JP4588261B2 - 水性分散液 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性分散液に関する。本発明の水性分散液は、各種基材との接着性や密着性、貯蔵安定性、耐候性等に優れる。また本発明の水性分散液からなるコーティング剤によって得られたコーティング層は耐水性と耐溶剤性に優れる。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、加工性、耐水性、耐油性等の樹脂特性が優れる上に安価であることから、家庭電化製品や自動車部品用プラスティックとして多量に使用されており、その付加価値を高めるためにポリオレフィン成形品の表面に塗装を施したり、他の樹脂との積層体を形成することが試みられているが、ポリオレフィンは極性が低く、一般の塗料や他の樹脂との接着性が悪いという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、あらかじめポリオレフィン成形品の表面をクロム酸、火炎、コロナ放電、プラズマ、溶剤等を用いて処理することにより成形品表面の極性を高め、塗料や他の樹脂との接着性を改善することが従来より試みられてきたが、これらの処理においては、複雑な工程を必要としたり、腐食性の薬剤を多量に使用するため危険を伴ったりするといった問題点があった。
【0004】
このような状況下に、ポリオレフィン成形品の表面を塩素化ポリオレフィンを主成分とするプライマーで下塗りする方法が提案されたが、塩素化ポリオレフィンは人体に対して有害なトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒に溶解させて使用することから、安全性や環境上の問題が生じるといった欠点があった。そこで塩素化ポリオレフィンを水性分散化する方法(特開平1−256556号公報、特開平4−218548号公報参照)が提案されたが、この方法においても芳香族系有機溶剤の使用を完全になくすことは困難である上に、得られる塗布皮膜の耐候性が劣るという欠点がある。
さらに、廃棄物焼却時の塩酸ガス発生やリサイクル等の面から塩素を含有しない水性分散型接着剤が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、本発明の目的は、各種基材との接着性や密着性、貯蔵安定性、耐候性、耐水性等に優れる水性分散液を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体ブロック(A)とカルボキシル基または無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の単位2〜100モル%および該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体の単位98〜0モル%からなる重合体ブロック(B)とから構成されるブロック共重合体(I)を前記カルボキシル基または無水カルボン酸基に対して0.05当量以上の塩基性物質の水溶液に分散してなる水性分散液(I)に、該水性分散液(I)の固形分に対して硬化剤(II)を0.2〜20重量%配合してなる水性分散液を提供することによって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるブロック共重合体(I)は、以下に述べる重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)から構成されており、例えば、AB型ジブロック共重合体、ABA型トリブロック共重合体、BAB型トリブロック共重合体などを挙げることができる。これらのなかでも、AB型ジブロック共重合体が好ましい。
【0008】
ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロック(A)は、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体ブロックである。重合体ブロック(A)におけるオレフィン系単量体単位の含有量としては、重合体ブロック(A)の全構造単位の合計モル数に基づいて50〜100モル%の範囲内であることが好ましく、70〜100モル%の範囲内であることがより好ましく、80〜100モル%の範囲内であることがさらに好ましい。重合体ブロック(A)におけるオレフィン系単量体単位の含有量は、重合体ブロック(A)の全構造単位の合計モル数に基づいて100モル%であることが最も好ましい。
【0009】
オレフィン系単量体単位としては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等のα−オレフィン;2−ブテン;イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;ビニルシクロヘキサン;シクロペンタジエン;β−ピネンなどから誘導される単位を挙げることができ、重合体ブロック(A)は、これらのうち1種または2種以上を含有することができる。重合体ブロック(A)は、エチレンまたはプロピレンから誘導される単位を含むのが好ましく、プロピレンから誘導される単位からなる重合体ブロック、プロピレンから誘導される単位およびエチレンから誘導される単位からなる共重合体ブロック、プロピレンから誘導される単位およびプロピレン以外の他のα−オレフィンから誘導される単位からなる共重合体ブロック、エチレンから誘導される単位からなる重合体ブロックまたはエチレンから誘導される単位およびプロピレン以外の他のα−オレフィンから誘導される単位からなる共重合体ブロックを含有する重合体ブロックであるのがより好ましい。上記のオレフィン系単量体単位がブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエンから誘導される単位の場合には、残存する不飽和結合が水素添加されていてもよい。
【0010】
