
図1Bに示されている分割チャネルセルのより洗練された実施形態では、選択ゲートとコントロールゲートとは独立であって、それらの間の点線で接続されない。1つの実施例では、セルのアレイ内の一列のコントロールゲートがワード線に垂直な制御(あるいはステアリング)線に接続される。その効果は、選択されたセルを読み出すかあるいはプログラムするときに同時に2つの機能を果たさなければならないというワード線の負担を軽減することである。この2つの機能とは、(1)選択トランジスタのゲートとして作用し、従って選択トランジスタをオン/オフに転換するために適切な電圧を要求すること、および(2)ワード線と電荷蓄積素子との電界(容量)結合を通して電荷蓄積素子の電圧を所望のレベルへ駆動させること、である。これらの機能の両方を単一の電圧で最適に実行することはしばしば難しい。コントロールゲートと選択ゲートとを別々に制御する場合には、ワード線は機能(1)を実行するだけでよく、付加された制御線は機能(2)を実行する。この能力は、プログラミング電圧が目標とするデータに適合させられる高性能プログラミングの設計に配慮している。フラッシュEEPROMアレイにおける独立のコントロール(またはステアリング)ゲートの使用が、例えば米国特許第5,313,421号(特許文献7)および第6,222,762号(特許文献8)に記載されている。
図1Cは、二重のフローティングゲートと独立の選択ゲートおよびコントロールゲートを有する他のフラッシュEEPROMセルを概略的に示す。メモリセル10は、実際上3つの直列のトランジスタを有することを除いて、図1Bのものと同様である。このタイプのセルでは、2つの記憶素子(すなわち、T1−左のものとT1−右のもの)がソース拡散とドレイン拡散との間でそのチャネルの上に含まれ、それらの間に選択トランジスタT1がある。メモリトランジスタはフローティングゲート20’および20”と、コントロールゲート30’および30”とをそれぞれ有する。選択トランジスタT2は選択ゲート40’により制御される。任意の時点で、メモリトランジスタの対のうちの一方だけが読み出しまたは書き込みのためにアクセスされる。記憶ユニットT1−左がアクセスされているとき、チャネルのT1−左の部分の電流がソースとドレインとの間を通過できるようにT2およびT1−右の両方がオンに転換されている。同様に、記憶ユニットT1−右がアクセスされているときには、T2およびT1−左はオンに転換されている。消去は、選択ゲートのポリシリコンの一部分をフローティングゲートの近傍に持ち、またフローティングゲート内に蓄積されている電子が選択ゲートのポリシリコンへトンネリングできるように相当の正の電圧(例えば、20V)を選択ゲートに印加することによって、行われる。
図1Dは、NANDセルに組織されたメモリセルのストリングを概略的に示す。NANDセル50は、そのソースおよびドレインによってデイジーチェーン接続された一連のメモリトランジスタM1,M2・・・Mn(n=4,8,16またはそれ以上)から成る。1対の選択トランジスタS1,S2は、メモリトランジスタチェーンの、NANDセルのソース端子54およびドレイン端子56を介しての外部との接続を制御する。メモリアレイでは、ソース選択トランジスタS1がオンに転換されると、ソース端子がソース線に結合される。同様に、ドレイン選択トランジスタS2がオンに転換されると、NANDセルのドレイン端子がメモリアレイのビット線に結合される。チェーン内の各メモリトランジスタは、意図されたメモリ状態を表すように所与の量の電荷を蓄積する電荷蓄積素子を有する。各メモリトランジスタは、読み出し操作および書込み操作を制御するためのコントロールゲートを有する。選択トランジスタS1,S2の各々のコントロールゲートは、NANDセルへの制御アクセスを、それぞれそのソース端子54およびドレイン端子56を介して、提供する。
NANDセル内のアドレス指定されたメモリトランジスタがプログラミング中に読み出されてベリファイされるとき、そのコントロールゲートに適切な電圧が供給される。同時に、NANDセル50内のアドレス指定されていないメモリトランジスタの残りは、そのコントロールゲートに充分な電圧を印加することにより完全にオンに転換される。このようにして、個々のメモリトランジスタのソースからNANDセルのソース端子54への伝導経路が実際上作られ、また同様に個々のメモリトランジスタのドレインのためにセルのドレイン端子56への伝導経路が実際上作られる。このようなNANDセル構造を有するメモリ素子が、米国特許第5,570,315号(特許文献9)、第5,903,495号(特許文献10)および第6,046,935号(特許文献11)に記載されている。
図1Eは、電荷を蓄積するための誘電体層を有する不揮発性メモリを概略的に示す。前述した導電性フローティングゲート素子の代わりに、誘電体層が用いられている。誘電体記憶素子を利用するこのようなメモリ素子が、エイタンらによる「NROM:新しい局所トラッピング、2ビット不揮発性メモリセル」,IEEE電子デバイスレターズ,第21巻,第11号,2000年11月,543〜545ページ (Eitan et al., "NROM: A Novel Localized Trapping, 2-Bit Nonvolatile Memory Cell," IEEE Electron Device Letters, vol. 21, no. 11, November 2000, pp. 543-545) (非特許文献1)に記載されている。ONO誘電体層が、ソース拡散およびドレイン拡散の間のチャネルを横断して広がる。1つのデータビットのための電荷はドレインに隣接して誘電体層内に局所化され、他方のデータビットのための電荷はソースに隣接して誘電体層内に局所化される。例えば、米国特許第5,768,192号(特許文献12)および第6,011,725号(特許文献13)は、2つの二酸化ケイ素層の間に挟まれたトラッピング誘電体を有する不揮発性メモリセルを開示している。多状態データ記憶が、誘電体内の空間的に離れている複数の電荷蓄積領域のバイナリ状態を別々に読み出すことにより実現される。
メモリアレイ
メモリ素子は、通常、行および列を成すように配列されてワード線およびビット線によりアドレス指定できるメモリセルの2次元アレイから構成される。アレイは、NORタイプまたはNANDタイプのアーキテクチャに従って形成され得る。
NORアレイ
図2は、メモリセルのNORアレイの例を示す。NORタイプのアーキテクチャを有するメモリ素子は、図1Bまたは図1Cに例示されているタイプのセルで実現されている。メモリセルの各行は、そのソースおよびドレインによりデイジーチェーン式に接続される。この設計は、時には仮想接地設計と称される。各メモリセル10は、ソース14と、ドレイン16と、コントロールゲート30と、選択ゲート40とを有する。1つの行内のセルの選択ゲートはワード線42に接続される。1つの列内のセルのソースおよびドレインは、選択されたビット線34および36にそれぞれ接続される。メモリセルのコントロールゲートと選択ゲートとが独立して制御される実施形態では、1つのステアリング線36も1つの列内のセルのコントロールゲート同士を接続する。
多くのフラッシュEEPROMデバイスは、各メモリセルのコントロールゲートと選択ゲートとが互いに接続されているメモリセルで実現される。この場合、ステアリング線の必要はなくて、1つのワード線が各行に沿うセルの全てのコントロールゲートと選択ゲートとを単に接続させる。これらの設計の例が、米国特許第5,172,338号(特許文献14)および第5,418,752号(特許文献15)において開示されている。これらの設計では、ワード線は本質的に2つの機能、すなわち、行選択と、その行内の全セルに読み出しまたはプログラミングのためにコントロールゲート電圧を供給することとを実行する。
NANDアレイ
図3は、図1Dに示されているもののようなメモリセルのNANDアレイの例を示す。NANDセルの各列に沿って、ビット線が各NANDセルのドレイン端子56に結合されている。NANDセルの各行に沿って、ソース線がその全てのソース端子54を接続することができる。また、1つの行に沿うNANDセルのコントロールゲートが一連の対応するワード線に接続されている。NANDセルの1つの行全体が、選択トランジスタの対(図1Dを参照)を、接続されているワード線を介してそのコントロールゲートに加わる適切な電圧でオンに転換させることによって、アドレス指定され得る。1つのNANDセルのチェーンの中の1つのメモリトランジスタが読み出されるとき、そのチェーンを通って流れる電流がその読み出されているセルに蓄積されている電荷のレベルに本質的に依存するように、そのチェーンの中の残りのメモリトランジスタはそれに関連付けられているワード線を介してしっかりオンに転換される。NANDアーキテクチャのアレイおよびメモリシステムの一部としてのその動作の例が、米国特許第5,570,315号(特許文献9)、第5,774,397号(特許文献16)および第6,046,935号(特許文献11)において見出される。
ブロック消去
電荷蓄積メモリ素子のプログラミングは、より多くの電荷をその電荷蓄積素子に付け加えるという結果をもたらし得るにすぎない。従って、プログラミング操作の前に、電荷蓄積素子内に存在する電荷が除去(あるいは消去)されなければならない。メモリセルの1つ以上のブロックを消去するために消去回路(図示せず)が設けられる。EEPROMのような不揮発性メモリは、セルのアレイ全体、あるいはアレイに属するセルのかなりのグループが一緒に電気的に(すなわち、1フラッシュのうちに)消去されるときに「フラッシュ」EEPROMと称される。消去後、そのセルのグループは再プログラムされ得る。一緒に消去可能なセルのグループは、1つ以上のアドレス指定可能な消去ユニットから成り得る。消去ユニットまたはブロックは通常1ページ以上のデータを記憶し、ページはプログラミングおよび読み出しの単位であるが、1操作で2ページ以上がプログラムされあるいは読み出され得る。各ページは通常1セクタ以上のデータを記憶し、セクタのサイズはホストシステムにより定められる。一例は、磁気ディスクドライブに対して確立された標準規格に従う512バイトのユーザデータと、そのユーザデータおよび/またはそれが格納されているブロックに関する数バイトのオーバーヘッド情報とから成るセクタである。
読み出し/書き込み回路
普通の2状態EEPROMセルでは、伝導ウィンドウを2つの領域に分割するために少なくとも1つの電流ブレークポイントレベルが確立される。所定の固定された電圧を印加することによってセルが読み出されるとき、そのソース/ドレイン電流は、ブレークポイントレベル(あるいは基準電流IREF )との比較によって1つのメモリ状態に分解される。読み出された電流がブレークポイントレベルあるいはIREF のそれより大きければ、そのセルは1つの論理状態(例えば、「ゼロ」状態)にあると判定される。一方、電流がブレークポイントレベルのそれより少なければ、そのセルは他方の論理状態(例えば、「1」状態)にあると判定される。従って、このような2状態セルは1ビットのデジタル情報を記憶する。ブレークポイントレベル電流を生成するために、外部からプログラム可能であり得る基準電流源がメモリシステムの一部としてしばしば設けられる。
メモリ容量を増やすために、フラッシュEEPROMデバイスは、半導体技術が進歩するに連れてますます高まる密度で製造されている。記憶容量を増やす他の方法は、各メモリセルに3以上の状態を記憶させることである。
多状態あるいはマルチレベルのEEPROMメモリセルの場合には、各セルが1ビットより多いデータを記憶できるように、伝導ウィンドウは2つ以上のブレークポイントによって3つ以上の領域に分割される。従って、所与のEEPROMアレイが記憶できる情報は、各セルが記憶できる状態の数とともに増える。多状態あるいはマルチレベルのメモリセルを有するEEPROMあるいはフラッシュEEPROMが、米国特許第5,172,338号(特許文献14)に記載されている。
実際には、セルのメモリ状態は、普通、コントロールゲートに基準電圧が印加されたときにセルのソース電極とドレイン電極とを横断する伝導電流を感知することによって読み出される。従って、セルのフローティングゲート上の各々の所与の電荷について、固定された基準コントロールゲート電圧に関して対応する伝導電流が検出され得る。同様に、フローティングゲートにプログラムすることのできる電荷の範囲は、対応するしきい値電圧ウィンドウあるいは対応する伝導電流ウィンドウを画定する。
あるいは、分割された電流ウィンドウの中の伝導電流を検出する代わりに、試験される所与のメモリ状態についてコントロールゲートでしきい値電圧をセットして伝導電流がしきい値電流より少ないかあるいは多いかを検出することが可能である。1つの実施例では、しきい値電流に関しての伝導電流の検出は、ビット線容量を通して伝導電流が放電する速度を調べることにより達成される。
図4は、任意の時点でフローティングゲートが選択的に蓄積することのできる4つの異なる電荷Q1〜Q4についてソース−ドレイン電流ID とコントロールゲート電圧VCGとの間の関係を示す。4つの実線のID 対VCG曲線は、メモリセルのフローティングゲートにプログラムされ得る、4つの可能なメモリ状態にそれぞれ対応する4つの可能な電荷レベルを表す。一例として、セルの1群のしきい値電圧ウィンドウは0.5Vから3.5Vにおよび得る。しきい値ウィンドウをそれぞれ0.5Vの間隔で5つの領域に分割することによって6つのメモリ状態が画定され得る。例えば、図に示されているように2μAの基準電流IREF が用いられたならば、Q1でプログラムされているセルは、その曲線がVCG=0.5Vおよび1.0Vにより画定されるしきい値ウィンドウの領域でIREF と交差するので、メモリ状態「1」にあると考えられ得る。同様に、Q4はメモリ状態「5」にある。
前の説明から分かるように、メモリセルがより多くの状態を記憶させられるほど、そのしきい値ウィンドウはより細かく分割される。これは、必要とされる分解能を達成し得るためにプログラミング操作および読み出し操作により高い精度を必要とする。
米国特許第4,357,685号(特許文献17)は、2状態EPROMをプログラムする方法を開示し、その方法では、セルが所与の状態にプログラムされるとき、連続するプログラミング電圧パルスにさらされ、そのたびに増分の電荷をフローティングゲートに付け加える。パルスとパルスの間に、ブレークポイントレベルに関してそのソース−ドレイン電流を判定するためにセルは読み返される、すなわち、ベリファイされる。プログラミングは、電流状態が所望の状態に達したとベリファイされたときに、終わる。使用されるプログラミングパルス列は、増大する期間または振幅を持つことができる。
