JP4580544B2 - 小屋裏の防火換気構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は室内或いは軒下（本件明細書に於ては単に室内という）と天井裏との換気通路に設けられる防火換気構造に係り、特に体積膨張性不燃材等の防火部材を内蔵した換気構造を低温溶融材料で形成した化粧部材と高温溶融金属材料で形成した防火部材とを一体的に結合して構成した小屋裏の防火換気構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、体積膨張性不燃材等の防火部材を内蔵させて火災時に換気通路を閉鎖し得るようにした防火換気構造としては、例えば本件特許出願人が開発して特許出願した特開平６−７３８２８号公報に示す技術（以下第１公知技術という）、特開平９−１０５２００号公報に示す技術（以下第２公知技術という）が知られている。
【０００３】
前記第１公知技術は、図６（ａ）、（ｂ）に示す如く、小屋裏５１と室内５２とに換気通路５３を設けるために、天井板５４と壁面５５との間に所定の隙間を設けていた。そして、この換気通路５３内に後述するような換気構造体５６を取り付けていた。
【０００４】
この換気構造体５６は、特に図６（ｂ）によって明らかな如く、１枚のスチール板、ステンレス板等よりなる約１２００℃の温度にも耐える高温溶融金属材を、ロールホーミング等で複雑に折曲プレス成形することによって内部に換気流通路５７を有する中空状の換気支持ケース５８を形成していた。
【０００５】
該換気支持ケース５８には、その上面と下面とに夫々多数の換気孔５９を設けると共に、その内底面の所定位置に体積膨張性不燃材６０を収納し得る凹所６１を設けていた。また、片側面の上下には夫々天井板５４を上下から挟持し得る折曲突リブ６２、６３を突設していた。図中６４は屋根、６５は鼻先隠し板である。
【０００６】
また、前記第２公知技術に於いては、図７（ａ）、（ｂ）に示す如く、加工が容易でかつ安価な融点が約６６０℃のアルミニウム或いはアルミニウム合金等の低温溶融金属材をロールホーミング等で折曲プレス成形して、放熱部の面積を大きく持たせた換気用金具６６、６７を形成した。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、前述の第１公知技術に於いては、図６（ａ）、（ｂ）に示す如く、比較的加工が困難であり、かつ高価なスチール或いはステンレス等の高温溶融金属材を極めて複雑な形状に折曲プレス成形しなければならないので、加工が困難であり、かつ安価に大量生産することが困難である問題があった。
【０００８】
また、このようなスチールを使用した場合には、長年に亘って使用していると錆び易く、特に多数の換気孔５９の周りが腐蝕によってくずれて穴が大きくなり、意匠性を損なうと共に、虫や鳥類が屋内に侵入する等の問題があった。ステンレスを使用した場合にも、長年使用されていると塩害等によって錆が発生し、前記スチールを使用した場合と同様な問題が発生する恐れがあった。
【０００９】
従って、従来はこれ等の問題を解決するために、防錆処理を施していたが、この場合には防錆作業が必要となり、コスト高になる問題があった。
【００１０】
前述の第２公知技術に於いては、図７（ａ）、（ｂ）に示す如く、融点が約６６０℃のアルミニウム、或いはアルミニウム合金等の低温溶融金属材を使用して換気用金具６６、６７を形成するので、これ等の換気用金具６６、６７の所定部分に大きな面積を持った放熱部を設けなければならない問題があった。
【００１１】
即ち、換気用金具６６に於いては、図７（ａ）に示すように、その一部に立ち上り部６６ａ、水平部６６ｂ、取付片６６ｃよりなる大きな面積を持った放熱部を設けなければならず、材料が無駄になると共にコスト高になる問題があった。
【００１２】
該換気用金具６７に於いては、図７（ｂ）に示すように、その一部に多数の突状リブを水平方向に突出させた放熱フィン６７ａを特別に形成しなければならず、加工成形を極めて困難にし、コスト高になる等の問題があった。
【００１３】
