JP4582270B2 - 缶内残存酸素量低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶詰製造に際してヘッドスペースの空気を不活性ガス置換して缶内残存酸素量を低減させる缶内残存酸素量低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、缶詰製造に際して内容物の酸化や変敗を防ぐためにヘッドスペースの空気を窒素ガス等の不活性ガスと置換して(以下、単にガス置換という)密封巻締することにより、缶内の残存酸素量を低減させることが広く行われている。従来のガス置換方法は、基本的にはシーマーにおける缶蓋供給ターレットから供給される缶蓋を、直線コンベヤで搬送されてシーミングターレットに移載する缶体の開口部に被せる際に、缶蓋と缶体の開口部との間に不活性ガスを吹き込むことによって置換する、いわゆるアンダーカバーガッシング法で行っている。該方法は、シーマー内で巻締直前にガス置換を行うという有利な点はあるが、不活性ガスをヘッドスペースに吹き込むのにシーマー自体の構造上及び特に近時の高速シーマーでは時間的制限を受けるため、置換率が悪く十分に缶内残存酸素量を低減させることができなかった。
【0003】
そのため、ガス置換率を向上させる方法として、例えば、上記アンダーカバーガッシングに加えて充填機からシーマーに送給される充填済み容器の搬送路の上方を断面コ字状又は多孔プレート付フードで覆って、上部より窒素ガスを噴出して搬送中の容器のヘッドスペースに直接窒素ガスを吹き込んで、あるいは不活性ガスの吹き付けと同時又は直前に容器内部の空気を吸引して予備ガッシングすることが提案されている(例えば、特開平63−125118号公報、特開平11−157507号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の予備ガッシング方法では缶内残存酸素量の低減に限界があり、特に高速シーマーにおいては未だ十分に缶内残存酸素量を低減させることができないという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、高速シーマーであっても置換率を従来よりも特段に向上させ、缶内残存酸素量を十分に低減させることができ、且つ構造が簡単で従来の製造ラインを拡張することなしに容易に適用できる缶内残存酸素量低減装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題点を解決するために、上記従来の予備ガッシング方法では未だ十分に缶内残存酸素量の低減を達成できない原因について種々研究した結果、搬送路でのガス置換時に缶胴部で押されて缶胴と一緒に搬送されてくる空気が缶胴周りに存在し、特に高速ラインでは該空気の存在がガス置換を邪魔し、十分な置換率を得ることができないことが分かり、さらに研究した結果缶によって巻き込み搬送される空気をガス置換時に排除して缶胴周りも不活性ガスに置換することによって、缶内残存酸素量を効果的に低減させる方法を知得し、本発明に至ったものである。
【0007】
即ち、本発明の缶内残存酸素量低減装置は、フィラーからシーマーに至る缶搬送路のうちシーマー寄り部分の上半分を置換枠体で覆って、少なくとも該置換枠体の入口部近傍に置換枠体天壁と置換枠体側壁に置換枠体内方に向けて不活性ガスを吹き出す天壁部不活性ガス吹出口と側壁部不活性ガス吹出口を設けてなり、前記置換枠体側壁面に設けられた側壁部不活性ガス吹出口の下流側に、容器搬送方向下流側に向けて不活性ガスを吹き出すルーバー式吹出口を設け、該ルーバー吹出口より不活性ガスを容器に対して搬送方向に傾斜した角度で吹き出して容器に沿う不活性ガス流を形成させるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
