JP4589570B2 - ベッド材循環装置及び流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術的分野】
本発明は、流動層ボイラにおけるベッド材循環装置及び流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電所やゴミ焼却炉等において、石炭やゴミ等の燃料を流動化させ効率よく燃焼させる流動層ボイラが研究開発されている。流動層ボイラを用いることにより、流動層ボイラ内に配設した伝熱管から発生する蒸気で駆動する蒸気タービン発電システムを構築できる。また、コンプレッサからの空気で加圧することによりボイラ内の酸素分圧を高めた状態の下で燃料を流動化させ燃焼させる加圧流動層ボイラを用いることにより、蒸気タービン発電に加え、ボイラの燃焼排ガスを利用するガスタービン発電とを組み合わせて熱効率を向上させた複合発電システムを構築できる。
流動層ボイラでは、石灰石やドロマイト等の脱硫剤が流動層を構成する流動媒体として使用されている。流動層ボイラ内の流動媒体の量や粒子径等を制御し流動層高を制御することによって発電システムの出力制御を行うことができ、出力が高い場合には炉底部に滞留したベッド材を炉底部から抜き出して燃焼制御や流動制御等がされる。炉底部から抜き出されるベッド材には、未反応の炭酸カルシウムや未燃炭等が含有されているとともに、多くの微細な亀裂を有しており比表面積が大きくなっているため、これらを再利用すれば脱硫剤の有効利用率を向上させて脱硫率を向上させることができる。そのために、ベッド材を再利用するためのベッド材循環装置が研究開発されている。
【0003】
従来のベッド材循環装置としては、実開平3−128208号公報(以下、イ号公報という)に、「サイクロンで分離された灰塵、未燃炭あるいはベッド材等の固形物を排出する固形物排出口を流動層ボイラの流動層形成部に結び、分離された灰塵、未燃炭等を再導入するための導入通路を形成した加圧流動層ボイラ」が開示されている。
【0004】
実開平6−65709号公報(以下、ロ号公報という)に、「余剰のベッド材が排出されるベッド材排出管と、排出されたベッド材が貯蔵される補充ベッド材容器と、を備え、流動層を形成するためのベッド材が不足するときに補充ベッド材容器からボイラ本体の流動層にベッド材が補給される加圧流動層ボイラ」が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)イ号公報に開示の技術は、サイクロンで分離された灰塵、未燃炭あるいはベッド材等の固形物を流動層内へ再導入しているが、炉底部から抜き出されたベッド材は廃棄している。そのため、所望の脱硫率を得るためには大量の脱硫剤を供給しなければならず(所要Ca/Sモル比は目標の3以下に対し6程度)、脱硫剤の有効利用率が低いという課題を有していた。
(2)ロ号公報に開示の技術は、余剰のベッド材が排出されるベッド材排出管と、排出されたベッド材が貯蔵される補充ベッド材容器と、を備えているので、炉底部から抜き出されたベッド材を流動層へ再導入することができる。しかし、ベッド材は燃料と別の系統を用いてボイラ本体に補給されるので、ボイラに供給直後に燃料が揮発して発生する高濃度のSOxをベッド材が効率よく捕捉することができず、ベッド材を脱硫剤として有効に利用できないという課題を有していた。
(3)流動層を形成するためのベッド材が不足するときにのみ補充ベッド材容器からボイラ本体の流動層にベッド材を補給するので、炉底部から抜き出された炉底灰の循環量は十分でなく有効利用率が依然として低いという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ベッド材を再利用して脱硫剤の有効利用率を向上させるとともに脱硫率も向上させることができ、また既存の設備も有効に利用することができ設備負荷の小さなベッド材循環装置を提供することを目的とする。また、本発明は、脱硫剤の使用量を低減し脱硫剤の有効利用率を高める流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために本発明のベッド材循環装置及び流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法は、以下の構成を有している。