重合体ブロック(A)は、必要に応じて、上記のオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体から誘導される単位を0〜50モル%の範囲内の割合で含有することができる。該単量体単位の含有量は、0〜30モル%の範囲内であることが好ましく、0〜20モル%の範囲内であることがより好ましい。上記のオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリロニトリルが好ましい。
【0011】
本発明におけるブロック共重合体を構成する重合体ブロック(B)は、カルボキシル基または無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の単位を重合体ブロック(B)の全構造単位のモル数に基づいて2〜100モル%含有しており、水性分散液から形成されるコーティング層の耐水性の観点から、該単位の含有量は2〜50モル%の範囲内であることが好ましく、2〜45モル%の範囲内であることがより好ましく、2〜30モル%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0012】
カルボキシル基を有するビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0013】
無水カルボン酸基(式:-CO-O-CO-で示される基)を有するビニル系単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、無水マレイン酸が好ましい。
【0014】
重合体ブロック(B)は、上記のカルボキシル基または無水カルボン酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体の単位を重合体ブロック(B)の全構造単位のモル数に基づいて0〜98モル%、好ましくは50〜98モル%、より好ましくは55〜98モル%、さらに好ましくは70〜98モル%の割合で含有することができる。上記の他のビニル系単量体としては、スチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩等のスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルが好ましい。
【0015】
重合体ブロック(A)の数平均分子量としては、1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、1,000〜20,000の範囲内であることがより好ましい。重合体ブロック(B)の数平均分子量としては、1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、1,000〜20,000の範囲内であることがより好ましい。ブロック共重合体の数平均分子量としては、2,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜40,000の範囲内であることがより好ましい。なお、本明細書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値である。
また、ブロック共重合体(I)における、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の重量割合は、重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)=3/1〜1/3の範囲内であることが好ましく、重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)=2/1〜1/2の範囲内であることがより好ましい。
【0016】
本発明におけるブロック共重合体(I)は、例えば、末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)の存在下に、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合することにより製造することができる。この方法によれば、目的とする数平均分子量および分子量分布を有するブロック共重合体(I)を簡便かつ効率的に製造することができる。
【0017】
末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)は、各種の方法により製造することができ、例えば、末端に二重結合を有するポリオレフィン系重合体に、チオ−S−酢酸、チオ−S−安息香酸、チオ−S−プロピオン酸、チオ−S−酪酸またはチオ−S−吉草酸などを付加させた後、酸またはアルカリで処理する方法、アニオン重合法によりポリオレフィンを製造する際の停止剤としてエチレンスルフィドを用いる方法などにより製造することができる。
【0018】
本発明の水性分散液において、上記したブロック共重合体(I)100重量部に対してオレフィン系重合体を1〜200重量部配合すると、該水性分散液から形成されるコーティング層の強度が向上する場合がある。オレフィン系重合体の配合量としては、水性分散液の貯蔵安定性と得られるコーティング層の強度のバランスの観点から、ブロック共重合体(I)100重量部に対して1〜100重量部の範囲内であることが好ましく、1〜50重量部の範囲内であることがより好ましい。オレフィン系重合体の配合量が200重量部を超えると、得られる水性分散液における分散物質の平均粒子径が大きくなり、水性分散液の貯蔵安定性が低下する。
【0019】
上記のオレフィン系重合体としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン(またはトリエン)三元共重合体などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。上記のエチレン−α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、エチレン−プロピレン−ジエン(またはトリエン)三元共重合体におけるジエン(またはトリエン)としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジクロロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン等のトリエンなどが挙げられる。
