JP4581283B2 - 動圧軸受装置、回転駆動装置および記録装置 - Google Patents

動圧軸受装置、回転駆動装置および記録装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧軸受装置およびその製造方法に関し、またその動圧軸受装置を備える回転駆動装置および記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図24は、典型的な従来の技術の動圧軸受装置1を備える記録装置(本例ではハードディスク装置)2を簡略化して示す断面図であり、図25は、記録装置2を簡略化して示す平面図であり、図26は、動圧軸受装置1を簡略化して示す断面図である。動圧軸受装置1は、スリーブ3に軸体4を挿入し、スリーブ3および軸体4間に潤滑油5を介在させて構成され、スリーブ3に非接触で、軸体4を軸線L1まわりに回転自在に支持することができる。スリーブ3は、内周面が円筒状に形成され、軸体4は、外周面が円筒状に形成され、そのスリーブ3の内周面または軸体4の外周面のいずれか一方にヘリングボーン状の溝が形成され、動圧軸受装置1は、周方向に関して均一な動圧を得て、周方向に均一な軸受剛性を有している。
【0003】
記録装置2は、軸体4を含む回転基体に固定されるディスク6を備え、図示しない回転駆動源によってディスク6を回転し、ヘッド7によってディスク6に対して情報の読取および書込をすることができるように構成される。記録装置2は、高密度の記録を実現するために、ディスク6を高速度で回転することが望まれ、この高速化を実現するとともに、それに伴う騒音を低減するために、非接触で支持可能な動圧軸受装置1が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
動圧軸受装置1は、スリーブ3と軸体4との間の軸受間隙を大きくすると、両部材と潤滑油との抵触抵抗が小さくなり、より高速化を実現することができるが、軸受剛性が低く回転基体は不安定な状態となりやすくなり、軸受間隙を小さくすると、軸受剛性を高くすることができるが、高速化が困難になる。したがって高密度記録を実現するために記録装置2に搭載される動圧軸受装置1は、高速化を実現するために、軸受間隙を大きくせざるを得ず、軸受剛性が低くなってしまう。
【0005】
記録装置2では、情報の読取および書込をするためのヘッド7がディスク6表面に近接または接触しており、ディスク6の回転に伴う空気流によって、ヘッド7とディスク6との間に空気圧が生じ、矢符Aで示すように、ディスク6が押圧される。このようにディスク6が外力を受けてしまうと、軸体4の上端部が軸線L1からヘッド7に向かう方向Bに外力を受けてしまう。このような外力を受けると、動圧軸受装置1の軸受剛性が低いので、仮想線9で示すように、ディスク6が軸体4とともに傾いてしまう。このようなディスク6の傾転は、情報の読取および書込を不可能にするので、軸受剛性が低くなることは、高密度記録の妨げになってしまうという問題がある。
【0006】
他の従来の技術として、特開平5−215128には、ディスク駆動装置に搭載される動圧軸受装置が示されている。この動圧軸受装置は、ラジアル動圧軸受であって、ディスクおよび軸体を含む回転基体の振回りを防止するために、軸受間隙を周方向で不均一にしている。この動圧軸受装置は、ディスクおよび軸体を含む回転基体の振回りを防止するために、軸受間隙を不均一にしているが、このように単に軸受間隙を不均一にするだけでは、回転軸線に対して特定方向からの外力に対して、この外力に抗して軸体の変位を防止することができない。換言すれば、特開平5−215128に示される動圧軸受装置をそのまま用いるだけでは、上述のようなディスクの傾転を防止することができない。
【0007】
本発明の目的は、回転軸線に対して特定角度方向の位置で作用する外力に対して、回転基体の不所望な変位を防止することができる動圧軸受装置を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、回転軸線に対して特定角度方向の位置で記録媒体ディスクに作用する外力に対して、ディスクの不所望な変位を防止して回転駆動することができる回転駆動装置を提供することである。
【0009】
また本発明の目的は、回転軸線に対して特定角度方向の位置で記録媒体ディスクに作用する外力に対して、ディスクの不所望な変位を防止して高密度の記録が可能である記録装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する為の、請求項1に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、回転基体を回転自在に支持するためにこの回転基体のラジアル荷重を支持するラジアル軸受部を有する動圧軸受装置であって、
回転基体の回転軸線に対して特定角度方向の部位において発生する動圧を、他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、この特定角度方向の部位における軸受剛性を、他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くして、
その特定角度方向は、回転基体に外嵌されつつ固定された記録媒体ディスクに対して情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドが走査する走査領域に向かう方向および回転基体の回転軸線に対してその走査領域の反対方向であることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明に従えば、ラジアル荷重を支持するためのラジアル軸受部に、軸受剛性を高くする部位が設けられ、記録媒体ディスクを回転駆動するための回転駆動装置に搭載され、ヘッドが走査する領域に向かう方向およびその反対方向の部位における動圧を、他の角度方向の部位における動圧よりも高くして、この特定角度方向の軸受剛性を、他の角度方向の軸受剛性よりも高くしている。言い換えるならば、回転基体の不所望な変位を防止するのに従来の技術のようにラジアル動圧軸受装置の軸受間隙を周方向に不均一にして単に軸受剛性に強弱をもたせるだけでなく、その不所望に変位する原因である特定角度方向に作用する外力に着目し、特定角度方向の部位における軸受剛性を高くするところに特徴がある。これにより、記録媒体ディスクの回転に伴う空気流によって、ヘッドが走査する領域が押圧されても、この外力に抗して、記録媒体ディスクが不所望に変位、すなわち傾転してしまうことを防ぐことができる。また、固定支持体に対して回転基体がより早期に非接触の状態となり、迅速かつ円滑な軌道を実現することができる。しかも当該装置内で発生する動圧を調製することでその作用を得ることができるため、当該装置外の構成を変更する必要がなく、比較的簡単な構成とすることができる。
【0012】
上記の課題を解決する為の、請求項2に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、回転基体を回転自在に支持するためにこの回転基体のスラスト荷重を支持するスラスト軸受部を有する動圧軸受装置であって、
回転基体の回転軸線に対して特定角度方向の部位において発生する動圧を、他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、この特定角度方向の部位における軸受剛性を、他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くして、
その特定角度方向は、回転基体に外嵌されつつ固定された記録媒体ディスクに対して情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドが走査する走査領域に向かう方向および回転基体の回転軸線に対してその走査領域の反対方向であることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明に従えば、スラスト荷重を支持するためのスラスト軸受部に、軸受剛性を高くする部位が設けられ、記録媒体ディスクを回転駆動するための回転駆動装置に搭載され、ヘッドが走査する領域に向かう方向およびその反対方向の部位における動圧を、他の角度方向の部位における動圧よりも高くして、この特定角度方向の軸受剛性を、他の角度方向の軸受剛性よりも高くしている。言い換えるならば、回転基体の不所望な変位を防止するのに従来の技術のようにラジアル動圧軸受装置の軸受間隙を周方向に不均一にして単に軸受剛性に強弱をもたせるだけでなく、その不所望に変位する原因である特定角度方向に作用する外力に着目し、特定角度方向の部位における軸受剛性を高くするところに特徴がある。これにより、記録媒体ディスクの回転に伴う空気流によって、ヘッドが走査する領域が押圧されても、この外力に抗して、記録媒体ディスクが不所望に変位、すなわち傾転してしまうことを防ぐことができる。また、固定支持体に対して回転基体がより早期に非接触の状態となり、迅速かつ円滑な軌道を実現することができる。しかも当該装置内で発生する動圧を調製することでその作用を得ることができるため、当該装置外の構成を変更する必要がなく、比較的簡単な構成とすることができる。