従来技術のプログラミング回路は、消去済みの状態あるいは接地状態から目標状態に達するまでしきい値ウィンドウを通って進むようにプログラミングパルスを印加する。実際には、充分な分解能を考慮して、各々の分割あるいは画定された領域は、横断するために少なくとも約5個のプログラミングステップを必要とする。その性能は、2状態メモリセルのためには容認できる。しかし、多状態セルについて、必要とされるステップの数はパーティションの数とともに増えるので、プログラミングの精度あるいは分解能が高められなければならない。例えば、16状態セルは、目標状態までプログラムするために平均で少なくとも約40個のプログラミングパルスをおそらく必要とする。
図5は、行デコーダ130および列デコーダ160を介して読み出し/書き込み回路170によりアクセス可能なメモリアレイ100の代表的な配置を有するメモリ素子を概略的に示す。図2および3に関して記載されたように、メモリアレイ100内のメモリセルのメモリトランジスタは、選択されたワード線およびビット線のセットを介してアドレス指定可能である。アドレス指定されたメモリトランジスタのそれぞれのゲートに適切な電圧を印加するために、行デコーダ130は1つ以上のワード線を選択し、列デコーダ160は1つ以上のビット線を選択する。読み出し/書き込み回路170は、アドレス指定されたメモリトランジスタのメモリ状態を読み出しあるいは書き込む(プログラムする)ために設けられる。読み出し/書き込み回路170は、ビット線を介してアレイ内のメモリ素子に接続可能ないくつかの読み出し/書き込みモジュールを含む。
読み出し/書き込み性能および精度に影響を及ぼす因子
読み出しおよびプログラミングの性能を改善するために、アレイ内の複数の電荷蓄積素子またはメモリトランジスタが並行して読み出されるかまたはプログラムされる。従って、メモリ素子の1つの論理「ページ」が一緒に読み出されるかまたはプログラムされる。現存するメモリアーキテクチャでは、1つの行は通常数個のインターリーブされたページを含む。1ページのメモリ素子の全てが一緒に読み出されるかまたはプログラムされる。列デコーダは、インターリーブされたページの各々を対応する数の読み出し/書き込みモジュールに選択的に接続する。例えば、1つの実施例では、メモリアレイは532バイト(512バイトと20バイトのオーバーヘッド)のページサイズを持つように設計される。各列が1つのドレインビット線を含み、行あたりに2つのインターリーブされたページがあるならば、8,512列があって、各ページが4,256列と関連付けられることになる。全ての偶数ビット線または奇数ビット線を並行して読み出しまたは書き込むために4,256個のセンスモジュールが接続可能である。このようにして、並行な、1ページの4,256ビット(すなわち、532バイト)のデータが、メモリ素子のページから読み出されるかまたはそれにプログラムされる。読み出し/書き込み回路170を形成する読み出し/書き込みモジュールは、種々のアーキテクチャに配列され得る。
前述したように、在来のメモリ素子は、大規模に並行に動作することによって読み出し/書き込み操作を改善する。このアプローチは、性能を改善するけれども、読み出し操作および書込み操作の精度に影響を及ぼす。
1つの問題はソース線バイアスエラーである。これは多数のメモリセルのソースが接地への1つのソース線で結びつくメモリアーキテクチャのためには特に重大である。共通ソースを有するこれらのメモリセルの並行感知は、ソース線を相当の電流が流れるという結果をもたらす。その結果として、ソース線に有限の抵抗があるために、真の接地と各メモリセルのソース電極との間にかなりの電位差が生じる。感知の間、各メモリセルのコントロールゲートに供給されるしきい値電圧はそのソース電極に関してのものであるが、システム電源は真の接地に関してのものである。従って、ソース線バイアスエラーが存在するために感知が不正確となることがある。
他の問題は、ビット線同士のカップリングあるいはクロストークと関連する。この問題は、互いに接近しているビット線の並行感知に関して重大となる。ビット線間クロストークを回避する在来の1つの解決策は、全ての偶数ビット線または全ての奇数ビット線を一度に感知し、その間他方のビット線を接地にしておくことである。2つのインターリーブされたページから成る行のこのアーキテクチャは、ビット線クロストークを回避し、また読み出し/書き込み回路のページを密に設けるという問題を緩和するのに役立つ。読み出し/書き込みモジュールのセットを偶数ページまたは奇数ページに対して多重化するためにページデコーダが使用される。このようにして、1セットのビット線が読み出されまたはプログラムされているとき、インターリービングセットは、奇数ビット線間あるいは偶数ビット線間ではなくて奇数ビット線と偶数ビット線の間のクロストークをなくすために接地にされ得る。
しかし、インターリービングなページアーキテクチャは、少なくとも3つの点で不利である。第1に、それは追加の多重化回路を必要とする。第2に、それは動作が低速である。1つのワード線により接続されているあるいは1つの行の中のメモリセルの読み出しまたはプログラミングを終えるために、2つの読み出し操作あるいは2つのプログラミング操作が必要である。第3に、隣接する2つ、例えば奇数ページおよび偶数ページで別々に、異なる時点でプログラムされるときのフローティングゲートレベルでの隣接する電荷蓄積素子の間の電界結合のような、他のかく乱効果に対処する上でも、それは最適ではない。
隣接する電界結合の問題は、メモリトランジスタ同士の間の間隔がますます小さくなるにつれて、より顕著になってくる。メモリトランジスタにおいて、電荷蓄積素子はチャネル領域とコントロールゲートとの間に挟まれている。チャネル領域において流れる電流は、コントロールゲートおよび電荷蓄積素子における電界により与えられる合成電界の関数である。密度がますます高まるに連れて、メモリトランジスタ同士はますます接近して形成される。隣接する電荷素子からの電界は、そのとき、影響を受けるセルの合成電界に著しく寄与するようになる。隣接する電界は、近隣のものの電荷蓄積素子にプログラムされている電荷に依存する。このかく乱電界は、近隣のもののプログラミング状態とともに変化するので、本質的に動的である。従って、影響を受けるセルは、近隣のものの変化する状態に依存して異なる時点で異なって読み出されることがある。
インターリービングなページの在来のアーキテクチャは、隣接するフローティングゲート結合に起因するエラーを悪化させる。偶数ページと奇数ページとは互いに無関係にプログラムされ読み出されるので、ページは1セットの条件でプログラムされ得るけれども、インターリービングなページに何がその間に起こったのかによって全く異なるセットの条件のもとで読み返されることがある。読み出しエラーは密度が高まるとより深刻になって、多状態の実施のために、より正確な読み出し操作と、しきい値ウィンドウのより粗い分割とを必要とする。性能は悪くなり、多状態の実施における可能な容量は限定される。
従って、高性能で大容量の不揮発性メモリに対する一般的なニーズが存在する。特に、前述した問題を効果的に処理する改善された読み出しおよびプログラミング性能を有する大容量不揮発性メモリを得るというニーズがある。
米国特許第5,595,924号
米国特許第5,070,032号
米国特許第5,095,344号
米国特許第5,315,541号
米国特許第5,343,063号
米国特許第5,661,053号
米国特許第5,313,421号
米国特許第6,222,762号
米国特許第5,570,315号
米国特許第5,903,495号
米国特許第6,046,935号
米国特許第5,768,192号
米国特許第6,011,725号
米国特許第5,172,338号
米国特許第5,418,752号
米国特許第5,774,397号
米国特許第4,357,685号
米国特許出願第10/254,483号
エイタンらによる「NROM:新しい局所トラッピング、2ビット不揮発性メモリセル」,IEEE電子デバイスレターズ,第21巻,第11号,2000年11月,543〜545ページ
図6Aは、本発明の一実施形態に従う、1ページのメモリセルを並行して読み出しプログラムするための読み出し/書き込み回路を有するメモリ素子を概略的に示す。メモリ素子は、メモリセルの2次元アレイ300と、制御回路310と、読み出し/書き込み回路370とを含む。メモリアレイ300は、行デコーダ330を介してワード線により、また列デコーダ360を介してビット線によりアドレス指定可能である。読み出し/書き込み回路370は、複数のセンスモジュール380を含み、1ページのメモリセルを並行して読み出しあるいはプログラムすることを可能にする。メモリセルの1行が複数のページに分割される1つの実施形態では、読み出し/書き込み回路370を個々のページに多重化するためにページマルチプレクサ350が設けられる。
制御回路310は、読み出し/書き込み回路370と協動してメモリアレイ300に対してメモリ操作を行う。制御回路310は、状態マシン312と、オンチップアドレスデコーダ314と、電源制御モジュール316とを含む。状態マシン312は、メモリ操作のチップレベル制御を提供する。オンチップアドレスデコーダ314は、ホストまたはメモリコントローラにより使用されるものと、デコーダ330および370により使用されるハードウェアアドレスとの間のアドレスインターフェイスを提供する。電源制御モジュール316は、メモリ操作中にワード線およびビット線に供給される電力および電圧を制御する。
図6Bは、図6Aに示されているコンパクトなメモリ素子の好ましい配置を示す。種々の周辺回路によるメモリアレイ300へのアクセスは、各々の側におけるアクセス線および回路の密度が半分に減るように、アレイの両側で対称的に実行される。従って、行デコーダは行デコーダ330Aおよび330Bに分割され、列デコーダは列デコーダ360Aおよび360Bに分割されている。メモリセルの1つの行が複数のページに分割される実施形態では、ページマルチプレクサ350はページマルチプレクサ350Aおよび350Bに分割される。同様に、読み出し/書き込み回路は、下からビット線と接続する読み出し/書き込み回路370Aとアレイ300の上からビット線と接続する読み出し/書き込み回路370Bとに分割される。このようにして、読み出し/書き込みモジュールの密度、従ってセンスモジュール380の密度は、本質的に半分減らされる。
ソース線エラー管理
メモリセルを感知することに伴う1つの潜在的な問題はソース線バイアスである。多数のメモリセルが並行して感知されるとき、それらの結合電流が有限の抵抗を有する接地ループにおいて相当の電圧効果を生じさせることがあり得る。それは、しきい値電圧感知を使用する読み出し操作においてエラーを引き起こすソース線バイアスをもたらす。
図7Aは、接地までの有限の抵抗を有するソース線に流れる電流に起因するソース電圧エラーの問題を示す。読み出し/書き込み回路370は、1ページのメモリセルを同時に操作する。読み出し/書き込み回路内の各センスモジュール380は、ビット線36を介して対応するセルに結合される。例えば、センスモジュール380はメモリセル10の伝導電流i1 (ソース−ドレイン電流)を感知する。伝導電流は、ソース線34を通って接地へ行く前に、センスモジュールからビット線36を通ってメモリセル10のドレインに流入し、ソース14から出る。集積回路チップでは、1つのメモリアレイ中のセルのソースは、そのメモリチップの何らかの外部接地パッド(例えば、Vssパッド)に接続されたソース線34の複数のブランチとして全て一緒に結び合わされる。ソース線の抵抗を減らすために金属ストラップが使用される場合にも、メモリセルのソース電極と接地パッドとの間には有限の抵抗Rが残る。通常、接地ループ抵抗Rはおよそ50Ωである。
並行して感知されるメモリのページ全体について、ソース線34を通って流れる総電流は全ての伝導電流の合計、すなわち、iTOT =i1 +i2 +・・・+ip である。一般に各メモリセルは、その電荷蓄積素子にプログラムされた電荷量に依存する伝導電流を有する。メモリセルの所与のコントロールゲート電圧について、少量の電荷は比較的に大きな伝導電流を生じさせる(図4を参照)。メモリセルのソース電極と接地パッドとの間に有限の抵抗が存在するとき、その抵抗における電圧降下はVdrop=iTOT Rである。
例えば、1μAの電流を各々有する4,256本のビット線が同時に放電すれば、ソース線電圧降下は4,000線×1μA/線×50Ω〜0.2ボルトに等しくなる。このソース線バイアスは、メモリセルのしきい値電圧が感知されるとき、0.2ボルトの感知エラーの原因となる。
図7Bは、ソース線電圧降下に起因するメモリセルのしきい値電圧レベルにおけるエラーを示す。メモリセル10のコントロールゲート30に供給される(被供給)しきい値電圧VT は、GNDに関するものである。しかし、メモリセルにより見られる実効VT はそのコントロールゲート30とソース14との間の電圧差である。被供給VT と実効VT との間にはおよそVdropの差がある(ソース14からソース線までの電圧降下の小さな寄与は無視する)。このVdropすなわちソース線バイアスは、メモリセルのしきい値電圧が感知されるときに例えば0.2ボルトの感知エラーの原因となる。このバイアスは、データ依存であるので、すなわちそのページのメモリセルのメモリ状態に依存するので、容易に除去され得ない。
本発明の一態様により、マルチパス感知のための特徴および技術を有する読み出し/書き込み回路によって、ソース線バイアスを減らす方法が達成される。各パスは、所与の境界電流値より大きな伝導電流を有するメモリセルを特定してシャットダウンするのに役立つ。通常各パスで、所与の境界電流値は、在来のシングルパス感知のためのブレークポイント電流値に次第に収斂する。このようにして、その後のパスは、より大きな電流のセルがシャットダウンされているので、ソース線バイアスによる影響をより少なく受けるようになってゆく。
