JP4588314B2 - 建築物におけるトータルエネルギシステム - Google Patents

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Description

本発明は,自家発電設備を備えた建築物におけるトータルエネルギシステムに関する。
例えば業務用ビルなどの建築物では,有機性廃水が発生する。この有機性廃水については,浄化処理が要求される。このような有機性廃水の浄化処理については,特公昭56−48235号公報に示す如き活性汚泥法が広く行われている。また特開平10−235386号公報には,有機性廃水を活性汚泥法によって処理するに際し,所望の温度に加熱する方法が開示されている。また特許第3048889号公報には,活性汚泥処理によって生じた汚泥を,所定の高温化で好熱菌によって可溶化処理する方法が開示されている。
特公昭56−48235号公報 特開平10−235386号公報 特許第3048889号公報
しかしながら,有機性廃水や汚泥を高温で処理する場合,従来は電気や専用のガスボイラなどの燃焼熱によって加熱するのが一般的であった。このため,処理コストの高騰,燃焼によるCOガスの増大を招いていた。また,加熱に必要な熱エネルギを濃縮汚泥から生成したメタンガスの燃焼熱から得る方法も知られているが,この方法は廃水のBODが非常に高く,かつ廃水量も安定している食品工場等においてのみ有効であり,事務所ビルや商業ビルなどといった一般の業務用の建築物では,実用的でない。
一方,最近では,ガスタービン発電設備,内燃力発電設備などといった,電気エネルギと熱エネルギを効率良く発生することができる自家発電設備を備えた建築物が出現している。しかしながら,事務所ビルや商業ビルなどの業務用の建築物では,電気エネルギの需要量に対し,熱エネルギの用途は給湯や吸収式冷凍機あるいは冬期の加熱補助熱源,加湿熱源等に限られていた。このため従来は,自家発電設備で発生させた熱エネルギを無駄に捨てることも多かった。
本発明の目的は,建築物で発生した有機性廃水を低コストで処理できるトータルエネルギシステムを提供することにある。
本発明によれば,自家発電設備を備えた建築物において,前記建築物で発生した有機性廃水を好熱菌によって処理する好熱菌処理槽と,好熱菌処理槽で好熱菌処理した有機性廃水を常温で生物処理する生物処理槽と,前記好熱菌処理槽に入る有機性廃水と前記好熱菌処理槽から出る有機性廃水とを熱交換させる熱交換器と,浄化処理済の有機性廃水を固液分離する分離槽と,前記分離槽で固液分離された上澄液を膜処理,紫外線処理,オゾン処理の単独もしくは複数で浄化する高度処理槽を設け,前記自家発電設備に供給される冷却水を前記好熱菌処理槽に循環させることにより,前記好熱菌処理槽で処理される有機性廃水を,前記自家発電設備で発生した熱エネルギを利用して加熱し,前記高度処理槽で浄化された上澄液を再生水として建築物内の水洗便所もしくは厨房施設で再利用するように構成したことを特徴とする,建築物におけるトータルエネルギシステムが提供される。
また,本発明によれば,自家発電設備を備えた建築物において,前記建築物で発生した有機性廃水を常温で生物処理する生物処理槽と,浄化処理済の有機性廃水を固液分離する分離槽と,前記分離槽で固液分離された上澄液を膜処理,紫外線処理,オゾン処理の単独もしくは複数で浄化する高度処理槽と,前記分離槽で固液分離された汚泥を好熱菌によって可溶化処理する好熱菌処理槽と,前記好熱菌処理槽に入る汚泥と前記好熱菌処理槽から出る汚泥を熱交換させる熱交換器を設け,前記自家発電設備に供給される冷却水を前記好熱菌処理槽に循環させることにより,前記好熱菌処理槽で処理される汚泥を,前記自家発電設備で発生した熱エネルギを利用して加熱し,前記高度処理槽で浄化された上澄液を再生水として建築物内の水洗便所もしくは厨房施設で再利用するように構成したことを特徴とする,建築物におけるトータルエネルギシステムが提供される。
本発明のトータルエネルギシステムにおいて,前記自家発電設備は,例えばガスタービン発電,内燃力発電もしくは燃料電池発電のいずれかを行う設備である。また,熱エネルギの不足を補うための前記自家発電設備以外の補助熱源を更に備えていても良い。また,前記好熱菌処理槽における有機性廃水もしくは汚泥の処理温度は,例えば40〜95℃である。また,前記自家発電設備で発生した熱エネルギの一部で有機性廃水もしくは汚泥を加熱し,残りの熱エネルギの一部もしくは全部を,有機性廃水もしくは汚泥の加熱以外の用途に利用しても良い。
本発明によれば,従来無駄に捨てられていた自家発電設備の熱エネルギを,建築物で発生した有機性廃水もしくは汚泥の浄化処理に活用することにより,エネルギの有効利用をはかることができ,自家発電設備の普及を促進できる。また,専用ガスボイラ等の専用の燃焼機も不要となるので,COガスも削減できる。
以下,本発明の実施の形態を,図面を参照にして説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかるトータルエネルギシステムを適用した建築物1の説明図である。この建築物1は,例えば事務所ビルや商業ビルなどの業務ビルである。建築物1内では,照明,各種動力などについての電気需要A,冷暖房などの熱需要B,水洗便所や厨房施設などによる水需要Cが生じている。
