JP2005319372A - 汚泥の炭化処理方法及び装置並びに発電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 汚泥の炭化処理において揮発する硫黄分、塩素分を熱分解ガス中から除去することにより有害物質の生成を抑制する。また、石炭焚きボイラにおける炉内脱硫用の脱硫材の新たな投入を不要にし、かつ、汚泥中に含まれるバナジウムによるボイラ管腐食を抑制する。
【解決手段】 金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤3を汚泥1に添加し、前記添加剤が添加された汚泥を炭化処理40する。また、これによって得られた汚泥炭化燃料をボイラにて石炭とともに混焼することで発電を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤3を汚泥1に添加し、前記添加剤が添加された汚泥を炭化処理40する。また、これによって得られた汚泥炭化燃料をボイラにて石炭とともに混焼することで発電を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、下水処理場などで発生する汚泥の炭化処理方法及び装置並びに発電方法に関する。
CO2排出量を低減する観点から、化石燃料の代替エネルギーとして、カーボンニュートラルであるバイオマスが注目されている。バイオマスの一つである有機性汚泥は、大半が埋め立て処理あるいは焼却処理されており、エネルギー利用がなされていない。そこで、CO2の排出を抑制するために、すなわち、化石燃料の使用を抑制するために、安定した収集量が見込める下水汚泥を炭化処理により固体燃料化し、石炭火力発電用の燃料にするシステムが提案されている。
汚泥を固体燃料化する方法としては、この炭化処理の他に、汚泥を乾燥させた後にプラスチック廃棄物を加えて混練して粒状または粉状化する方法も提案されている。そして、このような乾燥処理においては、水分を低下させて腐敗防止や臭気発生を抑制する目的で、プラスチック廃棄物とともに生石灰などの添加剤を添加することが考えられている(例えば、特開11−228979号公報など)。
特開平11−228979号公報(図1)
汚泥を炭化処理する際には、汚泥中の硫黄分、塩素分が揮発する。この硫黄分、塩素分を含む熱分解ガスを燃焼炉において燃焼すると、SOx、HClといった有害物質が生成するという問題がある。そして、このような有害物質を除去するためには湿式排ガス処理などが必要となり、設備費、洗煙排水処理費などのコストが上昇するという問題がある。
また、汚泥を炭化処理した固体燃料を石炭焚きボイラの燃料に適用する際は、炭化物に残留している硫黄分から燃焼時に生ずるSOxの大気への排出を防止する為に、石灰などの脱硫材を新たに炉内に加え硫酸カルシウム等として灰と共に捕集する炉内脱硫を行う必要があるとともに、汚泥中に含まれるバナジウムによるボイラ管腐食の防止策も必要であることから、発電コストが上昇するという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、汚泥の炭化処理において揮発する硫黄分、塩素分を熱分解ガス中から除去することにより有害物質の生成を抑制することができる汚泥の炭化処理方法及び装置を提供することを目的とする。また、本発明は、石炭焚きボイラにおいて炭化物混焼時に新たに必要となる炉内脱硫用の石灰などの投入を不要にし、かつ、汚泥中に含まれるバナジウムによるボイラ管腐食を抑制することができる発電方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る汚泥の炭化処理方法は、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤を汚泥に添加する工程と、前記添加剤が添加された汚泥を炭化処理する工程とを含んでなるものである。
このように添加剤を炭化処理の前に予め汚泥に添加しておくことで、炭化処理の際に遊離する硫化水素や塩化水素などの硫黄分、塩素分を熱分解ガス中から除去することができる。よって、熱分解ガスの燃焼により生成されるSOx等の有害物質を大幅に減少させることができる。
本発明に係る汚泥の炭化処理方法は、前記炭化処理工程の前に、前記添加剤が添加された汚泥を混合する工程をさらに含むことが好ましい。前記添加剤の添加率は、前記汚泥の乾燥重量に対して1〜5%であることが好ましい。前記金属塩、金属酸化物及び金属水酸化物の金属は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であることが好ましい。また、前記金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物は、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又はこれらの混合物であることが好ましい。
本発明は、別の態様において、汚泥の炭化処理装置であって、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤を汚泥に添加するための添加剤供給機と、前記添加剤が添加された汚泥を炭化処理するための炭化炉とを含んでなるものである。前記炭化炉の前に、前記添加剤が添加された汚泥を混合する混合機を設けることが好ましい。
本発明は、さらに別の態様において、発電方法であって、本発明に係る汚泥の炭化処理方法によって得られた汚泥炭化燃料を、ボイラにて石炭とともに混焼する工程を含んでなるものである。
本発明に係る汚泥の炭化処理方法により得られた汚泥炭化燃料は、既に、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤が含まれているので、石炭焚きボイラにおいて新たに必要となる炉内脱硫剤の投入を省略することができる。また、上記添加剤は、バナジウムによるボイラ管腐食を抑制する効果も有する。
