JP4592157B2 - 電気絶縁用ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

電気絶縁用ウレタン樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気絶縁用ウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、オートバイ、船舶、チェーンソー等に用いられる高圧トランスは、小型化にともない、フェライトコアや基板等の高圧トランス部品をプラスチックケース内に収納し、これに樹脂を注入し、硬化させて樹脂成形体内に内蔵化することが進んでいる。この様に高圧トランス部品を樹脂封止して用いることによって、高温における信頼性を向上させることも可能である。
【0003】
樹脂封止した高圧トランス部品では、冷熱サイクルによりフェライトコア、基板ハンダなどに加えられる応力によって、高圧トランスに故障が発生することが大きな問題となっている。
【0004】
斯かる問題を解消する方法として、フェライトコアを高圧トランスの外部に位置させ、基板部分については低硬度で柔軟な可撓性エポキシ樹脂を用いて封止することによって温度サイクルによる応力を緩和し、高圧コイル部については、含浸性の良いエポキシ樹脂を用いて封止する方法が採用されており、エポキシ樹脂を使い分けることによって、耐冷熱サイクル性能の向上を図っている。
【0005】
しかしながら、フェライトコアを高圧トランスの外部に位置させる方法は、クラック防止には有効であるが、高圧トランスの小型化が困難になるという欠点がある。又、可撓性エポキシ樹脂と含浸性の良好なエポキシ樹脂を併用する場合には、作業時間が長くなり、コストアップにもつながる。しかも、高圧コイル部を樹脂封止するために用いる含浸性の良好なエポキシ樹脂は、通常、耐冷熱サイクル性が不十分である。
【0006】
高圧トランス部品の樹脂封止にウレタン樹脂を用いることも試みられており、例えば、特開平5−304040号公報には、コイル、部品等を収納したケース内に平均粒子径が300μm以上のフィラーを充填した後、ヒマシ油、ジイソシアネート及びシランカップリング剤を含むウレタン樹脂組成物を注入し、硬化させることによる電気機器の製造方法が記載されている。しかしながら、この様な方法では、ヒマシ油中のカルボキシル基とジイソシアネート化合物との反応によって発生するガスの影響やジイソシアネート化合物に本来含まれる成分によって発生するガスの影響によって高圧コイルのコイル間隙部分等の微細な部分への樹脂の含浸性が不足し、コイル間に空隙部が生じるために高圧を印加するとコロナ放電が発生する要因となる。また、従来のウレタン硬化物は、高温時に絶縁破壊を生じ易いという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、高圧トランス部品等の各種電気部品の樹脂封止に適したウレタン樹脂組成物であって、高圧コイルのコイル間等の微細な空隙部分にも均一に含浸でき、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等に優れた硬化物を形成できる電気絶縁用ウレタン樹脂成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオール成分として酸価が0.5以下、水酸基価200〜300のヒマシ油系ポリオールを用い、イソシアネート成分としてリン含有量及び塩素含有量が少ない特定のカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたウレタン樹脂組成物は、含浸時や硬化時におけるガスの発生が極めて少なく微細な空隙部分にまで充分に含浸でき、しかも形成される硬化物は、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等が良好であり、電気絶縁用硬化性組成物として優れた特性を発揮できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記の電気絶縁用ウレタン樹脂組成物及び樹脂封止された電気部品を提供するものである。
1.(i)酸価0.5以下、水酸 基価200〜300のひまし油系ポリオールからなるポリオール成分、及び
(ii)カルボジイミド化反応によって液状に変性され、リン含有量が5ppm以下、塩素含有量が10ppm以下のジフェニルメタンジイソシアネートからなるイソシアネート成分
を含有する電気絶縁用ウレタン樹脂組成物であって、
ポリオール成分とイソシアネート成分の混合比が、NCO/OHの当量比が0.8〜1.2の範囲となる割合である、電気絶縁用ウレタン樹脂組成物。
2.カルボジイミド化反応によって液状に変性されたジフェニルメタンジイソシアネートが、ホスホレン系触媒の存在下にジフェニルメタンジイソシアネートをカルボジイミド化した後、非ハロゲン系停止剤を用いてカルボジイミド化反応を停止して得られたものである上記項1に記載の電気絶縁用ウレタン樹脂組成物。
3.カルボジイミド化反応によって液状に変性されたジフェニルメタンジイソシアネートのNCO基含有量が4.5mmol/g〜7.5mmol/gの範囲内にある上記項1又は2に記載の電気絶縁用ウレタン樹脂組成物。
4.硬化物の硬度がASTM D50以上である、高圧トランス部品の樹脂封止用として用いられる上記項1〜のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