この建築物1は,自家発電設備10を備えている。自家発電設備10としては,例えばガスタービン発電,内燃力発電もしくは燃料電池発電のいずれかによって発電する設備などが例示される。自家発電設備10は,化石燃料の燃焼や各種燃料ガスなどの反応などから電気エネルギbと熱エネルギcを発生することができる。
建築物1内の電気需要は,電力会社から購入した電気エネルギ(買電)aと,自家発電設備10で発生させた電気エネルギbによってまかなわれている。建築物1内の熱需要は,買電等の外部エネルギ(図示せず)と,自家発電設備10で発生させた熱エネルギcによってまかなわれている。特に熱エネルギcは,冬期の暖房に有効に活用される。
建築物1内の水需要Cは,上水dと,後述する浄化設備11で再生された再生水eによってまかなわれている。水需要Cとして消費されることによって生じた便所排水fは,下水に排水される。また,厨房等で生じた有機物を含んだ有機性廃水は,後述する浄化設備11に供給される。この実施の形態では,厨房等の排水に,浴室排水,洗面排水などの雑排水を加えた厨房・雑排水gが,有機物を含んだ有機性廃水として,後述する浄化設備11に供給されるようになっている。これは,本実施の形態の建築物1の配管が,厨房等の排水に他の雑排水を合流させる配管系統となっているためである。なお,水需要Cとして,不可避的に蒸発飛散水等hにも消費されるものも含まれる。
この建築物1は,水需要Cとして消費されることによって生じた厨房・雑排水g(有機性廃水(以下省略))を浄化処理するための浄化設備11を備えている。浄化設備11には,前処理槽15,熱交換器16,好熱菌処理槽17,生物処理槽18,分離槽19及び高度処理槽20が設けてある。これら前処理槽15,熱交換器16,好熱菌処理槽17,生物処理槽18,分離槽19及び高度処理槽20の間には,適宜配管で接続されており,また,必要に応じてそれらの配管中に送液ポンプ,弁などが設けられている。後述するように,建築物1で発生した厨房・雑排水gは,前処理槽15,熱交換器16,好熱菌処理槽17,熱交換器16,生物処理槽18,分離槽19及び高度処理槽20の順に送液されるようになっている。また,分離槽19から生物処理槽18に汚泥(スラリ)が送られるようになっている。
前述の自家発電設備10で発生させた熱エネルギcは,浄化設備11の好熱菌処理槽17に供給されている。なお,自家発電設備10から浄化設備11の好熱菌処理槽17への熱エネルギcの供給は,例えば水などの適当な熱媒を自家発電設備10と好熱菌処理槽17の間に循環させることによって行われる。この熱媒は,例えば自家発電設備10に供給される冷却水を利用できる。自家発電設備10と好熱菌処理槽17の間には,熱媒を循環させる配管や送液ポンプなどが設けられている。好熱菌処理槽17には,後述するように自家発電設備10から送られた熱媒を利用して厨房・雑排水gを加熱するための加熱手段として,好熱菌処理槽17内部の厨房・雑排水gと接触する位置に配置されて熱媒を受け入れる加熱コイルや,好熱菌処理槽17外面を包むように配置されて熱媒を受け入れる加熱ジャケットなどが設けられている。
この建築物1において,厨房等で発生した厨房・雑排水gは,先ず浄化設備11の前処理槽15に供給される。そして前処理槽15では,大型SS(Suspended Solid)物質の除去などが行われる。大型SS物質とは,懸濁(あるいは浮遊)物質であり,具体的には,例えば1μmのろ紙でろ過して厨房・雑排水g中から除去される物質である。なお,大型SS物質の質量は,105〜110℃で乾燥した物質の質量で表すことができる。そして,このように前処理(大型SS物質の除去など)を行った厨房・雑排水gは,前処理槽15で流量調整されながら,熱交換器16を経て,次に好熱菌処理槽17に供給される。
こうして,好熱菌処理槽17に供給された厨房・雑排水gは,自家発電設備10から好熱菌処理槽17へ供給された熱エネルギcにより,所望の高温度(例えば40〜95℃)に加熱される。そして,好熱菌処理槽17では,所望の高温度に加熱された状態で,厨房・雑排水gは好熱菌によって浄化処理される。このように好熱菌処理槽17において厨房・雑排水gの浄化処理に用いられる好熱菌は,常温よりも高い温度(例えば40〜95℃)において活性を示す菌であれば任意であるが,例えばアルカリゲネス属菌,シュウドモナス属菌,バチルス属菌,アエロバクター属菌,フラボバクテリウム菌などが例示される。通常,これらは大気中や厨房・雑排水gに含まれているので,特に添加の必要はない。但し,例えば休日などで建築物1からの排水が少ないなど,好熱菌が不足した場合は,外部から好熱菌処理槽17に好熱菌を添加しても良い。そして,このように好熱菌処理槽17において所定の高温度下で好熱菌によって浄化処理された厨房・雑排水gは,熱交換器16を経て,次の生物処理槽18に供給される。
