JP4587061B2 - 部品自動組立て方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットによる部品の自動組立て、特に軸芯及び位相合わせを必要とする部品の嵌合挿入を自動的に行う部品自動組立方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軸心及び位相を合わせなければ組み立てることができない部品をロボットにより自動で組立てる方法においては、ロボット先端に専用工具を設置してCCDカメラなどにより位相を予め合わせた上で組立てを行う方法やロボット先端に設置された力センサの計測データから軸心合わせの移動方向や移動量を生成し軸心を合わせ、引き続き前記力センサの計測データから位相合わせの移動量を生成し、順次嵌合挿入を行う組立て方法があった。
【0003】
その中において特開平07−241733号公報には、ロボット先端に設置された力センサの計測データから軸心合わせの移動方向や移動量を生成し軸心を合わせ、引き続き前記力センサの計測データから位相合わせの移動量を生成し、順次嵌合挿入を行う組立て方法が記載されている。以下、簡単に図面を用いて説明する。
【0004】
図13は基本構成を示す正面図、図14は図13の部分拡大図である。図13、図14において、4軸力覚センサS10はロボットS8の手首先端S8aとZ軸コンプライアンス機構S12との間に設けられている。これにより4軸力覚センサS10と6自由度コンプライアンス機構となる。これは、RCC(REMOTE CENTER COMPLIANCE)S11は嵌合挿入方向以外の位置及び姿勢の5自由度をもつコンプライアンス機構であり、これにZ軸コンプライアンス機構S12を併用すると、6自由度のコンプライアンス機構となるからである。
【0005】
図15は組立対象部品を示す斜視図であり、図15において、S19は角形の穴部S19aを有する第1の部品、S20は角形の穴部S19aが嵌合する角形の面取り部のある軸部S20aを有する第2の部品である。
【0006】
図16は組立対象部品及びその位置決めまたは部品供給を示す断面図であり、S21は第1の部品S19を位置決め保持するための位置決め機構、S22は第2の部品S20をロボットS8に供給する部品供給機構である。
【0007】
図17は4軸力覚センサS10の計測信号の伝達系の構成図を示すもので、S51は4軸力覚センサS10が計測したX,Y,Z方向の力Fx,Fy,Fz及びθ軸回りのモーメントMzを入力し、この各力及びモーメンを移動量ΔX,ΔY,ΔZ及びΔθに変換するマイクロコンピュータなどの演算器、S52は演算器S51からの移動量に応じて、第1の部品S19と第2の部品S20とを相対的に移動量ΔX,ΔY,ΔZ及びΔθ移動させるロボットコントローラである。
【0008】
次に従来例の動作について説明する。まず、ロボットS8を作動させ、チャック機構S7で部品供給機構S22によって供給された第2の部品S20を把持する。そして、図18に示すようにロボットS8を移動させてチャック機構S7によって把持された第2の部品S20を、位置決め機構S21によって位置決めされた第1の部品S19の上方に位置決めする。次に、ロボットS8の手首S8aを下降させて第2の部品S20を第1の部品S19に、RCC S11の作用により軸芯が合う押し付け力以上の力で押し付ける。
【0009】
すると、第2の部品S20を下降させる過程において、通常は第2の部品S20は第1の部品S19に対して若干軸芯がずれていることから、まず、第2の部品S20の軸部下端の面取り部の一部が第1の部品S19の穴部上端に接触する。このため、図19に示すように、第2の部品S20に対して矢印方向に力F1が作用する。この力F1によりRCC S11が作用し、第2の部品S20が軸芯を合わす方向に移動する。上記のように、力覚センサS10とRCC S11を併用していることにより、図20に示すように軸芯ずれ量はRCC S11のたわみとなるため、その力F2を力覚センサS10によって検出することにより、軸芯ずれの方向だけでなく軸芯ずれ量も検知できるようになる。よって、第2の部品S20はRCC S11により軸芯の合う方向に移動しているが、ロボットS8の手首先端は移動していないため、図21に示すように、ロボットS8を水平方向に移動させて、第2の部品S20の軸芯とロボットの手首先端の軸芯を合わせることができる。