図8は、4状態メモリについて1ページのメモリセルの例としての個数分布を示す。メモリ状態の各クラスタは、互いに明確に分離された伝導電流ISDの1つの範囲の中にプログラムされている。例えば、ブレークポイント381は、「1」および「2」メモリ状態をそれぞれ表す2つのクラスタの間の境界電流値である。在来のシングルパス感知では、「2」メモリ状態のための必要条件は、それがブレークポイント381より小さい伝導電流を有することである。図8において、ソース線バイアスがなければ、被供給しきい値電圧VT に関しての個数分布は実線の曲線により与えられる。しかし、ソース線バイアスエラーがあるために、各メモリセルのコントロールゲートのしきい値電圧はソース線バイアスだけ高められる。これは、バイアスを補償するために、より高いコントロールゲート電圧が印加されなければならないことを意味する。図8において、ソース線バイアスは、分布がより高い被供給VT の方へシフトするという結果(破線)をもたらしている。シフトは、より高い(より少ない電流)メモリ状態のものについてのほうが大きい。ブレークポイント381がソース線エラーなしの場合のために設計されているならば、ソース線エラーが存在するために、伝導電流を有する「1」状態の末尾のいくつかが無伝導の領域において出現することになり、それはブレークポイント381より高いことを意味する。これは、「1」状態(より多く伝導する)のいくつかが誤って「2」状態(より少なく伝導する)として区別されるという結果をもたらす。
例えば、このマルチパス感知は、2パス(j=1から2まで)で実行され得る。第1のパス後、ブレークポイント381より大きい伝導電流を有するメモリセルが特定されて、その伝導電流をオフに転換することによって除去される。その伝導電流をオフに転換する1つの好ましい方法は、そのビット線上のドレイン電圧を接地にセットすることである。図7Aも参照すると、これは、実際上、ブレークポイント381により区別された全ての大電流状態を除去し、その結果として大いに減ぜられたiTOT 、従って大いに減ぜられたVdropをもたらす。第2のパス(j=2)では、ソース線バイアスの原因となっていた大電流状態が除去されているので、破線の分布は実線のものに近づく。従って、ブレークポイント381を境界電流値として用いる感知は、「1」状態を「2」状態と間違えるという結果とはならない。
在来の1パスアプローチと比べて、この2パス方法は「1」セルの一部を「2」あるいはそれより高いセルと誤認する可能性を顕著に減ずる。3パス以上も考えられるけれども、パスの数が多くなると報いは減ってゆく。さらに、各パスは同じ境界電流を持つことができ、あるいは各々の連続するパスで、使用される境界電流は、在来のシングルパス感知で通常使用されるブレークポイントのものに収斂する。
図9は、本発明の一実施形態に従う、ソース線バイアスを減少させるマルチパス感知方法を示す流れ図である。
ステップ400:メモリセルの1ページについて、初めにメモリセルの操作セットをメモリセルのページに等しくセットする。
ステップ410:マルチパスj=1からNまでを開始する。
ステップ420:境界電流値I0 (j)をセットし、ここで第1のパス後、j>1、I0 (j)は前のパスj−1のものより少ないかまたは等しい、すなわち、I0 (j)<=I0 (j−1)である。
ステップ430:操作セットの中の、境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を有するメモリセルを判定する。
ステップ440:境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を有するそれらのメモリセルにおけるさらなる電流の流れを抑える。
ステップ450:メモリセルの操作セットを、その伝導電流が抑えられていない残りのメモリセルに等しくセットする。j<Nならば、ステップ410に戻り、そうでなければステップ460に進む。
ステップ460:そのページのメモリセルの状態を読み出す。
ステップ470:終了
図10は、本発明の好ましい実施形態に従う、マルチパスセンスモジュールを示す略図である。マルチパスセンスモジュール380は、結合されたビット線36を介してメモリセル10の伝導電流を感知する。それは、いくつかのコンポーネントに選択的に接続され得る感知ノード481を有する。最初に、絶縁トランジスタ482は、信号BLSによって使用可能にされたときに、ビット線36を感知ノード381に接続する。プリチャージ回路484は感知ノード481に結合されている。プリチャージ回路484が使用可能にされたとき、ビット線電圧を感知に適する所定のドレイン電圧にする。同時に、メモリセルのコントロールゲートは、考察される所与のメモリ状態のための所定のしきい値電圧VT (i)にセットされる。これはメモリセル10においてソース−ドレイン伝導電流を流れさせ、それは結合されたビット線36から感知され得る。伝導電流は、メモリセルのソースとドレインとの間に公称電圧差が存在するとき、メモリセル内にプログラムされている電荷と印加されたVT (i)との関数である。
センス増幅器390は、メモリセル10における伝導電流を感知するために感知ノードに接続されている。セル電流識別器394は、電流レベルの識別器または比較器として役立つ。これは、伝導電流が所与の境界電流値I0 (j)より大きいかあるいは小さいかを判定する。より大きければ、ラッチ396は所定の状態にセットされる。プルダウン回路486は、ラッチ396が所定の状態にセットされたことに応答して、例えばINVがHIGHであることで、起動される。これは感知ノード481を、従って接続されているビット線36を、接地電圧まで引き下げる。これは、メモリセルのソースとドレインとの間に電圧差がないので、メモリセル10における伝導電流の流れをコントロールゲート電圧に関わらず抑える。
一般に、対応する数のマルチパスセンスモジュール380により操作される1ページのメモリセルがある。ページコントローラ498は、これらのセンスモジュールの各々に制御信号とタイミング信号とを供給する。一実施形態では、ページコントローラ498は、図6Aに示されている制御回路310中の状態マシン312の一部として実現される。他の1つの実施形態では、ページコントローラは読み出し/書き込み回路370の一部である。ページコントローラ498は、マルチパスセンスジュール380の各々を所定数のパス(j=1からNまで)を通して循環させ、各パスのために所定の境界電流値I0 (j)を供給する。後に図13と関連して見られるように、境界電流値は感知のための期間としても実現され得る。最後のパスの後、ページコントローラ498は、読み出しバス499への感知されたデータとしての感知ノード481の状態を伝達ゲート488が読み出すことを信号NCOで可能にする。全体で、1ページの感知データが全てのマルチパスモジュール380から読み出される。
図11は、図10のマルチパスセンスモジュールの動作を示す流れ図である。
ステップ400:それぞれに結合されたビット線を有する1ページのメモリセルについて、初めにメモリセルの操作セットをそのメモリセルのページに等しくセットする。
ステップ402:メモリセルの操作セットの個々のビット線を所定の電圧範囲内に充電する。
ステップ410:マルチパスj=1からNまでを開始する。
ステップ412:メモリセルの操作セットの個々のビット線に関して所定の電圧範囲内の電圧から開始する。
ステップ420:境界電流値I0 (j)をセットし、ここで第1のパス後、j>1、I0 (j)は前のパスj−1のものより少ないかまたは等しい、すなわち、I0 (j)<=I0 (j−1)である。
ステップ430:操作セット中の、境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を有するメモリセルを判定する。
ステップ440:境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を有するメモリセルにおけるさらなる電流の流れを抑える。
ステップ452:メモリセルの操作セットを、そのビット線がラッチされて接地に引かれていない残りのメモリセルに等しくセットする。j<Nならば、ステップ410に戻り、そうでなければステップ460に進む。
ステップ460:そのページのメモリセルの状態を読み出す。
ステップ470:終了。
ビット線間結合の制御を伴う感知
図12は、3つの隣接するビット線と、それらの間の容量結合の効果とを示す。メモリセル10−0には2つの隣接するメモリセル10−1および10−2がある。同様に、3つのメモリセルに3つの隣接するビット線36−0,36−1および36−2がそれぞれ結合されている。ビット線の各々はそれ自身の自己容量CBL0 ,CBL1 およびCBL2 をそれぞれ有する。隣接するビット線36−0および36−1の対は相互容量CBL01を有する。隣接するビット線36−0および36−2の対は相互容量CBL02を有する。
種々の容量に起因して電流の種々のブランチがあり得ることが分かる。特に、各ビット線の自己容量に起因する電流は以下の結果をもたらす。
iBLC0=CBL0 d/dtVBL0
iBLC1=CBL1 d/dtVBL1
iBLC2=CBL2 d/dtVBL2
同様に、隣接するビット線36−0および36−1の対に起因する横流は以下のとおりである。
iBLC01 =CBL01d/dt(VBL0 −VBL1 )
iBLC02 =CBL02d/dt(VBL0 −VBL2 )
メモリセル10−0に関して、セルの伝導電流は以下のとおりである。
iCELL〜iBL0 +[iBLC00 +iBLC01 +iBLC02 ]
前述したセル電流は、隣接するビット線からの寄与を含んでいるだけなので、近似である。一般的に、ビット線BL0については、左側の隣接しないビット線に起因する容量CBL03と、右側の隣接しないビット線に起因する容量CBL04もある。同様に、隣接しないビット線BL1とBL2の間には相互容量CBL12がある。これら容量は、各コンデンサにおける変化する電圧に依存して変位電流に寄与する。隣接しないビット線からの寄与は隣接するビット線からの寄与の約10%に達すると見積もられている。
また、センスモジュール380はビット線に結合されているので(図10を参照)、それが検出した電流はiBL0 であるが、これは、種々のビット線容量からの電流寄与があるためにiCELLと同一ではない。
1つの従来技術の解決策は、1つのメモリセルを、隣接するセルのビット線を接地している間に感知することである。そのメモリセルにおける伝導電流は、結合されているビット線容量を通しての放電のレートに留意することによって感知される。従って、伝導電流は、ビット線電圧の変化率から導出され得る。図12を参照すると、これは、ビット線BL0 36−0上の伝導電流が感知されている間、隣接するビット線BL1 36−1上の電圧VBL1 と隣接するビット線BL2 36−2上のVBL2 とがゼロにセットされるということを意味する。隣接するビット線内の電流をシャットダウンすることにより、隣接するビット線間のクロストークがなくされる。しかし、この従来技術の感知は時間変化するVBL0 =VBL0 (t)という結果をもたらすので、また前述した方程式により、接地に関しての自己容量はCBL00+CBL01+CBL02になる。この従来技術の感知は、CBL03,CBL04およびCBL12に関連するもののような隣接しないビット線から与えられる変位電流をなくさない。これらの電流の大きさは小さいけれども、感知できるほどの大きさである。
本発明の他の1つの態様に従って、メモリ素子とその方法とは、ビット線間結合に起因するエラーを最小にしながら複数のメモリセルを並行して感知することを提供する。本質的に、複数のメモリセルに結合されている複数のビット線のビット線電圧は、各々の隣接する対の線間の電圧差が、それらの伝導電流が感知されている時間とは実質的に無関係であるように、制御される。この条件が課されたときには、種々のビット線容量に起因する全ての電流が脱落する。というのは、それらは全て時間変化する電圧差に依存するからである。従って、前述した方程式から、[iBLC00 +iBLC01 +iBLC02 ]=0であるので、ビット線から感知される電流はセルの電流と同一であり、例えばiBL0 =iCELLである。
図13Aは、ビット線間結合を減じている間に感知を行う方法を示す流れ図である。
ステップ500:1ページのメモリセルの各々に、それらの伝導電流を感知するために、ビット線を結合する。
ステップ510:各ビット線を所定の電圧範囲内のビット線電圧に充電する。
ステップ520:各ビット線のビット線電圧を、各々の隣接する対のビット線の間の電圧差が時間とは実質的に無関係であるように、制御する。
ステップ530:ビット線が制御されている間に、各ビット線を通る伝導電流を感知する。
ステップ540:終了。
本発明の他の1つの態様によれば、定電圧条件にもかかわらず、感知回路および方法は、所与のコンデンサの電圧変化率に留意することによってメモリセルの伝導電流の測定を可能にする。
図13Bは、図13Aに示されている感知ステップ530のより詳しい実施形態を示す。
ステップ532:ビット線が制御されている間に、各ビット線を通る伝導電流を、それを用いて所与のコンデンサの両端間の電圧を変化させることにより、感知する。
ステップ534:その所与のコンデンサの両端間の電圧の変化率により伝導電流を判定する。
図14は、本発明の種々の態様を実現する好ましいセンスモジュールを示す。センスモジュール480は、ビット線絶縁トランジスタ482と、ビット線プルダウン回路486と、ビット線電圧クランプ610と、読み出しバス伝達ゲート488と、センス増幅器600とを含む。
センスモジュール480は、ビット線絶縁トランジスタ482が信号BLSにより使用可能にされたときにメモリセル10のビット線36に接続可能である。センスモジュール480は、センス増幅器600によりメモリセル10の伝導電流を感知し、読み出し結果を感知ノード481におけるデジタル電圧レベルSEN2としてラッチし、それを読み出しバス499に出力する。
センス増幅器600は、本質的に、第2の電圧クランプ620と、プリチャージ回路640と、識別器あるいは比較回路650とラッチ660とを含む。識別回路650は専用コンデンサ652を含む。
センスモジュール480は、図10に示されているマルチパスセンスモジュール380に類似している。しかし、図14では、プリチャージ回路640は、後述されるように弱い引き上げ特徴で実現されている。これは、大電流を伴うセルを特定してソース線バイアスエラーを減ずる目的でそれらをオフに転換させるための他の1つの方法として役立つ。
