以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態による運転姿勢制御装置の詳細構成図である。同図に示すように、運転姿勢制御装置1は、適正運転姿勢判断部(適正運転姿勢判断手段)10、及び下腿骨角度算出部(下腿骨角度算出手段)20を備えている。また、ペダル影響判断部(ペダル影響判断手段)30、及びステアリング影響判断部(ステアリング影響判断手段)40を備えている。さらに、車載機器操作状態判断部(車載機器操作判断手段)50、運転姿勢変化判断部(運転姿勢変化手段)60、及び運転姿勢変化制御部(運転姿勢変化制御部)70を備えている。
この運転姿勢制御装置1は、運転者の姿勢を、適正運転姿勢判断部10により判断された適正な運転姿勢に変化させるものである。また、運転姿勢制御装置1は、ペダル影響判断部30、ステアリング影響判断部40、及び車載機器操作状態判断部50からの信号に基づいて、適正な運転姿勢に変化させるか否か、及びその変化の速度をどの程度にするかを決定するものである。そして、運転姿勢制御装置1は、この決定に従って、運転席・ステアリング80の位置等を制御して、運転者の姿勢を制御するものである。以下、各構成要素について詳細に説明する。
適正運転姿勢判断部10は、自車両の運転環境から運転者の適正な運転姿勢を判断するものである。ここで、運転環境としては自車両の走行道路の種別が挙げられる。このため、適正運転姿勢判断部10は、走行中の道路が一般道、高速道、及び狭路のいずれに属するかを判別して、判別結果に従って適正な運転姿勢を判断する構成となっている。
具体的に適正運転姿勢判断部10は道路種別に従って以下のように適正な運転姿勢を判断する。まず、自車両が高速道を走行する場合、運転者は長時間運転をすることが多く、しかも高速運転中には容易に運転姿勢を変化させる状況にない。このため、適正運転姿勢判断部10は、疲労軽減効果のある姿勢を適正な運転姿勢と判断する。また、狭路を走行する場合、運転者は車両のコーナー部を壁などに擦らないように、目線を高くすることが望ましい。このため、適正運転姿勢判断部10は、目線が高くなる姿勢を適正な運転姿勢と判断する。また、一般道において適正運転姿勢判断部10は、通常の姿勢を適正な運転姿勢と判断する。
このように、適正運転姿勢判断部10は、運転環境(道路種別)から適正な運転姿勢を判断する。ここで、適正運転姿勢判断部10は、道路種別の情報を以下のように取得する。例えば適正運転姿勢判断部10は、カーナビゲーションに接続され、カーナビゲーションから自車両が走行している道路の種別情報を取得する。これにより、適正運転姿勢判断部10は、走行道路の種別を特定して適正な運転姿勢を判断する。
また、適正運転姿勢判断部10は、カーナビゲーションから車線数や道路幅の情報を取得し、各種センサ等からギヤポジション、車速、及び車間距離などの情報を取得する。そして、適正運転姿勢判断部10は、これら情報から、自車両が現在走行している道路の種別を判断し、適切な運転姿勢を判断する。なお、適正運転姿勢判断部10は、道路の種別を一般道、高速道、及び狭路の3種類に限らず、4種類以上に判断してもよい。
下腿骨角度算出部20は、水平面に対する運転者の下腿骨の角度を算出するものである。下腿骨角度を算出する際、下腿骨角度算出部20は、まず運転者の膝位置を特定する。図2は、下腿骨角度算出部20の説明図であり、(a)は膝位置を特定する様子を示し、(b)は下腿骨角度の一例を示している。
図2(a)に示すように、下腿骨角度算出部20は、最初に、運転席80aのスライド位置からヒップ位置HPを検出する。また、下腿骨角度算出部20は、ペダルの位置からヒール点を検出する。そして、下腿骨角度算出部20は、ヒップ位置HPから運転者の身長を予測し、予測した身長から、下腿骨の長さL1及び大腿骨の長さL2を求める。次いで、下腿骨角度算出部20は、ヒール点を基準に下腿骨の長さL1を半径とした円を描き、且つ、ヒップ位置HPを基準に大腿骨の長さL2を半径とした円を描く。そして、これら円の交点のうち、車両上方側に存在する点を膝位置として特定する。
次に、下腿骨角度算出部20は、図2(b)に示すように、膝位置とヒール点とを結んだ線と、水平線とが為す角を求める。これにより、下腿骨角度算出部20は、水平面に対する下腿骨の角度θを算出する。なお、下腿骨角度算出部20は、現在の運転者の運転姿勢、及び適正運転姿勢判断部10により判断された適正な運転姿勢の双方について、下腿骨角度を算出するようになっている。
再度、図1を参照する。ペダル影響判断部30は、下腿骨角度算出部20により算出された下腿骨角度に基づき、現在の運転姿勢から、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合について、運転者のペダル操作への影響度を判断するものである。詳しく説明すると、下腿骨角度算出部20は、現在の運転者の運転姿勢と適正な運転姿勢との双方について、下腿骨角度を算出する。このため、ペダル影響判断部30は、両者の下腿骨角度の差から、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合について、運転者の脚への影響を判断できる。そして、ペダル影響判断部30は、脚への影響から、ペダル操作にどのような影響があるかを判断することができる。
更に詳細にペダル操作への影響度を説明する。なお、運転者は運転中にアクセルペダルに足を乗せていることが多いため、以下ではペダルとしてアクセルペダルを例に説明するものとする。
