JP4587516B2 - 受信装置及び同期方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル通信システムにおいて信号を受信する受信装置及び、受信装置において同期をとる同期方法に関し、詳しくは、時間及び周波数を正確に同期させるために相関回路を用いる受信装置及び同期方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル通信システムにおいては、送信側と受信側を同期させる必要がある。送信側と受信側は、例えば、デジタル通信システムにおける基地局と移動局であり、デジタル通信システムにおいては、送信される信号の時間及び周波数の同期は、移動局側で行われる。同期をとるには、特有のトレーニングシーケンス又は参照シンボルを送信側から受信側に送信することが知られている。参照シンボルは、送信データの中に挿入されており、期的に受信側に送信され、期的に同期が行われるようにしている。
【0003】
従来の受信装置は、同期回路を備えており、この同期回路において同期が行われる。
【0004】
この同期回路は、上述したように、受信したトレーニングシーケンス又は参照シンボルを用いて時間及び周波数を同期させる。従来の受信装置は、同期回路の同期情報を用いて、受信したデータ信号を復号するなどして、これにより映像又は音声情報を再生する。同期回路による同期は、通常、時間領域において行われる。
【0005】
同期回路は、参照シンボル(又は参照シンボルの一部)と遅延された参照シンボル(又は参照シンボルの一部)とを時間領域で相関させ、参照シンボルを識別し、同期のためのタイミングを決定する。これにより、相関ピークが算出される。相関ピークは、参照シンボルの最後のサンプルの時点とできる限り正確に一致する必要がある。
【0006】
相関ピークを検出しやすくするために、参照シンボルは、複数の同期パターンからなっており、これらの同期パターンは、1つの参照シンボルの期間内に数回繰り返される。これらの同期パターンは、互いに等しい形をしているため、ここでは繰返しパターンと呼ぶことにする。1つの参照シンボルには、数個の繰返しパターンが含まれており、各繰返しパターンには、複数のサンプルが含まれている。各繰返しパターンにはそれぞれ同数のサンプルが含まれている。なお、通信システムにおける多重伝送の環境では、シンボル同士の干渉をさけるために、参照シンボルと隣接するユーザデータシンボルとの間にガード区間(guard interval)を挿入してもよい。
【0007】
従来の受信装置における受信された参照シンボルの時間領域における相関は、例えば、自己相関回路又は相互相関回路を用いて行われる。自己相関回路では、受信側で参照シンボルについての情報は必要ないが、相互相関回路では、受信側に受信される参照シンボルについての正確な情報が必要である。
【0008】
図13は、同期回路に含まれる従来の相互相関回路40を示している。この相互相関回路40は、16サンプル長の相互相関ウィンドウにおいて、例えば、同期回路が受信する信号(以下、受信信号という。)y(i)を相互相関させる。すなわち、受信信号y(i)は、この信号が有するサンプルに、この相互相関ウィンドウの16個のサンプルとの相互相関がとられる。相互相関ウィンドウの16サンプル長は、参照シンボルの繰返しパターンが有する16サンプル長と対応する。図14に、それぞれが16個のサンプルを有する9繰返しパターンを有する参照シンボルを示す。従来の受信装置には、受信される参照シンボルの構造についての正確な情報が挿入されている。従来の受信装置の同期回路には、予測される繰返しパターンの複素共役サンプルが記憶されており、受信信号との相互相関がとられる。
【0009】
図13に示す相互相関回路40は、16サンプル長の相互相関ウィンドウを有しており、直列接続された15個の遅延器41を有している。1番目の遅延器41は、複素信号である受信信号y(i)を1サンプル分遅延させる。この処理は、因子Z-1の乗算に相当する。2番目の遅延器41は、1番目の遅延器41から供給された信号を1サンプル分再び遅延させる。3番目の遅延器41から15番目の遅延器41も同様に動作する。また、相互相関回路40は、16個の乗算器42及び1個の加算器43とを有する。受信信号16個のサンプルが、相互相関ウィンドウの繰返しパターンが有する複素共役サンプルと相互相関をとるように、遅延器41、乗算器42及び加算器43が配置される。この予測される繰返しパターンが有する複素共役サンプルは、例えば、受信装置の同期回路に記憶されており、各サンプルが読み出されて、乗算器42に供給される。例えば、第1の受信信号のサンプルy(0)と、予測される繰返しパターンが有する第1の複素共役サンプルy*(0)=s0 *とを乗算する。続いて、第2の受信信号のサンプルy(1)と、y*(1)=s1 *とを乗算する。その後、第3の受信信号のサンプル乃至第16の受信信号のサンプルも、同様に行う。加算器43は、乗算器42から導き出されたこれらすべての計算結果を加算し、出力信号r(i)を算出する。加算器43が算出した出力信号r(i)は、絶対値計算器44に供給され、この絶対値計算器44は、r(i)の絶対値を算出して、相互相関ピークを検出する。図13に示す相互相関回路40及び絶対値計算器44は、例えば、従来の受信装置の同期回路に組み込まれている。