ここで,熱交換器16では,前処理槽15から熱交換器16を経て好熱菌処理槽17に供給される厨房・雑排水gと,好熱菌処理槽17から熱交換器16を経て生物処理槽18に供給される厨房・雑排水gとの間で熱交換が行われる。前処理槽15から熱交換器16に入る厨房・雑排水gは,建築物1から浄化設備11の前処理槽15に供給されたままの温度,即ちほぼ常温である。一方,好熱菌処理槽17から熱交換器16に入る厨房・雑排水gは,好熱菌処理槽17において自家発電設備10から送られた熱エネルギcで加熱された温度,即ち,ほぼ所望の高温度(例えば40〜95℃)である。このため,両者の間で熱交換が行われることにより,前処理槽15から熱交換器16を経て好熱菌処理槽17に供給される厨房・雑排水gは,加熱されて常温よりも高い温度となり,一方,好熱菌処理槽17から熱交換器16を経て生物処理槽18に供給される厨房・雑排水gは,冷却されてほぼ常温程度となる。なお,熱交換器16には,プレート型やシェルアンドチューブ型の熱交換器,二重パイプなど,従来一般的な熱交換器を利用できる。
そして,前処理槽15で前処理され,熱交換器16において予め常温よりも高い温度に加熱された厨房・雑排水gが,好熱菌処理槽17に供給される。前述のように,好熱菌処理槽17では,厨房・雑排水gを所望の高温度に加熱して,好熱菌による浄化処理が行われるが,このように好熱菌処理槽17に供給される厨房・雑排水gが予め常温よりも高い温度に加熱されていることにより,好熱菌処理槽17において厨房・雑排水gを速やかに所望の高温度に加熱することがきる。そのため,処理時間の短縮化が図れる。また,熱エネルギの有効利用もはかれる。
一方,好熱菌処理槽17において好熱菌処理され,熱交換器16においてほぼ常温程度まで冷却された厨房・雑排水gが,生物処理槽18に供給される。そして,生物処理槽18では,好熱菌処理槽17での浄化処理済みの厨房・雑排水gを,常温下で生物処理する。この場合,生物処理槽18での浄化処理は,例えば好気性生物を利用した曝気処理による活性汚泥法によって行われる。即ち,生物処理槽18では,グラム陰性菌,グラム陽性桿菌,シュードモナス(Pseudomonas)属菌,バチルス(Bacillus)属菌などの接種菌により,曝気処理され,有機物の分解反応が行われる。なお,前述のように,生物処理槽18に供給される厨房・雑排水gは,熱交換器16において予め常温よりも若干温度が高い程度まで冷却されているので,生物処理槽18内の厨房・雑排水gは高温となることはなく,生物処理を行う菌が熱で死ぬ心配がない。そして,このように好熱菌処理槽17及び生物処理槽18で浄化処理された厨房・雑排水gが,次の分離槽19に供給される。
そして,分離槽19では,(好熱菌処理槽17及び生物処理槽18で浄化処理済みの)厨房・雑排水gが,沈殿処理,ろ過処理などによって固液分離され,上澄液iと沈降汚泥jに分離される。そして上澄液iは,次に高度処理槽20に供給される。また汚泥jは生物処理槽18に戻される。このように生物処理槽18に戻される汚泥jの量は,生物処理槽18の微生物の保持量により決定される。
次に,高度処理槽20では,上澄液iを高度処理して更に浄化し,その一部を再生水eとして再利用し,水需要Cとして消費することができる。なお,高度処理槽20で行われる高度処理としては,膜処理,紫外線処理,オゾン処理等,再生水eの用途によって単独もしくは複数の処理が行われる。一方,再利用しなかった上澄液iは,例えば河川などに放流する。なお,放流先の基準に従い,硝化脱窒素,オゾン処理など施しても良い。
かくして,以上に説明した建築物1においては,従来は建築物1内の熱需要B以外の用途に活用できずに無駄に捨てられていた自家発電設備10の熱エネルギcを,建築物1で発生した有機性廃水である厨房・雑排水gの浄化処理に活用することができる。このため,浄化処理の際に有機性廃水の加熱に必要とされていた電気エネルギなどを軽減することができ,建築物1に必要とされるエネルギコストを低減させることができる。また,浄化設備11に必要とされていたガスボイラなどの専用熱源も不要となるので,設備コストが安くなり,COガスも削減できる。このため,地球環境への影響が小さい。また,好熱菌処理槽17において所望の高温度で好熱菌による浄化処理を行うことにより,高速でかつ高性能な浄水能力が得られるようになり,環境汚染の一大原因ともなっている余剰汚泥の大幅削減も達成できる。また,厨房・雑排水gを再生水eとして再利用することにより,水の使用コスト削減も達成できる。
次に,図2は,図1に示したものとは異なる本発明の実施の形態にかかるトータルエネルギシステムを適用した建築物2の説明図である。この建築物2も同様に,例えば事務所ビルや商業ビルなどの業務ビルである。この建築物2は,先に図1で説明した浄化設備11と異なる構成の浄化設備30を備えている。なお,浄化設備30の構成が異なる点を除けば,この建築物2は,先に図1で説明した建築物1と同様の構成を備えている。このため,この建築物2において,先に図1で説明した建築物1と共通の構成要素については,同じ符合を付することにより,重複した説明を省略する。
