JP4590291B2 - 光照射装置及び光伝達素子 - Google Patents

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Description

本発明は、工場等において光を照射して製品の傷やマーク検出等(総じて製品検査という)に用いられるスポット光照射装置やその種の光照射装置等に好適に使用されて光の均一化を行う光伝達素子に関するものである。
近時、この種の光照射装置の光源に、特許文献1等に示すように、ハロゲン光源に比べ、光度安定性、寿命、速応性等に優れ、コンパクト化が可能で低発熱であるLEDが用いられつつある。
特に、一定領域にできるだけ均一な照度で光を照射する目的で作られたスポット光照射装置と称される光照射装置においては、LEDからでた光量ムラのある光を、均一な面発光状態にするために、ケーシングの先端内部にロッドレンズと称される柱状の光伝達素子を設け、LEDからでた光をこのロッドレンズを通過させて光量ムラを減じ、外部に射出するようにしている。
このとき、ロッドレンズの基端面である光導入面に、LEDからでた光を集光させる必要があるが、通常の屈折レンズを用いた場合、その屈折レンズより外側に拡がる光を集めることができないため、光伝達効率の点で問題が生じる。これを考慮してLEDの周囲にさらに反射面を設けてLEDからでた光のほぼ全てを前方へ射出できるようにした光学ユニットを本発明者は開発中である。
特開2003-240721
ところがこのような構成において、一つの大きな問題として、ロッドレンズの軸方向の長さがある。ロッドレンズは長ければ長いほど内部での光の混ぜ合わせ効果が大きくなって光量ムラが減ぜられるが、実際の装置では長さ方向にもコンパクト化の要請があるため、光量ムラを十分に抑制できない場合がある。
また、もう一つの問題として効率がある。LEDが点光源と見なせるならば、設計どおりに全ての光をロッドレンズの端面に集めることが可能であるが、実際にはある程度の発光面積があるため、理論的な発光中心点以外の偏位した部位から出る光の一部に、拡がってロッドレンズの外側を通り、端面に到達しないものがどうしてもでてくる。
これに対して、ロッドレンズの径を単純に大きくする(太くする)ことが容易に考えられるが、ロッドレンズの径は光照射装置の先端取付部分の規格サイズ等からある程度定まっており、このように径方向に肥大化させる構成を採用することは難しい。
そこで本発明は、構造を肥大化させることなく、良好な光伝達効率または光量ムラ軽減が可能な製品検査用の光照射装置或いはそのような光照射装置に好適に用いられる光伝達素子を提供することをその主たる所期課題としたものである。
すなわち本発明にかかる光伝達素子は、基端面を光導入面、先端面を光導出面、側周面を内向きの反射面とし、前記光導入面から内部に導入した光を前記光導出面から射出するものであって、前記側周面に、内部を進む光が外部に漏れないように全反射される角度を限度として傾斜する凹凸面を形成していることを特徴とする。
このようなものであれば、例えば側周面が軸線と平行な従来のものと比べ、凹凸面によって内部の光がより多様な角度で反射するため、内部での光の均一化が促進される。つまり、前記従来のものと比べて、短い長さでも光量ムラを同等に減じることができコンパクト化を図れ、逆に従来のものと同等の長さであれば、光量ムラをより減じることができる。
また、本発明にかかる光伝達素子は、基端面を光導入面、先端面を光導出面、側周面を内向きの反射面とし、前記光導入面から内部に導入した光を前記光導出面から射出するものであって、前後の素材とは屈折率が異なる異屈折率層を、軸線を横切るように設け、その異屈折率層に接する互いに対向する端面を非平行にしていることを特徴とする。