5.上記項1〜のいずれかのウレタン樹脂組成物を用いて樹脂封止された電気部品。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のウレタン系硬化性組成物では、ポリオール成分として、酸価0.5以下、水酸基価200〜300のヒマシ油系ポリオールを用いる。
【0011】
本発明では、ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油及びヒマシ油の誘導体から選ばれた成分を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。ここで、ヒマシ油の誘導体としては、ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加物、ヒマシ油又はヒマシ油脂肪酸と低分子ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とのエステル交換物、ヒマシ油のジオール型の部分脱水化物や部分アシル化物、これらの水添物等を例示できる。
【0012】
本発明では、この様な酸価0.5以下、水酸基価200〜300のヒマシ油系ポリオールを用いることによって、硬化時にヒマシ油系ポリオールに含まれるカルボキシ基とイソシアネート化合物との反応によるガスの発生を大きく減少することができる。また、この様なヒマシ油系ポリオールを用いて得られる硬化物は、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等について、優れた特性を発揮するものとなる。ヒマシ油系ポリオールの酸価は、0.3以下であることが好ましく、0.l以下であることがより好ましい。また、水酸基価は、220〜280程度であることが好ましく、240〜270程度であることがより好ましい。
【0013】
本発明のウレタン樹脂組成物では、イソシアネート成分としては、カルボジイミド化反応によって液状に変性されたジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート」という)であって、リン含有量が5ppm以下、塩素含有量が10ppm以下のものを用いる。この場合、リン含有量と塩素含有量は、それぞれ、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートの重量を基準とした量である。この様なリン含有量及び塩素含有量が共に少ないカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートを用いる場合には、含浸時や硬化時に低沸点成分に起因するガスの発生がほとんどなく、高圧コイルのコイル間等の微細な部分にも樹脂成分が均一に含浸し、空隙部のほとんどない硬化物を得ることができる。
【0014】
カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートは、生成物中のNCO基含有量が4.5mmol/g〜7.5mmol/g程度であることが好ましく、6.0mmol/g〜7.1mmol/g程度であることがより好ましくい。NCO基含有量がこの範囲内にあることによって、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートは、融点が低下して常温で適度な粘性を有する液状となり、同時に、適度な量のイソシアネート基が残存してポリオール成分と良好な反応性を示すものとなる。
【0015】
本発明で用いるリン含有量5ppm以下、塩素含有量10ppm以下のカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートは、例えば、ホスホレン系触媒の存在下にジフェニルメタンジイソシアネートをカルボジイミド化した後、非ハロゲン系の停止剤を添加してカルボジイミド化反応を停止させることによって得ることができる。
【0016】
この方法で用いるホスホレン系カルボジイミド化触媒は、高活性の触媒であるために、少ない添加量でカルボジイミド化反応を進行させることができる。上記方法では、ホスホレン系触媒の使用量を1〜10ppm程度とすることが好ましい。この様な少量の触媒を用いることによって、リン含有量の非常に少ないカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートを得ることができる。これに対して、アルキルホスフェート系の触媒は、ホスホレン系触媒と比べると触媒活性が劣るために添加量を多くする必要があり、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート中のリン含有量が増加するので不適切である。
【0017】
ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド化反応の条件は、常法に従えば良く、原料であるジフェニルメタンジイソシアネートにホスホレン系カルボジイミド化触媒を添加して、70〜150℃程度、好ましくは80〜120℃程度に加熱して反応を進行させればよい。
【0018】