【0014】
【0015】
【0016】
上記の課題を解決する為の、請求項3に記載の動圧軸受装置は、
特定角度方向の部位における軸受間隙が、他の角度方向の部位における軸受間隙よりも小さいことを特徴とする。
【0017】
【0018】
上記の課題を解決する為の、請求項4に記載の動圧軸受装置は、
周方向に一様な軸受間隙を有し、固定支持体に動圧を発生させるための動圧溝が形成され、特定角度方向の部位における動圧溝の深さが軸受間隙の寸法とほぼ同一に形成され、他の角度方向の部位における動圧溝の深さが軸受間隙の寸法と異なる寸法に形成されることを特徴とする。
【0019】
【0020】
上記の課題を解決する為の、請求項5に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体に動圧を発生させるための動圧溝が形成され、特定角度方向の部位における動圧溝の占める面積が、他の角度方向の部位における動圧溝の占める面積よりも小さいことを特徴とする。
【0021】
【0022】
上記の課題を解決する為の、請求項6に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体に、流体を屈曲領域に導いて動圧を発生させるためのV字状の動圧溝が形成され、特定角度方向の部位における動圧溝の屈曲角度が、他の角度方向の部位における動圧溝の屈曲角度よりも小さいことを特徴とする。
【0023】
【0024】
上記の課題を解決する為の、請求項7に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体の軸受間隙に臨む表面は、特定角度方向の部位における表面粗さが、他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さいことを特徴とする。
【0025】
【0026】
上記の課題を解決する為の、請求項8に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体はスリーブ体と自然状態で円筒状であり且つスリーブ体の内径が楕円となるようにこのスリーブ体を保持する保持体とを有し、かつ回転基体はスリーブ体に挿通される軸体を有し、前記ラジアル軸受部はこれらスリーブ体と軸体とによって構成され、スリーブ体の内周面は、特定角度方向の部位における内径が、他の角度方向の部位における内径よりも小さい形状に形成され、軸体の外周面は、円筒状に形成されることを特徴とする。
【0027】
【0028】
上記の課題を解決する為の、請求項9に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体は軸体を有し、かつ回転基体は軸体が挿通されるスリーブ体を有し、前記ラジアル軸受部はこれらスリーブ体と軸体とによって構成され、軸体の外周面は、特定角度方向の部位における外径が、他の角度方向の部位における外径よりも大きい形状に形成され、スリーブ体の内周面は、円筒状に形成されることを特徴とする。
【0029】
【0030】
上記の課題を解決する為の、請求項10に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、回転基体を回転自在に支持するためにこの回転基体のラジアル荷重を支持するラジアル軸受部を有する動圧軸受装置であって、
固定支持体の軸受間隙に臨む表面は、特定角度方向の部位における表面粗さが、他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さく、
回転基体の回転軸線に対して特定角度方向の部位において発生する動圧を、他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、この特定角度方向の部位における軸受剛性を、他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くすることを特徴とする。
【0031】
請求項10に記載の発明に従えば、ラジアル荷重を支持するためのラジアル軸受部に、軸受剛性を高くする部位が設けられる。特定角度方向への外力に対して、回転基体のスライド変位を確実に防ぐことができ、回転基体の振回り防止効果も同時に達成することができる。また起動時に、ラジアル軸受部における動圧が迅速に高くなるので、回転軸線を水平またはほぼ水平に配置して設けられる場合に、固定支持体に対して回転基体がより早期に非接触の状態となり、迅速かつ円滑な軌道を実現することができる。
【0032】
上記の課題を解決する為の、請求項11に記載の動圧軸受装置は、
固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、回転基体を回転自在に支持するためにこの回転基体のスラスト荷重を支持するスラスト軸受部を有する動圧軸受装置であって、
固定支持体の軸受間隙に臨む表面は、特定角度方向の部位における表面粗さが、他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さく、
回転基体の回転軸線に対して特定角度方向の部位において発生する動圧を、他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、この特定角度方向の部位における軸受剛性を、他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くすることを特徴とする
【0033】
請求項11に記載の発明に従えば、スラスト荷重を支持するためのスラスト軸受部に、軸受剛性を高くする部位が設けられる。これによって特定角度方向への外力に対して、回転基体の傾転を確実に防ぐことができる。また起動時に、スラスト軸受部における動圧が迅速に高くなるので、回転軸線を鉛直またはほぼ鉛直に配置して設けられる場合に、固定支持体に対して回転基体がより早期に非接触の状態となり、迅速かつ円滑な軌道を実現することができる。
【0034】
【0035】
【0036】
上記の課題を解決する為の、請求項12に記載の回転駆動装置は、
回転基体に記録媒体ディスクが固定され、その特定角度方向が、記録媒体ディスクに対して情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドが走査する走査領域に向かう方向および回転基体の回転軸線に対してその走査領域の反対方向である動圧軸受装置と、動圧軸受装置の回転基体を回転軸線まわりに回転駆動する駆動源と、を含むことを特徴とする。
【0037】
請求項12に記載の発明に従えば、動圧軸受装置は、ヘッドが走査する領域に向かう方向およびその反対方向の剛性が高く、記録媒体ディスクの回転に伴う空気流によって、ヘッドが走査する領域が押圧されても、この外力に抗して、記録媒体ディスクが不所望に変位、すなわち傾転してしまうことを防ぐことができる。このような記録媒体ディスクの傾転を防止した状態で、駆動源によって記録媒体ディスクを安定して回転することができる。
【0038】
上記の課題を解決する為の、請求項13に記載の記録装置は、
動圧軸受装置と、動圧軸受装置の回転基体を回転軸線まわりに回転駆動する駆動源と、動圧軸受装置の回転基体に固定される記録媒体ディスクと、特定角度方向の領域で記録媒体ディスクに沿って走査され、情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドと、を含むことを特徴とする記録装置。
【0039】
請求項13に記載の発明に従えば、動圧軸受装置は、ヘッドが走査する領域に向かう方向およびその反対方向の剛性が高く、記録媒体ディスクの回転に伴う空気流によって、ヘッドが走査する領域が押圧されても、この外力に抗して、記録媒体ディスクが不所望に変位、すなわち傾転してしまうことを防ぐことができる。このような記録媒体ディスクの傾転を防止した状態で、駆動源によって記録媒体ディスクを安定して回転することができる。このように記録装置は、記録媒体ディスクの安定した回転を実現することができ、ヘッドが情報を読取るためのヘッドであれば、高密度に記録された情報を読取ることができ、ヘッドが情報を書込むためのヘッドであれば、高密度に情報を書込むことができる。