このようなものであれば、異屈折率層を通過する時の屈折により、内部を進む光の進行方向の多様性が増し、光の混合が促進される。そのため、異屈折率層のない従来のものと比べて、短い長さでも光量ムラを同等に減じることができコンパクト化を図れ、また逆に従来のものと同等の長さであれば、光量ムラをより減じることができる。
特に光伝達素子が横断面円形状をなすものの場合は、光導出面においてリング状の光量ムラが生じやすいところ、異屈折率層に接するいずれか一方の面が、軸線を中心とする回転面とは異なる面であれば、このリング状の光量ムラを好適に解消できる。
また、本発明にかかる光伝達素子は、基端面を光導入面、先端面を光導出面、側周面を内向きの反射面とし、前記光導入面から内部に導入した光を前記光導出面から射出する横断面円形状をなすものであって、光導入面の一部又は全部を、軸線を中心に所定の線分を回転させてできる回転面とは異なる非回転凹凸面にしていることを特徴とする。
上述したように、光伝達素子が横断面円形状をなすものであると、光導出面においてリング状の光量ムラが生じやすいが、このようなものであれば、光導入面が非回転凹凸面であるため、リング状の光量ムラを好適に防止できる。
上述した各構成において、取付の制限から定まる先端部の径を維持しつつ、光導入面のみを大きくして、発光素子からでた光を効率よく導入できるようにするには、略一定径をなす先端部と、その先端部の基端側に連続して設けられ、光導入面に向かうに連れ徐々に断面が拡がっていく形状をなす拡開部とを備えているものが好ましい。加えてこのようなものであれば、従来の光伝達素子の取付部分の形状との共通化を図れるため、例えばケーシングによる保持構造を従来と変えることなく、そのまま流用することも可能になる。
なお、光伝達素子の側周面には、なんら加工を施さず、屈折率差により全反射させるようにしてもよいし、側周面に金属被膜を蒸着させたり、鏡面で覆ったりして光を反射させるようにしてもよい。
導入される光の結像作用が強い場合には、前記光導入面の中央部に光拡散処理を施し、その周囲を平滑面にすればよい。前記光導入面に湾曲凹面を形成すればその効果はより大きくなる。
また、本発明に係る光照射装置は、上述した構成の光伝達素子と、発光素子と、光学ユニットとを備え、発光素子から放射される光の向きを光学ユニットで変え、さらにその光学ユニットからでた光を光伝達素子に導入して通過させるものであり、前記光学ユニットが、発光素子から出る光のうち、光軸から所定角度以上外側に拡がる光である周囲光の略全部を内側に反射する反射要素と、それ以外の光である中心光の略全てを屈折させる屈折要素とを一体に備えた単一構造をなすものであることを特徴とする。
このようなものであれば、光伝達素子と同様に、光学ユニットも高効率でかつコンパクト化可能な構成であるため、これらの組み合わせにより、非常にコンパクトで高効率、かつ光量ムラの少ない光照射装置を提供することができる。
コンパクトでありながら発光素子からでた光を効率よく導入できるという効果が特に顕著になるのは、光導入面に導入される光に、進むに連れ光軸から離れる拡開光が含まれている場合が挙げられる。また、光学ユニットを通過した光の大部分が、進むに連れ光軸に近づく集約光であればなおよい。
このように構成した本発明によれば、構造を肥大化させることなく、良好な光伝達効率または光量ムラ軽減が可能な製品検査用の光照射装置或いはそのような光照射装置に好適に用いられる光伝達素子を提供することができる。
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態にかかる光照射装置1は、図1、図2に示すように、その先端面に形成した光導出面9bから光を照射するもので、ねじ送り機構8を介して互いに螺合し直列に締結された一対の筐体要素31、32からなる筐体3と、その筐体3に内蔵させた光源体2と、前記光源体2に外部から電力を供給する電気ケーブル5とを備えている。
光源体2は、図2に示すように、発光素子であるLED21とこれを保持する保持部材22とその保持部材22に取り付けられる光学ユニット4からなるものである。LED21と保持部材22とは、いわゆるパワーLEDパッケージとして一体化されたものである。
