JP4582236B2 - 電気泳動装置の製造方法、電気泳動装置、電子機器 - Google Patents

電気泳動装置の製造方法、電気泳動装置、電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動現象を利用した電気泳動装置の製造方法、電気泳動装置、電子機器に関する。
電気泳動現象とは、本質的に正か負かのいずれかに帯電された帯電粒子と、この帯電粒子を分散させた分散媒との界面に発生する電気二重層を利用したものであって、帯電粒子が、電界によって受ける力を駆動力として、自身の有する電荷とは逆極性を有する電極側に泳動する現象である。
このような現象を利用した電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイEPD:Electrophoretic Display)は、構成の簡便さ、広視野角、高コントラスト比、低電圧駆動、低消費電力、並びに表示画像保持性能(以下、メモリー性と称す)を備え、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイでは実現困難な様々な特性を有するものとして注目されている。
この電気泳動ディスプレイは、一対の基板間に、本質的に正か負かのいずれかに帯電された帯電粒子と絶縁性を有する液体分散媒とからなる分散系が隔壁を介して封入されてなる構成をしており、それぞれの基板の内側にはそれぞれ電極が形成されている。ここで、この帯電粒子は、一対の基板間に電圧を印加することによって、自身が有する電荷とは逆極性を有する電極側に泳動するようになる。このとき、帯電粒子と、分散媒とを互いに異なる色に着色しておくことによって、表示を行うことができる。
つまり、帯電粒子が表示面となる一方の基板側に移動した場合には、帯電粒子自身の有する色が認識され、帯電粒子が他の基板側に移動した場合には、分散媒の色が認識されるようになる。
ここで、上記構成の電気泳動ディスプレイにおいて、電圧印加直後に回路を開放状態にすると、電極に電荷が保持されるため、この電極保持電荷のクーロン力で帯電粒子を吸着することができる。すなわち、電圧を印加しなくても、一定の静止画像を表示しつづけることが可能となる。
ところが、上記電気泳動ディスプレイにおいては、帯電粒子の凝集、分散媒との比重差による帯電粒子の沈降及び付着現象などによって、表示ムラが生じてしまうという不具合があった。
そこで、この問題を解決するために、帯電粒子と分散媒とからなる分散系を、複数のマイクロカプセルに内包するマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイが公知となっている(下記の特許文献1等を参照)。
特開2001−356375号公報
しかしながら、上記マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイにおいては、従来の電気泳動ディスプレイに比べてメモリー性が良好ではないという新たな不具合が発生した。
本発明者らは、その原因として、帯電粒子を内包する複数のマイクロカプセルと、この複数のマイクロカプセルの間に配置されるバインダーが、帯電粒子と同一の電荷であると、その反発力によってメモリー性が良好ではなくなるという点に着目し、本発明に至った。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、帯電粒子を内包する複数のマイクロカプセルと、その複数のマイクロカプセル間に配置されるバインダーの形成材料を調整することで、メモリー性を向上させることを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明に係る電気泳動装置の製造方法の一態様は、正に帯電する帯電粒子を内包させた、負に帯電する複数のマイクロカプセルと、前記帯電粒子の位置を制御するための電極と前記複数のマイクロカプセルの間に配置され、アクリル系樹脂から構成され、負に帯電するバインダーと、を備えてなる電気泳動装置の製造方法であって、ポリカチオン性材料であるゼラチンとポリアニオン性材料であるアラビアゴムとを混合した液体材料を用いて前記マイクロカプセルを形成する工程と、前記マイクロカプセルと、前記バインダー又は前記バインダーの前駆体との混合物を基板上に塗布する工程と、を含み、前記マイクロカプセルを形成する工程において、前記液体材料の水素イオン濃度をpH3.0〜pH4.5の範囲内とし、前記ポリカチオン性材料とポリアニオン性材料とを、組成比X(=ポリカチオン性材料/ポリアニオン性材料)が0.25≦X<1.00の範囲内となるように混合することを特徴とする。
前記帯電粒子は、酸化チタンとアルミニウム系カップリング材とを含むものであることが好ましい。
前記電気泳動装置は、前記電極が、対向した一対の電極であるものとすることができる。
前記電気泳動装置は、前記マイクロカプセルがドデシルベンゼンからなる分散媒を含むことができる。
前記電気泳動装置は、前記マイクロカプセルが前記帯電粒子とは異なる色に着色された分散媒を含むことができる。