【0010】
図14は、図13に示す相互相関回路40及び絶対値計算器44によって行われた相互相関ピークの検出の3個の異なる位相を示したものである。位相1では、相互相関回路40の相互相関ウィンドウ46は、受信したユーザデータの上に位置しており、これは、ユーザデータのみが繰返しパターンのサンプルと相互相関をとっていることを意味する。ユーザデータは、「???・・・」で示されている。すなわち、位相1では、相互相関ピークは検出されていない。位相2では、相互相関ウィンドウ46は、参照シンボル45の8番目繰返しパターンS7とちょうど致しており、このため、対応する相互相関ピークが検出される。位相3では、相互相関ウィンドウ46は、再び、受信したユーザデータ「???・・・」の上に位置しており、このため、相互相関ピークは検出されていない。
【0011】
図14に示す参照シンボル45は、9個の繰返しパターンS0、S1、・・・、S8を有しており、これらの繰返しパターンは互いに等しい波形をしている。各繰返しパターンは、例えば、16個のサンプルを有しており、これら16個のサンプルは、図13における相互相関回路40の相互相関ウィンドウの16個のサンプルと対応している。なお、参照シンボル45の繰返しパターンの数や、各繰返しパターンのサンプルの数は、実施の形態によって変更してもよい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、相互相関回路では、受信側に受信される参照シンボルについての正確な情報が必要である。すなわち、受信装置が時間及び周波数の同期に用いられる最後の相互相関ピークを認識するためには、受信装置には、繰返しパターンの構造及び数の正確な情報が必要である。相互相関ピークのうちの1つが正しく検出されないと、同期は失敗する。移動通信の環境では、マルチパス伝送によるフェージングによって、相互相関ピークの検出性能が低下するため、通信システムにおける従来の受信装置では、同期の性能は低くなる。
【0013】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、デジタル通信システムにおいて信号を受信する受信装置及び、受信装置において同期をとる同期方法において精度の高い同期を実現することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明に係る受信装置は、デジタル通信システムにおいて信号を受信する受信装置であって、一方が他方に対して位相が異なる少なくとも2繰返しパターンを有する参照シンボルを受信する受信手段と、デジタル通信システムにおいて、受信した参照シンボルを用いて、受信装置において同期をとる同期手段とを備え、同期手段は、所定の長さを有する相関ウィンドウにおいて、2繰返しパターンのうちの少なくとも1つを相関させる相関手段を有する。
【0015】
また、本発明に係る同期方法は、デジタル通信システムにおいて受信装置での同期をとる同期方法であって、一方が他方に対して位相が変移されている少なくとも2繰返しパターンを有する参照シンボルを受信する受信ステップと、所定の長さを有する相関ウィンドウにおいて、2繰返しパターンのうちの少なくとも1つを相関させることによって、デジタル通信システムにおいて、受信した参照シンボルを用いて、受信装置において同期をとる同期ステップとを有する。
【0016】
本発明に係る受信装置及び同期方法において、位相が変移されている繰返しパターンは、他方の繰返しパターンに対して180度位相が変移されている。
【0017】
また、本発明に係る受信装置及び同期方法において、同期手段は、参照シンボルの中の2繰返しパターンの位相の変移の情報を用いて、2繰返しパターンのうちの後方の1の位置を示す相関ピークを検出する。
【0018】
本発明に係る受信装置及び同期方法の一実施の形態において、相関手段は、1繰返しパターンの長さに対応する長さの相関ウィンドウを有しており、相関手段からの出力信号は、相関ピークを検出する検出手段に供給される。例えば、用いられる参照シンボルの中の繰返しパターンの長さが16サンプル長である場合、相関手段が1繰返しパターンと致するように、相関ウィンドウの長さも16サンプル長となるように設定される。また、本発明に係る受信装置及び同期方法の一実施の形態において、検出手段は、相関手段からの出力信号を1繰返しパターン分遅延させる遅延手段と、相関手段からの出力信号から遅延手段からの出力信号を減算する減算手段とを備える。更に、本発明に係る受信装置及び同期方法は、検出手段からの出力信号を平滑化する平均化手段を備える。相関手段は、相関手段に記憶されている、1繰返しパターンの長さに対応する長さの複素信号と、順次供給される、1繰返しパターン分の長さを有する各信号とを相関させ、検出手段は、これらの信号を比較する。すなわち、2繰返しパターンは順次相関をとられ、比較されて、これにより生じる対応する位相の変移の情報を用いて、相関ピークが検出される。