上記缶内残存酸素量低減装置において、前記天壁部不活性ガス吹出口と側壁部不活性ガス吹出口の上流側の置換枠体天壁と置換枠体側壁に、天壁部バキューム吸引口と側壁部バキューム吸引口を設け、缶胴によって前記置換枠体内に持ち込まれる缶胴周りの空気を該置換枠体の置換枠体側壁及び置換枠体天壁から吸引し、置換枠体入口部で置換枠体内に持ち込まれる空気を外部に排除する機能を付加することによって、より確実に缶内残存酸素量を低減させることができる。また、前記置換枠体を液化不活性ガス充填機の下方に至る上流側に設けると共に、液化不活性ガス充填機からシーマー内の缶蓋と缶体の嵌合部直前までの缶搬送路を、該缶搬送路を搬送する充填済み缶の上部フランジと所定のクリアランスを有して設けられた天壁を有する枠体で囲うか又はカバーで被って、高速搬送による乱流の発生とヘッドスペースに液化不活性ガスが充填された缶のヘッドスペースへの空気の巻き込みを抑制するようにすることによって、液体窒素等を充填した陽圧缶詰の不活性ガス置換率をより向上させることができる。
【0009】
さらに、前記置換枠体側壁面に設けられた側壁部不活性ガス吹出口の下流側に、容器搬送方向下流側に向けて不活性ガスを吹き出すルーバー式吹出口を設け、該ルーバー吹出口より不活性ガスを吹き出して置換枠体内に不活性ガスのラミナーフローを形成するようにすることによって、ガス置換された缶の高置換率を維持してシーマーまで搬送することができ、缶内残存酸素量のより低減化を達成することかできる。また、置換枠体の置換枠体側壁に、上流側から順に側壁部バキュームチャンバ、側壁部不活性ガスチャンバ、及びルーバー式不活性ガスチャンバをそれぞれ設け、それらのチャンバに側壁部バキューム吸引口、側壁部不活性ガス吹出口、及びルーバー式不活性ガス吹出口を設けることによって、空気のバキューム量及び不活性ガスの吹出量が安定し、量的制御が容易である。
なお、本願明細書で使用される「置換枠体」の用語における枠体とは、缶搬送路に面する側を除き、缶搬送路の少なくとも上方部分の三方を壁面で覆う覆いを意味し、その形状は必ずしも側壁及び天壁が直交する断面矩形状に限らず、断面円弧状あるいは断面台型状等任意の形状のものが含まれる。従って、「側壁部」及び「天壁部」の意味も、缶搬送路に対して側部となる部分、及び上部となる部分を意味するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1及び図2は缶詰製造ラインにおける本発明の缶内残存酸素量低減装置の配置を示している。図中、1は図示しないフィラーからシーマー2に至る充填済み缶を搬送する缶搬送路3のうちシーマー寄り部分に配置された残存酸素量低減装置であり、その具体的構成が図3〜図7に示されている。なお、本実施形態では、液化不活性ガスである液体窒素を充填する陽圧缶詰製造ラインに適用した場合を示し、缶内に液体窒素を充填する液体窒素充填機5の直ぐ上流側に残存酸素量低減装置1が設けられ、内容物が充填された缶のヘッドスペースの空気を不活性ガスに置換してから液体窒素を充填するようにしてある。そして、液体窒素充填機5からシーマー2内の缶蓋と缶体の嵌合部の直前までの缶搬送路には、缶上部フランジとのクリアランスが0.5〜15mmの範囲となるように缶搬送路上方を覆う枠体又はカバー6が配置され、高速搬送による乱流の発生と、それによるヘッドスペースへの空気の巻き込みを抑制するようにして、液体窒素を充填した缶が蓋の巻締位置までガス置換状態を維持することを図っている。
【0011】
本実施形態の残存酸素量低減装置1は、缶搬送路3を両側の置換枠体側壁11及び置換枠体天壁12で囲って置換枠体10を構成し、その入口部近傍に、置換枠体の両置換枠体側壁11の外側に該側壁を内壁とする側壁部チャンバ体9が形成されている(図3、4)。該側壁部チャンバ体は内部が隔壁8で3チャンバに区画され、上流側から順に側壁部バキュームチャンバ13、側壁部不活性ガス噴出チャンバ14、ルーバー式不活性ガス噴出チャンバ15が隣接して形成されている(図4)。
【0012】