このように、本発明によれば、汚泥の炭化処理において揮発する硫黄分、塩素分を熱分解ガス中から除去することにより有害物質の生成を抑制することができる汚泥の炭化処理方法及び装置を提供することができる。また、本発明によれば、石炭焚きボイラにおいて新たに必要となる炉内脱硫剤の投入を不要にし、かつ、汚泥中に含まれるバナジウムによるボイラ管腐食を抑制することができる発電方法を提供することができる。
以下に、添付した図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る汚泥の炭化処理装置の一実施の形態を示す模式図である。図1に示すように、汚泥の炭化処理装置は、下水汚泥1を脱水する脱水機10と、脱水した下水汚泥に添加剤3を供給する添加剤供給機22と、脱水した下水汚泥と添加剤とを混合する混合機20と、添加剤が混合された下水汚泥に熱風を直接接触させて乾燥する乾燥炉30と、乾燥させた下水汚泥を炭化処理する外熱式ロータリーキルン型の炭化炉40と、炭化炉40で生成した熱分解ガスを燃焼する燃焼炉50とから主に構成されている。
混合機20は、脱水汚泥に添加剤を均一に混合できる設備機器であれば、特に限定されないが、リボンミキサや、パドルミキサ、ドラムミキサ等が好ましい。添加剤供給機22は、特に限定されないが、粉状、粒状又は塊状の添加剤を連続的かつ定量的に供給できるものが好ましい。乾燥炉30は、熱風を直接接触させる方式に限定されず、脱水汚泥を燃焼させずに乾燥できるものであれば特に限定されない。炭化炉40は、外熱式ロータリーキルン型のものに限定されず、内燃式でも、流動床型又はスクリュー型でも良い。なお、図1では、乾燥炉30と炭化炉40は別々の設備として図示してあるが、一体型の乾燥炭化炉としても良い。
脱水機10と混合機20とはライン11で接続されており、混合機20と乾燥炉30とはライン21で接続されている。このライン11及び21は、圧送ポンプ(図示省略)によって汚泥を圧送できる配管などが好ましい。乾燥炉30と炭化炉40とはライン31で接続されており、このライン31は乾燥した汚泥を搬送できるコンベアなどが好ましい。炭化炉40内部と燃焼炉50とは、炭化炉40内で生成した熱分解ガスの配管であるライン41で接続されており、このライン41には熱分解ガス中から炭化物を分離除去するサイクロン42が設けられている。サイクロン42の底部と炭化炉40の炭化物出口には、炭化物を排出するライン43とライン44とがそれぞれ設けられている。
燃焼炉50と炭化炉40外熱部とはライン51で接続されており、炭化炉40外熱部と乾燥炉30とはライン52で接続されている。このライン51及び52は、燃焼炉50で発生した燃焼排ガスの配管である。なお、ライン52には、燃焼排ガスの一部を系外に排気するための配管であるライン53が設けられている。このライン53には、炭化炉40側から順に、空気予熱器54、熱交換器57、排ガス処理装置58、ファン59、及び煙突60が設けられている。
乾燥炉30と燃焼炉50とは、乾燥炉30内から排出される排ガスの配管であるライン32で接続されており、このライン32には、熱交換器57が設けられている。また、燃焼炉50に燃焼用の空気を導入するためのファン55と燃焼炉50とは、空気配管であるライン56で接続されており、このライン56には空気予熱器54が設けられている。
このような構成によれば、先ず、脱水機10に下水汚泥1を導入し、下水汚泥1の水分が約80%になるぐらいまで脱水する。なお、本発明で対象となる汚泥は、炭化処理により固体燃料化できる有機性の汚泥であれば下水汚泥に限定されるものではなく、例えば、食品汚泥、製紙汚泥、ビルピット汚泥、消化汚泥、活性汚泥なども適用できる。脱水した下水汚泥は、ライン11を介して混合機20に供給する。
混合機20には、添加剤供給機22から金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤3を供給し、脱水した下水汚泥と混合する。混合機20で脱水汚泥と添加剤とを予め混合しておくことで、乾燥炉30及び炭化炉40における添加剤の添加効果を汚泥全体にわたり均一に得ることができる。これら金属塩、金属酸化物、金属水酸化物の金属は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましい。これらの中でも、優れた脱硫、脱塩効果を発揮する観点から、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムがより好ましい。また、バナジウムによる腐食に対して優れた抑制効果を発揮する観点から、水酸化マグネシウムがより好ましい。また、添加剤3の添加率は、下水汚泥の乾燥重量に対して1〜5%の範囲が好ましく、2〜3%の範囲がより好ましい。このように添加率を1〜5%の範囲にすることで、発熱量の大幅な低下や、添加剤コストの増加まねかない範囲で効果的な脱硫、脱塩効果を得ることができる。添加剤が混合された汚泥は、ライン21を介して乾燥炉30に導入する。
乾燥炉30では、汚泥の水分が約30%ぐらいになるまで乾燥する。導入された汚泥には添加剤3が添加されているので、乾燥炉30出口では粒径が均一化した汚泥を得ることできる。このような均一な粒径の汚泥を炭化炉40に導入すれば、炭化処理が均一に進み、粒径が大きくて炭化が進行しない炭化物粒子や、粒径が小さいために炭化が過度に進行した結果、炭化分がガス化し、発熱量の低い炭化物粒子が生成することを防止することができる。乾燥させた汚泥は、ライン31を介して炭化炉40に導入する。
炭化炉40では、汚泥を酸素が欠乏した雰囲気下で約300〜600℃に加熱して炭化処理を行い、熱分解ガスと固体燃料である炭化物6とを生成する。導入された汚泥には添加剤3が添加されているので、炭化炉40内で遊離する硫化水素、塩化水素などの硫黄分、塩素分を熱分解ガス中から除去することができる。熱分解ガスは、ライン41を介して燃焼炉50に導入する。
