JP4584539B2 - ポリチオフェン類 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的に、ポリチオフェン類とその使用に関する。より詳細には、本発明は実施の形態において、特定の繰り返しチエニレン単位がアルキルなどの側鎖を持ち、この側鎖がポリチオフェン主鎖上に位置規則性(レジオレギュラ:regioregular)に配列したポリチオフェン類に関する。このポリチオフェン類は、例えば薄膜電界効果トランジスタ(FET)の活性半導体材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(TFT)の活性半導体材料として有用な、ある種のポリチオフェン類などの半導体ポリマーが報告されている。これらのポリマーの多くは有機溶媒に多少の溶解度を持つため、スピンコーティング、溶液キャスティング、浸漬塗布、スクリーン印刷、スタンプ印刷、ジェット印刷等の溶液処理によってTFT内の半導体チャネル層に加工することができる。通常の溶液処理によって加工できることは、水素化アモルファスシリコンTFTなどのシリコンベースの装置に特有なコストの高い従来のフォトリソグラフ処理に比べ、その製造をより簡単かつ低コストにする。更に、ポリマーTFTと呼ばれる、優れた機械的耐久性と構造可撓性とを備えた、ポリチオフェン類などのポリマー材料から作られたトランジスタが望まれている。プラスチック基板上の可撓性TFTの製造のためには、優れた機械的耐久性と構造可撓性が非常に望ましい。可撓性TFTは、構造可撓性と機械的耐久性の特性を通常必要とする電子的装置の設計を可能にすると考えられる。有機又はポリマートランジスタ要素と共にプラスチック基板を用いれば、従来の堅牢なシリコンTFTを、機械的により頑丈で、構造可撓性のポリマーTFT設計に代えることができる。後者は、大面積画像センサ、電子ペーパー、その他の表示媒体など、大面積装置にとって特に価値がある。また、スマートカード、無線周波データキャリア(RFID)タグ、メモリ/記憶装置などの低価格のマイクロエレクトロニクス用の集積回路論理素子にポリマーTFTを用いると、その機械的耐久性が大きく向上し、その使用可能寿命が長くなる。
【0003】
電界効果TFTに使用される有機半導体材料は数多く述べられている。これらの材料としては、ペンタセン(例えば、D.J.ガンドラハら、“Pentacene organic thin film transistors - molecular ordering and mobility”, IEEE Electron Device Lett., Vol.18,p.87(1997)を参照。)などの有機小分子や、セキシチオフェン類又はそれらの変異体(例えば、F.ガルニエら、“Molecular engineering of organic semiconductors: Design of self-assembly properties in conjugated thiophene oligomers”,Amer. Chem. Soc., Vol.115,p.8716(1993)を参照。)などのオリゴマー類、また、ポリ(3−アルキルチオフェン)(例えば、Z.バオら、“Soluble and processable regioregular poly(3-hexylthiophene) for field-effect thin film transistor application with high mobility”,Appl. Phys. Lett. Vol.69,p.4108(1996)を参照。)などのある種のポリチオフェン類などが挙げられる。有機材料をベースとしたTFTは一般に、シリコン結晶やポリシリコンTFTなどの従来のシリコンを用いた類似物より性能特性は劣るが、高い移動度を必要としない分野での用途には十分有用である。これには、イメージセンサ、アクティブマトリックス型液晶ディスプレイ、スマートカードやRFIDタグなどの低価格のマイクロエレクトロニクス等の大面積装置が挙げられる。有機又はポリマー材料から作られたTFTは、機械的耐久性、構造可撓性を備え、装置の活性媒質上に直に組み込むことが可能で、これにより装置を小型化して運搬性を向上すると考えられるため、前述の分野において機能的にも構造的にも従来のシリコン技術より望ましい。しかし、小分子又はオリゴマーをベースとした装置の殆どは、困難な真空蒸着法を用いて製造しなければならない。小分子材料は不溶性であるか、スピンコーティング、溶液キャスティング、スタンプ印刷などの溶液処理では通常均一な薄膜ができないため、主に真空蒸着を用いる。更に、真空蒸着では、大面積の形状のための一定した薄膜品質を得ることも困難である。例えば、位置規則性ポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)である位置規則性ポリチオフェン類から溶液処理によって製造したポリマーTFTは、適度に良好な移動度を持つにもかかわらず空気中で酸化的ドーピングを受けて劣化し易い。このため実際の低コストTFTの設計では、安定かつ溶液処理が可能で、その性能が周囲の酸素によって悪影響を受けない半導体材料を得ることが重要である。例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)などの位置規則性ポリチオフェン類は空気に非常に敏感であり、周囲条件においてこの材料から製造したTFTは通常、非常に大きなオフ電流と、非常に低い電流オン/オフ比と、急激な性能特性の低下を示す。