センスモジュール480は、ビット線間結合を減ずるための付加的な特徴も持っている。これは、感知中にビット線電圧を時間と無関係に保つことによって実現される。これはビット線電圧クランプ610により成し遂げられる。後述されるように、第2の電圧クランプ620は、あらゆる感知条件下でビット線電圧クランプ610の適切な働きを保証する。また、感知は、伝導電流によるビット線容量の放電のレートに留意する従来技術の方法によって行われるのではなくて、センス増幅器600により提供される専用コンデンサ652の放電のレートに留意することによって行われる。
センスモジュール480の1つの特徴は、ビット線間結合を避けるために感知中にビット線への定電圧供給を組み込んだことである。これは、好ましくはビット線電圧クランプ610により実現される。ビット線電圧クランプ610は、ビット線36と直列のトランジスタ612でダイオードクランプのように動作する。そのゲートは、そのしきい値電圧VT より所望のビット線電圧VBLだけ高い電圧に等しい定電圧BLCにバイアスされる。このようにして、ビット線を感知ノード481から絶縁させ、所望のVBL=0.5から0.7ボルトなど、ビット線のための一定電圧レベルをセットする。一般に、ビット線電圧レベルは、長いプリチャージ時間を避けるために充分に低いけれども接地ノイズおよび他のファクタを避けるためになお充分に高いレベルにセットされる。
センス増幅器600は、感知ノード481を通る伝導電流を感知し、その伝導電流が所定値より上か下かを判定する。センス増幅器は、感知された結果を感知ノード481における信号SEN2としてデジタル形で読み出しバス499に出力する。
本質的に信号SEN2の反転した状態であるデジタル制御信号INVも、プルダウン回路486を制御するために出力される。感知された伝導電流が所定値より大きいとき、INVはHIGHであり、SEN2はLOWである。この結果は、プルダウン回路486により強化される。プルダウン回路486は、制御信号INVにより制御されるn形トランジスタ487を含む。
図14とタイミング図15(A)〜15(K)の両方を参照してセンスモジュール40の動作およびタイミングが記述される。図15(A)〜15(K)は、フェーズ(1)〜(9)に区分される。
フェーズ(0):セットアップ
センスモジュール480が使用可能な信号BLSを介してビット線36に接続される(図15(A)(0))。電圧クランプがBLCで使用可能にされる(図15(B)(0))。プリチャージ回路640が制限された電流源として制御信号FLTで使用可能にされる(図15(C)(0))。
フェーズ(1):制御されたプリチャージ
センス増幅器600は、トランジスタ658を介して信号INVを接地に引くリセット信号RSTにより初期化される(図15(D)(1))。従って、リセット時に、INVはLOWにセットされる。同時に、p形トランジスタ663は相補信号LATをVddあるいはHIGHに引く(図15(F)(1))。
絶縁ゲート630はn形トランジスタ634により形成され、これは信号LATにより制御される。リセット後、絶縁ゲートは使用可能にされて感知ノード481をセンス増幅器の内部感知ノード631に接続し、信号SEN2は内部感知ノード631に存する信号SENと同じになる。
プリチャージ回路640は、内部感知ノード631と感知ノード481を通してビット線36を所定期間プリチャージする。これは、ビット線を、そこでの伝導を感知するために最適の電圧へ導く。
プリチャージ回路640は、制御信号FLT(「FLOAT(浮遊)」)により制御されるプルアップp形トランジスタ642を含む。ビット線36は、ビット線電圧クランプ610によりセットされる所望のビット線電圧のほうへ引き上げられる。引き上げのレートは、ビット線36内の伝導電流に依存する。伝導電流が小さいほど、引き上げは速い。
図15(H1)〜15(H4)は、それぞれ、700nA,400nA,220nAおよび40nAの伝導電流を有するメモリセルのビット線電圧を示す。
所定の電流値より大きな伝導電流を有するメモリセルがオフに転換されて、ソース線バイアスへのそれらの寄与がなくされたならば、ソース線バイアスに起因する感知エラーが最小化されるということを前に図7〜11と関連して説明した。
本発明の他の1つの態様に従って、プリチャージ回路640は2つの機能に役立つように実現される。1つは、ビット線を最適感知電圧にプリチャージすることである。他方は、DC(直流)感知のための所定値より大きな伝導電流を有するメモリセルがソース線バイアスに寄与しなくなるようにすることができるように、それらのセルを特定するのを助けることである。
DC感知は、所定の電流をビット線に供給するために電流源のように動作するプリチャージ回路を設けることによって成し遂げられる。p形トランジスタ642を制御する信号FLTは、プリチャージ回路640を通って流れるように所定の電流を「プログラム」するようになっている。一例として、FLT信号は500nAにセットされた基準電流を有する電流ミラーから生成され得る。p形トランジスタ642が電流ミラーの反転脚(mirrored leg)を形成するときには、トランジスタもその中に同じ500nAを投じている。
図15(I1)〜15(I4)は、700nA,400nA,220nAおよび40nAの伝導電流を有するメモリセルにそれぞれ接続された4つの例としてのビット線における電圧を示す。プリチャージ回路640が例えば500nAの限度を有する電流源であるとき、500nAを超える伝導電流を有するメモリセルは、ビット線上の電荷を、それが蓄積できるより速く排出する。従って、伝導電流700nAを有するビット線について、その電圧あるいは内部感知ノード631における信号SENは0Vの近くに留まる(図15(I1)(1))。一方、メモリセルの伝導電流が500nAより小さければ、プリチャージ回路640はそのビット線を充電し始め、その電圧はクランプされるビット線電圧(例えば、電圧クランプ610によりセットされた0.5V)のほうへ上昇し始める(図15(I2)(1)〜15(I4)(1))。同様に、内部感知ノード631は0Vの近くに留まるかあるいはVddに引き上げられる(図15(G))。一般に、伝導電流が小さいほど、ビット線電圧はクランプされるビット線電圧まで速く充電される。従って、制御されたプリチャージフェーズの後にビット線上の電圧を調べることによって、接続されているメモリセルが所定のレベルより大きな伝導電流を有するのかそれともそれより小さな伝導電流を有するのかを特定することが可能となる。
フェーズ(2):大電流セルをDCラッチして後の感知から取り除く
制御されたプリチャージフェーズの後、最初のDC大電流感知フェーズが始まり、このフェーズで信号SENが識別回路650により感知される。感知は、所定のレベルより大きな伝導電流を有するメモリセルを特定する。識別回路650は2つの直列のp形トランジスタ654および656を含み、それらは信号INVを登録するノード657のための引き上げとして働く。p形トランジスタ654はLOWになる読み出しストローブ信号STBにより使用可能にされ、p形トランジスタ656はLOWになる内部感知ノード631に存するSEN信号により使用可能にされる。前に説明したように、大電流セルは、0Vに近いか、あるいは少なくともそのビット線がp形トランジスタ656をオフに転換させるのに充分な高さにプリチャージされ得ない信号SENを持つ。例えば、弱い引き上げが500nAの電流に制限されるならば、それは700nAの伝導電流を有するセルを引き上げない(図15(G1)(2))。STBがLOWにストローブしてラッチするとき、ノード657に存するINVはVddに引き上げられる。これはラッチ回路660をINV HIGHおよびLAT LOWでセットする(図15(H1)(2))。
INVがHIGHでLATがLOWであるとき、絶縁ゲート630は機能を一時的に抑止し、感知ノード481は内部感知ノード631から遮断される。同時に、ビット線36はプルダウン回路486により接地に引かれる(図15(I1)(2))。これは実際上ビット線のいかなる伝導電流もオフに転換させ、そのソース線バイアスへの寄与をなくす。
センスモジュール480の1つの好ましい実施例では、制限電流源プリチャージ回路が採用される。これは、大電流を導くビット線を特定し、後の感知においてソース線バイアスエラーを最小化するためにそれらをオフに転換する追加のあるいは代わりの方法(DC感知)を提供する。
他の1つの実施形態では、プリチャージ回路は、特に大電流ビット線を特定するのに役立つようには構成されなくて、メモリシステムにとって利用可能な最大電流の許す範囲内でなるべく速くビット線を引き上げてプリチャージするように最適化される。
フェーズ(3):回復/プリチャージ
前に引き下げられていなかったビット線36のようなビット線における伝導電流の感知の前に、プリチャージ回路は内部感知ノード631をVddにプリチャージするように信号FLTにより活性化される(図15(C)(3)および図15(I2)(3)〜15(I4)(3))。
フェーズ(4):1回目のAC感知
これ以降の操作は、感知ノードが浮遊され、その電圧が電流感知中に変化するので(ACまたは交流感知)、図10〜11に関して記載されたマルチパス感知と類似する。図14における向上は、ビット線間結合を避けるためにビット線電圧が一定に保たれている状態で感知が実行されることである。
好ましい実施形態では、浮遊された内部感知ノード631における電圧降下を判定することによってAC(交流)感知が行われる。これは、内部感知ノード631に結合されたコンデンサCSA652を使用し、伝導電流がそれを放電するレートを考察する識別器あるいは比較回路650によって成し遂げられる。集積回路環境では、コンデンサ652は、通常、トランジスタと共に実現される。それは、最適の電流判定のために選択され得る、例えば30fFの、所定容量を有する。通常100〜1,000nAの範囲内の境界電流値は、放電期間の適切な調整によりセットされ得る。
識別回路650は、内部感知ノード631において信号SENを感知する。各感知の前に、内部感知ノード631の信号SENはプリチャージ回路640によってVddに引き上げられる。これは、最初に、コンデンサ652に加わる電圧をゼロにセットする。
センス増幅器600が何時でも感知できる状態であるとき、プリチャージ回路640は、HIGHになるFLTにより機能を一時的に抑止される(図15(C)(4))。第1の感知期間T1は、ストローブ信号STBのアサーションによりセットされる。感知期間中、伝導しているメモリセルにより誘導された伝導電流がコンデンサを放電させる。コンデンサ652がビット線36の伝導電流の排出作用を通して放電しているとき、SENはVddから下がる。図15(G2)〜15(G4)は、400nA,220nAおよび40nAの伝導電流を有するメモリセルにそれぞれ接続された残りの3つの例としてのビット線に対応するSEN信号をそれぞれ示す。伝導電流が大きいものほど、低下はより急速である。
フェーズ(5):大電流セルの第1のACラッチングと後の感知からの排除
第1の所定の感知期間の終わりに、SENは、ビット線36の伝導電流に依存するある電圧まで低下している(図15(G2)(4)〜15(G4)(4))。一例として、この第1のフェーズにおいて、境界電流は300nAにセットされる。コンデンサCSA652、感知期間T1、およびp形トランジスタ656のしきい値電圧は、境界電流(例えば、300nA)より大きな伝導電流に対応する信号SENが識別回路650のトランジスタ656をオンに転換させるのに充分な低さまで下がるようになっている。ラッチング信号STBがLOWにストローブしたとき、出力信号INVはHIGHに引かれ、ラッチ660によってラッチされる(図15(E)(5)および図15(H2))。一方、境界電流より小さい伝導電流に対応する信号SENは、トランジスタ656をオンに転換できない信号SENを生じさせる。この場合、ラッチ660は変化せず、この場合にはLATはHIGHに留まる(図15(H3)および15(H4))。従って、識別回路650が、実際上、感知期間によりセットされる基準電流に関してのビット線36の伝導電流の大きさを判定するということが分かる。
センス増幅器600は第2の電圧クランプ620も含み、その目的は、ビット線電圧クランプ610が適切に機能し得るようにトランジスタ612のドレインの電圧を充分高く保つことである。前述したように、ビット線電圧クランプ610は、ビット線電圧を所定値VBL、例えば0.5V、にクランプする。これは、トランジスタ612のゲート電圧BLCがVBL+VT にセットされ(VT はトランジスタ612のしきい値電圧である)、また感知ノード481に接続されているドレインがソースより高いこと、すなわち信号SEN2>VBLであることを必要とする。特に、電圧クランプ610および620の構成が与えられるとき、SEN2は(LAT−VT )または(BLX−VT )のうちの小さいほうより決して高くあるべきではなく、SENは決して低くあるべきではない。感知中、絶縁ゲート630は通過モードである。しかし、感知中、内部感知ノード631に存する信号SENはVddから低下する電圧を有する。第2の電圧クランプ620は、そのどちらが低いとしても、SENが(LAT−VT )あるいは(BLX−VT )に低下するのを防止する。これは信号BLXにより制御されるn形トランジスタ612により成し遂げられ、ここでBLXは≧VBL+2VT である(図15(F))。このように、電圧クランプ610および620の作用を通じて、感知中ビット線電圧VBLは一定(例えば、〜0.5V)に保たれる。
ビット線容量を用いる従来技術の代わりに専用コンデンサ652を用いて電流を測定することは、いくつかの点で有利である。第1に、それはビット線上の定電圧源を可能とし、これによりビット線間クロストークを回避する。第2に、専用コンデンサ652は感知に最適な容量を選択することを可能にする。例えば、約2pFのビット線容量と比べて約30fFの容量を持つことができる。より小さい容量は、より速く放電するので、感知速度を高めることができる。最後に、ビット線容量を用いる従来技術の方法と比べて専用の容量に関連する感知は、感知回路がメモリアーキテクチャから独立していることを可能にする。
他の1つの実施形態では、電流判定は基準電流との比較により成し遂げられ、それは基準メモリセルの伝導電流により提供され得る。これは、電流ミラーの一部としての比較電流で実現され得る。