より詳細にペダル影響判断部30は、適正な運転姿勢に変化させた場合、下腿骨角度が大きくなるときには、ペダルを踏み込む方向に影響があると判断し、下腿骨角度が小さくなるときには、ペダルを離す方向に影響があると判断する。そして、ペダルを踏み込む方向に影響がある場合、ペダル影響判断部30は、意図しない加速を招く可能性があると判断し、影響度が高いと判断する。また、ペダルを離す方向に影響がある場合、ペダル影響判断部30は、意図しないペダル操作の中止を招く可能性があると判断するが、これは減速につながるため、ペダルを踏み込む方向に影響がある場合と比べると、影響度を低く判断する。さらに、ペダル影響判断部30は、適正な運転姿勢に変化させても下腿骨角度が殆ど変化しないときには、ペダル操作への影響度を最も低く判断する。
このように、ペダル影響判断部30は、適正な運転姿勢に変化させたときのペダル操作への影響度を判断するようになっている。なお、ペダル影響判断部30は、下腿骨角度の他に、先行車両との車間距離や相対車速から、ペダル操作への影響度を判断するようになっている。例えば、ペダルを踏む方向に影響がある場合に、先行車両との距離が近いときには、むやみに姿勢変化すると意図しない加速を招き、先行車両と一層接近してしまう可能性がある。このように、ペダル影響判断部30は、姿勢変化にあたり先行車両との車間距離及び相対車速を考慮することで、ペダル操作への影響度を一層適切に求めることができる。
ステアリング影響判断部40は、現在の運転姿勢から、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合について、運転者のステアリング操作への影響度を判断するものである。ここで、ステアリング影響判断部40は、現在の運転者の肩位置と、適正な運転姿勢に姿勢変化させたときの肩位置との差から、ステアリング操作への影響度を判断する。このため、ステアリング影響判断部40は、肩の位置がどのような変化するか、すなわち肩位置の変化に伴って運転者がステアリング操作をし難くなるか(どのように影響があるか)などを求めることができる。
具体的に運転者は、肩位置がステアリングに離れる場合にステアリング操作をし難くなる傾向にあり、次いで、肩位置がステアリングに接近する場合、ステアリング操作をし難くなる傾向にある。そして、肩位置に殆ど変化がない場合、ステアリング操作への影響は最も小さくなる。このため、ステアリング影響判断部40は、肩位置がステアリングから離れるときに影響度を高く判断し、肩位置がステアリングに接近するときに影響度を中程度に判断する。また、ステアリング影響判断部40は、肩位置とステアリングとの位置関係が殆ど変化しない場合、影響度を低く判断する。
また、ステアリング影響判断部40は、肩位置に加えて、自車両から車線端までの距離、及びステアリングの操舵角に基づき、運転者のステアリング操作への影響度を判断する。ここで、ステアリングの操舵角が大きい場合に、肩位置が変化すると、一層ステアリング操作をしにくくなる傾向にある。また、運転者がステアリング操作を行い難くなった場合には、意思通りの車両制御が行い難くなることから、自車両から車線端までの距離が短いときには、影響が大きくなると言える。逆に、自車両から車線端までの距離が長ければ、運転者がステアリング操作を多少行い難くなったとしても、影響は小さい。このため、これら事情を考慮することでステアリング影響判断部40は、一層適切にステアリング操作への影響度を判断することができる。
車載機器操作状態判断部50は、カーナビゲーション、オーディオ、ビジュアル機器、及びエアーコンディショナーの操作情報を取得するものである。ここで、操作情報とは、操作された内容を示す操作履歴の情報と、いずれの機器に操作されたかを示す操作種別の情報とである。また、車載機器操作状態判断部50は、取得した操作情報に基づいて、運転者が車載機器を操作中であるか否かを判断する構成となっている。なお、車載機器操作状態判断部50は、上記のうちいずれか1つ以上の車載機器について情報を取得できる構成となっていればよく、車両には上記機器のすべてが搭載されている必要はない。また、他の車載機器を備えていてもよい。
運転姿勢変化判断部60は、ペダル影響判断部30及びステアリング影響判断部40により判断された影響度、並びに、車載機器操作状態判断部50による判断結果に基づいて、運転者を適正な運転姿勢に変化させるか否かを判断するものである。たとえば、運転姿勢変化判断部60は、ペダル影響判断部30及びステアリング影響判断部40により判断された影響度が大きい場合、運転操作に支障をきたすことがないように、姿勢変化を行わないこととする。また、運転姿勢変化判断部60は、運転者が車載機器を操作中である場合、腕を伸ばしており運転姿勢が崩れていることから、姿勢変化して運転姿勢を一層崩してしまうことないように、姿勢変化を行わないこととする。このように、本装置1は、運転操作への影響や車載機器への操作を考慮して、運転姿勢を適切に制御することができることとなる。
運転姿勢変化制御部70は、運転姿勢変化判断部60により適正な運転姿勢に変化させると判断された場合、運転席・ステアリング80の位置や角度などの状態を変化させて、運転者の姿勢を変化させるものである。
ここで、上記の運転姿勢変化判断部60は、運転者を適正な運転姿勢に変化させると判断した場合、運転席及びステアリングの状態を変化させるときの速度を求める。このため、運転姿勢変化制御部70は、運転姿勢変化判断部60により求められた変化速度に従って、運転席・ステアリング80の状態を変化させる。これにより、たとえ運転姿勢を変化させる場合であっても、急激な姿勢変化が運転操作に影響をきたすときには、ゆっくりと姿勢変化させることが可能となる。このように、本装置1は、姿勢変化させる場合であっても、状況に適した運転姿勢の制御が行われることとなる。