【0008】
本発明の請求項1に記載のベッド材循環装置は、流動層ボイラと、前記流動層ボイラに燃料を供給する燃料供給装置と、前記流動層ボイラの炉底部に一端部が接続され前記炉底部に滞留したベッド材を抜き出すベッド材抜出管と、前記ベッド材抜出管に配設されたベッド材を系外に排出する分岐弁と、前記ベッド材抜出管の他端部に接続され燃料調整装置に前記ベッド材を搬送・供給するベッド材搬送路と、抜き出した前記ベッド材を秤量して燃料と混合して前記燃料供給装置に送る前記燃料調製装置と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ベッド材搬送路によってベッド材が供給される燃料調整装置を有しており、燃料に混合されてベッド材が流動層ボイラに供給されるので、未反応の炭酸カルシウムが含有されているとともに多くの微細な亀裂を有し比表面積の大きなベッド材が、供給直後に燃料が揮発して発生する高濃度のSOxを効率よく捕捉することができ、脱硫率を向上させることができるとともにベッド材を脱硫剤として有効に利用することができる。
(2)ベッド材搬送路を有しているので、脱硫剤の一部をベッド材で置き換えることができ、脱硫剤の使用量を低減し脱硫剤の有効利用率を高めることができる。
(3)既存の流動層ボイラのベッド材抜出管から抜き出されたベッド材を搬送するベッド材搬送路を配設するだけの小規模な改良によって、脱硫剤の有効利用率を高めることができる。
(4)分岐弁を有しているので、ベッド材の循環量が増加し燃焼排ガス中への飛散量が増加し適正な流動層高が維持できなくなる場合には、分岐弁を作動させてベッド材を系外に排出することができ操作性に優れる。
【0009】
ここで、ベッド材としては、流動層ボイラに供給されたCaCO3(又は石灰石),MgCO3(又はドロマイト)の他、CaO(生石灰),Ca(OH)2(消石灰),K2CO3,貝殻等のカルシウムを含む水産廃棄物,セメントスラッジ等の脱硫剤や、石炭,亜炭,褐炭,瀝青炭,コークス,石油コークス,オイルコークス,オイルサンド,重質油,石炭液化残渣,ゴム,古タイヤ,廃油,一般ゴミ,一般廃棄物,木質物,炭化物,RDFやその他の炭化物,木屑,産業廃棄物,食品工場や農業等で排出される有機残渣物,下水汚泥,し尿処理汚泥,工業廃水処理汚泥等やこれらの混合物である固体燃料の燃焼灰が用いられる。
【0010】
また、燃料供給装置としては、石炭等の固体燃料と石灰石やドロマイト等の脱硫剤等と水とを湿式混合してペースト化した燃料スラリーを調整する燃料スラリー調整装置、固体燃料と脱硫剤等とを乾式混合しロックホッパを介して流動層ボイラ内へ供給する燃料供給ホッパ等が用いられる。
【0011】
ここで、燃料調整装置へ供給され石灰石等の脱硫剤と置き換えられるベッド材の置換量としては、1〜50wt%好ましくは5〜30wt%が好適に用いられる。置換量が5〜30wt%のときは、流動層高の維持が容易であるとともに脱硫率を向上させるができるため好ましい。置換量が5wt%より少なくなるにつれ脱硫率を向上させる効果が低下する傾向がみられ、30wt%より多くなるにつれ燃焼排ガス中への飛散量が増加し流動層高の維持が困難になる傾向がみられるため好ましくない。特に、1wt%より少なくなるか50wt%より多くなると、これらの傾向が著しくなるためいずれも好ましくない。
【0012】
本発明の請求項2に記載の流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法は、請求項1に記載の流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法であって、前記流動層ボイラの炉底部に接続されたベッド材抜出管から前記炉底部に滞留したベッド材を前記分岐弁を介して抜き出すベッド材抜出工程と、前記ベッド材抜出工程で前記分岐弁を介して抜き出された前記ベッド材を燃料調整装置に搬送・供給するベッド材搬送工程と、前記ベッド材抜出工程により前記分岐弁を介して抜