分類部101は、グループを構成する各ナビゲーション装置100を識別する識別情報を、リーダーまたはメンバーに分類する。識別情報は、ナビゲーション装置100の購入時またはセットアップ時に予め割り振られていてもよいし、グループを構成する時点でユーザーが適宜設定してもよい。分類部101は、メンバーに分類されているときに経路探索部102によって再探索が行われた場合には、ナビゲーション装置100を識別する識別情報を新たなリーダーに分類するようにしてもよい。新たなリーダーに分類された場合にも、グループ構成時に分類されたリーダーが通信可能圏内に存在する状況下では、再びメンバーに分類されるようにしてもよい。これによって、同じグループ内に複数のリーダーが存在することがない。
経路探索部102は、分類部101によってリーダーに分類された場合に、自装置の現在位置から目的地までの誘導経路を探索する。自装置の現在位置は、位置取得部103によって取得される。経路探索部102は、分類部101によってメンバーに分類された場合にも、以下の条件によっては、経路の再探索を行うようにしてもよい。
たとえば、分類部101によってメンバーに分類され、かつ、経路誘導中の誘導経路から逸脱した場合に、誘導経路を再探索するようにしてもよい。このとき、経路探索部102は、自装置においてユーザーなどによって設定された優先度にしたがって通常の誘導経路を再探索してもよいし、リーダーに分類された識別情報によって識別されるナビゲーション装置100から配信された経路情報に基づいた誘導経路に復帰させるような誘導経路を再探索してもよい。以降、「リーダーに分類された識別情報によって識別されるナビゲーション装置100」を「リーダーのナビゲーション装置100」として説明する。
他に、分類部101によってメンバーに分類された識別情報によって識別されるナビゲーション装置100が経路の再探索を行う条件としては、たとえば、「通信部104によって経路情報または位置情報が所定時間以上受信されない場合」、「通信部104によって誘導経路上で自身よりも先行するナビゲーション装置100に関する位置情報が所定時間以上受信されない場合」、あるいは、「リーダーのナビゲーション装置100から所定距離以上離れた場合」などが挙げられる。本実施の形態では、位置取得部103によって取得される現在位置に関する情報と、各ナビゲーション装置100(自装置)を識別する識別情報と、を含む情報を位置情報とする。以降、「メンバーに分類された識別情報によって識別されるナビゲーション装置100」を「メンバーのナビゲーション装置100」として説明する。
通信部104は、経路探索部102によって探索された誘導経路に関する経路情報を、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信する。本実施の形態では、経路情報または位置情報を単一のナビゲーション装置100に対して送る場合を送信とし、グループを構成する複数のナビゲーション装置に対して送る場合を配信として説明する。送信および配信にかかる処理内容は同様である。以降、単一のメンバーのナビゲーション装置100を特定して、経路情報または位置情報を送信する場合以外は配信として説明する。
通信部104は、分類部101によってリーダーに分類された場合に経路探索部102によって誘導経路が再探索される毎に、当該誘導経路に関する経路情報を、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信するようにしてもよい。これによって、経路誘導の最中に、リーダーのナビゲーション装置100で誘導経路が再探索された場合にも、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して再探索された誘導経路に基づいた経路誘導を適宜行わせることができる。
通信部104は、分類部101によってメンバーに分類された場合には、リーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を受信する。通信部104は、リーダーおよびメンバーのナビゲーション装置100との間で、位置情報の配信および受信(送受信)を行うようにしてもよい。通信部104は、分類部101によってメンバーに分類された場合に、自装置における経路探索部102によって誘導経路の再探索を行うと、新たなリーダーとして、経路探索部102によって再探索された誘導経路に関する経路情報を、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信するようにしてもよい。
通信部104は、受信した経路情報または位置情報を中継して、リーダーまたはメンバーのナビゲーション装置100に転送するようにしてもよい。これにより、自装置がリーダーのナビゲーション装置100の通信圏外となった場合にも、リーダーから配信された経路情報または位置情報を、グループを構成するメンバーのナビゲーション装置100のいずれかが受信できれば、中継によって他のメンバーのナビゲーション装置100に転送することができる。このような中継動作により、グループを構成するナビゲーション装置100内において、広範囲に亘って、経路情報または位置情報を共有することができる。
通信部104は、無線通信によって情報の配信および受信(送受信)を行う。このように、ナビゲーション装置100間における情報の配信および受信を無線通信によって行うことにより、たとえば、携帯電話を用いて通信を行う場合のように、通話圏外によって通信が不可能となることがなく、常に安定して情報の送受信を行うことができる。
誘導部105は、分類部101によってリーダーに分類された場合には、経路探索部102によって探索された誘導経路に基づいて経路誘導を行う。誘導部105は、分類部101によってメンバーに分類された場合には、通信部104によって取得された経路情報に基づいて経路誘導を行う。誘導部105は、経路探索部102によって誘導経路が再探索された場合には、この再探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行う。
誘導部105は、通信部104によって受信された位置情報に基づいて、グループを構成するリーダーおよびメンバーのナビゲーション装置100の現在位置を、表示部106が備える表示画面に表示させるようにしてもよい。表示部106は、所定の情報を表示画面に表示させるよう表示制御を行う。
誘導部105は、分類部101によってメンバーに分類された場合にも、経路探索部102によって誘導経路が再探索された場合には、再探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行ってもよい。誘導部105は、リーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を最優先にして経路誘導を行うようにしてもよい。これによって、リーダーのナビゲーション装置100の通信圏内であれば、リーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報に基づいた経路誘導を行うことができる。
図2のフローチャートにおいて、まず、グループを構成する各ナビゲーション装置100を識別する識別情報を、リーダーまたはメンバーに分類する(ステップS200)。ここに、分類工程が実現される。つぎに、ステップS200においてリーダーに分類されたかメンバーに分類されたかを判断し(ステップS201)、メンバーに分類されたと判断した場合には(ステップS201:No)、そのまま処理を終了する。