なお、本装置1は、ハード的にはCPUにより構成され、CPUは、上記各部10〜70に相当するプログラムを予め記憶したROM、及び各種プログラムの実行の際にプログラムやデータ等を記憶するRAMを内蔵している。
図3は、本実施形態に係る運転姿勢制御装置1を含む運転姿勢制御システムの構成図である。同図に示すように、運転姿勢制御装置1は、車線内位置検出装置100に接続され、車線内位置検出装置100により検出された情報を入力するようになっている。車線内位置検出装置100は、車線内における自車位置を検出して、自車両から車線端までの距離を求めるものである。この検出装置100は、車外を撮影するカメラ110に接続され、カメラ110からの撮影画像に基づいて自車両から車線端までの距離を求めることとなる。
また、運転姿勢制御装置1は、先行車両検出装置120に接続され、先行車両検出装置120により検出された情報を入力するようになっている。先行車両検出装置120は、自車両前方に位置する先行車両を検出し、先行車両との車間距離及び相対車速を求めるものである。先行車両検出装置120は、超音波送信器130及び超音波受信器140に接続されており、超音波送信器130にて超音波を発した時刻と、超音波受信器140にて超音波を受信した時刻とから、先行車両との車間距離を求める。また、先行車両検出装置120は、ドップラー効果を利用して相対車速を求める。
運転姿勢制御装置1は、舵角センサ150に接続され、操舵角の情報を受信する構成となっている。また、運転姿勢制御装置1は、スライド位置検出センサ160に接続され、運転席80aの前後スライド位置の情報を受信するようになっている。この情報を受けて運転姿勢制御装置1は、運転者の現在の運転姿勢を判断することとなる。なお、運転者の現在の運転姿勢は、スライド位置から求められる場合に限らず、車室内カメラで運転者を撮影することにより求められてもよい。
さらに、運転姿勢制御装置1は、車載機器170に接続され、操作情報を入力する構成となっている。そして、運転姿勢制御装置1は、車載機器170のうちカーナビゲーションから、走行中の道路種別の情報、車線数及び道路幅の情報を取得する。また、運転姿勢制御装置1は、各種センサ180からギヤポジションや車速の情報を取得する。
そして、運転姿勢制御装置1は、上記の如く、取得した情報から図1及び図2を参照して説明したようにして、運転者の運転姿勢を制御することとなる。
図4は、本実施形態に係る運転姿勢制御装置1の動作の概略を示すフローチャートである。同図に示すように、運転姿勢制御装置1は、まず、適正運転姿勢判断部10が運転者の適正な運転姿勢を判断する(ST1)。
図5は、図4に示したステップST1の詳細を示すフローチャートである。まず、適正運転姿勢判断部10は、道路種別の情報を取得する(ST11)。このとき、適正運転姿勢判断部10は、現在地点の道路種別の情報と、Lm(例えば200m)先の道路種別の情報とを取得する。
次いで、適正運転姿勢判断部10は、現在地点の道路種別の情報と、Lm先の道路種別の情報とが一致するか否かを判断する(ST12)。ここで、両者の情報が異なる場合(ST12:NO)、適正運転姿勢判断部10は通常姿勢が適正な姿勢であると判断する(ST13)。そして、図5に示す処理は終了し、図4のステップST2の処理が実行されることとなる。
一方、現在地点の道路種別の情報とLm先の道路種別の情報とが一致する場合(ST12:YES)、一致する道路種別が高速道を示すものであるか否かを判断する(ST14)。ここで、一致する道路種別が高速道を示すものである場合(ST14:YES)、適正運転姿勢判断部10は、中立姿勢が適正な姿勢であると判断する(ST15)。そして、図5に示す処理は終了し、図4のステップST2の処理が実行されることとなる。なお、中立姿勢とは、長時間運転に対し疲労低減効果が得られる姿勢をいう。
一方、一致する道路種別が高速道を示すものでない場合(ST14:NO)、適正運転姿勢判断部10は、一致する道路種別が狭路を示すものであるか否かを判断する(ST16)。ここで、一致する道路種別が狭路を示すものである場合(ST16:YES)、適正運転姿勢判断部10は、狭路姿勢が適正な姿勢であると判断する(ST17)。そして、図5に示す処理は終了し、図4のステップST2の処理が実行されることとなる。なお、狭路姿勢とは、運転者の目線位置が上方に高くなった姿勢をいう。
また、一致する道路種別が狭路を示すものでない場合(ST16:NO)、適正運転姿勢判断部10は、通常姿勢が適正な姿勢であると判断し(ST13)、処理は、図4のステップST2に移行することとなる。
なお、図5のステップST12に示す処理において道路種別の一致を判断している理由は以下の通りである。まず、ステップST12の処理を実行せず、単に所定距離先の道路種別に基づいて、適正な運転姿勢を求めると仮定する。この場合、所定距離先の道路種別から適正な運転姿勢が決定されると、後の処理において適正な運転姿勢に姿勢変化させられることとなる。このため、例えば高速度を降りて一般道を経て狭路に入りその後一般道に入る場合などには、適正な運転姿勢が連続して変更され、姿勢変化も連続して行われてしまう。この結果、姿勢は安定せず、姿勢制御に悪影響を及ぼす可能性がある。
ところが、道路種別の一致を判断しているため、上記の如く、道路種別が多く変更する場合であっても、適正な運転姿勢は通常姿勢に固定されることとなり、姿勢制御に悪影響を及ぼすことがないようになっている。