電流判定の出力LATは、ラッチ回路660によりラッチされる。ラッチ回路は、トランジスタ661,662,663,および664,並びにトランジスタ666および668により、セット/リセットラッチとして形成される。p形トランジスタ666は信号RST(RESET)により制御され、n形トランジスタ668は信号STB(STROBEまたはSET* )により制御される。
一般に、対応する数のマルチパスセンスモジュール480により操作される1ページのメモリセルがある。第1の境界電流レベルより大きな伝導電流を有するメモリセルについて、そのLAT信号はLOWにラッチされる。これはビット線プルダウン回路486を活性化させて対応するビット線を接地に引かせ、これによりその電流をオフに転換する。
フェーズ(6):回復/プリチャージ
前に引き下げられていなかったビット線36のようなビット線の伝導電流を次に感知する前に、プリチャージ回路が信号FLTによって活性化されて内部感知ノード631をVddにプリチャージする(図15(C)(6)および図15(I3)(6)〜15(I4)(6))。
フェーズ(7):第2の感知
センス増幅器600が感知できる状態になっているとき、プリチャージ回路642を、HIGHになるFLTにより機能を一時的に抑止する(図15(C)(7))。第2の感知期間T2は、ストローブ信号STBのアサーションによりセットされる。感知期間中、伝導電流があるならば、コンデンサを放電させる。コンデンサ652がビット線36の伝導電流の排出作用を通じて放電しているとき、SENはVddから低下する。
前述した例によると、300nAより大きな伝導電流を有するメモリセルは前のフェーズで既に特定されてシャットダウンされている。図15(G3)(7)および15(G4)(7)は、220nAおよび40nAの伝導電流を有するメモリセルにそれぞれ接続されている2つの例としてのビット線に対応するSEN信号をそれぞれ示す。
フェーズ(8):読み出しのための第2のラッチング
第2の所定の感知期間T2の終わりに、SENは、ビット線36の伝導電流に依存するある電圧まで低下している(図15(G3)(7)〜15(G4)(7))。例として、この第2のフェーズにおける境界電流は100nAにセットされる。この場合、伝導電流200nAを有するメモリセルのLATはLOWにラッチされ(図15(H3)(7))、そのビット線は後に接地に引かれる(図15(I3)(7))。一方、伝導電流40nAを有するメモリセルは、LAT HIGHでプリセットされたラッチの状態に影響を及ぼさない。
フェーズ(9):バスへの読み出し
最後に、読み出しフェーズにおいて、伝達ゲート488の制御信号NCOは、ラッチされた信号SEN2が読み出しバス499に読み出されることを可能にする(図15(J)および15(K))。
図10にも示されているページコントローラ398のようなページコントローラは、センスモジュールの各々に制御信号とタイミング信号を供給する。
図15(I1)〜15(I4)から分かるように、ビット線電圧は各感知期間中一定に留まる。従って、前の議論から容量性のビット線間結合は除去される。
図14に示されているセンスモード480は、感知が3パスで実行される1つの好ましい実施形態である。始めの2パスは大電流メモリセルを特定してシャットダウンするために実行される。ソース線バイアスへの大電流寄与が除去されて、最後のパスが、より少ない範囲の伝導電流を有するセルをより正確に感知することができる。
他の実施形態では、感知操作はDCパスおよびACパスのいろいろな組み合わせで実行される。あるものは2つ以上のACパスだけを使用する。別々のパスについて、使用される境界電流値はその都度同じであってよく、あるいは最終パスで使われる境界電流のほうへ漸次近づいてもよい。
隣接するフローティングゲート結合により導入されるエラーの管理
高密度集積回路、不揮発性メモリ素子に固有の他の1つのエラーは、前述したように、隣接するフローティングゲート結合に起因する。メモリセル同士が近接しているために、隣接するセルの電荷素子から電界摂動が生じる。本発明の他の1つの態様に従って、摂動に起因するエラーはプログラミングと読み出しとの間での各セルの電界環境の変化を最小化することによって最小化される。これは、1ページ中の全ての隣接するメモリセルを一緒にプログラムすることによって成し遂げられる。個々のメモリセルと、それらに隣接するメモリセルとが一緒にプログラムされるので、個々のセルがプログラムされるときから、それらが読み出されるときまで個々のセルにより見られる電界環境における最小の変化を保証する。
これは、偶数ページと奇数ページとを独立にプログラムする従来技術の場合とは対照的である。その場合、偶数ページのメモリセルがプログラムされた後、奇数ページが異なるデータのセットでプログラムされるときには、奇数ページ内の、それらに隣接するメモリセルが与える電界は、完全に変化しているかもしれない。
前述したように、同時にプログラムされあるいは読み出される1「ページ」内のメモリセルの数は、ホストシステムにより送られあるいは要求されるデータのサイズに従って変化し得る。従って、単一のワード線に結合されているメモリセルをプログラムする方法は、例えば(1)上側ページプログラミングおよび下側ページプログラミングを含み得る、偶数ビット線および奇数ビット線を別々にプログラムする方法、(2)全ビット線をプログラムする方法(「全ビット線プログラミング」)、あるい(3)右側ページプログラミングおよび左側ページプログラミングを含み得る、左側ページあるいは右側ページの中の全ビット線を別々にプログラムする方法など、いくつかある。
現存する不揮発性メモリ素子では、同じワード線により結合された1行のメモリセルは、2つのインターリーブされたページに構成される。一方のページは偶数列のメモリセルから成り、他方のページは奇数列のメモリセルから成る。偶数ページあるいは奇数ページは別々に感知されプログラムされる。前述したように、これは、ビット線間結合を制御するニーズにより必要とされる。従って、1つ置きのビット線を、他方のセットのビット線に対して読み出し/書き込み操作が行われている間、接地するのが好ましい。
しかし、前述したように、インターリーブされたページのアーキテクチャは少なくとも3つの点で不利である。第1に、付加的な多重化回路を必要とする。第2に、動作が遅い。1つのワード線により接続されたあるいは1つの行の中のメモリセルの読み出しあるいはプログラミングを終えるためには、2つの読み出し操作あるいは2つのプログラミング操作が必要である。第3に、隣接する電荷蓄積素子からの電界結合のような他のかく乱効果を減ずる上でも最適ではない。
全ビット線プログラミング
図12〜15と関連して説明したように、本発明によりビット線間結合を制御することが可能である。従って、感知あるいはプログラムベリファイ中に1つ置きのビット線を接地する必要はなく、これにより、連続していないメモリセルを有する偶数ページあるいは奇数ページを操作する必要を緩和し、ベリファイ操作を高速化する。
本発明の他の1つの態様によると、ビット線間結合が制御されている間に、連続する1ページのメモリセルが並行してプログラムされる。これは、隣接するフローティングゲートからの外来電界効果を最小化する。
図6A、図10および図14に示されているセンスモジュールは、好ましくは、全ビット線感知を行うように構成されたメモリアーキテクチャにおいて実現される。換言すれば、1行内の連続するメモリセルは、各々、並行して感知を行うためにセンスモジュールに接続可能である。そのようなメモリアーキテクチャは、ラウル−エイドリアン・セルニア(Raul-Adrian Cernea)による「非常にコンパクトな不揮発性メモリとその方法 (Highly Compact Non-Volatile Memory And Method Thereof)」という2002年9月24日に出願された同時係属中の共通譲渡された米国特許出願第10/254,483号(特許文献18)に開示されている。この特許出願の全ての開示は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
図16Aは、隣接するフローティングゲート結合に起因するエラーを減ずるプログラミングおよび読み出しの方法を示す流れ図である。
ステップ700:最後のプログラムベリファイとその後の読み出しとの間に個々のメモリセルが経験する実効電界の差が最小化されるように1ページのメモリセルを並行してプログラムしベリファイする。
ステップ710:終了
図16Bは、図16Aに示されている進歩性のある好ましい実施形態を示す流れ図である。
ステップ730:連続するメモリセルのページを形成する。
ステップ740:そのメモリセルのページを並行してプログラムしベリファイする。
ステップ750:その後、そのメモリセルのページを読み出す。
ステップ760:終了。
左側ページおよび右側ページのプログラミング
図17は、メモリセルの各行がメモリセルの左側ページ301と右側ページ302とに編成されているアーキテクチャを有する点を除いて図6Aおよび6Bに示されているものと類似するメモリアレイを示す。各ページは複数の連続するメモリセルから成る。例えば、各ページは4,256のセルを持つことができる。好ましい実施形態では、プログラミングは左側ページと右側ページとに対して個別に実行される。2つの独立のページの間の相互作用を最小化するために、一方のページがプログラムされている間、他方のページの全てのビット線が接地される。さらに、各ページを連続的とすることにより、プログラミング中、隣接するフローティングゲート結合が減ぜられる。
選択されたビット線の接地への制御されたラッチング
マルチパス感知は、図7〜11および図15に関して前に説明した。特に、1ページのメモリセルが並行して感知されるとき、所定のしきい値より大きな電流状態を有して検出されたもののビット線は、そのメモリセルのページを感知する後のパスにおいてそれらがソース線バイアスエラーに寄与しなくなるように、接地にラッチされる。
別の1つの好ましい実施形態によれば、所定の境界レベルより大きな電流を有して検出されたメモリセルのビット線は、必ずしも検出直後に接地されない。代わりに、接地され得るようにマークされるかあるいは使用可能にされる。ページの全てのメモリセルについて検出あるいは感知が完了した後に初めて、全てがマークされるかあるいは使用可能にされたビット線が接地にラッチされる。このようにして、それらのビット線が接地にラッチされることに関連して生じる可能性のある大きな電圧振幅は、感知操作以外の期間に制限される。これは、接地にラッチするビット線の、感知および検出をなお受けているページのメモリセルに対するかく乱効果を最小化する。
図18は、センスモジュールの他の1つの好ましい実施形態を示す。センスモジュール480’は図14に示されているセンスモジュール480と同様であるが、接地へのプルダウン回路486と直列に他の接地制御スイッチ550が付け加えられている。この構成は、実際上、プルダウン回路486および接地制御スイッチ550の両方が使用可能にされているときだけビット線36が接地に引き下げられることを可能にする。接地制御スイッチ550は、そのゲートに存する信号GRSにより制御されるn形トランジスタとして示されている。メモリセル10が所定のしきい値より大きな伝導電流を有すると検出されたとき、センス増幅器はラッチされたHIGH INV信号を生成する。これはプルダウン回路486を使用可能にする。ページの全セルが現在のパスのための感知操作を終えた後、ページコントローラ498はHIGH GRS信号をアサートする。このようにして、そのページの、そのプルダウン回路が使用可能にされている全てのビット線がその時点で接地に引き下げられる。
図19(A)〜図19(K)は、図18に示されているセンスモジュールについてのタイミング図である。特に、図19(H1)はタイミング信号GRSを示す。感知およびラッチングが期間(2)(5)および(8)において行われ、適切なビット線の接地が感知操作およびラッチング操作をかく乱しないように信号GRSがこれらの期間の各々の充分後にかつ外側でアサートされることが分かる。
図20は、図18のセンスモジュールの動作を示す流れ図である。
ステップ700:1ページのメモリセルについて、初めにメモリセルの操作セットをそのメモリセルのページに等しくセットする。
ステップ710:マルチパスj=1からNまでを開始する。
ステップ720:境界電流値I0 (j)をセットし、ここで第1のパス後、j>1、I0 (j)は前のパスj−1のものより小さいかあるいは等しい、すなわちI0 (j)<=I0 (j−1)である。
ステップ730:操作セットの中の、境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を有するメモリセルを判定する。
ステップ740:操作セットが境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を最早持たなくなった後、境界電流値I0 (j)より大きな伝導電流を有するメモリセルにおけるさらなる電流の流れを抑える。
ステップ750:メモリセルの操作セットを、その伝導電流が抑えられていない残りのメモリセルに等しくセットする。j<Nならばステップ710に戻り、そうでなければステップ760に進む。
ステップ760:そのページのメモリセルの状態を読み出す。
ステップ770:終了。
複数のセンス増幅器のために基準被制御信号を提供するための基準センス増幅器
性能を改善するために、読み出し/書き込み操作は1ページのメモリ記憶ユニットに対して並行して実行される。例えば、1ページは4,096のメモリ記憶ユニットから成ることができ、従って並行して動作するために同数のセンス増幅器が必要とされる。
各センス増幅器はメモリ記憶ユニットの伝導電流を正確に感知することを要求されるので、その感知特性が電源、動作温度および製造プロセスにおける種々の変動による影響を受けないことが好ましい。
本発明の他の1つの態様に従って、1群のセンス増幅器を代表する特性を有する基準センス増幅器が、環境全体の変動を追跡して1群のセンス増幅器をそれらがこの変動から独立しているように制御するために使用される。
図21Aは、1群のセンス増幅器のために基準制御信号を提供する基準センス増幅器を概略的に示す。1群のセンス増幅器600−1・・・600−pは並行して操作される。1群のセンス増幅器を制御するための制御信号の一部であり得る制御信号670を生成し提供するために基準センス増幅器600−Rが実現される。基準センス増幅器600−Rは、センス増幅器群の代表的なメンバーと同一である必要はないけれども、1群の代表的なメンバーを代表する特性を有する。
