JP4588405B2 - 配線回路基板およびその製造方法 - Google Patents
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導体パターンは、電気信号を伝達するための配線が形成される配線部と、その配線部に連続して形成され、外部の端子と接続するための端子部とを備えている。端子部は、外部の端子と接続する必要があることから、カバー絶縁層は、配線部を被覆する一方で、端子部が露出するように形成されている。そして、端子部には、端子部を保護し、あるいは、外部の端子との接続信頼性の向上を図るため、端子部の上面および側面を被覆するように金属めっき層を設けることが知られている。
導体パターンとベース絶縁層との密着性を向上させるために、例えば、ベース絶縁層としての基材上に、アディティブ法またはサブトラクティブ法により導体パターンとして金属配線パターンを形成した金属配線回路基板において、感光性絶縁樹脂溶液を、金属配線パターンが被覆されるとともにスペース部分が充填されるように塗布し、露光・現像して、金属配線パターンの必要箇所が露出するように、感光性絶縁樹脂を除去し、その後、残存する感光性絶縁樹脂を加熱閉環または加熱架橋して、金属配線間のスペース部分に、保護絶縁層として感光性絶縁樹脂を充填することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図1に示すように、この配線回路基板1は、片面フレキシブル配線回路基板であって、長手方向に延びる帯状をなし、ベース絶縁層2と、ベース絶縁層2の上に形成された導体パターン3と、導体パターン3を被覆するように、ベース絶縁層2の上に形成されたカバー絶縁層4とを備えている。
導体パターン3は、複数(2つ)の金属配線5の配線回路パターンとして、ベース絶縁層2の表面に形成されている。各金属配線5は、断面略矩形状をなし、この配線回路基板1の長手方向に沿って、配線回路基板1の長手方向一端縁の近傍まで延び、かつ、幅方向(配線回路基板1の長手方向と直交する方向、以下同じ。)において、互いに間隔を隔てて並列配置されている。
(カバー絶縁層4の貼着に接着剤層が介在する場合には、その接着剤層を含む厚み)は、例えば、5〜50μm、好ましくは、5〜30μmである。
この方法では、まず、図2(a)に示すように、ベース絶縁層2を用意する。ベース絶縁層2を形成するための材料は、絶縁性および可撓性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂が用いられる。耐熱性の観点から、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられる。
すなわち、アディティブ法では、まず、ベース絶縁層2の全面に、種膜となる金属薄膜を形成する。金属薄膜は、クロム、ニッケル、銅およびこれらの合金などから、スパッタリング法などの薄膜形成法により形成する。次いで、その金属薄膜の表面に、上記した配線部8および端子部7を備える複数の金属配線5の配線回路パターンの反転パターンで、めっきレジストを形成する。めっきレジストは、ドライフィルムレジストなどを用いて、公知の方法により形成する。その後、めっきレジストから露出するベース絶縁層2の表面に、導体パターン3を、上記した配線回路パターンで形成する。導体パターン3は、例えば、電解めっき、好ましくは、電解銅めっきにより形成する。その後、めっきレジストをエッチングまたは剥離により除去し、導体パターン3から露出する金属薄膜を、エッチングにより除去する。
カバー絶縁層4を形成するための材料は、例えば、ベース絶縁層1と同様の樹脂が用いられ、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられる。
カバー絶縁層4を形成するには、例えば、感光性樹脂(感光性ポリアミック酸樹脂)のワニスを、複数の金属配線5(導体パターン2)を被覆するように、ベース絶縁層2の全面に塗布して塗布膜を形成した後、フォトマスクを介して露光する。その後、現像することにより、配線回路基板1の長手方向一端部において、上記した端子開口部6が形成されるように、パターニングする。
次いで、この方法では、図2(d)に示すように、各端子部7の上面および各側面を連続して被覆する金属めっき層9を形成する。金属めっき層9を形成するための材料は、例えば、金やニッケルなどの金属が用いられる。また、金属めっき層9は、例えば、電解めっきや無電解めっきなどのめっきにより形成する。好ましくは、無電解金めっきや無電解ニッケルめっきなどの無電解めっきにより形成する。また、無電解ニッケルめっきや無電解金めっきを順次実施して、ニッケルめっき層および金めっき層を順次積層することもできる。