き出した前記ベッド材を前記燃料調整装置で秤量し燃料と混合して前記流動層ボイラに燃料を供給する前記燃料供給装置に送る燃料調整工程と、前記ベッド材抜出工程で前記分岐弁を介して抜き出された前記ベッド材を系外に排出するベッド材排出工程と、を備えており、前記ベッド材抜出管により前記分岐弁を介して抜き出され燃料と混合された前記ベッド材を前記流動層ボイラへ供給し循環することによって脱硫剤を5〜30wt%置換している構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)抜き出されたベッド材を燃料調整装置に搬送・供給するベッド材搬送工程を有しているので、燃料に混合されてベッド材が流動層ボイラに供給され、供給直後に燃料が揮発して発生する高濃度のSOxをベッド材が効率よく捕捉することができ、ベッド材を脱硫剤として有効に利用することができる。
(2)脱硫剤の一部をベッド材で置き換えることができ、脱硫剤の使用量を低減し脱硫剤の有効利用率を高めることができる。
(3)5〜30wt%の脱硫剤がベッド材と置換されることで、流動層高の維持が容易であるとともに脱硫率を向上させることができる。
(4)分岐弁を有しているので、ベッド材の循環量が増加し燃焼排ガス中への飛散量が増加し適正な流動層高が維持できなくなる場合には、分岐弁を作動させてベッド材を系外に排出することができ操作性に優れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1におけるベッド材循環装置の要部構成図である。
図中、1はコンプレッサ10からの圧縮空気が供給される圧力容器、2は圧力容器1に内設され圧力容器1内に取り入れられた圧縮空気が底部から供給される加圧流動層ボイラ、2aは加圧流動層ボイラ2の流動層2b内に配設された伝熱管、3は加圧流動層ボイラ2の頂部に配設された燃焼排ガス流路、4は燃焼排ガス流路3の出口に配設されたサイクロン等の1次脱塵装置、5は1次脱塵装置4で1次脱塵された1次脱塵ガス流路、6は1次脱塵ガス流路5を流れる1次脱塵ガスの脱塵を行うサイクロン等の2次脱塵装置、7は2次脱塵装置6で脱塵された清浄ガスの清浄ガス流路、8は清浄ガスによって駆動されるガスタービン、9は発電機、10はコンプレッサ、11は石炭等の燃料と石灰石等の脱硫剤と水等とが混合されてペースト化された燃料スラリーを調整及び貯留する燃料調整装置としての燃料スラリー調整装置、12は燃料スラリー調整装置11に接続され加圧流動層ボイラ2に燃料スラリーを輸送するスラリーポンプ、13は一端がスラリーポンプ12に接続され他端が燃料スラリーを加圧流動層ボイラ2内に噴射するスラリー噴射ノズル(図示しない)に接続されたスラリー供給路、14は加圧流動層ボイラ2の炉底部に接続され加圧流動層ボイラ2の炉底部に滞留した石炭灰や石灰石等のベッド材を加圧流動層ボイラ2及び圧力容器1の外部に抜き出すベッド材抜出管、14aはベッド材抜出管14に配設され抜き出されたベッド材を系外に排出する場合に作動させる三方弁等からなる分岐弁、15は一端部が分岐弁14aに接続され分岐弁14aを通過したベッド材を燃料スラリー調整装置11に搬送供給するベッド材搬送路である。なお、ベッド材搬送路15では、気流搬送,バケットエレベータ,ベルトコンベア等の搬送手段によってベッド材が搬送される。また、ベッド材抜出管14のように圧力容器1を貫通して常圧系と加圧系が切り替わる箇所には、圧力調整のためのロックホッパシステム(図示しない)が配設されている。
【0014】
以上のように構成された本実施の形態1のベッド材循環装置について、以下その運転方法を説明する。
石炭等の固体燃料と石灰石やドロマイト等の脱硫剤と水とを燃料スラリー調整装置11でペースト化し燃料スラリーを調整し、燃料スラリー調整装置11に貯留しておく。圧力容器1内に内設した加圧流動層ボイラ2では燃料スラリーをスラリー供給路13から入れ、圧力容器1内に取り入れた圧縮空気を加圧流動層ボイラ2の底部から供給し、脱硫剤を流動状態にして固体燃料を0.6〜3.1MPaの圧力で800〜950℃の温度で燃焼させている。固体燃料の燃焼で発生した熱は伝熱管2aで熱交換され蒸気タービン発電機(図示せず)を駆動して発電を行う。燃焼排ガスは燃焼排ガス流路3から1次脱塵装置4、2次脱塵装置6を経て脱塵された後、清浄ガス流路7を通過してガスタービン8、発電機9を駆動し発電する。
