JP4585404B2 - 同期制御方法、同期制御回路及び通信装置 - Google Patents
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Description
この場合、A/D変換器が極性反転を検出するタイミングと真のゼロクロス点のタイミングとの時間差の最大は、サンプリング間隔と同程度となるので、誤差を小さくするためにはサンプリング間隔を短くする必要がある。
ところで、A/D変換器は、測定分解能を高くすればサンプリング間隔が長くなり、測定分解能が低ければ、サンプリング間隔が短くなるような関係を有している。
このため、商用電源の電圧を測定する場合には、正弦波交流電圧の周期の数分の一程度の長いサンプリング間隔で行えば十分であり、安価なA/D変換器を用いても測定分解能を高くすることができる。
しかし、この場合にゼロクロス点を検出すると、A/D変換器が極性反転を検出するタイミングと真のゼロクロス点のタイミングとが一致せず、不安定な同期となったり、ノイズ発生の原因となったりする問題点があった。
本発明の一実施形態である同期制御回路について図1及び図2を参照して説明する。図1は正弦波交流電圧のサンプリング波形とゼロクロス点算出時間との関係を示す図である。図2(a)は同期制御回路のハードウェア構成図であり、図2(b)はアルゴリズム構成図である。
A/D変換ユニット42は、A/D変換器22を制御するためのものであり、予め設定されたサンプリング間隔で入力された正弦波交流電圧をディジタル変換する。ゼロクロス点検出手段44は、正弦波交流電圧のゼロクロス点P9(図1参照)を検出するものであり、正弦波交流電圧の極性反転を検出する直前のサンプリングデータSample1と、直後のサンプリングデータSample2とを用いてサンプリング間隔を直線近似してゼロクロス点P9を算出する。補正値算出手段46は、ゼロクロス点P9の算出が完了してから90°の点P10(あるいは、次回以降のゼロクロス点)までの補正時間を算出するものである。タイマセット48は、算出された補正時間をタイマ24にセットするものであり、これにより、90°の点P10の時刻にタイマ24が割り込みを発生させ、I/Oポート23の所定ビットを反転させ、外部機器を制御する。また、RAM27には、A/D変換器22の出力データであるSample1、Sample2及び補正値算出手段46が算出した補正時間のデータが記憶される。
図1(a)の上段は、正弦波交流電圧を等間隔にサンプリングする様子を示している。正弦波交流電圧のゼロクロス点P9と90°の点P10との間が、サンプリング点P2,P3,P4,P5,P6,P7によりサンプリングされ、ゼロクロス点P9の直前にサンプリング点P1によりサンプリングされ、ゼロクロス点P9の直後にサンプリング点P2によりサンプリングされ、90°の点P10の直後にサンプリング点P8によりサンプリングされている。
(1/1920Hz)×(10V/(5V+10V))=0.347mSEC
である。
(1/1920Hz)×3=1.563mSEC
である。言い換えれば、このサンプリング時間は、サンプリング間隔×サンプリング数により算出されている。
0.347+1.563+1=2.91mSEC
と計算される。
(1/60Hz)×90°/360°−2.91mSEC=1.257mSEC
となる。なお、補正時間t4の算出には、フィルタ回路30の入力遅れ時間を考慮することが好ましい。
以下、本実施形態の同期制御回路100を用いた通信装置及び通信システムについて、図3を参照して説明する。
本実施形態の通信システム200は、三相の送電線51,52,53と、送電線51,52,53の両端に設けられる通信装置54a,54bとを備え、通信装置54a,54bは、継電器57a,57bと、コンデンサ58a,58bと、同期制御回路100とを有している。同期制御回路100は、正弦波交流電圧の測定と、継電器57a,57bの遮断/開放とに使用され、機器情報が伝送される。なお、送電線51,52,53の端部には図示しない変圧器が設けられ、Y結線の中性点が接地されている。
図4の上段は、S相の正弦波交流電圧Vsであり、中段は通信装置54aから通信装置54bまで伝送する送信信号Taを示し、「1」,「0」のON/OFF信号である。信号「1」の立ち上がり、立ち下がりは、正弦波交流電圧Vsの90°の点P10に同期している。この信号「1」の時に継電器57aを短絡することにより、コンデンサ58aに位相が90°ずれた交流電流が接地を介して流れ、この交流電流に接地抵抗を乗算した不平衡電圧が発生する。この不平衡電圧波形を図4の下段に示す。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態の同期制御回路100は、極性反転の直前のサンプリングデータSample1と直後のサンプリングデータSample2とをサンプリング間隔で直線的に案分計算してゼロクロス点P9を求めたが、sin ―1 の逆三角関数を用いて案分計算すれば、より高精度にゼロクロス点を算出することができる。
