JP4590121B2 - キャップ螺合式容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャップ螺合式容器、特にネジキャップを螺合するキャップ螺合式容器の口部外周構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラスコップ状の広口容器に清酒等を充填密封し、該容器から直接内容液を飲むようにした容器が広く流通している。このような容器は、容器の口部に唇を当てて飲む際の違和感を生じさせないために、口部外周面に蓋装着用のネジは形成されてなく、容器口の先端部に蓋装着のためのリング状凸部を設けてあるだけであり、口当たりの良い構造となっている。そして、これに対応するキャップは、アルミ蓋のスカート壁に破断可能なスコアを施し、該スカート壁をリング状凸部に巻締することにより密封装着する構造となっており、開封に際してはその巻締部(スカート壁)をスコアから破断することによって蓋と容器口部の装着を解くようになっている。そのため、蓋は開封後に再使用することはできず、飲み残しが生じてもリシールすることができない欠点がある。
【0003】
リシールできるようにするためには、広口容器とキャップをネジで螺合するようにすることが考えられるが、容器口部外周にネジを形成するとネジ山が唇に当たり違和感を与えるので好ましくなく、従来殆ど採用されていない。そのため、従来容器口から直接飲料を飲むようにした広口容器において、飲むときの容器口部の唇への当たりを良くするためにリシール性を犠牲にするか、或いは、直接飲むときの口当たり性を犠牲にして、ネジを形成してリシールできるようにするか、何れかであり、両者を満足するように工夫された容器は提供されてない。
【0004】
また、ボトル口から直接飲料を飲むような広口容器に限らず、ネジ付き容器の場合、中栓やキャップを付けないで瓶口から直に内容液を注出すると、内容液がトンカツソース等の粘度の高いものであると、注出後に内容液がネジ部にこびり付き不衛生である。また、これを拭き取ろうとしてもネジがあるので、きれいに拭き取れない欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記従来の容器の欠点を解消しようとするものであって、特に広口ボトル等の広口容器において、容器口から直接飲用する際に唇に違和感を与えることなく飲むことができ、しかも飲み残しが生じてもリシールすることができ、また粘度の高い内容液を充填するキャップ螺合式の容器において、注出時の後ダレによって内容液がネジ部にこびりつくことがなく、たとえ後ダレがあってもきれいに拭き取ることができるようにした口部を有するキャップ螺合式容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決する本発明のキャップ螺合式容器は、容器口部外周にネジを有してキャップを螺合できるようにしたキャップ螺合式容器において、前記ネジを、容器口外周のほぼ1/3以内の範囲で且つθ≧50/D(但し、Dは容器口部外径mm、θはネジ切欠部の円弧角ラジアン)の条件を満たすように切り欠いて、容器口部外周にネジのないネジ切欠部を設けたことを特徴とするものである。前記キャップ螺合式容器は、容器から直接内容液を飲むようにした飲用リシール容器として好適であり、その場合前記ネジ切欠部が唇当て部となるようにする。また、前記キャップ螺合式容器が、粘度の高い内容液を注出する高粘度内容液注出用リシール容器としても好適であり、その場合は前記ネジ切欠部が、内容液注出部となるようにする。
【0007】
そして、本発明のキャップ螺合式容器は、前記ネジ切欠部が、容器口外周のほぼ1/3の範囲内で且つ50/D≦θ≦140/Dの条件を満たし、また口部外径が30mm以上である広口容器であることがより望ましい。特に、口部外径が40mm以上の容器において好適である。この実施形態では、ねじが1巻き以上に形成され、ねじ切欠部5は軸方向全体に亘って設けられているが、ねじが軸方向に複数巻に形成されている場合は、ネジ切欠部は軸方向で上方のネジのみを切り欠いて形成することも可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図面は、清酒等の飲料内容液を直接容器から飲用できるようにした広口のガラス瓶からなる飲用リシール容器の実施形態を示し、図中1は容器本体、2は容器口部である。該容器口部2の口部外径は、飲料時の通常の形態で容器口部を唇で挾んで飲用できる十分な大きさを有し、その外周部にほぼ1〜2.5巻のネジ3が形成されている。該ネジ3は、図1に示すように、通常のネジ山が形成されているネジ部4と、唇が当たる部分にはネジ山が存在しないように、ネジの途中でネジ山を切り欠いたネジ切欠部5とからなる。該ネジ切欠部5を容器から直接飲料を飲むときの唇当て部とする。
【0009】
ネジ切欠部5の大きさは、容器の口部外径によって変化し特に限定されないが、飲料を飲むときネジ山が邪魔にならない範囲以上であり、且つ蓋螺合時に蓋が傾くことなく良好に螺合できる範囲でなければならない。それらの条件のうち、唇にネジ山が当たらない範囲として、前記ネジ切欠き部の範囲は、容器口部外径D(mm)と切欠けの円弧角θ(ラジアン)との関係が、50/D≦θ≦140/Dを満たしていることが望ましい。そして、容器口に直接唇を当てて飲むには、容器口外径Dが30mm以上の広口容器であることが望ましい。円弧角θが50/Dよりも小さいと、唇当て部として十分な大きさを確保することができない。また、140/Dよりも大きいとネジ切欠部の範囲が大きくなり過ぎて蓋装着時に不安定となる。より望ましい範囲は、60/D≦θ≦120/Dを満たし、口径が40mm以上である。さらに、ネジ切欠き部を有していても蓋螺合時に蓋が傾くことなく螺合でき、螺合後も確実にシール性を維持できるようにするためには、本発明者の実験によればネジ切欠き部がネジ全周の1/3以内の範囲であればよいことが確認された。