この浄化設備30には,前処理槽35,生物処理槽36,分離槽37,熱交換器38,好熱菌処理槽39及び高度処理槽40が設けてある。建築物2が備える自家発電設備10で発生させた熱エネルギcは,この浄化設備30の好熱菌処理槽39に供給されている。なお,好熱菌処理槽39への熱エネルギcの供給も,例えば自家発電設備10の冷却水を好熱菌処理槽39に循環させることによって行われる。好熱菌処理槽39には,加熱手段としての加熱コイルや加熱ジャケットなどが設けられる。
この建築物2にあっては,厨房等で発生した厨房・雑排水gは,先ず浄化設備30の前処理槽35に供給される。そして前処理槽35では,大型SS物質の除去などが行われる。そして,このように前処理(大型SS物質の除去など)を行った厨房・雑排水gは,前処理槽35で流量調整されながら,次の生物処理槽36に供給される。
そして,生物処理槽36では,厨房・雑排水gを生物処理する。この場合,生物処理槽36での浄化処理は,例えば,常温下で好気性生物を利用した曝気処理による活性汚泥法によって行われる。即ち,生物処理槽36では,グラム陰性菌,グラム陽性桿菌,シュードモナス(Pseudomonas)属菌,バチルス(Bacillus)属菌などの接種菌により,常温下で曝気処理され,有機物の分解反応が行われる。そして,このように生物処理槽36で浄化処理された厨房・雑排水gが,次の分離槽37に供給される。
そして,分離槽37では,(生物処理槽36で浄化処理済みの)厨房・雑排水gが,沈殿処理,ろ過処理などによって固液分離され,上澄液iと沈降汚泥jに分離される。そして上澄液iは,次に高度処理槽40に供給される。また汚泥jは,熱交換器38を経て,次に好熱菌処理槽39に供給される。
こうして,好熱菌処理槽39に供給された汚泥jは,自家発電設備10から好熱菌処理槽39へ供給された熱エネルギcにより,所望の高温度(例えば40〜95℃)に加熱される。そして,好熱菌処理槽39では,所望の高温度に加熱された状態で,好熱菌によって汚泥jが可溶化処理される。生物処理槽36から好熱菌処理槽39に供給されてくる汚泥j中の細菌は,生物分解されにくい細胞壁と生物分解に長時間を要する細胞質(中身)からなっており,そのままでは水に溶けずに余剰汚泥として残ってしまう。そこで,好熱菌処理槽39では,汚泥jを好熱菌によって生物分解し,生物処理槽36において常温下での活性汚泥法による生物処理をしやすい状態とする。このように好熱菌処理槽39において汚泥jの可溶化処理に用いられる好熱菌は,常温よりも高い温度(例えば40〜95℃)において活性を示す菌であれば任意であるが,高温条件において有機性固形物を分解して可溶化させる好熱菌が用いられる。通常,これらは汚泥jに含まれているが,足りない場合などは,外部から好熱菌処理槽39に好熱菌を添加しても良い。そして,このように好熱菌処理槽39において所定の高温度下で好熱菌によって可溶化処理された汚泥jが,熱交換器38を経て,再び生物処理槽36に戻される。
ここで,熱交換器38では,分離槽37から熱交換器38を経て好熱菌処理槽39に供給される汚泥jと,好熱菌処理槽39から熱交換器38を経て生物処理槽36に供給される汚泥jとの間で熱交換が行われる。分離槽37から熱交換器38に入る汚泥jは,加熱されておらずほぼ常温である。なお,分離槽37に供給された(生物処理槽36で浄化処理済みの)厨房・雑排水gの量は,分離槽37から熱交換器38に入る汚泥jの量よりもはるかに多い。一方,好熱菌処理槽39から熱交換器38に入る汚泥jは,好熱菌処理槽39において自家発電設備10から送られた熱エネルギcで加熱された温度,即ち,ほぼ所望の高温度(例えば40〜95℃)である。このため,両者の間で熱交換が行われることにより,分離槽37から熱交換器38を経て好熱菌処理槽39に供給される汚泥jは,加熱されて常温よりも高い温度となり,一方,好熱菌処理槽39から熱交換器38を経て生物処理槽36に戻される汚泥jは,冷却されてほぼ常温程度となる。なお,熱交換器38も,シェル・チューブ熱交換器,二重パイプなど,従来一般的な熱交換器を利用できる。
そして,分離槽37で分離され熱交換器38において予め常温よりも高い温度に加熱された汚泥jが,好熱菌処理槽39に供給される。これにより,好熱菌処理槽39において汚泥jを速やかに所望の高温度に加熱することができ,処理時間の短縮化,熱エネルギの有効利用がはかれる。
一方,好熱菌処理槽39において可溶化処理され,熱交換器38においてほぼ常温程度まで冷却された汚泥jが,再び生物処理槽36に供給される。そして,生物処理槽36では,可溶化処理された汚泥jを,常温下で生物処理する。これにより,生物処理槽36において,生物処理しやすい状態で活性汚泥法による生物処理を行うことができ,余剰汚泥の発生を少なくすることができる。なお,生物処理槽36に供給される可溶化処理された汚泥jは,熱交換器38において予めほぼ常温程度まで冷却されているので,生物処理槽38内において生物処理を行う菌が熱で死ぬ心配がない。そして,このように生物処理槽36で浄化処理された厨房・雑排水gが,次の分離槽37に供給される。