【0010】
第2の部品S20と第1の部品S19の軸芯を合わせても、通常は若干位相がずれている。このため、図22に示すように、第2の部品S20に対して矢印で示すモーメントMが作用する。位相合わせは力覚センサS10によって検出されたこのモーメントMと同じ方向を定め、図111に示すようにその方向にロボットS8の手首S8aを回転させ、力覚センサS10によりZ軸方向の力が急激に変化した位置でロボットS8を停止させる。このように、力覚センサS10とRCC S11を併用することにより、軸芯及び位相を合わせることができるようになっている
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のロボットによる部品の自動組立て方法、特に軸芯及び位相合わせを必要とする部品の嵌合挿入を自動的に行う部品自動組立方法においては、接触動作時において部品の凹凸に伴う振動が発生し力センサデータにノイズがのりやすく、得られた力情報から軸心合わせの移動方向を正確に求めることは困難であり、嵌合挿入作業が確実にできない。さらに、歯数の多い遊星歯車減速機などは位相合わせの方向を特定するのは困難である。
【0012】
また、力センサデータに基づいて軸心合わせの移動量を決定し移動後に動作確認し、その次に位相合わせを順次実行する方法であるため、作業の高速化が望めない。
【0013】
したがって、この発明の目的は作業の信頼性の高い、高速作業が可能な軸芯及び位相合わせを必要とする部品の嵌合挿入を自動的に行う部品自動組立方法及び装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明の部品自動組立方法は、位置決め機構によって位置決めされた第1の部品に対し、先端部のチャック機構によって第2の部品を把持したロボットを力制御を具備する制御装置により動作させて、前記第1の部品と前記第2の部品を自動で組立てる部品自動組立方法において、
a)前記位置決め機構により前記第1の部品を予め設定された精度幅で位置決めし、前記チャック機構により前記第2の部品を予め設定された精度幅で、前記第2の部品の挿入方向とロボットの動作座標系のいずれかの軸方向とが平行となるように把持する位置決め把持工程sp1と、
b)前記第2の部品を前記第1の部品に嵌合挿入方向に押圧する押圧工程sp2と、
c)前記第2の部品と前記第1の部品の軸心合わせのために、前記位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて前記第2の部品の探索的な螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成する公転軌道生成工程sp3と、
d)前記第2の部品と前記第1の部品の位相合せのために、前記位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて前記第2の部品の探索的な嵌合挿入方向軸回りの正転逆転の周期的な回転量を生成する自転軌道生成工程sp4と、
e)前記公転軌道生成工程sp3と前記自転軌道生成工程sp4で生成した移動量と移動方向と回転量で、前記第2の部品を前記押圧工程sp2による押圧を維持したまま移動させて、軸心合わせと位相合わせを同時に実行し、前記第2の部品の嵌合挿入方向への押し込み移動量が、所定値より大きくなった場合、当該嵌合工程を即時に停止する嵌合工程sp5と、
f)前記第2の部品を前記第1の部品に対して嵌合挿入方向に移動させる挿入工程sp6とよりなる。
【0015】
また、本発明の部品自動組立装置は、前記a)〜f)のそれぞれの工程を行う、位置決め把持手段と、押圧手段と、公転軌道生成手段と、自転軌道生成手段と、嵌合手段と、挿入手段とよりなる。
【0016】
本発明によれば、力センサデータの出力を待ってから軸心合わせの移動量や位相合わせの移動量を生成するというような時系列上の制約無しに軸心合わせと位相合わせを同時に実行するため、作業を高速に行うことができる。
【0017】
このロボットによる部品自動組立方法において、次の実施態様を採ることができる。
【0018】
(1)前記位置決め把持工程sp1により、第1の部品を予め設定された精度幅で位置決めし、第2の部品を予め設定された精度幅で、第2の部品の挿入方向とロボットの動作座標系のいずれかの軸方向とが平行となるように把持する。