加圧流動層ボイラ2の炉底部に石炭灰や石灰石等のベッド材が滞留し流動層2bの層高が高くなったときは、ベッド材抜出管14から炉底部に滞留しているベッド材を抜き出す。ベッド材は、ベッド材搬送路15を搬送され所定量秤量され、燃料スラリー調整装置11で燃料等と混合されて燃料スラリーに調整される。燃料スラリーに混合されたベッド材は、スラリー供給路13から燃料とともに加圧流動層ボイラ2に供給されベッド材が循環される。ベッド材の循環量が増加した場合には、分岐弁14aを作動させてベッド材を系外に排出する。
【0015】
以上のように、本実施の形態1におけるベッド材循環装置は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)ベッド材搬送路によってベッド材が供給される燃料調整装置を有しており、燃料に混合されてベッド材が流動層ボイラに供給されるので、供給直後に燃料が揮発して発生する高濃度のSOxをベッド材が効率よく捕捉することができ、脱硫率を向上させることができるとともに、ベッド材を脱硫剤として有効に利用することができる。
(2)ベッド材搬送路を有しているので、脱硫剤の一部をベッド材で置き換えることができ、脱硫剤の使用量を低減し脱硫剤の有効利用率を高めることができる。
(3)既存の流動層ボイラのベッド材抜出管から抜き出されたベッド材を搬送するベッド材搬送路を配設するだけの小規模な改良によって、脱硫剤の有効利用率を高めることができる。
(4)分岐弁を有しているので、ベッド材の循環量が増加し燃焼排ガス中への飛散量が増加し適正な流動層高が維持できなくなる場合には、分岐弁を作動させてベッド材を系外に排出することができ操作性に優れる。
【0016】
(実施の形態2)
図2は実施の形態2におけるベッド材循環装置の要部構成図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明は省略する。
図中、16は石炭等の固体燃料と石灰石等の脱硫剤とベッド材搬送路15から供給されるベッド材とを混合する燃料調整装置としての燃料供給ホッパ、17は燃料供給ホッパ16の下流に接続され加圧流動層ボイラ2と略同じ圧力である0.6〜3.1MPa程度の圧力で燃料供給ホッパ16で混合された燃料等を貯蔵するロックホッパ、18はロックホッパ17の下流と加圧流動層ボイラ2内に配設されたスプレーノズル(図示しない)とに接続されロックホッパ17内に貯蔵された燃料等を空気流によって搬送して流動層2bへ供給する燃料供給路、なお、燃料供給ホッパ16からロックホッパ17に燃料等を供給するときには、燃料供給ホッパ16の圧力をロックホッパ17と略同一の圧力に加圧した後に行われる。
実施の形態2のベッド材循環装置が実施の形態1と異なる点は、燃料スラリー調整装置の代わりに燃料調整装置としての燃料供給ホッパ16とロックホッパ17とを備えている点である。
【0017】
以上のように実施の形態2のベッド材循環装置は構成されているので、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)脱硫剤等をスラリー化せずに加圧流動層ボイラ内に供給することができ、スラリーに含有される水が蒸発するときの気化熱の損失がなく熱効率に優れる。
【0018】
なお、実施の形態1及び2においては、加圧系で用いられる加圧流動層ボイラの場合について説明したが、本発明のベッド材循環装置及び流動層ボイラの運転方法は、常圧系で用いられる流動層ボイラの場合でも同様に用いることができる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
(実験例)