【0040】
【0041】
【0042】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の動圧軸受装置20を示す断面図であり、図2は、スリーブ体75の内周部の一部を展開して示す展開図である。動圧軸受装置20は、固定支持体21の一部を成す軸体46と、回転基体22の一部を成すスリーブ体75と、流体である潤滑流体23とを有するラジアル軸受部24を含む。このラジアル軸受部24は、軸体46がスリーブ体75に緩やかに挿通され、軸体46とスリーブ体75との間の軸受間隙25に潤滑流体23が介在されている。
【0043】
動圧軸受を成すラジアル軸受部24は、軸体46およびスリーブ体75の相互に対向する部分のいずれか一方に、本実施の形態では、スリーブ体75の内周部26に、両端部が軸線方向に間隔をあけかつ軸線に平行な一直線上に配置され、中央部が両端部に比べて周方向一方に膨出したV字状溝部27を、周方向に一様に並べたへリングボーン状の動圧溝28が形成されている。動圧溝28は、残余の部分である各V字状溝部27間のランド部29よりも半径方向外方に凹み、半径方向内方に向けて開放している。
【0044】
この動圧溝28によって、スリーブ体75の回転、したがって回転基体22の回転に伴い、各V字状溝部27の屈曲部分30に潤滑流体23を導いて動圧を発生させ、軸体46に非接触の状態で、スリーブ体75を、その回転軸線L10まわりに回転自在に支持することができる。軸体46およびスリーブ体75の軸線は、回転軸線L10と一致している。なお、理解を容易にするために、図1には軸体46とスリーブ体75が部分的に接触するように示すが、実際は非接触である。
【0045】
軸体46は、軸線に垂直な断面の外周面形状が楕円形である軸線方向に一様な楕円柱状である。スリーブ体75は、軸線に垂直な断面の外周面形状および内周面形状が真円形である軸線方向に一様な円筒状である。したがって回転軸線L10に対して特定角度方向となる軸体46の長径に沿う第1および第2角度方向C1,C2の部位、すなわち周方向に関して180度毎の2箇所となる部位における軸受間隙25の半径方向寸法が、他の角度方向の部位における軸受間隙25の半径方向寸法よりも小さく形成される。より詳細には、軸受間隙25において、第1および第2角度方向C1,C2が最小寸法で、そこから±90度の方向が最大寸法となるように連続的に大きくなる。
【0046】
このように回転軸線L10対して第1および第2角度方向C1,C2(総称して「特定角度方向C」という場合がある)の部位における軸受間隙25の半径方向寸法を小さくして、回転軸線L10対して特定角度方向Cの部位における潤滑流体23の動圧を、他の角度方向の部位における動圧よりも高くして、回転軸線L10対して特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrを高くすることができる。
【0047】
図3は、偏心率と軸受剛性krrとの関係を示すグラフである。横軸の偏心率は、固定支持体21である軸体46の軸線に対する回転軸線L10の偏心率であり、横軸の軸受剛性は、固定支持体21に対する回転基体22の半径方向および軸線方向のスライド変位のし難さを意味し、高いほど変位し難い。図3に示すように、本件発明者は、偏心するほど、その偏心方向の部位における軸受剛性krrが高くなることを確認しており、このことからさらに軸受間隙25の寸法が小さいほど、すなわち軸受構造を成す2つの部材間の間隔が小さいほど、その部位における軸受剛性krrが高くなることが明らかである。
【0048】
図4および図5は、ともにすきま比h1/h0と軸受剛性krrの関係を示すグラフである。図4および図5は、ともに横軸がすきま比h1/h0を示し、縦軸が軸受剛性krrを示す。図6は、軸受間隙25付近の一部を拡大して示す断面図である。すきま比h1/h0は、図6に示すように、軸体46の外周面32(溝が形成される部材と反対側の部材の面)とスリーブ体75の内周面33(溝が形成される部材のランド部の面)との隙間(以下「ランド隙間」という)h0に対する軸体46の外周面32と動圧溝28に半径方向に臨む底面34との隙間(以下「溝隙間」という)h1の比である。スリーブ体75に動圧溝28が形成される本実施の形態では、スリーブ体75の内周面33は、ランド部29の半径方向内方に臨む面となる。このランド隙間h0が、軸受間隙25の寸法であり、同一の符号を付す場合がある。
【0049】
図4は、ランド幅b0に対する溝幅b1の比(以下「幅比」という)b1/b0を変化させて示し、図5は、各V字状溝部27の屈曲角度βを変化させて示す。図4および図5の関係は、小野京介、朱加生 共著の「磁気ディスクスピンドル用各種油軸受に関する特性比較研究」(日本機会学会論文集(C編)64巻62号(1998−6)2205−2211)にて周知である。ランド幅b0は、図2に示すように、隣り合うV字状溝部27間の寸法であり、一円周上における、本実施の形態では内周面33に沿った周方向寸法である。溝幅b1は、V字状溝部27の溝幅の寸法であり、内周面33と同一円筒面に沿った周方向寸法である。屈曲角度βは、図2に示すように、各V字状溝部27の屈曲部30の両側部分の成す角度である。
【0050】
図4および図5に示すように、本系発明者は、幅比b1/b0および屈曲角度βに拘わらず、すきま比h1/h0が2.0近傍、さらに詳細には2.15にあるとき、軸受剛性krrが最も高くなることを確認している。
【0051】
動圧軸受装置20は、図3〜図5に示す軸受特性を有しているので、上述のように特定角度方向Cの部位における軸受間隙25の半径方向寸法h0を小さくすることによって、特定角度方向Cの軸受剛性krrを高くすることができる。さらに本実施の形態では、動圧溝28の深さdは、特定角度方向Cの部位におけるすきま比h1/h0が、2近傍、好ましくは2.15となるように、形成されている。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrをより高くすることができる。
【0052】
詳述は避けるが、動圧軸受装置20は、屈曲角度β、溝深さd、幅比b1/b0および溝本数などの軸受諸元に関して、軸受剛性krr、ダンピング、ロス、耐コンタミ性、製作誤差の鈍感性および低速回転時の耐磨耗性などの各種の特性に対して最適条件があり、設計思想に基づいて設計される。軸受剛性krrの観点でみたとき、動圧溝28の溝深さdに基づくすきま比h1/h0が、他の軸受諸元によって若干変動するものの、上述のように2近傍であるとき、最適値を有する(最も高くなる)ことが確認されており、したがって本実施の形態では、上述のような構成にして、特定角度方向Cの軸受剛性krrを高くするとともに、全体的な軸受剛性krrを高くしている。
【0053】
図7は、動圧軸受装置20を備えるモータ40を示す断面図であり、図8は、HDD装置41を示す斜視図である。記録装置であるHDD装置41は、複数の記録媒体ディスクである磁気ディスク42を備え、回転駆動装置であるスピンドルモータとも呼ばれるモータ40によって各磁気ディスク42を回転することができる。このようにモータ40に搭載され、HDD装置41に設けられた状態で、回転軸線L1は、たとえば鉛直に配置され、軸線方向一方が上方となり、軸線方向他方が下方となっている。
【0054】
モータ40は、基盤45と、基盤45に下端部が固定された軸体46と、軸体46の上部に同心状に固設されたスラスト板47と、軸体46に対して半径方向にかつスラスト板47に対して軸線方向下方に微小間隙、すなわち軸受間隙25,49を有して周設され、軸体46の回りを回転自在に設けられるスリーブ体75と、スリーブ体75の上端部の内側に嵌まり込んで固定されるカバー体60と、軸体46とスリーブ体75との軸受間隙25、スラスト板47とスリーブ体75との軸受間隙49、およびスラスト板47とカバー体60との軸受間隙77に充填された潤滑流体23と、基盤45に固設されたステータ50と、スリーブ体75のステータ50に対向する位置に固設されたマグネット51とを備えている。
【0055】
軸体46とスラスト板47とを含んで固定支持体21が構成される。スリーブ体75とカバー体60とを含んで回転基体22が構成される。上述のように軸体46とスリーブ体75との間に潤滑流体23を介在させてラジアル軸受部24が構成され、スラスト板47とスリーブ体75との間およびスラスト板47とカバー体60との間に潤滑流体23を介在させてスラスト軸受部54が構成される。したがって動圧軸受装置20は、固定支持体21と回転基体22と潤滑流体23とを含み、固定支持体21と回転基体22との間に潤滑流体23を介在させて構成される。潤滑流体23は、たとえば潤滑油である。