【0004】
関連する参考文献としては、米国特許第6,150,191号、米国特許第6,107,117号、米国特許第5,969,376号、米国特許第5,619,357号、米国特許第5,777,070号などが挙げられる。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第6,150,191号
【特許文献2】
米国特許第6,107,117号
【特許文献3】
米国特許第5,969,376号
【特許文献4】
米国特許第5,619,357号
【特許文献5】
米国特許第5,777,070号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし半導体ポリチオフェン類の多くは、周囲の酸素によって酸化的にドープされ、導電率が増大してしまうため空気に触れると安定ではないと考えられる。この結果、これらの材料から製造した装置のオフ電流は大きくなり、そのため電流オン/オフ比は小さくなる。従ってこれらの材料の多くは、材料加工と装置製造の間に環境酸素を排除して酸化的ドーピングを起こさない、あるいは最小とするよう厳重に注意しなければならない。この予防措置は製造コストを押し上げるため、特に大面積装置のための、アモルファスシリコン技術に代わる経済的な技術としてのある種のポリマーTFTの魅力が削がれてしまう。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、これら及びその他の欠点を、回避され、あるいは最小とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
実施の形態においてポリチオフェン類とそれを用いた電子的装置を開示する。より詳細には、本発明は下記化6の構造式(I)で示される、又はこれに包含されるポリチオフェン類に関するものである。
【0009】
【化6】
Figure 0004584539
式中、例えば、Rは側鎖であって、例えば、アルキル及びアルキル誘導体を含み、アルキル誘導体は、アルコキシアルキル、シロキシ置換アルキル、パーフルオロなどのパーハロアルキル、オリゴエチレンオキシドなどのポリエーテル、ポリシロキシ等であり、Aは二価結合基であって、例えば、フェニレン、ビフェニレン、フェナントレニレン、ジヒドロフェナントレニレン、フルオレニレン、オリゴアリーレン、メチレン、ポリメチレン、ジアルキルメチレン、ジオキシアルキレン、ジオキシアリーレン、オリゴエチレンオキシド等のアリーレンから成る群より選ばれ、mは側鎖の数であって、例えば1又は2であり、x及びyはそれぞれ、R置換チエニレン及び非置換チエニレン部分の数であり、zは二価結合基の数であって、通常0又は1であり、R置換及び非置換チエニレン部分と二価結合基との相対位置、及びnはセグメントの数を示す。モノマーセグメント中のAは、構造式(I)に示されるもの、つまり、例えば、TFT装置の半導体層として下記化7の構造式(II)に図示したポリチオフェン類(I)とは異なっていても良い。
【0010】
【化7】
Figure 0004584539
式中、Rは側鎖であって、例えば、アルコキシアルキル、シロキシ置換アルキル、パーフルオロなどのパーハロアルキル、オリゴエチレンオキシドなどのポリエーテル、ポリシロキシ誘導体、等のアルキル誘導体を含み、aは約0〜約5の整数(又は数)であり、b、c、及びdは、約1〜約5の整数であり、nは重合度であって、約5〜5,000以上、より詳細には約10〜約1,000とすることができ、このときこのポリチオフェン類の、いずれもポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフ法より求めた、数平均分子量(Mn)は、例えば、約2,000〜約10万、より詳細には約4,000〜5万であり、その重量平均分子量(Mw)は約4,000〜約50万、より詳細には約5,000〜約10万とすることができる。ポリチオフェン類(I)及び(II)の側鎖の例としては、アルキル、アルコキシルアルキル、ポリエーテル鎖、パーハロアルキル、ポリシロキシ鎖等が挙げられ、アルキルは例えば、炭素数約1〜約25、より詳細には約4〜約12(この範囲の数を全て含む。例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、及び12)の、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、それらの異性体、それらの混合物等であり、アルコキシアルキルは例えば、炭素数約2〜約30の、例えば、メトキシプロピル、メトキシブチル、メトキシヘキシル、メトキシヘプチル等であり、ポリエーテル鎖はポリエチレンオキシドなどであり、パーハロアルキルはパーフルオロアルキルなどであり、ポリシロキシ鎖はトリアルキルシロキシアルキル誘導体などである。