再度、図4を参照する。上記のようにして、適正な運転姿勢を判断した後、運転姿勢変化判断部60は、適正な運転姿勢と現在の運転姿勢とが一致するか否かを判断する(ST2)。適正な運転姿勢と現在の運転姿勢とが一致する場合(ST2:YES)、姿勢変化の必要性がないことから、後の処理を実行することなく、処理はステップST1に戻る。一方、適正な運転姿勢と現在の運転姿勢とが一致しない場合(ST2:NO)、ペダル影響判断部30は、姿勢変化に伴うペダル操作への影響度を求める(ST3)。
図6は、図4に示したステップST3の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、ペダル影響判断部30は、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合に、運転者のヒップ位置に変化があるか否かを判断する(ST31)。ここで、ヒップ位置に変化がない場合(ST31:NO)、姿勢変更しても影響は少ないことから、ペダル影響判断部30は、影響度「小」と判断し(ST32)、図6に示す処理は終了する。
他方、運転者のヒップ位置に変化がある場合(ST31:YES)、ペダル影響判断部30は、以下のステップST33〜ST37の処理において、影響値なるものを加算していき、この影響値からペダル操作への影響度を求める。
すなわち、ペダル影響判断部30は、姿勢変化させた場合、下腿骨角度がどのように変化するかを判断する(ST33)。ここで、姿勢変化に伴い、下腿骨角度が減少する場合(例えば1°以上減少する場合)、ペダル影響判断部30は、ペダルを離す方向に影響があると判断する(ST33:ペダル離す)。そして、ペダル影響判断部30は、先行車両との相対車速を判断し、相対車速が維持されているときには影響値を「+f1」とし、相対車速が接近方向に作用しているときには影響値を「+f2」とする。また、相対車速が離脱方向に作用しているときには影響値を「+f3」とする(ST34)。そして、処理はステップST37に移行する。なお、相対車速に関しては、先行車両との速度差がYkm/h以内であれば、維持されていると判断するものとする。
また、姿勢変化があったとしても下腿骨角度が殆ど変化しない場合(例えば1°未満の変化である場合)、ペダル影響判断部30は、変化なしと判断する(ST33:変化なし)。そして、ペダル影響判断部30は、先行車両との相対車速を判断し、相対車速が維持されているときには影響値を「+n1」とし、相対車速が接近方向に作用しているときには影響値を「+n2」とする。また、相対車速が離脱方向に作用しているときには影響値を「+n3」とする(ST35)。そして、処理はステップST37に移行する。
また、姿勢変化に伴い、下腿骨角度が増大する場合(例えば1°以上増大する場合)、ペダル影響判断部30は、ペダルを踏み込む方向に影響があると判断する(ST33:ペダル踏み込む)。そして、ペダル影響判断部30は、先行車両との相対車速を判断し、相対車速が維持されているときには影響値を「+r1」とし、相対車速が接近方向に作用しているときには影響値を「+r2」とする。また、相対車速が離脱方向に作用しているときには影響値を「+r3」とする(ST36)。そして、処理はステップST37に移行する。
ここで、図7を参照する。図7は、図6のステップST34〜ST36における影響値の具体例を示す説明図である。同図に示すように、影響値は、下腿骨角度が大きくなってペダルを踏み込む方向に影響がある場合に最も大きな値を示すようになっている。すなわち、ペダルを踏み込む方向に作用することから、意図しないペダル操作などが考えられ、影響値が高いこととなる。
次いで、影響値は、下腿骨角度が小さくなってペダルを離す方向に影響がある場合に、中程度の値を示すようになっている。ペダルを離す方向に影響がある場合、意図しないペダル操作の中止を招く可能性があるが、これは減速につながるため、ペダルを踏み込む方向に影響がある場合と比べると、影響値は低いと言えるからである。さらに、下腿骨角度が殆ど変化しないときには、ペダル操作への影響度は最も低くなる。なお、下腿骨角度が全く変化しない場合には、影響値を「0」としてもよい。
また、影響値は、相対車速が接近方向を示す場合に最も高い値を示す。次いで、影響値は、相対車速が離脱方向を示す場合に中程度の値を示し、相対車速を維持するときには低い値を示す。すなわち、走行上、先行車両との相対車速を一定に保つことは重要なことであるが、相対車速が接近又は離脱方向に作用している場合、相対車速の調整が必要となることから、意図しないペダル操作やその中止が与える影響は大きい。特に、相対車速が接近方向に作用している場合、先行車両に接近しすぎないように早期の調整が必要となるため、影響値は大きくなる。
再度、図6を参照する。上記の如く、下腿骨角度と相対車速とから影響値を求めた後、ステップST37において、ペダル影響判断部30は車間距離Dに基づいて影響値を加算していく(ST37)。すなわち、ペダル影響判断部30は、先行車両との車間距離Dが閾値D1(例えば50m)以上であるときには影響値を「+d1」とし、車間距離Dが閾値D1未満かつ閾値D2(例えば20m)以上であるときには影響値を「+d2」とする。また、車間距離Dが閾値D2未満であるときには影響値を「+d3」とする(ST37)。
ここで、図8を参照する。図8は、図6のステップST37における影響値の具体例を示す説明図である。同図に示すように、影響値は、車間距離Dが短くなるに従って大きな値を示すようになっている。意図しないペダル操作などがあった場合に強く影響を受けるのは、車間距離が短いときであるためである。
図9は、図6のステップST37の処理の終了時点において得られている影響値を示す説明図である。同図に示すように、影響値が加算されることにより、下腿骨角度、相対車速、及び車間距離のすべてからペダル操作への影響度合いを示す影響値が算出されることとなる。