原料として用いるジフェニルメタンジイソシアネートには、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の各種の異性体が存在する。これらの異性体の分布については、ジフェニルメタンジイソシアネート製造時の各種条件によって影響を受けるが、通常は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も多く生成し、次いで、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、最も少ないのが2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートとなる。これらの比率は、製造時の温度や触媒量によってコントロールが可能である。本発明では、原料として用いるジフェニルメタンジイソシアネートの異性体分布については特に限定はない。市販されているジフェニルメタンジイソシアネートには、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート含有量を98重量%程度以上に精製したものが多いが、本発明では、この様な4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを主として含有するジフェニルメタンジイソシアネートを特に問題なく使用できる。
【0019】
また、異性体の分布の異なるジフェニルメタンジイソシアネートを原料として得られたカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートを混合して用いることによって、粘度や可使時間(ゲル化時間)を調整して、含浸性能を向上させることが可能である。
【0020】
尚、市販されているジフェニルメタンジイソシアネートには、通常、酸化防止剤やリン系の着色防止剤等の添加剤が添加されているが、本発明では、最終的に得られるカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート中に含まれるリン含有量を少量とするために、カルボジイミド化反応のための原料として用いるジフェニルメタンジイソシアネートとしては、これらの添加剤が添加されていないものを用いることが好ましい。このためには、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートを製造した後、引き続きカルボジイミド化反応を行えばよい。
【0021】
ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド化反応に用いるホスホレン系カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−(N−ピペリジニル)−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−モルフォリノ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェノキシ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−スルフィド、これらの混合物等を例示でき、特に、触媒活性が高い点等から、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド(以下、PMPOという)、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド等が好ましい。
【0022】
カルボジイミド化反応の進行中は、反応系中の残存イソシアネート基(以下、NCO基と略す)の量を随時確認し、目的とするNCO基含有量の生成物が得られる様に、非ハロゲン系停止剤を添加してカルボジイミド化反応を停止させる。通常、停止剤を添加した後、更に0.08mmol/g程度NCO基量が低下した時点で反応が停止するので、最終的に目的とするNCO基含有量より、0.08mmol/g程度多い時点で、非ハロゲン系停止剤を添加してカルボジイミド化反応を停止させれば良い。
【0023】
非ハロゲン系停止剤としては、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、安息香酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等を例示でき、その添加量は、通常、触媒に対して1〜200倍モル程度とすればよい。
【0024】
非ハロゲン系停止剤に代えてハロゲン系停止剤を用いる場合には、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート中のハロゲン量が増加してウレタン組成物を含浸、硬化させる際に、低沸点成分によるガス発生が増加する。また、停止剤を用いること無く、反応系を冷却してカルボジイミド化反応を停止させる場合には、反応停止が不完全となり、ウレタン組成物を含浸させて脱泡する際に、やはりガスの発生が終了し難いので好ましくない。
【0025】
上記方法でカルボジイミド化反応を停止したものは、そのまま使用することができるが、更に反応停止後にエージングを行って、カルボジイミド基をウレトンイミン基にしたものも使用できる。エージング条件としては15〜70℃、好ましくは40〜60℃でエージングすればよい。ウレトンイミン化することにより、NCO基含有量が経時的に安定したポリイソシアネート組成物が得られる。エージング(ウレトンイミン化)後のカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートについても、NCO基含有量が、4.5〜7.5mmol/g程度の範囲内にあるものを好適に用いることができる。
【0026】