ステップS201において、リーダーに分類されたと判断した場合には(ステップS201:Yes)、リーダーのナビゲーション装置100の現在位置から目的地までの誘導経路を探索する(ステップS202)。ここに、経路探索工程が実現される。そして、ステップS202において探索された誘導経路に関する経路情報を、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信する(ステップS203)。ここに、通信工程が実現される。その後、ステップS203において探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行う(ステップS204)。ここに、誘導工程が実現される。
このように、本実施の形態によれば、複数の車両に分乗して目的地までグループで移動する場合に、リーダーのナビゲーション装置100で誘導経路を探索し、探索した誘導経路をメンバーのナビゲーション装置100に配信するだけで、グループを構成するすべてのナビゲーション装置100において共通の誘導経路にしたがって経路誘導を行うことができる。
これによって、各ナビゲーション装置100で個別に誘導経路を探索することでグループ内で複数の誘導経路ができてしまったり、各ナビゲーション装置100で同じ誘導経路が設定されるようにユーザーが煩雑な操作をしたりする必要を無くし、複数のナビゲーション装置100に対する誘導経路の設定を1回の操作で行うことができる。すなわち、グループ走行のために、グループを構成する複数のナビゲーション装置100のそれぞれに同一の誘導経路を設定する作業を簡略化することができる。
(ハードウエア構成)
つぎにこの発明の実施例にかかるナビゲーション装置のハードウエア構成について説明する。図3は、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図3において、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置100は、車両に搭載されており、ナビゲーション制御部300と、ユーザー操作部301と、表示部302と、位置取得部303と、記録媒体304と、記録媒体デコード部305と、案内音出力部306と、通信部307と、経路探索部308と、経路誘導部309と、案内音生成部310と、スピーカ311と、グループ情報記憶部312と、を含む構成となっている。
ナビゲーション制御部300は、ナビゲーション装置100全体を制御する。ナビゲーション制御部300は、たとえば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)や、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、および、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)などによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
ナビゲーション制御部300は、経路誘導に際し、位置取得部303によって取得された現在位置に関する情報と、記録媒体304から記録媒体デコード部305を経由して得られた地図情報とに基づいて、地図上のどの位置を走行しているかを算出し、算出結果を表示部302へ出力する。また、ナビゲーション制御部300は、経路誘導に際し、経路探索部308、経路誘導部309、案内音生成部310との間で経路誘導に関する情報の入出力を行い、その結果得られる情報を表示部302および案内音出力部306へ出力する。
ユーザー操作部301は、文字、数値、各種指示など、ユーザーによって入力操作された情報をナビゲーション制御部300に対して出力する。ユーザー操作部301の構成としては、物理的な押下/非押下を検出する押ボタンスイッチ、タッチパネル、キーボード、ジョイスティックなど公知の各種形態を採用することが可能である。ユーザー操作部301は、外部からの音声を入力するマイクを用いて、音声によって入力操作を行う形態としてもよい。
ユーザー操作部301は、ナビゲーション装置100に対して一体に設けられていてもよいし、リモコンのようにナビゲーション装置100から分離して操作可能な形態であってもよい。ユーザー操作部301は、上述した各種形態のうちいずれか単一の形態で構成されていてもよいし、複数の形態で構成されていてもよい。ユーザーは、ユーザー操作部301の形態に応じて適宜入力操作を行うことで情報を入力する。ユーザー操作部301の操作によって入力される情報としてたとえば目的地が挙げられる。具体的に、たとえばナビゲーション装置100が車両などに備えられている場合には、この車両に乗車している人物が到達目標とする地点が設定される。
たとえば、ユーザー操作部301の形態としてタッチパネルを採用する場合、このタッチパネルは表示部302の表示面側に積層して使用される。この場合、表示部302における表示タイミングとタッチパネル(ユーザー操作部301)に対する操作タイミングおよびその位置座標とを管理することによって、入力情報を認識する。ユーザー操作部301の形態として表示部302に積層されたタッチパネルを採用することにより、ユーザー操作部301の形態を大型化することなく多くの情報入力を行うことができる。タッチパネルとしては、抵抗膜式、感圧式など公知の各種タッチパネルを用いることが可能である。
表示部302は、たとえば、CRT(Cathode Ray Tube)、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどを含む。表示部302は、具体的には、たとえば、映像I/Fや映像I/Fに接続された映像表示用のディスプレイ装置によって構成することができる。映像I/Fは、具体的には、たとえば、ディスプレイ装置全体の制御を行うグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像情報に基づいて、ディスプレイ装置を表示制御する制御ICなどによって構成される。表示部302には、アイコン、カーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種情報が表示される。また、表示部302には、HD305に記憶された地図情報や経路誘導に関する情報が表示される(図8〜10参照)。
位置取得部303は、自装置の現在位置を取得する。ここで自装置の現在位置は、GPS衛星からの電波を受信し、GPS衛星との幾何学的位置を求めるものであり、地球上どこでも計測可能である。なお、GPSとは、Global Positioning Systemの略称であり、4つ以上の衛星からの電波を受信することによって地上での位置を正確に求めるシステムである。なお、公知の技術であるためGPSについての説明は省略する。位置取得部303は、たとえば、衛星からの電波を受信するためのアンテナ、受信した電波を復調するチューナーおよび復調した情報に基づいて現在位置を算出する演算回路などによって構成することができる。