LED21は、所定時間連続して200mA以上(例えば、200mA〜2Aのものが好ましい)の電流を流すことが可能なものであり、単体でも従来のものに比して非常に大きな光量で発光する。保持部材22は前記LED21をダイボンディング等により搭載した金属製(例えば銅製)で熱伝導性の良好なブロック状の導体23と、前記導体23に外嵌してこれを支持する樹脂フレーム24と、前記LED21を保護するための透明半球状の樹脂モールド部25とを備えている。さらに本実施形態では、この光源体2がガラスエポキシ配線基板26を備えたものとし、この配線基板26を介して、前記LED21と電気ケーブル5との接続を行っている。配線基板26は、円環状をなすもので、その中心孔近傍に樹脂フレーム24を搭載し、前記光源体2の底面、より具体的には導体23の底面を露出させている。
光学ユニット4は、図2、図4、図5に示すように、基端から先端に向かうに連れ徐々に断面積が拡がるように形成した回転体形状をなす中実透明のボディ41と、そのボディ41の先端部外周縁に設けた鍔部46とを一体成型した透明樹脂製のものである。
このボディ41の基端面には、図4に詳細に示すように、前記LED21を収容するための凹部42が開口させてある。この凹部42は、前記モールド部25の外周にがたなく外嵌して、この光学ユニット4の光軸C上にLED21を位置づける。この凹部42の底面42aは、基端側に向かって膨らませた凸レンズ形状にしてあり、その側面42bは、光軸Cにほぼ平行である(製造や屈折の関係から基端側に向かうにつれ徐々に拡がるテーパ面としてもよい)。一方、前記ボディ41の先端面には、その中央部を膨出させることにより中央凸レンズ部43が形成してあり、この中央凸レンズ部43の周囲には、それとは異なる曲率のリング状凸レンズ部44が形成してある。さらに前記ボディ41の側面には、断面輪郭が放物線をなすように形成した反射要素である湾曲膨出面45が設けてある。
そして図5に示すように、前記LED21から射出された光のうち、凹部42の側面42bを通過した略全ての光が、前記湾曲膨出面45に到達し、そこで全反射されて前記リング状凸レンズ部44を介し、光軸Cに向かって互いに相寄る向きの光として外部に放射されるようにしてある。また一方で、前記LED21から射出された光のうち、凹部42の底面42aを屈折して通過した略全ての光が、前記中央凸レンズ部43を介し、やはり光軸Cに向かって互いに相寄る向きの光として外部に放射されるように構成してある。このことから底面42aと中央凸レンズ部43とが屈折要素として作用する。なお、これら各凸レンズ部43、44から出る光の集光位置が略同一位置となるようにしてある。
このようにして、LED21から射出され、ボディ41の先端面から外部へ放射される略全ての光が、ボディ41の先端面から所定距離離間した位置に設定した所定集光領域に収まり、なおかつその一定有効径内での照度が、略均一又は滑らかに変化するように構成している。この図5では、LED21から出た光線のうち、側方に進むものほど、光学ユニット4を出たときに間隔が狭くなっているが、LED21から出る光は、側方のものほど強度が弱いため、実際の照度は、前述したように略均一なものとなる。
筐体3は、図1、図2に示すように、回転体形状をなすもので、中心軸線Lを合致させて直列に結合した第1筐体要素31と第2筐体要素32とを有する中空多段円柱状をなす。そして外周に複数の有底溝を設けて放熱部である放熱フィンFを形成している。各筐体要素31、32はその結合部分に形成したねじ部81、82により互いに締結される。