本発明に係る電気泳動装置の一態様は、また、前記電気泳動装置の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明に係る電気泳動装置の製造方法の一態様を用いて製造された電気泳動装置は、マイクロカプセル及びバインダーと、帯電粒子とが異なる電荷を有するようになり、その間に反発力が生じなくなる。
本発明に係る電子機器の一態様は、また、前記電気泳動装置の製造方法を用いて製造された電気泳動装置を含む表示体と、前記表示体に駆動信号を供給する駆動回路と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る電子機器の他の態様は、また、前記駆動回路がマルチプレックス(単純マトリックス)方式で駆動されるものであることを特徴とするものであってもよい。
以上説明したように、本発明に係る電気泳動装置の製造方法の一態様においては、マイクロカプセルを形成する工程において、ポリカチオン性材料であるゼラチンとポリアニオン性材料であるアラビアゴムとを混合した液体材料の水素イオン濃度をpH3.0〜pH4.5の範囲内とし、前記ポリカチオン性材料とポリアニオン性材料とを、組成比X(=ポリカチオン性材料/ポリアニオン性材料)が0.25≦X<1.00の範囲内となるように混合することによって、マイクロカプセルと、帯電粒子とが異なる電荷を有するようになる。また、電極と前記複数のマイクロカプセルの間に配置されたバインダーがアクリル系樹脂からなるため、バインダーと帯電粒子とが異なる電荷を有するようになる。よって、これによれば、電気泳動装置のメモリー性を向上させることが可能となる。
本発明に係る電子機器の一態様においては、表示体として、本発明の方法で得られた電気泳動装置を備えたことによって、メモリー性を向上させることができるため、電圧を印加していない状態で長時間画像表示を行うことが可能となる。よって、電子機器を低消費電力で動作させることが可能となる。
また、メモリー性を向上させたことによって、実効的に回路の開放状態を維持できないようなマルチプレックス方式で駆動することも可能となるため、駆動回路にかかる製造工程及び製造コストを削減できるとともに、電子機器の小型化、薄型化を実現することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態においては、表示装置として好適な電気泳動装置の一例として、電気泳動パネルについて説明する。
図1は、本発明の電気泳動装置の一例として電気泳動パネルを示す断面図である。ここで、図1においては、電気泳動パネルの二画素分を示している。
電気泳動パネル(電気泳動装置)10は、図1に示すように、透明基板1と、この透明基板1に対向配置される対向基板6との間に、帯電粒子4aと分散媒4bとからなる分散系4を内包する構造体としてのマイクロカプセル3が、その複数の構造体間に配置される部材としてのバインダー5によって封入された構成をしており、透明基板1の内側(図1における下面側)には透明電極2が形成され、対向基板6の内側(図1における上面側)には対向電極7が形成されている。この電気泳動パネル10は、透明基板1側が表示面となっており、帯電粒子4aは、正極性に帯電させている。
透明基板1及び対向基板6は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエーテルサリフォン(PES)などの樹脂フィルム、或いはガラス、石英などの無機材料から形成される。ここで、少なくとも表示面側の透明基板1は、光透過性を有するものを用いるようにする。
透明電極2及び対向電極7は、いずれも、金属材料としてAl、Au、Pt、Ag、Ni、Ti、Crなどを用いることができ、少なくとも表示面側の透明電極2は、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO、SnO2 などの金属酸化物透明材料を用いるようにする。
帯電粒子4aは、絶縁性の分散媒4b中で帯電しうる材料が用いられ、本質的に正か負かのいずれかに帯電させている。この帯電粒子4aは、凝集や比重を下げるために界面活性剤または分散剤などを被覆する表面処理が施されているものが好ましい。また、その色は材料自身の色でも、着色材を添加したものでも、或いは、粒子表面に他の材料を積層、混合したものであってもよい。その形成材料として、例えば、材料自身の色を利用する酸化チタン(白色)や酸化アルミニウム(白色)、或いは着色剤を混合して利用するポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂などが挙げられる。ここで、着色剤としては、黒色を発色するカーボンや、公知の染顔料である、例えばフタロシアニンブルー、インダスレンブルー、ピーコオックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジンイエローなどを利用することができる。
分散媒4bは、シリコーンオイル、オリーブオイルなどの油類、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭水化物、ノルマルパラフィン、イソパラフィンなどの脂肪族炭水化物、ハロゲン化炭水化物、高純度石油など、帯電粒子4aが良好且つ安定に帯電することができる絶縁性液体から形成される。この分散媒4bは、染料などの着色剤を溶解又は分散させることで着色されているとともに、イオン性界面活性剤が混合されている。