本発明に係る小屋裏の防火換気構造は、前述の従来の公知技術の多くの問題点に鑑み開発された全く新しい技術であって、特に、外部に露出して錆び易くかつ換気孔等の加工が必要であり、さらに意匠性が問題になる化粧部分を低温溶融材で形成し、火災等によって火災や高熱空気が通過する防火部分を高温溶融金属材で形成し、これ等の化粧部分と防火部分とを相互に一体的に結合させることによって、防火換気構造を安価に大量生産することが出来るようにした発明を提供するものである。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る小屋裏の防火換気構造は、前述の従来の問題点を根本的に改善した発明であって、その第１発明は、壁面に設置される垂直設置片と、前記垂直設置片の下端に接続され、天井板との間に隙間を設けて設置され、該天井板と相対して小屋裏への通気口を構成する水平片とを有し、前記水平片の前記通気口側に体積膨張性不燃材が装着された、スチール又はステンレスよりなる防火部材に、その先端部が前記天井板に当接され、多数のスリット穴が設けられた通気部を有する合成樹脂又はアルミニウムよりなる化粧部材を、前記通気部により前記通気口を覆うように結合することによって構成した小屋裏の防火換気構造である。
【００１５】
第２発明は、野縁に設置される水平設置片と、前記水平設置片に接続され、壁面との間に隙間を設けて設置され、該壁面と相対して小屋裏への通気口を構成する垂直片とを有し、前記垂直片の前記通気口側に体積膨張性不燃材が装着された、スチール又はステンレスよりなる防火部材に、その先端部が前記壁面に当接され、多数のスリット穴が設けられた通気部を有する合成樹脂又はアルミニウムよりなる化粧部材を、前記通気部により前記通気口を覆うように結合することによって構成した小屋裏の防火換気構造である。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る小屋裏の防火換気構造の一実施例を具体的に説明すると、図１は本発明に係る防火換気構造の斜視図、図２（ａ）、（ｂ）は夫々前記図１の防火換気構造の断面説明図である。
【００１７】
図３は本発明に係る第２実施例の防火換気構造の要部の斜視説明図、図４（ａ）、（ｂ）は夫々図３の防火換気構造の断面説明図、図５（ａ）、（ｂ）は夫々第３実施例の防火換気構造の要部の断面斜視説明図である。
【００１８】
図１及び図２（ａ）、（ｂ）に於いて、１は天井板であって、この天井板１を境にして、室内２側と小屋裏３側との間には換気通路４が設けられている。この換気通路４内には、次に詳細に説明するような構造を持った防火換気構造５が取付けられている。
【００１９】
即ち、前記防火換気構造５は、合成樹脂を射出成形法で成形した化粧部材６とステンレス板をロールホーミング法を用いて折曲プレス加工で成形した防火部材７とが一体的に結合されて構成されている。
【００２０】
前記化粧部材６には、多数のスリット穴８が設けられた通気部９と、水切部１０と、防火部材７の一部が嵌入係止し得る水平凹部１１と、壁面１２に当接し得る垂直部１３とより形成されている。特に、水平凹部１１の片側起立面には水平突リブ１４が突設されており、水平凹部１１内に挿入した後述の防火部材７の先端起立縁を挿通することが出来るように形成されている。
【００２１】
防火部材７は、帯状に形成された体積膨張性不燃材１５を収納し得る凹所部１６を先端側に有し、かつ元部に前記化粧部材６の垂直部１３に被覆固定し得る逆Ｕ字部１７を有している。
【００２２】
前述のような形状を有する化粧部材６と防火部材７とは、次のように両者を嵌合することによって一体的に結合させて、防火換気構造５を構成することが出来る。即ち、防火部材７の先端側に設けられた凹所部１６を化粧部材６の水平凹部１１内に挿入して、該凹所部１６の先端起立上縁を化粧部材６の水平突リブ１４の下面に当接し、かつ防火部材７の逆Ｕ字部１７を化粧部材６の垂直部１３に被覆固定することによって両者を強固に結合させることが出来る。図中１８は野縁である。
【００２３】
図３及び図４（ａ）、（ｂ）に示す防火換気構造１９も、前述の図１及び図２（ａ）、（ｂ）に示す防火換気構造５と基本構造を全く同一にするものである。