0.6〜3.1MPa、800〜950℃で燃焼運転させた350MW加圧流動層複合発電システムの加圧流動層ボイラから得られたベッド材と、津久見産の石灰石(粒子径が2mmより小さなもの)と、ブレアゾール炭(粒子径6mm以下)と、を所定量混合したものをボートに入れ、そのボートを800℃に加熱された管状炉内に挿入した。管状炉の一端からは酸素濃度が70vol%に調整されたガスを流し(加圧流動層ボイラの条件を想定したもの)、他端から排出された燃焼ガス中の硫黄酸化物濃度(mg/g)を測定した。実験を行ったベッド材と石灰石とブレアゾール炭との混合比、硫黄酸化物濃度を(表1)に示す。なお、ブレアゾール炭と石灰石(試料2乃至試料6についてはベッド材を含んだもの)との混合比は、Ca/Sモル比が5になるように選んだ。また、石灰石は、前処理として、ボートに入れ、800℃に加熱し一端からは酸素濃度が70vol%に調整されたガスを流した管状炉内にそのボートを入れて1時間保持した。ベッド材が加圧流動層ボイラ内で与えられたのに近い熱履歴を石灰石に与え、熱履歴の差による炭酸カルシウムから酸化カルシウムへの熱分解の有無が実験結果に与える影響を少なくするためである。
【表1】
(表1)から、石灰石を8〜70wt%のベッド材に置換した試料(試料2乃至試料6)は、石灰石にベッド材を添加していない試料(試料1)と比較して、硫黄酸化物濃度が約10%に大幅に低減されることが確認された。これは、流動層ボイラの運転条件や圧力等にもよるが、加圧流動層ボイラ内で脱硫剤が激しく流動されることによりベッド材の表面に微細な亀裂等が多数発生し比表面積が増大し、SOxとの反応速度が向上したものであると推察される。
以上の結果、本発明のベッド材循環装置を用いることにより、脱硫剤の有効利用率を向上させることができるのに加え、脱硫率を向上させることができることが確認された。
【0020】
(実施例1、比較例1)
0.6〜3.1MPa、800〜950℃で燃焼運転させる350MW加圧流動層複合発電システムにおいて、ブレアゾール炭(粒子径6mm以下)と津久見産の石灰石(粒子径が5mmより小さなもの)と水とを混合した燃料スラリーについて、石灰石の1〜50wt%を加圧流動層ボイラから抜き出したベッド材で置き換えたものを作成し、その燃料スラリーを流動層ボイラ内に供給した。ブレアゾール炭と、石灰石と一部を置換したベッド材とを合計したものとの配合比は、Ca/Sモル比が5になるように調整した。
清浄ガス流路で清浄ガスの脱硫率を測定したところ、99%以上の脱硫率が得られた。一方、比較例のベッド材で置換しなかった場合(石灰石のみを用いた場合)の脱硫率は98%であった。
以上の実施例1と比較例1の結果から、本発明によれば、脱硫率を向上させることができるとともに、脱硫剤の使用量の低減もできることが明らかになった。
【0021】
なお、本実施例では石灰石や燃料等をペースト状にして加圧流動層ボイラに供給する湿式方式について説明したが、石灰石や燃料等を乾式供給する場合についても同様の効果が得られる。さらに、乾式供給する場合には、ペースト状にして供給された燃料等から水が蒸発するときの気化熱の損失がなく熱効率を向上させることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明のベッド材循環装置及び流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)ベッド材搬送路によってベッド材が供給される燃料調整装置を有しており、燃料に混合されてベッド材が流動層ボイラに供給されるので、供給直後に燃料が揮発して発生する高濃度のSOxをベッド材が効率よく捕捉することができ、脱硫率を向上させることができるとともに、ベッド材を脱硫剤として有効に利用することができるベッド材循環装置を提供することができる。
(2)ベッド材搬送路を有しているので、脱硫剤の一部をベッド材で置き換えることができ、脱硫剤の使用量を低減し脱硫剤の有効利用率を高めることができるベッド材循環装置を提供することができる。
(3)既存の流動層ボイラのベッド材抜出管から抜き出されたベッド材を搬送するベッド材搬送路を配設するだけの小規模な改良によって、脱硫剤の有効利用率を高めることができるベッド材循環装置を提供することができる。
(4)分岐弁を有しているので、ベッド材の循環量が増加し燃焼排ガス中への飛散量が増加し適正な流動層高が維持できなくなる場合には、分岐弁を作動させてベッド材を系外に排出することができ操作性に優れるベッド材循環装置を提供することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、