マイクロカプセル3は、等電点よりもずれた水素イオン濃度pH3〜pH4.5の範囲を有するポリカチオン性材料であるゼラチンZ及びポリアニオン性材料であるアラビアゴムAの混合物から構成されており、具体的には、このゼラチンZとアラビアゴムAの組成比X(=Z/A)が、0.25≦X<1.00、或いは1.00≦X<4.00の範囲で混合されている。ここで、マイクロカプセル3を確実に形成できるように、組成比Xの下限をX=0.25とし、上限をX=4.00としている。なお、ポリアニオン性材料はこれに限らず、例えば、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、寒天、ポリビニルベンゼンスルホン酸、ポリビニルメチルエーテル無水マレイン酸から選ばれた少なくとも一つの化合物を含むようにすればよい。
バインダー5は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸誘導体の重合によって作られるアクリル系樹脂から構成されている。
次に、上記構成の電気泳動パネル10の製造方法について説明する。図3は、本発明の電気泳動パネルの製造工程のうち、マイクロカプセルの製造工程を示す説明図である。
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる透明基板1及び対向基板6の一面に、ITOからなる透明性膜をスパッタリング法などを用いてそれぞれ成膜し、透明電極2及び対向電極7を形成しておく。
次いで、図3に示すように、帯電粒子4aとなるチタニア粒子CR−90(石原産業株式会社製)50g、チタネート系カップリング剤KR−TTS(味の素株式会社製)2.3g、アルミニウム系カップリング材AL−M(味の素株式会社製)1g、分散媒4bとなるドデシルベンゼン(関東化学株式会社製)300gを、500mlフラスコに取り、攪拌と超音波印加によりチタニア粒子を分散する(A’)。そして、分散された分散液を100g分取し、この分散液にアントラキノン系青色染料(中央合成化学社製)1.8gを溶解し、白色を有する帯電粒子4aと、青色に着色された分散媒4bとからなる分散系4を形成する(B’)。
次いで、500mlのビーカーに、アラビアゴム粉末A(関東化学株式会社製)を2.2g≦A<5.5g、或いは5.5g<A≦8.8gの範囲と、ゼラチン粉末Z(関東化学株式会社製)を2.2g≦Z<5.5g、或いは5.5g<Z≦8.8gの範囲とで、合わせて11.0gとなるように量り取り、水60gに溶解する(A)。
次いで、この溶解液を、回転速度250rpmで攪拌しながら、さらにこの溶解液内にチタニア分散液を滴下する(B)。滴下後、回転速度を1300rpmに上げ、さらに1時間の攪拌を行う。
次いで、1時間の攪拌後、回転速度を500rpmに落とし、溶解液内に温水300mlを添加する(C)。そして、同様の回転速度によって、さらに30分の攪拌を行う。
次いで、30分の攪拌後、 溶解液内に10%酢酸溶液11mlを滴下する(D)。そして、溶解液全体を0℃に冷却しながら、回転速度500rpmで2時間攪拌を続行する(E)。
次いで、2時間の攪拌後、溶解液内にホルマリン溶液(関東化学株式会社製)を2.7ml添加する(F)。さらに、この溶解液内に10%炭酸ナトリウム溶液22mlを滴下する(G)。
次いで、この溶解液全体を室温に戻し(H)、攪拌を一夜続行することで、ゼラチンZとアラビアゴムAからなる被膜に、帯電粒子4aであるチタニア粒子と分散媒4bであるドデシルベンゼンとからなる分散系4を内包した状態でマイクロカプセル3が作成される(I)。
ここで、上記構成で形成されたマイクロカプセル3のうち、大きな粒子のマイクロカプセル3はふるいなどで除去し、小さな粒子のマイクロカプセル3は分液ロートなどを用いて除去することで、マイクロカプセル3の粒径を40〜60μmにそろえる。
次いで、マイクロカプセル3の分散した溶解液をブフナーロートなどにより、 マイクロカプセル3を濃縮し、溶解液内に60%のマイクロカプセル3が含有されている状態とする。
次いで、このマイクロカプセル3の分散した溶解液と、エマルジョン状態のアクリル系バインダーE272(三井東圧株式会社製)5とを、乾燥後の最終重量比が5:1となるように混合する。ここで、アクリル系バインダー5は、これに限らず、E208、E264、E271(いずれも三井東圧株式会社製)を使用しても構わない。
次いで、アクリル系バインダー5と混合したマイクロカプセル3を、コータなどを用いて、予め対向電極7としてITOが形成されている対向基板6に150・高フ膜厚となるように塗布し、90℃で20分間乾燥を行う。ここで、対向電極7の上面に一層のマイクロカプセル3が形成される。
次いで、このマイクロカプセル3が上面に形成された対向基板6のさらに上面に、予め透明電極2としてITOが形成されている透明基板1を重ねて張り合わせることによって、透明基板1と対向基板6との間に一層のマイクロカプセル3を封入してなる構成を有する電気泳動パネル10を完成させる。
さらに、上記電気泳動パネル10における透明電極2と対向基板7とに配線を介して駆動回路20を接続させることで、表示体として電気泳動パネル10を備えた電気泳動ディスプレイ(表示装置)100を形成することができる。