【0019】
また、本発明に係る受信装置及び同期方法の他の形態において、相関手段は、繰返しパターンの長さに対応する長さの相関ウィンドウを有しており、相関ピークの位置を検出する。また、本発明に係る受信装置及び同期方法の他の形態において、相関手段は、予測される繰返しパターンの正及び負の複素共役サンプルを用いて、相関ピークの位置を検出する。
【0020】
また、本発明に係る受信装置及び同期方法の一実施の形態及び他の実施の形態において、相関手段又は検出手段からの出力信号は、ピーク閾値検出手段及びギャップ検出手段に供給され、ピーク閾値検出手段及びギャップ検出手段による検出結果に基づいて、相関手段又は検出手段によって検出された相関ピークが確認されるか否かが判定される。
【0021】
更に、本発明に係る受信装置及び同期方法において、ピーク閾値検出手段は、相関手段又は検出手段からの出力信号が所定の相関ピークを上回るかどうかを検出し、ギャップ検出手段は、相関手段又は検出手段からの出力信号が検出された相関ピークの前にある所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出する。また、本発明に係る受信装置及び同期方法において、相関手段又は検出手段からの出力信号は、ギャップ検出手段の前段に設けられる遅延手段において遅延される。更に、本発明に係る受信装置及び同期方法において、ギャップ検出手段は、更に、相関手段又は検出手段からの出力信号が所定のギャップ時間の間に所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る受信装置及び同期方法について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明を適用した受信装置の構造を示している。受信装置は、例えば、無線デジタル通信システムにおける移動局である。
【0024】
図1に示す受信装置1は、例えば、無線デジタル通信システムにおける基地局である送信側から信号を受信するアンテナ2を備える。また、受信装置1は、アンテナ2から供給された無線周波数信号を基底域周波数信号にダウンコンバートする高周波(以下、HFという。)回路3と、HF回路3から供給された信号を復調するIQ復調回路4と、IQ復調回路4から供給された信号(以下、受信信号という。)に含まれる参照シンボルを用いて時間及び周波数を同期させる同期回路5と、同期回路5から供給された信号を復号する復号回路6とを備える。
【0025】
図1に示す受信装置1において、HF回路3は、アンテナ2から供給された無線周波数信号を基底域周波数信号にダウンコンバートし、IQ復調回路4に供給する。IQ復調回路4は、受信信号を復調し、同期回路5に供給する。同期回路5は、後述するように、図4に示す相互相関回路16を有しており、相互相関回路16が有する相互相関ウィンドウ15において、受信信号に含まれる参照シンボルを相互相関させることによって、時間及び周波数を同期させる。復号回路6は、同期回路5から供給されたデータを復号して、これにより映像又は音声情報を再生する。
【0026】
図2は、本発明を適用した受信装置及び同期方法に用いられる参照シンボルの一例を示す。図2に示す参照シンボル14は、9個の繰返しパターンS0、S1、・・・、S8を有している。各繰返しパターンは、例えば、16サンプルs0、s1、・・・s15長を有している。この参照シンボル14では、最後の繰返しパターンS8は、(−1)で乗算することにより、他の繰返しパターンに対して180度位相が変移されている。これにより、最後の繰返しパターンS8は、16個のサンプル−s0、−s1、・・・−s15からなる。参照シンボル14のすべての繰返しパターンは互いに等しい形をしており、最後の繰返しパターンS8は、180度位相が変移されている。なお、参照シンボル14の繰返しパターンの数は、9個以上又は以下でもよいし、各繰返しパターンのサンプルの数は、16個以上又は以下でもよい。
【0027】
図3に、ユーザデータシーケンスに挿入された参照シンボルを示す。ユーザデータは、「???・・・」で示されている。図3には、後述する図4に示す相互相関回路16が有する相互相関ウィンドウ15における、最後の繰返しパターンS8の位相が180度変移されている参照シンボル14を有する受信信号の相互相関の3個の異なる位相を示したものである。位相1では、相互相関回路16が有する相互相関ウィンドウ15においては、ユーザデータのみが相互相関をとっているため、相互相関ピークは検出されていない。位相2では、相互相関ウィンドウ15は、参照シンボル14の8番目繰返しパターンS7とちょうど致しており、このため、対応する相互相関ピークが検出される。8番目繰返しパターンS7の相互相関ピークの相対位相は、“+”で検出されている。一方、9番目繰返しパターンS8は、8番目繰返しパターンS7に対して180度位相が変移されているため、9番目繰返しパターンS8において検出される相互相関ピークの相対位相は、8番目繰返しパターンS7の位相に対して“−”の相対位相となっている。8番目繰返しパターンS7の相対位相は“−”であるのに対して、1番目繰返しパターンS0、S1・・・S6の相対位相は、“+”である。