また、上記のオレフィン系重合体は変性されていてもよく、該変性は、塩素化、臭素化等のハロゲン化;クロロスルフォン化;エポキシ化;ヒドロキシル化;無水カルボン酸化;カルボン酸化などの公知の諸法を用いて行うことができる。
【0020】
上記したブロック共重合体(I)および必要に応じて配合されるオレフィン系重合体を、ブロック共重合体(I)の重合体ブロック(B)におけるカルボキシル基または無水カルボン酸基に対して0.05当量以上の塩基性物質の水溶液に前記ブロック共重合体(I)の融点以上の温度で分散させることにより、本発明における水性分散液(I)を製造することができる。なお、上記のオレフィン系重合体を含む水性分散液(I)を製造する場合には、ブロック共重合体(I)およびオレフィン系重合体のうち、融点が高い方の重合体の融点以上の温度で上記の水溶液に分散させるのがよい。上記の分散を上記の融点より低い温度で行うと、分散物質の平均粒径が大きくなり、水性分散液(I)の安定性が低下する。
【0021】
上記の分散は、攪拌手段を備えた耐圧容器を用いて行なうことができ、攪拌手段としては、特に限定されないが、大きな剪断力を生じさせる観点から、タービン型攪拌機、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザーが好ましい。また、分散は、可動式の攪拌装置を備えたラインミキサーや「スタティックミキサー」(商品名、株式会社ノリタケ製)などの非可動式のライン式の混合機を使用して実施してもよい。
【0022】
上記の塩基性物質としては、アンモニア、ヒドロキシアミン、水酸化アンモニウム、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、(ジ)メチルアミン、(ジ)エチルアミン、(ジ)プロピルアミン、(ジ)ブチルアミン、(ジ)ヘキシルアミン、(ジ)オクチルアミン、(ジ)エタノールアミン、(ジ)プロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物;酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等の金属酸化物;水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等の金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩などが挙げられる。これらのうちでも、入手の容易さ、水性分散液の安定性の観点から、アンモニア、(ジ)メチルアミン、(ジ)エチルアミン、(ジ)プロピルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、(ジ)ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
【0023】
これらの塩基性物質は水溶液として用いられる。塩基性物質の使用量は、ブロック共重合体(I)の重合体ブロック(B)におけるカルボキシル基または無水カルボン酸基に対して0.05当量以上であり、分散粒子径を微細化する観点から、0.2〜5.0当量の範囲内であることが好ましく、0.3〜1.5当量の範囲内であることがより好ましい。
なお、カルボキシル基1モルに対する1当量とは、塩基性物質1モル当量であり、無水カルボン酸基1モルに対する1当量とは、塩基性物質2モル当量である。
【0024】
水性分散液(I)におけるブロック共重合体(I)と塩基性物質の水溶液との配合割合は、ブロック共重合体(I)5〜70重量部に対して塩基性物質の水溶液95〜30重量部の範囲内であるのが好ましい。
【0025】
本発明の水性分散液に配合される硬化剤(II)とは、ブロック共重合体(I)におけるカルボキシル基または酸無水物基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する水溶性または水分散性の化合物である。硬化剤が有する官能基としては、例えば、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、カルボジイミド基およびイソシアネート基などが挙げられる。
【0026】
本発明で使用される硬化剤としては、エポキシ化合物が好ましく、エピクロルヒドリンとビスフェノール類または多価アルコールとを反応させて得られる、分子内にエポキシ基を有する縮合化合物が好ましい。エポキシ化合物のエポキシ当量(エポキシ基1当量当たりの重量)は、50〜2500の範囲内であることが好ましく、100〜1000の範囲内であることがより好ましい。また、エポキシ化合物の分子量としては、150〜5000の範囲内であることが好ましく、200〜3000の範囲内であることがより好ましい。
【0027】
エポキシ化合物の具体例として、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキサイド)グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコール(エチレンオキサイド)グリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸グリシジルエステル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルフタルイミド、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。特に、塗料との密着性に優れる水性分散液が得られ、また、水性分散液の調製の容易さ等の点から、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