再度、図6を参照する。以上のようにして影響値が求められた後、ペダル影響判断部30は、影響値が閾値1以上である場合、ペダル操作への影響度「大」と判断し、影響値が閾値1未満かつ閾値2以上である場合、ペダル操作への影響度「中」と判断する。また、影響値が閾値2未満である場合、ペダル操作への影響度「小」と判断する(ST38)。具体的に図9を例に説明すると、閾値1は「9」であり閾値2は「7」である。このため、ペダル影響判断部30は、図9において影響値が「9」以上の場合について、ペダル操作への影響度「大」と判断する(図9の斜線交錯部分)。また、「9」未満「7」以上の場合について、ペダル操作への影響度「中」と判断し(図9の斜線部分)、「7」未満の場合について、ペダル操作への影響度「小」と判断する(図9の線無し部分)。
再度、図4を参照する。ペダル操作への影響度を判断した後、ステアリング影響判断部40は、ステアリング操作への影響度を判断する(ST4)。図10は、図4に示したステップST4の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、ステアリング影響判断部40は、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合に、運転者の肩位置に変化があるか否かを判断する(ST41)。ここで、肩位置に変化がない場合(ST41:NO)、姿勢変更しても影響は少ないことから、ステアリング影響判断部40は、影響度「小」と判断し(ST42)、図10に示す処理は終了する。
他方、運転者の肩位置に変化がある場合(ST41:YES)、ステアリング影響判断部40は、以下のステップST43〜ST47の処理において、影響値なるものを加算していき、この影響値からペダル操作への影響度を求める。
すなわち、ステアリング影響判断部40は、姿勢変化させた場合、肩位置とステアリングとの距離がどのように変化するかを判断する(ST43)。ここで、姿勢変化に伴い、当該距離が減少する場合、ステアリング影響判断部40は、肩がステアリングに近づくと判断する(ST43:近づく)。そして、ステアリング影響判断部40は、車線端までの距離し、車線端までの距離が大きいとき(例えば30cm以上のとき)には影響値を「+h1」とし、車線端までの距離が中程度であるとき(例えば15cm以上30cm未満のとき)には影響値を「+h2」とする。また、車線端までの距離が小さいとき(例えば15cm未満のとき)には影響値を「+h3」とする(ST44)。そして、処理はステップST47に移行する。
また、姿勢変化があったとしても肩位置とステアリングとの距離が殆ど変化しない場合、ステアリング影響判断部40は、変化なしと判断する(ST43:変化なし)。そして、ステアリング影響判断部40は、車線端までの距離が大きいときには影響値を「+i1」とし、車線端までの距離が中程度であるときには影響値を「+i2」とする。また、車線端までの距離が小さいときには影響値を「+i3」とする(ST45)。そして、処理はステップST47に移行する。
また、姿勢変化に伴い、肩位置とステアリングとの距離が増大する場合、ステアリング影響判断部40は、肩がステアリングに離れると判断する(ST43:離れる)。そして、ステアリング影響判断部40は、車線端までの距離が大きいときには影響値を「+j1」とし、車線端までの距離が中程度であるときには影響値を「+j2」とする。また、車線端までの距離が小さいときには影響値を「+j3」とする(ST46)。そして、処理はステップST47に移行する。
ここで、図11を参照する。図11は、図10のステップST44〜ST46における影響値の具体例を示す説明図である。同図に示すように、影響値は、肩位置がステアリングから離れる場合に最も大きな値を示すようになっている。また、影響値は、肩位置がステアリングに近づく場合に、中程度の値を示し、肩とステアリングとの位置関係が殆ど変化しないときには、ステアリング操作への影響値は低くなる。なお、肩とステアリングとの位置関係が全く変化しない場合には、影響値を「0」としてもよい。
ここで、上記のように影響値が決定するのは、人間の身体的な構造によるものである。すなわち、運転者は、肩位置がステアリングに離れる場合にステアリング操作をし難くなる傾向にあり、次いで、肩位置がステアリングに接近する場合、ステアリング操作をし難くなる傾向にあるからである。そして、肩位置に殆ど変化がない場合、ステアリング操作への影響は最も小さくなるからである。
さらに、影響値は、車線端までの距離が小さいほど、大きな値を示すようになっている。すなわち、姿勢変更に伴ってステアリング操作に影響を及ぼし、意図しない操作などをしてしまった場合に影響を受けるのは、車線端までの距離が小さい場合だからである。
再度、図10を参照する。上記の如く、肩位置とステアリングとの距離、及び斜線端までの距離から影響値を求めた後、ステップST47において、ステアリング影響判断部40は操舵角に基づいて影響値を加算していく(ST47)。すなわち、ステアリング影響判断部40は、現在の操舵角が大きいときには影響値を「+k1」とし、操舵角が中程度のときには影響値を「+k2」とする。また、操舵角が小さいときには影響値を「+k3」とする(ST47)。
ここで、図12を参照する。図12は、図10のステップST47における影響値の具体例を示す説明図である。同図に示すように、影響値は、操舵角が大きくなるに従って大きな値を示すようになっている。現在の操舵角が大きい場合、カーブ区間を走行中であることを示すところ、姿勢変化によりステアリング操作をし難くなった場合、カーブ区間走行中である方が直線道路を走行しているよりも影響が大きいと考えられるためである。
