JP4586677B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、用紙等の媒体に、各位置ごとに異なる位置依存情報とそれら各位置に共通の位置非依存情報とを含んだコードパターン画像を画像形成する画像形成装置に関する。
用紙の紙面の識別情報と、紙面上での各点の位置情報とを2次元コードに埋め込み、電子文書と重畳して印刷することで、紙に手書き等で書き込まれた情報と電子情報とを融合する技術が開発されている。この技術では、その紙面を読み取った装置が、紙面から2次元コードを検出してその情報を復号して利用することで、紙面を識別すると共に、紙面に対する書込の位置を識別し、紙面上の書込等の情報を電子情報中の適切なページ中の適切な位置に反映可能とする。
この種の技術には、例えば、特許文献1や2に開示されている技術がある。例えば特許文献1には、2次元コードに位置情報と文書ページを識別するための識別情報を埋め込んで印刷する技術が開示されている。
このような従来技術において、プリンタで印刷する電子文書の各ページに前述のようなコードパターン画像を重畳するためには、PC等の端末で印刷する電子文書と同じ大きさのコードパターン画像を生成し、これを電子文書と共にプリンタに送信する必要があった。しかし、文書ページごとに異なる識別情報を埋め込む場合、電子文書ページ数と同じ数のコードパターン画像を送信する必要があり、例えば100ページのA4サイズの電子文書を印刷する場合は、100枚のA4サイズのコードパターン画像をプリンタに送信する必要があった。
コードパターン画像は人間の目に見えにくい構成とすることが望ましく、かつ情報をより多くコード内に埋め込みたいので、コードパターン画像を構成するパターンは高精細に印刷する必要がある。このため、通常コードパターン画像は、600dpi以上の高解像度で印刷される。このような高解像度のコードパターン画像は情報量が多いため、通信負荷が高く、プリンタへの送信に時間がかかる、すなわちプリンタの生産性を低下させてしまうという問題があった。
一方、特許文献2には、広大な絶対座標空間から印刷する紙面サイズに合わせて位置情報を印刷する技術において、紙面に印刷する位置情報の境界情報(例えば印刷する位置情報の左上座標と右下座標)を端末で生成し、それをプリンタに送信することでコードパターン画像をプリンタ内部で生成して印刷する方法が開示されている。
しかし、特許文献2に開示されている方法は、プリンタ内部で紙面サイズに等しい大きさのコードパターン画像を、その符号化から画像生成まで行い生成するため、プリンタ内部に組み込まれる演算部(コントローラ)の処理負荷が非常に高くなる。プリンタの生産性を低下せずにこのような高負荷な処理を行うためには、プリンタ内部に高価な演算装置を実装する必要があるが、その場合は画像形成装置が高価になり、通常の演算装置で上述したような演算を行うとプリンタ生産性が低下してしまう、という問題があった。
特開2004−094907号公報 特表2004−528644号公報
本発明は、画像形成装置でのコードパターン画像の画像形成のための演算処理負荷を低減できるようにする。
本発明に係る画像形成装置は、媒体の面上の各位置ごとに異なる位置依存情報とそれら各位置に共通の位置非依存情報とを含んだコードパターン画像を媒体の面上に画像形成する画像形成装置であって、各位置に対応する位置依存情報を符号化した位置依存コード、又は位置依存コードを画像コードで表現した位置依存コード画像、を格納する位置依存コード格納部と、前記位置非依存情報として当該画像形成装置の識別情報を表す位置非依存コード画像を生成する位置非依存コード画像生成部と、前記位置依存コード格納部に格納された情報に基づき得られる各位置の位置依存コード画像と、前記位置非依存コード画像生成部が生成した位置非依存コード画像とを合成してコードパターン画像を生成するコードパターン画像生成部と、前記コードパターン画像生成部が生成したコードパターン画像を媒体の面上に画像形成する画像形成部と、を備える。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態において用いる2次元コードパターン画像の構造について説明する。
この2次元コードパターン画像は、用紙等の媒体に印刷されて、媒体表面上での各点の位置(座標)とそれら各位置の間で共通な識別情報を表現するものである。本実施形態の2次元コードパターン画像は、特許文献1〜2と同様、加筆(アノテーション)情報の電子化を典型的な応用として想定しているが、応用分野はそれに限られない。また、以下では、2次元コードパターン画像が紙のシートに印刷される例を典型例として説明するが、ロール紙等の非シート媒体、或いは透明プラスティックシートなどの紙以外の被印刷媒体に対しても本発明が適用可能であることは、明らかであろう。
本実施形態の2次元コードパターン画像は、図1に示すような単位領域10を二次元マトリクス状に配列して構成される。
例えば、用紙の面上に、縦横の端辺からそれぞれ所定幅のマージン部分を除いた矩形領域を、2次元コードパターン画像を印刷するコードパターン配置領域とする。その領域の左上隅の点を座標原点とし、この原点からみて右方向をx軸の正の方向、下方向をy軸の正の方向とした直交座標系を考える。このコードパターン配置領域に、矩形の単位領域10を、x、yの各軸方向に実質的に密に配列したものが、この実施形態で用いる2次元コードパターン画像となる。
2次元コードパターン画像の一部分を図2に模式的に示す。図2の左上隅の点Oを座標原点として、単位領域10がxyの2次元直交マトリクス状に配列されている状態を示している。このマトリクスに対し、原点Oからx方向及びy方向のそれぞれについて、単位領域10ごとに1から始まる通し番号を振れば、x,y各方向の通し番号の組により個々の単位領域10の座標を示すことができる。例えば、図2の左上隅の単位領域10の座標は(1,1)となり、その右隣の単位領域10の座標は(2,1)となる。この座標系を便宜上「パターン座標系」と呼ぶことにする。
好適には、単位領域10の形状は正方形とする。単位領域10を長方形とした場合、座標の尺度がx方向とy方向とで異なるので、パターン座標系で求めた長さをmm単位等の実寸法に換算する際には、x方向とy方向とで換算係数が異なるが、正方形であれば、x,y両方向の換算係数を同じものとすることができる。
1つの単位領域10は、図1に示すように、位置コード画像12と識別コード画像14から構成される。
位置コード画像12は、位置情報を表現するコード画像である。この位置情報は、典型的には、コードパターン配置領域22上で、当該位置コード画像12(或いはそれを含む単位領域10)が配置される2次元座標を示す情報である。座標は、前述のパターン座標系でのものでよい。例えば、位置情報のデータ量を、x,yの各方向にそれぞれ8ビットとすれば、x,yの各方向にそれぞれ256個の座標を表現できる。この場合、1個の単位領域10を例えば3mm×3mmとすれば、約80cm四方の領域を3mmの間隔で位置表現(アドレッシング)することができる。なお、この2次元コードパターン画像を読み取る装置では、検出した位置コード画像から復号した3mm間隔の位置情報と、読取画像内でのその位置コード画像の位置の情報とを用いることで、例えば斜線パターンのピッチ、すなわち0.3mm程度の位置解像度で読取位置を特定することができる。