(3)前記実施形態の通信装置54a,54b及び通信システム200は、三相送電線のS相にコンデンサ58a,58b及び継電器57a,57bを介して接地させたが、R相、S相及びT相の何れの一相をコンデンサ等を介して接地させてもよい。また、何れかの二相をコンデンサ等を介して接地させても、不平衡電圧を発生させることができる。また、三相のすべての相をコンデンサを介して接地させても、コンデンサの容量を異ならせることにより、不平衡電圧を発生させることができる。
22 A/D変換器
23 I/Oポート
24 タイマ
25 CPU
26 ROM
27 RAM
28 割込制御回路
29 バスライン
30 フィルタ回路
42 A/D変換ユニット
44 ゼロクロス点検出手段
46 補正値算出手段
48 タイマセット
51,52,53 送電線
54a,54b 通信装置
55 柱上機器
56a,56b,56c 開閉器
57a、57b 継電器
58a,58b コンデンサ
100 同期制御回路
200 通信システム
P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8サンプリング点
P9 ゼロクロス点
P10 90°の点
t1 誤差時間
t2 ゼロクロス点直後のサンプリング点からAI割込までの時間
t3 AI割込からゼロクロス点を算出するまでの時間
t4 補正時間
i AI割込
Claims (4)
- A/D変換器が正弦波交流電圧を周期的にサンプルし、前記正弦波交流電圧の極性反転を検出して前記正弦波交流電圧のゼロクロス点に同期した同期信号を出力する同期制御回路であって、
前記極性反転の前のサンプル値と前記極性反転の後のサンプル値とを用いてサンプリング間隔を案分計算することによって、前記正弦波交流電圧のゼロクロス点の時刻を算出するゼロクロス点算出手段と、
前記同期信号を出力すべき時刻から前記ゼロクロス点の算出が完了した時刻を減算した補正時間を算出する補正時刻算出手段と、
前記ゼロクロス点の算出が完了した時刻に起動され、前記補正時間がカウントされるタイマとを備え、
前記タイマのカウントが完了したときに前記同期信号を出力する同期制御回路。 - 送電線の相電圧に対して位相が異なる不平衡電圧を前記相電圧に重畳させるか否かで、オン/オフ信号を伝送する通信装置であって、
A/D変換器が前記送電線の何れか一の相電圧を周期的にサンプルし、前記一の相電圧の極性反転を検出して前記一の相電圧のゼロクロス点に同期した同期信号を出力する同期制御回路と、
前記相電圧が同時に変動する成分を前記不平衡電圧として検出する電圧検出手段と、
前記ゼロクロス点の算出が完了した時刻に起動されるタイマとを備え、
前記同期制御回路は、
前記一の相電圧が極性反転する前のサンプル値と極性反転した後のサンプル値とを用いてサンプリング間隔を案分計算することによって前記一の相電圧のゼロクロス点を算出するゼロクロス点算出手段と、
前記一の相電圧の位相が90°の点の時刻から前記ゼロクロス点の算出が完了した時刻を減算した補正時間を算出する補正時刻算出手段とを備え、
前記タイマは、前記起動後、前記補正時間のカウントが完了したときに、前記ゼロクロス点を算出した相を接地されたコンデンサで短絡することにより、前記不平衡電圧を前記送電線に重畳させ、
前記電圧検出手段は、前記送電線の相電圧を前記同期制御回路のサンプリング周波数で観測することを特徴とすることを特徴とする通信装置。 - A/D変換器が正弦波交流電圧を周期的にサンプルし、前記正弦波交流電圧の極性反転を検出して前記正弦波交流電圧のゼロクロス点に同期した同期信号を出力する同期制御回路であって、
前記極性反転の前のサンプル値と前記極性反転の後のサンプル値とを用いてサンプリング間隔を案分計算することによってゼロクロス点を算出するゼロクロス点算出手段と、
前記同期信号を出力すべき時刻から前記ゼロクロス点の時刻を減算した補正時間を算出する補正時刻算出手段と、
前記極性反転の後にサンプルした時刻から、前記ゼロクロス点を算出するまでのゼロクロス点算出時間、及び前記補正時間が経過したときに前記同期信号を出力する同期制御回路。 - CPUがA/D変換器に正弦波交流電圧を周期的にサンプルさせ、前記正弦波交流電圧の極性反転を検出して前記正弦波交流電圧のゼロクロス点に同期した同期信号を出力する同期制御方法であって、
前記極性反転の前のサンプル値と前記極性反転の後のサンプル値とを用いてサンプリング間隔を案分計算することによって前記CPUがゼロクロス点を算出するゼロクロス点算出過程と、
前記同期信号を出力すべき時刻から前記ゼロクロス点の時刻を減算した補正時間を前記CPUが算出する補正時刻算出過程と、
前記極性反転の後にサンプルした時刻から、前記ゼロクロス点を算出するまでのゼロクロス点算出時間、及び前記補正時間が経過したときに前記CPUが前記同期信号を出力する同期制御方法。
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