(1)抜き出されたベッド材を燃料調整装置に搬送・供給するベッド材搬送工程を有しているので、燃料に混合されてベッド材が流動層ボイラに供給され、供給直後に燃料が揮発して発生する高濃度のSOxをベッド材が効率よく捕捉することができ、ベッド材を脱硫剤として有効に利用することができる流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法を提供することができる。
(2)脱硫剤の一部をベッド材で置き換えることができ、脱硫剤の使用量を低減し脱硫剤の有効利用率を高めることができる流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法を提供することができる。
(3)5〜30wt%の脱硫剤がベッド材と置換されることで、流動層高の維持が容易であるとともに脱硫率を向上させることができる流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法を提供することができる。
(4)分岐弁を有しているので、ベッド材の循環量が増加し燃焼排ガス中への飛散量が増加し適正な流動層高が維持できなくなる場合には、分岐弁を作動させてベッド材を系外に排出することができ操作性に優れる流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態1におけるベッド材循環装置の要部構成図
【図2】本実施の形態2におけるベッド材循環装置の要部構成図
【符号の説明】
1 圧力容器
2 加圧流動層ボイラ
2a 伝熱管
2b 流動層
3 燃焼排ガス流路
4 1次脱塵装置
5 1次脱塵ガス流路
6 2次脱塵装置
7 清浄ガス流路
8 ガスタービン
9 発電機
10 コンプレッサ
11 燃料スラリー調整装置
12 スラリーポンプ
13 スラリー供給路
14 ベッド材抜出管
14a 分岐弁
15 ベッド材搬送路
16 燃料供給ホッパ
17 ロックホッパ
18 燃料供給路
Claims (2)
- 流動層ボイラと、前記流動層ボイラに燃料を供給する燃料供給装置と、前記流動層ボイラの炉底部に一端部が接続され前記炉底部に滞留したベッド材を抜き出すベッド材抜出管と、前記ベッド材抜出管に配設されたベッド材を系外に排出する分岐弁と、前記ベッド材抜出管の他端部に接続され燃料調整装置に前記ベッド材を搬送・供給するベッド材搬送路と、抜き出した前記ベッド材を秤量して燃料と混合して前記燃料供給装置に送る前記燃料調製装置と、を備えていることを特徴とするベッド材循環装置。
- 請求項1に記載の流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法であって、前記流動層ボイラの炉底部に接続されたベッド材抜出管から前記炉底部に滞留したベッド材を前記分岐弁を介して抜き出すベッド材抜出工程と、前記ベッド材抜出工程で前記分岐弁を介して抜き出された前記ベッド材を燃料調整装置に搬送・供給するベッド材搬送工程と、前記ベッド材抜出工程により前記分岐弁を介して抜き出した前記ベッド材を前記燃料調整装置で秤量し燃料と混合して前記流動層ボイラに燃料を供給する前記燃料供給装置に送る燃料調整工程と、前記ベッド材抜出工程で前記分岐弁を介して抜き出された前記ベッド材を系外に排出するベッド材排出工程と、を備えており、前記ベッド材抜出管により前記分岐弁を介して抜き出され燃料と混合された前記ベッド材を前記流動層ボイラへ供給し循環することによって脱硫剤を5〜30wt%置換していることを特徴とする流動増ボイラのベッド材循環装置の運転方法。
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JPH0665709U (ja) * | 1993-02-09 | 1994-09-16 | 石川島播磨重工業株式会社 | 加圧流動層ボイラ |
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