【0011】
ポリチオフェン類の具体例は、nが本件に明示のものである。
【0012】
【化8】
Figure 0004584539
Figure 0004584539
Figure 0004584539
Figure 0004584539
本発明は、TFT装置のような超小形電子装置の用途に有用な、ポリチオフェン類などの半導体ポリマーを提供できる。
【0013】
本発明の別の特徴は、その薄膜の吸収スペクトルから求めたバンドギャップが約1.5〜約3eVであるポリチオフェン類の提供であり、このポリチオフェン類は、TFT半導体チャネル層材料としての使用に適する。
【0014】
更にまた本発明の特徴は、超小形電子装置の構成要素体として有用なポリチオフェン類の提供であり、このポリチオフェン類は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン等の一般的な有機溶媒に適度な、例えば約0.1重量%以上の溶解度を持ち、このためこれらの構成要素体を、スピンコーティング、スクリーン印刷、スタンプ印刷、浸漬塗布、溶液キャスティング、ジェット印刷等の溶液処理によって経済的に製造することができる。
【0015】
更に別の本発明の特徴は、ポリチオフェンチャネル層を持ち、その層の導電率が約10-6〜約10-9S/cm(ジーメンス/センチメートル)であるTFTなどの電子的装置の提供である。
【0016】
また更に本発明の特徴は、ポリチオフェン類とそれを用いた装置の提供であり、この装置は酸素の悪影響に対して優れた抵抗性を示し、すなわちこの装置は比較的高い電流オン/オフ比を示し、その性能は実質的に、位置規則性ポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)などの位置規則性ポリチオフェン類から製造した同様の装置のように急激に低下することがない。
【0017】
また別の本発明の特徴は、特殊な構造的特徴を持ち、これにより適当な加工条件下において分子が自己配列し、またその構造的特徴が装置性能の安定性をも向上させるようなポリチオフェン類の提供である。適当な分子配列は、薄膜中により高次の分子構造配列の形成を可能とする。これは、効率良く電荷キャリアを移動させて電気的性能を高めるために重要である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の様々な代表的な実施の形態を図1〜図4に示す。ここでは薄膜トランジスタ(TFT)構造体中のチャネル材料としてポリチオフェン類を用いている。
【0019】
実施の形態においてこのポリチオフェン類は、一般的な被覆用溶媒に可溶であり、例えば、実施の形態において、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン等の溶媒に約0.1重量%以上、より詳細には約0.5〜約5重量%の溶解度を持つ。更に、本発明の実施の形態のポリチオフェン類をTFT装置の半導体チャネル層に加工すると安定した導電率となり、一般的な4プローブ伝導率測定法によれば、例えば、約10-9〜約10-6S/cm、より詳細には約10-8〜約10-7S/cmである。更に、ポリチオフェン類(II)は、後述の、ポリチオフェン(II-e)の4本のポリマー鎖を図示した構造式IIIに示すように、ポリチオフェン主鎖上に位置規則性に並んだ側鎖を含んでいる。(II)に計画的に配置された側鎖は、側鎖の適切な配列を促進し、薄膜中により高次の微小構造ドメインを形成することができる。これらのポリチオフェン類は、溶液から、例えば約10〜約500nmの薄膜に製造すると、密に積み重なったラメラ構造を形成し、これは導電性で効率良く電荷キャリヤを移動すると考えられる。(II)中に組み込まれた非置換チエニレン部分は多少の回転自由度を持つため、酸化的ドーピングを十分に抑制する程度にポリチオフェン系に広がるπ共役を妨げる。従って、これらの材料は周囲条件下でより安定であり、これらのポリチオフェン類から製造した装置は、位置規則性ポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)などの位置規則性ポリチオフェン類のものより機能的により安定である。保護しなくても、前述の安定な材料と装置は通常数週間以上も安定である。これに対し、位置規則性ポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)の場合、周囲の酸素に曝すと数日、あるいは数時間で劣化してしまう。このように、本発明の実施の形態のポリチオフェン類から製造した装置は、高い電流オン/オフ比を持ち、その性能特性は実質的に、材料調製、装置製造、及び評価の間に周囲の酸素を排除するよう厳重な操作上の対策を講じなくとも、ポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)のものほど急激には変化しない。実施の形態において本発明のポリチオフェンは酸化的ドーピングに対して安定であり、特に低コスト装置の製造にとっては、通常不活性雰囲気中で扱う必要がないためその加工がより単純かつ低コストであり、その製造を大規模な製造工程に応用することができる。