【００２４】
この防火換気構造１９が防火換気構造５と異なる点は、化粧部材６の垂直部１３の長さを短くした垂直部１３ａを形成すると共に、その上縁に突状リブ２０を突設した点と、防火部材７の逆Ｕ字部１７を無くして、この部分に起立部２１を設け、この起立部２１の上縁を前記突状リブ２０の下面に当接して係止し、防火部材７を化粧部材６に結合させるようにした点とである。
【００２５】
図５（ａ）、（ｂ）に示す防火換気構造２２は前述の防火換気構造５，１９とは全く形状を異にする化粧部材２３と防火部材２４とを結合させて構成したものである。
【００２６】
この防火換気構造２２に於いては、化粧部材２３の上部が断面コ字状に形成された天井板１の嵌入凹部２５と、ほぼ逆コ字状の中空部２６とより形成されており、中空部２６の先端には壁面１２に当接し得る起立片２７が設けられ、更に中空部２６の底面には多数のスリット穴８が穿設されている。
【００２７】
また、前記防火部材２４は、前記化粧部材２３の嵌入凹部２５をそのまま嵌入し得る断面コ字状の全体形状を有しており、その起立面には、体積膨張性不燃材１５を取付けることが出来る段部２８が設けられている。
【００２８】
本発明に係る防火換気構造５，１９，２２はいずれも化粧部材６，２３と防火部材７，２４とを相互に一体的に結合させることによって構成されるので、予め別々に作成した２部材を現場で組み立てることによって簡単に構成することが出来る。また、両者の結合に当たっては、２部材の所定位置に係合するための係止部材を予め設けておくことによって容易に実施することが出来る。
【００２９】
化粧部材６，２３は比較的成形加工が容易なプラスチック、アルミニウム、アルミニウム合金等の低温溶融材を用いて成形出来るので、意匠性の高い複雑な形状のものでも安価に大量生産することが出来る。
【００３０】
かつ、これ等の低温溶融材で形成した化粧部材６は錆びる心配がなく、従って、長年に亘って使用した場合にも通気部に大きな穴があいて、虫や鳥等が侵入したり、この化粧部材６が錆で体裁が悪くなる心配がない。そのために、化粧部材６に従来のような錆止め加工を施す必要を全く不要とすることが出来る。
【００３１】
また、防火部材７，２４はいずれも極めて単純な形状に成形すれば良いので、スチール、ステンレス等の加工が比較的困難な高温溶融金属材を使用した場合にも、安価に大量生産することが出来る。そして、火災時に火炎や極めて高い温度の空気が換気通路に流入してきた場合にも、充分に耐えて元形を維持することが出来る。従って、従来の低温溶融金属材で形成した場合のように、大きな面積を有する放熱部を設ける必要を全く不要とすることが出来る。
【００３２】
【発明の効果】
本発明に係る小屋裏の防火換気構造は、小屋裏と室内との間に設けられる換気通路に取り付けられる換気構造を化粧部材と防火部材との二部材で構成し、両者を相互に一体的に連結するようにしたので、従来の如く、金属材を複雑な形状に折曲プレス加工することなく構成することが出来る効果を有している。
【００３３】
特に、化粧部材には錆の発生の心配がなく、かつ加工が容易な材料を使用して通気用スリット穴等の通気部を設けることが出来る。そして防火部材は高温度に十分耐えることが出来る金属材料を使用して極めて単純な形状に構成することが出来る等の効果を有している。
【００３４】
また、前述の化粧部材を合成樹脂或いはアルミニウム等の低温溶融材で形成した場合には、加工性が良く、意匠性の高いものを安価に大量生産することが出来る。またこれ等の材料で作った化粧部材は錆びる心配がなく、従って防錆加工を施す必要がなく、かつ長年に亘って使用していても、通気部に虫や鳥が侵入するような大きな穴が発生する心配がない等の効果も有している。
【００３５】
さらに、前記防火部材は、極めて単純な形状に成形すれば良いので、スチールやステンレスを使用した場合にも加工が容易で安価に大量生産することが出来る。また、この防火部材は、高温溶融金属材で構成されているので、火災時に火炎や高温度空気が通過した場合にも溶融して破壊される心配がない等の効果を有している。
【００３６】