位置コード画像12には、位置情報だけでなく、それに対応する誤り検出符号又は誤り訂正符号などの冗長データを含めることもできる。位置情報に誤り検出符号が付加されていれば、当該誤り検出符号の符号長に応じたビット数までの読み取り誤りを検出できる。また誤り訂正符号が付加されていれば、当該誤り訂正符号の符号長に応じたビット数までの読み取り誤りを訂正できる。なお、誤り検出符号と誤り訂正符号のどちらを用いるかは、2次元コードパターン画像の利用目的、位置情報のデータ量、1つの位置コード画像12で表現できるデータ量などの兼ね合いで決めればよい。
識別コード画像14は、コードパターン配置領域22内で共通の識別情報を表現するコード画像である。上述の位置コード画像12(すなわちそれが表現する位置情報)は、コードパターン配置領域22に配置される各単位領域10ごとに異なるのに対し、識別コード画像14(すなわちそれが表現する識別情報)は、コードパターン配置領域22に配置されるすべての単位領域10で同じである。すなわち、識別コード画像14は、同じものがコードパターン配置領域22に2次元的に繰り返し配置される。
この識別情報の典型例は、用紙の面を一意的に識別する識別番号である。この場合、1枚の用紙の1つの面に印刷される識別コード画像14が示す識別情報の値が全て同じ値となる。例えば、このように各ページ毎に異なる識別コード画像14が印刷されたノートに対し、特許文献1,2に示されるような記入と同時に記入先の領域を読み取るスキャナ付ペンを用いて記入を行った場合、ノートのページに対する記入の軌跡を、そのノートに対応する電子文書の対応ページに電子情報として記録することができる。
別の例では、一枚一枚の用紙ごとの識別情報が考えられる。また、複数の用紙からなる冊子(例えばノート)の識別情報も考えられる。
更に別の例では、識別情報として、電子文書のページを一意的に識別するものを用いることもできる。これは、電子文書の各ページを2次元コードパターン画像と重畳して印刷するなどの応用を想定したものである。この場合、ある印刷されたページから読み取った識別コード画像14から、そのページがどの電子文書のどのページであるかを特定することができる。同様に、電子文書を一意的に識別する識別情報を用いることもできる。この場合、電子文書を構成する複数のページの印刷結果に対しては、全て同じ識別コード画像14が印刷される。
識別コード画像14には、このような識別情報に加え、これに対応する誤り検出符号又は誤り訂正符号などの冗長データを埋め込んでもよい。
図1の例では、位置コード画像12の領域形状は正方形又は矩形であり、これが単位領域10の左上隅に配置される。単位領域10から位置コード画像12の領域を除いた残りの逆L字形の領域が、識別コード画像14の領域である。
位置コード画像12の領域は、単位領域10内に分散するのではなく、コンパクトにかたまっている方がよい。位置コード画像12を構成する各部分が単位領域10の全域に分散していると、位置情報を読み取るのに単位領域10全体を読み取る必要があるが、位置コード画像12が単位領域10の一部分にかたまっていると、その部分だけが完全に読み取れれば位置情報を検出できる。すなわち、位置コード画像12がコンパクトにかたまっている方が、スキャナの読取面積が小さくて済む。この意味で、図1に示した正方形又は矩形の位置コード画像12の領域形状は好適である。ただし、位置コード画像12の領域は、コンパクトにかたまっているのであれば、正方形又は矩形でなくても構わない。単位領域10内での位置コード画像12の配置領域が、少なくともx方向又はy方向のいずれか一方について偏っていれば、従来よりも必要読取面積を小さくできる。
図1では模式図で示したが、図3には、2次元コードパターン画像の具体例を示す。この例は、米国ゼロックス社のパロアルト研究所で開発された、角度の異なる斜線でデータを表現するグリフコード(例えば特開平6−103390号公報、特開平6−75795号公報)をコードシンボルとして用いた2次元コードパターン画像である。
この例では、単位領域10は8シンボル×8シンボルの正方形領域である。各シンボルの値は、図4に示すように斜線パターンで表現される。この例では、シンボル値0は垂直線に対して反時計回りに45度の角度をなす右下がりの斜線で、シンボル値1は垂直線に対して時計回りに45度の角度をなす右上がりの斜線で表現される。
このうち、位置コード画像12は、単位領域10の左上隅の6シンボル×6シンボルの正方形の画像であり、識別コード画像14は、単位領域10からその6×6シンボルの正方形を引いた残りの逆L字領域の画像となる。
また、この例では、単位領域10の外周に沿って縦横の各方向に、同期コード16の列及び行を設けている。この例では、同期コード16は、右上がり(「1」)の斜線シンボルの連続であり、シンボルのサイズと配列ピッチは単位領域10内のシンボルサイズ及びピッチと同じである。同期コード16は、図5に示すように、縦及び横に等間隔で設けられ、それら同期コード16で囲まれる正方形領域に各単位領域10が設けられる。同期コード16は、各単位領域10の区切りを示す。すなわち、2次元コードパターン画像を読み取った装置では、右上がりのシンボルが連続している行及び列を検出すると、それら行と列とで形成される格子の網目の内部を単位領域10と認識することができ、その単位領域10の左上隅の6×6のシンボルが位置コード画像12と認識できる。
なお、同期コード16は、単位領域10或いは位置コード画像12の場所を特定することができるものであれば、図3に例示したようなものでなくてもよい。例えば、単位領域10の四隅に斜線シンボルとは異なる特定形状のシンボルを配置したものを同期コード16としてもよい。図3及び図5の例では、同期コード16のためにシンボル1つ分の幅の行及び列を使ったが、同期コード16を構成するマークが十分に小さいものであれば、単位領域10を隙間なく2次元配列し、隣接する単位領域10の余白部分にそのマークを配置するようにしてもよい。
図3の例では、1つの位置コード画像12には合計36シンボル、すなわち36ビットのデータが格納されている。36ビットのうち、18ビットをx座標の符号化に、18ビットをy座標の符号化に使用することができる。各18ビットを全て位置の符号化に使用すると、2^18通り(約26万通り)の位置を符号化できる。各斜線パターンが、図4に示したように8画素×8画素で構成されている場合、600dpi(ドット・パー・インチ)で印刷すると、600dpiの1ドットの縦横の長さは0.0423mmなので、縦横共に、図3の2次元コード(同期コード16を含む)の縦、横の長さは3mm程度(=1シンボル当たり8画素×9シンボル×0.0423mm)となる。3mm間隔で26万通りの位置を符号化した場合、約786mの長さを符号化できる。読取の精度がよければ18ビット全てを位置の符号化に使用することもできるが、読取エラーが問題となる場合は、誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めることが好適である。18ビットに占める冗長ビットの割合を増やすと誤り検出や誤り訂正の能力が増えるが、表現できる位置の範囲が小さくなる。