【0056】
軸体46は、上端部(軸線方向一端部)寄りの位置であってスラスト板47が固設される箇所の上方に周方向に沿って形成された第1の環状溝55、軸線方向の略中央部に形成された第2の環状溝56、下端部(軸線方向他端部)寄りの位置であって基盤45の上方に形成された第3の環状溝57、および内部に軸線方向に沿って形成され、第2の環状溝56と第3の環状溝57とを連通する第1の通気孔(呼吸孔)58が形成される。本実施の形態では、ラジアル軸受部224は、第2の環状溝56の上方側の第1部分97と下方側の第2部分98とを有している。
【0057】
第1の環状溝55は、半径方向外方に開放する断面凹形状を有し、スリーブ体75に固定されて軸体46に周設される環状のカバー板60の切欠き部61に臨む空間とによって、潤滑流体23が外部に流出するのを阻止する環状の流出阻止空間62を構成する。
【0058】
第2の環状溝56は、この第2の環状溝56に臨む外周面が軸線方向中間部の一点から上方および下方に向かうにつれて拡径する形状を有し、スリーブ体75に形成される環状溝64とによって、ラジアル軸受部24の第1部分97と第2部分98とに潤滑流体23を分離する気体介在空間65を構成する。スリーブ体75の環状溝64は、第2の環状溝56に対向し、環状溝64に臨む内周面が軸線方向中間部の一点から上方および下方に向かうにつれて縮径する形状を有している。
【0059】
第3の環状溝57は、この第3の環状溝57に臨む外周面が軸線方向中間部の一点から上方および下方に向かうにつれて拡径する形状を有し、スリーブ体75の下端部における内周部に臨む空間とによって、潤滑流体23が外部に流出するのを阻止する環状の流出阻止空間66を構成する。通気孔58は、気体介在空間65が密閉されしまうことを防ぐ。
【0060】
図9は、スラスト板47を示す平面図である。図7および図8を併せて参照して、スラスト板47は、軸線方向両端部に、両端部が半径方向に間隔をあけかつ一半径線上に配置され、中央部が両端部に比べて周方向一方に膨出したV字状溝部70を、周方向に一様に並べたへリングボーン状の動圧溝71がそれぞれ形成されている。上端部の動圧溝71は、各V字状溝部70間のランド部72よりも下方に凹み、上方に向けて開放し、下端部の動圧溝71は、各V字状溝部70間のランド部72よりも上方に凹み、下方向けて開放している。図10には、各V字状溝部71の幅を省略して示す。
【0061】
この動圧溝71によって、回転基体22の回転に伴い、各V字状溝部70の屈曲部分74に潤滑流体23を導いて動圧を発生させ、スラスト板47に非接触の状態で、回転基体22を、その回転軸線L10まわりに回転自在に支持することができる。スリーブ体75およびカバー体60と、スラスト板47と、これらの間に介在される潤滑流体23を含んでスラスト荷重を受けるスラスト軸受部80が構成される。このスラスト軸受部80においても、ラジアル軸受部24と同様に、図3〜図6を参照して説明した上述の軸受特性を有する。このスラスト軸受部80と上述のラジアル荷重を受けるラジアル軸受部24と併せて、動圧軸受装置20が構成され、回転基体22が、固定支持体21に対して非接触の状態で支持される。
【0062】
またスラスト板47には、内周部に2つの流体循環孔81を成す溝が形成されており、潤滑流体23が、スラスト板47の厚み方向両側の軸受間隙49,77に相互に導かれるように構成される。
【0063】
再び図7および図8を参照して、モータ40は、ステータ50が備えるコイルに通電することによって、ステータ50と、マグネット51の間の磁気作用によって、回転力を発生させ、これによって回転基体22を回転駆動することができる。このステータ50およびマグネット51を含んで駆動源であるモータ本体が構成される。
【0064】
各磁気ディスク42は、回転基体22に、具体的にはスリーブ体75に外嵌され、スペーサ84を介して相互に間隔をあけた状態で、上下に積層され、スリーブ体75に形成されるフランジ83と、クランプ部材82とによって挟持されて保持される。したがってモータ40によって各磁気ディスク42を回転駆動することができる。
【0065】
HDD装置41は、各磁気ディスク42にそれぞれ対応する複数のアクセスアーム(図には1つだけを図示)90を有し、各アクセスアーム90は、長手方向中間部で一体的に、回転軸線L10と平行な角変位軸線L11まわりに角変位自在に支持されている。各アクセスアーム90の一端部には、各磁気ディスク42にそれぞれ対応する磁気ヘッド43が設けられる。各アクセスアーム90の他端部には、共通のボイスコイルが設けられる。
【0066】
各アクセスアーム90は、HDD装置41の機体92に固定されるマグネットと上記ボイスコイルとを含んで構成されるボイスコイルモータ91によって角変位駆動することができ、各磁気ヘッド43を各磁気ディスク42に沿って、矢符Dで示すように、走査することができる。磁気ヘッド43は、各磁気ディスク42に対して接触してもよい、またわずかに隙間をあけて配置されてもよいが、本実施の形態では、たとえば0.02μmの間隔をあけている。
【0067】
HDD装置41では、モータ40によって各磁気ディスク42を回転駆動し、磁気ヘッド43を走査させて、各磁気ディスク42に対して情報の読取および書込の少なくとも一方(本実施の形態では両方)をすることができる。HDD装置41においてこのような情報の読取および書込をするとき、従来の技術に関連して述べたように、各磁気ディスク42が回転されて空気流が発生し、この空気流が磁気ディスク42と磁気ヘッド43との間を通過しようとして、この空気流によって、磁気ヘッド43と磁気ディスク42間に空気圧が生じ、磁気ヘッド43が走査される領域95において各磁気ディスク42が下方に押圧される。これに対して磁気ディスク42が傾転してしまうことを防ぐために、動圧軸受装置20が上述のように構成される。
【0068】
動圧軸受装置20は、第1の角度方向C1が、回転軸線L10から磁気ヘッド43による走査領域95のほぼ中央を通る方向となるにように、かつ第2の角度方向C2が回転軸線L10に対して第2の角度方向C2の反対方向となるように配置される。動圧軸受装置20は、上述の構成によって、特定角度方向C1,C2の部位における動圧を、他の角度方向の部位における動圧よりも高くして、この特定角度方向Cの軸受剛性krrを、他の角度方向の軸受剛性krrよりも高くしている。
【0069】
このように特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrを高くして、特定角度方向Cへ向かう外力が作用しても、回転基体22がその方向にスライド変位することを防ぐことができる。本実施の形態では、第1の方向C1だけではなく、反対方向となる第2方向C2の軸受剛性krrが高くなるように構成されるので、回転軸線L10ならびに第1および第2方向C1,C2に垂直な軸線まわりの傾転も防ぐことができる。したがって上述のような空気流による磁気ディスク42の押圧に対して、磁気ディスク42を傾転させることなく、安定して回転させることができる。したがってHDD装置41は、高速度かつ高安定度の磁気ディスク42の回転が得られ、高密度の記録が可能である。
【0070】
図10は、本発明の実施の他の形態の動圧軸受装置20aのラジアル軸受部24aを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20aは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「a」を添えた符号を付す。
【0071】
本実施の形態の動圧軸受装置20aは、軸体46aが軸線に垂直な断面の外周面形状が真円形である軸線方向に一様な略円柱状であって、特定角度方向Cに対して90度ずれた2つの角度方向の部位に、半径方向内方に凹む凹所100が形成され、スリーブ体75aの軸線に垂直な断面の外周面形状および内周面形状が真円形である軸線方向に一様な円筒状である。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、図示しないが、本実施形態において動圧溝は、スリーブ体75aと軸体46aとのいずれに形成されていてもよい。
【0072】