図13は、図10のステップST47の処理の終了時点において得られている影響値を示す説明図である。同図に示すように、影響値が加算されることにより、肩位置とステアリングとの距離、車線端までの距離、及び操舵角のすべてからステアリング操作への影響度合いを示す影響値が算出されることとなる。
再度、図10を参照する。以上のようにして影響値が求められた後、ステアリング影響判断部40は、影響値が閾値3以上である場合、ペダル操作への影響度「大」と判断し、影響値が閾値3未満かつ閾値4以上である場合、ペダル操作への影響度「中」と判断する。また、影響値が閾値4未満である場合、ペダル操作への影響度「小」と判断する(ST48)。具体的に図13を例に説明すると、閾値3は「9」であり閾値4は「7」である。このため、ステアリング影響判断部40は、図13において影響値が「9」以上の場合について、ステアリング操作への影響度「大」と判断する(図13の斜線交錯部分)。また、「9」未満「7」以上の場合について、ペダル操作への影響度「中」と判断し(図13の斜線部分)、「7」未満の場合について、ペダル操作への影響度「小」と判断する(図13の線無し部分)。
再度、図4を参照する。ステアリング操作への影響度を判断した後、車載機器操作状態判断部50は、車載機器170の操作状態を判断する(ST5)。図14は、図4に示したステップST5の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、車載機器操作状態判断部50は、車載機器170のスイッチ状態の情報を取得する(ST51)。次いで、車載機器操作状態判断部50は、現在押されているスイッチがあるか否かを判断する(ST52)。
現在押されているスイッチがあるか場合(ST52:YES)、車載機器操作状態判断部50は、スイッチ操作中であると判断し(ST53)、図14に示す処理を終える。一方、現在押されているスイッチがないか場合(ST52:NO)、車載機器操作状態判断部50は、現在からT秒前までの操作履歴を参照し、T秒以内にスイッチが押されていたか否かを判断する(ST54)。
ここで、T秒以内にスイッチが押されていなかった場合(ST54:NO)、車載機器操作状態判断部50は、スイッチ操作なしと判断し(ST55)、図14に示す処理を終える。他方、T秒以内にスイッチが押されていた場合(ST54:YES)、車載機器操作状態判断部50は、操作履歴及び操作された機器の種別から、継続操作されるか否かを判断する(ST56)。
継続操作されないと判断した場合(ST56:NO)、車載機器操作状態判断部50は、スイッチ操作なしと判断し(ST55)、図14に示す処理を終える。一方、ナビゲーションのメニューコマンドのようにあとに操作が続く場合には、継続操作されると判断し(ST56:YES)、スイッチ操作中であると判断する(ST53)。そして、処理は図4のステップST6に移行する。
ステップST6では、上記のステップST3〜ST5にて得られたペダル操作への影響度、ステアリング操作への影響度、及び車載機器170への操作状況に基づいて、姿勢変化させるか否かが決定される。また、姿勢変化させる場合には、その変化の速度が決定される。
図15は、図4に示したステップST6の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、運転姿勢変化判断部60は、車載機器170を操作中であるか否かを判断する(ST61)。ここで、車載機器170を操作中である場合(ST61:YES)、運転姿勢変化判断部60は、姿勢の変化を不可であると判断し(ST62)、図15に示す処理を終了する。
車載機器170を操作中でない場合(ST61:NO)、運転姿勢変化判断部60は、図示しないブレーキペダルセンサから、ブレーキペダルの操作情報を入力し、ブレーキペダルが操作中であるか否かを判断する(ST63)。ブレーキペダルが操作中である場合(ST63:YES)、運転姿勢変化判断部60は、姿勢の変化を不可であると判断し(ST62)、図15に示す処理を終了する。
一方、ブレーキペダルが操作中でない場合(ST63:NO)、運転姿勢変化判断部60は、ペダル影響判断部30により判断されたペダル操作への影響度が「大」、「中」及び「小」のいずれに属するか否かを判断する(ST64)。ここで、ペダル操作への影響度が「大」であると判断した場合(ST64:大)、運転姿勢変化判断部60は、姿勢の変化を不可であると判断し(ST62)、図15に示す処理を終了する。
また、ペダル操作への影響度が「中」であると判断した場合(ST64:中)、運転姿勢変化判断部60は、ステアリング操作への影響度が「大」、「中」及び「小」のいずれに属するか否かを判断する(ST65)。そして、ステアリング操作への影響度が「大」であると判断した場合(ST65:大)、運転姿勢変化判断部60は、姿勢の変化を不可であると判断し(ST62)、図15に示す処理を終了する。
一方、ステアリング操作への影響度が「中」であると判断した場合(ST65:中)、運転姿勢変化判断部60は、適正な運転姿勢に姿勢変化させると判断すると共に、そのときの変化速度をパターンAと決定する(ST66)。そして、図15に示す処理は終了する。また、ステアリング操作への影響度が「小」であると判断した場合(ST65:小)、運転姿勢変化判断部60は、適正な運転姿勢に姿勢変化させると判断すると共に、そのときの変化速度をパターンBと決定する(ST67)。そして、図15に示す処理は終了する。
