JP4593177B2 - 焼結原料の装入装置 - Google Patents
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Description
焼結パレット82上に装入された焼結原料層83の上層部84は、保熱効果が少なく、急冷等により脆弱な焼結鉱となる。このため、焼結原料層83の上層部84が、下層部85と比較して燃料分(カーボン)が多く、且つ粒度が小さくなるように、焼結原料を偏析装入することが、焼結鉱の品質及び生産性を向上させるのに効果的である。
これにより、焼結原料81中の中粒及び粗粒の焼結原料を、開口部88から落下させることなく下部シュート87へ飛び移らせ、下部シュート87を介して焼結パレット82内に装入できる。一方、焼結原料81中の微粒及び細粒の焼結原料は、開口部88の上方に配置された気体吹き付けノズル90から噴出される気体の進行方向に沿って吹き飛ばされるため、開口部88を通過して落下し、焼結パレット82上の中粒及び粗粒の焼結原料の表層上へ装入される。従って、前記した焼結パレット82への焼結原料の偏析装入を実施できる。
このため、焼結パレット82上に装入された焼結原料に焼きむらが生じ、製造される焼結鉱の品質がばらつき、焼結鉱の品質及び生産性が低下する問題があった。
そこで、上部シュート86を、その傾斜角が調整可能な構成とし、その傾斜角を調整し下部シュート87における焼結原料の滑走速度を速くして、下部シュート87上への焼結原料の付着を防止している。
このため、前記した焼結パレット82への焼結原料の偏析装入を実施できなくなる恐れがあり、焼結鉱の品質及び生産性を従来よりも低下させる問題があった。
前記上部シュートの傾斜角を調整した際、前記下部シュートの上端位置に応じて、前記上部シュートを水平方向及び高さ方向に移動して、前記上部シュートの下端と前記下部シュートの上端との間の水平方向間隙及び前記段差を調整前の状態に戻すように調整する。
また、上部シュートの傾斜角度の調整は、焼結原料の水分量に応じて、例えば、サージホッパーからドラムフィーダを介して切り出された焼結原料の下部シュート上での滑走速度を調整するために行うものであり、これにより焼結原料の付着量を低減させることができる。
そして、スリット状の開口部は、焼結原料中の中粒及び粗粒の焼結原料と比較して慣性力が小さい微粒及び細粒の焼結原料を、焼結原料中から分離し下方へ落下させる役割を有するものである。
従って、上部シュート及び下部シュートのそれぞれの傾斜角の調整が終了した後、又は傾斜角が固定された下部シュートに対して上部シュートの傾斜角の調整が終了した後、上部シュートを下部シュートの上端位置に応じて、その水平方向及び高さ方向に移動させることで、スリット状の開口部の大きさを目的とする大きさに調整できる。これにより、下部シュートを介して落下した中粒及び粗粒の焼結原料を焼結パレット上に装入した後、この焼結原料の上層部上に、開口部から落下した微粒及び細粒の焼結原料を装入して、焼結原料の粒度分布を厚さ方向に偏析させることが可能になる。
請求項2記載の焼結原料の装入装置において、下部シュートの下部を支点として回動しているので、下部シュートが回動しても、下部シュートの下端の高さ位置がほとんど変化しない。
請求項3記載の焼結原料の装入装置において、焼結パレット上に装入された焼結原料の通気状態は、例えば、メインブロワーの上流側に設けられた圧力計、風量計、及び温度計から得られる各測定値、即ち焼結排ガスの圧力、風量、及び温度のいずれか1又は2以上から判断できる。ここで、例えば、焼結原料の種類の変更等によって焼結原料の粒度構成が大きく変化した場合には、焼結パレット上での焼結原料の偏析状態に起因して通気状態が変化するので、この通気状態を望ましい状態に調整するために、下部シュートの傾斜角を調整する必要があり、その傾斜角を望ましい範囲内で調整することが好ましい。
請求項4記載の焼結原料の装入装置において、下部シュートへの焼結原料の付着状態は、下部シュートの上面に付着した焼結原料の量で判断できる。ここで、下部シュートの上面に焼結原料が多く付着すれば、下部シュートを介して焼結パレット上に装入される焼結原料の粒度分布を焼結パレット幅方向に渡って偏析させることができず、また焼結原料を焼結パレットの幅方向に渡って略均一に行うことができない。従って、上部シュートは、下部シュートへの焼結原料の付着を抑制するため、焼結原料の下部シュート上での滑走速度を速くする必要があり、その傾斜角を望ましい範囲内で大きくすることが好ましい。