図11は、本発明のさらに実施の他の形態の動圧軸受装置20bのラジアル軸受部24bを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20bは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「b」を添えた符号を付す。
【0073】
本実施の形態の動圧軸受装置20bは、軸体46bが回転基体22を構成し、軸線に垂直な断面の外周面形状が真円形である軸線方向に一様な円柱状であって、スリーブ体75bが固定支持体21を構成し、軸線に垂直な断面の外周面形状および内周面形状が真円形である軸線方向に一様な円筒状であり、周方向に均一な軸受間隙25が形成されている。スリーブ体75bに形成される動圧溝28bは、特定角度方向Cが短径となり、特定角度方向Cから90度ずれた方向が長径となる楕円筒面に沿って、底面が配置されるように形成される。このようにして特定角度方向Cにおける部位の深さが軸受間隙25の寸法とほぼ同一となり、すきま比h1/h0が2.0近傍となるように形成され、他の角度方向の部位における深さが軸受間隙25の寸法とは異なり、すきま比h1/h0が2.0近傍と異なる数値となるように形成される。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、軸体46bが固定支持体21を構成し、スリーブ体75bが回転基体22を構成する場合、その動圧溝28bは、軸体46bの外周面に形成するとよい。
【0074】
図12は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20cのラジアル軸受部24cを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20cは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「c」を添えた符号を付す。
【0075】
本実施の形態の動圧軸受装置20cは、図11に対する動圧軸受装置20bの場合と同様の断面形状となる軸体46cおよびスリーブ体75cであって、軸体46cが回転基体22を構成し、スリーブ体46cが固定支持体21を構成し、周方向に均一な軸受間隙25が形成されている。スリーブ体75cに形成される動圧溝28cは、特定角度方向Cを中心とする周方向に90度の角度範囲において、深さが軸受間隙25の寸法とほぼ同一となり、すきま比h1/h0が2.0近傍となるように形成され、特定角度方向Cに90度ずれた位置を中心とする周方向に90度の角度範囲において、深さが軸受間隙25の寸法とは異なり、すきま比h1/h0が2.0近傍と異なる数値となるように、段差を有して形成される。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、軸体46cが固定支持体21を構成し、スリーブ体75cが回転基体22を構成する場合は、その動圧溝28cは軸体46cの外周面に形成するとよい。
【0076】
図13は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20dのラジアル軸受部24dを示す断面図である。図14はラジアル軸受部24dのスリーブ体75dの一部を展開して示す展開図である。なお図14には、動圧溝28dの幅を省略して示す。本実施の形態の動圧軸受装置20dは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「d」を添えた符号を付す。
【0077】
本実施の形態の動圧軸受装置20dは、図12に示す動圧軸受装置20cと同様の断面形状をなす軸体46dおよびスリーブ体75dであって、軸体46dが回転基体22を構成し、スリーブ体46dが固定支持体21を構成し、周方向に均一な軸受間隙25が形成されている。スリーブ体75dに形成される動圧溝28dは、その深さが、周方向に均一で、かつすきま比h1/h0が最適値をとるように、形成される。第1の方向C1の部位の角度位置を0度として、上側から見て時計回りに周方向に角度位置を特定して、図14の展開図に示すように、動圧溝28dは、V字状溝部27が特定角度方向Cを中心とする周方向に90度の角度範囲において密に形成され、V字状溝部27が特定角度方向Cに90度ずれた位置を中心とする周方向に90度の角度範囲において疎に形成される。
【0078】
このようにして特定角度方向Cの部位における動圧溝28dの占める面積が、他の角度方向の部位における動圧溝dの占める面積よりも小さくなるように構成される。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、軸体46dが固定支持体21を構成し、スリーブ体75dが回転基体22を構成する場合、動圧溝28dは、軸体46dの外周面に形成するとよい。
【0079】
図15は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20eのラジアル軸受部24eのスリーブ体75eの一部を展開して示す展開図である。なお図15には、動圧溝28eの幅を省略して示す。本実施の形態の動圧軸受装置は、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「e」を添えた符号を付す。また理解を容易にするために、図示されない構成についても符号を付す。
【0080】
本実施の形態の動圧軸受装置は、図13に示す動圧軸受装置20dの場合と同様の断面形状をなす軸体46eおよびスリーブ体75eであって、軸体46eが回転基体22を構成し、スリーブ体75eが固定支持体21を構成し、周方向に均一な軸受間隙25が形成されている。スリーブ体75eに形成される動圧溝28eは、その深さが、周方向に均一で、かつすきま比h1/h0が最適値をとるように、形成される。第1の方向C1の部位の角度位置を0度として、上側から見て時計回りに周方向に角度位置を特定して、図15の展開図に示すように、動圧溝28eは、V字状溝部27が特定角度方向Cを中心とする周方向に90度の角度範囲において屈曲角度βが鋭角を成す小さい角度となるように形成され、V字状溝部27が特定角度方向Cに90度ずれた位置を中心とする周方向に90度の角度範囲において屈曲角度βが鈍角を成す大きい角度となるように形成される。
【0081】
このようにして特定角度方向Cの部位における動圧溝28eの屈曲角度βが、他の角度方向の部位における動圧溝28eの屈曲角度βよりも小さくなるように構成される。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、軸体46eが固定支持体21を構成し、スリーブ体75eが回転基体22を構成する場合、動圧溝28eは、軸体46eの外周面に形成するとよい。
【0082】
図16は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20fのラジアル軸受部24fのスリーブ体75fの一部を展開して示す展開図である。本実施の形態の動圧軸受装置20fは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「f」を添えた符号を付す。また理解を容易にするために、図示されない構成についても符号を付す。
【0083】
本実施の形態の動圧軸受装置20fは、図13に示す動圧軸受装置20dの場合と同様の断面形状をなす。軸体46fおよびスリーブ体75fであって、軸体46fが回転基体22を構成し、スリーブ体75fが固定支持体21を構成し、周方向に均一な軸受間隙25が形成されている。スリーブ体75fに形成される動圧溝28fは、その深さが、周方向に均一で、かつすきま比h1/h0が最適値をとるように、形成される。第1の方向C1の部位の角度位置を0度として、上側から見て時計回りに周方向に角度位置を特定して、図16の展開図に示すように、動圧溝28fは、特定角度方向Cを中心とする周方向に90度の角度範囲において溝幅b1が大きく形成され、特定角度方向Cに90度ずれた位置を中心とする周方向に90度の角度範囲において溝幅b1が小さく形成される。このようにして特定角度方向Cの部位における動圧溝28fの占める面積が、他の角度方向の部位における動圧溝28fの占める面積よりも小さくなるように構成される。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、軸体46fが固定支持体21を構成し、スリーブ体75fが回転基体22を構成する場合、動圧溝28fは軸体46fの外周面に形成するとよい。
【0084】