第1筐体要素31は、前記軸線L方向に貫通する中心孔を有するもので、その中心孔は、基端部に形成した大径部31aと、その大径部31aの先端から段差をもって形成した中間孔部31bと、その中間孔部31bの先端から形成した小径部31cとからなる。大径部31aは、一定内径で、前記光学ユニット4の鍔部46の外周径と略同径をなし、これにほぼがたなく外嵌するものである。またその先端部には、めねじ部81が形成してある。中間孔部31bは、先端にいくほど径が小さくなる概略凹円錐形状をなすものである。小径部31cは中間孔部31bに連続して設けられた円筒状をなす一定内径のものである。そして、この小径部31cに光伝達素子である透明なロッドレンズ9を嵌め込み、その基端面である光導入面9aが前記光学ユニット4による集光位置又はその近傍になるように設定している。このロッドレンズ9は、詳細を後述するが、光源体2から射出された光を前記光導入面9aから内部に導き、内部を進行する光の光量ムラを減じて先端面に形成した光導出面9bから外部に導出する役割を果たす。
第2筐体要素32は、前記第1筐体要素31側に開口する有底穴32aを有した断面円形状のものであり、側周壁321及び底壁322からなる。この有底穴32aには、前記光源体2の略全部が収容され、鍔部46及び先端面は第1筐体要素31側へ突出するようにしてある。また側周壁321にはその厚み方向に貫通するケーブル挿通孔32bが設けてあり、このケーブル挿通孔32bを通って電気ケーブル5が外部から挿入され、LED21に接続するようにしてある。このケーブル挿通孔32bは側周壁321の先端にまで延びるU字切り欠き形状をなすものである。さらに側周壁321の先端部には、前記第1筐体要素31のめねじ部81に螺合するおねじ部82が設けてある。なお、図2の想像線に示すように、底壁322にさらに放熱フィンF2を設けてもよい。このようにすれば、LED21の直近に放熱フィンF2が位置することになり、より効率的に放熱を図れる。
さらに、本実施形態に係る光照射装置1は、各筐体要素31、32同士の螺合締結に伴う接近により前記光源体2を狭圧し固定する狭圧固定構造と、前記狭圧固定構造による固定に伴って光源体2の光軸Cを筐体3の軸線Lに合致させる位置決め構造とを備えている。
狭圧固定構造は、各筐体要素31、32に設けた互いに対向する一対の押圧面61、62を有してなり、各筐体要素31、32同士の螺合締結に伴う押圧面61、62の接近を利用して当該押圧面61、62間で前記光源体2を狭圧し固定するものである。第1筐体要素31に設けた押圧面61(以下第1押圧面61という)は、前記大径部31aと中間孔部31bとの間の段差を利用して形成してある。この第1押圧面61は第2筐体要素31側を向き、OリングR及び樹脂製ワッシャW(金属製でもよい)を介在させて、光学ユニット4の外周縁部である鍔部46を押圧する。第2筐体要素32に設けた押圧面62(以下第2押圧面62という)は、有底穴32aの底面がその機能を担う。この実施形態では、有底穴32aの底面(第2押圧面62)が、配線基板26の中心孔を貫通する平円柱状の例えば窒化アルミ等の電気絶縁性を有する熱伝導体Pを介して光源体2の導体23の底面を押圧する。配線基板26は有底穴32aの底面から離間し浮いた状態となるようにしてあるが、もちろん接しても構わない。
位置決め構造は、光源体2の狭圧固定に伴う光学ユニット4の基端凹部42と保持部材22のモールド部25との嵌合及び光学ユニット4の鍔部46と第1筐体要素31の大径部31aとの嵌合により、保持部材22に保持されているLED21、光学ユニット4の光軸C及び第1筐体要素31の軸線Lを合致させるものである。
加えて本実施形態では、図2、図3に示すように、前記ケーブル挿通孔32bの設けられた第2筐体要素32と光源体2との間に、当該筐体要素32に対する光源体2の回転を禁止する凹凸係合構造10を設けている。