また、図3の例では、識別コード画像14は、2ビット×8ビットの矩形領域および2ビット×6ビットの矩形領域に配置されており、合計28ビットの識別情報を格納できる。識別情報として28ビットを使用した場合は、約2億7千万通り(2^28通り)の識別情報を表現できるが、28ビットのうちのいくつかのビットを誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットとすることで読取エラーに対処できるようにしてもよい。
以上の例では、互いに角度が90度異なる2つの斜線パターンをシンボルとして用いることで1シンボルで1ビットのデータを表現したが、これは一例に過ぎない。例えばシンボルに垂直線と水平線のパターンを追加すれば2ビットの情報を1シンボルで表現できる。このように、1シンボルの斜線パターンの角度種類を増やすことで、1シンボルが表現できるビット数を増加することも可能である。
以上のように構成した2次元コードパターン画像を用いれば、従来技術で必要とされるよりも小さい読取面積のスキャナで、位置コード画像12と識別コード画像14が読み取れる。この効果について、図6A及び図6Bを参照して説明する。
図6Aは、単位領域10内で位置コード画像12と識別コード画像14とを分離した本実施形態の2次元コードパターン画像30を、図6Bは、単位領域41内に位置情報と識別情報が一体となっている特許文献1の2次元コードパターン画像40を、それぞれ模式的に示している。
いずれの場合も、位置情報は各単位領域10又は41ごとに異なるので、位置情報を求めるためには、スキャナの読取領域は、位置情報を示す領域を少なくとも1つは完全にカバーしなければならない。図6Bに示す従来パターンの場合、位置情報は単位領域41全体の情報から求める必要があるので、読取領域は1つの単位領域41を完全にカバーしなければならない。原理的には、2単位領域×2単位領域の正方形(厳密にはこれより縦横それぞれ1シンボルずつ小さくてもよい)をカバーできる読取領域42であれば、読取領域42がどのように移動しても、必ず1つは完全な単位領域41を読み取ることができる。スキャナの回転も考慮すると、この場合のスキャナの読取領域は、正方形の領域42の対角線を直径とする円領域となる。
これに対し、図6Aの2次元コードパターン画像では、位置情報は位置コード画像12内にのみ偏在するので、位置情報を完全に読み取るためには、少なくとも1つの位置コード画像12が読み取れればよい。このためにはスキャナは、図6Aに示すように、位置コード画像12を縦横に2つずつ含む領域32(更に厳密にはこれより縦横それぞれ1シンボルずつ小さくてもよい)をカバーできればよい。このように、図6Aの2次元コードパターン画像では、スキャナの読取領域は2単位領域×2単位領域よりも小さくて済む。図6Aの場合と図6Bの場合とで、位置情報及び識別情報のビット数とそれに対して付加する冗長ビット数と1シンボルの画像サイズとが同じであれば、単位領域10と単位領域41のサイズは同じになるので、同条件であれば図6Aの方が従来技術よりもスキャナの読取領域が小さくて済む。
以上では、スキャナの読取面に傾きがない理想状態で議論した。読取面の傾きを考慮した場合、その傾きの分だけ読取領域のサイズを大きく設定する必要がある。しかし、傾きを考慮して読取領域を大きくする程度は本実施形態でも従来技術でも同じなので、結局、図6Aの2次元コードパターン画像の方が読取領域は小さくて済む。
このように、スキャナの読取領域を小さくできれば、スキャナの読取面が傾いた状態での画像の歪みや焦点ずれを小さくすることができる。したがって、歪みや焦点ずれによる読取能力劣化の問題を低減することができる。
次に、図7を用いて、本実施形態の画像形成装置について説明する。
図7の装置において、プリントデータ入力部140は、パーソナルコンピュータや文書サーバなどの上位装置から転送されて来るプリントデータを入力する。このプリントデータは、印刷対象の文書画像をページ記述言語で記述したデータ、又は文書画像データそのものであり、文書の内容以外に文書の属性情報等の付加情報を含んでいる。この例では、付加情報には、用紙サイズの情報や、2次元コードパターン画像に埋め込むべき識別情報が含まれる。例えば、印刷する用紙のページごとに異なる識別情報を付ける場合は、パーソナルコンピュータや文書サーバなどの上位装置によりプリントデータの各ページに対してそれぞれ識別情報が付加情報としてプリントデータ本体に付され、この画像形成装置に転送される。文書単位の識別情報を付ける場合は、プリントデータの文書全体の付加情報としてその識別情報が付される。付加情報抽出部142は、プリントデータから付加情報を抽出する。抽出される付加情報には、上述の識別情報や用紙サイズが含まれる。
識別情報符号化部106は、入力された識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化処理では、例えば、よく知られた誤り訂正符号化方式であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号等の方式を用いることができる。また、CRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサムなどの誤り検出符号化方式を用いることもできる。いずれを用いるかは目的等に応じて定めればよい。上長データを付加する場合、識別情報符号化部106は、識別情報に対し、誤り訂正又は誤り検出符号化方式に従って冗長ビットを計算し、これを識別情報に付加したものを識別コードとして出力する。なお、この符号化処理では、識別情報の各ビットの順序を所定の規則に従って入れ換えるなど、識別情報に対して変換処理や暗号化処理を施し、その処理結果に対して冗長ビットを求めるようにしてもよい。
コード画像において用いるシンボルが、1シンボルで複数ビットのデータを表現するものである場合、識別情報符号部106から出力されるビット列は、そのシンボルが表現できるビット数ごとに区切ることで、各シンボルのシンボル値として解釈できる。
識別コード行列生成部108は、識別情報符号化部104から出力された識別コードの各シンボル値を、単位領域10での識別コード画像14のシンボル配列パターンに応じた2次元行列の形に配列する。すなわち、図8に示すように、識別コード行列生成部108に入力される識別コード44は各シンボル値が一列に並んだシリアルデータであるが、識別コード行列生成部108は、それを例えば図3に示す識別コード画像14に変換するための前処理として、2行分の幅を持つ逆L字型の識別コード行列46に変換する。シリアルな識別コード44の各シンボル値を識別コード行列46の何行何列にマッピングするかを示すマッピング規則は、本実施形態の2次元コードパターン画像を利用するシステムにおいてあらかじめ取り決めておき、識別コード行列生成部108に登録しておけばよい。