【0020】
【化9】
構造式III
Figure 0004584539
本発明のポリチオフェン類の調製は、スキーム1に描かれた一般的な方法に従って、(IIIa)又は(IIIb)などの適切に組み立てられたオリゴチオフェンモノマーからのポリチオフェン(IV)の調製を参照して説明することができる。ポリチオフェン(IV)は、ポリチオフェン(II)のa=0、b=d=1の場合である。モノマー(IIIa)は、3−R−チエニル−2−マグネシウム=ブロミドと、5,5’−ジブロモ−2,2’−ジチオフェンとの反応から容易に得ることができる。モノマー(IIIa)又は(IIIb)は、末端チエニレン単位上に計画的に配置された側鎖を持つため、重合すると、生成するポリチオフェン(IV)は、その主鎖上に位置規則的に並んだ側鎖を有する。位置規則性カップリング反応が必要なポリ(3−アルキルチオフェン−2,5−ジイル)などの位置規則性ポリチオフェン類の調製とは異なり、本発明のポリチオフェン類は、位置規則性の複雑さの無い通常の重合法により調製できる。詳細には、ポリチオフェン(IV)の調製には、(IIIa)のFeCl3を介在させた酸化的カップリングを用いると良い。
【0021】
【化10】
スキーム1
Figure 0004584539
この重合は通常、クロロホルムなどの塩化物溶媒に溶解した1モル等量の(IIIa)を、同じ塩化物溶媒に懸濁した約1〜約5モル当量の無水FeCl3に加えることにより行う。得られた混合物を、乾燥空気気流中、あるいは乾燥空気の泡をゆっくり反応混合物中に通しながら、約25〜約60℃の温度で、約30分〜約48時間反応させる。反応後、反応混合物を水又は希塩酸水溶液で洗い、希アンモニア水溶液と約15分〜1時間撹拌した後に水で洗い、非溶剤から沈殿させ、また必要に応じて、メタノール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の適当な溶媒を用いたソックスレー抽出によりポリチオフェン生成物を抽出し、ポリマー生成物を単離することができる。こうして得られたポリチオフェン生成物は、メタノールやアセトンなどの適当な溶媒からの沈殿により更に精製可能である。
【0022】
本発明の態様は次のとおりである。下記化11の構造式を持つポリチオフェン類。
【0023】
【化11】
Figure 0004584539
式中、Rは側鎖であり、mは置換基の数であり、Aは二価結合基であり、x、y、及びzはそれぞれモノマーセグメント中における、R置換チエニレン、非置換チエニレン、及び二価結合基Aの数を示し、zは0又は1のいずれかであり、nはポリマー鎖中の繰り返しモノマーセグメントの数又は重合度を示す。
【0024】
;下記化12で示されるポリチオフェン類。
【化12】
Figure 0004584539
式中、Rは側鎖であり、aは約0〜約5の整数であり、b、c、及びdは約1〜約5の整数であり、nは重合度を示すものであって約5〜約5,000であり、ポリチオフェン類の、いずれもポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフ法より求めた、数平均分子量(Mn)は約2,000〜約10万であり、重量平均分子量(Mw)は約4,000〜約50万である。
【0025】
;下記化13の構造式を持つポリチオフェン類。
【化13】
Figure 0004584539
Figure 0004584539
Figure 0004584539
Figure 0004584539
【0026】
;下記化14の構造式を持つポリチオフェン類。
【化14】
Figure 0004584539
Figure 0004584539
;mは1であるポリチオフェン類。;Rは、アルコキシアルキル、シロキシ置換アルキル、パーハロアルキル、又はポリエーテルであるポリチオフェン類。;Aはアリーレンであるポリチオフェン類。;アリーレンは約6〜約40の炭素原子を有するポリチオフェン類。;アリーレンはフェニレンであるポリチオフェン類。;アリーレンはビフェニレン、フェナントレニレン、フルオレニレン、ポリメチレン、ジオキシアリーレン、又は9,10−ジヒドロフェナントレニレンであるポリチオフェン類。;mは1又は2であるポリチオフェン類。;x、y、及びzはセグメントの数を示し、x及びyは1〜約5であり、zは0又は1であるポリチオフェン類。;nは約5〜約5,000であり、ポリチオフェンの、いずれもポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフ法より求めた、数平均分子量(Mn)は約2,000〜約10万であり、重量平均分子量(Mw)は約4,000〜50万以上であるポリチオフェン類。;Rは1〜約20の炭素原子を含むアルキルであり、nは約10〜約1,000であり、Mnは約4,000〜約5万であり、Mwは約5,000〜約10万であるポリチオフェン類。;アルキル側鎖Rは約6〜約12の炭素原子を含むポリチオフェン類。