GPS衛星からの電波としては、1.57542GHzの搬送波で、C/A(Coarse and Access)コードおよび航法メッセージが乗っているL1電波を用いて行われる。これによって、自装置の現在位置(緯度および経度)を検知する。なお、自装置の現在位置の検知に際しては、車速センサやジャイロセンサなどの各種センサによって収集された情報を加味してもよい。車速センサは、ナビゲーション装置100を搭載する車両のトランスミッションの出力側シャフトから検出する。
その他、自装置の現在位置の取得に際しては、角速度センサ、走行距離センサ、傾斜センサなどの各種センサからによって収集された情報を加味してもよい。角速度センサは、自車の回転時の角速度を検出し、角速度情報と相対方位情報とを出力する。走行距離センサは、車輪の回転に伴って出力される所定周期のパルス信号のパルス数をカウントすることによって車輪1回転あたりのパルス数を算出し、その1回転あたりのパルス数に基づく走行距離情報を出力する。傾斜センサは、路面の傾斜角度を検出し、傾斜角情報を出力する。
記録媒体304は、各種制御プログラムや各種情報をコンピュータに読み取り可能な状態で記録する。記録媒体304は、記録媒体デコード部305による情報の書き込みを受け付けるとともに、書き込まれた情報を不揮発に記録する。記録媒体304は、たとえば、HD(Hard Disk)によって実現することができる。記録媒体304は、HDに限るものではなく、HDに代えて、あるいは、HDに加えて、DVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk)など、記録媒体デコード部305に対して着脱可能であり可搬性を有するメディアを記録媒体304として用いてもよい。記録媒体304は、DVDおよびCDに限るものではなく、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO(Magneto−Optical disk)、メモリカードなどの記録媒体デコード部305に対して着脱可能であり可搬性を有するメディアを利用することもできる。
本実施例における記録媒体304には、本発明を実現するナビゲーションプログラム、地図情報などが記録されている。地図情報は、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景情報と、道路の形状をあらわす道路形状情報とを有しており、表示部302の表示画面において2次元または3次元に描画される。
背景情報は、背景の形状をあらわす背景形状情報と、背景の種別をあらわす背景種別情報とを有する。背景形状情報は、たとえば、地物の代表点、ポリライン、ポリゴン、地物の座標などを示す情報を含む。背景種別情報は、たとえば、地物の名称や住所や電話番号などを示すテキスト情報、建物・河川などの地物の種別を示す種別情報などを含む。
道路形状情報は、複数のノードおよびリンクを有する道路ネットワークに関する情報である。ノードは、三叉路・十字路・五叉路など複数の道路が交差する交差点を示す情報である。リンクは、ノード間を連結する道路を示す情報である。リンクには、曲線道路の表現を可能とする形状補完点を有するものもある。道路形状情報は、交通条件情報を有する。交通条件情報は、交差点の特徴、各リンクの長さ(距離)、車幅、進行方向、通行禁止、道路種別などを示す情報である。
交差点の特徴としては、たとえば、三叉路や五叉路などの複雑な交差点、浅い角度で道路が分岐する交差点、目的地周辺の交差点、高速道路の出入り口やジャンクション、経路逸脱率の高い交差点などが挙げられる。経路逸脱率は、たとえば、過去の走行履歴から算出することが可能である。
道路種別としては、たとえば、高速道路、有料道路、一般道路などが挙げられる。本実施例では、交通条件情報に含まれる通行禁止は常時通行が禁止されている道路であることを示し、通信I/Fが受信する道路交通情報に含まれる通行禁止は不定期に発生し所定の期間のみ通行が禁止された道路であることを示すものとする。
本実施例では地図情報を記録媒体304に記録するようにしたが、これに限るものではない。地図情報は、ナビゲーション装置100のハードウェアと一体に設けられているものに限って記録されているものではなく、ナビゲーション装置100外部に設けられていてもよい。その場合、ナビゲーション装置100は、たとえば、通信部307を通じて、ネットワークを介して地図情報を取得する。取得された地図情報はRAMなどに記憶される。
記録媒体デコード部305は、記録媒体304に対する情報の読み取り/書き込みの制御を行う。たとえば、記録媒体としてHDを用いた場合には、記録媒体デコード部305は、HDD(Hard Disk Drive)となる。同様に、記録媒体としてDVDあるいはCD(CD−R,CD−RWを含む)を用いた場合には、記録媒体デコード部305は、DVDドライブあるいはCDドライブとなる。書き込み可能かつ着脱可能な記録媒体304として、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、メモリカードなどを利用する場合には、各種記憶媒体への情報の書き込みおよび各種記憶媒体に記憶された情報の読み出しが可能な専用のドライブ装置を、記録媒体デコード部305として適宜用いる。
案内音出力部306は、接続されたスピーカ311への出力を制御することによって、案内音を再生する。スピーカ311は、一つであってもよいし、複数であってもよい。具体的に、案内音出力部306は、音声出力用のスピーカ311に接続される音声I/Fによって実現することができる。より具体的には、音声I/Fは、たとえば、音声デジタル情報のD/A変換を行うD/Aコンバータと、D/Aコンバータから出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器と、音声アナログ情報のA/D変換を行うA/Dコンバータと、から構成することができる。
通信部307は、他のナビゲーション装置との間で通信を行う。本実施例の通信部307は、たとえば携帯電話のように、基地局(図示せず)を介して通信サーバ(図示せず)と通信を行う通信モジュールではなく、他のナビゲーション装置との間で直接無線通信を行う。無線通信とは、通信の媒体となるワイヤー線を使わず、電波や赤外線・超音波を用いて行う通信である。無線通信を可能とする規格には、無線LAN、IrDA(Infrared Data Association)、HomeRF(Home Radio Frequency)、BlueToothなど各種の技術があるが、本実施例においては公知の各種の無線通信技術を利用することができる。なお、情報の転送速度などの面から、無線LANを好ましい一例として用いることができる。
通信部307は、渋滞や交通規制などの道路交通情報を、定期的(不定期でも可)に受信する。通信部307による道路交通情報の受信は、VICS(Vehicle Information and Communication System)センターから道路交通情報が配信されたタイミングで行ってもよいし、VICSセンターに対し定期的に道路交通情報を要求することで行ってもよい。通信部307は、たとえば、FMチューナー、VICS/ビーコンレシーバおよびその他の通信機器として実現することが可能である。