側壁部バキュームチャンバ13に面する置換枠体側壁11には、図5に明示するように、縦長矩形状に側壁部バキューム吸引口18が縦方向に形成され、外壁にはバキューム源に連通したバキューム導入口19が設けられている。また、側壁部不活性ガス噴出チャンバ14に面する置換枠体側壁11には、同様に縦長矩形状に側壁部不活性ガス吹出口20が形成され、外壁には不活性ガス供給源に連通した不活性ガス導入口21が設けられている。さらに、ルーバー式不活性ガス吹出チャンバ15は、図4に明示するように、該チャンバに面する置換枠体側壁11を大きめに開口して、該開口部に不活性ガス流が缶搬送方向に対して任意の角度で吹き出して枠体内に缶搬送方向に不活性ガス流を形成するように、複数個のルーバー片22を搬送方向に対して傾斜し且つ所定間隔で並列して組立てたルーバー式不活性ガス吹出口23が設けられ、外壁には不活性ガス供給源に連通した不活性ガス導入口24が設けられている。ルーバー式不活性ガス吹出口23は、置換枠体側壁から吹き出す不活性ガスが搬送中の缶の姿勢を乱すことがなく、且つ乱流を起こすことなく缶に沿って静かに移動して不活性雰囲気を維持するためのものであり、ライン速度又は不活性ガス量等に応じて任意に吹出角度を調整できるように可変式のものが望ましいが、例えば予め45°に固定した固定式のものでも良い。
【0013】
一方、置換枠体天壁12の外側にも該置換枠体天壁を内壁する天部チャンバ体25が形成され、内部を隔壁27によって天壁部バキュームチャンバ16と天壁部不活性ガスチャンバ17とに区画している。天壁部バキュームチャンバ16は、置換枠体天壁12に、該置換枠体天壁から置換枠体内に所定長さだけ垂下する天壁部バキューム吸引口26が、隔壁27に沿って置換枠体天壁の幅方向略全幅に亘るように矩形状に設けられ、外壁にはバキュー導入口28が設けられて構成されている。また、天壁部不活性ガスチャンバ17は、逆に置換枠体天壁12から僅かにチャンバ内に突出した天壁部不活性ガス吹出口30が、隔壁27に沿って置換枠体天壁の略幅方向全幅に亘るように幅広矩形状に設けられ、上壁には不活性ガス導入口31が設けられて構成されている。
【0014】
前記バキューム導入口19、不活性ガス導入口21、24は、本実施形態では図1及び図3に示すように、縦方向上下に2個設けられているが、1以上の任意の個数で良い。同様に、置換枠体天壁の外側に設けられた天壁部バキュームチャンバ16、天壁部不活性ガスチャンバ17の上壁に設けられたバキューム導入口28、不活性ガス導入口31は、本実施形態では上方向に1個設けられているが、1以上の任意の個数で良いし、また各チャンバの幅方向あるいは前後壁に設けても良い。
【0015】
本実施形態の残存酸素量低減装置は、以上のように構成され、置換枠体入口部では両側壁に配置された側壁部バキュームチャンバ13及び置換枠体天壁に配置された天壁部バキュームチャンバ16を介して、側壁部バキューム吸引口18、天壁部バキューム吸引口26から置換枠体入口部の空気を吸引し、逆に側壁部不活性ガス噴出チャンバ14、ルーバー式不活性ガス吹出チャンバ15及び天壁部不活性ガスチャンバ17に導入された不活性ガスが、側壁部不活性ガス吹出口20、ルーバー式吹出口23及び天壁部不活性ガス吹出口30から置換枠体内に吹き出す。本発明では、特に上記置換枠体内から排気する空気量及び置換枠体内に吹き出す不活性ガス量が、缶が置換枠体内に持込む空気量と同量か又はそれ以上となるように、それぞれ制御されている。
【0016】
缶が置換枠体内に持込む空気量は、次のように推定して求めた。缶が置換枠体内に入り込んだ後、缶周りの空気が缶と同じ速度で移動すると仮定すると、缶が置換枠体内に持込む空気量は、置換枠体内での缶周り空気の流量と同じことになる。今、置換枠体入口面積A、ライン速度v、缶ピッチp、缶体積Vcとすると、缶周りの空気量はQは、
Q=A・v(1−Vc/A・p)
と計算される。従って、置換ガスとして吹き込まれる不活性ガス量は、以上のようにして求めた缶周りの空気量Qと同量か又はそれ以上となるようにして設定して、置換枠体内に吹き込むようにしてある。
【0017】