;アルキル側鎖Rは、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルであるポリチオフェン類。;側鎖Rは炭素数約2〜約15のパーフルオロアルキルであるポリチオフェン類。;側鎖Rは、トリメチルシロキシアルキル又はトリエチルシロキシアルキルであるシロキシアルキルであり、アルキルは、必要に応じて約4〜約10の炭素を含み、アルキルは、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチルであるポリチオフェン類。;二価結合基Aは炭素数約6〜約40のアリーレンであるポリチオフェン類。;二価結合基Aは、フェニレン、ビフェニレン、フェナントレニレン、9,10−ジヒドロフェナントレニレン、フルオレニレン、メチレン、ポリメチレン、ジオキシアルキレン、ジオキシアリーレン、及びオリゴエチレンオキシドから成る群より選ばれるポリチオフェン類。;装置は薄膜トランジスタであり、ポリチオフェンは下記化15で示されるポリチオフェン類。
【0027】
【化15】
Figure 0004584539
式中、Rは側鎖であり、a、b、c、及びdはチエニレン部分の数を示し、nは重合度であって、例えば約100〜約4,000である。;Rは約1〜約20の炭素原子を含むアルキル、あるいは、Rは約6〜約12の炭素原子を含むアルキルであるポリチオフェン類。;Rは、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシル等であるポリチオフェン類。;b及びdは約1〜約5であるポリチオフェン類。;b及びdは約1〜約3であるポリチオフェン類。;aは約0〜約5、cは約1〜約5、又は、aは約0〜約3、cは約1〜約3であるポリチオフェン類。;ポリチオフェンは下記化16のポリチオフェン類(II-a)〜(II-o)から成る群より選ばれるポリチオフェン類。
【0028】
【化16】
Figure 0004584539
Figure 0004584539
;有機溶媒に溶解した約1モル当量の適当なモノマーと、約1〜約5モル当量の塩化鉄(III)とを、約25〜約80℃の温度で反応させる工程を含み、ポリチオフェンは下記化17の構造式を持つポリチオフェン類の調製法。
【0029】
【化17】
Figure 0004584539
;約1モル当量の構造式(IIIb)のモノマーと、無水テトラヒドロフランに溶解した1.1モル当量のZnとを反応させ、次に触媒量の[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノエタン)]ジクロロニッケル(II)で処理し、次に約30〜約80℃の温度に加熱して反応させる工程を含み、ポリチオフェンは下記化18の構造式を持つものである調製法。
【0030】
【化18】
Figure 0004584539
;R側鎖は、アルキル、置換アルキル、又はパーハロアルキルである調製法。;アルキルは1〜約25、又は4〜約15の炭素原子を含み、置換アルキルは、アルコキシアルキル、又はシロキシ置換アルキルであり、パーフルオロはポリエーテルの調製法。;モノマーセグメント中における、Rm置換チエニレン、非置換チエニレン、及びAの相対位置は、(I)に図示したものとは異なる調製法。;アリーレンは、フェニレン、ビフェニレン、フェナントレニレン、9,10−ジヒドロフェナントレニレン、フルオレニレン、ポリメチレン、ジオキシアルキレン、ジオキシアリーレン、及びオリゴエチレンオキシドであるポリチオフェン類。
【0031】
図1は、基板16と、それに接した金属接点18(ゲート電極)と、絶縁性誘電体層14の層と、その上に置かれた2つの金属接点20及び22(ソース及びドレイン電極)とを含むTFT構造体10の概略図である。ゲート電極は、その一部又はゲート全体が誘電体層14と接している。金属接点20及び22の上と間にはポリチオフェン半導体層12がある。ゲート電極は、基板中、誘電体層中などのどこに含まれていても良い。
【0032】
図2は、基板36と、ゲート電極38と、ソース電極40と、ドレイン電極42と、絶縁性誘電体層34と、ポリチオフェン半導体層32とを含む、別のTFT構造体30の概略図である。
【0033】
図3は、ゲート電極として作用することのできる高濃度n−ドープシリコンウエハ56と、熱により生成した酸化ケイ素誘電体層54と、ポリチオフェン半導体層52と、その上に置かれたソース電極60とドレイン電極62と、ゲート電極接点64とを含む、更なるTFT構造体50の概略図である。
【0034】
図4は、基板76と、ゲート電極78と、ソース電極80と、ドレイン電極82と、ポリチオフェン半導体層72と、絶縁性誘電体層74とを含む、TFT構造体70の概略図である。
【0035】
本発明の一部の実施の形態では、必要に応じて、図1〜図4の各トランジスタ構造体の上に保護層を加えても良い。図4のTFT構造体では、絶縁性誘電体層74は保護層としても機能する。
【0036】
他の装置構造体、特にTFT装置は、先行技術に述べられた構造体及び装置を元にして構想可能である。
【0037】