【0028】
図3の位相3では、相互相関ウィンドウ15においては、ユーザデータのみが相互相関をとっているため、相互相関ピークは検出されていない。図2に示す参照シンボルでは、繰返しパターンのうちの1が、その参照シンボルの中の他の繰返しパターンのうちの少なくとも1に対して位相が反転されているという構造になっているため、この参照シンボル14を用いると、図3からわかるように、相互相関ピークの情報とともに、相対位相の情報が得られる。この相対位相の情報によって、参照シンボルにおける最後の相互相関ピークの位置に関する情報が更に得られるため、より正確で信頼性のある同期情報が得られる。
【0029】
図4は、本発明を適用した受信装置1における同期回路5において用いられる相互相関回路と検出器のの実施の形態を示している。相互相関回路16は、15個の遅延器17、16個の乗算器18及び、これら乗算器18からの計算結果を加算する1個の加算器を有する。相互相関ウィンドウ16の16サンプル長は、参照シンボル10繰返しパターンの例えば16サンプル長対応している。受信信号が有する16個のサンプルは、受信装置1に記憶されている予測される繰返しパターンが有する複素共役サンプルと相互相関をとる。加算器から導き出された出力信号r(i)、すなわち、相互相関回路16からの出力信号は、検出器19に供給され、この検出器19は、出力信号r(i)の絶対値及び相対位相を検出する。これにより、参照シンボル14における最後の繰返しパターンS8の相互相関ピークの正確な位置が検出される。
【0030】
図5は、検出器の他の例を示している。図5における相互相関回路16は、図4における相互相関回路16と等しい。図5に示す例では、検出器は、遅延器20を有しており、この遅延器20は、相互相関回路16からの出力信号r(i)を例えば16サンプル長の1繰返しパターン分遅延させる。この検出器はまた、減算器21を有しており、この減算器21は、相互相関回路16からの出力信号r(i)から遅延器20からの出力信号s(i)を減算する。減算器21は、出力信号z(i)=r(i)−s(i)を絶対値計算器22に供給し、この絶対値計算器22は、z(i)の絶対値を計算する。なお、y(i)、r(i)、s(i)及びz(i)は、複素信号であるため、z(i)に絶対値及び位相の情報が含まれることになる。r(i)が、例えば図2に示す参照シンボル14のS0乃至S7の部分のように、繰返しパターンの位相が変移されていない参照シンボルの部分にある場合、s(i)=r(i−16)=r(i)・e⇒z1(i)=r(i)−s(i)=r(i)(1−e)となる。
【0031】
一方、r(i)が、参照シンボル14の位相が反転された繰返しパターンS8と一致する場合、s(i)=r(i−16)=−r(i)・e⇒z2(i)=r(i)−s(i)=r(i)(1+e)となる。したがって、r(i)が、位相が変移されている繰返しパターンS8と一致する場合、z(i)の絶対値は大きくなる。位相値φは、繰返しパターンS7とS8との間で起こる位相の変移とは関係ないが、送信側と受信側との間で生じる周波数オフセットによって得られる。送信側と受信側との間で生じる周波数オフセットの影響下での参照シンボルにおける位相の変移の検出範囲を考慮に入れると、z1(i)/z2(i)=−j・cot(φ/2)という計算結果が得られる。したがって、正確な検出のためには、φの絶対値はπより小さくなければならない。これにより、位相値φは、周波数オフセットと1繰返しパターンの持続時間Tpとの積で、φ=2πfoffsetpとなる。
【0032】
図6は、図5に示す検出器からの出力信号であるz(i)の絶対値のシミュレーション結果を示している。この場合、参照シンボル14は、それぞれが16個のサンプルを有する9個の繰返しパターンを有しており、最後の繰返しパターンS8の位相は、他の繰返しパターンの位相に対して位相が反転されているため、相互相関ピークは、最後の繰返しパターンS8の中の最後のサンプルに対応する時点にあることが予測される。図6でわかるように、相互相関ピークはサンプル144のところにあり、これは、正確な値である。したがって、図4及び図5に示す相互相関回路16及び検出器19を用いることによって、相互相関ピークを正確に検出することができる。
【0033】
図7は、相互相関回路16と、図5の検出器の更に他の例とを示している。図7における相互相関回路16と検出器の構造は、図5における相互相関回路16と検出器の構造に対応するが、絶対値計算器22からの出力信号は、平均化器23に供給され、この平均化器23は、絶対値計算器22から出力されるz(i)の絶対値を平滑化する。図7に示す相互相関回路16と検出器の構造は、雑音やフェージングが激しい環境において特に有効である。平均化器23は、例えば図2に示す16個のサンプルからなる1つの繰返しパターンの長さに対応するフィルタの長さを有する移動平均フィルタであることが望ましい。図5及び図7に示す相互相関回路は、例えば、図13に示す受信装置1の同期回路5において実現されてもよい。