かつ、化粧部材と防火部材とで構成された換気構造の内で、化粧部材の一部を天井板の一部に当接するようにした場合には、天井板を安定した状態で支持することが出来ると共に、小屋裏と室内との間に設けた換気通路に換気構造を強固にかつ安定した状態で取付固定することが出来る効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は本発明に係る第１実施例の防火部材の要部の斜視説明図である。
【図２】 図２（ａ）、（ｂ）は夫々前記図１の防火部材の断面説明図である。
【図３】 図３は本発明に係る第２実施例の防火部材の要部の斜視説明図である。
【図４】 図４（ａ）、（ｂ）は夫々図３の防火部材の断面説明図である。
【図５】 図５（ａ）、（ｂ）は夫々第３実施例の防火部材の要部の断面斜視説明図である。
【図６】 図６（ａ）、（ｂ）は夫々第１公知技術の防火換気構造を示す説明図である。
【図７】 図７（ａ）、（ｂ）は夫々第２公知技術の防火換気構造を示す説明図である。
【符号の説明】
１ 天井板
２ 室内側
３ 小屋裏側
４ 換気通路
５ 換気構造
６ 化粧部材
７ 防火部材
８ スリット穴
９ 通気部
１０ 水切部
１１ 水平凹部
１２ 壁面
１３ 垂直部
１４ 水平突リブ
１５ 体積膨張性不燃材
１６ 凹所部
１７ 逆Ｕ字部
１８ 野縁
１９ 防火換気構造
２０ 突状リブ
２２ 防火換気構造
２３ 化粧部材
２４ 防火部材
２５ 嵌入凹部
２６ 中空部
２７ 起立片
２８ 段部
【発明の属する技術分野】
本発明は室内或いは軒下（本件明細書に於ては単に室内という）と天井裏との換気通路に設けられる防火換気構造に係り、特に体積膨張性不燃材等の防火部材を内蔵した換気構造を低温溶融材料で形成した化粧部材と高温溶融金属材料で形成した防火部材とを一体的に結合して構成した小屋裏の防火換気構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、体積膨張性不燃材等の防火部材を内蔵させて火災時に換気通路を閉鎖し得るようにした防火換気構造としては、例えば本件特許出願人が開発して特許出願した特開平６−７３８２８号公報に示す技術（以下第１公知技術という）、特開平９−１０５２００号公報に示す技術（以下第２公知技術という）が知られている。
【０００３】
前記第１公知技術は、図６（ａ）、（ｂ）に示す如く、小屋裏５１と室内５２とに換気通路５３を設けるために、天井板５４と壁面５５との間に所定の隙間を設けていた。そして、この換気通路５３内に後述するような換気構造体５６を取り付けていた。
【０００４】
この換気構造体５６は、特に図６（ｂ）によって明らかな如く、１枚のスチール板、ステンレス板等よりなる約１２００℃の温度にも耐える高温溶融金属材を、ロールホーミング等で複雑に折曲プレス成形することによって内部に換気流通路５７を有する中空状の換気支持ケース５８を形成していた。
【０００５】
該換気支持ケース５８には、その上面と下面とに夫々多数の換気孔５９を設けると共に、その内底面の所定位置に体積膨張性不燃材６０を収納し得る凹所６１を設けていた。また、片側面の上下には夫々天井板５４を上下から挟持し得る折曲突リブ６２、６３を突設していた。図中６４は屋根、６５は鼻先隠し板である。
【０００６】
また、前記第２公知技術に於いては、図７（ａ）、（ｂ）に示す如く、加工が容易でかつ安価な融点が約６６０℃のアルミニウム或いはアルミニウム合金等の低温溶融金属材をロールホーミング等で折曲プレス成形して、放熱部の面積を大きく持たせた換気用金具６６、６７を形成した。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、前述の第１公知技術に於いては、図６（ａ）、（ｂ）に示す如く、比較的加工が困難であり、かつ高価なスチール或いはステンレス等の高温溶融金属材を極めて複雑な形状に折曲プレス成形しなければならないので、加工が困難であり、かつ安価に大量生産することが困難である問題があった。
【０００８】