実施の形態において、また更に本発明とその図を参照するなら、基板層は一般に、目的とする用途に応じて、様々な適当な形のシリコンを含むシリコン材料、ガラス板、プラスチックフィルム又はシート、等である。構造可撓性の装置では、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシート等のプラスチック基板を用いる。基板の厚さは、例えば約10μm〜10mm以上であり、詳細な厚さは、特に可撓性のプラスチック基板では約50〜約100μm、ガラス又はシリコンなどの堅牢な基板では約1〜約10mmである。
【0038】
ゲート電極をソース及びドレイン電極と隔てることができ、半導体層に接している絶縁性誘電体層は一般に、無機材料膜、有機ポリマー膜、又は有機−無機複合材膜とすることができる。誘電体層の厚さは、例えば約10nm〜約1μm、より詳細な厚さは約100〜約500nmである。誘電体層に適した無機材料の具体例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸チタン酸バリウム、等が挙げられ、誘電体層に適した有機ポリマーの具体例としては、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド類、ポリスチレン、ポリ(メタクリレート)類、ポリ(アクリレート)類、エポキシ樹脂、等が挙げられ、無機−有機複合材料の具体例としては、ポリエステル、ポリイミド、エポキシ樹脂等のポリマー中に分散した超微小金属酸化物粒子などが挙げられる。絶縁性誘電体層の厚さは通常、使用する誘電体材料の比誘電率に応じて約50〜約500nmである。より詳細には、誘電体材料は例えば約3以上の比誘電率を持つため、約300nmの適当な誘電体の厚さがあれば望ましい静電容量、例えば約10-9〜約10-7F/cm2とすることができる。
【0039】
例えば誘電体層とソース/ドレイン電極との間に接して、本願に述べるポリチオフェン類を含む活性半導体層を置く。このとき、この層の厚さは通常、例えば約10nm〜約1μm、又は約40〜約100nmである。この層は通常、スピンコーティング、キャスティング、スクリーン、スタンプ、又はジェット印刷などの溶液処理によって本発明のポリチオフェン類の溶液から製造可能である。
【0040】
ゲート電極は、金属薄膜、導電性ポリマー膜、導電性インキ又はペーストから作った導電性膜、あるいは基板自体(例えば、高濃度にドープしたシリコン)とすることができる。ゲート電極材料の例としては、アルミニウム、金、クロム、酸化インジウムスズ、導電性ポリマー類、導電性インキ/ペースト等が挙げられるが、これらに限るものではない。導電性ポリマーは、ポリスチレンスルホナートをドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS/PEDOT)などであり、導電性インキ/ペーストは、カーボンブラック/グラファイト又はコロイド状の銀をポリマーバインダ中に分散したもの(例えば、アチソン・コロイズ社(Acheson Colloids Company)製のエレクトロダグ(ELECTRODAG))や、銀を充填した導電性熱可塑性インキ(ノエル・インダストリーズ(Noelle Industries)製)である。ゲート層は、真空蒸着、金属又は導電性金属酸化物のスパッタリング、導電性ポリマー溶液あるいは導電性インキ又は分散液のスピンコーティング、キャスティング、又は印刷による塗布によって調製可能である。ゲート電極層の厚さは、例えば約10nm〜約10μmであり、詳細な厚さは例えば、金属薄膜では約10〜約200nm、ポリマー導電体では約1〜約10μmである。
【0041】
ソース及びドレイン電極層は、半導体層に対して低抵抗オーム接触となる材料から製造することができる。ソース及びドレイン電極としての使用に適した典型的な材料は、金、ニッケル、アルミニウム、プラチナ、導電性ポリマー、導電性インキなどのゲート電極材料として挙げられたものなどである。この層の典型的な厚さは、例えば約40nm〜約1μmであり、より詳細な厚さは約100〜約400nmである。TFT装置は、幅W、長さLの半導体チャネルを含む。半導体チャネル幅は例えば約10μm〜約5mmであり、詳細なチャネル幅は約100μm〜約1mmである。半導体チャネル長さは例えば約1μm〜約1mmであり、より詳細なチャネル長さは約5〜約100μmである。
【0042】
ソース電極は接地しており、通常約+10〜約−80ボルトの電圧をゲート電極に印加したときに、半導体チャネルを通って移動する電荷キャリヤを集めるため、通常、例えば約0〜約−80ボルトのバイアス電圧をドレイン電極に印加する。
【0043】
【実施例】
a)装置の製造:
例えば図3に図示したトップコンタクト型薄膜トランジスタ構造体を用いた。
【0044】