【0034】
図8は、図7に示す相互相関回路16と検出器からの出力信号であるz(i)の平均化された絶対値のシミュレーション結果を示している。サンプル128とサンプル144との間の遷移からわかるように、図2に示す反転された位相を有する最後の繰返しパターンに対応する時点で相互相関ピークが検出されている。
【0035】
図9は、相互相関回路及び絶対値計算器の第2の実施の形態を示している。この相互相関回路24は、図1に全体の構造が示されている本発明を適用した受信装置1における同期回路5において実現されてもよい。
【0036】
相互相関回路24は、基本的には、図4に示す相互相関回路16や図13に示す従来の相互相関回路40と同じ構造をしているが、主な違いは、参照シンボルが図2に示す構造をしていると想定するとき、図9に示す相互相関回路24は、32個のサンプルを有する2繰返しパターン分の長さを持つ相互相関ウィンドウを有していることである。これにより、相互相関回路24は、31個の遅延器25を有しており、この遅延器25は、直列接続され、受信信号y(i)を1サンプル分遅延させる。また、相互相関回路24は、32個の乗算器26を有しており、この乗算器26は、受信信号y(i)の(遅延された)サンプルと、予測される繰返しパターンのサンプルの、受信側に記憶されている正及び負の複素共役サンプルとをそれぞれ乗算する。乗算器26は、まず、相互相関回路24に供給された第1の16個のサンプルと、予測される繰返しパターンのサンプルの、受信側に記憶されている正の複素共役サンプルとをそれぞれ乗算する。例えば、相互相関回路24に供給された第1のサンプルと、予測される繰返しパターンの第1の複素共役サンプルs0 *とを乗算する。同様にして、相互相関回路24に供給された残りのサンプルと、受信側に記憶されている残りの(正の)複素共役サンプルs1 *乃至s15 *とをそれぞれ乗算する。次に、乗算器26は、相互相関回路24に供給された第2の16個のサンプルと、予測される繰返しパターンのサンプルの、受信側に記憶されている負の複素共役サンプルとをそれぞれ乗算する。例えば、相互相関回路24に供給された第1のサンプルと、予測される繰返しパターンの第1の複素共役サンプル−s0 *とを乗算する。同様にして、相互相関回路24に供給された残りのサンプルと、受信側に記憶されている残りの負の複素共役サンプル−s1 *乃至−s15 *とをそれぞれ乗算する。なお、図2に示す参照シンボル14が有する繰返しパターンS0、S1、・・・、S8がそれぞれ有するサンプルs0、s1、・・・、s15は、それぞれ等しい。すなわち、図2における参照シンボル14のすべての繰返しパターンS0、S1、・・・、S8は、最後の繰返しパターンS8の位相が反転されていることを除いて、等しい波形をしている。
【0037】
加算器27は、相互相関回路24の中の乗算器26からの計算結果を加算し、出力信号z(i)を出力する。加算器27からの出力信号z(i)は、絶対値計算器28に供給され、この絶対値計算器28は、z(i)の絶対値を計算する。絶対値計算器28からの出力信号によって、相互相関回路24において相互相関をとった信号の絶対値及び位相に関する情報が得られる。
【0038】
図10は、図9に示す相互相関回路24及び絶対値計算器28からの出力信号のシミュレーション結果を示している。ここでは、図2に示す参照シンボル14と似た参照シンボルを用いたが、それぞれが16個のサンプルを有する6個の繰返しパターンを用いた。最後の繰返しパターンの位相は、その前にある他の繰返しパターンに対して、180度位相が変移されている。したがって、最後の繰返しパターンの中の最後のサンプルの位置は、サンプル96の位置にあることが予測され、図10に示すシミュレーション結果では、予測された位置にあることがわかる。図10から明らかなように、相互相関回路24において相互相関を行った2繰返しパターンが正確に重複するとき、出力信号は最大となる。
【0039】
図11は、図5に示す検出器における絶対値計算器22、図7に示す検出器における平均化器23又は図9に示す相互相関回路24における絶対値計算器28からの出力信号の信頼性及び精度を高めるための相互相関ピーク検出回路を示している。図11に示す相互相関ピーク検出回路において、相互相関回路24又は検出器19からの各出力信号、すなわちz(i)の絶対値は、ピーク閾値検出器29及びギャップ検出器30に供給される。ピーク閾値検出器29は、z(i)の絶対値が所定の相互相関ピークの閾値を上回るかどうかを検出する。ギャップ検出器30は、z(i)の絶対値が、検出された相互相関ピークの前にある所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出する。図10からわかるように、相互相関回路に供給された信号が、繰返しパターンの位相が互いに反転されていない参照シンボルの部分にある限り、z(i)の絶対値は、0又は0の近似値である。相互相関ピークの前にあるギャップが検出されるときのみ、検出された相互相関ピークが確認されるため、前段階での同期が確立される。