図17は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20gのラジアル軸受部24gの軸体46gの一部を展開して示す展開図である。本実施の形態の動圧軸受装置20gは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「g」を添えた符号を付す。また理解を容易にするために、図示されない構成についても符号を付す。
【0085】
本実施の形態の動圧軸受装置20gは、図13に示す動圧軸受装置20dの場合と同様の断面形状をなす軸体46gおよびスリーブ体75gであって、軸体46gが回転基体22を構成し、スリーブ体75gが固定支持体21を構成し、周方向に均一な軸受間隙25が形成されている。スリーブ体75gに形成される動圧溝28gは、その深さが、周方向に均一で、かつすきま比h1/h0が最適値をとるように、形成される。スリーブ体75gの外周面が、第1の方向C1の部位の角度位置を0度として、上側から見て時計回りに周方向に角度位置を特定して、図17の展開図に示すように、特定角度方向Cを中心とする周方向に90度の角度範囲において滑らかな円筒面に形成され、特定角度方向Cに90度ずれた位置を中心とする周方向に90度の角度範囲において粗面状に形成される。このようにしてスリーブ体75gの外周面は、特定角度方向Cの部位における表面粗さが、他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さくなるように形成される。これによって特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、軸体46gが固定支持体21を構成し、スリーブ体75gが回転基体22を構成する場合、軸体46gの外周面に上記と同様の滑らかな表面と粗面とを合せもつようにするとよい。
【0086】
図18は、本発明のさらに実施の他の形態の動圧軸受装置20hのラジアル軸受部24hを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20hは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「h」を添えた符号を付す。
【0087】
本実施の形態の動圧軸受装置20hは、図1に示す動圧軸受装置20と同様の軸受間隙23と同様であって、スリーブ体75hと軸体46hとの断面形状は、図1に示す動圧軸受装置20の構成と反対の形状であり、スリーブ体75hが固定支持体21を構成し、軸体46hが回転基体22を構成する。具体的には、軸体46hは、軸線に垂直な断面の外周面形状が真円形である軸線方向に一様な円柱状である。またスリーブ体75hは、軸線に垂直な断面の外周面形状が真円形であり、内周面形状が楕円形である円筒状である。スリーブ体75hは、軸線に垂直な断面の外周面形状が真円形であり、内周面形状が楕円形である円筒状である。
【0088】
スリーブ体75hは、内周面が、特定角度方向Cが短径となり、特定角度方向Cから90度ずれた方向が長径となる楕円筒状に形成される。軸体46hは、安定した回転を得るために、外周面が円筒状に形成される。軸体46hがスリーブ体75hに挿通され、これらの間の軸受間隙25に潤滑流体23が介在されて軸体46hが回転軸線L10まわりに、スリーブ体75h非接触の状態で回転自在に設けられる。なお図18には部分的に接触した状態で示すが、実際には非接触である。
【0089】
スリーブ体75hは、動圧溝28hが形成されており、その深さは、すきま比h1/h0が最適値をとるように形成される。このように軸体46hが回転する構成であっても、特定角度方向Cにおける部位の軸受間隙25の寸法が、他の角度方向の部位における軸受間隙の寸法よりも小さくなるようにすることができ、特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【0090】
図19は、図18に示す動圧軸受装置の製造方法を示すフローチャートである。具体的には、スリーブ体75hの製造方法の手順を示すフローチャートであり、図20は、スリーブ体75hの製造方法の手順を示す断面図である。スリーブ体75hの製造は、図20(1)に示すような軸直角断面の内周面形状および外周面形状が真円形である円筒状の素材110を準備して、ステップs0から開始し、ステップs1の第1次内周面工程に移行する。ステップs1では、図20(2)に示すように、素材110にラジアル荷重を与えて、本実施の形態では、一直径線方向に圧縮荷重を与え、圧縮して偏平状に弾性変形させる。この状態で図20(3)に示すように内周面が円筒状に、すなわち軸直角断面における内周面が真円状となるように、切削加工する。円筒面の切削加工は、たとえばドリルなどを用いて極めて容易に加工することができる。
【0091】
このような第1次内周面工程が終了すると、OLE_LINK1ステップs2では、ステップs1で与えた荷重を除去して、図20(4)のように復元させ、内周面を楕円筒状にする。このように復元させた後OLE_LINK1、ステップs3では溝加工工程として図20(5)に示すように、内周部に、この時点で深さが周方向に均一な動圧溝28hを形成する。動圧溝28hは、マイクロ施盤、ボール転造およびエッチング放電加工などの公知の加工方法によって形成することができる。このような溝加工工程が終了すると、スリーブ体75hが形成され、ステップs4に移行し、終了する。
【0092】
このような製造方法によれば、円筒状外周面の軸体46hと組合わせて、特定角度方向Cの軸受間隙を小さくするためのスリーブ体75hを容易に製造することができる。しかも内周面を、周方向に滑らかに連なる楕円筒状とすることができる。
【0093】
図21は、本発明のさらに実施の他の形態の動圧軸受装置20iのラジアル軸受部24hを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20iは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「i」を添えた符号を付す。
【0094】
本実施の形態の動圧軸受装置20iは、図10に示す動圧軸受装置20aと同様である軸受間隙23、スリーブ体75iと軸体46iの断面形状を有し、スリーブ体75iは固定支持体21を構成し、軸体46iは回転基体22を構成することにおいて相違する。スリーブ体75iは、内周面に、特定角度方向Cに対して90度ずれた2つの角度方向の部位に、半径方向外方に凹む凹所111が形成されている。これによって図10に示す構成と同様に、特定角度方向Cの部位における軸受剛性krrが高くなるように構成される。このような構成であっても、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。なお、図示しないが、本実施形態における動圧溝は、スリーブ体75iと軸体iのいずれに形成されてもよい。
【0095】
図22は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20jのラジアル軸受部24jを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20jは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「j」を添えた符号を付す。
【0096】
本実施の形態の動圧軸受装置20jは、固定支持体21を構成するスリーブ体75jとスリーブ体75jを保持する保持体120と、回転基体22を構成し、スリーブ体75jに挿通される軸体46jとを有する。保持体120は、軸直角断面の内周面および外周面が楕円筒状であって、短径が自然状態で軸直角断面の内周面および外周面が真円形の円筒状のスリーブ体75jの外径よりも小さく、長径がそのスリーブ体75jの外径より大きく形成されている。また保持体120は、スリーブ体75jよりも高い剛性を有している。軸体46jは軸直角断面の外周面が真円形の円筒状である。
【0097】
スリーブ体75jは、保持体120に圧入状態(または焼き嵌め状態)で挿入され、スリーブ体75jは、保持体120によって一直径線に沿って、具体的には特定角度方向Cに平行に挟持され、圧縮されて楕円筒状に弾性変形された状態で保持されている。このような構成は、内周部に図示しない動圧溝が形成され、軸直角断面の内周面および外周面が真円形の円筒状であるスリーブ体75jを形成し、スリーブ体75jを保持するための保持体120によって外方から挟持して変形させるだけで、実現することができる。このような構成であっても、図18に示す構成と同様に、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【0098】