請求項5記載の焼結原料の装入装置において、下部シュートの傾斜角度が水平方向に対して45度未満の場合、下部シュートの傾斜角度が小さくなり過ぎ、下部シュートの上面へ焼結原料が付着し易く、この付着した焼結原料が他の焼結原料の落下を妨げる。一方、下部シュートの傾斜角度が水平方向に対して52度を超える場合、下部シュートの傾斜角度が大きくなり過ぎ、焼結原料の滑走速度が必要以上に速くなる。
このため、装入パレット上に装入される焼結原料の粒度分布を焼結パレット幅方向に渡って偏析させると共に、焼結パレットの幅方向への焼結原料の略均一な装入を実施できない恐れがある。
従って、焼結原料を良好な状態で焼結パレット上に装入するため、下部シュートの傾斜角度を水平方向に対して45〜52度の範囲内とする。
このため、装入パレット上に装入される焼結原料の粒度分布を厚さ方向に偏析させると共に、焼結パレットの幅方向への焼結原料の略均一な装入を実施できない恐れがある。
従って、焼結原料を良好な状態で焼結パレット上に装入するため、上部シュートの傾斜角度を水平方向に対して48〜55度の範囲内で調整する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る焼結原料の装入装置の説明図、図2は同焼結原料の装入装置の上部シュートの傾斜角度と焼結原料の水平方向の装入速度との関係を示す説明図、図3は同焼結原料の装入装置の上部シュートの傾斜角度と焼結原料の装入速度との関係を示す説明図である。
なお、下部シュート16の傾斜角度αの調整範囲は、水平方向に対して45〜52度の範囲内にすることが好ましい。このとき、前記したように、下部シュート16の下部を支点として回動しているので、下部シュート16が回動しても、下部シュート16の下端の高さ位置がほとんど変化しないことから、焼結パレットへの焼結原料14の装入が、常に同じ高さから実施できる。
そして、ネジジャッキ26の駆動部27を駆動することによりロッド28を伸縮して、上部シュート15を高さ方向(矢印A方向)に移動する。
これにより、下部シュート16の上端と上部シュート15の下端との間のスリット状の開口部17の広さ、即ち水平方向の間隙(以下、水平方向間隙ともいう)D1が調整可能となる。
この傾斜台24の走行台車29への設置方法は、下部シュート16と同様であるが、傾斜台24の下面の下部が走行台車29の先部(図1においては右側)の連接部30に回動可能に軸持され、更に、この傾斜台24の下面の上部が走行台車29上に立設した油圧ジャッキ31に連接されている。
これにより、油圧ジャッキ31の駆動部32を駆動して、ピストンロッド33を高さ方向(矢印C方向)に伸縮動させることで、傾斜台24をその下部を支点として回動させ、上部シュート15の傾斜角度βを調整する。この傾斜角度βの調整範囲は、水平方向に対して48〜55度の範囲内にすることが好ましい。
そして、走行台車29を矢印B方向に往復走行させることにより、上部シュート15の水平方向位置が変更可能となるので、下部シュート16の上端と上部シュート15の下端の高さ位置の段差D2を調整できる。
焼結パレットに装入される焼結原料の粒度分布を厚さ方向に偏析させるには、焼結原料の水平方向の装入速度(V・cosθ)を大きくすることが好ましい。なお、焼結パレットに装入される焼結原料の装入密度は、小さい方が焼結鉱の品質及び生産性の向上に有利であるため、焼結原料の垂直方向の装入速度(V・sinθ)を小さくすることが好ましい。
このとき、図3に示すように、焼結原料の装入速度と上部シュート15との関係は、従来が、焼結鉱の品質に問題が生じない従来の操業点を含む範囲が8.9〜9.4(m/秒)程度の範囲になっているのに対して、装入装置10では、上記した範囲を含む8.9〜9.5(m/秒)の範囲となっており、問題ない結果が得られた。
サージホッパー11から切り出された焼結原料14を、回転するドラムフィーダ12を介して焼結パレット上に装入するとき、焼結原料14中の中粒及び粗粒の焼結原料(例えば、0.5mm超)は、開口部17から落下させることなく、上部シュート15から下部シュート16へ飛び移らせ、下部シュート16を介して焼結パレット内に装入する。一方、焼結原料14中の微粒及び細粒の焼結原料(例えば、1.0mm以下)は、風力分級ヘッダー管34から噴出される気体(例えば、風量が50〜300m3 /分)の進行方向に沿って下方へ吹き飛ばされるため、開口部17を通過して落下し、焼結パレット上に装入された中粒及び粗粒の焼結原料の表層上へ装入される。
