JP4587939B2 - 電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直列接続した複数の蓄電素子から導出する接続ラインにおける配線外れ等の接続異常を検出する接続異常検出回路部を備える電源装置に関する。
一般に、モータにより走行する電気自動車或いはエンジンとモータを併用して走行するハイブリッド自動車には、多数(例えば、100個前後)の蓄電素子を直列に接続したバッテリを用いた電源装置を搭載する。また、電源装置には、通常、充電容量の確保,各蓄電素子の長寿命化及び安全性等を考慮して、各蓄電素子の各端子電圧を均等化する電圧均等化回路部を備えるとともに、バッテリと電圧均等化回路部を接続する接続ラインにおける配線外れ等の接続異常を検出する接続異常検出回路部を備えている。
従来、この種の電源装置としては、特開2001−309572号公報で開示されるエネルギー移送装置(電源装置)が知られている。このエネルギー移送装置は、互いに磁気結合された複数の巻線を有するトランスと、各巻線にそれぞれ直列接続されると共に互いに同期してスイッチングされる複数のスイッチ手段とを備え、少なくとも巻線およびスイッチ手段からなる第1の直列回路の各々を複数のエネルギー蓄積手段の各々にそれぞれ並列接続可能に構成されたエネルギー移送装置であって、複数の第1の直列回路各々の両端部間の各電圧を監視して監視結果を出力する電圧監視手段を備えており、これにより、エネルギー蓄積手段との間の接続異常などに起因するエネルギー蓄積手段における端子電圧間の異常な上昇を回避することができる。
特開2001−309572号
しかし、上述した従来の電源装置(エネルギー移送装置)は、次のような解決すべき課題が存在した。
第一に、電圧監視手段は、蓄電素子の数量と同数だけ必要になり、しかも、各蓄電素子に対応する回路をそれぞれ独立して監視し、その監視結果を出力するため、電圧監視手段自身の構成が複雑になるとともに、加えて、各蓄電素子から導出する接続ラインは、正極側及び負極側の二本が必要となる。したがって、回路素子やコネクタ等の部品点数が大幅に増加し、装置全体の大型化及びコストアップ、更には配線類の煩雑化を招く。
第二に、電圧監視手段自身の構成が複雑になるため、蓄電素子の数量増加と併せて電力消費を増加させる要因となる。特に、電圧監視手段等は、監視対象となる蓄電素子自身を電源として用いるため、無用な消費電力をできるだけ抑えることが求められるが、この要請に十分に応えることができない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した電源装置の提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、直列接続した複数の蓄電素子B…と、各蓄電素子B…にそれぞれ接続ラインL…を介して接続可能な電気回路部2と、接続ラインL…間に接続して接続ラインL…の通電可否を検知する二以上の通電検知回路3a,3b,3c…を有する接続異常検出回路部3を備える電源装置1を構成するに際して、各蓄電素子B…相互間の素子接続部b…をそれぞれ単一の接続ラインL…により電気回路部2に接続するとともに、通電検知回路3a…における一対のライン接続部3ap…,3an…を接続ラインL…に接続する際に、各接続ラインL…に一つのライン接続部3ap…のみを接続するという条件により接続し、かつ通電検知回路3cに余剰のライン接続部3cpが生じるときは、当該余剰のライン接続部3cpを他の通電検知回路3b…における同一極性のライン接続部3bp…に接続してなることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、電気回路部2には、各蓄電素子B…の端子電圧Vo…を均等化処理する電圧均等化回路部2mを適用することができる。一方、接続異常検出回路部3は、各通電検知回路3a…に対して蓄電素子B…から接続ラインL…を通して通電可能に構成し、かつ各通電検知回路3a,3b…を順次連結することにより、前段の通電検知回路3a…の通電(又は非通電)により後段の通電検知回路3b…が通電(又は非通電)するように構成するとともに、最前段の通電検知回路3a…の通電又は非通電を切換える入力部5と、最後段の通電検知回路3c…の通電又は非通電の状態を出力する出力部6を備えることができる。この際、入力部5は、少なくとも最前段の通電検知回路3a…が蓄電素子B…の高電圧側に接続される際に、通電検知回路3a…に対してアイソレーション接続することが望ましい。また、入力部5は、最前段の通電検知回路3a…を常時通電側にすることもできる。さらに、出力部6は、少なくとも最後段の通電検知回路3c…が蓄電素子B…の高電圧側に接続される際に、通電検知回路3c…に対してアイソレーション接続することが望ましい。