【0028】
これらのエポキシ化合物は、水性分散液の形態で容易に入手することができる。例えば、ナガセ化成工業からデナコール、デナキャスト等の商品名、カネボウNSCからエポルジョン等の商品名で市販されているものなどが挙げられる。また、水溶性エポキシ化合物については市販品を待たずとも、容易に水溶液を得ることができる。
【0029】
本発明で使用する硬化剤(II)として、エポキシ化合物以外のものを例示すると、PZ−33(商品名;株式会社日本触媒製)などのアジリジン化合物;WS−500(商品名;株式会社日本触媒製)、K−2030E(商品名;株式会社日本触媒製)などのオキサゾリン化合物;カルボジライトE−01(商品名;日清紡績株式会社製)、カルボジライトV−02(商品名;日清紡績株式会社製)などのカルボジイミド化合物;CR−60N(商品名;大日本インキ化学工業株式会社製)、タケラックWD(商品名;武田薬品工業株式会社製)などのイソシアネート化合物が挙げられる。
【0030】
硬化剤(II)の配合量は、水性分散液(I)中の固形分に対して0.2〜20重量%の範囲内である。該配合量が0.2重量%未満である場合には、水性分散液から形成されるコーティング層の耐溶剤性および耐久性などが十分ではなく、20重量%を超えて余りに多量に使用する場合には、水性分散液のポリオレフィン素材への付着性などが十分ではない。
【0031】
本発明の水性分散液には、必要に応じて、増粘剤、消泡剤等を添加することができる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カゼイン、ビニルアルコ−ル−メタクリル酸共重合体、デンプン、蛋白質等の水溶性高分子を挙げることができる。
【0032】
さらに、塗布される素材の濡れ性を改善するために、本発明の水性分散液に対し、少量の有機溶剤を添加してもよい。また、本発明の水性分散液は、上記の化合物の他に、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、熱分解防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤;酸化チタン、有機顔料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤;有機または無機系のフィラーを含有していてもよい
【0033】
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、o−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−ナフチルアミン、p−フェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0034】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2’−ジヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾ−ル、ビス(2,2’,6,6’)−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
有機系フィラーとしては、例えば、木粉、パルプ粉、レーヨン、ビニロン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子の粒子などが挙げられる。また、無機系のフィラーとしては、例えば、タルク、クレー、カオリン、マイカ等のケイ酸塩、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。
【0035】
本発明の水性分散液における分散物質の平均粒子径は、水性分散液の貯蔵安定性、各種基材との密着性、接着性の観点から、0.05〜2μmの範囲内であることが好ましく、0.05〜1μmの範囲内であることがより好ましい。本発明の水性分散液は、分散物質の粒子径が小さいため、相分離が起こりにくく、貯蔵安定性が良好である。そして、本発明の水性分散液は、ポリオレフィン系樹脂などの非極性基材、特にポリプロピレンに対する接着性や密着性に優れている。さらに、極性基材に対する接着性にも優れることから、コーティング剤(塗装や接着の際のプライマー、塗料、接着剤、表面改質剤)などとして有用である。
【0036】
本発明の水性分散液は、例えば、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−ペンテン等のポリオレフィンや、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー等のポリオレフィン共重合体からなる成形品に使用されるコーティング剤として好適に用いることができる。
【0037】
さらに、本発明の水性分散液は、上記のポリオレフィンやその他の重合体以外にも、ポリプロピレンと合成ゴムからなる成形品、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる成形品、さらには鋼板や電着処理鋼板等の表面処理にも用いることができる。また、ポリウレタン樹脂、脂肪酸変性ポリエステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とする塗料、接着剤等を塗布する表面に下塗し、その表面への塗料、接着剤等の付着性を改善するとともに、鮮映性、低温衝撃性等に優れる塗膜を形成する目的にも用いることができる。
【0038】