この凹凸係合構造10は、軸線Lと平行に延びる突条101と凹溝102とを係合させたものである。突条101は、光学ユニット4における湾曲膨出面45の先端部の1箇所から外側に突出する唯一のもので、光学ユニット4の成型時に用いられるゲートがその役割を担うようにしている。凹溝102は、第2筐体要素32の側周壁321の先端から基端方向に延びる切り欠き状のものである。これら突条101と凹溝102とは嵌合して第2筐体要素32に対する光源体2の回転を禁止するが、一定範囲内での軸線L方向への光源体2の移動を許容する。
このように構成した光照射装置1の組み立て方法の一例について以下に述べる。
まず電気ケーブル5を光源体2の基板26に半田付け等により接続した後、光学ユニット4を除く光源体2を第2筐体要素32に挿入し仮設置しておく。このとき電気ケーブルは、ケーブル挿通孔32bの切り欠き部分から入れることができる。次に光学ユニット4の基端凹部42を樹脂モールド部25に外嵌させる。このとき光学ユニット4から突出する突条101を第2筐体要素32の凹溝102に嵌め込んでおく。さらにワッシャWを鍔部46に被せる。
一方、第1筐体要素31にはその大径部31aにOリングRを嵌め込んで第1押圧面61に接触または近接させておくとともに、その小径部31cにロッドレンズ9を嵌め込んで装着しておく。
この状態から、筐体要素31、32同士を締結する。すなわち第1筐体要素31を回転させることにより、そのめねじ部81を第2筐体要素32のおねじ部82に螺合させる。しかしてこれら筐体要素31、32同士がこの締結により互いに近づく過程で、第1押圧面61がOリングR、ワッシャWを介して鍔部46を第2筐体要素32側に押しつけ、その一方で第2押圧面62が熱伝導体Pを介して導体23の底面を第1筐体要素31側に押しつけるので、これら押圧面61、62によって光源体2が狭圧固定される。
また、締結過程で光学ユニット4の基端凹部42と保持部材22のモールド部25とがしっかりと嵌合し、さらに光学ユニット4の鍔部46と第1筐体要素31、32の大径部31aとが嵌合するため、保持部材22に保持されているLED21の中心、光学ユニット4の中心軸(光軸)C、第1筐体要素31の軸線Lが合致することとなる。
なお筐体要素31、32同士が締結されるべき所定締結位置は、図2に示すように、第1筐体要素31の基端面311が、第2筐体要素32の外周に設けた段部323に当接することで規定されるようにしてあって、このことにより、光源体2とロッドレンズ9との軸線L方向の離間距離が一定に保たれる。またこの所定締結位置ではOリングRは若干弾性変形をし、光源体2に押圧付勢力を与えてがたがでないようにこれを保持する。そしてこのような構成により、締結トルクを厳密に管理することなく、光源体2をがたなく、しかも過大な狭圧力が作用しない範囲で保持することができるよう図っている。
一方、締結による第1筐体要素31の回転で、すなわち第1押圧面61の回転で、その力を受圧する光源体2にも回転力が作用することになるが、本実施形態によれば、第2筐体要素32に対する光源体2の回転を禁止する凹凸係合構造10により、光源体2が回転することはないため、光源体2と電気ケーブル5の接続部分に無理な力が作用することなく、組み立てによる断線や接触不良の不具合を回避することができる。さらに、突条101を専用に設けることなく、成型時のゲートを利用しているので、製造に大きな負担が増加することもない。
また、この実施形態では、図2に示すように、前記所定締結位置において、第1筐体要素31の先端部が、ケーブル挿通孔32bの一部に重なり合うように構成してあり、その重合する先端部によりケーブル挿通孔32bを通る電気ケーブル5を押圧するようにしている。一方で前記電気ケーブル5の周囲には保護部材51を設けてあり、前記先端部による押圧により、保護部材51及び電気ケーブル5が変形してケーブル挿通孔32bと当該先端部に密着するようにしている。
このことにより、電気ケーブル5がケーブル挿通孔32bにおいて狭圧保持されるため、組み立て後、電気ケーブル5に多少の引張力や押込力が作用しても、光源体2との接続部分に無理な力が作用することなく、このことによる断線や接触不良の不具合をも回避することができる。さらに、狭圧保持される電気ケーブル5によりケーブル挿通孔32bが完全に閉鎖されるため、このケーブル挿通孔32bからの光漏れの不具合も防止することができるようになる。