位置コード行列格納部120には、予め作成された位置コード行列群が格納される。すなわち、用紙の面上での座標を表す位置情報は、用紙の面が変わっても基本的に同じである。例えば、位置情報の基準点を画像左上とする場合、どのような画像であっても画像左上部に配置される位置情報は同じ(例えばX座標0、Y座標0)である。このようなことから、本実施形態では、画像形成装置が取り扱う最大サイズの用紙で用いられる可能性のある各座標位置に対応する位置コード行列を予め生成して位置コード行列格納部120に格納しておくのである。すなわち、各座標を表す位置情報を識別情報符号化部106と同様の符号化方式で符号化し、この結果得られる位置コードから、識別コード行列生成部108と同様の処理により位置コード行列を生成しておくのである。そして、2次元コードパターン画像を生成する際には、格納された位置コード行列を用いる。例えば、位置コード行列格納部120が保持する位置コード行列群のうち、左上隅等の基準位置からみて、印刷先の用紙のサイズに対応する座標の範囲のもののみを取り出して用いる。このようにすることで、コードパターン画像生成時の画像形成装置における演算負荷を軽減する。位置コード行列格納部120には、例えば、座標をインデックスとしてその座標に対応する位置コード行列を格納しておけばよい。
以上の構成において、位置情報は、各単位領域10毎に異なるので、位置コード行列格納部120は、それら各位置情報についてそれぞれ位置コード行列を保持している。これに対して識別情報は、位置が異なっても共通なので、識別情報符号化部106及び識別コード行列生成部108は、1つの識別情報の識別コード行列46を求めればよい。したがって、2次元コードパターン画像生成の際、画像形成装置は膨大な位置情報の符号化やコード行列生成を行わなくてよいので、演算の負荷が極めて小さい。
コード配置部110は、各位置情報に対応する位置コード行列と、識別情報に対応する識別コード行列46とを、それぞれコードパターン配置領域の対応する位置に配置することで、出力すべき2次元コードパターン画像のサイズに相当する2次元コード行列を生成する。この処理では、各位置情報の位置コード行列をそれぞれ当該位置情報が示す座標に配置し、各位置情報の位置コード行列にそれぞれ隣接して、同じ識別情報の識別コード行列46を配置する。或いは、各位置ごとに、正方形の位置コード行列と逆L字形の識別コード行列46とを合成して単位領域10のコード行列を作成し、それら各位置の単位領域10のコード行列をそれぞれ対応する位置に配置することで、パターン全体の2次元コード行列を生成する。2次元コードパターン画像に同期コード16を含める場合は、コード配置部110が、同期コード16に対応するコードの行や列をそれら単位領域10のコード行列の間に挿入する。ただし、これは必須ではなく、同期コード16は既知のパターン配列なので、後述するコードパターン画像部114で挿入してもよい。
パターン格納部112には、図に示したような各シンボル値に対応するコードシンボルのビットマップパターン画像が格納される。
コードパターン画像生成部114は、コード配置部110が作成した2次元コード行列の各シンボル値を、パターン格納部112から取得されるそのシンボル値に対応するパターン画像に置き換えることにより2次元コードパターン画像を生成する。同期コード16を挿入する必要がある場合は、例えばあらかじめ用意されている同期コード16の画像の各格子内の空白部分に対し、2次元コード行列の各シンボル値に対応するパターン画像を配列していけばよい。
このようにして生成された2次元コードパターン画像は、画像切り出し部116にわたされる。
画像切り出し部116は、付加情報抽出部142がプリントデータから抽出した用紙サイズの情報に基づき、その2次元コードパターン画像のうち、実際に用紙に印刷するサイズの部分を切り出す。この切り出しは、例えば2次元コードパターン画像の左上隅等の基準点から縦横にその用紙サイズに応じたコードパターン領域の縦横の長さ分の面積を切り出すことで行えばよい。すなわち、この例では、当該画像形成装置が取り扱う最大用紙サイズに応じた範囲の各座標の位置情報を含んだ2次元コードパターン画像を生成し、この中から実際に使用するサイズの部分を画像切り出し部116で切り出すのである。
なお、コードパターン画像生成部114の後段に画像切り出し部116を設ける代わりに、次のような変形も考えられる。すなわち、コード配置部110とコードパターン画像生成部114との間に切り出し部を設け、コード配置部110が生成した大きいサイズの2次元コード行列からその切り出し部が用紙サイズに応じた部分を切り出すという方式である。また、更に別の変形例として、用紙サイズの情報をコード配置部110に供給し、コード配置部110がその用紙サイズに相当する各座標の位置コード行列を位置コード行列格納部120から取り出して配列する方式も考えられる。
このようにして作成された用紙サイズに応じた2次元コードパターン画像は、コードパターン画像バッファ148に蓄積される。
以上、2次元コードパターン画像を生成するための構成を説明した。この2次元コードパターン画像の生成と並列して、以下に説明する機構により、プリントデータが示す電子文書の画像が生成される。
すなわち、文書画像生成部144は、プリントデータがページ記述言語のデータの場合は周知のページ記述言語解釈処理により画像データに変換し、プリントデータが画像データであればそれを用い、その画像データに対し更に色空間変換その他印刷のために必要な画像処理を行うことで、プリントエンジン152に供給するための文書の画像データを生成する。生成された文書画像データは、タイミング合わせのために文書画像バッファ146にいったん格納される。
コードパターン画像バッファ148及び文書画像バッファ146にそれぞれ1ページ分の画像が蓄積されると、画像合成部150がそれら両画像を合成する。この合成では、例えば、文書画像のプレーン乃至プレーン群と2次元コードパターン画像のプレーンとを合わせて、複数プレーンからなる画像データを生成する。
1つの好適な例では、2次元コードパターン画像は、人間の目には容易に識別できない(ほぼ不可視)が特定の赤外領域の波長を可視光領域の波長よりも多く吸収する性質を持つ色材を使用して媒体上に画像形成する。これに対し、文書画像は、その特定の赤外領域の波長は余り吸収せず、可視光領域の波長を多く吸収する色材を用いて媒体に画像形成する。電子写真方式で用いられているイエロー、マゼンタ、サイアンのトナーは、赤外域の波長をほとんど吸収しないので、文書画像印刷用の色材として用いることができる。この例では、文書画像はプリントエンジン152の可視色材のチャンネルへ転送されるプレーンとして、2次元コードパターン画像はプリントエンジン152の赤外吸収性色材のチャンネルへ転送れるプレーンとして、合成される。