このような構成を有する本発明に係る電源装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 接続ラインL…及び通電検知回路3a…の数量を、蓄電素子B…の数量に対してそれぞれほぼ半減させることができるため、回路素子及びコネクタ等の部品点数の大幅削減により、装置全体の小型化及びコストダウン、更には配線類のシンプル化を図ることができる。
(2) 通電検知回路3a…の数量をほぼ半減できるため、多数の通電検知回路3a…を含む接続異常検出回路部3全体の消費電力を大幅に低減することができ、無用なエネルギ消費を排除できる。
(3) 通電検知回路3cに余剰のライン接続部3cpが生じるときは、当該余剰のライン接続部3cpを他の通電検知回路3b…における同一極性のライン接続部3bp…に接続するようにしたため、蓄電素子B…が偶数の場合にも適用可能となり、汎用性を高めることができる。即ち、蓄電素子B…が奇数の場合、通電検知回路3cにおける余剰のライン接続部3cpは生じないが、蓄電素子B…が偶数の場合、通電検知回路3cにおける余剰のライン接続部3cpを生じてしまう。したがって、この際には、余剰のライン接続部3cpを、他の通電検知回路3b…における同一極性のライン接続部3bp…に接続することにより解決できる。
(4) 好適な態様により、電気回路部2として、各蓄電素子B…の端子電圧Vo…を均等化処理する電圧均等化回路部2mを適用すれば、トランスを用いた電圧均等化回路部2m間の接続異常に起因する端子電圧の異常上昇を回避できる。
(5) 好適な態様により、接続異常検出回路部3を、各通電検知回路3a…に対して蓄電素子B…から接続ラインL…を通して通電可能に構成し、かつ各通電検知回路3a,3b…を順次連結することにより、前段の通電検知回路3a…の通電(又は非通電)により後段の通電検知回路3b…が通電(又は非通電)するように構成するとともに、最前段の通電検知回路3a…の通電又は非通電を切換える入力部5と、最後段の通電検知回路3c…の通電又は非通電の状態を出力する出力部6を備えて構成すれば、各蓄電素子B…に対応する回路をそれぞれ独立して監視する場合と異なり、通電検知回路3a…自身の構成の簡易化を図ることができ、通電検知回路3a…の数量の削減と併せ、更なる部品点数の削減及び消費電力の低減に寄与できる。
(6) 好適な態様により、入力部5を、少なくとも最前段の通電検知回路3a…が蓄電素子B…の高電圧側に接続される際に、通電検知回路3a…に対してアイソレーション接続し、或いは出力部6を、少なくとも最後段の通電検知回路3c…が蓄電素子B…の高電圧側に接続される際に、通電検知回路3c…に対してアイソレーション接続すれば、蓄電素子B…側における高電圧が入力部5或いは出力部6に印加されるのを回避でき、安全性向上に寄与できる。
(7) 好適な態様により、入力部5を、最前段の通電検知回路3a…が常時通電側となるようにすれば、接続異常を常時監視することができる。したがって、接続異常が発生した段階で出力部6から警報等の出力が可能となり、的確な監視を行うことができる。なお、この場合、接続異常検出回路部3に流す通電電流(消費電力)は微少となるように回路設計を行えばよい。
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る電源装置1の構成について、図1及び図2を参照して具体的に説明する。