【0019】
これにより、ロボットの軌道生成に伴う座標変換の計算量を低減し作業の高速化が実現できる。
【0020】
(2)前記公転軌道生成工程sp3により、前記位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて移動方向と移動量を生成する。
【0021】
これにより、位置決め精度の範囲内で、軸心を探索することができるため、不必要な範囲の探索をすることが無く、最短の探索時間で確実な軸心探索を行うことができる。
【0022】
(3)前記自転軌道生成工程sp4により、前記位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて回転量を生成する。
【0023】
これにより、位置決め精度の範囲内で、嵌合可能な位相を探索することができるため、最短の探索時間で確実な位相探索を行うことができる。
【0024】
(4)前記公転軌道生成工程sp3により、螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成する。
【0025】
これにより、位置信頼度の高い点から徐々に探索範囲を広げていくため、最短の時間で軸心探索を行うことができる。
【0026】
(5)前記自転軌道生成工程sp4により、正転逆転の周期的な回転量を生成する。
【0027】
これにより、両方向に回転させて位相合わせを行うため、必要十分な位相探索が可能である。
【0028】
(6)前記嵌合工程sp5により、前記第2の部品の嵌合挿入方向への押し込み移動量が、所定値より大きくなった場合、当該嵌合工程sp5を即時に停止する。
【0029】
これにより、嵌合挿入方向への押し込み移動量を用いて、嵌合工程を認識するため、軸心と位相の両方が合ったことを同時に、しかもノイズの影響の小さい位置情報を基に認識しているため確実に嵌合したことを確認することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0031】
<実施例1>
図1は本発明の部品自動組立方法を実施するための装置の基本構成を示す正面図、図2は本実施例1で用いる組立て対象部品の斜視図である。
【0032】
図1において、1は組み立て対象部品である第2の部品4を把持するためのチャック機構、2はX,Y,Zの3方向の並進自由度とZ軸方向軸回りの回転自由度を有するロボット、3はロボット2を動作させるためのコントローラであり、記憶装置3aとCPU3b、デジタルサーボ回路3cを有している。デジタルサーボ回路3cはCPU3bの指令に基づいて位置と力の制御を行う。
【0033】
図2は組立対象部品を示す斜視図であり、5は角形の穴部5aを有する第1の部品、4は角形の穴部5aが嵌合する角形の面取り部のある軸部4aを有する第2の部品である。
【0034】
図3は組立対象部品及びその位置決めまたは部品供給を示す断面図であり、6は第1の部品5を位置決めするための位置決め機構、7は第2の部品4を装置に供給する部品供給機構である。
【0035】
次に上記実施例1の動作について説明する。
【0036】
まず、CPU3bの指令に基づき位置決め把持工程sp1でロボット2を作動させ、チャック機構1で部品供給機構7によって供給された第2の部品4を把持する。そして、図3に示すようにロボット2を移動させてチャック機構1によって把持された第2の部品4を、位置決め機構6によって位置決めされた第1の部品5の上方に位置決めする。
【0037】
次に、押圧工程sp2でロボット2の手首2aを下降させて第2の部品4を第1の部品5に、予め設定された力で押し付ける。すると、第2の部品4を下降させる過程において、通常は第2の部品4は第1の部品5に対して若干軸芯がずれていることから、まず、第2の部品4の軸部下端の面取り部の一部が第1の部品5の穴部上端に接触する。ロボット2の繰り返し精度と位置決め機構6の精度と部品供給機構7の精度から軸心のずれる範囲はあらかじめ分かっているため、公転軌道生成工程sp3で図4に示すように、接触点位置CP1を中心にして螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成し、記憶装置3aに記憶させる。