ところで、ペダル操作への影響度が「小」であると判断した場合(ST64:小)、運転姿勢変化判断部60は、同様に、ステアリング操作への影響度が「大」、「中」及び「小」のいずれに属するか否かを判断する(ST68)。そして、ステアリング操作への影響度が「大」であると判断した場合(ST68:大)、運転姿勢変化判断部60は、姿勢の変化を不可であると判断し(ST62)、図15に示す処理を終了する。
一方、ステアリング操作への影響度が「中」であると判断した場合(ST68:中)、運転姿勢変化判断部60は、適正な運転姿勢に姿勢変化させると判断すると共に、そのときの変化速度をパターンAと決定する(ST66)。そして、図15に示す処理は終了する。また、ステアリング操作への影響度が「小」であると判断した場合(ST65:小)、運転姿勢変化判断部60は、適正な運転姿勢に姿勢変化させると判断すると共に、そのときの変化速度をパターンCと決定する(ST67)。そして、図15に示す処理は終了する。
再度、図4を参照する。上記の如く、姿勢変化させるか否かを決定し、且つ変化速度を決定した後、運転姿勢変化判断部60は、その旨の情報を運転姿勢変化制御部70に送信する。そして、運転姿勢変化制御部70は、変化を実行するか否かを判断する(ST7)。ここで、ステップST6において姿勢変化不可と判断されていた場合、運転姿勢変化制御部70は、変化を実行しないと判断する(ST7:NO)。そして、処理はステップST1に戻る。
一方、ステップST6において姿勢変化すると判断され、変化速度のパターンが決定している場合、運転姿勢変化制御部70は、姿勢変化を実行すると判断する(ST6:YES)。そして、運転姿勢変化制御部70は、決定した変化速度のパターンに従って姿勢変化を実行する(ST8)。
図16は、変化速度のパターン及び運転姿勢変化制御部70の制御対象物を示す説明図であり、(a)は変化速度のパターン等を示し、(b)は運転姿勢変化制御部70制御対象物を示している。
同図(a)に示すように、ペダル操作やステアリング操作への影響度が「大」の場合、及び車載機器170やブレーキペダルを操作中である場合には、姿勢変化されない。また、ペダル操作やステアリング操作への影響度が「中」の場合、変化速度はパターンAとされる。パターンAの場合、運転姿勢変化制御部70は、ヒップ位置関連及び肩位置関連の制御対象物について通常の速度よりも約2/3程度の速度で遅めに制御する。すなわち、運転姿勢変化制御部70は、同図(b)に示すヒップ位置関連の制御対象物である運転席80aのスライド機構及びリフタ機構をゆっくりと動作させて、姿勢変化させることとする。また、運転姿勢変化制御部70は、同図(b)に示す肩位置関連の制御対象物である運転席80aのリクライナ機構、中折れ機構、スライド機構及びリフタ機構、並びに、ステアリング80bのテレスコ及びチルトをゆっくりと動作させて、姿勢変化させることとする。また、ペダル操作への影響度が「小」であって、ステアリング操作への影響度が「中」の場合もパターンAであるため、運転姿勢変化制御部70は同様の動作をさせる。
ペダル操作への影響度が「中」であって、ステアリング操作への影響度が「小」の場合、変化速度はパターンBとされる。このため、運転姿勢変化制御部70は、運転席80aのスライド機構及びリフタ機構をゆっくりと動作させて姿勢変化させる。一方、肩位置関連の制御対象物のうち、スライド機構及びリフタ機構を除くリクライナ機構、中折れ機構、テレスコ及びチルトについては、通常の速度で動作させて、姿勢変化させることとする。
さらに、ペダル操作やステアリング操作への影響度が「小」の場合、変化速度はパターンCとされる。すなわち、運転姿勢変化制御部70は、リクライナ機構、中折れ機構、スライド機構、リフタ機構、テレスコ及びチルトを通常の速度で動作させて、姿勢変化させることとする。
なお、ペダル操作への影響度が「小」であって、ステアリング操作への影響度が「中」の場合、運転姿勢変化制御部70はヒップ位置関連について遅く制御し、肩位置関連の制御対象物について通常の通り制御するようにしてもよい。この場合、運転姿勢変化制御部70は、運転席80aのスライド機構及びリフタ機構を通常の速度で動作させて姿勢変化させる。一方、肩位置関連の制御対象物のうち、スライド機構及びリフタ機構を除くリクライナ機構、中折れ機構、テレスコ及びチルトについては、ゆっくりと動作させて、姿勢変化させることとする。
再度、図4を参照する。以上の処理の終了後、本装置1は、姿勢変化が終了したか否かを判断する(ST9)。姿勢変化が終了していない場合(ST9:NO)、処理はステップST2に戻る。一方、姿勢変化が終了した場合(ST9:NO)、処理はステップST1に戻る。そして、上記ステップST1〜ST9までの処理が、本装置1の電源がオフされるまで繰り返されることとなる。
このようにして、本実施形態に係る運転姿勢制御装置1は、水平面に対する運転者の下腿骨の角度を、現在の運転者の運転姿勢及び適正な運転姿勢との双方で求めている。このため、現在の運転姿勢から適正な運転姿勢に変化させた場合に、下腿骨の角度にどのような変化があるか、すなわち運転者の脚の角度にどのような変化があり、ペダル操作にどのような影響があるかを求めることができる。
また、現在の運転者の肩位置と適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合の運転者の肩位置とから、ステアリング操作への影響度を求めている。すなわち、現在の運転姿勢から適正な運転姿勢に変化させた場合に、肩の位置がどのような変化するかを求めることで、運転者がステアリング操作をし難くなるかなどの影響度を求めることができる。
そして、ペダル操作及びステアリング操作への影響度から、適正な運転姿勢に姿勢変化させるか否かを決定し、運転席とステアリングとの状態を変化させるときの速度を決定する。すなわち、ペダル操作及びステアリング操作という運転者の運転への影響を考慮したうえで、姿勢変化するか否か及び変化速度をどのようにするかが制御されることとなり、実際の走行に適した制御が行われることとなる。
