JP4582236B2 - 電気泳動装置の製造方法、電気泳動装置、電子機器 - Google Patents
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Description
このような現象を利用した電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイEPD:Electrophoretic Display)は、構成の簡便さ、広視野角、高コントラスト比、低電圧駆動、低消費電力、並びに表示画像保持性能(以下、メモリー性と称す)を備え、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイでは実現困難な様々な特性を有するものとして注目されている。
ここで、上記構成の電気泳動ディスプレイにおいて、電圧印加直後に回路を開放状態にすると、電極に電荷が保持されるため、この電極保持電荷のクーロン力で帯電粒子を吸着することができる。すなわち、電圧を印加しなくても、一定の静止画像を表示しつづけることが可能となる。
そこで、この問題を解決するために、帯電粒子と分散媒とからなる分散系を、複数のマイクロカプセルに内包するマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイが公知となっている(下記の特許文献1等を参照)。
本発明者らは、その原因として、帯電粒子を内包する複数のマイクロカプセルと、この複数のマイクロカプセルの間に配置されるバインダーが、帯電粒子と同一の電荷であると、その反発力によってメモリー性が良好ではなくなるという点に着目し、本発明に至った。
前記電気泳動装置は、前記電極が、対向した一対の電極であるものとすることができる。
前記電気泳動装置は、前記マイクロカプセルがドデシルベンゼンからなる分散媒を含むことができる。
本発明に係る電気泳動装置の一態様は、また、前記電気泳動装置の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明に係る電気泳動装置の製造方法の一態様を用いて製造された電気泳動装置は、マイクロカプセル及びバインダーと、帯電粒子とが異なる電荷を有するようになり、その間に反発力が生じなくなる。
本発明に係る電子機器の一態様は、また、前記電気泳動装置の製造方法を用いて製造された電気泳動装置を含む表示体と、前記表示体に駆動信号を供給する駆動回路と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る電子機器の他の態様は、また、前記駆動回路がマルチプレックス(単純マトリックス)方式で駆動されるものであることを特徴とするものであってもよい。
また、メモリー性を向上させたことによって、実効的に回路の開放状態を維持できないようなマルチプレックス方式で駆動することも可能となるため、駆動回路にかかる製造工程及び製造コストを削減できるとともに、電子機器の小型化、薄型化を実現することが可能となる。
本実施形態においては、表示装置として好適な電気泳動装置の一例として、電気泳動パネルについて説明する。
図1は、本発明の電気泳動装置の一例として電気泳動パネルを示す断面図である。ここで、図1においては、電気泳動パネルの二画素分を示している。
透明電極2及び対向電極7は、いずれも、金属材料としてAl、Au、Pt、Ag、Ni、Ti、Crなどを用いることができ、少なくとも表示面側の透明電極2は、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO、SnO2 などの金属酸化物透明材料を用いるようにする。
次に、上記構成の電気泳動パネル10の製造方法について説明する。図3は、本発明の電気泳動パネルの製造工程のうち、マイクロカプセルの製造工程を示す説明図である。
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる透明基板1及び対向基板6の一面に、ITOからなる透明性膜をスパッタリング法などを用いてそれぞれ成膜し、透明電極2及び対向電極7を形成しておく。
次いで、この溶解液を、回転速度250rpmで攪拌しながら、さらにこの溶解液内にチタニア分散液を滴下する(B)。滴下後、回転速度を1300rpmに上げ、さらに1時間の攪拌を行う。
次いで、30分の攪拌後、 溶解液内に10%酢酸溶液11mlを滴下する(D)。そして、溶解液全体を0℃に冷却しながら、回転速度500rpmで2時間攪拌を続行する(E)。
次いで、この溶解液全体を室温に戻し(H)、攪拌を一夜続行することで、ゼラチンZとアラビアゴムAからなる被膜に、帯電粒子4aであるチタニア粒子と分散媒4bであるドデシルベンゼンとからなる分散系4を内包した状態でマイクロカプセル3が作成される(I)。
次いで、マイクロカプセル3の分散した溶解液をブフナーロートなどにより、 マイクロカプセル3を濃縮し、溶解液内に60%のマイクロカプセル3が含有されている状態とする。
次いで、アクリル系バインダー5と混合したマイクロカプセル3を、コータなどを用いて、予め対向電極7としてITOが形成されている対向基板6に150・高フ膜厚となるように塗布し、90℃で20分間乾燥を行う。ここで、対向電極7の上面に一層のマイクロカプセル3が形成される。
さらに、上記電気泳動パネル10における透明電極2と対向基板7とに配線を介して駆動回路20を接続させることで、表示体として電気泳動パネル10を備えた電気泳動ディスプレイ(表示装置)100を形成することができる。
電気泳動ディスプレイ100は、図2(A)に示すように、透明電極2及び対向電極7に電圧を印加していない状態の時は、マイクロカプセル3に内包された帯電粒子4aは重力に従って、図中下方に位置した状態にある。つまり、表示面となる透明基板1側には、分散媒4bが認識されるため、表示面には分散媒4bの色である青色が表示されている。
この状態から、図2(C)に示すように、駆動回路20を開放状態に切り替えると、透明電極1上には電荷が保持されるため、この電極保持電荷のクーロン力で帯電粒子4aは、 透明電極2側に吸着された状態となる。つまり、一切エネルギーを供給していない状態で、表示面となる透明電極2側に帯電粒子4aが吸着した状態を保持し、表示面には帯電粒子4aの色である白色が表示され続けるようになる。
よって、最後に到達した定着面に帯電粒子4aを保持する能力を向上させることができるため、メモリー性を大幅に向上させることが可能となる。すなわち、この電気泳動ディスプレイ10をカードなど書き換えの少ない表示装置として適用すると、低消費電力で動作させることが可能となる。
ここで、本実施形態においては、 帯電粒子4aを内包する構造体が、マイクロカプセル型の電気泳動パネル10について説明したが、これに限らず、構造体が、一対の基板間に垂直方向に形成される隔壁型の電気泳動パネル10に適用することも可能である。