また、このようなスチールを使用した場合には、長年に亘って使用していると錆び易く、特に多数の換気孔５９の周りが腐蝕によってくずれて穴が大きくなり、意匠性を損なうと共に、虫や鳥類が屋内に侵入する等の問題があった。ステンレスを使用した場合にも、長年使用されていると塩害等によって錆が発生し、前記スチールを使用した場合と同様な問題が発生する恐れがあった。
【０００９】
従って、従来はこれ等の問題を解決するために、防錆処理を施していたが、この場合には防錆作業が必要となり、コスト高になる問題があった。
【００１０】
前述の第２公知技術に於いては、図７（ａ）、（ｂ）に示す如く、融点が約６６０℃のアルミニウム、或いはアルミニウム合金等の低温溶融金属材を使用して換気用金具６６、６７を形成するので、これ等の換気用金具６６、６７の所定部分に大きな面積を持った放熱部を設けなければならない問題があった。
【００１１】
即ち、換気用金具６６に於いては、図７（ａ）に示すように、その一部に立ち上り部６６ａ、水平部６６ｂ、取付片６６ｃよりなる大きな面積を持った放熱部を設けなければならず、材料が無駄になると共にコスト高になる問題があった。
【００１２】
該換気用金具６７に於いては、図７（ｂ）に示すように、その一部に多数の突状リブを水平方向に突出させた放熱フィン６７ａを特別に形成しなければならず、加工成形を極めて困難にし、コスト高になる等の問題があった。
【００１３】
本発明に係る小屋裏の防火換気構造は、前述の従来の公知技術の多くの問題点に鑑み開発された全く新しい技術であって、特に、外部に露出して錆び易くかつ換気孔等の加工が必要であり、さらに意匠性が問題になる化粧部分を低温溶融材で形成し、火災等によって火災や高熱空気が通過する防火部分を高温溶融金属材で形成し、これ等の化粧部分と防火部分とを相互に一体的に結合させることによって、防火換気構造を安価に大量生産することが出来るようにした発明を提供するものである。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る小屋裏の防火換気構造は、前述の従来の問題点を根本的に改善した発明であって、その第１発明は、壁面に設置される垂直設置片と、前記垂直設置片の下端に接続され、天井板との間に隙間を設けて設置され、該天井板と相対して小屋裏への通気口を構成する水平片とを有し、前記水平片の前記通気口側に体積膨張性不燃材が装着された、スチール又はステンレスよりなる防火部材に、その先端部が前記天井板に当接され、多数のスリット穴が設けられた通気部を有する合成樹脂又はアルミニウムよりなる化粧部材を、前記通気部により前記通気口を覆うように結合することによって構成した小屋裏の防火換気構造である。
【００１５】
第２発明は、野縁に設置される水平設置片と、前記水平設置片に接続され、壁面との間に隙間を設けて設置され、該壁面と相対して小屋裏への通気口を構成する垂直片とを有し、前記垂直片の前記通気口側に体積膨張性不燃材が装着された、スチール又はステンレスよりなる防火部材に、その先端部が前記壁面に当接され、多数のスリット穴が設けられた通気部を有する合成樹脂又はアルミニウムよりなる化粧部材を、前記通気部により前記通気口を覆うように結合することによって構成した小屋裏の防火換気構造である。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る小屋裏の防火換気構造の一実施例を具体的に説明すると、図１は本発明に係る防火換気構造の斜視図、図２（ａ）、（ｂ）は夫々前記図１の防火換気構造の断面説明図である。
【００１７】
図３は本発明に係る第２実施例の防火換気構造の要部の斜視説明図、図４（ａ）、（ｂ）は夫々図３の防火換気構造の断面説明図、図５（ａ）、（ｂ）は夫々第３実施例の防火換気構造の要部の断面斜視説明図である。
【００１８】
図１及び図２（ａ）、（ｂ）に於いて、１は天井板であって、この天井板１を境にして、室内２側と小屋裏３側との間には換気通路４が設けられている。この換気通路４内には、次に詳細に説明するような構造を持った防火換気構造５が取付けられている。
【００１９】