そして,分離槽37から高度処理槽40に供給された上澄液iは,次に,高度処理槽20において高度処理され,更に浄化される。そして,その一部を再生水eとして再利用し,水需要Cとして消費することができる。また,再利用しなかった上澄液iは,例えば河川などに放流する。なお,放流先の基準に従い,硝化脱窒素,オゾン処理など施しても良い。
かくして,以上に説明した建築物2においても,自家発電設備10の熱エネルギcを,建築物2で発生した汚泥jの可溶化処理に活用することができ,トータルエネルギコストを低減させることができる。特にこの建築物2によれば,汚泥jを可溶化処理して生物処理槽36で再び浄化処理することにより,余剰汚泥を低減させて後処理を軽減でき,設備の簡素化,コスト低減化が図れる。
以上,本発明の好ましい実施の形態の2例を示したが,本発明は例示した形態に限定されない。自家発電設備10は,ガスタービン発電,内燃力発電,燃料電池発電に限らず,発電に際し発熱を伴うものであれば良い。好熱菌処理槽17,39において,厨房・雑排水gや汚泥jを所望の高温度(例えば40〜95℃)に加熱するために,自家発電設備10から熱媒を送る配管に流量調整弁を設け,好熱菌処理槽17,39の厨房・雑排水gや汚泥jの温度に応じて自家発電設備10から好熱菌処理槽17,39に送る熱媒の流量を制御しても良い。また,図1,2中に記載したように,自家発電設備10以外の補助熱源50を更に備え,好熱菌処理槽17,39において好熱菌処理する際の熱エネルギの不足を補うように構成しても良い。即ち,好熱菌処理槽17,39で処理される有機性廃水もしくは汚泥を加熱する際に,自家発電設備10の熱エネルギcだけでは有機性廃水もしくは汚泥を所望の温度に加熱できない場合や,自家発電設備10の停止時などの熱エネルギ不足分を,補助熱源50によって補うように構成しても良い。補助熱源50には,化石燃料を燃焼させるボイラ,電気的な加熱ヒータなど,任意の熱源を利用できる。この場合,好熱菌処理槽17,39で処理される有機性廃水や汚泥の温度を検知するセンサ51を設け,このセンサ51の検知温度によって,補助熱源50の稼動を制御して,好熱菌処理槽17,39で処理される有機性廃水や汚泥の温度を所望の温度となるようにしても良い。また,このセンサ51の検知温度によって,自家発電設備10から熱媒を送る配管に設けた流量調整弁を制御し,自家発電設備10から好熱菌処理槽17,39に送る熱媒の流量を制御しても良い。また,図1,2で説明したように,自家発電設備10で発生した熱エネルギcの一部を建築物1内の熱需要Bに用い,残りの熱エネルギcで有機性廃水や汚泥を加熱する場合の他,自家発電設備10で発生した熱エネルギcの全部を有機性廃水や汚泥の加熱に費やしても良いし,更に,熱エネルギcの一部をその他の用途(例えば,前処理など)に用いても良い。また,高度処理槽20,40は省略しても良い。例えば,再生水eの用途が便器の洗浄水などである場合は,沈降処理だけでよい場合もある。そのような場合は,高度処理槽20,40を省略し,分離槽19,37の上澄液を再生液に利用することもできる。また,好熱菌処理槽17,39で処理される有機性廃水や汚泥の加熱は,好熱菌処理槽17,39の中で行う場合に限られない。例えば,好熱菌処理槽17,39の外に熱交換器を配置し,その熱交換器において,自家発電設備10で発生した熱エネルギcや補助熱源50からの熱エネルギを利用して有機性廃水や汚泥を加熱し,その後,加熱した有機性廃水や汚泥を好熱菌処理槽17,39に供給するように構成しても良い。
本発明は,業務用ビルの他,ホール,設備等の他の建築物にも適用できる。また,有機性廃水の一例として厨房・雑排水gを浄化処理する場合について説明したが,厨房・雑排水gの他,同様に有機性廃水である便所排水fを処理する場合にも本発明を適用できる。また,複数の建築物で1又は2以上の自家発電設備や浄化設備を共用したり,その逆に,1又は2以上の建築物で複数の自家発電設備や浄化設備を共用したりする場合においても,本発明を適用できる。また,本発明のシステムにおいて行われる処理は,連続式でもバッチ式でも良い。処理される有機廃水や汚泥の性質や,廃水等の貯留施設の有無などによって,適宜選択すればよい。
また,図1,2では,好熱菌処理槽17,39にて高温下で処理された厨房・雑排水gや汚泥jから熱回収する例を説明したが,そのような熱回収は省略しても良い。また,再生水eを水需要Cに再利用する例を説明したが,再利用しなくても良い。また,再利用されない上澄液iは,河川の他,下水,海域などへ放流しても良い。
また,前処理槽15,35では,大型SS物質の除去に限らず,必要に応じて殺菌や濾過,pH調整などを行っても良い。例えば厨房などにおいてグリーストラップなどにより大型SS物質が除去されているのであれば,前処理槽15,35を省略しても良い。
また,図1に示した例では,好熱菌処理槽17で浄化処理した後,厨房・雑排水gを生物処理槽18で浄化し,その後,分離槽19で上澄液iと沈降汚泥jに分離しているが,生物処理槽18の中に濾過膜を設置することで,一つの生物処理槽18で生物処理と固液分離を行わせることもできる。また,高度処理槽20,40において砂濾過,殺菌,脱色などを行っても良い。