図21Bは、BLXおよびSTBのような2つの例としての基準制御信号を提供する基準センス増幅器を示す。一実施形態では、基準センス増幅器600−Rは、BLX信号を出力するBLX信号発生器680を含む。同様に、基準センス増幅器600−Rは、STB信号を出力するSTB発生器690を含む。これらの信号は、図18に示されているセンス増幅器600に関連して記載された。特に、BLX信号は、ビット線が所与の電圧にクランプされるのを助けるために使われる。同様に、STB信号は、感知の時間を定めるために使われ、STB信号発生器により提供される。これらの信号が供給電圧Vddおよびセンス増幅器内のn形トランジスタのしきい値電圧VTNまたはp形トランジスタのしきい値電圧VTPに依存することが分かる。一方、これらのパラメータは製造プロセスおよび動作温度に敏感である。これらの全体的な変動は、全てのセンス増幅器に、基準センス増幅器600−Rから提供される同じ較正済み制御信号を使用させることにより最小化される。
図18に示されているもののような代表的なセンス増幅器の動作要件が、始めに、Vddおよびそのトランジスタの種々のしきい値電圧に依存することを強調して、説明される。図18は、1つの好ましいセンス増幅器600を示す。前述したように、センス増幅器600は、本質的に、メモリ記憶ユニット10の伝導電流を、それが所与のコンデンサ652を充電または放電するレートによって測定する。これは、ノード631に存する信号SENを感知することにより成し遂げられる。信号SENは、p形トランジスタ656のゲートを制御する。感知の前に、SENはプリチャージ回路640によってVdd(HIGH)にプリチャージされる。これは、始めに、コンデンサ652に加わる電圧をゼロにセットする。感知中、メモリ記憶ユニット10の伝導電流がコンデンサを放電させる。すると、SENは、その伝導電流に依存するレートでVddから低下する。基準電流に対応する所定の感知期間後、SENは、測定p形トランジスタ656をオンに転換させるかあるいは転換させないかもしれないある値まで低下する。それがp形トランジスタ656をオンに転換させるのに充分に低下しているならば、伝導電流が基準電流より大きいことを意味する。一方、トランジスタ656が感知期間の終わりにオンに転換されていなければ、伝導電流は基準電流より小さい。
従って、測定p形トランジスタ656の識別レベルがそのしきい値電圧VTPに決定的に依存していることが分かる。図18から分かるように、測定p形トランジスタ656がオンに転換するための臨界電圧はSEN〜<Vdd−VTPであるときに存在する(ここでVTPはp形トランジスタ656のしきい値電圧である)。
BLX信号の動作要件に関して、センス増幅器600内の電圧クランプ620の形のプルアップ回路に注目する。初期のプリチャージ期間中に、能動的な引き上げがプリチャージ回路640によって実行される。その後の期間中(図19を参照)、プリチャージ回路640は、感知を可能とするためにオフに転換される。感知期間中、ビット線電圧クランプ610が適切に機能できるようにノード481の電圧(すなわち、SEN2)を所与の最小値より上に保つために電圧クランプ620は使用可能にされている。しかし、この引き上げは、測定p形トランジスタ656をオンに転換させるために充分には決して低下し得ないほど高くSEN信号がクランプされる結果となるほど高くてはならない。これは、電圧クランプ620のn形トランジスタ612のゲートに加えられるBLXの信号強度をセットすることによって制御され得る。
測定p形トランジスタ656がオンに転換する臨界電圧のための条件はノード631においてSEN〜<Vdd−VTPであるときに存在するということが図18から分かる。従って、電圧クランプ620は、ノード631を、それがVdd−VTPより小さいように、クランプしなければならない。これは、BLX〜<Vdd−VTP+VTN(ここでVTNはn形トランジスタ612のしきい値電圧である)であるように電圧クランプをセットすることによって成し遂げられる。
図22は、BLX発生器の好ましい実施形態を示す。BLX発生器680は、本質的に、BLXがVdd−VTP+VTNより低くなければならないという条件を満たすBLX信号を提供する。重要な考慮事項は、それが制御しようとしている1群のセンス増幅器と同じ特性を持っていてこの群を代表する基準回路素子を使用することである。特に、これらの基準回路素子は、1群のセンス増幅器に共通の供給電圧Vdd、コンポーネントトランジスタのしきい値電圧VTPおよびVTNなどのような種々の全体パラメータに基準を提供する。
図22では、便宜上、図18に示されているセンス増幅器の中のものに対応する回路素子は、プライム記号付きの同じ数字で示されている。従って、基準センス増幅器600−Rの中のn形トランジスタ612’は、センス増幅器600の電圧クランプ620の中のn形トランジスタ612に対応する。p形トランジスタ656’は測定p形トランジスタ656に対応し、p形トランジスタ654’はセンス増幅器600の中のp形トランジスタ654に対応する。同様に、BLX発生器680の中の信号SEN’を導く感知ノード631’は、図18に示されているセンス増幅器600の中の感知ノード631に対応する。
2つの論理ゲート682および654’は、信号BLXをオンまたはオフに転換するのに役立つ。制御信号BLXDがHIGHであるときには、論理ゲート682をオンに転換してBLX信号を接地に引く。同時に、p形論理ゲート654’をオフに転換し、Vdd供給を遮断する。制御信号BLXDがLOWであるとき、回路680を使用可能にする。
BLX発生器680が満たすべき条件は、ノード631’におけるSEN’〜<Vdd−VTPと、BLX〜SEN’+VTNとである。n形トランジスタ612’とp形トランジスタ656’とは両方ともダイオードとして構成され、そのダイオード電圧降下は所要の電圧VTNおよびVTPをそれぞれ提供する。好ましい実施形態では、n形トランジスタ612’により形成されるダイオードのソースは信号SEN’が存在する基準ノード631’に接続され、そのドレインは出力BLXに接続される。このようにして、BLX〜SEN’+VTNという条件が満たされる。同様に、p形トランジスタ656’により形成されるダイオードのドレインは基準ノード631’に結合され、そのソースはVddに結合される。このようにして、SEN’〜<Vdd−VTPという条件も希望通りに満たされる。
これらの条件は、これら2つのダイオードのソースおよびドレインを通って流れるしきい値電流に基づいている。バイアス電流が電流源686により提供される。バイアス電流は、代表的なセンス増幅器に通常流れるそれよりも高い値にセットされる。より高い値は、SEN’〜<Vdd−VTPという要件における不等式を満たすべきものである。値が大きいほど、1群のセンス増幅器の中のトランジスタのしきい値電圧の変動に配慮するためにより大きなマージンが存在することになる。このように、供給電圧Vddおよび他の環境条件に対して較正されたしきい値電圧VTNあるいはVTPに関して基準センス増幅器600−Rにより制御信号BLXが生成される。
基準センス増幅器は、好ましくは、それが基準を提供する1群のセンス増幅器と同じチップ上にこの群に近接して配置される。このようにして、それらの同相動作により、製造プロセスあるいは動作温度の変動が最小化される。
図23は、群中のセンス増幅器の感知時間を制御するためにストローブ信号を生成するための好ましいSTB発生器を概略的に示す。1つの好ましい実施形態では、STB発生器690のコンポーネントは、代表的なセンス増幅器600のものと同様である(図18を参照)。プリチャージ回路640”と、識別回路650”と、ラッチ660”とを含む。伝導電流を供給するメモリ記憶ユニット10の代わりに、基準電流源692は感知ノード631”から基準電流を吸い込む。基準電流は、感知中にセンス増幅器が比較するブレークポイント電流に対応する。
図18に示されているセンス増幅器600をしばし参照する。感知中、所与のコンデンサ652は、感知ノード631を通って流れる伝導電流によって放電させられる。伝導電流はメモリ記憶ユニット10により供給される。感知ノード631の信号SENは、そのとき、Vddから、伝導電流に依存するレートで低下する。ある時間の後に、SENは結局Vdd−VTPまで低下し、その時点で測定p形トランジスタ656のオンへの転換をトリガする。従って、このトリガ時間は、伝導電流の大きさに対応する。換言すれば、トリガ時間と伝導電流との間には一対一の対応がある。この場合、大きな伝導電流は短いトリガ時間をもたらし、またその逆も真である。従って、所与の電流(「トリップ点」電流)をセットして、信号SENがオンへの転換をトリガするのに充分に低下するのに要する時間を観察することは、感知される伝導電流の大きさとトリガ時間とを関連させる1つの方法である。逆に、所与の電流に対応する固定された感知時間が与えられたとき、その固定された感知時間の終わりにトリガ時間にまだ達していなければ、感知されている伝導電流はその所与の電流より小さいに違いなく、またその逆も真である。
図23において、全てのものが代表的なセンス増幅器600と同じであるとすると、基準センス増幅器600−RにおけるSTB発生器の機能は、所与のトリップ点電流値に対応するトリガ時間を較正することである。図18および図19に示されているHIGHになるFLTのような別の信号により開始した感知期間のために終了時間を画定するストローブ信号STBの形で結果を出力する。この場合、感知期間の開始は、コンデンサ652”の放電を開始させる信号FLTによって時間調整される。一般に、感知期間が短いほど、対応するトリップ点電流は大きい。ストローブ信号はストローブ発生器694によって生成される。感知ノード671”に存する信号SEN”がVdd−VTPまで放電したとき、p形トランジスタ656”はオンに転換され、その結果としてラッチ660”がHIGHのINVとLOWのLATとでセットされる。LATのLOWへのフリッピングは、ストローブの形で感知期間の終わりの時間を定めるために使われる。一実施形態では、ストローブ発生器は、LATによりトリガされるワンショットのマルチバイブレータとして実現される。
また、基準センス増幅器600−Rにより生成される他の制御信号の場合と同様に、製造プロセスあるいは動作温度の変動は、それらの、一般的な1群のセンス増幅器600との同相動作により最小化される。
低電圧動作のためのセンス増幅器
本発明のさらに他の1つの態様によれば、メモリセルの伝導電流は、2Vより低い供給電圧で動作することのできるセンス増幅器の中の専用コンデンサを放電させるレートにより、測定される。
好ましい実施例では、レートは、所定期間後のコンデンサにおける電圧降下の変化により与えられる。しかし、相互接続するビット線に関する電圧条件が、所定の最低電圧限界を超える電圧降下を妨げる場合には、電圧降下のダイナミックレンジは減ぜられ、通常供給電圧Vddである放電開始時の電圧と最低電圧限界VLIMIT とにより画定される。比較のための基準電流に対応する基準電圧が、このダイナミックレンジ内でセットされる。基準電圧比較は、そのゲートのターンオン電圧が基準電圧として作用するトランジスタを設けることによって成し遂げられる。p形トランジスタの場合、ターンオン電圧はVdd−|VTP|により与えられ、放電電圧がこのレベルあるいはそれ以下まで下がったとき、p形トランジスタはオンに転換されるかあるいは「トリップ」させられる。このターンオン電圧がダイナミックレンジの中にあるためには、条件(Vdd−|VTP|)>VLIMIT が満たされなければならない。しかし、供給電圧Vddが減ぜられると、2つの問題が生じる。第1に、基準電圧比較は、相応して減ぜられたダイナミックレンジの中で行われる。第2に、好ましいトリップ点電圧がこの減ぜられたダイナミックレンジの外側にあり得る。例えば、Vddが余りに低いために(Vdd−|VTP|)<VLIMIT であるときには、ターンオン電圧がVLIMIT より低いのでp形トランジスタは決してトリップできない。
本発明は、基準伝導電流に対応する基準電圧と比較するときに充分な分解能を提供するように電圧降下において充分なダイナミックレンジを持つために、ダイナミックレンジの上限をΔV高めるべく放電コンデンサの電圧を所定の量上昇させる電圧シフト装置を提供する。所定期間後、VLIMIT 制約を除去するためにコンデンサはメモリセルから減結合され、電圧降下は、基準電圧(VLIMIT より低くなり得る)と比較される前に同じ所定量ΔV減ぜられる。このようにして、(Vdd−|VTP|)のような基準電圧がVLIMIT より低いときでもセンス増幅器は低い供給電圧で動作することができる。
図24は、低供給電圧で動作するのに特に適するセンスモジュールの好ましい実施形態を示す。センスモジュール480”は、センス増幅器600’が2Vより低い供給電圧Vddで動作できる点を除いて、図14に示されているセンスモジュール480および図18のセンスモジュール480’と同様である。
図14および図18に関して説明したように、センスモジュールに含まれるセンス増幅器は、結合されたビット線36を介してメモリセル10の伝導電流を測定するのに役立つ。測定は、専用コンデンサ652をプリチャージし、その後にメモリセルの伝導電流に起因するコンデンサの放電レートに留意することによって成し遂げられる。放電レートは、所定期間後のコンデンサにおける電圧降下の変化により測定される。p形トランジスタ656のターンオンゲート電圧は、電圧降下の量と比較する基準として役立つ。コンデンサが所定期間放電した後、ノードSEN631の電圧は、通常p形トランジスタ656をオンに転換させるのに充分に低くなっているか、あるいはp形トランジスタをオンに転換させるのに充分に低くなっていない。
p形トランジスタ656の代表的なゲートターンオン電圧は、ドレイン供給電圧より約|VTP|(通常、1.2V)低い。この場合、供給電圧Vddより1.2V低い。供給電圧自体が約1.8Vであるとすれば、これはp形トランジスタがトリップする前にノードSEN631が0.6Vより低くならなければならないということを意味する。しかし、前のセクションで説明したように、所望のビット線電圧は電圧クランプ610によって約0.5Vの一定電圧に保たれる。この電圧クランプが適切に機能するために、そのドレイン側は約0.5Vより高くなければならない。これはVLIMIT 〜0.5Vの最低フロア電圧をノードSEN2 481に、また同様にノードSEN631に課する。従って、ノードSEN631の電圧は、この最低フロア電圧VLIMIT より下がることはできない。供給電圧が低いときには、p形トランジスタのターンオン電圧が最低フロア電圧より低く、従ってp形トランジスタが決してオンに転換されないということがあり得る。