また、ワッシャWを設け、鍔部46とワッシャWとの間で滑りを生じるようにしているため、第1筐体要素31を回転させても、OリングRを挟み込んでいる第1押圧面61とワッシャWとがOリングRとともに連れ回りし、無理な摩擦力が作用しない。したがって、締結しにくくなったり、その摩擦に起因して弾性部材が捩れたり脱落したりすることを防止できる。もちろん、ワッシャWとOリングRとの位置関係を逆にしてもよい。
このように本実施形態にかかる光照射装置1によれば、組み立てが非常に簡単で、その際に光源体2の固定及び位置決めが同時にできるという利点を損なうことがないうえ、電気ケーブル5の断線等を回避できることをはじめとする種々の効果を得ることができる。
一方、本実施形態に係る光照射装置1のもう一つの特徴は、ロッドレンズ9にある。
このロッドレンズ9は、上述したように、基端面を光導入面9a、先端面を光導出面9b、側周面9cを内向きの反射面とし、前記光導入面9aから内部に導入した光を前記光導出面9bから射出する柱状をなすものである。そして、等断面形状をなす先端部91と、その先端部91の基端側に連続して設けられ、光導入面9aに向かうに連れ徐々に断面が拡がっていく形状をなす拡開部92とを備えていることを特徴とする。
より具体的には、先端部91は円柱状をなし、前記第1筐体要素31の小径部31cに嵌め込まれる。そして図5、図6に示すように、その側周面9cには、ロッドレンズ9の軸線C1に対して、内部を進む光が外部に漏れないように全反射される角度を限度として傾斜する凹凸面9c1を形成している。この凹凸面9c1は、なだらかに起伏する湾曲面である。その他に、凹部(又は凸部)がスパイラル状に現れるような構成等も考えられる。
拡開部92は、切頭円錐形状をなし、中間孔部31b内に位置する。光導入面9aは、部分凹球面状に形成してあり、かつ平滑面にしてある。一方、光導出面9bには、拡散効果が営まれるようにわずかに表面を荒く仕上げてある。
このようなものであれば、例えば側周面が軸線と平行な従来のものと比べ、凹凸面9c1によって内部の光がより多様な角度で反射するため、内部での光の均一化が促進される。つまり、前記従来のものと比べて、短い長さでも光量ムラを同等に減じることができコンパクト化を図れ、逆に従来のものと同等の長さであれば、光量ムラをより減じることができる。
その一例を示すと、LEDからでた光の強度の角度分布(指向性)が、例えば図7(a)のように表され、不均一な場合でも、このロッドレンズを出た光の指向性は同図(b)のように改善され、ムラのない高品質な光に変換できる。
また、このロッドレンズ9は、円柱状の既存のロッドレンズに比べ、拡開部92によって光導入面9aが大面積となる。したがって、より多くの光を導入することができるという利点を有する。特にLED21が理想的な点光源であるならば、前記図5に示すように、光学ユニット4を利用して全ての光を光軸Cに近づく向きの光にすることができるが、実際にはLED21が完全な点光源とは見なせないことから、図6に示すように、光軸Cから偏位する部位から発した光の一部に、光軸Cから離れる拡開光が必ず含まれることになる。しかして光導入面9aが大面積であることから、このような拡開光もロッドレンズ9の内部に取り込むことができ、この部分での光量をロスを抑えて光伝達効率を向上させることができる。
さらに、光学ユニット4をでた光は、拡開光を一部に含むものの、全体から見れば光軸Cに近づく集約光系の光である。しかして光導入面9aを凹面状にしていることから、集約光系の光がロッドレンズ9の内部に進入する際に外側に屈折して結像作用が大幅に減ぜられ、広げられてぼかされるため、逆に言えばその内部での光の均一化をロッドレンズ9の長さが短くとも、十分に促進することができる。また、この光導入面9aの中央部には面を粗く仕上げた光拡散処理が施してあるため、光学ユニット4の屈折要素42a、43を通過した結像性を有する光のみを効果的に拡散して光量ロスを最小限にしつつ光量ムラをさらに減じることができる。