即ち、前記防火換気構造５は、合成樹脂を射出成形法で成形した化粧部材６とステンレス板をロールホーミング法を用いて折曲プレス加工で成形した防火部材７とが一体的に結合されて構成されている。
【００２０】
前記化粧部材６には、多数のスリット穴８が設けられた通気部９と、水切部１０と、防火部材７の一部が嵌入係止し得る水平凹部１１と、壁面１２に当接し得る垂直部１３とより形成されている。特に、水平凹部１１の片側起立面には水平突リブ１４が突設されており、水平凹部１１内に挿入した後述の防火部材７の先端起立縁を挿通することが出来るように形成されている。
【００２１】
防火部材７は、帯状に形成された体積膨張性不燃材１５を収納し得る凹所部１６を先端側に有し、かつ元部に前記化粧部材６の垂直部１３に被覆固定し得る逆Ｕ字部１７を有している。
【００２２】
前述のような形状を有する化粧部材６と防火部材７とは、次のように両者を嵌合することによって一体的に結合させて、防火換気構造５を構成することが出来る。即ち、防火部材７の先端側に設けられた凹所部１６を化粧部材６の水平凹部１１内に挿入して、該凹所部１６の先端起立上縁を化粧部材６の水平突リブ１４の下面に当接し、かつ防火部材７の逆Ｕ字部１７を化粧部材６の垂直部１３に被覆固定することによって両者を強固に結合させることが出来る。図中１８は野縁である。
【００２３】
図３及び図４（ａ）、（ｂ）に示す防火換気構造１９も、前述の図１及び図２（ａ）、（ｂ）に示す防火換気構造５と基本構造を全く同一にするものである。
【００２４】
この防火換気構造１９が防火換気構造５と異なる点は、化粧部材６の垂直部１３の長さを短くした垂直部１３ａを形成すると共に、その上縁に突状リブ２０を突設した点と、防火部材７の逆Ｕ字部１７を無くして、この部分に起立部２１を設け、この起立部２１の上縁を前記突状リブ２０の下面に当接して係止し、防火部材７を化粧部材６に結合させるようにした点とである。
【００２５】
図５（ａ）、（ｂ）に示す防火換気構造２２は前述の防火換気構造５，１９とは全く形状を異にする化粧部材２３と防火部材２４とを結合させて構成したものである。
【００２６】
この防火換気構造２２に於いては、化粧部材２３の上部が断面コ字状に形成された天井板１の嵌入凹部２５と、ほぼ逆コ字状の中空部２６とより形成されており、中空部２６の先端には壁面１２に当接し得る起立片２７が設けられ、更に中空部２６の底面には多数のスリット穴８が穿設されている。
【００２７】
また、前記防火部材２４は、前記化粧部材２３の嵌入凹部２５をそのまま嵌入し得る断面コ字状の全体形状を有しており、その起立面には、体積膨張性不燃材１５を取付けることが出来る段部２８が設けられている。
【００２８】
本発明に係る防火換気構造５，１９，２２はいずれも化粧部材６，２３と防火部材７，２４とを相互に一体的に結合させることによって構成されるので、予め別々に作成した２部材を現場で組み立てることによって簡単に構成することが出来る。また、両者の結合に当たっては、２部材の所定位置に係合するための係止部材を予め設けておくことによって容易に実施することが出来る。
【００２９】
化粧部材６，２３は比較的成形加工が容易なプラスチック、アルミニウム、アルミニウム合金等の低温溶融材を用いて成形出来るので、意匠性の高い複雑な形状のものでも安価に大量生産することが出来る。
【００３０】
かつ、これ等の低温溶融材で形成した化粧部材６は錆びる心配がなく、従って、長年に亘って使用した場合にも通気部に大きな穴があいて、虫や鳥等が侵入したり、この化粧部材６が錆で体裁が悪くなる心配がない。そのために、化粧部材６に従来のような錆止め加工を施す必要を全く不要とすることが出来る。
【００３１】
また、防火部材７，２４はいずれも極めて単純な形状に成形すれば良いので、スチール、ステンレス等の加工が比較的困難な高温溶融金属材を使用した場合にも、安価に大量生産することが出来る。そして、火災時に火炎や極めて高い温度の空気が換気通路に流入してきた場合にも、充分に耐えて元形を維持することが出来る。従って、従来の低温溶融金属材で形成した場合のように、大きな面積を有する放熱部を設ける必要を全く不要とすることが出来る。
【００３２】
【発明の効果】