公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、「VICS」とは、VICSセンターで編集、処理された渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムに送信し、カーナビゲーション装置などの車載機に文字・図形で表示する情報通信システムである。VICSセンターで編集、処理された道路交通情報(VICS情報)をナビゲーション装置100に伝達する方法としては、各道路上に設置された「ビーコン」と「FM多重放送」を利用する方法がある。「ビーコン」には、主に高速道路で使用される「電波ビーコン」と、主要な一般道路で使用される「光ビーコン」がある。「FM多重放送」を利用する場合には、広域エリアの道路交通情報を受信することが可能となる。「ビーコン」を利用する場合には、自車位置を元にした直近の道路の詳細な情報など、自車が位置する場所において必要な道路交通情報を受信することが可能となる。
通信部307は、他のナビゲーション装置100との間での通信方法と、道路交通情報を受信するための通信方法が異なる場合には、それぞれに対応した複数の通信手段を備えていてもよい。
経路探索部308は、位置取得部303によって取得される現在位置と、ユーザーによって入力される目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路を算出する。以降、経路探索部308によって行われる現在位置から目的地までの最適な経路の算出を誘導経路の探索(または再探索)として説明する。
経路誘導部309は、経路探索部308によって探索された誘導経路に関する情報、あるいは、通信部307によって受信した経路情報と、位置取得部303によって取得された現在位置に関する情報と、記録媒体304から記録媒体デコード部305を経由して得られた地図情報と、に基づいて、リアルタイムな経路誘導情報の生成を行う。経路誘導部309で生成された経路誘導情報は、ナビゲーション制御部300を介して表示部302へ出力される。
案内音生成部310は、パターンに対応したトーンと音声の情報を生成する。すなわち、経路誘導部309で生成された経路誘導情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成を行い、これをナビゲーション制御部300を介して案内音出力部306へ出力する。
グループ情報記憶部312は、複数のナビゲーション装置100によって構成されるグループ固有のグループIDや、該グループを構成する各ナビゲーション装置100を識別する識別情報としてのメンバーIDを記憶する。グループ情報記憶部312においては、各メンバーIDが、それぞれリーダーまたはメンバーに分類されて記憶される。単一のグループにおいてリーダーのナビゲーション装置100は1台である。グループ情報記憶部312には、経路誘導中に本来のリーダーから離れてしまうなどして、新たなリーダーが分類された場合に、本来のリーダーのメンバーIDを記憶するメモリエリアが確保されている。
(ナビゲーション装置の処理の手順)
つぎに、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置100の処理の手順について説明する。この発明の実施例にかかるナビゲーション装置100の処理は、グループ設定、共有経路設定、同報経路設定、走行位置表示の各処理を適宜実行することによって実現される。
図4−1は、グループ設定に際して、リーダーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図4−1に示す処理においては、まず、複数のナビゲーション装置100によって構成されるグループ固有のグループIDと、グループを構成する各ナビゲーション装置100を識別するメンバーIDと、を設定する(ステップS410)。ステップS410で設定されるメンバーIDは、予めナビゲーション装置100に設定されるものであってもよいし、ユーザーによって任意に設定されるものであってもよい。グループIDは、予め決められた範囲内から選択的に設定されるものであってもよいし、任意に設定されるものであってもよい。
つぎに、自装置のメンバーIDを、グループIDによってグループ化される複数のナビゲーション装置100のなかのリーダーに分類する(ステップS411)。その後、ステップS410で設定したメンバーIDがリーダーであることを示す情報として、自装置のメンバーIDをグループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に配信し(ステップS412)、処理を終了する。
図4−2は、グループ設定に際して、メンバーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図4−2に示す処理においては、まず、図4−1と同様に、グループIDと、ナビゲーション装置100(自装置)を識別するメンバーIDと、を設定し(ステップS420)、グループIDによってグループ化される複数のナビゲーション装置100におけるリーダーのメンバーIDを受信するまで待機する(ステップS421:No)。
グループIDによってグループ化される複数のナビゲーション装置100のなかのリーダーのメンバーIDを受信したと判断した場合には(ステップS421:Yes)、受信したメンバーIDをリーダーに分類してグループ情報記憶部312に記憶するとともに、ステップS420で設定した自装置のメンバーIDを、グループIDによってグループ化される複数のナビゲーション装置100に対して配信する(ステップS422)。
グループIDによってグループ化される同じグループのナビゲーション装置100から配信されたメンバーIDを受信するまで待機し(ステップS423:No)、同じグループのナビゲーション装置100から配信されたメンバーIDを受信したと判断した場合には(ステップS423:Yes)、受信したメンバーIDをメンバーに分類してグループ情報記憶部312に記憶し(ステップS424)、処理を終了する。これによって同じグループを構成する各ナビゲーション装置100がリーダーまたはメンバーに分類される。
図5−1は、共有経路設定に際して、リーダーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図5−1に示す処理においては、経路探索部308によって目的地までの誘導経路を探索し(ステップS510)、探索によって得られた誘導経路に関する情報を含む経路情報を、ステップS424で記憶したメンバーIDによって特定されるナビゲーション装置100へ配信する(ステップS511)。さらに、ステップS510で探索した誘導経路に基づいた経路誘導を開始する(ステップS512)。これにより、リーダーのナビゲーション装置100では、自装置で再探索した誘導経路に基づいた経路誘導が行われる。
図5−2は、共有経路設定に際して、メンバーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図5−2に示す処理においては、ステップS511においてリーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を受信したと判断するまで待機し(ステップS520:No)、リーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を受信したと判断した場合には(ステップS520:Yes)、受信した経路情報に基づいて、ステップS510で探索された誘導経路に基づいた経路誘導を開始する(ステップS521)。