加えて、先端部91の形状は、従来のロッドレンズと同形状をなしているため、前記第1筐体要素31の小径部31cを特に従来のものから改造する必要もない。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
ロッドレンズに関して言えば、図8に示すように、前後の素材とは屈折率が異なる異屈折率層93を、軸線C1を横切るように設け、その異屈折率層93に接する互いに対向する端面93a、93bを非平行に構成したものが考えられる。この異屈折率層93は、空気等の気体を充填して形成しているが、その前後の素材とは別の透明中実素材で形成しても良い。また、この異屈折率層93における側周からの光漏れ防止や保持のために、異屈折率層93とその前後の所定部位に亘る側周面9cに、内周面を反射面とする筒状のミラー部材Hを外嵌させている。なお、同図において前記実施形態に対応するものには同様の符号を付している。
より具体的には、図7(a)では、一方の端面93aを軸線C1に垂直な平面とし、他方の端面93bを軸線C1に斜めの平面にした例を示している。同図(b)では、一方の端面93aを軸線C1に垂直な平面とし、他方の端面93bをなだらかな複数の凹凸を有した面にした例を示している。同図(c)では、一方の端面93aを軸線C1に垂直な平面とし、他方の端面93bを、凹面(軸線に非対称な円錐状の凹面)にした例を示している。
このようなものであれば、前記端面93bで光が多様な方向に屈折し、その配光特性が変えられるので、ロッドレンズ9の内部で、光をより均一に分散させることができる。ただし、端面93a、93bの傾斜角度は、その端面93a、93bで屈折した光が側周面9cで全反射されるように設定しておくことが望ましい。屈折した光の軸線に対する角度が大きくなりすぎると、屈折後の光が、側周面で全反射せずに外部に漏れ、光伝達効率が低下するからである。もちろん、どのような端面形状にするかは、図7に示されたもののみならず、導入された光に応じて適宜設定すればよいが、この図7の各例のように、端面93a、93bの少なくともいずれかが、所定の線分を軸線を中心として回転させてできる面とは異なる非回転面であると、断面円形状のこの種のロッドレンズ9に生じやすい環状の光量ムラを好適に解消することができる。
さらに、同様な考え方から、ロッドレンズの光導出面(先端面)や導入面(基端面)を、前記図7の端面のように、軸線に垂直な平面とは異なる面にしてもよい。この場合でも、光導入面や光導出面の一部又は全部を、軸線を中心に所定の線分を回転させてできる回転面とは異なる非回転凹凸面にしておけば、断面円形状のこの種のロッドレンズに生じやすい環状の光量ムラを好適に解消することができる。
また、図7に示すように、必ずしも拡開部は必要なく、ロッドレンズを等断面の柱状をなすものにしてもよい。その他の態様としては、光導入面の中央部のみを湾曲凹面にしてもよいし、その中央部に光拡散処理を施すようにしてもよい。また、湾曲凹面は、球面に限られず、非球面であってもよい。
さらに、ロッドレンズは、断面が円形状のものに限られず、多角形状のものでもよいし、拡開部は切頭円錐形状のように直線的に拡がる形状に限られず、湾曲しながら拡がっていくような形状でもよい。
加えて、前述したロッドレンズの各部構成を適宜組み合わせれば、その効果が重畳されてさらに顕著なものとなる。
ロッドレンズ以外の構造に関して言えば、凹凸係合構造は、必ずしも突条101と凹溝102との組み合わせに限られず、それらを含めた凹部と凸部による係り合い構造であればよい。もちろん、突条を筐体要素側に設け、凹部を光源体側に設けてもよいし、それらを複数組設けても構わない。さらにそれらを設ける部位も、例えば、光源体の光学ユニットのみならず、基板や保持部材に設定するなどしてもよい。