燃焼炉50では、ファン55から吸引し空気予熱器54で予熱した燃焼用の空気と、乾燥炉30から排気され熱交換器57で加熱した排ガスと、化石燃料等の助燃料とともに、熱分解ガスを約800〜1000℃で燃焼させる。炭化炉40で熱分解ガス中の硫黄分、塩素分を除去しているので、燃焼炉50でのSOxやHClなどの有害物質の生成を抑制することができる。よって、排ガス中和剤の使用量の低減や、湿式排ガス処理を排水処理の不要な乾式排ガス処理に簡素化することができ、コスト低減を図ることができる。
固体燃料である炭化物6は、炭化炉40出口からライン44を介して得られるとともに、サイクロン42において熱分解ガス中から分離除去されライン43を介して回収することができる。このようして得られた炭化物6は、石炭焚きボイラ(図示省略)に供給し、石炭とともに混焼して火力発電を行う。炭化物6中には依然として添加剤3が含まれており、この添加剤は、汚泥炭化物を混焼する際に新たに必要となる炉内脱硫を行うために供給する脱硫剤の代替となるので、石炭焚きボイラにおける新たな脱硫剤の添加を省略することができる。また、添加剤には、汚泥中に含まれるバナジウムによるボイラ管腐食を抑制する効果がある。
1 下水汚泥
3 添加剤
6 炭化物
10 脱水機
20 混合機
30 乾燥炉
40 炭化炉
42 サイクロン
50 燃焼炉
54 空気予熱器
55、59 ファン
57 熱交換器
58 排ガス処理装置
60 煙突
3 添加剤
6 炭化物
10 脱水機
20 混合機
30 乾燥炉
40 炭化炉
42 サイクロン
50 燃焼炉
54 空気予熱器
55、59 ファン
57 熱交換器
58 排ガス処理装置
60 煙突
Claims (8)
- 金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤を汚泥に添加する工程と、前記添加剤が添加された汚泥を炭化処理する工程とを含んでなる汚泥の炭化処理方法。
- 前記炭化処理工程の前に、前記添加剤が添加された汚泥を混合する工程をさらに含んでなる請求項1に記載の汚泥の炭化処理方法。
- 前記添加剤の添加率が、前記汚泥の乾燥重量に対して1〜5%である請求項1又は2に記載の汚泥の炭化処理方法。
- 前記金属塩、金属酸化物及び金属水酸化物の金属がアルカリ金属又はアルカリ土類金属である請求項1〜3のいずれかに記載の汚泥の炭化処理方法。
- 前記金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物が、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又はこれらの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の汚泥の炭化処理方法。
- 金属塩、金属酸化物、金属水酸化物又はこれらの混合物を含む添加剤を汚泥に添加する添加剤供給機と、前記添加剤が添加された汚泥を炭化処理する炭化炉とを含んでなる汚泥の炭化処理装置。
- 前記炭化炉の前に、前記添加剤が添加された汚泥を混合する混合機をさらに含んでなる請求項6に記載の汚泥の炭化処理装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の汚泥の炭化処理方法によって得られた汚泥炭化燃料をボイラにて石炭とともに混焼する工程を含んでなる発電方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004138272A JP2005319372A (ja) | 2004-05-07 | 2004-05-07 | 汚泥の炭化処理方法及び装置並びに発電方法 |
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Family Applications (1)
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008174660A (ja) * | 2007-01-19 | 2008-07-31 | Yamato Sanko Seisakusho:Kk | ロータリー炭化方法およびその装置 |
JP2010279922A (ja) * | 2009-06-08 | 2010-12-16 | Tokyo Electric Power Co Inc:The | 集塵効率改善方法 |
US9494313B2 (en) | 2011-04-08 | 2016-11-15 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Device and method for manufacturing semi-carbonized fuel of biomass, and power generation system using semi-carbonized fuel |
KR102248328B1 (ko) * | 2021-02-08 | 2021-05-04 | 김성도 | 유기성 폐기물 연속식 탄화방법 |
CN114873884A (zh) * | 2022-06-02 | 2022-08-09 | 中车山东机车车辆有限公司济南低碳科技分公司 | 一种高含盐化工污泥综合处置获取熔融盐及副产物炭材料的方法 |
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2004
- 2004-05-07 JP JP2004138272A patent/JP2005319372A/ja active Pending
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