これによって、リーダーのナビゲーション装置100で誘導経路を探索する操作のみで、グループを構成するすべてのナビゲーション装置100が共通の誘導経路に基づいた経路誘導を行うことができる。
図6−1は、同報経路設定に際して、リーダーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図6−1に示す処理においては、再探索トリガーが引かれたと判断するまで待機しており(ステップS610:No)、再探索トリガーが引かれたと判断した場合には(ステップS610:Yes)、経路探索部308によって誘導経路の再探索を行う(ステップS611)。
ステップS610における再探索トリガーは、たとえば、通信部307によって受信したVICS情報に基づいて、現在設定されている誘導経路上に渋滞や事故などが発生したと判断された場合、あるいは、リーダーのナビゲーション装置100を搭載する車両に乗車するのユーザーによって目的地あるいは経由地が変更された場合などに引かれる。
ステップS611で再探索された誘導経路に関する情報を含む経路情報を、ステップS424で記憶したメンバーIDによって特定されるナビゲーション装置100へ配信し(ステップS612)、ステップS611で再探索された誘導経路に基づいて経路誘導を開始する(ステップS613)。これにより、リーダーのナビゲーション装置100では、自装置で再探索した誘導経路に基づいた経路誘導が行われる。
図6−2は、同報経路設定に際して、メンバーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図6−2に示す処理においては、ステップS612においてリーダーのナビゲーション装置100から配信された再探索した誘導経路に関する新たな経路情報を受信したと判断するまで待機し(ステップS620:No)、再探索した誘導経路に関する新たな経路情報を受信したと判断した場合には(ステップS620:Yes)、受信した新たな経路情報に基づいて、ステップS611で探索された誘導経路に基づいた経路誘導を開始する(ステップS621)。
これによって、リーダーのナビゲーション装置100において誘導経路の再探索が行われた場合にも、メンバーのナビゲーション装置100において格別な変更操作を行うことなく、グループを構成するすべてのナビゲーション装置100が共通の誘導経路に基づいた経路誘導を行うことができる。
図7−1は、走行位置表示に際して行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図7−1に示す処理は、リーダーおよびメンバーのナビゲーション装置100で行われる。図7−1に示す処理においては、位置情報通知トリガーが引かれたと判断するまで待機している(ステップS710:No)。ステップS710においては、たとえば、走行中であればGPSによって特定される位置の変化を位置情報通知トリガーとしてもよいし、停止中であれば前回の位置情報の表示から所定時間が経過したことを位置情報通知トリガーとしてもよい。位置情報通知トリガーが引かれたと判断した場合には(ステップS710:Yes)、位置取得部303によって認識される現在位置に関する情報と自装置のメンバーIDとを含む位置情報(図7−1中では、自装置の位置情報と記載)を、グループを構成するリーダーまたはメンバーのナビゲーション装置100に対して配信し(ステップS711)、処理を終了する。
図7−2は、走行位置表示に際して行われる別の処理の手順について説明するフローチャートである。図7−2に示す処理は、図7−1に示す処理を実行したナビゲーション装置100とは異なるナビゲーション装置100で実行される。図7−2に示す処理においては、ステップS711で配信された位置情報を受信したと判断するまで待機しており(ステップS720:No)、位置情報を受信したと判断した場合には(ステップS720:Yes)、受信した位置情報に基づいてグループを構成するリーダーまたはメンバーのナビゲーション装置100(各メンバーの現在位置)の現在位置を表示部302の表示画面に表示させ(ステップS721)、処理を終了する。
これによって、グループを構成するリーダーまたはメンバーのナビゲーション装置100の現在位置を、お互いに把握することができるので、グループ走行をより快適に行うことができる。
図8は、表示画面の一例を示す平面図である。図8に示す表示画面800は、走行位置表示の処理によって表示部302の表示画面に表示される画面表示の一例をしている。表示画面800には、現在誘導を行っている誘導経路801と、この誘導経路801上に位置するリーダーおよびメンバーのナビゲーション装置100を搭載する車両の現在位置を示す位置表示マーク802が表示されている。誘導経路801および位置表示マーク802は、グループを構成するナビゲーション装置100が同じ画面内に収まるように縮尺が調整された地図803の上に重ねて表示されている。地図803の縮尺はユーザーの操作によって適宜変更することが可能である。
表示画面800において、誘導経路801は、地図803上で強調して表示されている。地図803上で誘導経路801を強調する方法としては、公知の各種技術を用いることが可能であり説明を省略するが、たとえば、地図803上の道路を表示する色とは異なる色によって示してもよいし、太線表示によって示してもよい。表示画面800において、位置表示マーク802は、すべて同じ形態で表示されているが、これに限るものではなく、たとえば、自装置を示す位置表示マークを他の位置表示マークと区別して表示してもよい。
表示画面800には、画面を切り替えるためのボタンとして「案内開始」ボタン804が表示されている。この「案内開始」ボタン804を操作することにより、通常の経路誘導に際して表示される表示画面(図示せず)と表示画面800とを切り替えることができる。ただし、表示画面800の表示方法としては、これに限るものではなく、たとえば、一つの表示画面を分割し、一方で経路誘導を行うための情報を表示し、それとは異なる部分に表示画面800を表示するようにしてもよい。
目的地に到着するまでの間、リーダーのナビゲーション装置100で探索され配信された誘導経路上をグループ内の他のメンバーの車両が、リーダーの車両から極度に離れることなく順調に走行した場合には、上述した各種の処理が実行される。これに対し、実際の路上では、たとえば、いずれかのメンバーの車両が、リーダーの車両から極度に離れてしまったり、リーダーのナビゲーション装置100から配信された誘導経路から逸脱してしまったりすることが想定される。
図9は、表示画面の別の一例を示す平面図である。図9に示す表示画面900は、5台で走行するグループのうちの最後方の車両(メンバー4)がリーダーから離れてしまった場合に表示画面に表示される画面表示の一例を示している。表示画面900には、リーダーおよびメンバーの現在位置が表示されているが、グループのうちの最後方の車両(メンバー4)が表示画面に表示されていない。リーダーの通信圏内であれば地図の縮尺を調整してメンバー全員の現在位置を表示することができることから、図9に示す状態ではメンバー4の車両がリーダーの通信圏外にあることが分かる。