【0038】
同様に自転軌道生成工程sp4では、回転誤差の範囲はあらかじめ分かっているため図5に示すように、正転逆転の周期的な回転量を生成し、記憶装置3aに記憶させる。
【0039】
嵌合工程sp5では前記公転軌道生成工程sp3と自転軌道生成工程sp4の生成結果に基づいて記憶装置3aから動作量を取り出し前記押し圧工程sp2の押し圧を維持したまま、ロボット2を動作させることにより第2の部品4の制御点C1を移動させる。前記嵌合工程sp5の途中でフィードバック位置から算出した嵌合挿入方向への押し込み移動量が設定値以上となったら、軸心と位相が合ったと判断し、一旦ロボット2を停止させ挿入工程sp6に進む。
【0040】
挿入工程sp6では、予め設定された移動量だけ挿入移動させ、ロボット2の動作を停止する。
【0041】
ここで、公転軌道生成工程sp3の螺旋軌道型の移動方向と移動量の生成方法を図6、図7を用いて詳細に説明する。
【0042】
図6は、押圧工程sp2が完了した直後の第1部品5と第2部品4の断面図であり、作業座標系SのZ軸は、第2部品4の嵌合挿入方向と反対向きで、作業座標系Sの原点は第2部品の先端の中心に位置する。
【0043】
図7(a)は、作業座標系Sを参照座標として生成された螺旋軌道の斜視図、図7(b)は、作業座標系SのXY平面図である。図7(a)において、MinYは螺旋軌道の最小半径でMaxYは、Y軸方向の螺旋軌道の最大半径で、MaxXは、X軸方向の螺旋軌道の最大半径である。前記MaxYとMaxXは、位置決め精度から予想される位置ずれ範囲の最大量を設定する。コントローラ3の制御周期をΔtとし、作業座標系Sを基準座標とした時刻Δt(n−1)(nは1以上の整数)における螺旋軌道上の位置を(Sx(n−1),Sy(n−1))、時刻Δt(n−1)までの総回転角度をAngle(n−1)とすると、作業座標系Sの原点から(Sx(n−1),Sy(n−1))までの距離R(n−1)は
【数1】
となる。ただし、係数k、B、C、Nは以下の関係を満足する。
【0044】
【数2】
予め設定された螺旋軌道の接線方向の周速度をVとするとΔt秒後の角度増分量Δθは
【数3】
となる。時刻Δt*nまでの総回転角度Angle(n)は
【数4】
となり、時刻Δt*nの螺旋軌道上の位置(Sx(n),Sy(n))は
【数5】
となる。
【0045】
変換行列
【数6】
がワールド座標系Wに基づく作業座標系Sを表すとすると、ワールド座標系Wを基準座標とした場合の、時刻Δt*nの位置(X(n),Y(n),Z(n))は、
【数7】
となり、時刻Δt*nでの移動量と移動方向を示すベクトル(ΔX(n),ΔY(n),ΔZ(n))は
【数8】
と求まる。(式1)から(式7)までの生成を
R(n−1)>MaxX …(式8)
になるまで繰り返し行い、生成結果とともに(式8)を満足するnの値MaxNを記憶装置3aに記憶する。
【0046】
次に、自転軌道生成工程sp4の正転逆転の周期的な回転量の生成方法を図8、図9を用いて詳細に説明する。図8は作業座標系Sを参照座標として生成された螺旋軌道の斜視図で、座標系C(n)は時刻Δt*nでの螺旋型公転軌道の位置(Sx(n)、Sy(n))における第2部品4の先端の姿勢座標で、Cx(n),Cy(n),Cz(n)は座標系C(n)の基底ベクトルである。Cx(n−1),Cy(n−1),Cz(n−1)は時刻Δt(n−1)での座標系C(n−1)の基底ベクトルである。ここでは、姿勢変化のみを扱うため座標系C(n−1)とC(n)の座標原点を同一位置で表示している。C(n)のワールド座標系Wを基準とした姿勢行列を
【数9】
とし、第2の部品4の嵌合挿入方向軸回り正転方向の1制御周期毎の姿勢変化の回転行列を、
【数10】
とすると
【数11】
の関係式が成立する。
【0047】
ロボットのワールド座標系Wを基準とした、C(n−1)からC(n)への変換行列ΔR(n)は
【数12】
より、(式9)を用いて
【数13】
となる。
【0048】
同様にして、逆転方向の場合の変換行列ΔR(n)も求まる。図9は(式9)から(式11)を用いて周期的な回転を生成する方法の処理フローである。図9においてS12で、回転の角度誤差(DeltaAng)をセットし、S13で正転と逆転の切り替えの周期を、制御周期のクロック数(F)でセットし、S14で制御周期毎の回転角度(Δθ)を算出し、前記(式9)、(式10)、(式11)を用いて、時刻Δt*nでの変換行列ΔR(n)が求まる。nが前記、公転軌道生成工程sp3で記憶装置3aに記憶させたMaxNになるまで生成する。