【0040】
すなわち、相互相関ピークの前にあるギャップは、相互相関ピークの予測される位置の範囲を特定するのに用いることができる。ピーク閾値検出器29によって、z(i)の絶対値が所定の相互相関ピークの閾値を上回るかどうかが検出され、ギャップ検出器30によって、z(i)の絶対値が、検出された相互相関ピークの前にある所定のギャップ閾値を下回ったかどうかが検出されるときのみ、相互相関ピークが確認される。相互相関ピークが確認された場合、ピーク閾値検出器29及びギャップ検出器30は、それぞれ、肯定の応答を、例えばANDゲート等の判定器33に供給し、この判定器33は、ピーク閾値検出器29及びギャップ検出器30の両方から肯定の応答が得られるときのみ、検出された相互相関ピークの位置を出力する。なお、ギャップ検出器30の前段に、平均化器31及び/又は遅延器32を設けてもよい。平均化器31は、z(i)の絶対値を平滑化する移動平均フィルタであってもよい。このフィルタの長さは参照シンボルの1繰返しパターンの長さに対応することが望ましい。遅延器32は、平均化器31からの出力信号を、参照シンボルの1繰返しパターン分遅延させることが望ましい。なお、実施の形態によって、平均化器31及び遅延器32を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0041】
図12は、図11における相互相関ピーク検出回路の他の例を示している。図12では、z(i)の絶対値は、図11におけるピーク閾値検出器29と同じピーク閾値検出器29に供給される。図12に示すギャップ検出器34は、z(i)の絶対値が、検出された相互相関ピークの前にある所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出するとともに、z(i)の絶対値が、所定のギャップ時間の間に所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出する。図11におけるギャップ検出器30は、検出された相互相関ピークの前のある1時点において検出動作を行うのに対して、図12におけるギャップ検出器34は、検出された相互相関ピークの前のある期間において検出動作を行う。図11と同様に、例えばANDゲート等の判定器33は、ピーク閾値検出器29及びギャップ検出器34からの出力信号が両方とも肯定の応答であるかどうかを判定するとともに、検出された相互相関ピークがこの場合において必要な相互相関ピークであると確認する。したがって、図11及び図12における相互相関ピーク検出回路を用いれば、前段階での同期の検出及び相互相関ピークの検出という複合した検出を行うことにより、検出の精度を高めることができるとともに、誤警報率を低くすることができる。検出された相互相関ピークの前にあるギャップの検出といった、前段階での同期をとることによって、予測される同期のためのピークの位置の範囲を検出することができるとともに、後に続く同期に必要な計算の量を減らすために何が必要かを検出することができる。
【0042】
なお、図4、図5、図7、図9、図11及び図12に示す相互相関回路及び相互相関ピーク検出回路は、図1に示す受信装置1における同期回路5において実現してもよいが、本発明の請求範囲内で、他の受信装置において実現又は使用することもできる。
【0043】
本発明に係る受信装置及び同期方法は、マルチパス伝送によるフェージングによって同期の精度が低下してしまう移動体間の通信環境における同期に特に有効である。本発明に係る受信装置及び同期方法は、1の搬送波を用いる通信システムだけでなく、直交周波数多重分割(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)システム等の複数の搬送波を用いる通信システムにおいても応用することができる。
【0044】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る受信装置は、デジタル通信システムにおいて信号を受信する受信装置であって、一方が他方に対して位相が変移されている少なくとも2繰返しパターンを有する参照シンボルを受信する受信手段と、デジタル通信システムにおいて、受信した参照シンボルを用いて、受信装置において同期をとる同期手段とを備え、同期手段は、所定の長さを有する相関ウィンドウにおいて、2繰返しパターンのうちの少なくとも1つを相関させる相関手段を有する。
【0045】
また、本発明に係る同期方法は、デジタル通信システムにおいて受信装置での同期をとる同期方法であって、一方が他方に対して位相が変移されている少なくとも2繰返しパターンを有する参照シンボルを受信する受信ステップと、所定の長さを有する相関ウィンドウにおいて、2繰返しパターンのうちの少なくとも1つを相関させることによって、デジタル通信システムにおいて、受信した参照シンボルを用いて、受信装置において同期をとる同期ステップとを有する。