この供試装置は、n−ドープシリコンウエハと、その上に熱生成させた厚さ約110nmの酸化ケイ素層とを含む。ウエハがゲート電極として機能する一方、酸化ケイ素層はゲート誘電体として働き、その静電容量は約32nF/cm2(ナノファラッド/平方センチメートル)であった。装置の製造は周囲条件で行い、周囲の酸素、湿気、又は光への材料及び装置の暴露を防止する対策は何ら講じなかった。シリコンウエハをまずメタノールで清浄にし、空気乾燥後、0.01Mの1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンのジクロロメタン溶液に、室温(23〜25℃)で30分間浸した。次にこのウエハをジクロロメタンで洗い、乾燥した。次に、厚さ約30〜約100nmの供試半導体ポリチオフェン層を、速さ1,000rpm、約35秒間のスピンコーティングにより、酸化ケイ素誘電体層の上に塗布し、真空中80℃で20時間乾燥した。半導体層の製造に使用した溶液は、適当な溶媒に溶解した1重量%のポリチオフェンを含み、使用前に0.45μmのフィルタで濾過した。その後、金のソース及びドレイン電極を、半導体ポリチオフェン層の上に、様々なチャネル長さと幅のシャドウマスクを通して真空蒸着し、様々な大きさの一連のトランジスタを製作した。念のため製造後の装置は、評価の前後には相対湿度約30%の乾燥雰囲気中、暗所で保存した。
【0045】
b)TFT装置の特性評価:
電界効果トランジスタの性能を、キースリー(Keithley)4200SCS半導体特性評価装置を用いて、暗箱中周囲条件で評価した。キャリヤ移動度(μ)は、飽和領域(ゲート電圧、VG<ソース−ドレイン電圧、VSD)におけるデータより、下記の式(1)に従って計算した。
【0046】
【式1】
SD=Ciμ(W/2L)(VG−VT2 (1)
式中、ISDは飽和領域におけるドレイン電流であり、WとLはそれぞれ半導体チャネルの幅と長さであり、Ciはゲート誘電体層の単位面積当たりの静電容量であり、VG及びVTはそれぞれ、ゲート電圧及びしきい電圧である。この装置のVTは、飽和領域におけるISDの平方根と、測定データからISD=0を外挿して求めた装置のVGとの関係から求めた。
【0047】
電界効果トランジスタのもうひとつの特性は、その電流オン/オフ比である。これはゲート電圧VGがドレイン電圧VDと等しいかそれ以上であるときの飽和ソース−ドレイン電流と、ゲート電圧VGがゼロの時のソース−ドレイン電流との比である。
【0048】
比較例
公知の位置規則性ポリチオフェン、一般にP3HTとして知られるポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)を用いて、一連の比較用の薄膜トランジスタを製作した。この材料はアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)より購入し、そのクロロベンゼン溶液からメタノールへの沈殿を3回繰り返して精製した。
【0049】
前述の手法に従い、周囲条件下で装置を製作した。W=5,000μm、L=60μmの大きさのトランジスタを用い、5個以上のトランジスタから得た平均特性値は次のとおりである。
移動度 :1〜1.2×10-2cm2/V.sec
初期電流オン/オフ比 :1.5〜2.1×103
5日後の電流オン/オフ比:5〜10
【0050】
観察された初期電流オン/オフ比が低いのは、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)が酸化的ドーピングを受け易く、すなわち環境酸素の存在下ではポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)が不安定であることを示している。僅か5日のうちに電流オン/オフ比が甚だしく減少するのも、周囲条件でのポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)の機能不安定性を更に裏付けている。
【0051】
実施例
(a)ポリ[5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン](II-e)の合成
(II-e)の調製に用いるモノマー、5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェンを次のように合成した。
【0052】
不活性アルゴン雰囲気中、100mlの丸底フラスコ中で、10mlのTHF(テトラヒドロフラン)に懸濁したマグネシウム細片(1.26g、51.83mmol)を攪拌機で撹拌しながら、これに40mlの無水THFに溶解した2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン(11.5g、34.92mmol)の溶液を、20分間かけてゆっくり加えた。得られた混合物を、約22〜約25℃の室温で2時間撹拌し、次に50℃で20分間加熱後室温まで放冷した。この得られた混合物をカニューレを用いて、不活性雰囲気中、250mlの丸底フラスコ中の、80mlの無水THFに溶解した5,5’−ジブロモ−2,2’−ジチオフェン(4.5g、13.88mmol)と、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)(0.189g、0.35mmol)との混合物に加え、48時間還流した。次に、反応混合物を200mlの酢酸エチルで希釈し、水で2回洗い、5%塩酸(HCl)水溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後に得られた暗茶色のシロップ状物質を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフ法で精製し、黄色結晶の5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン(収率55%、融点58.9℃)を得た。