【0049】
<実施例2>
図10乃至図12は実施例2を示す説明図であり、図10はRV減速機8の断面図で、対向する歯車8aと8bを有し位置決め保持するための位置決め機構10に設置されている。図11はRV減速機8へ動力伝達するためのインプット歯車9の断面図で、歯車9aを有し、装置に供給する部品供給機構11に設置されている。本実施例2における組立作業では、インプット歯車9を、RV減速機8の対向する歯車8aと8bの中心位置に、軸心と位相を合わせて嵌合挿入することになる。このとき、歯車8aと8bは固定されていないため、組立作業中に歯車9aと歯車8a,8bとの接触摩擦により、歯の位置が組立作業前の位置からずれるため、従来の組立て作業前の視覚センサによる位相合わせだけでは組み立てができない。
【0050】
次に本実施例2の動作について説明する。まず、CPU3bの指令に基づき位置決め把持工程sp1でロボット2を作動させ、チャック機構1で部品供給機構11によって供給されたインプット歯車9を把持する。そして、図11に示すようにロボット2を移動させてチャック機構1によって把持されたインプット歯車9を、位置決め機構10によって位置決めされたRV減速機8の上方に位置決めする。次に、押圧工程sp2でロボット2の手首2aを下降させてインプット歯車9をRV減速機8に、予め設定された力で押し付ける。すると、第2の部品4を下降させる過程において、通常はインプット歯車9はRV減速機8に対して若干軸芯がずれていることから、インプット歯車9の軸部下端の面取り部の一部が歯車8aもしくは8bの穴部上端に接触する。軸心のずれる範囲はあらかじめ分かっているため、実施例1の場合と同じように公転軌道生成工程sp3で、接触点位置を中心として螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成し生成結果を、記憶装置3aに記憶する。同様に自転軌道生成工程sp4では、回転誤差の範囲はあらかじめ分かっているため図5に示すように、正転逆転の周期的な回転量を生成し生成結果を記憶装置3aに記憶する。嵌合工程sp5では前記公転軌道生成工程sp3と自転軌道生成工程sp4の生成結果に基づいて前記押し圧工程sp2の押し圧を維持したまま、ロボット2を動作させることによりインプット歯車9の制御点C2を移動させる。この嵌合工程における状態を図12に示す。前記嵌合工程sp5の途中でフィードバック位置から算出した嵌合挿入方向への押し込み移動量が設定値以上となったら、軸心と位相が合ったと判断し、一旦ロボット2を停止させ挿入工程sp6に進む。挿入工程sp6では、予め設定された移動量だけ挿入移動させ、ロボット2の動作を停止する。
【0051】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、下記の効果を奏する。
【0052】
(1)a)前記位置決め機構により前記第1の部品を位置決めし、前記チャック機構により前記第2の部品を把持する位置決め把持工程sp1と、
b)前記第2の部品を前記第1の部品に嵌合挿入方向に押圧する押圧工程sp2と、
c)前記第2の部品と前記第1の部品の軸心合わせのために、前記第2の部品の探索的な移動方向と移動量を生成する公転軌道生成工程sp3と、
d)前記第2の部品と前記第1の部品の位相合せのために、前記第2の部品の探索的な嵌合挿入方向軸回りの回転量を生成する自転軌道生成工程sp4と、
e)前記公転軌道生成工程sp3と前記自転軌道生成工程sp4で生成した移動量と移動方向と回転量で、前記第2の部品を前記押圧工程sp2による押圧を維持したまま移動させて、軸心合わせと位相合わせを同時に実行する嵌合工程sp5と、
f)前記第2の部品を前記第1の部品に対して嵌合挿入方向に移動させる挿入工程sp6と
よりなるロボットによる部品自動組立方法により、力センサデータの出力を待ってから軸心合わせの移動量や位相合わせの移動量を演算するというような時系列上の制約無しに軸心合わせと位相合わせを同時に実行するため、作業を高速に行うことができる。
【0053】