次に、以上のように構成された本実施形態の残存酸素量低減装置による残存酸素低減方法を、図6及び図7において空気及び不活性ガスの流れを矢印で模式的に示して説明する。フィラーで内容物が充填された缶cが置換枠体10に搬送されると、先ず入口部で両側の置換枠体側壁に設けられた側壁部バキューム口18によって缶が置換枠体10内に持ち込む缶周りの空気を吸引して外部に排出されると共に、天壁部バキューム吸引口26からの吸引作用により缶内の空気が外部に排出される。側壁部バキューム吸引口18及び天壁部バキューム吸引口26を通過すると直ぐに天壁部不活性ガス吹出口30から缶ヘッドスペースに不活性ガスが吹き込まれると共に、側壁部不活性ガス吹出口20から缶胴周りに不活性ガスを吹き出される。
【0018】
上記構成において、(1)側壁部バキューム吸引口18及び天壁部バキューム吸引口26によるバキュームは缶が置換枠体内に持ち込む空気を取り込む機能を果たし、(2)側壁部不活性ガス吹出口20及び天壁部不活性ガス吹出口30による不活性ガスの吹き込みは、置換枠体入口部での不活性ガスのカーテンを形成すると共に持込み空気のガス置換の機能を果たし、(3)さらにルーバー式吹出口による不活性ガスの吹き込みは持込み空気のガス置換と下流での缶胴回りの不活性ガス雰囲気を維持する機能を果たす。
【0019】
特に、本実施形態では、天壁部バキューム吸引口26と天壁部不活性ガス吹出口30とを隔壁を介して隣接させ、且つ天壁部バキューム吸引口26が置換枠体天壁から若干垂下し、天壁部不活性ガス吹出口30が置換枠体天壁より若干上方に形成され、天壁部バキューム吸引口26と不活性ガス吹出口30との高さ位置に差を持たせて形成されているので、天壁部バキューム吸引口26の一方の壁を構成する隔壁27が缶のヘッドスペースから吸引される空気と缶のヘッドスペースに吹き込まれる不活性ガスの流れが干渉しないようにコントロールされ、缶ヘッドスペースの空気を効果的に不活性ガスに置換することができる。しかも、缶が置換枠体内に持ち込む缶周りの空気も側壁部バキューム吸引口18及び側壁部不活性ガス吹出口20の存在により効果的に不活性ガスに置換され、それらの総合作用により、上記(1)及び(2)の機能が効果的に果たされる。なお、置換枠体内から排除される空気流と置換枠体内に吹き込まれる不活性ガス流が干渉しないためには、バキューム吸引口26と天壁部不活性ガス吹出口30と段差があれば良く、上記実施形態と逆に天壁部不活性ガス吹出口30が低い位置にあっても良い。
【0020】
そして、さらにその下流側ではルーバー式不活性ガス吹出口23から缶搬送路方向に傾斜した複数個のルーバー片22に案内された不活性ガスが缶の周り包みガス置換をさらに促進すると共に、静流となって下流側に缶と共に流れるので、搬送中の缶の周りを不活性ガス雰囲気状態を維持してシーマーの方に移動することができ、上記機能(3)を果たす。なお、上記置換枠体10は、液体窒素を充填しない通常の陰圧缶の場合は、シーマーの蓋フィードターレットの直前位置まで延びて配置する。また、液体窒素を充填する陽圧缶詰製造ラインの場合は、図1及び図2に示すように液体窒素充填装置のノズル位置直前まで配置し、内容物が充填された缶のヘッドスペースの空気を不活性ガスに置換してから液体窒素を充填するようにしてある。さらにこの場合、液体窒素充填機からシーマー内の缶蓋と缶体との嵌合部の直前までを、缶の天壁部フランジと所定のクリアランスを有して設けられた天壁を有するカバーもしくはトンネルで覆っている。
【0021】
従って、液体窒素充填機がない場合もある場合も内容物が充填された缶は、置換枠体入口部の缶内のヘッドスペースガス置換状態を維持してシーマーに送ることができる。そして、シーマーでは、さらにアンダーカバーガッシングによりガス置換を行うことによって、従来満足するガス置換率が得られなかった高速ラインでも、飛躍的にガス置換率を向上させ、缶内の存在酸素量を低減させることができる。
【0022】
【実施例】
表1に示す寸法条件で図2〜5に示す構造の置換枠体を形成し、且つ缶詰製造条件で缶の枠体内に持ち込む空気量Qは、前記数式でに基づく表1の計算結果より、約700mL/minと推定された。
【表1】
【0023】
実施例1:
図1に示すように、フィラーから液体窒素充填機の直下を通り、シーマー内の缶蓋との嵌合部直前に至る缶搬送路に、置換枠体と、それらの下流に設けられた、缶上部フランジから4mmのクリアランスで設置された天壁部を有するカバーとからなる残存酸素量低減装置を設置した。置換枠体の構造は図3〜7に示す通りであり、寸法条件は表1に示す通りである。缶詰製造条件で缶の置換枠体内に持ち込む空気量Qは、前記数式に基づく表1の計算結果より、約700L/minであると推定された。よって、置換置換枠体の天壁部及び及び側壁部から900L/mmの窒素ガスを吹き出すように条件を設定した。
表1に示す寸法の缶に65℃の温水を183g充填し、上記残存酸素量低減装置を作動させながら、液体窒素を充填した後シーマーにて蓋を巻締めて陽圧缶詰を製造した。巻き締める際にアンダーカバーガッシングを行わなかった。1200cpmで120缶作成し、その中から10缶を抜き取って巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量を測定した結果、1缶当たり0.95mlであった。
【0024】
実施例2:
置換枠体からの窒素ガスの吹き出しを、上面からのみ行う他は、実施例1と同様にして充填試験を行い、巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量を測定した結果、1缶あたり1.03mlであった。
【0025】
比較例1:
実施例1に示した残存酸素低減装置を設置しない他は、実施例1と同様にして充填試験をおこない、巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量を測定した結果、1缶あたり2.68mlであった。
【0026】
実施例3:
実施例1と同様に、フィラーから液体窒素充填装置の直下を通り、シーマー内の缶蓋との嵌合部直前に至る缶搬送路に、置換枠体と、それから下流に設けられた、缶の上部フランジから4mmのクリアランスで設置された天壁部を有するカバーとからなる残存酸素量低減装置を設置した。置換枠体の構造は、図3〜5に示す通りであり、寸法条件は表1に示す通りである。
置換枠体入口部で上方および側方から空気のバキュームを行った後、置換装置の上方および側面から窒素ガスを900L/min吹き出す様に条件を設定した。表1に示す寸法の缶に65℃の温水を183g充填し、上記残存酸素量低減装置を作動させながら、液体窒素を充填して陽圧化した後シーマーにて蓋を巻き締めて缶詰を製造した。巻き締める際に350L/minの流量でアンダーカバーガッシングを行った。1200cpmで120缶製造し、その中から10缶を抜き取って巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量を測定した結果、1缶あたり0.20mlであった。
【0027】
実施例4:
置換枠体入口部での上方および側方からの空気のバキュームを行わない他は、実施例3と同様にして充填試験を行い、巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量を測定した結果、1缶あたり0.24mlであった。
【0028】
比較例2:
置換枠体での空気のバキュームおよび、窒素ガスの吹き出しを行わない他は実施例3と同様にして充填試験を行い、巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量を測定した結果、1缶あたり0.42mlであった。
【0029】
比較例3:
上記残存酸素低減装置の終端部をシーマー手前20mmとして、シーマーとの間に隙間を設けた他は、実施例3と同様にして、充填試験を行ったところ、該隙間部で缶の上方に乱流の渦が発生するのが観察された。巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量は、1缶あたり0.80mlであった。
【0030】
比較例4:
残存酸素低減装置を設置しない他は実施例3と同様にして、充填試験を行ったところ、巻締密封直後のヘッドスペース内酸素量は、1缶あたり0.80mlであった。
これらの結果をまとめて図8のグラフに示す。
【0031】