図24は、低電圧センス増幅器600’を含むセンスモジュール480”を示す。センス増幅器600’は、第2の電圧クランプ620’と、ビット線絶縁回路630’と、プリチャージ回路640’と、プリチャージ回路絶縁トランジスタ636と、識別器あるいは比較回路650’と、ラッチ660とを含む。前と同様に、第2の電圧クランプ620’は、トランジスタ612が飽和して動作するようにノードSEN2あるいはトランジスタ612のドレインにおいて充分な電圧VLIMIT (>VBL)を維持する。
感知ノードSEN631は、初めに、絶縁トランジスタ636を介してプリチャージ回路640’によりVddに引き上げられる。ビット線36とインターリービング回路とを介してメモリセル10に結合されたとき、ノードSEN631の電圧は、コンデンサ652の放電に起因して低下する。所定期間後、コンデンサ652における電圧降下の変化分はメモリセル10の伝導電流に比例する。電圧降下のダイナミックレンジは、引き上げ端部のVddと、低下端部のVLIMIT とにより与えられる。大伝導電流について、ノードSEN631の電圧はVLIMIT に低下する。より小さい伝導電流について、電圧はVLIMIT より高い。従って、所与のダイナミックレンジは、伝導電流の対応する範囲が分解可能であることを可能にする。好ましい実施形態では、下げられた電圧が基準電圧より高いか低いかという二元判定が比較回路650’により行われる。比較回路650’は、そのゲートが専用コンデンサ652に接続されているp形トランジスタを含む。コンデンサの電圧(ノードSEN631の電圧と同じ)がしきい値(Vdd−|VTP|)より下がると、p形トランジスタはオンに転換され、これにより信号INVをHIGHに引き、それに応じてラッチ660によりラッチされる。しかし、より低いVddについて、VLIMIT が存在するとすれば、(Vdd−|VTP|)<VLIMIT であれば、p形トランジスタは決してオンにならない。
比較回路650’は、線701を介してコンデンサ652の一方のプレートに昇圧電圧VB を供給する電圧シフト装置700を設けることにより、低電圧動作に適するようにされている。電圧シフト装置のタイミングは、線702を介してページコントローラ498により制御される。
動作時に、プリチャージ回路640’は感知ノードSEN631をVddに引く。電圧シフト装置は、ノードSENが絶縁トランジスタ636によってVddから減結合された後に、活性化される。電圧シフト装置は、基本的に、ΔVのCLK信号レベル増加を有するので、ノードSEN631に存するコンデンサの他方のプレートの電圧は同量高められる。これは実際上ダイナミックレンジの上限をΔV高めるので、適度の伝導電流に対応する最終電圧はVdd−VLIMIT より高くなり得る。放電期間終了時に、感知ノードSEN631は絶縁トランジスタ634を通してノードSEN2から減結合され、これによりVLIMIT 制約を除去する。このときSEN631の電圧は、基準電圧(Vdd−|VTP|)と比較される前に初期昇圧を相殺するように同じΔVだけ減ぜられる。これは、VLIMIT より低いレベルでも電圧比較を行うことを可能にする。
低電圧センス増幅器600’の動作およびタイミングは、図24およびタイミング図25(A)〜25(N)の両方を参照して記述される。本質的に、動作およびタイミングは、図15(A)〜15(K)と関連して記載されたセンス増幅器600のものと同様である。主な差異は、各感知期間(例えば、フェーズ(4)第1の感知および/またはフェーズ(7)第2の感知)と関連するコンデンサ652に対する電圧シフト装置の付加的な動作に関連する。
例えばフェーズ(4)の前に、回復フェーズ(3)においてそうであるように、ノードSEN631はメモリセルに結合されてVddに引き上げられる。引き上げは、LOWの信号INVおよびFLTと、信号HH0によりオンに転換されているノードSEN631への絶縁トランジスタ636とにより成し遂げられる(図25(H)(3),25(C)(3),25(L)(3))。
引き上げ後、プリチャージ回路は、信号HH0がLOWになるときに、感知ノードSEN631から絶縁される(図25(L)(3))。その後、感知フェーズ(4)において、電圧シフト装置は所定のレベルΔVに上昇する信号VB を出力し、これにより感知ノードSEN631におけるコンデンサ652の電圧もΔV高める(図25(N)(4))。
コンデンサ652は、絶縁トランジスタ634が信号XX0によりオンに転換されるときに、ビット線36に結合される(図25(M)(4))。感知ノードSEN631の昇圧された電圧は、コンデンサがビット線36を介してメモリセル10の伝導電流により放電されるに連れて低下してゆく。前と同様に、放電レートは、所定の放電期間の後の相対的な電圧降下により測定される(図25(G)(4))。昇圧された電圧は、ノードSEN631に、それがビット線36に結合されたときに課される所定の電圧限界(例えば、約0.5V)よりも最終の電圧降下のほうが高いような電圧である。
放電期間の終わりに、LOWになる信号XX0で感知ノードSEN631はビット線から絶縁される。その後、ゼロに復帰する信号VB でSEN631における電圧の昇圧が解除される(図25(N),25(G))。従って、SEN631の電圧は、p形トランジスタ656のトリップゲート電圧と比較される前に下方にΔVシフトされる。電圧が|Vdd−VTP|を超えて下がったならば、p形トランジスタ656はオンに転換され、信号STBによりストローブされたときに信号INVをHIGHに転じさせる(図25(G),25(E),25(H))。
好ましい感知操作が、例えば図25に示されているフェーズ(7)のような第2の感知パスなど、2以上のパスを含むならば、低供給電圧Vddでの適切な操作に配慮するために各感知パスで同様の電圧シフト技術が使用される。
他の1つの実施形態において、供給電圧が充分である場合にも(すなわち、p形トランジスタの場合、実質的に(Vdd−|VTP|)>VLIMIT であるとき)、メモリセルの伝導電流を感知するために電圧比較をその中で実行できる拡張されたダイナミックレンジを提供するように電圧シフト装置が依然として実現され得る。換言すれば、検出のダイナミックレンジを拡張するために一般のセンス増幅器で電圧シフト装置が実現され得る。
図26はさらに他の1つの実施形態を示し、この実施形態では電圧シフト装置は供給電圧が所定のレベルより下がったときに使用可能にされるに過ぎない。図24と関連して前に説明したように、電圧シフト装置700は、線701を介してセンス増幅器600’のコンデンサ652の一方のプレートに供給される信号VB の形で、昇圧された電圧レベルΔVを提供する。VB 信号はクロック発生器710により生成される。レベル検出器720は供給電圧Vddのレベルを検出する。クロック発生器710が昇圧電圧レベルΔVをコンデンサ652に提供するか否かは、検出されたVddレベルによる。Vddが所定のレベルより下がっていると検出されたならば、図25(N)に示されているように、VB 信号を生成しあるいは使用可能にするためにレベル検出器は、使用可能な信号を出力721を介してクロック発生器710に出力する。そうでなければ、電圧シフト装置700は活性化されず、あるいは昇圧電圧ΔVを有するVB 信号を作らない。所定のレベルは、p形トランジスタの場合、Vdd=|VTP|+VLIMIT と所定のマージンである。
センス増幅器のグループのために制御信号を作るための基準センス増幅器の他の態様と好ましい実施形態
センス増幅器の種々の実施形態と、それらが基準センス増幅器により生成された信号によってどのように制御されるかを、図18および図24と関連するものなどの、前のセクションで記述した。これらのセンス増幅器は、メモリアレイの1行に沿う1ページの連続するメモリセルが並行して感知される「全ビット線」アーキテクチャを有する不揮発性メモリを特にうまく感知する。特に、センス増幅器は、ビット線間結合を制御するために感知中にビット線の電圧を一定に保つことができる。センス増幅器の1つの特徴は、感知中一定電圧を保つためにビット線電圧クランプを用いることである。他の1つの特徴は、ビット線内の伝導電流が、それがビット線容量を放電させるレートを測定することによって感知されるのではなくて、それがセンス増幅器とともに設けられた基準容量を放電させるレートを測定することによって感知されることである。
これらのセンス増幅器の動作は1セットの制御信号に決定的に依存し、それらの信号のタイミングは正確でなければならず、供給電圧、温度、装置製造およびその他の環境因子の小変動の影響を受けてはならない。図21〜23と関連して説明したように、それらの制御信号は、好ましくは、動作する1群のセンス増幅器を代表する特性を有する基準センス増幅器により生成される。基準センス増幅器は、環境全体の変動を追跡して、センス増幅器のグループを、この変動に対するその動作依存性が最小化されるように制御することができる。BLX信号およびSTB信号を生成するための例が提示されている。
図27は、基準センス増幅器の他の1つの好ましい実施形態を示す。始めに図21Aを参照すると、基準センス増幅器はセンス増幅器600−1〜600−pためのグループの補償済み制御信号を提供する。この場合、基準センス増幅器はセンス増幅器600−R’と称され、センス増幅器は、好ましくは、図24に示されている低電圧のものと同様である。基準センス増幅器600−R’は、センス増幅器のグループのものと同様のセンス増幅器ユニット800を有する。この場合、図24に示されている低電圧センス増幅器600’と同様である。従って、プリチャージ/クランプ回路840と、セル電流識別器850と、ラッチ860とを含む。
基準センス増幅器のための制御信号は、「_D」という接尾辞によってセンス増幅器のものと区別される。基準センス増幅器のセンス増幅器ユニット800は入力ノード881を有し、そこに信号SEN2_Dが存在する。基準電流シンク58がノード881に接続されて基準電流IREFを提供する。図23に示されているものと同様に、メモリセルの伝導電流を感知するようにビット線に接続された普通のセンス増幅器の代わりに、基準センス増幅器は基準電流IREFを感知し、例えば100〜150nAの電流にセットされる。基準電流は、信号XX0_Dにより使用可能にされた絶縁トランジスタ830を介してセル電流識別器850の入力ノード851に結合される。
他の1つの実施形態において、図24に示されているトランジスタ610および482は、それらが明らかな差異を示すならば、センス増幅器とのより近い類似性を提供するために基準センス増幅器の電流経路に含まれてもよい。
プリチャージ/クランプ回路840は、信号HH0_Dにより制御される他の絶縁トランジスタ832を介してセル電流識別器850の入力ノード851に結合される。HH0_DがHIGHであるとき、信号SEN_Dが存在する入力ノード851がプリチャージされる。一方、HH0_DがLOWであるときには、入力ノード851はプリチャージ/クランプ回路840から減結合される。
前のセクションで説明したように、感知期間は、入力ノード851がプリチャージ/クランプ回路840から減結合されて(プリチャージの終わり、HH0_D=LOW)IREFに結合されたとき(放電の開始、XX0_D=HIGH)に始まる。感知期間は、入力ノード851がIREFから減結合されたとき(放電の終わり、XX0_D=LOW)に終わる。感知の結果はノード857において信号INV_Dで出力され、これは感知期間後にセル電流識別器850によって信号STB_Dによりラッチされる。
制御ロジック870は、ページコントローラ498(図24を参照)のような有限状態機械からのRST(リセット)およびSTRT(開始)のような制御信号をセンス増幅器ユニット800の出力信号INV_Dとともに受け取り、センス増幅器ユニット800のために必要な制御信号を生成する。これらの制御信号は、論理信号であって、センス増幅器ユニット800を制御するために使われる前述したRST_D、STB_D、HH0_DおよびXX0_Dを含む。また、結果として、制御ロジック870は、センス増幅器のグループのために時間補償済み信号を生成するための基礎として役立つCLK、STBおよびSTOPのような所望のタイミング信号を生成する。
制御信号発生器890は、論理レベル信号CLK、STBおよびSTOPを、センス増幅器のグループを制御するための適切なアナログ電圧レベルを有する所要の制御信号670に変換する。図25の好ましいセンス増幅器のタイミング図も参照すると、CLK信号はVB信号図25(N)を生成するために使われる。STB信号は図25(E)に示されている。STOP信号の立ち上がりエッジは、XX0(図25(M))の立ち下がりエッジにより行われるセル電流の絶縁と同期する。これは放電あるいは感知期間の終わりを画定する。感知期間の開始はSTRT信号の立ち上がりエッジにより画定され、HH0(図25(L))の立ち下がりエッジにより行われるプリチャージ回路の感知ノード851からの絶縁と同期する。
図28Aは、図27に示されている基準センス増幅器のためのプリチャージ/クランプ回路をより詳細に示す。プリチャージ/クランプ回路840は、実際には、便宜上まとめられた2つの別々の回路である。電圧クランプ620’とプリチャージ回路640”とを含む。
図24の普通のセンス増幅器600’のために同様の電圧クランプ620’が示され、他の電圧クランプ610のために適切な動作条件を維持するためにノードSEN2が所定の電圧より下がらないようにするのに役立つ。基準センス増幅器800では、電圧クランプ610は不要なので、電圧クランプ620’は、n形トランジスタ612をそのゲート制御された接地でオフに転換することによって、単に機能を一時的に抑止する。
図24の普通のセンス増幅器600’のために同様のプリチャージ回路640’が示され、最終的にビット線36をプリチャージするためにノードSEN631および/またはノードSEN2 481を引き上げてプリチャージするのに役立つ。プリチャージ回路640’は、アナログ信号FLTにより制御される他のp形トランジスタ642と直列の、信号INVにより制御されるプルアップp形トランジスタ644を含む。p形トランジスタ642は、制御された量の引き上げを目的としてアナログ信号がp形トランジスタ642に供給される実施形態において任意選択で設けられる。それが使用されない場合には、単に、接地されたFLT信号でゲート制御されるパススルートランジスタと見なされ得る。