図1中、11はバッテリ、特に、モータにより走行する電気自動車或いはエンジンとモータを併用して走行するハイブリッド自動車に搭載するバッテリを示す。このバッテリ11は、複数の蓄電素子B…を直列接続して構成したものであり、この蓄電素子B…には、リチウムイオン電池等のイオン電池や電気二重層コンデンサ等の各種蓄電素子を利用することができる。なお、各蓄電素子B…は、1個のセルにより構成してもよいし、複数個のセル、例えば、直列接続,並列接続又はこれらの組合わせからなる複数個のセルにより構成してもよい。また、通常、10個前後の蓄電素子B…を直列接続することによりモジュールとして構成し、さらに、このモジュールを10台前後直列に接続することによりバッテリ11を構成しており、全蓄電素子B…は合計100個前後用いられる。図1は、一台のモジュールを示し、蓄電素子B…は五個の場合を例示する。
一方、バッテリ11には、接続ラインL…を介して電圧均等化装置2m(電気回路部2)を接続する。この場合、接続ラインL…の中途にはコネクタ12が介在し、バッテリ11と電圧均等化装置2mは、コネクタ12を介して着脱可能に接続される。図1に示す電圧均等化装置2mは、鉄心13sを有するトランス13を備え、このトランス13は、蓄電素子B…に対応した五つの巻線13c…を有する。そして、各巻線13c…の巻始端子は対応する蓄電素子Bの正極側に接続するとともに、各巻線13c…の巻終端子は対応する蓄電素子Bの負極側にスイッチング手段(スイッチ素子)14…を介して接続する。この場合、各蓄電素子B…相互間の素子接続部b…はそれぞれ単一の接続ラインL…により電圧均等化装置2mに接続する。したがって、素子接続部bに接続する一つの接続ラインLは、相前後する一方の蓄電素子Bの正極側と他方の蓄電素子Bの負極側に対する接続を兼ねている。このため、一方の巻線13cの巻始端子は、接続ラインLに直接接続するとともに、他方の巻線13cの巻終端子は、スイッチング手段14を介して一方の巻線13cの巻始端子に接続することができる。なお、各スイッチング手段14…は、制御部15から付与される周波数が100〔kHz〕程度のパルス制御信号によりスイッチング制御される。
このような電圧均等化装置2mは、次のように動作(機能)する。各スイッチング手段14…が同期してスイッチング制御(ON/OFF制御)されることにより、ON時には、各蓄電素子B…において、端子電圧Voの高い蓄電素子Bから対応する巻線13cに対して放電電流が流れる。これにより、各巻線13c…に、当該端子電圧Voが誘起してトランス13が励磁される。同時に、各誘起電圧に基づく充電電流が、各巻線13c…から当該端子電圧Voを有する蓄電素子B以外の他の蓄電素子B…に対して流れ、各蓄電素子B…に対する充電が行われる。そして、各蓄電素子B…の端子電圧Voが誘起電圧と等しい端子電圧Voに達した蓄電素子B…から順次充電が停止する。このような動作が繰り返されることにより、各蓄電素子B…の端子電圧Vo…が均等化される。このように、電気回路部2として、各蓄電素子B…の端子電圧Vo…を均等化処理する電圧均等化回路部2mを適用すれば、トランスを用いた電圧均等化回路部2m間の接続異常に起因する端子電圧の異常上昇を回避できる利点がある。
他方、電源装置1は、このような基本回路に対して接続する接続異常検出回路部3を備える。接続異常検出回路部3は、接続ラインL…の通電可否を検知する複数(例示は三つ)の通電検知回路3a,3b,3cを有し、各通電検知回路3a,3b,3cは、接続ラインL…間に接続する。各通電検知回路3a…は、一対のライン接続部3ap…,3an…、即ち、正極側のライン接続部3ap,3bp,3cpと負極側のライン接続部3an,3bn,3cnを有する。そして、各ライン接続部3ap…,3an…を接続ラインL…に接続するに際しては、各接続ラインL…に一つのライン接続部3ap…のみを接続するという条件により接続する。
図1に示す接続異常検出回路部3は、一つ目の通電検知回路3aの正極側のライン接続部3apを上から一番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3anを二番目の接続ラインLに接続する。また、二つ目の通電検知回路3b正極側のライン接続部3bpを上から三番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3bnを四番目の接続ラインLに接続する。さらに、三つ目の通電検知回路3cの正極側のライン接続部3cpを上から五番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3cnを六番目の接続ラインLに接続する。これにより、各接続ラインL…に一つのライン接続部3ap…のみを接続するという条件を満たすことができる。