図23は、本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20kのラジアル軸受部24kを示す断面図である。本実施の形態の動圧軸受装置20kは、図1〜図9の実施の形態と類似しており、同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。この異なる構成のうち、図1〜図9の構成に対応する構成は、その構成の符号に「k」を添えた符号を付す。
【0099】
本実施の形態の動圧軸受装置20kは、図22に示す動圧軸受装置2jと同様の軸受間隙25、スリーブ体75k、軸体46k、動圧溝(図示なし)を有し、保持体121は、内径が小さい小径部と内径が大きい大径部とが90度毎に段差を有して配置される形状であって、小径部の内径が自然状態で円筒状のスリーブ体75kの外径よりも小さく、大径部の内径がスリーブ体75kの外径より大きく形成されている。また保持体121は、スリーブ体75kよりも高い剛性を有している。軸体46kは外周面が円筒状である。
【0100】
スリーブ体75kは、保持体121に圧入状態(または焼き嵌め状態)で挿入され、スリーブ体75kは、保持体121によって一直径線に沿って、具体的には特定角度方向Cに平行に挟持され、圧縮されて楕円筒状に弾性変形された状態で保持されている。このような構成は、図22の構成と同様にして実現でき、同様に、図1〜図9の実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【0101】
図22および図23に示す動圧軸受20j,20kは、スリーブ体75j,75kを保持するための保持体120,121を設けて、この保持体120,121によってスリーブ体75j,75kを外方から狭持して変形させる。これによって円筒状に切削する簡単な切削加工によって、特定角度方向の内径が、他の角度方向の内径よりも小さいスリーブ体75j,75kであって、内周面が滑らかに連なるスリーブ体75j,75kを形成することができ、特定角度方向の軸受剛性を高くすることができる動圧軸受装置を容易に形成することができる。さらに保持体120,121は、スリーブ体75j,75kを狭持する部分間の寸法だけ、高精度に形成すればよく、スリーブ体75j,75kを直接加工して周方向に内径を異ならせる場合に比べて、高精度の困難な加工が不要であり、容易に形成することができる。
【0102】
上述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば上述の各実施の形態の構成を、適宜選択して組合わせるようにしてもよい。また軸受剛性を高くするための構成を、スラスト軸受部に単独で、またはラジアル軸受部とあわせて設けるようにしてもよい。
【0103】
また動圧軸受装置を搭載する記録装置は、HDD装置に限定されることはなく、他の記録媒体ディスクを備える装置であってもよい。また動圧軸受装置は、記録装置のためのモータに限定する必要はなく、回転軸線に対して特定方向の部位において外力が作用するおそれのある装置の軸受装置として好適に実施することができる。
【0104】
たとえばレーザビームプリンタに搭載される回転多面鏡装置に実施するようにしてもよい。この回転多面鏡装置は、多面鏡が設けられるモータが筐体に収容され、レーザ光を走査する。このときモータの高速回転によって、筐体の壁面および部品の配置に基づいて、筐体内に不均一な圧力分布が形成され、これによってモータが、特定角度方向の部位において押圧力を受けて、多面鏡が傾転してしまうおそれがある。このモータに本発明の動圧軸受装置を搭載することによって、多面鏡の安定した回転を実現し、高精度のプリントを可能にすることができる。
【0105】
またこの他、磁気テープの送りローラ駆動用モータ、複写機の用紙送りローラ駆動用モータ、歯科治療用ハンドピースに内臓されるモータ(ドリル駆動用モータ)およびマイクロマシンを含む超小形機器などに実施するようにしてもよい。
【0106】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、記録媒体ディスクの回転に伴う空気流によって、ヘッドが走査される領域が押圧されても、この外力に抗して、記録媒体ディスクが傾転してしまうことを防ぐことができる。また、起動時に、ラジアル軸受部における動圧が迅速に高くなるので、回転軸線を水平またはほぼ水平に配置して設けられる場合に、迅速かつ円滑な軌道を実現することができる。
【0107】
請求項2の発明によれば、記録媒体ディスクの回転に伴う空気流によって、ヘッドが走査される領域が押圧されても、この外力に抗して、記録媒体ディスクが傾転してしまうことを防ぐことができる。また、起動時に、スラスト軸受部における動圧が迅速に高くなるので、回転軸線を鉛直またはほぼ鉛直に配置して設けられる場合に、迅速かつ円滑な軌道を実現することができる。
【0108】
請求項10の発明によれば、表面粗さを変化させて、特定角度方向の部位におけるラジアル軸受剛性を高くすることができるので、軸受間隙を周方向で均一にすることが可能である。このように軸受間隙を周方向で均一にすれば、固定支持体による回転基体の回転の案内性が良好になり、安定した回転を実現することができる。
【0109】
請求項11の発明によれば、表面粗さを変化させて、特定角度方向の部位におけるスラスト軸受剛性を高くすることができるので、軸受間隙を周方向で均一にすることが可能である。このように軸受間隙を周方向で均一にすれば、固定支持体による回転基体の回転の案内性が良好になり、安定した回転を実現することができる。
【0110】
請求項12の発明によれば、外力に抗して、記録媒体ディスクが傾転してしまうことを防ぐことができる。このような記録媒体ディスクの傾転を防止した状態で、駆動源によって記録媒体ディスクを安定して回転することができる。
【0111】
請求項13の発明によれば、記録媒体ディスクの傾転を防止した状態で、駆動源によって記録媒体ディスクを安定して回転することができる。このように記録装置は、記録媒体ディスクの安定した回転を実現することができ、ヘッドが情報を読取るためのヘッドであれば、高密度に記録された情報を読取ることができ、ヘッドが情報を書込むためのヘッドであれば、高密度に情報を書込むことができる。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の動圧軸受装置20を示す断面図である。
【図2】スリーブ体75の内周部の一部を展開して示す展開図である。
【図3】偏心率と軸受剛性krrとの関係を示すグラフである。
【図4】幅比b1/b0を変化させて、すきま比h1/h0と軸受剛性krrの関係を示すグラフである。
【図5】各V字状溝部27の屈曲角度βを変化させて、すきま比h1/h0と軸受剛性krrの関係を示すグラフである。
【図6】特定角度方向Cに切断したときの軸受間隙25付近の一部を拡大して示す断面図である。
【図7】動圧軸受装置20を備えるモータ40を示す断面図である。
【図8】モータ40を備えるHDD装置を示す斜視図である。
【図9】スラスト板47を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の他の形態の動圧軸受装置20aを示す断面図である。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20bを示す断面図である。
【図12】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20cを示す断面図である。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20dを示す断面図である。
【図14】スリーブ体75dの内周部の一部を展開して示す展開図である。
【図15】本発明の実施のさらに他の形態のスリーブ体75eの内周部の一部を展開して示す展開図である。
【図16】本発明の実施のさらに他の形態のスリーブ体75fの内周部の一部を展開して示す展開図である。
【図17】本発明の実施のさらに他の形態の軸体46gの外周部の一部を展開して示す展開図である。
【図18】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20hを示す断面図である。
【図19】動圧軸受装置20hの製造方法を示すフローチャートである。
【図20】動圧軸受装置20hの製造方法を示す断面図である。
【図21】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20iを示す断面図である。
【図22】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20jを示す断面図である。