加えて言えば、前記ケーブル挿通孔32bが切り欠き形状をなし、第2筐体要素32の先端に開口していることから、これを利用し、このケーブル挿通孔32bに凹溝の機能を担わせて、前記突条101をケーブル挿通孔32bの先端部に嵌め込むようにしてもよい。このようにすれば、専用の凹溝が不要になり、さらなる構造簡易化とコストダウンを図れる。
さらに、例えば、OリングRの代わりにコイルバネを用いるなどしてもよいし、狭圧構造はLEDの形態や筐体の形態によって変更可能であるのは言うまでもない。
また、基板26も場合によっては不要にできる。熱伝導体も窒化アルミに限られない。例えば第2筐体要素32の有底穴の底面(第2押圧面)から一体或いは別体で突出部を突出させ、先端面と光源体との間に薄い絶縁膜(例えば、熱伝導性の良い薄い絶縁シートなどが挙げられる。)を介在させて光源体を押圧するようにしてもよい。もちろん本光照射装置は照明用のみならず、例えば化学反応を促進させるような用途に用いても構わない。
その他本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の一実施形態における光照射装置の先端側から見た正面図。 図1におけるA−A線断面図。 図2におけるB−B線断面図。 同実施形態における光学ユニットを示す側面図。 同実施形態における光学ユニット内を進む光を示す光線図。 同実施形態においてLEDの中心から偏位した部位からでた光がロッドレンズに導入される軌道を示す光線図。 同実施形態においてLEDからでた光の指向性がロッドレンズを通過して改善される一例を示す指向性変化説明図。 本発明のロッドレンズの他の実施形態を示す縦断面図。
符号の説明
21・・・発光素子(LED)
4・・・光学ユニット
9・・・光伝達素子(ロッドレンズ)
9a・・・光導入面
9b・・・光導出面
9c・・・側周面
9c1・・・凹凸面
91・・・先端部
92・・・拡開部
93・・・異屈折率層
93a、93b・・・端面

Claims (5)

  1. 発光素子と、該発光素子から放射される光の向きを変える光学ユニットと、該光学ユニットからでた光を基端面に設定した光導入面から導入して先端面に設定した光導出面から射出する光伝達素子と、これら発光素子、光学ユニット及び光伝達素子を収容する筐体とを具備した光照射装置であって、
    前記光伝達素子が、その側周面を内向きの反射面とするとともに該側周面に湾曲する凹凸面を形成し、該光伝達素子の半径が軸線方向に進むにつれ拡縮するように構成した略一定径の中実柱状をなす先端部と、その先端部の基端側に連続して設けられ、光導入面に向かうに連れ徐々に断面が拡がっていく形状をなす中実の拡開部とを備えたものであり、
    前記筐体の先端部が、前記光伝達素子の先端部に外嵌してこれを保持する円筒状のものであり、該筐体の先端部内周面が縦断面において直線状をなし、前記光伝達素子の側周面に点又は線接触していることを特徴とする光照射装置。
  2. 前記光導入面の中央部に光拡散処理を施し、その周囲を平滑面にしている請求項1記載の光照射装置。
  3. 前記光学ユニットが、発光素子から出る光のうち、光軸から所定角度以上外側に拡がる光である周囲光の略全部を内側に反射する反射要素と、それ以外の光である中心光の略全てを屈折させる屈折要素とを一体に備えた単一構造をなすものである請求項1又は2記載の光照射装置。
  4. 前記光導入面に導入される光に、進むに連れ光軸から離れる拡開光が含まれている請求項1乃至3いずれか記載の光照射装置
  5. 前記光学ユニットを通過した光の大部分が、進むに連れ光軸に近づく集約光である請求項1乃至4いずれか記載の光照射装置。
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