一方、接続異常検出回路部3は、各通電検知回路3a…に対して蓄電素子B…から接続ラインL…を通して通電可能に構成するとともに、各通電検知回路3a,3b…を順次連結し、前段の通電検知回路3a…の通電により後段の通電検知回路3b…が通電となり、かつ前段の通電検知回路3a…の非通電により後段の通電検知回路3b…が非通電となるように構成する。また、最前段の通電検知回路3aの通電又は非通電を切換える入力部5を備えるとともに、最後段の通電検知回路3cの通電又は非通電の状態を出力する出力部6を備える。図1(及び図2)の場合、五段目の蓄電素子Bに接続した通電検知回路3cが最前段となり、この通電検知回路3cに入力部5を接続するとともに、一段目の蓄電素子Bに接続した通電検知回路3aが最後段となり、この通電検知回路3aに出力部6を接続する。
図2には、接続異常検出回路部3の具体的回路を示す。一つの通電検知回路3bは、基本的に二つのトランジスタQa,Qbにより構成する。この場合、PNP型のトランジスタQaのエミッタは、正極側のライン接続部3bpとして接続ラインLに接続するとともに、コレクタは、抵抗Rbを介してNPN型のトランジスタQbのベースに接続し、さらに、トランジスタQbのエミッタは、負極側のライン接続部3bnとして接続ラインLに接続する。また、トランジスタQaのベースは、抵抗Raを介して相隣る前側の通電検知回路3cに接続するとともに、トランジスタQbのコレクタは、相隣る後側の通電検知回路3aに接続する。なお、他の通電検知回路3a,3cも通電検知回路3bと同一に構成するが、通電検知回路3cは最前段となるため、トランジスタQaのベースは入力部5に接続するとともに、通電検知回路3aは最後段となるため、トランジスタQbのコレクタは出力部6に接続する。これにより、各通電検知回路3a,3b…は順次連結される。このように、各通電検知回路3a,3b…を順次連結すれば、各蓄電素子B…に対応する回路をそれぞれ独立して監視する場合と異なり、通電検知回路3a…自身の構成の簡易化を図ることができ、通電検知回路3a…の数量の削減と併せ、部品点数の削減及び消費電力の低減に寄与できる利点がある。
また、入力部5は、監視スイッチ(開閉スイッチ)5sにより構成する。この場合、監視スイッチ5sの一端は、トランジスタQaに接続した抵抗Raの一端(入力側)に接続するとともに、監視スイッチ5sの他端は、接続ラインL(トランジスタQbのエミッタ)に接続する。さらに、出力部6は、フォトカプラ16と出力処理部17により構成する。この場合、フォトカプラ16は、発光ダイオードDoとフォトトランジスタQoを備える。発光ダイオードDoは、カソードをトランジスタQbのコレクタに接続し、かつアノードを抵抗Roを介して接続ラインL(トランジスタQaのエミッタ)に接続するとともに、フォトトランジスタQoは、ソース及びドレインを出力処理部17に接続する。したがって、出力処理部17は、通電検知回路3aに対してアイソレーション接続される。このように、出力部6を、少なくとも最後段の通電検知回路3cが蓄電素子B…の高電圧側に接続される際に、通電検知回路3cに対してアイソレーション接続すれば、蓄電素子B…側における高電圧が出力部6に印加されるのを回避でき、安全性向上に寄与できる利点がある。なお、出力処理部17は、フォトトランジスタQoの出力に応じて警報ランプを点灯させるなどの必要な処理を行う。
次に、本実施形態に係る電源装置1における接続異常検出回路部3の動作について、図2を参照して説明する。
まず、非監視時には、監視スイッチ5sをオフにする。これにより、通電検知回路3cは、トランジスタQaがオフとなり、かつトランジスタQbもオフとなる。したがって、通電検知回路3bもトランジスタQaがオフとなり、かつトランジスタQbもオフとなる。この場合、通電検知回路3cは前段、通電検知回路3bは後段となるため、前段の通電検知回路3cの非通電により後段の通電検知回路3bも非通電となる。また、通電検知回路3bと通電検知回路3aも同様の関係となる。よって、接続異常検出回路部3は、事実上、接続ラインL…から切離された状態となる。