また,図2に示した例では,汚泥jを好熱菌処理槽39で行う例を説明したが,可溶化は配管内で行っても良い。配管内を加熱することによっても同様の効果を得ることができ,好熱菌処理槽39の削減を図ることができる。なお,その場合,配管には2重管などを用いると良い。
次に,本発明による効果を確認すべく,シミュレーションを行った。先ず,特公昭56−48235号公報の図面に示された浄化設備において,従来法として,厨房・雑排水(有機性廃水)や汚泥の加熱源として専用熱源(ガスボイラ)で発生させた熱エネルギを用いた場合と,本発明として,厨房・雑排水(有機性廃水)や汚泥の加熱源として自家発電設備で発生した熱エネルギを用いた場合について比較した。延床面積100,000m2,在室人員10,000名,屎尿排水量360m3/日,厨房雑排水量600m3/日として試算した。その他の試算条件を表1に示す。
Figure 0004588314
従来法のランニングコストは,厨房・雑排水(有機性廃水)や汚泥の加熱を行わない活性汚泥法(即ち,好熱菌による処理を行わない浄化処理)に対して1667万円/年上昇し,CO発生量は330t/年増加した。これに対して,本発明によれば,再生水のうち,360m3/日を再利用することにより,ランニングコストは7560万円/年減少した。なお,コスト試算内容は以下の通りである。
廃水処理費増加分(加熱,再生):(50-30)円/m3×600m3/日×260日/年=312万円/年
汚泥減容によるメリット:600m3/日×260日/年×(0.6-0.3)kg×0.5/1000÷(1-0.95)×20,000円/m3 (=9,360,000)-600m3/日×260日/年×(0.6-0.03)kg×0.05/1000÷(1-0.95)×20,000円/m3 (=1,778,400)=758万円/年
再生水利用によるコストメリット:360m3/日×760円/m3×260日/年=7114万円/年
コストメリット:758万+7,114万-312万=756万円/年
CO試算内容
再生水利用による削減量:0.95kg/m3×360m3/d×260日/年=89t/年
次に,特許第3048889号公報の図1に示された浄化設備において,従来法として,厨房・雑排水(有機性廃水)や汚泥の加熱源として専用熱源(ガスボイラ)で発生させた熱エネルギを用いた場合と,本発明として,厨房・雑排水(有機性廃水)や汚泥の加熱源として自家発電設備で発生した熱エネルギを用いた場合について比較した。
なお,コスト試算内容は以下の通りである。
Figure 0004588314
従来法のランニングコストは,加熱を行わない活性汚泥法(即ち,好熱菌による処理を行わない浄化処理)に対して536万円/年減少し,CO2発生量は6t/年増加した。これに対して,本発明によれば,ランニングコストは7460万円/年減少した。なお,コスト試算内容は以下の通りである。
廃水処理費増加分(加熱,再生):(45-30)円/m3×600m3/日×260日/年=234万円/年
汚泥減容によるメリット:600m3/日×260日/年×(0.6-0.3)kg×0.5/1000÷(1-0.95)×20,000円/m3 (=9,360,000)-600m3/日×260日/年×(0.6-0.03)kg×0.1/1000÷(1-0.95)×20,000円/m3 (=3,556,800)=580万円/年
再生水利用によるコストメリット:360m3/日×760円/m3×260日/年=7114万円/年
コストメリット:580万+7,114万-234万=7460万円/年
CO試算内容
再生水利用による削減量:0.95kg/m3×360m3/d×260日/年=89t/年
加熱用熱源に専用熱源を用いた従来法は,熱を利用しない活性汚泥法と比較してランニングコストは高価であるいか,あるいはほぼ同等で優位性がないうえ,CO発生量は何れも確実に増加するため,地球環境への影響が大きく,それらの普及は困難であると言える。しかし、本発明に従い自家発電設備排熱を利用することにより,建築設備のトータル運転コストが大幅に削減可能であり,かつ上下水道施設を含めた水循環社会全体のCO発生量の削減が可能であるため,今まで採用されなかった施設への自家発電設備の普及および熱を利用した有機性廃水処理施設の普及が推進され,環境負荷軽減が可能である。
次に,図1で説明した建築物において,延床面積100,000m2,収容人員10,000人,自家発電機設備容量2830kW(内電力分は1490kW,総合エネルギー効率76%),買電の電力2510kW(稼動日数の平均使用量,総合エネルギー効率35%),厨房・雑排水量600m3/d,便所排水量360m3/d,年間稼働日数260日として試算した。建築物から排出された厨房・雑排水(BOD:600mg/L)を65℃の高温生物処理槽に導入し処理したのち,常温(水温未制御)の生物処理槽にて処理し,この生物処理槽の処理水を高度処理し,360m3/dを便所用水として再利用し,240m3/dを河川へ放流したものとした。