保護絶縁層12を形成するための材料は、例えば、ベース絶縁層1と同様の樹脂が用いられ、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられる。さらに、感光性ソルダレジストを用いることもできる。
なお、保護絶縁層12は、感光性樹脂や感光性ソルダレジストを用いなくとも、例えば、平面視略コ字状に外形加工された合成樹脂のフィルムを、必要により接着剤層を介して、ベース絶縁層2の上に貼着することにより、形成することもできる。
なお、上記の説明では、保護絶縁層12を、ベース絶縁層1の上に、各端子部7の周囲を被覆する金属めっき層9の各側面被覆部11を囲むように、平面視略コ字状に形成したが、本発明の参考実施形態として、例えば、図3に示すように、端子開口部6に対応するベース絶縁層2において、各端子部7の周囲を被覆する金属めっき層9の各側面被覆部11を囲んで、ベース絶縁層2の全面に形成することもできる。
また、本発明の他の参考実施形態として、例えば、図4および図6に示すように、金属めっき層9を、各金属配線5において、端子部7の上面および各側面のみならず、配線部8の上面および各側面に形成することもできる。
例えば、まず、図5(a)に示すように、上記と同様に、ベース絶縁層2を用意して、図5(b)に示すように、そのベース絶縁層2の上に、配線部8および端子部7を備える複数の金属配線5の配線回路パターンからなる導体パターン3を形成した後に、図5(c)に示すように、各金属配線5の長手方向すべてにわたって、その上面および各側面に、上記と同様の方法により、金属めっき層9を形成する。その後、図5(d)に示すように、金属めっき層9から露出するベース絶縁層2の全面に、上記と同様の方法により、保護絶縁層12を形成する。そして、図5(e)に示すように、カバー絶縁層4を、保護絶縁層12の上に、各金属配線5における外部の端子と接続するための部分を、端子部7として露出させ、それ以外の、電気信号を伝達するための部分を、配線部8として被覆するように、配線回路基板1の長手方向一端縁から、長手方向他端側に向かって所定間隔を隔てた位置から、長手方向他端側に向かって金属めっき層9で被覆される複数の金属配線5を被覆するように形成する。
例えば、まず、図7(a)に示すように、上記と同様に、ベース絶縁層2を用意して、図7(b)に示すように、そのベース絶縁層2の上に、配線部8および端子部7を備える複数の金属配線5の配線回路パターンからなる導体パターン3を形成した後に、図7(c)に示すように、各金属配線5の長手方向すべてにわたって、その上面および各側面に、上記と同様の方法により、金属めっき層9を形成する。
そして、図7(f)に示すように、塗布膜14を乾燥後、加熱により硬化させれば、カバー絶縁層4が、ベース絶縁層2の上に、各金属配線5における外部の端子と接続するための部分を、端子部7として露出させ、それ以外の、電気信号を伝達するための部分を、配線部8として被覆するように、配線回路基板1の長手方向一端縁から、長手方向他端側に向かって所定間隔を隔てた位置から、長手方向他端側に向かって金属めっき層9で被覆される複数の金属配線5を被覆するように形成される。また、これと同時に、端子開口部6に対応するベース絶縁層2において、各金属めっき層9を囲むベース絶縁層2の全面に、保護絶縁層12が形成される。
なお、上記の説明では、端子開口部6を、配線回路基板1の長手方向一端部に形成したが、端子開口部6は、その目的および用途により、任意の位置に形成される。また、それに対応して、各金属配線5の端子部7は、任意に位置に形成される。
また、上記の説明では、本発明の配線回路基板を、片面フレキシブル配線回路基板として説明したが、本発明の配線回路基板は、両面フレキシブル配線回路基板に適用することができ、さらには、リジッド−フレキシブル配線回路基板やリジッド配線回路基板に適用することもできる。
実施例1
厚み25μmのポリイミド樹脂フィルムからなるベース絶縁層を用意して(図2(a)参照)、そのベース絶縁層の上に、アディティブ法により、複数の金属配線の配線回路パターンからなる導体パターンを形成した(図2(b)参照)。
その後、端子開口部から露出するベース絶縁層の上に、各端子部の周囲を被覆する金属めっき層の各側面被覆部を被覆するように、保護絶縁層を形成した(図2(e)参照)。保護絶縁層の形成では、まず、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、各金属めっき層を被覆するように端子開口部から露出するベース絶縁層の全面に塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を、フォトマスクを介して露光し、その後、現像することにより、金属めっき層の各側面被覆部を被覆する平面視略コ字状にパターニングした。その後、塗布膜を乾燥後、加熱により硬化させることにより、厚み2μmの保護絶縁層を、ベース絶縁層の上に、各端子部の周囲を被覆する金属めっき層の各側面被覆部を囲むように、平面視略コ字状に形成した(図2(f)参照)。これによって、配線回路基板を得た(図1参照)。