【0046】
本発明に係る受信装置及び同期方法によれば、互いにサンプル長が等しい、同期回路に供給される信号が有する参照シンボルが有するサンプルと、同期回路が有する相関ウィンドウのサンプルとの間において、精度の高い相関が行われる。また、本発明に係る受信装置及び同期方法によれば、少なくとも2繰返しパターンは、参照シンボルにおける最後の繰返しパターンであり、同期のために2繰返しパターンのみが必要であり、これら2繰返しパターンの位相が互いに変移される。これにより得られる相関ピーク及びその相関ピークの相対位相を用いることによって、同期の時点に関する正確な情報が得られるため、受信装置において、精度が高く信頼性のある同期を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した受信装置の構造を示すブロック図である。
【図2】 本発明を適用した受信装置及び同期方法に用いられる参照シンボルの構造を示す図である。
【図3】 図2における参照シンボルを用いた相互相関ピークの検出を示す図である。
【図4】 図2における参照シンボルに基づいて相互相関ピーク及び各位相情報を検出する相互相関回路と検出器の第1の実施の形態を示す図である。
【図5】 相互相関回路と、図4の検出器の他の例を示す図である。
【図6】 図5に示す相互相関回路及び検出器のシミュレーションの結果を示すグラフである。
【図7】 相互相関回路と、図4の検出器の更に他の例とを示す図である。
【図8】 図7に示す相互相関回路及び検出器のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】 相互相関ピークを検出する相互相関回路及び絶対値計算器の第2の実施の形態を示す図である。
【図10】 図9に示す相互相関回路及び絶対値計算器のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】 図5の絶対値計算器、図7の平均化器又は図9の絶対値計算器からの出力信号の信頼性及び精度を高めるための相互相関ピーク検出回路を示す図である。
【図12】 図11における相互相関ピーク検出回路の他の例を示す図である。
【図13】 相互相関ピークを検出するための従来の相互相関回路及び絶対値計算器を示す図である。
【図14】 図13における相互相関回路及び絶対値計算器による相互相関ピークの検出を示す図である。
【符号の説明】
16 相互相関回路、17 遅延器、18 乗算器、19 検出器

Claims (26)

  1. デジタル通信システムにおいて信号を受信する受信装置であって、一方が他方に対して位相が変移されている少なくとも2つの繰返しパターンを有する参照シンボルを受信する受信手段と、上記デジタル通信システムにおいて、上記受信した参照シンボルを用いて、同期をとる同期手段とを備え、上記同期手段は、所定の長さを有する相関ウィンドウにおいて、上記2つの繰返しパターンのうちの少なくとも1つを相関させる相関手段を有する受信装置。
  2. 上記少なくとも2つの繰返しパターンは、上記参照シンボルの中の最後の2つの繰返しパターンであることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
  3. 上記位相が変移されている繰返しパターンは、上記他方の繰返しパターンに対して180度位相が変移されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の受信装置。
  4. 上記同期手段は、上記参照シンボルの中の上記2つの繰返しパターンの位相の変移の情報を用いて、上記2つの繰返しパターンのうちの後方の1つの位置を示す相関ピークを検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の受信装置。
  5. 上記相関手段は、1つの繰返しパターンの長さに対応する長さの相関ウィンドウを有しており、上記相関手段からの出力信号は、上記相関ピークを検出する検出手段に供給されることを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
  6. 上記検出手段は、上記相関手段からの出力信号を1つの繰返しパターン分遅延させる遅延手段と、上記相関手段からの出力信号から上記遅延手段からの出力信号を減算する減算手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
  7. 上記検出手段からの出力信号を平滑化する平均化手段を備える請求項5乃至6のいずれか1項に記載の受信装置。
  8. 上記相関手段は、2つの繰返しパターンの長さに対応する長さの上記相関ウィンドウを有しており、上記相関ピークの位置を検出することを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
  9. 上記相関手段は、予測される繰返しパターンの正及び負の複素共役サンプルを用いて、上記相関ピークの位置を検出することを特徴とする請求項8に記載の受信装置。