図10は、表示画面のまた別の一例を示す平面図である。図10に示す表示画面1000は、5台で走行するグループのうちの1台の車両(メンバー3)がリーダーから配信された誘導経路から逸脱してしまった場合に表示画面に表示される画面表示の一例を示している。表示画面1000には、リーダーおよび3台のメンバーのナビゲーション装置100を搭載する車両の現在位置が、太線で示されたリーダーから配信された誘導経路上に表示されているのに対し、1台のメンバーのナビゲーション装置100を搭載する車両の現在位置を示す位置表示マーク1001は誘導経路から逸脱した位置に表示されている。これによって、リーダーおよび3台のメンバーは、位置表示マーク1001によって示されるメンバーのナビゲーション装置100を搭載する車両がリーダーから配信された誘導経路から逸脱してしまったことを知ることができる。
図11は、走行位置を確認する処理の手順について説明するフローチャートである。図11に示す処理は、グループを構成するメンバーのナビゲーション装置100のうちいずれかのメンバーのナビゲーション装置100を搭載する車両が、リーダーのナビゲーション装置100を搭載する車両から離れてしまった場合およびリーダーから配信された誘導経路から逸脱してしまった場合に実行される。図11に示す処理では、リーダーのナビゲーション装置100を搭載する車両から所定距離以上離れたか(ステップS1100)、あるいは、リーダーのナビゲーション装置100から配信された誘導経路から逸脱したかを判断している(ステップS1101)。リーダーのナビゲーション装置100を搭載する車両から所定距離以上離れていない、かつ、リーダーのナビゲーション装置100から配信された誘導経路から逸脱していないと判断した場合には(ステップS1100:No,ステップS1101:No)、そのまま処理を終了する。
リーダーのナビゲーション装置100を搭載する車両から所定距離以上離れたと判断した場合には(ステップS1100:Yes)、誘導経路上で自装置より前方に、メンバーのナビゲーション装置100(を搭載する車両)があるか否かを判断する(ステップS1102)。図11では、誘導経路上で自装置より前方に、メンバーのナビゲーション装置100(を搭載する車両)がないと判断した場合には(ステップS1102:No)、誘導経路上で自装置より後方に、メンバーのナビゲーション装置100(を搭載する車両)があるか否かを判断する(ステップS1103)。
誘導経路上で自装置より後方に、メンバーのナビゲーション装置100(を搭載する車両)があると判断した場合には(ステップS1103:Yes)、これまでリーダーに分類していたメンバーIDを、グループ情報記憶部312のメモリエリアに記憶する(ステップS1104)。そして、自装置のメンバーIDをリーダーに分類する(ステップS1105)。つづいて、ステップS1105で新たにリーダーに分類したメンバーIDを、グループIDによってグループ化される複数のナビゲーション装置100のうち、誘導経路上で自装置より後方にあるメンバーのナビゲーション装置100に対して配信し(ステップS1106)、処理を終了する。
ステップS1105において新たにリーダーに分類されたナビゲーション装置100は、以降、図5−1と同様に誘導経路を探索し、自装置を新たなリーダーとする自装置より後方のナビゲーション装置100に対して、探索した誘導経路に関する経路情報を配信する。同様に、新たなリーダーに分類されたナビゲーション装置100は、図6−1と同様に誘導経路の再探索を行い、再探索した誘導経路に関する経路情報を自装置より後方のナビゲーション装置100に対して配信する。
ステップS1102において、誘導経路上で自装置より前方にメンバーのナビゲーション装置100を搭載する車両があると判断した場合には(ステップS1102:Yes)、新たなリーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信されたメンバーIDを受信したと判断するまで待機する(ステップS1107:No)。そして、新たなリーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信されたメンバーIDを受信したと判断した場合には(ステップS1107:Yes)、これまでリーダーに分類していたメンバーIDをグループ情報記憶部312のメモリエリアに記憶するとともに、受信したメンバーIDを新たなリーダーに分類し(ステップS1108)、処理を終了する。
ステップS1108において、受信したメンバーIDを新たなリーダーに分類したメンバーのナビゲーション装置100は、以降、図5−2と同様に、新たなリーダーに分類されたナビゲーション装置100より配信された経路情報に基づいて経路誘導を行う。受信したメンバーIDを新たなリーダーに分類したメンバーのナビゲーション装置100は、図6−2と同様に、再探索された誘導経路に関する経路情報に基づいて経路誘導を行う。
これによって、グループ設定時にリーダーのナビゲーション装置100から所定距離以上離れてしまった場合には、新たなグループが構成され、新たなグループでまとまって走行することができる。このため、リーダーのナビゲーション装置100から所定距離以上離れてしまった場合にも、グループ走行を楽しむことができる。
これに対し、ステップS1101においてリーダーのナビゲーション装置100から配信された誘導経路から逸脱したと判断した場合(ステップS1101:Yes)、あるいは、ステップS1103において誘導経路上で自装置より後方に、メンバーのナビゲーション装置100(を搭載する車両)がないと判断した場合(ステップS1103:No)には、自装置において誘導経路を再探索し(ステップS1109)、再探索した誘導経路にしたがって経路誘導を行う。これによって、最初に設定されたリーダーのナビゲーション装置100から配信された誘導経路から逸脱した場合には、通常の経路誘導を行うことができ、グループを構成する他のナビゲーション装置100と同じ目的地に到着することができる。
実際の路上では、図11に示す処理によって新たなリーダーが再探索した誘導経路に基づいた経路誘導中に、本来のリーダーのナビゲーション装置100を搭載した車両の通信圏内に入ることが考えられる。本実施例におけるナビゲーション装置100によれば、このような場合には、本来のリーダーのナビゲーション装置100をリーダーとして、自装置を再びメンバーのナビゲーション装置100としてグループに復帰することができる。
図12−1は、グループに復帰するナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図12−1に示す処理は、最初にリーダーに分類されたナビゲーション装置100を再認識した場合に行われる。図12−1に示す処理では、ステップS1104またはステップS1108においてグループ情報記憶部312のメモリエリアに記憶したメンバーIDに基づいて、リーダーのナビゲーション装置100を再認識したと判断するまで待機する(ステップS1210:No)。ステップS1200では、たとえば、リーダーのナビゲーション装置100を搭載する車両に対して所定距離以内に近づいたことをもって、リーダーのナビゲーション装置100を再認識したと判断してもよい。所定距離以内とは、たとえば、リーダーのナビゲーション装置100の通信圏内としてもよい。
リーダーのナビゲーション装置100を再認識したと判断した場合には(ステップS1210:Yes)、再認識したリーダーのナビゲーション装置100のメンバーIDをリーダーに分類し(ステップS1211)、ステップS1104またはステップS1108において新たなリーダーに分類したメンバーIDを削除する(ステップS1212)。