例えば、一対の基板の積層方向に帯電粒子4aが流動する場合、その一対の基板の内側に形成されたそれぞれの電極の内側に部材を介して構造体を形成するようにする。また、一対の基板の積層方向とは垂直な方向に帯電粒子4aが流動する場合、その隔壁を、部材が挟層された二層の構造体で構成するようにする。
ここで、電子機器として、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、ディジタルスチルカメラ、電子ブック、電子ペーパー、電子ノート、ディスプレイに適用した例として、図4〜図10を参照して説明する。
パーソナルコンピュータ200は、キーボード201を備えた本体部202と、表示ユニット203と、を備えている。ここで、このパーソナルコンピュータ200にあっては、表示ユニット203が、前述の電気泳動パネル10から構成されている。
図5は、携帯電話の構成を示す斜視図である。
携帯電話300は、複数の操作ボタン301と、受話口302と、送話口303と、表示パネル304と、を備えている。ここで、この携帯電話300にあっては、表示パネル304が、前述の電気泳動パネル10から構成されている。
ディジタルスチルカメラ400は、ケース401と、ケース401の背面に形成され、CCD(Charge Coupled Device)による撮像信号に基づいて、表示を行うようになっている表示パネル402と、ケース401の観察側(図においては裏面側)に形成される光学レンズやCCD等を含んだ受光ユニット403と、シャッタボタン404と、このシャッタボタン404を押した時点におけるCCDの撮像信号が、転送・格納される回路基板405と、を備えている。ここで、このディジタルスチルカメラ400にあっては、表示パネル402が、前述の電気泳動パネル10から構成されている。
電子ブック500は、ブック形状のフレーム501と、このフレーム501に開閉可能なカバー502とからなり、フレーム501の表面には表示面を露出させた状態の表示装置503と、操作部504と、を備えている。ここで、この電子ブック500にあっては、表示装置503が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
電子ペーパー600は、紙と同様の質感及び柔軟性を有するリライタブルシートからなる本体601と、表示ユニット602と、を備えている。ここで、この電子ペーパー600にあっては、表示ユニット602が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
電子ノート700は、カバー701と、このカバー701に挟まれた複数枚束ねられた電子ペーパー600と、を備えており、カバー701に表示データ入力手段を備えることにより、電子ペーパー600が束ねられた状態でその表示内容を変更することができる。ここで、この電子ノート700にあっては、電子ペーパー600が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
ディスプレイ800は、二組の搬送ローラ対802a、802bが備えられた本体部801と、この搬送ローラ対802a、802bに挟持された状態で本体部801に設置される電子ペーパー600と、本体部801の表示面側(図10(a)における上面側)に設けられた矩形孔803に嵌めこまれた透明ガラス板804と、本体部801の一端に設けられ、電子ペーパー600を本体部801に着脱自在に挿入する挿入口805と、電子ペーパー600の挿入方向先端部に設けられる端子部806にソケット807を介して接続可能なコントローラー808と、操作部809と、を備えている。ここで、このディスプレイ800にあっては、電子ペーパー600が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
なお、電子機器としては、これに限らず、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、上記電子機器の表示部として、前述した電気泳動ディスプレイ100を適用することが可能である。
Claims (8)
- 正に帯電する帯電粒子を内包させた、負に帯電する複数のマイクロカプセルと、
前記帯電粒子の位置を制御するための電極と、
前記複数のマイクロカプセルの間に配置され、アクリル系樹脂から構成され、負に帯電するバインダーと、
を備えてなる電気泳動装置の製造方法であって、
ポリカチオン性材料であるゼラチンとポリアニオン性材料であるアラビアゴムとを混合した液体材料を用いて前記マイクロカプセルを形成する工程と、
前記マイクロカプセルと、前記バインダー又は前記バインダーの前駆体との混合物を基板上に塗布する工程と、
を含み、
前記マイクロカプセルを形成する工程において、前記液体材料の水素イオン濃度をpH3.0〜pH4.5の範囲内とし、前記ポリカチオン性材料とポリアニオン性材料とを、組成比X(=ポリカチオン性材料/ポリアニオン性材料)が0.25≦X<1.00の範囲内となるように混合することを特徴とする電気泳動装置の製造方法。 - 請求項1に記載の電気泳動装置の製造方法において、
前記帯電粒子が酸化チタンとアルミニウム系カップリング材とを含むものであることを特徴とする電気泳動装置の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の電気泳動装置の製造方法において、
前記電極が、対向した一対の電極であることを特徴とする電気泳動装置の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法において、
前記マイクロカプセルがドデシルベンゼンからなる分散媒を含むことを特徴とする電気泳動装置の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法において、
前記マイクロカプセルが前記帯電粒子とは異なる色に着色された分散媒を含むことを特徴とする電気泳動装置の製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法を用いて製造された電気泳動装置。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法を用いて製造された電気泳動装置を含む表示体と、
前記表示体に駆動信号を供給する駆動回路と、
を備えたことを特徴とする電子機器。 - 請求項7に記載の電子機器において、
前記駆動回路がマルチプレックス方式で駆動されるものであることを特徴とする電子機器。
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