このような電気泳動ディスプレイ100の一駆動例について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の電気泳動ディスプレイの一駆動例を示す説明図である。ここで、図2の電気泳動パネル10においては、一画素分を示している。
電気泳動ディスプレイ100は、図2(A)に示すように、透明電極2及び対向電極7に電圧を印加していない状態の時は、マイクロカプセル3に内包された帯電粒子4aは重力に従って、図中下方に位置した状態にある。つまり、表示面となる透明基板1側には、分散媒4bが認識されるため、表示面には分散媒4bの色である青色が表示されている。
この状態から、図2(B)に示すように駆動回路20を接続し、透明電極2に負電荷、 対向電極7に正電荷を誘導すると、正極性に帯電した帯電粒子4aは負電荷に誘導された透明電極2側に泳動する。つまり、表示面となる透明基板1側には、帯電粒子4aが認識されるため、表示面には帯電粒子4aの色である白色が表示されるようになる。
この状態から、図2(C)に示すように、駆動回路20を開放状態に切り替えると、透明電極1上には電荷が保持されるため、この電極保持電荷のクーロン力で帯電粒子4aは、 透明電極2側に吸着された状態となる。つまり、一切エネルギーを供給していない状態で、表示面となる透明電極2側に帯電粒子4aが吸着した状態を保持し、表示面には帯電粒子4aの色である白色が表示され続けるようになる。
そして、この状態から、図2(D)に示すように、透明電極2に正電荷、対向電極7に負電荷を誘導するように駆動回路20を接続すると、帯電粒子4aは、透明電極2における保持電荷のクーロン力の束縛から開放され、対向電極7側に泳動する。つまり、表示面となる透明基板1側には、分散媒4bが認識されるため、表示面には分散媒4bの色である青色が表示されるようになる。
上記構成の電気泳動ディスプレイ100において、帯電粒子4a及び分散媒4bとからなる分散系4を内包しているマイクロカプセル3を、等電点よりもずれた水素イオン濃度pH 3. 0〜pH4.5を有するゼラチンZとアラビアゴムAとの混合物、具体的には、組成比X(=Z/A)が、0.25≦X<1.00、或いは、1.00<X≦4.00の範囲で混合されたゼラチンZとアラビアゴムAとで形成したことによって、マイクロカプセル3及びバインダー5の電荷と帯電粒子4aの電荷とが異なるようになるため、印加電圧をゼロとした場合に、マイクロカプセル3及びバインダー5と、帯電粒子4aとの間に反発力が生じなくなる。
よって、最後に到達した定着面に帯電粒子4aを保持する能力を向上させることができるため、メモリー性を大幅に向上させることが可能となる。すなわち、この電気泳動ディスプレイ10をカードなど書き換えの少ない表示装置として適用すると、低消費電力で動作させることが可能となる。
また、メモリー性を向上させたことによって、実効的には回路の開放状態を維持できないようなマルチプレックス方式で駆動することが可能となるため、駆動回路を形成する製造工程及び製造コストを削減することが可能となる。
ここで、本実施形態においては、 帯電粒子4aを内包する構造体が、マイクロカプセル型の電気泳動パネル10について説明したが、これに限らず、構造体が、一対の基板間に垂直方向に形成される隔壁型の電気泳動パネル10に適用することも可能である。
このとき、帯電粒子4aは、一対の基板と、これらの基板間に配置される隔壁とによって形成された空間に封入されており、少なくともこの帯電粒子4aの流動方向に、上述のバインダーなどの部材を介して配置されるポリカチオン性材料とポリアニオン性材料との混合物からなる構造体を形成するようにする。
例えば、一対の基板の積層方向に帯電粒子4aが流動する場合、その一対の基板の内側に形成されたそれぞれの電極の内側に部材を介して構造体を形成するようにする。また、一対の基板の積層方向とは垂直な方向に帯電粒子4aが流動する場合、その隔壁を、部材が挟層された二層の構造体で構成するようにする。
なお、本実施形態において、本発明の電気泳動パネル10を備えた電子機器として、電気泳動ディスプレイ100について説明したが、これに限らず、その他の電子機器に適用することが可能である。
ここで、電子機器として、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、ディジタルスチルカメラ、電子ブック、電子ペーパー、電子ノート、ディスプレイに適用した例として、図4〜図10を参照して説明する。
図4は、パーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
パーソナルコンピュータ200は、キーボード201を備えた本体部202と、表示ユニット203と、を備えている。ここで、このパーソナルコンピュータ200にあっては、表示ユニット203が、前述の電気泳動パネル10から構成されている。
図5は、携帯電話の構成を示す斜視図である。
携帯電話300は、複数の操作ボタン301と、受話口302と、送話口303と、表示パネル304と、を備えている。ここで、この携帯電話300にあっては、表示パネル304が、前述の電気泳動パネル10から構成されている。