プリントエンジン152は、画像合成部150から与えられる画像を用紙等の媒体に対して画像形成する。これにより、電子文書の画像と2次元コード画像とを重畳して印刷した印刷物を得ることができる。この例では、印刷物上の文書画像は特定波長域の赤外線をあまり吸収しないのに対し、2次元コードパターン画像はその特定波長域の赤外線をよく吸収するので、コードパターン画像を読み取るスキャナ(例えばペン型のスキャナなど)として、その特定波長域の赤外線を用いて画像を読み取るものを用いることで、文書画像の影響をほとんど受けずに2次元コードパターン画像を読み取ることができる。
以上では2次元コードパターン画像用の色材として不可視で赤外線を吸収するものを例に取ったが、これに限るものではない。例えば、2次元コードパターン画像を赤外域の波長を吸収する色材であるカーボンブラックを使用して形成し、文書画像をイエロー、マゼンタ、サイアンの色材(通常、これらの色材は赤外域の波長吸収量が少ない)を使用して画像を形成してもよい。この場合、文書画像における黒やグレーの色は、イエロー、マゼンタ、サイアンの組合せで表現すればよい。この方式は、コードパターン画像が紙面が薄黒くなってしまうが、コードパターン画像は小さい斜線やドットが分散して配置されているだけなので、文書画像の読取を妨げるほどではない。この方式は、既存の電子写真方式に新たに不可視色材用のプリントエンジンを追加することなく、2次元コードパターン画像と電子文書の画像とが重畳された印刷物を生成することができるというメリットがある。なお、2次元コードパターン画像の読取に赤外線を用いるのは好適な方式ではあるが、必須ではない。ただ、2次元コードパターン画像の読取に、電子文書の画像がじゃまにならないようにするには、可視光領域外の光を用いることが好適であるといえる。
以上に説明した図7の例では、上位装置から送られてくるプリントデータ中に識別情報が含まれているとしたが、識別情報を画像形成装置内で生成してもよい。例えば、自動生成する識別情報としては、例えば出力するページ順に与える通し番号や、各ページの画像の十分な長さのハッシュ値等を採用することができる。また、電子文書のファイル名やユーザ名、文書作成日時などの属性情報の1乃至複数、又はこの装置自体の識別情報(例えばIPアドレスやMACアドレスなど)や2次元コードパターン画像の作成日時などといった2次元コードパターン画像作成に関係する属性情報などをもとに、2次元コードパターン画像に埋め込む識別情報を自動生成するようにしてもよい。識別情報は例えば用紙1ページにつき1つずつなどと、位置情報に比べて遥かに数が少ないので、識別情報を自動生成しても演算負荷の増加は少ない。識別情報を自動生成した場合、図7の画像形成装置は、後の利用にするために、自身の管理するデータベース又はネットーワーク上に設けられた管理用のデータベースに、その識別情報と元の電子文書のデータ(又はその電子文書を特定するURL等の識別情報)とを対応づけて保存する。
次に図9を参照して画像形成装置の変形例を説明する。この変形例は、位置コード行列ではなく位置コード画像12そのものを予め用意しておく例である。位置コードパターン画像格納部130には、使用される可能性がある位置コード画像が例えば座標ごとに格納されている。この構成では、コード配置部114は、識別コード行列生成部108が生成した識別コード行列のみをコードパターン配置領域の必要な位置に配置し、この配置結果を受けたコードパターン画像生成部110は識別コード部分のみのコードパターン画像を生成する。コードパターン画像合成部132は、この識別コード部分のコードパターン画像の各座標に対応する空白部分に、位置コードパターン画像格納部130から取り出した各座標の位置コード画像を合成する。なお、位置コードパターン画像格納部130には、各位置コード画像を各々の座標位置に配置して識別コード画像部分のみを空白とした位置コードパターン画像を格納しておき、これをコードパターン画像生成部114の出力画像と合成するようにしてもよい。その他の構成は図7の実施形態と同様である。
次に図10を参照して画像形成装置の更なる変形例を説明する。以上の図7,図9の例では、上位装置から各用紙のページに埋め込む識別情報が送られてきたが、図10の変形例では、上位装置から識別情報の代わりに、それを符号化及び画像コード化してコードパターン配置領域の各座標に対応する各位置に繰り返し配列した識別コードパターン画像が送られてくる。コード配置部110は、位置コード行列格納部120から読み出した各位置コード行列をコードパターン配置領域の各座標位置に配置し、コードパターン画像生成部114は、それら各位置コード行列のシンボル値をそれぞれ対応する画像パターンに置き換えることで、各座標にそれぞれ対応する位置コード画像が配置された位置コードパターン画像を生成する。コードパターン画像合成部132は、この位置コードパターン画像を、付加情報抽出部142がプリントデータから抽出した識別コードパターン画像と合成することで、位置コード画像と識別コード画像の両方が配列された2次元コードパターン画像を生成する。その他の構成は図7の実施形態と同様である。
次に図11を参照して画像形成装置の更なる変形例を説明する。図11の例は、図9の構成と図10の構成の折衷である。すなわち、上位装置から送られてくる識別コードパターン画像を、位置コードパターン画像格納部130に格納された位置コードパターン画像と合成することで、2次元コードパターン画像を生成する。
図10及び図11の変形例では上位装置から画像形成装置に対し、識別コード画像が各座標に配列された識別コードパターン画像を送ったが、この代わりに、1つの識別コード画像のみを上位装置から画像形成装置に送り、画像形成装置内でその識別コード画像を2次元配列して識別コードパターン画像を生成することももちろん可能である。
以上では、上位装置から画像形成装置へ識別情報又は識別コードパターン画像又は識別コード画像を転送する例を説明したが、これに限らず、識別情報を符号化した識別コードや、その識別コードの各シンボル値を2次元配列した識別コード行列を転送してもよいことは当業者ならば明らかであろう。
以上に説明した画像形成装置のうち、プリントエンジン152を除く各構成要素は、例えば、以上に説明した各ユニット106〜150の機能を記述したプログラムをコンピュータのプロセッサにより実行させることで実現させることができる。また、各ユニット106〜116の機能は比較的単純なので、これらの一部又は全てをハードウエア回路として構成することもできる。また、各ユニット106〜116の一部又は全てをDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)などといった、ハードウエア回路とソフトウエアの両方を用いた演算装置として構成することもできる。
次に図12を参照して、本実施形態の画像形成装置320を用いて電子文書に2次元コードパターン画像を重畳して印刷するシステムを説明する。