本発明に係る小屋裏の防火換気構造は、小屋裏と室内との間に設けられる換気通路に取り付けられる換気構造を化粧部材と防火部材との二部材で構成し、両者を相互に一体的に連結するようにしたので、従来の如く、金属材を複雑な形状に折曲プレス加工することなく構成することが出来る効果を有している。
【００３３】
特に、化粧部材には錆の発生の心配がなく、かつ加工が容易な材料を使用して通気用スリット穴等の通気部を設けることが出来る。そして防火部材は高温度に十分耐えることが出来る金属材料を使用して極めて単純な形状に構成することが出来る等の効果を有している。
【００３４】
また、前述の化粧部材を合成樹脂或いはアルミニウム等の低温溶融材で形成した場合には、加工性が良く、意匠性の高いものを安価に大量生産することが出来る。またこれ等の材料で作った化粧部材は錆びる心配がなく、従って防錆加工を施す必要がなく、かつ長年に亘って使用していても、通気部に虫や鳥が侵入するような大きな穴が発生する心配がない等の効果も有している。
【００３５】
さらに、前記防火部材は、極めて単純な形状に成形すれば良いので、スチールやステンレスを使用した場合にも加工が容易で安価に大量生産することが出来る。また、この防火部材は、高温溶融金属材で構成されているので、火災時に火炎や高温度空気が通過した場合にも溶融して破壊される心配がない等の効果を有している。
【００３６】
かつ、化粧部材と防火部材とで構成された換気構造の内で、化粧部材の一部を天井板の一部に当接するようにした場合には、天井板を安定した状態で支持することが出来ると共に、小屋裏と室内との間に設けた換気通路に換気構造を強固にかつ安定した状態で取付固定することが出来る効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は本発明に係る第１実施例の防火部材の要部の斜視説明図である。
【図２】 図２（ａ）、（ｂ）は夫々前記図１の防火部材の断面説明図である。
【図３】 図３は本発明に係る第２実施例の防火部材の要部の斜視説明図である。
【図４】 図４（ａ）、（ｂ）は夫々図３の防火部材の断面説明図である。
【図５】 図５（ａ）、（ｂ）は夫々第３実施例の防火部材の要部の断面斜視説明図である。
【図６】 図６（ａ）、（ｂ）は夫々第１公知技術の防火換気構造を示す説明図である。
【図７】 図７（ａ）、（ｂ）は夫々第２公知技術の防火換気構造を示す説明図である。
【符号の説明】
１ 天井板
２ 室内側
３ 小屋裏側
４ 換気通路
５ 換気構造
６ 化粧部材
７ 防火部材
８ スリット穴
９ 通気部
１０ 水切部
１１ 水平凹部
１２ 壁面
１３ 垂直部
１４ 水平突リブ
１５ 体積膨張性不燃材
１６ 凹所部
１７ 逆Ｕ字部
１８ 野縁
１９ 防火換気構造
２０ 突状リブ
２２ 防火換気構造
２３ 化粧部材
２４ 防火部材
２５ 嵌入凹部
２６ 中空部
２７ 起立片
２８ 段部
Claims (2)
- 壁面に設置される垂直設置片と、
前記垂直設置片の下端に接続され、天井板との間に隙間を設けて設置され、該天井板と相対して小屋裏への通気口を構成する水平片とを有し、
前記水平片の前記通気口側に体積膨張性不燃材が装着された、スチール又はステンレスよりなる防火部材に、
その先端部が前記天井板に当接され、多数のスリット穴が設けられた通気部を有する合成樹脂又はアルミニウムよりなる化粧部材を、前記通気部により前記通気口を覆うように結合することによって構成した小屋裏の防火換気構造。 - 野縁に設置される水平設置片と、
前記水平設置片に接続され、壁面との間に隙間を設けて設置され、該壁面と相対して小屋裏への通気口を構成する垂直片とを有し、
前記垂直片の前記通気口側に体積膨張性不燃材が装着された、スチール又はステンレスよりなる防火部材に、その先端部が前記壁面に当接され、多数のスリット穴が設けられた通気部を有する合成樹脂又はアルミニウムよりなる化粧部材を、前記通気部により前記通気口を覆うように結合することによって構成した小屋裏の防火換気構造。
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