そして、再認識したリーダーのナビゲーション装置100に対して経路情報の配信を要求する(ステップS1213)。その後、再認識したリーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を受信したと判断するまで待機する(ステップS1214:No)。再認識したリーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を受信したと判断した場合には(ステップS1214:Yes)、受信した経路情報に基づいて経路誘導を開始する(ステップS1215)。
図12−2は、グループから外れていたメンバーのナビゲーション装置100がグループに復帰する際に、リーダーのナビゲーション装置100で行われる処理の手順について説明するフローチャートである。図12−2に示す処理は、リーダーのナビゲーション装置100が配信した誘導経路から外れたメンバーが復帰した場合に、本来のリーダーのナビゲーション装置100で行われる。図12−2に示す処理では、ステップS1213において、自装置を再認識したナビゲーション装置100からの経路情報の配信要求を受信したと判断するまで待機する(ステップS1220:No)。そして、自装置を再認識したナビゲーション装置100からの経路情報の配信要求を受信したと判断した場合には(ステップS1220:Yes)、配信要求を受信した時点で経路誘導を行っている誘導経路に関する経路情報を、配信を要求したナビゲーション装置100に対して配信し(ステップS1221)、処理を終了する。
これによって、グループ構成の時点で最初に設定されたリーダーのナビゲーション装置100から離れたり、リーダーのナビゲーション装置100から配信された誘導経路を逸脱したりしたことによって、リーダーとは別の経路誘導を行っていたとしても、元のリーダーのナビゲーション装置100を再認識した段階で、このリーダーのナビゲーション装置100から配信される経路情報に基づいて経路誘導を行うことができる。すなわち、本来のグループ走行を行うことができる。
加えて、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置100は、リーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報または位置情報を中継して、リーダーまたはメンバーのナビゲーション装置に転送することができる。具体的には、グループを構成するいずれかのナビゲーション装置100において、中継を要求する情報を送信する処理と、該情報を受信する処理とによって実現される。
図13−1は、中継を要求する情報を送信する処理の手順について説明するフローチャートである。図13−1に示す処理は、グループを構成するいずれかのナビゲーション装置100において実行される。図13−1に示す処理では、送信する経路情報または位置情報に、送信元IDと、前中継IDと、中継IDと、受信先IDとを組み合わせた中継送信情報(図14−1〜図14−3参照)を生成し(ステップS1310)、生成した中継送信情報をグループを構成する他のナビゲーション装置100に対して配信し(ステップS1311)、処理を終了する。送信元IDは、自装置のメンバーIDである。受信先IDは、経路情報または位置情報の最終送信先となるメンバーIDである。受信先IDが0である場合、経路情報または位置情報の最終送信先は自装置である。前中継IDは、受信先IDとは異なるメンバーIDである。中継送信情報を生成する段階では、中継IDは0(自装置)である。
図13−2は、中継を要求する情報を受信した場合の処理の手順について説明するフローチャートである。図13−2に示す処理は、グループを構成するいずれかのナビゲーション装置100において実行される。図13−2に示す処理では、中継送信情報を受信したと判断するまで待機している(ステップS1320:No)。中継送信情報を受信したと判断した場合には(ステップS1320:Yes)、受信した中継送信情報に含まれる送信元IDまたは前中継IDのいずれか一方と、自装置のメンバーIDと、が一致するか否かを判断する(ステップS1321)。
受信した中継送信情報に含まれる送信元IDまたは前中継IDのいずれか一方と、自装置のメンバーIDと、が一致すると判断した場合には(ステップS1321:Yes)、受信した中継送信情報を破棄し(ステップS1322)、処理を終了する。これによって、自装置が送信した経路情報または位置情報に基づいて処理を行うことがなく、不要な処理の実行を避けることができる。
受信した中継送信情報に含まれる送信元IDまたは前中継IDのいずれか一方と、自装置のメンバーIDと、が一致しないと判断した場合には(ステップS1321:No)、受信した中継送信情報に含まれる受信先IDと自装置のメンバーIDとが一致するか否かを判断する(ステップS1323)。そして、受信した中継送信情報に含まれる受信先IDと自装置のメンバーIDとが一致すると判断した場合には(ステップS1323:Yes)、受信した中継送信情報を自装置に引き取り(ステップS1324)、処理を終了する。受信した中継送信情報に含まれる受信先IDと自装置のメンバーIDとが一致する場合とは、受信先IDに0が設定されている場合も含む。
受信した中継送信情報に含まれる受信先IDと自装置のメンバーIDとが一致しないと判断した場合には(ステップS1323:No)、受信した中継送信情報における前中継IDを中継IDに設定し、自装置のメンバーIDを中継IDに設定した新たな中継送信情報を生成し(ステップS1325)、生成した新たな中継送信情報をグループを構成する他のナビゲーション装置100に対して配信し(ステップS1326)、処理を終了する。図13−2に示す処理は、中継送信情報を受信する毎に行われる。
これによって、互いに通信圏外にあるメンバーのナビゲーション装置100間において、グループを構成する他のナビゲーション装置100を中継して経路情報または位置情報の送受信を行うことができる。このため、グループを構成するナビゲーション装置100間で、より広い範囲に亘って経路情報または位置情報を共有することができ、より快適なグループ走行を実現することができる。
図14−1は、中継送信情報の情報構造を示す概念図である。中継送信情報1410は、送信したい経路情報または位置情報1411と、送信元ID1412と、前中継ID1413と、中継ID1414と、受信先ID1415と、によって構成されている。図14−2は、中継送信情報1410の一例を示す概念図である。図14−2に示す中継送信情報1410は、メンバーIDが0に設定されたナビゲーション装置100を送信元とし、この送信元で前中継ID1413が1、中継ID1414が2、受信先ID1415がnであることを示している。
図14−3は、中継送信情報の別の一例を示す概念図である。図14−3に示す中継送信情報1410は、図14−2に示す中継送信情報1410を、メンバーIDが3に設定されたナビゲーション装置100が受信して、図13−2に示す処理を行った場合に、ステップS1325において生成されたものである。図14−2および図14−3を比較して分かるように、中継送信情報1410は、図13−2の処理を繰り返すことにより前中継ID1413と中継ID1414とが順次更新されていく。