一方,ランニングコスト及びCO2削減量を比較評価するために,同じ建築物で好熱菌処理を行わない従来の浄化設備(建築物から排出された厨房・雑排水を前処理槽,生物処理槽,分離槽で処理する設備)を備えたものについても試算した。なお,廃水処理は大型施設(日量50t/m3/日以上)に適用される下水への排水基準まで処理する従来の浄化設備を有するもので,計算上BOD処理量を300mg/m3とした。また,使用電力及び熱需要分は買電によるとした。
両者の比較結果を以下に示す。なお,コストについては,電力使用量の一部を高効率のコージェネレーションシステム(CGS)などでまかなうことで削減することもできるが,水処理での再利用化および余剰汚泥量低減による削減額の方が大きいことから,少し過小評価にはなるが水処理分のみを算出した。CO削減量に関しては,CGS電力の使用による削減分および従来の加熱需要へのCGS排熱利用による削減分と廃水の排熱利用による増加分の総計で試算した。計算式及び結果は以下のようになった。なお,計算条件は表1,2表3に示した通りである。
CO2排出係数(従来1) 0.32kg/kWh×(0.35÷0.76)=0.15kg/kWh
CO2削減量=1580+711-622=1,669t/年
電気使用によるCO2削減量:1490kWh×24h×260d(0.32kg/kWh-0.15kg/kWh)/1000=1580t/年
排熱利用(従来分)でのCO2削減量 670kWh×24h×260d×(0.32-0.15)÷1000=711t/年
廃水処理でのCO2増加分(670kWh×24h×260d×(0.32-0.15))-(0.95×360m3/d×260d))÷1000=622t/年
コスト削減額(年額):6926+758=7684万円/年
水分削減額:360m3/d×260d×(760+30-50)=6926万円
汚泥減容化分削減額:936-178=758万円/年
従来分:600m3×260日/年×(0.6-0.3)kg×0.5/1000÷0.05×2万円/m3=936万円
本発明:600m3×260日/年×(0.6-0.03)kg×0.05/1000÷0.05×2万円/m3=178万円
Figure 0004588314
以上のように,本発明によれば,コストで年間7378万円の削減,CO2で約1600tの削減が達成でき,環境負荷低減効果とコスト削減効果が極めて大きいことが分かる。地球規模でのCO削減対策の大きな施策の一つとして今後の展開が期待できるシステムである。なお,本発明の大きな副次効果として,廃水の高温処理化により処理性能が飛躍的に向上させることができ,結果的に短時間での処理が可能なことから処理水槽容積を,従来方式の1200m3から336m3とすることができた。このことは,建設コストの大幅な削減にもつながった。
次に,図2で説明した建築物において,延床面積100,000m2,収容人員10,000人,自家発電機設備容量2320kW(内電力分は1220kW,総合エネルギー効率76%),買電の電力1680kW(稼動日数の平均使用量,総合エネルギー効率35%),厨房・雑排水量600m3/d,便所排水量360m3/d,年間稼働日数260日として試算した。建築物から排出された厨房・雑排水(BOD:600mg/L)を常温下で生物処理槽にて処理し,生物処理槽の処理水を高度処理し,360m3/dを便所用水として再利用し,240m3/dを河川へ放流した。沈殿槽からの返送汚泥257m3/日を95℃の殺菌可溶化槽にて可溶化し,生物処理槽に返送した。この可溶化工程に自家発電排熱を利用した。また,先と同様に,同じ建築物で好熱菌処理を行わない従来の浄化設備(建築物から排出された厨房・雑排水を前処理槽,生物処理槽,分離槽で処理する設備)を備えたものについても試算した。
両者の比較結果を以下に示す。なお,コストについては,電力使用量の一部を高効率のCGSでまかなうことによっても削減できるが,水処理での再利用化および余剰汚泥量低減による削減額の方が大きいことから,少し過小評価にはなるが水処理分のみを算出する。CO削減量に関しては,CGS電力の使用による削減分および従来の加熱需要へのCGS排熱利用による削減分と廃水の排熱利用による増加分の総計で試算した。計算式及び結果は以下のようになる。計算条件は表1,2,4に示した通りである。
CO2排出係数(従来1) 0.32kg/kWh×(0.35÷0.76)=0.15kg/kWh
CO2削減量=1294+456-367=1383t/年
電気使用によるCO2削減量:1220kWh×24h×260d×(0.32-0.15kg/kW)/1000=1294t/年
排熱利用(従来分)でのCO2削減量 430kWh×24h×260d×(0.32-0.15)÷1000=456t/年
廃水処理でのCO2増加分 (430kWh×24h×260d×(0.32-0.15))-(0.95×360m3/d×260d))÷1000=367t/年
コスト削減額(年額) 6926+580=7506万円/年
水分削減額:360m3/d×260d×(760+30-50)=6926万円
汚泥減容化分削減額: 936-356=580万円/年
従来分:600m3×260日/年×(0.6-0.3)kg×0.5/1000÷0.05×2万円/m3=936万円