このシステムは、識別情報管理サーバ300、文書リポジトリ310、画像形成装置320を備える。文書リポジトリ310は、電子文書を保存したサーバであり、ユーザからの要求に応じて電子文書を提供する。識別情報管理サーバ300は、印刷出力する文書に埋め込む2次元コードパターン画像の識別情報を管理するサーバである。
(1)このシステムでは、まずユーザが、ユーザ端末330から文書リポジトリ310にアクセスし、文書リポジトリ310が管理する文書のうち印刷を希望するものを指示する。
(2)この指示を受けた文書リポジトリ310は、指示された電子文書のデータを識別情報管理サーバ300に送信する。
電子文書データを受け取った識別情報管理サーバ300は、例えば自身が管理する識別情報データベースから未使用の識別情報を取得したり、電子文書のハッシュ値を用いて識別情報を生成したりするなどの方法で、識別情報の付与単位(例えば媒体のページ、媒体、電子文書のページ、電子文書全体など)ごとに識別情報を生成する。識別情報の付与単位は、システムで予め定めておけばよい。また、識別情報の付与単位は、電子文書を印刷するユーザが指定できるようにしてもよい。識別情報管理サーバ300は、生成した識別情報と電子文書の属性情報とを対応づけて、識別情報データベースに登録する。登録する電子文書の属性情報には、例えば、電子文書の格納場所(例えばURL)、印刷を指示したユーザの情報(例えばユーザ識別情報)、この電子文書を印刷出力する画像形成装置320の識別情報などである。識別情報の付与単位が電子文書より小さい、例えばページであった場合、電子文書中でのその付与単位の識別情報(例えばページ番号)も、属性情報の一つとして登録することが好適である。また、属性情報だけでなく、電子文書のデータそのものを識別情報データベースに登録するようにしてもよい。
(3)識別情報管理サーバ300は、付与単位毎に生成した識別情報(或いはそれから生成した識別コード又は識別コード行列又は識別コード画像又は識別コードパターン画像)を、その付与単位の電子文書のプリントデータと対応づけて画像形成装置320に送信する。
画像形成装置320は、受け取った識別情報等と自身が保持する位置コード画像の情報に基づき2次元コードパターン画像を生成し、これを電子文書の画像と重畳して印刷することで、印刷文書325を生成する。
印刷文書325を取得したユーザが、例えば、スキャナ付きペンでその印刷文書325に書き込みを行うと、スキャナ付きペンの読み取った情報を利用するアプリケーションソフトウエアは、書き込みの際にスキャナが読み取った2次元コードパターン画像中の位置情報から書き込みの軌跡を求める。また、そのアプリケーションソフトウエアは、位置情報と同時に読み取られた識別情報を識別情報管理サーバ300に送り、その識別情報に対応する電子文書(及び識別情報がページ単位の場合はページの情報)、又はその電子文書の属性情報を取得する。電子文書を取得した場合は、その電子文書の当該識別情報が示すページに対して、書き込みの軌跡のデータを例えばオーバーレイのプレーンの画像として追加する。電子文書そのものではなく、属性情報が得られた場合は、その属性情報に含まれる格納場所から電子文書のデータを取得し、そのデータに書き込みのデータを追加する。
また、識別情報に対応づけて管理された電子文書の属性情報を用いることで、印刷文書の漏洩に関する情報を得ることもできる。例えば、印刷文書から読み取った識別情報を用いれば、識別情報管理サーバ300からそれに対応する属性情報として当該文書の印刷を指示したユーザの情報を得ることができるので、この文書が仮に漏洩したものであった場合、印刷指示を行ったユーザに事情を聞くなどして漏洩の経路等を突き止める手がかりとすることができる。また、属性情報に含まれる画像形成装置の識別情報から、その文書がどの画像形成装置から出力されたものかを調べることができるので、これも漏洩経路等の特定に有益な情報となる。
また、印刷文書の2次元コードパターン画像から読み取った識別情報から、その印刷文書の元になった電子文書を取得することができるので、例えば印刷文書を複写する代わりに、その電子文書を印刷出力することで、より鮮明な複写物を得ることもできる。
また、識別情報に対応づけて管理された電子文書の属性情報を用いることで、印刷文書に対するユーザの利用形態を管理することもできる。例えば、電子文書の属性情報には、印刷指示を行ったユーザの情報が登録されるが、そのユーザ情報の一つとして、そのユーザに対して許可される文書への操作の情報(例えば、複写の可否や書き込みの可否など)、すなわちユーザがその文書を利用する際の利用条件、を登録しておく。すると、コードパターン画像読取装置の読み取った情報を利用するアプリケーションは、印刷文書から読み取られた識別情報に応じて、ユーザの要求した操作を実行してよいかどうかを判定することができる。なお、各文書に対するユーザの利用権限を管理するサーバを別途用意し、識別情報から求められたユーザの権限をアプリケーションがそのサーバから取得するようにしてもよい。
なお、以上では、2次元コードパターン画像に埋め込まれた識別情報が、識別情報管理サーバ300で、印刷指示を行ったユーザや出力した画像形成装置、当該文書に対するユーザの利用条件などと関連づけられるものとして説明したが、これに限らず、それらユーザ、又は画像形成装置、又は利用条件などを、識別情報に組み込んで、2次元コードパターン画像に埋め込んでもよい。
図12に示したシステムでは、文書リポジトリ310と識別情報管理サーバ300と画像形成装置320とが別々の装置として構成されていたが、これはあくまで一例である。文書リポジトリ310と識別情報管理サーバ300とを1つのサーバにまとめたり、識別情報管理サーバ300と画像形成装置320とを1つの装置にまとめたりなど、このほかにも様々なシステム構成を採ることができる。
以上、本発明に係る画像形成装置の好適な実施形態と変形例を説明した。
なお、図1〜図5に例示した2次元コードパターン画像を用いる場合において、スキャナの読取領域のサイズを、位置コード画像12が少なくとも1つカバーできる限界に近い小さい領域とした場合、その読取領域に含まれる各単位領域10の識別コード画像14は、たいていの場合どれも細切れになってしまい、一つとして完全には読みとれない。しかし、識別コード画像14は、すべての単位領域10で同じなので、細切れになったものを適切に再構築すれば、完全な識別コード画像14を再構成できる。以下、この識別コードの再構築処理を含む2次元コードパターン画像の読取処理について説明する。
スキャナ付きペン又はペン型スキャナが備えるスキャナは、例えば数十〜百数十フレーム毎秒程度の比較的高速な連続撮像を行い、フレーム毎にスキャンしたから読取画像を出力する。このスキャナが読み取った画像を処理するプログラム(例えばデバイスドライバ)や装置(このようなプログラム又は装置を、以下、コード読取装置と呼ぶ)は、読取画像中から同期コード16を検出する。図3のようなコードパターン画像の場合、右上がりの斜線パターンが連続して現れる行及び列を同期コード16の行、列として検出する。なお、同期コードとしては図4に例示したもの以外にも従来から提案されている様々なものを用いることができ、その同期コードの種類に応じた従来からある検出方式で検出できる。