(2)位置決め把持工程sp1により、第1の部品を予め設定された精度幅で位置決めし、第2の部品を予め設定された精度幅で、第2の部品の挿入方向とロボットの動作座標系のいずれかの軸方向とが平行となるように把持することにより、ロボットの軌道生成に伴う座標変換の計算量を低減し作業の高速化が実現できる。
【0054】
(3)公転軌道生成工程sp3により、位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて移動方向と移動量を生成することにより、位置決め精度の範囲内で、軸心を探索することができるため、不必要な範囲の探索をすることが無く、最短の探索時間で確実な軸心探索を行うことができる。
【0055】
(4)自転軌道生成工程sp4により、位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて回転量を生成することにより、位置決め精度の範囲内で、嵌合可能な位相を探索することができるため、最短の探索時間で確実な位相探索を行うことができる。
【0056】
(5)公転軌道生成工程sp3により、螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成することにより、位置信頼度の高い点から徐々に探索範囲を広げていくため、最短の時間で軸心探索を行うことができる。
【0057】
(6)自転軌道生成工程sp4により、正転逆転の周期的な回転量を生成することにより、両方向に回転させて位相合わせを行うため、必要十分な位相探索が可能である。
【0058】
(7)嵌合工程sp5により、第2の部品の嵌合挿入方向への押し込み移動量が、所定値より大きくなった場合、当該嵌合工程sp5を即時に停止することにより、嵌合挿入方向への押し込み移動量を用いて、嵌合工程を認識するため、軸心と位相の両方が合ったことを同時に、しかもノイズの影響の小さい位置情報を基に認識しているため確実に嵌合したことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部品自動組立方法を実施するための装置の基本構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例1で用いる組立て対象部品の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1で用いる組立対象部品及びその位置決めまたは部品供給を示す断面図である。
【図4】本発明の公転軌道生成工程の模式図である。
【図5】本発明の自転軌道生成工程の模式図である。
【図6】本発明の実施例1の押圧工程sp2が完了した直後の第1部品5と第2部品4の断面図である。
【図7】(a)は、作業座標系Sを参照座標として生成された螺旋軌道の斜視図、(b)は作業座標系SのXY平面図である。
【図8】作業座標系Sを参照座標として生成された螺旋軌道の斜視図である。
【図9】周期的な回転を生成する方法の処理フロー図である。
【図10】本発明の実施例2のRV減速機の断面図である。
【図11】本発明の実施例2のRV減速機へ動力伝達するためのインプット歯車の断面図である。
【図12】本発明の実施例2の嵌合工程における状態の一部切欠正面図である。
【図13】従来の自動組立て装置の基本構成を示す正面図である。
【図14】図13のコンプライアンス機構の部分拡大図である。
【図15】従来の実施例における組立て対象部品を示す斜視図である。
【図16】従来の実施例における組立て対象部品の位置決め並びにその部品供給を示す断面図である。
【図17】従来の実施例における4軸力覚センサの計測信号の伝達系の構成図である。
【図18】従来の実施例における部品自動組立て方法を説明する正面図である。
【図19】従来の実施例における部品自動組立て方法を説明する正面図である。
【図20】従来の実施例における部品自動組立て方法を説明する正面図である。
【図21】従来の実施例における部品自動組立て方法を説明する正面図である。
【図22】従来の実施例における部品自動組立て方法を説明する正面図である。
【符号の説明】
1 チャック機構
2 ロボット
3 コントローラ
3a 記憶装置
3b CPU
3c デジタルサーボ回路
4 第2の部品
4a 第2の部品の軸部
5 第1の部品
5a 第1の部品の穴部
6 位置決め機構
7 部品供給機構