一方、監視時には、監視スイッチ5sをオンにする。これにより、通電検知回路3cを接続した二本の接続ラインL…が正常に接続されていれば、通電検知回路3cのトランジスタQaがオンし、かつトランジスタQbもオンする。したがって、五段目の蓄電素子Bの正極側から接続ラインLを介してトランジスタQaに通電電流Ipが流れるとともに、トランジスタQbから接続ラインLを介して五段目の蓄電素子Bの負極側に通電電流Inが流れる。また、通電検知回路3cのトランジスタQbがオンすれば、通電検知回路3bのトランジスタQaがオンするため、通電検知回路3bを接続した二本の接続ラインL…が正常に接続されていれば、通電検知回路3bも通電検知回路3cと同様に動作する。この場合、通電検知回路3cは前段、通電検知回路3bは後段となるため、前段の通電検知回路3cの通電により後段の通電検知回路3bも通電となる。
さらに、通電検知回路3bと通電検知回路3aも同様の関係となり、通電検知回路3aも通電検知回路3bと同様に動作する。この場合、通電検知回路3aは最後段となるため、通電検知回路3aのトランジスタQbがオンすることにより、発光ダイオードDoに通電電流Ioが流れるため、フォトトランジスタQoから出力電流が流れる。よって、出力処理部17は正常と判断する。
これに対して、接続ラインL…に断線或いは接続外れ等の接続異常が発生している場合を想定する。通電検知回路3cにおいて、正極側の接続ラインLに断線或いは接続外れ等の接続異常が発生していれば、通電電流Ipが流れないため、トランジスタQa,Qbはオンしないとともに、負極側の接続ラインLに断線或いは接続外れ等の接続異常が発生していれば、通電電流Inが流れないため、トランジスタQbはオンしない。したがって、通電検知回路3cは、接続異常を検知したことになり、このオンしないトランジスタQa(Qb)よりも後段のトランジスタQa,Qbは全てオンしなくなる。この結果、発光ダイオードDoには通電電流Ioが流れないとともに、フォトトランジスタQoにも出力電流が流れない。よって、出力処理部17は、接続異常と判断し、警報ランプを点灯させるなどの必要な処理を行う。
このように、本実施形態に係る電源装置1によれば、各蓄電素子B…相互間の素子接続部b…をそれぞれ単一の接続ラインL…により電気回路部2に接続するとともに、各接続ラインL…に一つのライン接続部3ap…のみを接続するという条件を満たすように接続したため、接続ラインL…及び通電検知回路3a…の数量を蓄電素子B…の数量に対してそれぞれほぼ半減させることができ、回路素子及びコネクタ等の部品点数の大幅削減により、装置全体の小型化及びコストダウン、更には配線類のシンプル化を図ることができる。また、通電検知回路3a…の数量をほぼ半減でき、多数の通電検知回路3a…を含む接続異常検出回路部3全体の消費電力を大幅に低減することができ、無用なエネルギ消費を排除できる。
なお、上記動作では、監視スイッチ5sを、監視時のみオンにする場合を示したが、最前段の通電検知回路3cが常時通電側となるようにすれば、接続異常を常時監視することができる。この場合、常時通電側にするとは、監視スイッチ5sを常時オンにする場合と、監視スイッチ5sを排除し、通電検知回路3cにおけるトランジスタQaのベースを抵抗Raを介して直接接続ラインLに接続する場合が含まれる。また、接続異常検出回路部3には、常時電流が流れる状態となるため、接続異常検出回路部3に流す通電電流(消費電力)は微少となるように回路設計を行えばよい。これにより、接続異常が発生した段階で出力部6から警報等の出力が可能となり、的確な監視を行うことができる。
次に、本発明の変更実施形態に係る電源装置1、特に、接続異常検出回路部3の変更実施形態について、図3〜図7を参照して説明する。