図6は、ディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、外部機器との接続についても簡易的に示している。
ディジタルスチルカメラ400は、ケース401と、ケース401の背面に形成され、CCD(Charge Coupled Device)による撮像信号に基づいて、表示を行うようになっている表示パネル402と、ケース401の観察側(図においては裏面側)に形成される光学レンズやCCD等を含んだ受光ユニット403と、シャッタボタン404と、このシャッタボタン404を押した時点におけるCCDの撮像信号が、転送・格納される回路基板405と、を備えている。ここで、このディジタルスチルカメラ400にあっては、表示パネル402が、前述の電気泳動パネル10から構成されている。
また、ディジタルスチルカメラ400におけるケース401の側面には、ビデオ信号出力端子406と、データ通信用の入出力端子407とが設けられており、前者にはテレビモニタ406Aが、後者にはパーソナルコンピュータ407Aが、それぞれ必要に応じて接続されている。そして、所定の操作によって、回路基板405のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ406Aや、パーソナルコンピュータ407Aに出力される構成となっている。
図7は、電子ブックの構成を示す斜視図である。
電子ブック500は、ブック形状のフレーム501と、このフレーム501に開閉可能なカバー502とからなり、フレーム501の表面には表示面を露出させた状態の表示装置503と、操作部504と、を備えている。ここで、この電子ブック500にあっては、表示装置503が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
図8は、電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
電子ペーパー600は、紙と同様の質感及び柔軟性を有するリライタブルシートからなる本体601と、表示ユニット602と、を備えている。ここで、この電子ペーパー600にあっては、表示ユニット602が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
図9は、図8における電子ペーパーを適用した電子ノートの構成を示す斜視図である。
電子ノート700は、カバー701と、このカバー701に挟まれた複数枚束ねられた電子ペーパー600と、を備えており、カバー701に表示データ入力手段を備えることにより、電子ペーパー600が束ねられた状態でその表示内容を変更することができる。ここで、この電子ノート700にあっては、電子ペーパー600が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
図10は、図8における電子ペーパーを適用したディスプレイ800の構成を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。
ディスプレイ800は、二組の搬送ローラ対802a、802bが備えられた本体部801と、この搬送ローラ対802a、802bに挟持された状態で本体部801に設置される電子ペーパー600と、本体部801の表示面側(図10(a)における上面側)に設けられた矩形孔803に嵌めこまれた透明ガラス板804と、本体部801の一端に設けられ、電子ペーパー600を本体部801に着脱自在に挿入する挿入口805と、電子ペーパー600の挿入方向先端部に設けられる端子部806にソケット807を介して接続可能なコントローラー808と、操作部809と、を備えている。ここで、このディスプレイ800にあっては、電子ペーパー600が前述の電気泳動パネル10から構成されている。
このディスプレイ800は、本体部801に設置した電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。また、この電子ペーパー600は本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から外した状態で携帯して使用することもできる。
なお、電子機器としては、これに限らず、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、上記電子機器の表示部として、前述した電気泳動ディスプレイ100を適用することが可能である。
次に、本発明における電気泳動ディスプレイ100のマイクロカプセル3を構成するゼラチンZとアラビアゴムAとの組成比X(=Z/A)と、バインダーと、帯電粒子4aの保持力(メモリー性)と、の関係を示した結果を表1に示す。なお、表1におけるバインダー1はいずれもエマルジョン系のものを使用し、シリコン系バインダーとしては、POLON−MF−40(信越化学工業株式会社製)を用いた。また、ウレタン系バインダーとしては、WL−501FX、或いはWL−502(いずれも日本ポリウレタン工業株式会社製)を用いた。さらに、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)系バインダーとしては、ダイアボンド150(ノガワケミカル社製)を用いた。
Figure 0004582236