再び図28Aを参照すると、基準センス増幅器の場合には、FLT信号(図24に示されている)により制御されるp形トランジスタ642により提供される機能は不要である。従って、プリチャージ回路640”はp形トランジスタ642を示していないか、あるいは完全にオンに転換されていると仮定される。プリチャージ回路640”は、信号INV_Dにより制御されるプルアップp形トランジスタ644を含む。絶縁n形トランジスタ832が信号HH0_Dにより使用可能にされるたびに、プリチャージ回路640”は、信号SEN_Dが存在するノード851に結合されてプリチャージされる(図27を参照)。
図28Bは、図27に示されている基準センス増幅器回路のセル電流識別器をより詳細に示す。セル電流識別器850は、図24に示されているものと類似して、コンデンサ652を含み、その一端はノード701で接地され、他端は入力ノード851とp形トランジスタ656のゲートとに接続されている。p形トランジスタ656のソースは、信号STB_Dによりゲート制御される他のp形トランジスタ654を通してVddに結合され、そのドレインは信号RST_Dによりゲート制御されるn形トランジスタ658を通して接地に結合される。
普通のセンス増幅器のものと同様に、セル電流識別器850は、入力ノード851における電流を測定するのに役立つ。この場合、セル識別器850に対してプリチャージ/クランプ回路が減結合され(HH0_D=LOW)、IREFが結合されている(XX0_D=HIGH)感知期間の間に(図27を参照)、基準電流IREFを測定する。図28Bを参照すると、測定は、専用コンデンサ652をプリチャージし、その後に、排出を行うIREFによるコンデンサの放電のレートに留意することによって、成し遂げられる。一般に、I=CdV/dtという関係が成立し、そして電流は一定なので、I=C(V2−V1)/Δtであり、ここでΔtは放電期間であり、V1は初期電圧、V2は放電の終わりの最終電圧である。セル電流識別器は、V2をp形トランジスタ656のしきい値電圧VTPと比較する。電流がより大きければ、放電はより速く、V2は放電期間の終わりにより低くなっている。V2がVTPより低ければ、p形トランジスタ656はオンに転換される。一方、より小さい電流は、V2が高すぎてp形トランジスタ656をオンに転換できないという結果をもたらす。結果は、ノード857の信号INV_Dとして出力される。ストローブSTB_Dが他のp形トランジスタ654を瞬間的にオンに転換してVddをp形トランジスタ656に供給したとき、p形トランジスタがオンに転換されれば、ノード857はVddのほうに引き上げられ始める。STB_Dがオフに転換されたとき、ノード857における充電は止まり、信号INV_Dはラッチ860にラッチされて論理レベル信号に変換される。
電流比較の出力が感知期間とp形トランジスタ656のしきい値電圧VTPとの両方に依存するということが分かる。さらに、STB_Dのストローブ幅も、比較の分解能を改善するために重要である。その理由は、V2がVTPの境界線に近いときにp形トランジスタ656がアナログ素子のように振る舞い、STB_Dの幅が、被感知信号INV_Dを作るノード857のための充電積分時間を決定するということにある。従って、前述した変動に関連してこれらのパラメータの全てが追跡されることが重要である。
センス増幅器のグループのものと類似する基準センス増幅器ユニットに基準電流IREFを供給することによって、VTPおよびVCCパラメータは自動的に補償される。同時に、標準IREFは、p形トランジスタ656のオンへの転換(すなわち、INV_D引き上げ)を保証する標準感知期間を生じさせる。これは、所与の感知された電流について感知結果を定めることにより成し遂げられる。例えば、100nA基準電流で、感知期間は、被感知ノードがp形トランジスタ656のしきい値VTPより下まで放電してこれをオンに転換させることを可能にして、出力される被感知信号INV_DがHIGHとみなされるという結果をもたらすのに充分でなければならない。実際には、充分な感知期間の決定は、正確に被感知結果INV_Dが引き上げられるときに留意することによる。
同様に、INV_DがHIGHであるという期待された結果が与えられたと仮定する。STD_Dのストローブ幅は、INV_D信号を有するノードを、それがHIGHと見なされるように充電するのにどれだけの時間がかかるかにより決定される。
従って、制御信号670のタイミングを較正するために本質的に2サイクルの決定が行われる。第1の決定は、感知期間を較正することである。第2の決定は、感知された結果のための充電積分の期間を較正することである。
図29(A)〜29(J)は、基準センス増幅器の動作を示す略タイミング図である。第1の決定サイクルはt2後に終わる。第2の決定サイクルはt3およびt5の間である。これらのタイミング図についての以下の記述では、図27、図28Aと図28Bも参照する。
時点t0より前に、基準センス増幅器600−R’は、当初、ページコントローラからのリセット信号RSTによって(図27を参照)センス増幅器600−1〜600−pのグループとともに(図21Aを参照)リセットされている。その結果として、制御ロジック870は、当初、論理HIGHのローカルリセット信号RST_D(図29(B))、LOWのSTB_D(図29(G))、HIGHのHH0_D(図29(C))、およびHIGHのXX0_D(図29(J))を出力する。従って、図27を参照すると、基準センス増幅器600−R’において、当初、入力ノード851に存する信号SEN_DはIREFに結合されてVddまでプリチャージされている(図29(D))。また、図28Bを参照すると、セル電流識別器850の出力被感知結果INV_Dは0Vにリセットされ(図29(E))、p形トランジスタ654がSTB_Dによってオンに転換されているためにp形トランジスタ656はVddに結合される。ラッチ860において、出力されラッチされた被感知結果INV_DはLOWにリセットされる(図29(E))。
時点t1で、ページコントローラからのSTRT信号がアサートされる。その結果としてRST_Dがアサート解除され(図29(B))、それに伴ってHH0_Dがアサート解除される(図29(C))。HH0_D信号はプリチャージ回路を入力感知ノード851から減結合し、そして放電あるいは感知期間TSEN を開始する。図29(D)は、感知中に入力感知ノード851がIREFにより放電されてゆくのに連れてSEN_Dが低下することを示す。時点t1.1で、SEN_Dは、p形トランジスタ656をオンに転換させ始めるVTPまで低下している。その結果として、ノード857がVddに引き上げられるので(図28B)、INV_Dが上昇する(図29(E))。
INV_Dが論理HIGHに達した後の時点t2で、このイベントは、放電あるいは感知期間の終わりを画定するために使われる。また、このイベントに応答して、制御ロジック870は信号XX0_DをLOWに転換させ、これによりIREFを入力感知ノード851から減結合してコンデンサ652の放電を止める(図27および図28B)。また、信号STB_DをHIGHに転換させ、これによりVddをp形トランジスタ656から減結合してノード857の充電を止める(図28B)。
従って、期間Δt=t2−t1にわたって感知されたときのIREFのような所定の電流は、センス増幅器のグループの代表的なセンスモジュールのためのp形トランジスタ656を確実にトリップさせる。従って、このタイミングは、センス増幅器のグループのためにCLKおよびSTOPのような制御信号を生成するために制御ロジック870により使用される。制御されるべきセンス増幅器のグループのために、t0におけるSTRT信号は感知期間の開始時点を定める。t2におけるSTOP信号の立ち上がりエッジは、感知期間の終わりの時点を定める。CLK信号は、図24に示されている低電圧センス増幅器のためにVB 信号を生成するためのものである。その立ち上がりエッジは、感知ノード851がプリチャージ回路から完全に減結合されていることを保証するために、HH0_D低下から期間Delay_R遅らされている。同様に、その立下りエッジは、感知ノード851がIREFから完全に減結合されていることを保証するために、XX0_D低下からDelay_F遅らされている。
一方、入力感知ノード851のSEN_D信号は、感知期間の終わりにV2をなお保持している。この読み出しはHIGHのINV_Dを生じさせると考えられるので、INV_Dが出力されるノード857の充分な引き上げのためのタイミングを得るために第2の決定が行われる。
時点t3で、基準センス増幅器600−R’のINV_D信号は、信号RST_D(図29(B))によりリセットされる。制御ロジックは、INV_Dが所定期間HIGHになっていた後に信号RST_Dを立ち上がらせる。これは、ノード857の信号INV_DをLOWにリセットする。
時点t4で、CLKの立ち下がりエッジからDelay_Sの遅れで、STB_Dが落ちてp形トランジスタ656に供給するべくVddを結合させ、ノード857は充電し始める。同時に信号STBが落ちてこの積分時間の始まりを示す。
時点t5で、信号INV_Dは論理HIGHレベルに達し、この時点は、そのようなHIGHへの充電のために必要な期間を画定するために制御ロジックにより使用される。従って、ストローブ信号STBはこの時間に立ち上がって、正しい幅を有する反転したパルスを提供する。
その後、較正操作が行われ、RST_D、HH0_D、XX0_Dが続くSTRTのアサート解除(図29(A))によって基準センス増幅器がリセットされる。その結果としてSEN_DおよびINV_DおよびSTOPは、次の操作サイクルのために準備ができた初期状態に戻る。
図30は、基準センス増幅器のための制御ロジックの略機能ブロック図を示す。本質的に、制御ロジック870は、センス増幅器600−1〜600−pのグループのリセットの時間を定めるためにページコントローラ498(図18)から受信されるRST信号を含む1セットの入力を有する。基準センス増幅器600−R’の開始の時間を定めるためにページコントローラからSTRT信号も受信する。基準センス増幅器の動作中、補償された感知期間のタイミングとストローブ幅とを得るために被感知結果信号INV_Dも受信される。これらの入力信号に応答して、制御ロジックは基準センス増幅器600−R’の動作のための1セットの論理レベル制御信号を出力する。これらの制御信号は、その信号およびそれらの関係する因果関係が図29(A)〜29(J)のタイミング図に記載されたRST_D信号、STB_D信号、HH0_D信号およびXX0_D信号を含む。
RST_D信号とHH0_D信号とはロジック1モジュールにより生成され、このモジュールは、信号RST、STRTおよびINV_Dから入力を得て図29(B)および図29(C)にそれぞれ示されている信号を生成する。同様に、STB_D信号とXX0_D信号とはロジック2モジュールにより生成され、このモジュールは信号STRTおよびINV_Dから入力を得て図29(G)および図29(J)にそれぞれ示されている信号を生成する。STOP信号はロジック3モジュールにより生成され、このモジュールはSTB_D信号から入力を得て図29(I)に示されている信号を生成する。STB信号はロジック4モジュールにより生成され、このモジュールは、Delay_Sモジュールにより遅らされたCLK信号から入力を得て、図29(H)に示されている信号を生成する。CLK信号はロジック5モジュールにより生成され、このモジュールは、Delay_Rモジュールにより遅らされた信号STRTとDelay_Fモジュールにより遅らされたINV_Dとから入力を得て、図29(F)に示されている信号を生成する。
制御ロジック870により作られる論理レベル信号CLK、STBおよびSTOPは、センス増幅器600−1〜600−pのグループを制御するために補償されたタイミングを含む。これらは、(図27に示されている)制御信号発生器890によって調節されて、適切な電圧レベルを有する制御信号のセット670とされる。
図31は、センス増幅器の感知期間を較正するための基準センス増幅器の利用を示す流れ図である。
ステップ900:基準電流に関して電流を感知するための感知回路を設け、その感知回路は、所定期間にわたって感知して、その感知された電流が基準電流より大きいかあるいは小さいかにより、それぞれ第1の信号または第2の信号を作る。
ステップ910:感知回路と実質的に同様の特性および動作条件を有する基準感知回路を設ける。
ステップ912:基準感知回路で基準電流を感知する。
ステップ914:基準感知回路の出力が信号を第1の信号と第2の信号とのうちの一方から他方へ交代させる前に必要とされる感知期間を決定する。
ステップ920:その所定期間の時間を定めるためにその決定された感知期間を使い、感知回路で電流を感知する。
図32は、センス増幅器の増幅された出力の積分期間を較正するための基準センス増幅器の利用を示す流れ図である。
ステップ930:基準電流に関して電流を感知するための感知回路を設け、その感知回路は、その感知された電流が基準電流より大きいかあるいは小さいかにより、それぞれ第1または第2の電圧レベルを有する内部ノードを有し、所定の積分期間にわたってそれぞれ第1または第2の電圧レベルを増幅した後に第1の信号または第2の信号を出力する。
ステップ940:感知回路と実質的に同様の特性および動作条件を有する基準感知回路を設ける。
ステップ942:基準感知回路で基準電流を感知する。
ステップ944:その対応する内部ノードの電圧レベルを増幅する。
ステップ946:基準感知の出力が信号を第1の信号と第2の信号とのうちの一方から他方へ交代させる前に必要とされる積分期間を決定する。
ステップ950:その所定の積分期間の時間を定めるためにその決定された積分期間を使い、感知回路で電流を感知する。
このようにして、センス増幅器のグループは、電源、製造プロセスおよび他の環境因子の変動に敏感にならずに動作するように制御される。
本発明の種々の態様をある実施形態に関して説明したけれども、本発明が、添付されている特許請求の範囲の全範囲内においてその権利が保護されるべきであることが理解できよう。