【図23】本発明の実施のさらに他の形態の動圧軸受装置20kを示す断面図である。
【図24】典型的な従来の技術の動圧軸受装置1を備える記録装置2を簡略化して示す断面図である。
【図25】記録装置2を簡略化して示す平面図である。
【図26】動圧軸受装置1を簡略化して示す断面図である。
【符号の説明】
20,20a〜20k 動圧軸受装置
21 固定支持体
22 回転基体
23 潤滑流体
24,24a〜24k ラジアル軸受装置
25 軸受間隙
27 V字状溝部
28,28c 動圧溝
29 ランド部
80 スラスト軸受部
30 屈曲部
40 モータ
41 HDD装置
42 磁気ディスク
46,46a〜46k 軸体
47 スラスト板
60 カバー体
75,75a〜75k スリーブ体
C1,C2 特定角度方向
L10 回転軸線

Claims (13)

  1. 固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、前記回転基体を回転自在に支持するために、前記回転基体のラジアル荷重を支持するラジアル軸受部を有する動圧軸受装置であって、
    前記回転基体の回転軸線に対して特定角度方向の部位において発生する動圧を、他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、前記特定角度方向の部位における軸受剛性を、前記他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くして、
    前記特定角度方向は、前記回転基体に外嵌されつつ固定された前記記録媒体ディスクに対して情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドが走査する走査領域に向かう方向および前記回転基体の回転軸線に対して、前記走査領域の反対方向であることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、前記回転基体を回転自在に支持するために、前記回転基体のスラスト荷重を支持するスラスト軸受部を有する動圧軸受装置であって、
    前記回転基体の回転軸線に対して特定角度方向の部位において発生する動圧を、他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、前記特定角度方向の部位における軸受剛性を、前記他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くして、
    前記特定角度方向は、前記回転基体に外嵌されつつ固定された前記記録媒体ディスクに対して情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドが走査する走査領域に向かう方向および前記回転基体の回転軸線に対して、前記走査領域の反対方向であることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 前記特定角度方向の部位における軸受間隙が、前記他の角度方向の部位における軸受間隙よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の動圧軸受装置。
  4. 周方向に一様な軸受間隙を有し、前記固定支持体に動圧を発生させるための動圧溝が形成され、前記特定角度方向の部位における動圧溝の深さが軸受間隙の寸法とほぼ同一に形成され、前記他の角度方向の部位における動圧溝の深さが軸受間隙の寸法と異なる寸法に形成されることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の動圧軸受装置。
  5. 前記固定支持体に動圧を発生させるための動圧溝が形成され、前記特定角度方向の部位における動圧溝の占める面積が、前記他の角度方向の部位における動圧溝の占める面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の動圧軸受装置。
  6. 前記固定支持体に、流体を屈曲領域に導いて動圧を発生させるためのV字状の動圧溝が形成され、前記特定角度方向の部位における動圧溝の屈曲角度が、前記他の角度方向の部位における動圧溝の屈曲角度よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の動圧軸受装置。
  7. 前記固定支持体の軸受間隙に臨む表面は、前記特定角度方向の部位における表面粗さが、前記他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の動圧軸受装置。
  8. 前記固定支持体はスリーブ体と自然状態で円筒状であり且つスリーブ体の内径が楕円となるように前記スリーブ体を保持する保持体とを有し、かつ前記回転基体は前記スリーブ体に挿通される軸体を有し、前記ラジアル軸受部はこれら前記スリーブ体と前記軸体とによって構成され、前記スリーブ体の内周面は、前記特定角度方向の部位における内径が、前記他の角度方向の部位における内径よりも小さい形状に形成され、軸体の外周面は、円筒状に形成されることを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
  9. 前記固定支持体は軸体を有し、かつ前記回転基体は前記軸体が挿通されるスリーブ体を有し、前記ラジアル軸受部は前記スリーブ体と前記軸体とによって構成され、前記軸体の外周面は、前記特定角度方向の部位における外径が、前記他の角度方向の部位における外径よりも大きい形状に形成され、前記スリーブ体の内周面は、円筒状に形成されることを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
  10. 固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、前記回転基体を回転自在に支持するために前記回転基体のラジアル荷重を支持するラジアル軸受部を有する動圧軸受装置であって、
    前記固定支持体の軸受間隙に臨む表面は、特定角度方向の部位における表面粗さが、他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さく、
    前記回転基体の回転軸線に対して前記特定角度方向の部位において発生する動圧を、前記他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、前記特定角度方向の部位における軸受剛性を、前記他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くすることを特徴とする動圧軸受装置。
  11. 固定支持体と回転基体との軸受間隙に流体を介在させ、流体の動圧によって、前記回転基体を回転自在に支持するために前記回転基体のスラスト荷重を支持するスラスト軸受部を有する動圧軸受装置であって、
    前記固定支持体の軸受間隙に臨む表面は、特定角度方向の部位における表面粗さが、他の角度方向の部位における表面粗さよりも小さく、
    前記回転基体の回転軸線に対して前記特定角度方向の部位において発生する動圧を、前記他の角度方向の部位において発生する動圧よりも高くして、前記特定角度方向の部位における軸受剛性を、前記他の角度方向の部位における軸受剛性よりも高くすることを特徴とする動圧軸受装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の動圧軸受装置であって、前記回転基体に記録媒体ディスクが固定され、前記特定角度方向が、記録媒体ディスクに対して情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドが走査する走査領域に向かう方向および前記回転基体の回転軸線に対してその走査領域の反対方向である前記動圧軸受装置と、前記動圧軸受装置の前記回転基体を回転軸線まわりに回転駆動する駆動源と、を含むことを特徴とする回転駆動装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の前記動圧軸受装置と、前記動圧軸受装置の前記回転基体を回転軸線まわりに回転駆動する駆動源と、前記動圧軸受装置の回転基体に固定される記録媒体ディスクと、前記特定角度方向の領域で記録媒体ディスクに沿って走査され、情報の読取および書込のうち少なくともいずれか一方をするためのヘッドと、を含むことを特徴とする記録装置。
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