表1から分かるように、バインダー5としてシリコン系、ウレタン系、SBR(スチレン・ブタジエンゴム系を用いた場合には、ゼラチンZとアラビアゴムAとの組成比X(=Z/A)をいずれのものとしても、メモリー性が見られなかった。一方、バインダー5としてアクリル系バインダーを用いた場合には、組成比がX=1.00の場合を除いて良好なメモリー性を確認することができた。
ここで、組成比がX=1.00の場合には、メモリー性は10分ほどしか見られなかった。また、組成比がX=4.00、1.86、1.22、0.82、0.54、0.25の場合には、いずれも6ヶ月経過後も依然としてメモリー性を維持している。
本発明の電気泳動パネルを示す断面図である。 本発明の電気泳動ディスプレイの一駆動例を示す説明図である。 本発明の電気泳動パネルの製造工程のうち、マイクロカプセルの製造工程を示す説明図である。 モバイル型パーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 携帯電話の構成を示す斜視図である。 ディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 電子ブックの構成を示す斜視図である。 電子ペーパーの構成を示す斜視図である。 図8における電子ペーパーを適用した電子ノートの構成を示す斜視図である。 図8における電子ペーパーを適用したディスプレイの構成を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。
符号の説明
1 透明基板、2 透明電極、3 マイクロカプセル、4 分散系、4a 帯電粒子、4b 分散媒、5 バインダー、6 対向基板、7 対向電極、10 電気泳動パネル(電気泳動装置)、20 駆動回路、100 電気泳動ディスプレイ(電子機器)、200 パーソナルコンピュータ(電子機器)、201 キーボード、202 本体部、203 表示ユニット、300 携帯電話(電子機器)、301 操作ボタン、302 受話口、303 送話口、304 表示パネル、400 ディジタルスチルカメラ(電子機器)、401 ケース、402 表示パネル、403 受光ユニット、404 シャッタボタン、405 回路基板、406 ビデオ信号出力端子、406A テレビモニタ、407 データ通信用の入出力端子、407A パーソナルコンピュータ、500 電子ブック (電子機器)、501 フレーム、502 カバー

Claims (8)

  1. 正に帯電する帯電粒子を内包させた、負に帯電する複数のマイクロカプセルと、
    前記帯電粒子の位置を制御するための電極と、
    前記複数のマイクロカプセルの間に配置され、アクリル系樹脂から構成され、負に帯電するバインダーと、
    を備えてなる電気泳動装置の製造方法であって、
    ポリカチオン性材料であるゼラチンとポリアニオン性材料であるアラビアゴムとを混合した液体材料を用いて前記マイクロカプセルを形成する工程と、
    前記マイクロカプセルと、前記バインダー又は前記バインダーの前駆体との混合物を基板上に塗布する工程と、
    を含み、
    前記マイクロカプセルを形成する工程において、前記液体材料の水素イオン濃度をpH3.0〜pH4.5の範囲内とし、前記ポリカチオン性材料とポリアニオン性材料とを、組成比X(=ポリカチオン性材料/ポリアニオン性材料)が0.25≦X<1.00の範囲内となるように混合することを特徴とする電気泳動装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の電気泳動装置の製造方法において、
    前記帯電粒子が酸化チタンとアルミニウム系カップリング材とを含むものであることを特徴とする電気泳動装置の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の電気泳動装置の製造方法において、
    前記電極が、対向した一対の電極であることを特徴とする電気泳動装置の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法において、
    前記マイクロカプセルがドデシルベンゼンからなる分散媒を含むことを特徴とする電気泳動装置の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法において、
    前記マイクロカプセルが前記帯電粒子とは異なる色に着色された分散媒を含むことを特徴とする電気泳動装置の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法を用いて製造された電気泳動装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気泳動装置の製造方法を用いて製造された電気泳動装置を含む表示体と、
    前記表示体に駆動信号を供給する駆動回路と、
    を備えたことを特徴とする電子機器。
  8. 請求項7に記載の電子機器において、
    前記駆動回路がマルチプレックス方式で駆動されるものであることを特徴とする電子機器。
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