本発明のウレタン樹脂組成物では、上記したヒマシ油系ポリオールからなるポリオール成分と、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートからなるイソシアネート成分の混合比は、NCO/OHの当量比が、0.8〜1.2程度となる範囲が好ましく、0.8〜1.0程度となる範囲がより好ましく、0.9程度が特に好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、特に、高圧トランス部品の注型含浸用として用いる場合には、高温における絶縁破壊を防止するために、硬化物の硬度が23℃においてASTMD50以上であることが好ましい。このためには、ポリオール成分とイソシアネート成分の混合比を、上記した配合割合の範囲内から硬化物の硬度がASTMD50以上となるように選択すればよい。
【0028】
本発明のウレタン樹脂組成物には、更に必要に応じて、短鎖のジオール類、トリメチロールプロパン等の鎖延長剤;水和アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、バライタ粉、シリカ粉、アルミナ、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄等のフィラー乃至顔料;リン化合物、ハロゲン化合物、酸化アンチモン等の難燃材;酸化防止剤;紫外線防止剤;水分吸着剤;消泡剤;防カビ剤;架橋剤;シラン系、チタン系、アミン系等のカップリング剤等の各種の添加剤や公知のウレタン触媒を配合することができる。これらの成分の配合量は、目的に応じて適宜調整すればよいが、高圧トランス部品の注入成形用として用いる場合には、硬化物の硬度がASTMD50以上となる量とすることが好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、各種電気部品の電気絶縁用として適したものであり、上記したヒマシ油系ポリオールからなるポリオール成分、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネートからなるイソシアネート成分、及び必要に応じて、その他の添加剤成分を混合した後、硬化させることによって、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等について優れた特性を有する硬化物とすることができる。特に、本発明の組成物は、注型用として用いた場合に、良好な含浸性を示すものであり、例えば、高圧トランス部品等の電気部品の注型用として用いる場合には、トランス部品等の電気部品をセットした型に硬化性組成物を注入し、必要に応じて常法に従って脱泡した後、60〜80℃程度で2時間程度〜24時間程度硬化させることによって、高圧コイルのコイル間等の狭い間隙部にも十分に含浸して、電気絶縁性に優れ、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等について良好な特性を有する硬化物とすることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の電気絶縁用ウレタン樹脂組成物は、含浸性が良好であって注入硬化時におけるガスの発生が少なく、電気部品の狭い部分にも空隙部を生じることなく充分に含浸させることができる。また、形成される硬化物は、電気絶縁性に優れ、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等も良好である。
【0031】
本発明のウレタン樹脂組成物は、各種電気部品の電気絶縁のための樹脂封止用として適したものであり、特に、高圧トランス部品の注型法による樹脂封止用として優れた特性を発揮できる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
製造例1
撹拌機、温度計、アリーン冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを99.8重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネートを1000重量部仕込み、撹拌しながら温度を90℃まで昇温し、PMPOを0.005重量部添加してカルボジイミド化反応を行った。NCO基含有量が7.09mmol/gとなった時点でフタル酸を0.1重量部添加し、反応器ごと氷水で常温まで急冷して、カルボジイミド化反応を停止させた。その後、2日間エージングを行ってカルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を得た。得られたカルボジイミド化MDIの外観は淡褐色透明液体であり、NCO基含有量は7.01mmol/g(29.4重量%)、リン含有量は0.5ppm、塩素含有量は2ppmであった。これをイソシアネート1とする。
【0034】
製造例2
撹拌機、温度計、アリーン冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを99.8重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネートを1000重量部仕込み、撹拌下にトリエチルフォスフェートを12重量部添加し、190℃まで昇温してカルボジイミド化反応を行った。NCO基含有量が7.09mmol/gとなった時点で、反応器ごと氷水で常温まで急冷して、カルボジイミド化反応を停止させた。その後、2日間エージングを行ってカルボジイミド化MDIを得た。得られたカルボジイミド化MDIの外観は淡褐色液体であり、NCO基含有量は7.01mmol/g(29.4重量%)、リン含有量は2000ppm、塩素含有量は2ppmであった。これをイソシアネート2とする。