図3〜図6に示す変更実施形態は、いずれも接続ラインL…に対する通電検知回路3a…の接続形態を変更した場合を示す。図1(及び図2)に示した接続異常検出回路部3は、五つの蓄電素子B…に対して三つの通電検知回路3a,3b,3cを使用し、一段目,三段目,五段目の三つの蓄電素子B…に対してそれぞれ接続されるように対応する接続ラインL…を選定したが、各接続ラインL…に一つのライン接続部3ap…のみを接続するという条件を満たす以上、各ライン接続部3ap…を接続する接続ラインL…は任意に選定できる。
図3に示す接続異常検出回路部3は、一つ目の通電検知回路3aの正極側のライン接続部3apを上から一番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3anを二番目の接続ラインLに接続する。また、二つ目の通電検知回路3bの正極側のライン接続部3bpを上から三番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3bnを五番目の接続ラインLに接続する。さらに、三つ目の通電検知回路3cの正極側のライン接続部3cpを上から四番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3cnを六番目の接続ラインLに接続する。この場合、通電検知回路3bと3cには、それぞれ二つの蓄電素子B…の直列回路から通電される。なお、各通電検知回路3a…を連結する順番は、図1の実施形態と同じであり、最前段の通電検知回路3cに対して、通電検知回路3b,通電検知回路3aを順次連結する。
図4に示す接続異常検出回路部3は、一つ目の通電検知回路3aの正極側のライン接続部3apを上から一番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3anを四番目の接続ラインLに接続する。また、二つ目の通電検知回路3bの正極側のライン接続部3bpを上から二番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3bnを五番目の接続ラインLに接続する。さらに、三つ目の通電検知回路3cの正極側のライン接続部3cpを上から三番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3cnを六番目の接続ラインLに接続する。この場合、通電検知回路3a,3b及び3cには、それぞれ三つの蓄電素子B…の直列回路から通電される。一方、各通電検知回路3a…を連結する順番は、図1の実施形態と異なり、最前段を通電検知回路3bとし、この通電検知回路3bに対して、通電検知回路3c,通電検知回路3aを順次連結する。このように、各通電検知回路3a…を連結する順番は任意に設定できる。
図5に示す接続異常検出回路部3は、一つ目の通電検知回路3aの正極側のライン接続部3apを上から一番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3anを四番目の接続ラインLに接続する。また、二つ目の通電検知回路3bの正極側のライン接続部3bpを上から二番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3bnを六番目の接続ラインLに接続する。さらに、三つ目の通電検知回路3cの正極側のライン接続部3cpを上から三番目の接続ラインLに接続し、かつ負極側のライン接続部3cnを五番目の接続ラインLに接続する。この場合、通電検知回路3aには、三つの蓄電素子B…の直列回路から通電され、通電検知回路3bには、四つの蓄電素子B…の直列回路から通電され、通電検知回路3cには、二つの蓄電素子B…の直列回路から通電される。一方、各通電検知回路3a…を連結する順番は、最前段を通電検知回路3bとし、この通電検知回路3bに対して、通電検知回路3c,通電検知回路3aを順次連結する。
このような図3〜図5に示す変更実施形態は、いずれも各接続ラインL…に一つのライン接続部3ap…のみを接続するという条件を満たしており、図1及び図2に示した実施形態と同様の動作を行うとともに、接続ラインL…及び通電検知回路3a…の数量を蓄電素子B…の数量に対してそれぞれほぼ半減させることができるなど、図1及び図2に示した実施形態と同様の効果を得ることができる。