8 RV減速機
8a RV減速機の歯車
8b RV減速機の歯車
9 インプット歯車
9a 歯車
10 位置決め機構
11 部品供給機構
SP1 位置決め把持工程
SP2 押圧工程
SP3 公転軌道生成工程
SP4 自転軌道生成工程
SP5 嵌合工程
SP6 挿入工程
SP7 終了
S 作業座標系
C1 制御点
S7 チャック機構
S8 ロボット機構
S8a 手首
S9 連結機構
S10 力覚センサ
S11 RCC
S12 コンプライアンス機構
S13 ガイド
S14 圧縮コイルバネ
S15 近接スイッチ
S15a 検出部材
S16 板
S17 板
S19 第1の部品
S19a 第1の部品の穴部
S20 第2の部品
S20a 第2の部品の軸部
S21 位置決め機構
S22 部品供給機構
S51 生成器
S52 ロボットコントローラ
Claims (2)
- 位置決め機構によって位置決めされた第1の部品に対し、先端部のチャック機構によって第2の部品を把持したロボットを力制御を具備する制御装置により動作させて、前記第1の部品と前記第2の部品を自動で組立てる部品自動組立方法において、
a)前記位置決め機構により前記第1の部品を予め設定された精度幅で位置決めし、前記チャック機構により前記第2の部品を予め設定された精度幅で、前記第2の部品の挿入方向とロボットの動作座標系のいずれかの軸方向とが平行となるように把持する位置決め把持工程sp1と、
b)前記第2の部品を前記第1の部品に嵌合挿入方向に押圧する押圧工程sp2と、
c)前記第2の部品と前記第1の部品の軸心合わせのために、前記位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて前記第2の部品の探索的な螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成する公転軌道生成工程sp3と、
d)前記第2の部品と前記第1の部品の位相合せのために、前記位置決め把持工程sp1の位置決め精度幅に応じて前記第2の部品の探索的な嵌合挿入方向軸回りの正転逆転の周期的な回転量を生成する自転軌道生成工程sp4と、
e)前記公転軌道生成工程sp3と前記自転軌道生成工程sp4で生成した移動量と移動方向と回転量で、前記第2の部品を前記押圧工程sp2による押圧を維持したまま移動させて、軸心合わせと位相合わせを同時に実行し、前記第2の部品の嵌合挿入方向への押し込み移動量が、所定値より大きくなった場合、当該嵌合工程を即時に停止する嵌合工程sp5と、
f)前記第2の部品を前記第1の部品に対して嵌合挿入方向に移動させる挿入工程sp6とよりなるロボットによる部品自動組立方法。 - 位置決め機構によって位置決めされた第1の部品に対し、先端部のチャック機構によって第2の部品を把持したロボットを力制御を具備する制御装置により動作させて、前記第1の部品と前記第2の部品を自動で組立てる部品自動組立装置において、
a)前記位置決め機構により前記第1の部品を予め設定された精度幅で位置決めし、前記チャック機構により前記第2の部品を予め設定された精度幅で、前記第2の部品の挿入方向とロボットの動作座標系のいずれかの軸方向とが平行となるように把持する位置決め把持手段と、
b)前記第2の部品を前記第1の部品に嵌合挿入方向に押圧する押圧手段と、
c)前記第2の部品と前記第1の部品の軸心合わせのために、前記位置決め把持手段の前記精度幅に応じて前記第2の部品の探索的な螺旋軌道型の移動方向と移動量を生成する公転軌道生成手段と、
d)前記第2の部品と前記第1の部品の位相合せのために、前記位置決め把持手段の前記精度幅に応じて前記第2の部品の探索的な嵌合挿入方向軸回りの正転逆転の周期的な回転量を生成する自転軌道生成手段と、
e)前記公転軌道生成手段と前記自転軌道生成手段で生成した移動量と移動方向と回転量で、前記第2の部品を前記押圧手段による押圧を維持したまま移動させて、軸心合わせと位相合わせを同時に実行し、前記第2の部品の嵌合挿入方向への押し込み移動量が、所定値より大きくなった場合、嵌合工程を即時に停止する嵌合手段と、
f)前記第2の部品を前記第1の部品に対して嵌合挿入方向に移動させる挿入手段とよりなるロボットによる部品自動組立装置。
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