本発明:600m3×260日/年×(0.6-0.03)kg×0.1/1000÷0.05×2万円/m3=356万円
Figure 0004588314
以上のように,本発明によれば,コストで年間7226万円の削減,CO2で約300tの削減が達成でき,CGS排熱を利用した水処理システムの環境負荷低減効果とコスト削減効果が極めて大きいことが分かる。地球規模でのCO削減対策の大きな施策の一つとして今後の展開が期待できるシステムである。
次に,図2で説明した建築物において,延床面積100,000m2,収容人員10,000人,自家発電機設備容量850kW(内電力分は450kW,総合エネルギー効率76%),買電の電力3550kW(稼動日数の平均使用量,総合エネルギー効率35%),厨房・雑排水量600m3/d,便所排水量360m3/d,年間稼働日数260日として試算した。建築物より排出された厨房・雑排水(BOD:600mg/L)を常温下で生物処理槽にて処理し,生物処理槽の処理水を高度処理し,360m3/dを便所用水として再利用し,240m3/dを河川へ放流した。生物処理槽で発生した汚泥を65℃の可溶化槽にて可溶化し,生物処理槽に返送した。この可溶化工程に自家発電排熱を利用した。また,先と同様に,同じ建築物で好熱菌処理を行わない従来の浄化設備(建築物から排出された厨房・雑排水を前処理槽,生物処理槽,分離槽で処理する設備)を備えたものについても試算した。その結果,比較的効果が低いが,ランニングコストの削減,およびCOの削減が達成できた。
本発明は,事務所ビル,商業ビルなどといった業務用ビルの他,ホール,設備等の他の建築物にも適用できる。
本発明の実施の形態にかかるトータルエネルギシステムを適用した建築物の説明図である。 図1に示したものとは異なる本発明の実施の形態にかかるトータルエネルギシステムを適用した建築物の説明図である。
符号の説明
A 電気需要
B 熱需要
C 水需要
a 電気エネルギ(買電)
b 電気エネルギ
c 熱エネルギ
d 上水
e 再生水
f 便所排水
g 厨房・雑排水
h 蒸発飛散水等
i 上澄液
j 沈降汚泥
1,2 建築物
10 自家発電設備
11 浄化設備
15,35 前処理槽
16,38 熱交換器
17,39 好熱菌処理槽
18,36 生物処理槽
19,37 分離槽
20,40 高度処理槽

Claims (5)

  1. 自家発電設備を備えた建築物において,前記建築物で発生した有機性廃水を好熱菌によって処理する好熱菌処理槽と,好熱菌処理槽で好熱菌処理した有機性廃水を常温で生物処理する生物処理槽と,前記好熱菌処理槽に入る有機性廃水と前記好熱菌処理槽から出る有機性廃水とを熱交換させる熱交換器と,浄化処理済の有機性廃水を固液分離する分離槽と,前記分離槽で固液分離された上澄液を膜処理,紫外線処理,オゾン処理の単独もしくは複数で浄化する高度処理槽を設け,前記自家発電設備に供給される冷却水を前記好熱菌処理槽に循環させることにより,前記好熱菌処理槽で処理される有機性廃水を,前記自家発電設備で発生した熱エネルギを利用して加熱し,前記高度処理槽で浄化された上澄液を再生水として建築物内の水洗便所もしくは厨房施設で再利用するように構成したことを特徴とする,建築物におけるトータルエネルギシステム。
  2. 自家発電設備を備えた建築物において,前記建築物で発生した有機性廃水を常温で生物処理する生物処理槽と,浄化処理済の有機性廃水を固液分離する分離槽と,前記分離槽で固液分離された上澄液を膜処理,紫外線処理,オゾン処理の単独もしくは複数で浄化する高度処理槽と,前記分離槽で固液分離された汚泥を好熱菌によって可溶化処理する好熱菌処理槽と,前記好熱菌処理槽に入る汚泥と前記好熱菌処理槽から出る汚泥を熱交換させる熱交換器を設け,前記自家発電設備に供給される冷却水を前記好熱菌処理槽に循環させることにより,前記好熱菌処理槽で処理される汚泥を,前記自家発電設備で発生した熱エネルギを利用して加熱し,前記高度処理槽で浄化された上澄液を再生水として建築物内の水洗便所もしくは厨房施設で再利用するように構成したことを特徴とする,建築物におけるトータルエネルギシステム。
  3. 前記自家発電設備が,ガスタービン発電,内燃力発電もしくは燃料電池発電のいずれかを行う設備であることを特徴とする,請求項1又は2に記載の建築物におけるトータルエネルギシステム。
  4. 前記好熱菌処理槽における有機性廃水もしくは汚泥の処理温度が,40〜95℃であることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の建築物におけるトータルエネルギシステム。
  5. 前記自家発電設備で発生した熱エネルギの一部で有機性廃水もしくは汚泥を加熱し,残りの熱エネルギの一部もしくは全部を,有機性廃水もしくは汚泥の加熱以外の用途に利用することを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の建築物におけるトータルエネルギシステム。
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