同期コード16が検出できると、その同期コード16の格子を基準に位置コード画像12の位置が特定できる。例えば、図3及び図5の例では、同期コード16がなす格子の網目の左上隅の6×6シンボルの領域が位置コード画像12の領域と特定できる。コード読取装置は、このように特定できる位置コード画像12の各存在領域から、欠落のない完全な位置コード画像12を検出する。
この検出を図13を参照して説明する。スキャナが2次元コードパターン画像30の中の領域32を読み取ったとする。図中で2次元コードパターン画像30の右下に示すように、このとき得られる読取画像34は単位領域10a,10b,10c,10dのそれぞれ一部分ずつを含んでいる。ただし、読取面積が適切に定められているので、この読取画像34の中には、必ず1つは欠落のない完全な位置コード画像12が含まれている。図13の例では、右下の単位領域10dの位置コード画像12dが欠落なく読み取られている。同期コード16から単位領域10a,10b,10c,10dの範囲が特定でき、それぞれの位置コード画像の範囲が特定できるので、読取画像34中でそれぞれの位置コード画像の範囲を調べ、位置コード画像12の領域サイズである6×6シンボル分の正方領域に画像データが存在するもの(位置コード画像12d)を検出する。
次にコード読取装置は、検出した完全な位置コード画像12dと同じ単位領域10dの領域から識別コード画像14を取り出す。ただし、この例では、読取画像34の単位領域10d内の識別コード画像には欠落があり、識別コード画像の一部分15dが取り出せるだけである。
そこでコード読取装置は、単位領域10d内から取り出せた識別コード画像の一部分15dの識別コード画像14全体に対する不足量を計算する。図13の例では、横方向の不足長さShと縦方向の不足長さSvとをそれぞれ計算している。同期コード16から単位領域10dの範囲が特定できているので、この計算は可能である。
次にコード読取装置は、求めた不足量の情報を用いて、隣接する単位領域10a,10b,10cから、識別コード画像14の不足分の画像15a,15b,15cを取得する。識別コード画像14はすべての単位領域10で同じものなので、単位領域10dで足りない部分は、他の単位領域10a,10b,10cでのその足りない部分に対応する位置から取得する。例えば、単位領域10bの識別コード画像14の領域の下端から高さSv、左端から幅Shの矩形領域の画像15bを切り出している。
そしてコード読取装置は、取得した画像15a,15b,15cを、画像15dとをそれぞれ適切な位置に並べることで、完全な識別コード画像14を再構築する。
なお、この再構築処理はあくまで一例に過ぎない。図1〜図5の2次元コードパターン画像は、位置コード画像と識別コード画像が規則的に配列されており、位置コード画像に対する識別コード画像の相対位置はあらかじめ分かっているので、完全な位置コード画像が見つかれば、その周囲にある複数の識別コード画像の断片が、それぞれ完全な識別コード画像の中のどの場所に該当するかは容易に求められる。この場所の情報を用いてそれら各断片を組み合わせることで、完全な識別コード画像を再構成できる。
以上のようにして、読取画像34から、位置コード画像12と識別コード画像14とが抽出される。コード読取装置は、それら位置コード画像12と識別コード画像14に対してコード認識処理を施すことで、位置情報と識別情報を再生する。ここで行われるコード認識処理は、大略的に言えば、2次元コードパターン画像の作成処理の逆の処理である。識別コード画像14を代表として説明すると、コード読取装置は、まず識別コード画像14から各斜線シンボルを認識することで、各シンボルの値を求め、各シンボルの値を識別コード画像14中での各シンボルの配列位置に合わせて配列した識別コード行列を求める。そして、この識別コード行列に対し、識別コード行列生成部108の逆の処理を行うことで直列的(シリアル)な識別コードを求め、この識別コードに対し、識別情報符号化部106の符号化方式に対応した復号処理を施すことで、識別情報を復号する。位置コード画像12についても、同様の処理により、位置情報を復号できる。
1フレームごとに上述の抽出及び認識の処理を行い、位置情報及び識別情報を求める。
このようにして各フレームの読取画像から求められた位置情報及び識別情報は、これら情報を利用するアプリケーションソフトウエアに提供され、利用される。例えば、本実施形態の2次元コードパターン画像が印刷された用紙に対し、ユーザがペン付スキャナで書き込んだ書込を電子情報として取り込むアプリケーションの場合、識別情報からその用紙を特定してその用紙の原画像を取得し、連続して読み取られる各フレームから取得した位置情報からユーザの加筆の軌跡を求め、その軌跡を示す画像を原画像に重畳して記録するなどの処理を行う。
以上、2次元コードパターン画像の一例を挙げてこれについての処理を説明したが、繰り返し同じものが用いられる位置コード行列や位置コード画像などを画像形成装置側に持たせておくことで、画像形成装置の演算負荷を低減するという効果は、2次元コードパターン画像の種類に依存するものではない。したがって、例えば特許文献1に示されたものなど、他の種類の2次元コードパターン画像を用いる場合にも、本実施形態の画像形成装置によれば、上述の効果を得ることができる。また、位置情報をM系列などの擬似ランダム系列の数列を画像コードで表現する2次元コードパターン画像を用いる場合にも、同様の効果を得ることができる。すなわち、この方式では、図14に模式的に示したように、x方向の座標を示す0,1の擬似ランダム数列を図4のグリフやドットのオン・オフで表したx方向コード画像202が、コードパターン配置領域の上から下へと等間隔で配列される。x方向コード画像202は全て同じ画像である。また、同様に、y方向の座標を擬似ランダム数列で示すy方向コード画像204が左から右へと等間隔で配列される。そして、それらx方向コード画像202群とy方向コード画像204群とがなす格子の網目の各々の中に、同じ識別コード画像206が配置される。図14のような2次元コードパターン画像を用いる場合も、本実施形態の画像形成装置は上述と同様の効果を奏する。
また、以上の例では、コードシンボルとして角度の異なる斜線パターンを用いた例を示したが、本実施形態の方式がコードシンボルの画像パターンによらないものであることは明かであろう。斜線パターンの代わりに、コードパターン配置領域に設定した各格子点でのドットのオン・オフで格子点毎に1ビットの情報を示すようなコードシンボル系を用いても良いし、特許文献2のように、コードパターン配置領域に設定した各格子点に対しドットを置く位置を上下左右にずらすことで1格子点当たり2ビットの情報を表現するようなコードシンボル系を用いても良い。