他方、図6に示す接続異常検出回路部3は、蓄電素子B…を偶数個(例示は四つ)用いた場合を示す。図1〜図5に示した実施形態及び変更実施形態では、いずれも蓄電素子B…は奇数個(例示は五つ)である。蓄電素子B…が偶数個の場合、接続ラインL…の全本数が奇数本となるため、通電検知回路3a…を接続した際には、一つの余剰のライン接続部が発生し、図6に示す変更実施形態では通電検知回路3cが該当する。このため、通電検知回路3cの余剰となる正極性のライン接続部3cpを、他の通電検知回路3bにおける同一極性のライン接続部3bpに接続する。これにより、蓄電素子B…が偶数の場合にも適用可能となり、汎用性を高めることができる。なお、この場合、一つの蓄電素子Bが通電検知回路3bと通電検知回路3cに共用されることになる。
一方、図7に示す接続異常検出回路部3は、連結順位を変更した場合の変更形態である。各通電検知回路3a…の接続ラインL…に対する接続形態は、図2と同じであるが、各通電検知回路3a…を連結する順番は、最前段を通電検知回路3aとし、この通電検知回路3aに対して、通電検知回路3b,通電検知回路3cを順次連結した例である。一つの通電検知回路3bは、基本的に二つのトランジスタQc,Qdにより構成する。この場合、NPN型のトランジスタQcのエミッタは、負極側のライン接続部3bnとして接続ラインLに接続するとともに、コレクタは、抵抗Rdを介してPNP型のトランジスタQdのベースに接続し、さらに、トランジスタQdのエミッタは、正極側のライン接続部3bpとして接続ラインLに接続する。また、トランジスタQcのベースは、抵抗Rcを介して相隣る前側の通電検知回路3aに接続するとともに、トランジスタQdのコレクタは、相隣る後側の通電検知回路3cに接続する。なお、他の通電検知回路3a,3cも通電検知回路3bと同一に構成する。しかし、通電検知回路3aが最前段となるため、通電検知回路3aにおけるトランジスタQcのベースを、抵抗Rcを介して入力部5に接続するとともに、通電検知回路3cが最後段となるため、通電検知回路3cにおけるトランジスタQdのコレクタを出力部6に接続する。
入力部5は、フォトカプラ18と監視スイッチ5sにより構成する。この場合、フォトカプラ18は、発光ダイオードDiとフォトトランジスタQiを備え、発光ダイオードDiのアノードは監視スイッチ5sを介して正極側電源に接続するとともに、発光ダイオードDiのカソードは負極側電源に接続する。また、フォトトランジスタQiのソースはトランジスタQcに接続した抵抗Rcの一端に接続するとともに、ドレインは抵抗Riを介して接続ラインL(トランジスタQdのエミッタ)に接続する。したがって、監視スイッチ5s(入力部5)は、通電検知回路3aに対してアイソレーション接続される。このように、入力部5を、少なくとも最前段の通電検知回路3aが蓄電素子B…の高電圧側に接続される際に、通電検知回路3aに対してアイソレーション接続すれば、蓄電素子B…側における高電圧が入力部5に印加されるのを回避でき、安全性向上に寄与できる利点がある。
出力部6は、出力処理部17を備える。この場合、出力処理部17の一方の入力ポートは、トランジスタQdのコレクタに接続するとともに、他方の入力ポートは、接続ラインL(トランジスタQcのエミッタ)に接続する。なお、Rxは、出力処理部17の一対の入力ポート間に接続した抵抗である。
図7に示す接続異常検出回路部3の基本的な動作は、図2に示した実施形態と同じである。即ち、非監視時には、監視スイッチ5sをオフにする。これにより、通電検知回路3cは、トランジスタQcがオフとなるため、前述した図2の場合と同様に、接続異常検出回路部3は、事実上、接続ラインL…から切離された状態となる。これに対して、監視時には、監視スイッチ5sをオンにする。これにより、通電検知回路3aのトランジスタQcがオンし、かつトランジスタQdもオンする。この結果、通電検知回路3aと接続ラインL…間には、通電電流Ip及びInが流れるとともに、最後段の通電検知回路3cから出力処理部17に出力電流Ioが流れるため、抵抗Rxの両端に電圧が発生すれば、出力処理部17は正常と判断し、他方、抵抗Rxの両端に電圧が発生しないときは、出力処理部17は接続異常と判断する。