このように本実施例のナビゲーション装置100によれば、目的地までグループで移動する複数の車両(移動体)にそれぞれ搭載されたナビゲーション装置100において、グループを構成する各ナビゲーション装置100を識別する識別情報としてのメンバーIDをリーダーまたはメンバーに分類し、リーダーに分類された場合には、現在位置から目的地までの誘導経路を探索するするとともに探索された誘導経路に関する経路情報を、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信することにより、リーダーのナビゲーション装置100で誘導経路を探索する操作だけで、グループを構成するすべてのナビゲーション装置100において共有の誘導経路に基づいた経路誘導を行うことができる。これによって、グループ走行のための同一誘導経路の設定作業の簡略化を図ることができる。
リーダーに分類されたナビゲーション装置100においては、自装置で探索された誘導経路に基づいて経路誘導を行うことにより、通信によって取得した経路情報に基づいて経路誘導を行う場合よりも、ナビゲーション制御部300の負担を軽減することができる。
また、リーダーに分類されたナビゲーション装置100においては、誘導経路が再探索される毎に、当該誘導経路に関する経路情報を、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信することにより、リーダーに分類されたナビゲーション装置100で誘導経路が再探索された場合にも、格別な操作を伴うことなく、グループを構成するすべてのナビゲーション装置100において共有の誘導経路に基づいた経路誘導を行うことができる。
メンバーに分類されたナビゲーション装置100においては、リーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信された経路情報を受信し、受信された経路情報に基づいて経路誘導を行うことにより、自装置で誘導経路を探索しなくても、グループを構成するすべてのナビゲーション装置100において共有の誘導経路に基づいた経路誘導を行うことができる。
メンバーに分類されたナビゲーション装置100は、経路誘導中の誘導経路から逸脱した場合に、誘導経路を再探索し、再探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行うことにより、リーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信された誘導経路を逸脱しても、グループを構成する他のメンバーと同じ目的地に到着することができる。
このとき、リーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報に基づいた誘導経路に復帰させるような誘導経路を再探索することにより、リーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信された誘導経路を逸脱しても、再びグループを構成する他のメンバーと同じ誘導経路を走行することができる。
グループを構成する各ナビゲーション装置100において、現在位置に関する情報とメンバーIDとを含む位置情報の送受信を行い、送受信によって取得された位置情報に基づいて、グループを構成するリーダーおよびメンバーのナビゲーション装置100の現在位置を表示画面に表示させることにより、グループを構成するどのメンバーがどこを走行しているかを把握することができ、グループ走行をより快適に行うことができる。
メンバーに分類されたナビゲーション装置100は、経路情報または位置情報1411が所定時間以上受信されない場合に、誘導経路を再探索し、再探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行うことにより、リーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信された誘導経路を逸脱していなくても、グループを構成するナビゲーション装置100からある程度以上離れてしまった場合には、グループでの走行を優先した経路誘導よりも、グループを構成する他のメンバーと同じ目的地に到着することを優先した経路誘導を行うことができる。
メンバーに分類されたナビゲーション装置100は、リーダーに分類されたナビゲーション装置100から配信された誘導経路上で、自身よりも先行するナビゲーション装置100に関する位置情報が所定時間以上受信されない場合に、誘導経路を再探索し、再探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行うことにより、少なくとも自身よりも先行するメンバーからある程度以上離れてしまった場合には、グループでの走行を優先した経路誘導よりも、グループを構成する他のメンバーと同じ目的地に到着することを優先した経路誘導を行うことができる。
メンバーに分類されたナビゲーション装置100は、リーダーのナビゲーション装置100から所定距離以上離れた場合に、誘導経路を再探索し、再探索された誘導経路にしたがって経路誘導を行うことにより、リーダーに分類されたナビゲーション装置100からある程度以上離れてしまった場合には、グループでの走行を優先した経路誘導よりも、グループを構成する他のメンバーと同じ目的地に到着することを優先した経路誘導を行うことができる。
メンバーに分類されたナビゲーション装置100において誘導経路の再探索が行われた場合に、自装置を新たなリーダーに分類し、再探索された誘導経路に関する経路情報を、新たなリーダーとして、グループを構成する他のメンバーのナビゲーション装置100に対して配信することにより、自装置の周辺にいるメンバーと同じ誘導経路に基づいてグループ走行することができる。
その際、本来のリーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報を最優先にして経路誘導を行うことにより、単一のグループ内に複数のリーダーが存在することはなく、一旦リーダーからはぐれた場合にも該リーダーを再認識した時点から再びリーダーのナビゲーション装置100から配信された経路情報に基づいた経路誘導を行うことができる。
上述したナビゲーション装置100では、グループを構成する各ナビゲーション装置100が、受信した経路情報または位置情報1411を中継して、リーダーまたはメンバーのナビゲーション装置100に転送することにより、上述した各種効果をより広範囲に亘って享受することができる。
なお、本実施例で説明したナビゲーション装置100が実現するナビゲーション方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによっても実現することができる。本実施例では、このナビゲーションプログラムを記録媒体304としてのHDに記録するようにしたがこれに限るものではない。ナビゲーションプログラムは、たとえば、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体304に、コンピュータによる読み出しが可能な状態で記録されていればよい。これにより、記録媒体304に記録されたナビゲーションプログラムを、コンピュータによって記録媒体から読み出すことによって実行することができる。ナビゲーションプログラムは、記録媒体304に記録されているものに限定されるものではなく、たとえばインターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。