これらの結果から明らかなように、アンダーカバーガッシングを行わない場合及び行う場合の何れにおいても、本発明の実施例が比較例と比較して、缶内残存酸素量は著しく少なくなっていることが分かる。特に、実施例3では、従来のガス置換陽圧缶詰の残存酸素量と比べて著しく低減しており、本発明が格別な効果を奏するものであることが確認された。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、少なくとも置換枠体の入口部近傍で置換枠体天壁と置換枠体側壁から置換枠体内方に向けて不活性ガスを吹き出すことによって、高速シーマーであっても置換率を特段に向上させ、缶内残存酸素量を十分に低減させることができ、且つ構造が簡単で従来の製造ラインを拡張することなしに容易に適用でき、特に酸化劣化し易い内容物の缶詰製造に優れた効果を奏するものである。さらに、充填済み缶の高速搬送による置換枠体内への空気持込み量に応じた量の不活性ガスを吹き込むので、ガス置換に真に必要とする不活性ガス量を的確に供給することができ、缶内残存酸素量を効率良く低減できると共に、不活性ガスを無駄に供給することがなく経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る缶内残存酸素量低減装置を適用した缶詰製造ラインの要部を示す斜視図である。
【図2】図1における缶搬送路中心に沿った断面概念図である
【図3】本発明の実施形態に係る缶内残存酸素量低減装置の左側面図である。
【図4】図3の缶がない状態でのA−A矢視図である。
【図5】図3の缶がない状態でのB−B矢視図である。
【図6】作動状態を示す図4相当図である。
【図7】作動状態を示す図5相当図である。
【図8】実施例及び比較例の巻締密封直後のヘッドスペース内残存酸素量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 缶内残存酸素量低減装置 2 シーマー
3 缶搬送路 5 液体窒素充填機
6 枠体 9 側壁部チャンバ体
10 置換枠体 11 置換枠体側壁
12 置換枠体天壁 13 側壁部バキュームチャンバ
14 側壁部不活性ガス吹出チャンバ
15 ルーバー式不活性ガス吹出チャンバ
16 天壁部バキュームチャンバ 17 天壁部不活性ガス吹出チャンバ
18 側壁部バキューム吸引口 20 側壁部不活性ガス吹出口
23 ルーバー式吹出口 25 天壁部チャンバ体
26 天壁部バキューム吸引口 30 天壁部不活性ガス吹出口
Claims (3)
- フィラーからシーマーに至る缶搬送路のうちシーマー寄り部分の上半分を置換枠体で覆って、少なくとも該置換枠体の入口部近傍に置換枠体天壁と置換枠体側壁に置換枠体内方に向けて不活性ガスを吹き出す天壁部不活性ガス吹出口と側壁部不活性ガス吹出口を設けてなり、前記置換枠体側壁面に設けられた側壁部不活性ガス吹出口の下流側に、容器搬送方向下流側に向けて不活性ガスを吹き出すルーバー式吹出口を設け、該ルーバー吹出口より不活性ガスを容器に対して搬送方向に傾斜した角度で吹き出して容器に沿う不活性ガス流を形成させるようにしたことを特徴とする缶内残存酸素量低減装置。
- 前記天壁部不活性ガス吹出口と側壁部不活性ガス吹出口の上流側の置換枠体天壁と置換枠体側壁に、天壁部バキューム吸引口と側壁部バキューム吸引口を設け、置換枠体入口部で置換枠体内に持ち込まれる空気を外部に排除するようにしてなる請求項1記載の缶内残存酸素量低減装置。
- 前記置換枠体を液化不活性ガス充填機の下方に至る上流側に設けると共に、液化不活性ガス充填機からシーマー内の缶蓋と缶体の嵌合部の直前までの缶搬送路を、該缶搬送路を搬送する充填済み缶の上部フランジと所定のクリアランスを有して設けられた天壁を有するトンネルで囲うか又はカバーで被って、高速搬送による乱流の発生とヘッドスペースに液化不活性ガスが充填された缶のヘッドスペースへの空気の巻き込みを抑制するようにしてなる請求項1又は2に記載の残存酸素量低減装置。
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