  10. 上記相関手段又は上記検出手段からの出力信号は、ピーク閾値検出手段及びギャップ検出手段に供給され、上記ピーク閾値検出手段及び上記ギャップ検出手段による検出結果に基づいて、上記相関手段又は上記検出手段によって検出された上記相関ピークが確認されるか否かを判定することを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載の受信装置。
  11. 上記ピーク閾値検出手段は、上記相関手段又は上記検出手段からの出力信号が所定の相関ピークを上回るかどうかを検出し、上記ギャップ検出手段は、上記相関手段又は上記検出手段からの出力信号が上記検出された相関ピークの前にある所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出することを特徴とする請求項10に記載の受信装置。
  12. 上記相関手段又は上記検出手段からの出力信号は、上記ギャップ検出手段の前段に設けられる遅延手段において遅延されることを特徴とする請求項11に記載の受信装置。
  13. 上記ギャップ検出手段は、更に、上記相関手段又は上記検出手段からの出力信号が所定のギャップ時間の間に上記所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出することを特徴とする請求項11に記載の受信装置。
  14. デジタル通信システムにおいて受信装置での同期をとる同期方法であって、一方が他方に対して位相が変移されている少なくとも2つの繰返しパターンを有する参照シンボルを受信する受信ステップと、所定の長さを有する相関ウィンドウにおいて、上記2つの繰返しパターンのうちの少なくとも1つを相関させることによって、上記デジタル通信システムにおいて、上記受信した参照シンボルを用いて、上記受信装置において同期を行う同期ステップとを有する同期方法。
  15. 上記少なくとも2つの繰返しパターンは、上記参照シンボルの中の最後の2つの繰返しパターンであることを特徴とする請求項14に記載の同期方法。
  16. 上記位相が変移されている繰返しパターンは、上記他方の繰返しパターンに対して180度位相が変移されていることを特徴とする請求項14乃至15のいずれか1項に記載の同期方法。
  17. 上記同期ステップでは、上記参照シンボルの中の上記2つの繰返しパターンの位相の変移の情報を用いて、上記2つの繰返しパターンのうちの後方の1つの位置を示す相関ピークを検出することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の同期方法。
  18. 相関ウィンドウの長さは、1つの繰返しパターンの長さに対応しており、上記相関ステップの後に、上記相関ピークを検出する検出ステップを有することを特徴とする請求項17に記載の同期方法。
  19. 上記検出ステップは、上記相関ステップの出力信号を1つの繰返しパターン分遅延させる遅延ステップと、上記相関ステップの出力信号から上記遅延ステップの出力信号を減算する減算ステップとを有することを特徴とする請求項18に記載の同期方法。
  20. 上記検出ステップの出力信号を平滑化する平均化ステップを備える請求項18乃至19のいずれか1項に記載の同期方法。
  21. 上記相関ウィンドウの長さは、2つの繰返しパターンの長さに対応しており、上記相関ピークの位置を検出することを特徴とする請求項17に記載の同期方法。
  22. 上記相関ステップでは、予測される繰返しパターンの正及び負の複素共役サンプルを用いて、上記相関ピークの位置を検出することを特徴とする請求項21に記載の同期方法。
  23. 上記相関ステップ又は上記検出ステップの後に、ピーク閾値検出ステップ及びギャップ検出ステップを有し、上記ピーク閾値検出ステップ及び上記ギャップ検出ステップの検出結果に基づいて、上記相関ステップ又は上記検出ステップで検出された上記相関ピークが確認されるか否かを判定することを特徴とする請求項17乃至22のいずれか1項に記載の同期方法。
  24. 上記ピーク閾値検出ステップでは、上記相関ステップ又は上記検出ステップの出力信号が所定の相関ピークを上回るかどうかを検出し、上記ギャップ検出ステップでは、上記相関ステップ又は上記検出ステップの出力信号が上記検出された相関ピークの前にある所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出することを特徴とする請求項23に記載の同期方法。
  25. 上記ギャップ検出ステップの前段に、上記相関ステップ又は上記検出ステップの出力信号を遅延させる遅延ステップを有する請求項24に記載の同期方法。
  26. 上記ギャップ検出ステップでは、更に、上記相関ステップ又は上記検出ステップの出力信号が所定のギャップ時間の間に上記所定のギャップ閾値を下回ったかどうかを検出することを特徴とする請求項24に記載の同期方法。
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