従って、運転者の運転姿勢を一層適切に制御することができる。
また、走行中の道路が一般道、高速道、及び狭路のいずれに属するかを判別して適正な運転姿勢を判断するので、道路環境に応じて適切に運転姿勢を制御することができる。
また、下腿骨角度に加えて、先行車両との車間距離及び相対車速から、運転者のペダル操作への影響度を判断している。すなわち、先行車両との車間距離及び相対車速という運転環境がさらに考慮されて、ペダル操作への影響度を一層適切に求めることができる。例えば、下腿骨の角度が変化して、運転者の脚がペダルを踏む方向に影響する場合に、先行車両との距離が近いときには、むやみに姿勢変化すると運転者にとって意図しないペダル操作を招き、先行車両と一層接近してしまう可能性がある。このように、姿勢変化にあたり先行車両との車間距離及び相対車速を考慮することで、ペダル操作への影響度を一層適切に求めることができる。
また、運転者の肩位置に加えて、ステアリングの操舵角に基づき、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合における運転者のステアリング操作への影響度を判断している。ここで、ステアリングの操舵角が大きい場合に、肩位置とステアリングとの位置関係が変化すると、一層ステアリング操作をしにくくなる。
さらに、自車両から車線端までの距離という運転環境に基づき、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合における運転者のステアリング操作への影響度を判断している。ここで、自車両から車線端までの距離が短ければ、運転者がステアリング操作を行い難くなったときに、一層影響が大きいと言える。逆に、自車両から車線端までの距離が長ければ、運転者がステアリング操作を多少行い難くなったとしても、影響は小さい。
このように、運転者の肩位置の他に、自車両から車線端までの距離、及びステアリングの操舵角に基づき、ステアリング操作への影響度を適切に求めることができる。
また、車載機器170の操作履歴と操作された機器170の種別とから、運転者が車載機器170を操作中であるか否かを判断している。ここで、車載機器170の操作中は腕を伸ばすなど、運転姿勢が崩れている可能性がある。このため、車載機器170の操作中に運転姿勢を変化させて、運転者の姿勢を一層崩すことがないようにすることが可能となる。
また、ヒップポイントに基づいて、現在の運転者の運転姿勢及び適正な運転姿勢との双方について、水平面に対する運転者の下腿骨の角度を求めている。このため、現在の運転姿勢から適正な運転姿勢に変化させた場合に、下腿骨の角度にどのような変化があるか、すなわち運転者の脚に影響があり、ペダル操作にどのような影響があるかを求めることができる。
さらに、下腿骨角度に加えて、先行車両との車間距離及び相対車速から、運転者のペダル操作への影響度を判断している。すなわち、先行車両との車間距離及び相対車速という運転環境がさらに考慮されて、ペダル操作への影響度を一層適切に求めることができる。例えば、下腿骨の角度が変化して、運転者の脚がペダルを踏む方向に影響する場合に、先行車両との距離が近いときなどには、むやみに姿勢変化すると、運転者にとって意図しないペダル操作を招き、先行車両と一層接近してしまう可能性がある。このように、姿勢変化にあたり先行車両との車間距離及び相対車速を考慮することで、ペダル操作への影響度を一層適切に求めることができる。
さらに、現在の運転者の肩位置と適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合の運転者の肩位置を求めている。このため、現在の運転姿勢から適正な運転姿勢に変化させた場合に、肩の位置がどのような変化するか、すなわち運転者がステアリング操作をし難くなるかなどを求めることができる。
さらに、運転者の肩位置に加えて、ステアリングの操舵角に基づき、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合における運転者のステアリング操作への影響度を判断している。ここで、ステアリングの操舵角が大きい場合に、肩位置とステアリングとの位置関係が変化すると、一層ステアリング操作をしにくくなる。また、自車両から車線端までの距離という運転環境に基づき、適正な運転姿勢に姿勢変化させた場合における運転者のステアリング操作への影響度を判断している。ここで、自車両から車線端までの距離が短ければ、運転者がステアリング操作を行い難くなったときに、一層影響が大きいと言える。逆に、自車両から車線端までの距離が長ければ、運転者がステアリング操作を多少行い難くなったとしても、影響は小さい。このように、これらの特性からステアリング操作への影響度を一層適切に求めることができる。
そして、ペダル操作への影響度及びステアリング操作への影響度から、適正な運転姿勢に姿勢変化させるか否か、及び運転席とステアリングとの状態を変化させるときの速度を決定する。すなわち、ペダル操作及びステアリング操作という運転者の運転への影響を考慮したうえで、姿勢変化及び変化速度が制御されることとなり、より実際の走行に適した制御が行われることとなる。
以上より、影響度を適切に求めることができるうえで、影響度に応じた運転姿勢の制御を行うことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態では、運転環境は道路の種別以外に、走行時の天気や天候、道路の混雑状況などであってもよい。