保護絶縁層を次のように形成すること以外は、実施例1と同様の方法により、配線回路基板を得た(図3参照)。
すなわち、保護絶縁層の形成では、まず、感光性ソルダレジストを、各金属めっき層を被覆するように端子開口部から露出するベース絶縁層の全面に塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を、フォトマスクを介して露光し、その後、現像することにより、端子開口部から露出するベース絶縁層において、各金属めっき層のみが露出するようにパターニングした。その後、塗布膜を乾燥後、加熱により硬化させることにより、厚み2μmの保護絶縁層を、端子開口部に対応するベース絶縁層の上に、各端子部の周囲を被覆する金属めっき層の各側面被覆部を囲んで、ベース絶縁層の全面に形成した。
保護絶縁層をベース絶縁層の全面に形成した後、次いで、保護絶縁層の上に、カバー絶縁層を形成し、その後、カバー絶縁層から露出する各端子部に金属めっき層を形成した以外は、実施例2と同様の方法により、配線回路基板を得た。なお、この配線回路基板では、金属めっき層は、各側面被覆部の下端部がベース絶縁層と接触することなく、保護絶縁層の上に形成された。
上記により得られた実施例1、参考実施例1および比較例1の配線回路基板に、10重量%塩酸水溶液を付着させた後、各配線回路基板を、温度60℃、湿度90%RHの環境下に240時間放置した。
その結果、実施例1および参考実施例1の配線回路基板は、1000時間経過後も変化はなく、一方、比較例1の配線回路基板では、500時間後に短絡を生じた。
2 ベース絶縁層
3 導体パターン
4 カバー絶縁層
7 端子部
8 配線部
9 金属めっき層
11 側面被覆部
12 保護絶縁層
Claims (3)
- 長手方向に延びるフィルム状に形成されたベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層の上に形成され、長手方向に沿って延びる導体パターンと、
前記ベース絶縁層の上に形成されたカバー絶縁層とを備える配線回路基板であって、
前記導体パターンは、配線部、および、前記配線部に連続する平面視略矩形状の端子部を備えており、
前記カバー絶縁層は、前記配線回路基板の長手方向一端縁から、長手方向他端側に向かって所定間隔を隔てた位置から、長手方向他端側に向かって形成され、前記配線部が被覆されるとともに、
前記配線回路基板の長手方向一端縁から、前記カバー絶縁層の長手方向一端縁までの間は、前記カバー絶縁層が形成されておらず、前記端子部が露出されており、
前記配線回路基板は、さらに、
前記端子部の上面および側面を被覆し、側面を被覆する部分が前記ベース絶縁層と接触するように形成された金属めっき層と、
前記端子部の周囲を被覆する前記金属めっき層の各側面を被覆するように、前記ベース絶縁層の上に、平面視において略コ字状に形成された保護絶縁層とを備え、
前記保護絶縁層の厚みが、前記端子部の厚みよりも薄く形成されていることを特徴とする、配線回路基板。 - 配線回路基板の製造方法であって、
長手方向に延びるフィルム状に形成されたベース絶縁層を用意する工程、
前記ベース絶縁層の上に、配線部、および、前記配線部に連続する平面視略矩形状の端子部を備える導体パターンを、長手方向に沿って延びるように形成する工程、
前記配線回路基板の長手方向一端縁から、長手方向他端側に向かって所定間隔を隔てた位置から、長手方向他端側に向かって、前記配線部を被覆するように、前記ベース絶縁層の上にカバー絶縁層を形成するとともに、前記カバー絶縁層が形成されない前記配線回路基板の長手方向一端縁から、前記カバー絶縁層の長手方向一端縁までの間において、前記端子部を露出させる工程、
前記端子部の上面および側面を被覆し、側面を被覆する部分が前記ベース絶縁層と接触するように、金属めっき層を形成する工程、および、
前記端子部の周囲を被覆する前記金属めっき層の各側面を被覆するように、前記ベース絶縁層の上に、平面視略コ字状の、前記端子部の厚みよりも薄い保護絶縁層を形成する工程
を備えていることを特徴とする、配線回路基板の製造方法。 - 前記カバー絶縁層を形成する工程は、前記導体パターンを形成する工程と、前記金属めっき層を形成する工程との間に、実施することを特徴とする、請求項2に記載の配線回路基板の製造方法。
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