【0035】
製造例3
撹拌機、温度計、アリーン冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートを2重量%、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを16重量%、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを82重量%含有する含有するジフェニルメタンジイソシアネートを1000重量部仕込み、撹拌しながら温度を90℃まで昇温し、PMPOを0.01重量部添加してカルボジイミド化反応を行った。NCO基含有量が7.10mmol/gとなった時点でフタル酸を0.1重量部添加し、反応器ごと氷水で常温まで急冷して、カルボジイミド化反応を停止させた。その後、2日間エージングを行ってカルボジイミド化MDIを得た。得られたカルボジイミド化MDIの外観は淡褐色透明液体であり、NCO基含有量は7.01mmol/gであった。このカルボジイミド化MDI 4重量部と製造例1で得たイソシアネート196重量部を混合撹拌してイソシアネート3を得た。イソシアネート3のNCO基含有量は7.01mmol/g(29.4重量%)、リン含有量は0.8ppm、塩素含有量は2ppmであった。
【0036】
実施例1〜5及び比較例1〜4
製造例1〜3で得たイソシアネート1〜3をイソシアネート成分として用い、下記表1に示す酸価及び水酸基価を有するのヒマシ油系ポリオール(ヒマシ油とポリエステルポリオールとのエステル交換物の水添物)をポリオール成分として用いて、下記表1に示すNCO/OH当量比で混合してウレタン樹脂組成物とした。
【0037】
得られた各組成物について、下記の方法で含浸性、絶縁破壊強さ、耐冷熱サイクル性及び硬度変化率を評価した。結果を下記表1に示す。
*含浸性
ボビンに1次コイルと2次コイルを装着した部品をエンジニアリングプラスチック製ケース内に入れ、このケース内に各組成物を40℃、2mmHgで真空注入し、60℃で2時間硬化させた。その後、硬化物を切断してウレタン組成物の含浸状態を観察し、下記基準で評価した。
【0038】
○:コイルの間隙まで含浸し、コイルの巻き数に対して、95%以上が含浸されている。
【0039】
△:コイルの間隙まで含浸するが、コイルの間隙部に若干未含浸部分が残り、コイルの巻き数に対して、90%以上95%未満が含浸されている。
【0040】
×:コイルの間隙に未含浸部分がかなり、気泡の塊が残るため、含浸率の測定は不能である。
*高温時絶縁破壊強さ
各組成物を60℃て2時間硬化させて2mm厚のシート状試験片を作製した。
この試験片について、80℃のシリコン油中で高圧を印加し、絶縁破壊が生じる電圧を求めた。
【0041】
○:25kV/mm以上
×:25kV/mm未満
*耐冷熱サイクル性
直径60mmの金属シャーレに1/2インチの鉄製スプリングワッシャーをセットし、各組成物をワッシャーの上端まで注入し、60℃で2時間硬化させて試験片とした。その後、各試験片について、−40℃1時間と125℃1時間の冷熱サイクル試験を20サイクル行った後、試験片の状態を観察した。
【0042】
○:クラック無し
×:クラック発生
*硬度変化率
硬化物を125℃の炉中で2000時間放置後、室温に戻して硬度を測定し、室温での初期硬度に対する変化率を求めた。
【0043】
【表1】
Figure 0004592157
【0044】
以上の結果から明らかなように、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、含浸性が良好であって、硬化物は、耐熱性、耐冷熱サイクル性、高温時の絶縁破壊強さ等に優れたものとなる。

Claims (5)

  1. (i)酸価0.5以下、水酸基価200〜300のひまし油系ポリオールからなるポリオール成分、及び
    (ii)カルボジイミド化反応によって液状に変性され、リン含有量が5ppm以下、塩素含有量が10ppm以下のジフェニルメタンジイソシアネートからなるイソシアネート成分
    を含有する電気絶縁用ウレタン樹脂組成物であって、
    ポリオール成分とイソシアネート成分の混合比が、NCO/OHの当量比が0.8〜1.2の範囲となる割合である、電気絶縁用ウレタン樹脂組成物。
  2. カルボジイミド化反応によって液状に変性されたジフェニルメタンジイソシアネートが、ホスホレン系触媒の存在下にジフェニルメタンジイソシアネートをカルボジイミド化した後、非ハロゲン系停止剤を用いてカルボジイミド化反応を停止して得られたものである請求項1に記載の電気絶縁用ウレタン樹脂組成物。
  3. カルボジイミド化反応によって液状に変性されたジフェニルメタンジイソシアネートのNCO基含有量が4.5mmol/g〜7.5mmol/gの範囲内にある請求項1又は2に記載の電気絶縁用ウレタン樹脂組成物。
  4. 硬化物の硬度がASTM D50以上である、高圧トランス部品の樹脂封止用として用いられる請求項1〜のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかのウレタン樹脂組成物を用いて樹脂封止された電気部品。
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