まず、制御部により、走行台車29上に設けられた油圧ジャッキ31のピストンロッド33を上昇させ、上部シュート15の傾斜角度βを、水平方向に対して48〜55度の範囲内で、現状よりも大きい角度に調整する。
これにより、装入パレットに装入される焼結原料の下部シュート上での滑走速度を現状よりも上昇させ、下部シュート16の上面への焼結原料の付着を抑制、更には防止することができる。
このように、焼結原料の水分量が増加しても、この焼結原料が下部シュート16の上面に付着することなく、下部シュート16を介して落下した中粒及び粗粒の焼結原料を焼結パレット上に装入した後、この焼結原料の上層部上に、開口部17から落下した微粒及び細粒の焼結原料を装入して、焼結原料の粒度分布を厚さ方向に偏析させることが可能になる。
従って、焼結パレット上に装入される焼結原料の粒度分布を厚さ方向に偏析させることができると共に、焼結原料を焼結パレットの幅方向に略均一に装入できる。
通気状態の変化は、焼結原料の種類の変更等によって焼結原料の粒度構成が大きく変化(好ましくない状態に変化)した場合に発生し易く、その判断は、例えば、メインブロワーの上流側に設けられた圧力計、風量計、及び温度計から得られた焼結排ガスの圧力、風量、及び温度の各数値に基づいて行われる。
また、更に、制御部により、上部シュート15の傾斜角度βを、水平方向に対して48〜55度の範囲内で、現状と異なる角度に調整することも可能である。
これにより、焼結パレット上に装入した焼結原料の粒度分布を厚さ方向に偏析させることが可能になる。
なお、上部シュート15と下部シュート16の各傾斜角の調整、及び上部シュート15の水平方向及び高さ方向の位置調整は、前記した方法に限定されるものではなく、下部シュート16への焼結原料の付着状態、焼結パレットに装入された焼結原料の通気状態等に応じて、種々組み合わせて実施できる。
前記実施の形態においては、下部シュートを回動可能に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、粒度分布のほとんど変わらない焼結原料の銘柄で操業を行うことができる場合には、下部シュートを固定構造としてもよい。
また、前記実施の形態においては、上部シュートを走行可能に載置した傾斜台の傾斜角度を変えることで、上部シュートの傾斜角度βを変える場合について説明したが、上部シュートの上端部位置に傾動軸を設け、上端を支点として上部シュートを回動させて、上部シュートを直接的に傾斜させることも可能である。
Claims (5)
- サージホッパーから切り出された焼結原料を焼結パレット上に装入するために、上部シュートと下部シュートを有し、該上部シュートと該下部シュートとの間にスリット状の開口部が設けられ、前記下部シュートの上面の延長線と前記上部シュートの下端位置の上面の高さ位置が段差を有し、かつ前記上部シュートは、その傾斜角が調整可能である焼結原料の装入装置において、
前記上部シュートの傾斜角を調整した際、前記下部シュートの上端位置に応じて、前記上部シュートを水平方向及び高さ方向に移動して、前記上部シュートの下端と前記下部シュートの上端との間の水平方向間隙及び前記段差を調整前の状態に戻すように調整することを特徴とする焼結原料の装入装置。 - 請求項1記載の焼結原料の装入装置において、前記下部シュートはその下端部を支点として回動して傾斜角が調整可能であることを特徴とする焼結原料の装入装置。
- 請求項2記載の焼結原料の装入装置において、前記下部シュートの傾斜角を、前記焼結パレット上に装入された焼結原料の通気状態に応じて調整することを特徴とする焼結原料の装入装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結原料の装入装置において、前記上部シュートの傾斜角を前記下部シュートへの焼結原料の付着状態に応じて調整することを特徴とする焼結原料の装入装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結原料の装入装置において、前記下部シュートの傾斜角度は水平方向に対して45〜52度の範囲内とし、前記上部シュートの傾斜角度は水平方向に対して48〜55度の範囲内で調整することを特徴とする焼結原料の装入装置。
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