以上、最良の実施形態及び各種変更実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の回路構成,手法,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、蓄電素子B…の数量として五個の場合と四個の場合を例示したが、任意の数量により実施できる。また、接続異常検出回路部3は、各通電検知回路3a…に対して蓄電素子B…から接続ラインL…を通して通電可能に構成し、かつ各通電検知回路3a,3b…を順次連結することにより、前段の通電検知回路3a…の通電(又は非通電)により後段の通電検知回路3b…が通電(又は非通電)するように構成するとともに、最前段の通電検知回路3a…の通電又は非通電を切換える入力部5と、最後段の通電検知回路3c…の通電又は非通電の状態を出力する出力部6を備える例を説明したが、特開2001−309572号公報で開示されるような蓄電素子B…に対応する回路を独立して監視し、その監視結果を出力する形態を排除するものではない。
なお、電気回路部2として電圧均等化回路部2mを適用した場合を例示したが、電圧検出回路部等の各種電気回路部を適用できる。また、自動車に搭載するバッテリを有する電源装置1を例示したが、複数の蓄電素子を直列接続した同様の電源装置1を搭載する各種用途に適用できる。
本発明の最良の実施形態に係る電源装置のブロック構成図、 同電源装置に備える接続異常検出回路部の具体的回路図、 同接続異常検出回路部の変更実施形態を示すブロック構成図、 同接続異常検出回路部の他の変更実施形態を示すブロック構成図、 同接続異常検出回路部の他の変更実施形態を示すブロック構成図、 同接続異常検出回路部の他の変更実施形態を示すブロック構成図、 同接続異常検出回路部の他の変更実施形態を示す具体的回路図、
符号の説明
1 電源装置
2 電気回路部
2m 電圧均等化回路部
3 接続異常検出回路部
3a… 通電検知回路
3ap… ライン接続部
3an… ライン接続部
5 入力部
6 出力部
B… 蓄電素子
L… 接続ライン
b… 素子接続部
Vo… 蓄電素子の端子電圧

Claims (6)

  1. 直列接続した複数の蓄電素子と、各蓄電素子にそれぞれ接続ラインを介して接続可能な電気回路部と、接続ライン間に接続して接続ラインの通電可否を検知する二以上の通電検知回路を有する接続異常検出回路部を備える電源装置において、各蓄電素子相互間の素子接続部をそれぞれ単一の接続ラインにより前記電気回路部に接続するとともに、前記通電検知回路における一対のライン接続部を前記接続ラインに接続する際に、各接続ラインに一つのライン接続部のみを接続するという条件により接続し、かつ前記通電検知回路に余剰のライン接続部が生じるときは、当該余剰のライン接続部を他の通電検知回路における同一極性のライン接続部に接続してなることを特徴とする電源装置。
  2. 前記電気回路部は、各蓄電素子の端子電圧を均等化処理する電圧均等化回路部であることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
  3. 前記接続異常検出回路部は、各通電検知回路に対して前記蓄電素子から前記接続ラインを通して通電可能に構成し、かつ各通電検知回路を順次連結することにより、前段の通電検知回路の通電(又は非通電)により後段の通電検知回路が通電(又は非通電)するように構成するとともに、最前段の通電検知回路の通電又は非通電を切換える入力部と、最後段の通電検知回路の通電又は非通電の状態を出力する出力部を備えることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
  4. 前記入力部は、少なくとも前記最前段の通電検知回路が前記蓄電素子の高電圧側に接続される際に、当該通電検知回路に対してアイソレーション接続することを特徴とする請求項3記載の電源装置。
  5. 前記入力部は、前記最前段の通電検知回路を常時通電側にすることを特徴とする請求項3又は4記載の電源装置。
  6. 前記出力部は、少なくとも前記最後段の通電検知回路が前記蓄電素子の高電圧側に接続される際に、当該通電検知回路に対してアイソレーション接続することを特徴とする請求項3記載の電源装置。
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