すなわち、本発明の水性分散液は、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなる自動車バンパー等の成形品、ポリプロピレンと合成ゴムからなる自動車バンパー等の成形品、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いたSMC成形品、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形品、ポリウレタン樹脂成形品、カチオン電着塗装鋼板等に下塗りして、これらの成形品の表面への塗料、接着剤等の付着性を改善するプライマーとして好適である。
【0039】
また、本発明の水性分散液を主成分とするコーティング剤が適用される成形品は、上記の各種重合体あるいは樹脂が、射出成形、圧縮成形、中空成形、押出成形、回転成形等の公知の成形法のいずれの方法によって成形されたものであってもよい。
【0040】
本発明の水性分散液を成形品の表面に適用する際に、通常、行われている塩素系溶剤、例えば、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,1−トリクロルエチレン等による前処理あるいは蒸気洗浄を行う必要はなく、適用する前に、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類で洗浄するか、弱酸性あるいは弱アルカリ性の水溶液で洗浄すればよい。
【0041】
本発明の水性分散液を成形品の表面に適用する方法としては、噴霧塗布が好適であり、例えば、スプレーガンにて成形品の表面に吹き付けられる。成形品への塗布は常温で行えばよく、塗布した後、自然乾燥や加熱強制乾燥等、適宜の方法によって乾燥され、コーティング層を形成することができる。
【0042】
以上のように、成形品の表面に本発明の水性分散液を塗布し、乾燥させた後、該成形品の表面には、静電塗装、吹き付け塗装、刷毛塗り等の方法によって塗料、接着剤等を塗布することができる。塗料、接着剤等の塗布は、下塗りした後、上塗りする方法で行ってもよい。用いられる塗料、接着剤の種類は特に制限されないが、本発明の水性分散液は、溶剤型熱可塑性アクリル樹脂塗料、溶剤型熱硬化性アクリル樹脂塗料、アクリル変性アルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、メラミン樹脂塗料等を用いる塗装の場合に、成形品に予め下塗りして塗料付着性の高いプライマー層を形成することができるため、好ましい。塗料、接着剤等を塗布した後、ニクロム線ヒーター、赤外線ヒーター、高周波ヒーター等によって加熱する通常の方法に従って硬化させて、所望の塗膜を表面に有する成形品を得ることができる。塗膜を硬化させる方法は、成形品の材質、形状、使用する塗料、接着剤等の性状等によって適宜選ばれる。
【0043】
さらに、本発明の水性分散液は、紙、木、金属、プラスティック等よりなる各種形状の物品(成形体、フィルム、シート等)のコーティング剤(防水用途、離型用途、ヒートシール用途、ラミネート加工等における異種素材の接着剤用途、インキ用途、塗料のプライマー用途等);水性塗料,水性インキの改質剤(顔料分散、光沢付与、耐摩耗性付与、耐水化等);インクジェットインキやカラーコピーのバインダー;トナーの改質剤;つやだし剤;金属表面処理剤などとしても有用である。
【0044】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、下記の実施例および比較例において、分散粒子の平均粒子径測定および塗装性試験は、次のようにして行った。
(平均粒子径測定)
大塚電子株式会社製「ELS800」を用いて光散乱法により測定した。
【0045】
(塗装性試験)
1.碁盤目試験
JIS K5400に記載されている碁盤目試験の方法に準じて碁盤目を付けた試験片を作成し、セロテープ〔商品名、ニチバン(株)社製〕を碁盤目上に貼り付けた後、これを速やかに90度方向に引張って剥離させ、碁盤目100の内、剥離されなかった碁盤目数にて評価した。
2.耐水性試験
塗装板を40℃の温水に240時間浸漬後、水を拭き取り、1時間後にJISK5400に準拠して碁盤目試験を実施した。
3.耐溶剤性試験
塗装板をガソリン/エタノール=9/1(重量比)に25℃、30分浸漬した塗膜に対してJIS K5400に準拠して碁盤目試験を実施した。
4.耐光性試験
塗装板をフェードメーター(ブラックパネル温度83℃)にて400時間照射後に塗装板の塗膜面についてJIS K5400に準拠して碁盤目試験を行った。
【0046】
製造例1:ブロック共重合体(I−1)(プロピレン−α−オレフィン共重合体ブロック/エチルアクリレート−アクリル酸共重合体ブロック)の水性分散液(I−1)の製造
(1) プロピレン−α−オレフィン共重合体〔三井化学株式会社製、「タフマーXR110T」(商品名)〕500gを1リットルの反応器に入れ、内温が390℃になるまで昇温し、2時間攪拌することで末端にニ重結合を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体を得た。末端ニ重結合量は、188.7μmol/gであった。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部、キシレン300重量部およびチオ−S−酢酸4.3重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加して、90℃で2時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体を製造した。末端チオアセチル基量は、179.2μmol/gであり、付加反応率は、95%であった。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部を、キシレン120重量部とn−ブタノール30重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムの4%n-ブタノール溶液5.7重量部を添加して、窒素中トルエン還流温度で1時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体を製造した。末端メルカプト基量は、175.6μmol/gであり、付加反応率は、98%であった。
