JP4581622B2 - 刃具寿命診断システム - Google Patents
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Description
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、工作機械が変更又は追加された際に刃具寿命を自動で判定するための事前作業を容易に行うことができる刃具寿命診断システムを提供することを目的としている。
前記刃具が寿命未達状態又は未破損状態でワークを切削可能な負荷運転電力の上限及び下限に対応する上限値及び下限値を、前記残差データに予め定められた値を加減算して算出する算出手段と、前記算出手段で算出された上限値及び下限値に、追加された工作機械の無負荷運転電力値を加算して上限判定値及び下限判定値を求める加算手段とを備え、前記加算手段で求められた上限判定値及び下限判定値を、追加された工作機械の診断装置に前記設定値として設定することを特徴とする。
この構成によれば、複数の工作機械の運転電力値から求めた残差データの平均値を用いるので、より精度良く設定値である上限判定値及び下限判定値を求めることができる。従って、より精度良く刃具寿命を判定することができる。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る刃具寿命診断システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す刃具寿命診断システム10は、複数の工作機械12−1〜12−nと、各工作機械12−1〜12−nに個々に配線接続された診断装置14−1〜14−nと、各診断装置14−1〜14−nにLAN(Local Area Network)回線16を介して接続された1台のコンピュータ(端末装置)18とを備えて構成されている。但し、各診断装置14−1〜14−nは、各工作機械12−1〜12−nに組み込まれている場合もある。
各診断装置14−1〜14−nは、図2に診断装置14−nの内部構成を代表して示すように、データ記憶部21と、警報設定値記憶部22と、異常検出部23と、警報表示部24とを備えて構成されている。
警報設定値記憶部22は、コンピュータ18で得られた警報設定値を記憶するものである。
警報表示部24は、異常判定部23で刃具の異常が検出された際に警報を表示するものである。この表示に代えアラーム音を鳴動、又はそれら双方の実行を行うようにしてもよい。
データ記憶部31は、既設の1台の工作機械(例えば12−1)のデータ記憶部21に記憶された負荷運転電力データ及び無負荷運転電力データを受信して記憶すると共に、追加(又は変更)された工作機械(例えば12−n)のデータ記憶部21に記憶された無負荷運転電力データを受信して記憶するものである。
図3は、負荷運転電力データを求めた際の電力波形図である。この電力波形は、モータの起動時である時刻t1までにおいて、瞬時に立ち上がる起動電力部分41と、その後、時刻t1〜t2間において即時立ち下がって谷状となるアイドル運転区間Aと、この区間Aの次に時刻t2〜t3において所定位置まで立ち上がって当該位置をほぼ保持する切削運転区間Bとを有して成る。
図5は、負荷運転電力波形から無負荷運転電力波形を減算して得られた電力波形図である。即ち、図3の電力波形から図4の電力波形のアイドル運転区間Cを減算して残った残差波形であり、この残差波形レベルの平均値が残差データに対応している。
無負荷運転電力加算部34は、上限値U及び下限値Dに追加工作機械12−nの無負荷運転電力を加算することによって、図7に示すように、上限値U及び下限値Dを嵩上げした上限判定値U1及び下限判定値D1を得るものである。この上限判定値U1及び下限判定値D1が警報設定値として、追加工作機械12−nの診断装置14−nの警報設定値記憶部22に記憶されるようになっている。
まず、ステップS1において、既存工作機械12−1がアイドル運転時の場合に刃具駆動用のモータから得られる無負荷運転電力と、所定の刃具でワークを切削している際に得られる負荷運転電力データとが、既存工作機械12−1のデータ記憶部21に記憶される。この記憶された各データは、コンピュータ18のデータ記憶部31に転送されて記憶される。このコンピュータ18に記憶されるまでの処理は、既存工作機械12−1の刃具寿命診断時に既に実施されている。
ステップS3において、無負荷運転電力減算部32にて、データ記憶部31に記憶された既存工作機械12−1の負荷運転電力データから同工作機械12−1の無負荷運転電力データが減算され、この結果である残差データが求められる。