【0010】
図1に示す実施形態では、容器本体の口部外径Dが45mmであり、ネジ切欠部の円弧角θが120°に形成されている。従って、ネジ切欠部の円弧長が約47mmもあり、該ネジ切欠部に唇を当てて飲むことによって、唇がネジ部に触れることがなく、従来の蓋巻締式容器と同様に違和感なく飲むことができる。そして、飲み残しが生じた場合は、蓋を再度螺合して装着することによって、リシールすることができ、持ち運びや保管することができ、従来のこの種容器の欠点を解消することができる。
【0011】
上記実施形態では、容器口に形成したネジは一条ネジであるが、ネジは1条ネジに限らず、2条ネジ等の多条ネジであってもよいが1.5巻以上が望ましい。また、該容器に対応するキャップ10は、容器口のネジに合わせて1条又は多条の全周ネジを設けたものを採用する。全周ネジを有するキャップを採用することによって、容器口部にネジ切欠部があっても、蓋装着時の蓋の位置合わせを必要とすることなく、スムーズに螺合することができる。図2は、キャップ10を螺合した状態を示している。
【0012】
本実施形態の容器は、以上のように構成され、ネジ切欠部を上記範囲に形成することによって、容器本体にネジ切欠部があっても、蓋の装着には何ら支障を生じることなく良好に装着できる。そして、容器の密封は、容器口の頂部と蓋の天面内部に設けられたシール材とが密着することによって図られるので、ネジ切欠き部があっても密封が損なわれることはない。
【0013】
また、本発明は、直に飲用する内容液の容器に限らず、豚カツソース等の粘度の高い調味液等の高粘度内容液注出用リシール容器に適用することによって、衛生的に優れた容器を得ることができる。即ち、本発明の容器の口部は、蓋をネジ式に装着する容器でありながら、所定範囲でネジ切欠部を有するので、該ネジ切欠き部から内容液を注出することによって、内容液がネジにこびり付いて不衛生となることがない。また、たとえネジ切欠部に内容液が付着したとしても、ネジがなく平坦面であるので簡単にきれいに拭き取ることができ、常に清潔に保つことができる。なお、高粘度内容液注出用リシール容器としては、必ずしも広口容器である必要はなく、任意の口径の容器に適用できる。
【0014】
上記実施形態では、キャップ螺合式容器としてガラス瓶の場合に適用した場合を示したが、本発明はガラス瓶に限らず、プラスチックボトル等その材質は特に限定されない。また、該容器に適用されるキャップもその材質が限定されるものでなく、プラスチック製又は金属製何れであってもよい。さらに、容器の形状も上記実施形態に限るものでなく、任意の形状にものが採用できる。
【0015】
また、上記実施形態のものでは、流通段階での不正開栓の有無を判別するためのタンパーエビデント機能を備えてないが、上記キャップのスカート壁下端にタンパーエビデントバンドを公知の手段によって弱化線を介して設けることも可能である。その場合、容器本体の口部下方には、タンパーエビデントバンドに形成されている係合フィン等の係合部が係合する顎部を形成する必要があるが、顎部は口部の下端全周が縮径となるように形成することによって、容器から直接飲用する場合唇が顎部に当たっても違和感を感じることがなく、また、内容液注出時に顎部に内容液が付着しても簡単に拭き取ることができるから、上記目的達成に支障を生じることはない。このように、キャップにタンパーエビデントバンドを設けることによって、従来口部全体をプラスチックフィルム等で包装することによってタンパーエビデント機能を持たせていたリシール可能な広口容器も狭口容器と同様にキャップの装着のみでタンパーエビデント機能を持たせることができる。
【0016】
【発明の効果】
以上のように、本発明のキャップ螺合式容器によれば、容器口から直接飲料液を飲むに際して唇に違和感を与えることなく飲むことができ、しかも飲み残しが生じてもリシールすることができる。また粘度の高い内容液を充填するキャップ螺合式容器において、注出時の後ダレによって内容液がネジ部にこびりつくことがなく、たとえ後ダレがあってもきれいに拭き取ることができる等衛生的であり、従来のキャップ螺合式容器の欠点を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るキャップ螺合式容器を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。
【図2】図1のキャップ螺合式容器のキャップを螺合した状態での一部破断正面図である。
【符号の説明】
1 容器本体 2 容器口部
3 ネジ 4 ネジ部
5 ネジ切欠部 10 キャップ
Claims (6)
- 容器口部外周にネジを有してキャップを螺合できるようにしたキャップ螺合式容器において、前記ネジを、容器口外周のほぼ1/3以内の範囲で且つθ≧50/D(但し、Dは容器口部外径mm、θはネジ切欠部の円弧角ラジアン)の条件を満たすように切り欠いて、容器口部外周にネジのないネジ切欠部を設けたことを特徴とするキャップ螺合式容器。
- 前記ネジ切欠部が、少なくとも軸方向で上方のネジを切り欠いて設けられた請求項1に記載のキャップ螺合式容器。
- 前記ネジ切欠部が、軸方向全体に亘って設けられた請求項1に記載のキャップ螺合式容器。
- 前記キャップ螺合式容器が、容器から直接内容液を飲むようにした飲用リシール容器であり、前記ネジ切欠部が唇当て部となるようにした請求項1〜3何れかに記載のキャップ螺合式容器。
- 前記キャップ螺合式容器が、粘度の高い内容液を注出する高粘度内容液注出用リシール容器であり、前記ネジ切欠部が、内容液注出部となるようにした請求項1〜3何れかに記載のキャップ螺合式容器。
- 前記ネジ切欠部が、容器口外周のほぼ1/3以内の範囲内で且つ50/D≦θ≦140/Dの条件を満たし、また口部外径が30mm以上である広口容器である請求項1〜5何れかに記載のキャップ螺合式容器。
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