また、以上の例では、用紙の1面に対し1つのコードパターン配置領域を設定したが、これは必須のことではない。用紙の紙面を2等分した2つの部分に、それぞれ1つずつコードパターン配置領域を設けてもよい。この場合、用紙1ページに設定した2つのコードパターン配置領域のそれぞれに対し、その領域内部での座標を位置情報として埋め込むことができる。また、それら2つのコードパターン配置領域に対して異なる識別情報を埋め込むこともできる。例えば、電子文書のNページ(Nは2以上の整数)を縮小して用紙の1面に印刷するN−up印刷において、電子文書の各ページにそれぞれ2次元コードパターン画像を埋め込む場合には、このように1紙面に複数のコードパターン配置領域を設定する方式を利用できる。このような場合でも、位置情報としては同じものが各紙面ごと或いは各コードパターン配置領域毎に繰り返し利用されるので、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
また、この逆に、用紙の一面よりも大きいコードパターン配置領域を設定し、そのコードパターン配置領域の座標系の中に、各用紙の紙面を重ならないように割り当てるようにすることもできる。識別情報はコードパターン配置領域内で共通であり、位置情報はそのコードパターン配置領域内の各位置毎に異なる。この方式は、例えば、1冊のノートや1冊の書籍の各ページに、そのノートや書籍の識別情報を割り当てる場合などに適用できる。この方式の場合位置情報の座標範囲が用紙一面より大きくなるだけなので、この方式でも上述した本実施形態の効果が得られることは明かであろう。
また、以上の例では、コードパターン配置領域の各座標位置に対してその座標を示す位置情報を埋め込んだが、位置情報の代わりに、座標位置ごとに異なる情報を埋め込むようにするのも、本発明の範囲内である。また、座標位置ごとに異なる情報を位置情報と併せたものに冗長データを付加して、各座標位置に埋め込んでもよい。前述の位置情報も含め、座標位置ごとに異なる情報を位置依存情報と呼ぶ。
位置依存情報としては、前述の位置情報の他に、コードパターン画像と合成される文書画像のオブジェクトに関連した情報を例示することができる。例えば、「電子文書取得」、「電子文書印刷」、「手書きを電子文書と合成」、「メール送信」、などの操作を示す専用アイコン画像を文書画像として紙面の一部に印刷し、各アイコン画像の内容によって電子文書に対する処理を変更したり、特別な処理をしたりする場合を考える。この場合、それらアイコン画像(オブジェクト)に対応した操作を示す情報をコードパターン画像中の当該アイコン画像に対応した位置に埋め込むとすると、その操作を示す情報は紙面上でのアイコン画像の紙面上での位置に依存した位置依存情報となる。
また、以上の例では、位置情報と共に媒体や媒体のページ、或いは電子文書又はそのページを一意的に指し示す識別情報を2次元コードパターン画像に埋め込んだが、そのような識別情報に限らず、コードパターン配置領域内の位置に依存しない位置非依存情報をその領域の各位置に埋め込む場合も本発明の範囲内である。
位置非依存情報としては、前述の例の他に、例えば、コードパターン画像を印刷した印刷物やそれに対応する電子文書のセキュリティに関する情報をあげることができる。例えば、「複写(又はスキャン)を禁止する」、「複写(又はスキャン)時にアクセス認証する」などのような印刷物の複写やスキャンに対する条件や、その印刷物に印刷された文書に対応する電子文書へのアクセス権情報(アクセス禁止、等)などを、位置非依存情報としてコードパターン画像に埋め込む、などである。
また以上の例では、2次元コードパターン画像を用紙等の媒体に印刷する場合を説明したが、例えば電子ペーパーや液晶表示装置などの表示装置に電気的に画像形成する場合にも、本発明は適用可能である。
また、以上では、2次元コードパターン画像を電子文書と重畳して印刷するための構成を例示したが、単に2次元コードパターン画像のみを印刷する場合にも、上述の本実施形態の画像形成装置は適用可能であり、上述と同様の効果を得ることができる。
実施形態の2次元コードパターン画像を構成する単位領域の構造を模式的に示す図である。 単位領域の2次元配列の一例を示す図である。 単位領域のコードパターンの例を示す図である。 グリフコードのコードシンボルを示す図である。 単位領域と同期コードの位置関係の一例を示す図である。 実施形態の2次元コードパターン画像を模式的に示す図である。 従来技術の2次元コードパターン画像を模式的に示す図である。 実施形態の画像形成装置の一構成例を示す機能ブロック図である。 識別コード行列生成部の機能を説明するための図である。 実施形態の画像形成装置の別の構成例を示す図である。 実施形態の画像形成装置の更に別の構成例を示す図である。 実施形態の画像形成装置の更に別の構成例を示す図である。 2次元コードパターン画像を電子文書に重畳して出力するシステムの構成を示す図である。 識別コード画像の再構築処理を説明するための図である。 擬似ランダム系列の位置コード画像を用いた2次元コードパターン画像の例を模式的に示す図である。
符号の説明
10 単位領域、12 位置コード画像、14 識別コード画像、30 2次元コードパターン画像、32 読取領域、106 識別情報符号化部、108 識別コード行列生成部、110 コード配置部、112 パターン格納部、114 コードパターン画像生成部、116 画像切り出し部、120 位置コード行列格納部、140 プリントデータ入力部、142 付加情報抽出部、144 文書画像生成部、146 文書画像バッファ、148 コードパターン画像バッファ、150 画像合成部、152 プリントエンジン。

Claims (2)

  1. 媒体の面上の各位置ごとに異なる位置依存情報とそれら各位置に共通の位置非依存情報とを含んだコードパターン画像を媒体の面上に画像形成する画像形成装置であって、
    各位置に対応する位置依存情報を符号化した位置依存コード、又は位置依存コードを画像コードで表現した位置依存コード画像、を格納する位置依存コード格納部と、
    前記位置非依存情報として当該画像形成装置の識別情報を表す位置非依存コード画像を生成する位置非依存コード画像生成部と、
    前記位置依存コード格納部に格納された情報に基づき得られる各位置の位置依存コード画像と、前記位置非依存コード画像生成部が生成した位置非依存コード画像とを合成してコードパターン画像を生成するコードパターン画像生成部と、
    前記コードパターン画像生成部が生成したコードパターン画像を媒体の面上に画像形成する画像形成部と、
    を備える画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置であって、
    前記画像形成部は、上位装置から受信した電子文書の画像を前記コードパターン画像と重畳して前記媒体上に画像形成する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
JP2005242599A 2005-08-24 2005-08-24 画像形成装置 Expired - Fee Related JP4586677B2 (ja)

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