ステップS5において、無負荷運転電力加算部34にて、それら上限値U及び下限値Dに追加工作機械12−nの無負荷運転電力が加算され、これによって上限判定値U1及び下限判定値D1が得られる。
この記憶後、ステップS7において、追加工作機械12−nがワークを刃具で切削する負荷運転を行うと、ステップS8において、追加工作機械12−nの診断装置14−nの異常検出部23にて、刃具の異常が検出されたか否かが判断される。これは、当該工作機械12−nから得られる負荷運転電力データが、警報設定値記憶部22に記憶された警報設定値である上限判定値U1を越えたか、下限判定値D1を下回ったかによって判断される。
このように、本実施の形態の刃具寿命診断システム10によれば、工作機械12−nが追加された場合、この際、追加工作機械12−nは診断装置14−nを介してLAN回線16でコンピュータ18に接続される。この接続後、追加工作機械12−nをアイドル運転すれば、コンピュータ18の無負荷運転電力加算部34において、追加工作機械12−nの無負荷運転電力値が、既に既存工作機械12−1で求められている上限値U及び下限値Dに加算される。
つまり、工作機械12−nを追加(又は変更)した際に、この追加工作機械12−nの診断装置14−nを、コンピュータ18が接続されたLAN回線16に接続してアイドル運転するだけで、容易に診断装置14−nに刃具寿命(又は損傷)を判定するための警報設定値を設定することができる。
この他、上記の無負荷運転電力減算部32にて、複数の工作機械毎に残差データを求め、上下限判定値計算部33において、それら残差データの平均値から上限値U及び下限値Dを求めるようにしてもよい。
また、各工作機械12−1〜12−nの無負荷運転電力をアイドル運転時に測定する代わりに、切削時の負荷運転電力の切削前後の無負荷電力領域を、無負荷運転電力として用いてもよい。このようにすれば、アイドル運転を行って無負荷運転電力を測定しなくても良いので、その分、刃具寿命を自動で判定するための事前作業を軽減させることができる。
更には、各工作機械12−1〜12−nの運転電力データをコンパクトフラッシュ(登録商標)、フロッピー(登録商標)ディスク、SRAMカード、ハードディスク等の物理媒体を介して、コンピュータ18と各診断装置14−1〜14−nとの間で転送するようにしてもよい。この場合、複数の工作機械12−1〜12−nを通信ネットワークを介して接続するシステムでなくとも、1台のコンピュータ18で上記同様に警報設定値を求めて追加工作機械12−nの診断装置14−nに設定することができる。
12−1〜12−n 工作機械
14−1〜14−n 診断装置
16 LAN回線
18 コンピュータ
21 データ記憶部
22 警報設定値記憶部
23 異常検出部
24 警報表示部
31 データ記憶部
32 無負荷運転電力減算部
33 上下限判定値計算部
34 無負荷運転電力加算部
Claims (2)
- 少なくとも1つの刃具及び当該刃具を駆動するモータを有する複数台の工作機械と、この工作機械のモータの電力値を、予め設定された設定値と比較して刃具寿命を診断する前記工作機械に個々に接続された診断装置と、この診断装置を介して複数台の工作機械と通信ネットワークにて接続された通信及び情報処理機能を有する端末装置とを有する刃具寿命診断システムにおいて、
前記端末装置に、
既存の工作機械のモータ空運転時の無負荷運転電力値及び前記刃具によるワーク切削時の負荷運転電力値と、追加された工作機械の無負荷運転電力値とを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された既存の工作機械の負荷運転電力値から既存の工作機械の無負荷運転電力値を減算して残差データを求める減算手段と、
前記刃具が寿命未達状態又は未破損状態でワークを切削可能な負荷運転電力の上限及び下限に対応する上限値及び下限値を、前記残差データに予め定められた値を加減算して算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された上限値及び下限値に、追加された工作機械の無負荷運転電力値を加算して上限判定値及び下限判定値を求める加算手段とを備え、
前記加算手段で求められた上限判定値及び下限判定値を、追加された工作機械の診断装置に前記設定値として設定する
ことを特徴とする刃具寿命診断システム。 - 前記減算手段が複数の工作機械毎に前記残差データを求め、前記算出手段が前記減算手段で求められた複数の残差データの平均値から前記上限値及び前記下限値を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の刃具寿命診断システム。
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