【0047】
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部をキシレン150重量部に溶解し、これにエチルアクリレート80重量部、アクリル酸10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約10%になるように1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、プロピレン−α−オレフィン共重合体ブロック(A)およびエチルアクリレート−アクリル酸ブロック(B)〔エチルアクリレート:アクリル酸=90:10(重量比)〕から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(I−1)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(I−1)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は5,300、重合体ブロック(B)の数平均分子量は4,500、ブロック共重合体(I−1)の数平均分子量は9,800であり、融点は103℃であった。
得られたブロック共重合体(I−1)50gおよびキシレン250gを攪拌機、コンデンサーを備えた0.5リットルの反応槽に入れ、100℃で溶解させた。次に、0.1%の水酸化ナトリウム水溶液300gを滴下ロートで1時間かけて系内に供給し、キシレン−水懸濁液を得た。この懸濁液中のキシレンを留去することで、粗水性乳化物を得た。この粗水性乳化物300g(樹脂分50g)および28%のアンモニア水3.9gを加圧反応容器に仕込み、160℃で1時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却して水性分散液(I−1)を得た。得られた水性分散液(I−1)の分散物質は真球状で平均粒子径を測定したところ0.3μmであった。この水性分散液(I−1)は1週間静置しても粒子径に変化はなく安定であった。
【0048】
製造例2:ブロック共重合体(I−2)(ポリプロピレンブロック/エチルアクリレート−アクリル酸共重合体ブロック)の水性分散液(I−2)の製造
(1) ポリプロピレン〔三菱化学株式会社製、「三菱ノーブレンMH8」(商品名)〕500gを1リットルの反応器に入れ、内温が390℃になるまで昇温し、4時間攪拌することで末端にニ重結合を有するポリプロピレンを得た。末端ニ重結合量は、232.5μmol/gであった。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリプロピレン100重量部、キシレン300重量部およびチオ−S−酢酸5.3重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を添加して、90℃で2時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリプロピレンを製造した。末端チオアセチル基量は、218.6μmol/gであり、付加反応率は、94%であった。
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリプロピレン100重量部を、キシレン120重量部とn−ブタノール30重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムの4%n-ブタノール溶液6.9重量部を添加して、窒素中トルエン還流温度で1時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリプロピレンを製造した。末端メルカプト基量は、214.2μmol/gであり、付加反応率は、98%であった。
【0049】
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリプロピレン100重量部をキシレン150重量部に溶解し、これにエチルアクリレート80重量部、アクリル酸10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約10%になるように1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、ポリプロピレン(A)およびエチルアクリレート−アクリル酸ブロック(B)〔エチルアクリレート:アクリル酸=90:10(重量比)〕から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(I−2)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(I−2)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は4,300、重合体ブロック(B)の数平均分子量は3,800、ブロック共重合体(I−2)の数平均分子量は8,100であり、融点は148℃であった。
得られたブロック共重合体(I−2)50gおよびキシレン250gを攪拌機、コンデンサーを備えた0.5リットルの反応槽に入れ、100℃で溶解させた。次に、0.1%の水酸化ナトリウム水溶液300gを滴下ロートで1時間かけて系内に供給し、キシレン−水懸濁液を得た。この懸濁液中のキシレンを留去することで、粗水性乳化物を得た。この粗水性乳化物300g(樹脂分50g)および28%のアンモニア水3.9gを加圧反応容器に仕込み、160℃で1時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却して水性分散液(I−2)を得た。得られた水性分散液(I−2)の分散物質は真球状で平均粒子径を測定したところ0.3μmであった。この水性分散液(I−2)は1週間静置しても粒子径に変化はなく安定であった。
【0050】