【0053】
上記で得られた化合物のNMRスペクトルを、室温において、ブルカ(Bruker)DPX300NMRスペクトロメータを用いて測定した。
1H−NMR(CDCl3):δ7.18(d,J=5.4Hz,2H),7.13(d,J=3.6Hz,2H),7.02(d,J=3.6Hz,2H),6.94(d,J=5.4Hz,2H),2.78(t,4H),1.65(q,1.65,4H),1.28(bs,36H),0.88(m,6H)
【0054】
5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェンの重合は、次のように、FeCl3を介在させた酸化的カップリング反応により行った。
【0055】
乾燥雰囲気中、50mlの丸底フラスコ中で、3mlのクロロホルムに加えたFeCl3(0.40g、2.47mmol)の混合物を良く撹拌しながら、これに7mlのクロロホルムに溶解した5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン(0.50g,0.75mmol)の溶液を約10分間かけてゆっくりと加えた。得られた混合物を乾燥空気気流中、50℃で1時間、次に40℃で24時間加熱した。重合後、この混合物を20mlのトルエンで希釈し、水で3回洗った。有機相を分け、200mlの7.5%アンモニア水溶液と1時間半撹拌し、水で3回洗った後、メタノール中に注いで粗ポリチオフェン生成物を沈殿させた。後者を、メタノール、ヘキサン、及びベンゼンを用いたソックスレー抽出により精製した。ポリスチレン標準との比較より求めたMwは27,300、Mnは16,900であった。
【0056】
次のポリチオフェン類を用いて、クロロベンゼンに溶解した1重量%のポリチオフェンの溶液をスピンコーティングし、真空中80℃で20時間乾燥して、薄膜トランジスタ装置を本件に述べるように製造した。装置製造の間、周囲の酸素、湿気、又は光を排除する対策は講じなかった。W=5,000μm、L=60μmの大きさのトランジスタを用いて、各ポリチオフェンについて5個以上の別々のトランジスタからの平均特性値を次の表1にまとめた。
【0057】
【表1】
Figure 0004584539
更に、本発明のMw27,300のポリチオフェンを用いた装置の、40日後の平均電流オン/オフ比は、例えば、約1.0×105であった。
【0058】
例えば、本装置の初期電流オン/オフ比が高く、電流オン/オフ比の低下が遅いことから、本発明のポリチオフェン半導体層が安定であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリチオフェン類の実施の形態を用いたTFT構造体の概略図である。
【図2】本発明によるポリチオフェン類の実施の形態を用いた別のTFT構造体の概略図である。
【図3】本発明によるポリチオフェン類の実施の形態を用いた別のTFT構造体の概略図である。
【図4】本発明によるポリチオフェン類の実施の形態を用いた別のTFT構造体の概略図である。
【符号の説明】
1 TFT構造体、12 ポリチオフェン半導体層、14 絶縁性誘電体層、16 基板、18 ゲート電極、20 ソース電極、22 ドレイン電極、30TFT構造体、32 ポリチオフェン半導体層、34 絶縁性誘電体層、36基板、38 ゲート電極、40 ソース電極、42 ドレイン電極、50 TFT構造体、52 ポリチオフェン半導体層、54 酸化ケイ素誘電体層、56シリコンウエハ、60 ソース電極、62 ドレイン電極、64 ゲート電極接点、70 TFT構造体、72 ポリチオフェン半導体層、74 絶縁性誘電体層、76 基板、78 ゲート電極、80 ソース電極、82 ドレイン電極。

Claims (2)

  1. 下記(II-e)の構造式を持つポリチオフェン類であって、
    Figure 0004584539
    式中、nは重合度を示すものであって5〜5,000であり、前記ポリチオフェン類の、いずれもポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフ法より求めた、数平均分子量(Mn)は2,000〜10万であり、重量平均分子量(Mw)は4,000〜50万であり、前記ポリチオフェン類が、10 -9 〜10 -6 S/cmの導電率を有することを特徴とするポリチオフェン類。
  2. 請求項1に記載のポリチオフェン類であって、nは100〜1,000であることを特徴とするポリチオフェン類。
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