製造例3:ブロック共重合体(I−3)(プロピレン−α−オレフィン共重合体ブロック/エチルアクリレート−アクリル酸共重合体ブロック)の水性分散液(I−3)の製造
製造例1の(3)で得られた末端にメルカプト基を有するプロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部をキシレン150重量部に溶解し、これにエチルアクリレート80重量部、無水マレイン酸10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約10%になるように1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、プロピレン−α−オレフィン共重合体ブロック(A)およびエチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体ブロック(B)〔エチルアクリレート:無水マレイン酸=90:10(重量比)〕から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(I−3)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(I−3)の重合体ブロック(A)の数平均分子量は5,300、重合体ブロック(B)の数平均分子量は3,000、ブロック共重合体(I−3)の数平均分子量は8,300であり、融点は103℃であった。
得られたブロック共重合体(I−3)50gおよびキシレン250gを攪拌機、コンデンサーを備えた0.5リットルの反応槽に入れ、100℃で溶解させた。次に、0.1%の水酸化ナトリウム水溶液300gを滴下ロートで1時間かけて系内に供給し、キシレン−水懸濁液を得た。この懸濁液中のキシレンを留去することで、粗水性乳化物を得た。この粗水性乳化物300g(樹脂分50g)および28%のアンモニア水3.9gを加圧反応容器に仕込み、160℃で1時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却して水性分散液(I−3)を得た。得られた水性分散液(I−3)の分散物質は真球状で平均粒子径を測定したところ0.2μmであった。この水性分散液(I−3)は1週間静置しても粒子径に変化はなく安定であった。
【0051】
製造例4:ブロック共重合体(I−1)(プロピレン−α−オレフィン共重合体ブロック/エチルアクリレート−アクリル酸共重合体ブロック)とプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる水性分散液(I−4)の製造
製造例1の(4)で得られたブロック共重合体(I−1)40gおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体〔三井化学株式会社製、「タフマーXR110T」(商品名)〕10g、キシレン250gを攪拌機、コンデンサーを備えた0.5リットルの反応槽に入れ、100℃で溶解させた。次に、0.18%の水酸化ナトリウム水溶液300gを滴下ロートで1時間かけて系内に供給し、キシレン−水懸濁液を得た。この懸濁液中のキシレンを留去することで、粗水性乳化物を得た。この粗水性乳化物300g(樹脂分50g)および28%のアンモニア水3.4gを加圧反応容器に仕込み、160℃で1時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却して水性分散液(I−4)を得た。得られた水性分散液(I−4)の分散物質は真球状で平均粒子径を測定したところ0.4μmであった。この水性分散液(I−4)は1週間静置しても粒子径に変化はなく安定であった。
【0052】
製造例5:塩素化ポリプロピレンの水性分散液の製造
無水マレイン酸変性ポリプロピレン〔三洋化成工業社製、「ユーメックス1010」(商品名)〕50gをクロロベンゼン中、110℃に加熱して完全に溶解させ、温度を保ちながら光を完全に遮断して、塩素ガスを供給して約2時間反応させた。得られた反応混合物に大過剰のアセトンを加えて、反応生成物を析出させ、塩素含量30重量%の無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレンを得た。得られた無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン50gを350gのトルエンに溶解し、蒸留水400g、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.1gおよびアクリル酸0.58gを加え攪拌、混合して乳化液を得た。得られた乳化液中のトルエンをエバポレーターで留去することにより、ポリマー濃度20重量%の水性分散液を得た。
【0053】
実施例1
製造例1で製造した水性分散液(I−1)の固形分に対して、硬化剤(II)としてソルビトールポリグリシジルエーテル〔ナガセ化成社製、「デナコール611」(商品名)〕を固形分換算で5重量%配合し、水性分散液を作製した。70℃の湯で洗浄したポリプロピレン成形板上に、この水性分散液を乾燥後の膜厚が10μmになるようにスプレー塗布を行い、50℃で30分乾燥し、110℃で15分間熱処理を行った。得られたコーティング層の上に、上塗り塗料として2液性ウレタン塗料〔関西ペイント社製、「レタンPG」(商品名)〕10重量部とレタン硬化剤1重量部の配合物を、膜厚が50μmになるように塗布し、50℃で1時間乾燥した後、100℃でアニール処理を行った。塗装性試験の結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
製造例2で製造した水性分散液(I−2)を用い、熱処理温度を140℃に変えること以外は、実施例1と同様にして水性分散液を作製し、塗装性試験を実施した。結果を表1に示す。
【0055】
実施例3および4
製造例3または4で製造した水性分散液(I−3)または(I−4)を用いること以外は、実施例1と同様にして水性分散液を作製し、塗装性試験を実施した。結果を表1に示す。
【0056】
参考例1
製造例2で製造した水性分散液(I−2)を70℃の湯で洗浄したポリプロピレン成形板上に、乾燥後の膜厚が10μmになるようにスプレー塗布を行い、50℃で30分乾燥し、140℃で15分間熱処理を行った。得られたコーティング層の上に、上塗り塗料として2液性ウレタン塗料〔関西ペイント社製、「レタンPG」(商品名)〕10重量部とレタン硬化剤1重量部の配合物を、膜厚が50μmになるように塗布し、50℃で1時間乾燥した後、100℃でアニール処理を行った。塗装性試験の結果を表1に示す。
【0057】
参考例2
製造例2で製造した水性分散液(I−1)の固形分に対して、ソルビトールポリグリシジルエーテル〔ナガセ化成社製、「デナコール611」(商品名)〕を固形分換算で0.1重量%配合し、水性分散液を作製した。70℃の湯で洗浄したポリプロピレン成形板上に、この水性分散液を乾燥後の膜厚が10μmになるようにスプレー塗布を行い、50℃で30分乾燥し、140℃で15分間熱処理を行った。得られたコーティング層の上に、上塗り塗料として2液性ウレタン塗料〔関西ペイント社製、「レタンPG」(商品名)〕10重量部とレタン硬化剤1重量部の配合物を、膜厚が50μmになるように塗布し、50℃で1時間乾燥した後、100℃でアニール処理を行った。塗装性試験の結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
70℃の湯で洗浄したポリプロピレン成形板上に、製造例5で得られた塩素化ポリプロピレンの水性分散液を乾燥後の膜厚が10μmになるようにスプレー塗布を行い、50℃で30分乾燥し、140℃で15分間熱処理を行った。得られたコーティング層の上に、上塗り塗料として2液性ウレタン塗料〔関西ペイント社製、「レタンPG」(商品名)〕10重量部とレタン硬化剤1重量部の配合物を、膜厚が50μmになるように塗布し、50℃で1時間乾燥した後、100℃でアニール処理を行った。塗装性試験の結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0004588261
【0060】
上記表中、ブロック共重合体の水性分散液(I)および塩素化ポリプロピレンの水性分散液の配合量は、固形分換算の重量部で示した。また、硬化剤(II)の配合量は、ブロック共重合体の水性分散液(I)中の固形分の重量または塩素化ポリプロピレンの水性分散液中の固形分の重量に対する重量%で示した。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、各種基材との接着性や密着性、貯蔵安定性、耐候性、耐水性等に優れる水性分散液が提供される。

Claims (10)

  1. オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体ブロック(A)とカルボキシル基または無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の単位2〜100モル%および該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体の単位98〜0モル%からなる重合体ブロック(B)とから構成されるブロック共重合体(I)を前記カルボキシル基または無水カルボン酸基に対して0.05当量以上の塩基性物質の水溶液に分散してなる水性分散液(I)に、該水性分散液(I)の固形分に対して硬化剤(II)を0.2〜20重量%配合してなる水性分散液。
  2. 硬化剤がエポキシ化合物である請求項1に記載の水性分散液。
  3. エポキシ化合物が、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびビスフェノールAジグリシジルエーテルから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の水性分散液。
  4. 重合体ブロック(B)が、カルボキシル基または無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の単位2〜50モル%および該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体の単位98〜50モル%からなる重合体ブロックである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性分散液。
  5. 重合体ブロック(A)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体から誘導される重合体ブロックである請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性分散液。
  6. 重合体ブロック(A)の数平均分子量が1,000〜100,000であり、重合体ブロック(B)の数平均分子量が1,000〜100,000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性分散液。
  7. ブロック共重合体(I)100重量部に対してオレフィン系重合体を1〜200重量部含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性分散液。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性分散液からなるコーティング剤。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性分散液からなる接着剤。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性分散液からなるプライマー。
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