JP4579474B2 - 抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法 - Google Patents
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Description
本発明は、抗インフルエンザウイルス作用を有する物質を探索する方法に関するものである。
背景技術
従来の抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の開発は大きく分けて3つの方向で検討されてきた。
第1は、ワクチンを抗インフルエンザウイルス作用を有する物質として開発する方法で、不活性化インフルエンザワクチンや生ワクチンが開発されてきた。
第2は、インフルエンザウイルスのイオンチャンネルM2蛋白を標的としたチャンネルブロッカーを抗インフルエンザウイルス作用を有する物質として探索し開発する方法である。
第3は、インフルエンザウイルスに対する感染細胞の膜上のレセプターはシアール酸であることが知られていることから、このシアール酸を標的とした抗インフルエンザウイルス作用を有する物質を探索し開発する方法である。
しかし、上記の従来の開発方法では、以下のような欠点があった。
第1のワクチンを抗インフルエンザウイルス作用を有する物質として開発する場合は、インフルエンザウイルスの外膜糖蛋白質が抗原として認識されることが多いが、インフルエンザウイルスの抗原は、毎年流行する度に変異によって異なるため、この方法で開発されたワクチンの効果が必ずしも期待できなかった。
第2のインフルエンザウイルスのイオンチャンネルM2蛋白を標的としたチャンネルブロッカーを抗インフルエンザウイルス作用を有する物質として探索し開発する方法では、例えば従来抗パーキンソン氏病薬の一つとしてその有効性が報告されているアマンタジンが探索されているが、M2蛋白をブロックするということが、同時に中枢神経系への作用も強く発生するという面も持ち合わせているため、現時点では使用に制限を生じ、全てのインフルエンザウイルスの疾患患者に用いるのは困難な物質である。つまり、この方法による抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法では、得られた物質による中枢神経に関する問題を必ずしも解決できる現状にはない。
第3のインフルエンザウイルスに対する感染細胞の膜上のレセプターであるシアール酸を標的とした抗インフルエンザウイルス作用を有する物質を探索し開発する方法は、その有効性が報告されているが、必ずしもその効果が十分に発揮されている現状にあるとは言えない。また、この探索方法は本発明とは全く別の作用点および作用機序に基づくものである。
発明の開示
本発明が解決しようとする課題は、このような従来技術の欠点を解消し、かつ従来とは異なる作用に基づく抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索を効率的に行なうことのできる方法を提供することである。
このような状況下にあって、本発明者らは、ミニプラスミンとインフルエンザウイルス及びセンダイウイルスとの関係に関する研究を鋭意積み重ねる中で、特に急性、慢性炎症など、好中球の浸潤を伴う肺での主要なインフルエンザウイルス活性化酵素がミニプラスミンであり、つまり、ミニプラスミンがインフルエンザウイルスやセンダイウイルスの活性化に重大に関与していること、すなわち、インフルエンザウイルスやセンダイウイルスが人体においてその感染力を発揮するには、ミニプラスミンによる活性化体への構造変換作用が不可欠であるとの知見を得ることに成功した。
本発明者らは、以上の研究により知り得た知見を検討した結果、ミニプラスミンのインフルエンザウイルス活性化作用を阻止する物質、つまりミニプラスミン阻害物質を探索し、それを医薬品として実用化することが、抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索に有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、ミニプラスミンをプローブとして用いることを特徴とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法に関するものである。
さらに本発明は、ミニプラスミンをプローブとし、センダイウイルスまたはインフルエンザウイルスを基質として被探索物質と反応させ、反応液中の基質ウイルスの外膜糖蛋白質前駆体のサブユニット量を指標とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法に関するものである。
さらにまた本発明は、ミニプラスミンをプローブとし、センダイウイルスまたはインフルエンザウイルスを基質として被探索物質と反応させ、反応後の基質ウイルスを犬の腎細胞(Mardin Darby canine kidney、以下「MDCK細胞」と略称する)に感染させたときの感染価を指標とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法に関するものである。
本発明者らは、炎症などの病的な状態のため好中球が多量に浸出した局所において主として形成されるミニプラスミンが、局所の細胞膜上に付着し存在すること、そしてその細胞がインフルエンザウイルスに感染していた場合、細胞内から新たに増殖し出芽してくる非感染型インフルエンザウイルスや非感染型センダイウイルスに対し、そのミニプラスミンが気道の細胞への感染が可能な感染型ウイルスに変換させる作用を有することを見出した。
本発明者らは、ミニプラスミンのこの特徴を利用することにより、ミニプラスミンに対する特異的阻害剤の探索方法が確立できれば、それにより見出された薬剤によって、種々の炎症反応に伴うインフルエンザウイルス感染の増悪の阻止が可能になると考えた。
さらに詳しくは、次の通りである。本発明者らは、ヒトの顆粒球由来のエラスターゼやブタの膵臓に由来するエラスターゼによって作られるミニプラスミンが、プラスミンに比較して、表1に示すように著しく疎水性が増加しているため、種々の細胞膜表面に付着しやすく、その結果、蛋白質の分解、つまりウイルスの感染型への変換に重大な関与をしていることを予測した。
一方、気道に感染して増殖するインフルエンザウイルスやセンダイウイルスは、感染するにあたり、インフルエンザウイルスではその外膜糖蛋白質前駆体であるヘムアグルチニン(HA)がヘムアグルチニン1サブユニット(HA1)とヘムアグルチニン2サブユニット(HA2)に、センダイウイルスではその外膜糖蛋白質前駆体であるフュージョンプロテイン(F0)がフュージョンプロテイン1サブユニット(F1)とフュージョンプロテイン2サブユニット(F2)に、宿主側のプロテアーゼによって切断されなくてはならない。なぜならば、外膜糖蛋白質前駆体の切断によってはじめてウイルスは膜融合能と細胞への感染性を示すようになるからである。
そこでこれら気道に感染する代表的なウイルスである、インフルエンザウイルスとセンダイウイルスを標的にして、ミニプラスミンがこれ等のウイルスの外膜糖蛋白質を限定的に分解して膜融合性と感染性の発現に関与するかを検討した。その結果、ミニプラスミンによってセンダイウイルスやインフルエンザウイルスの外膜糖蛋白質は限定分解され、非感染型ウイルスは感染化されて感染性を示すことが明かとなった。
以下に本発明の方法を説明する。
まず、ヒトミニプラスミンとその基質、例えばセンダイウイルスやインフルエンザウイルスが混入された反応系に、抗インフルエンザウイルス作用の有無を探索したい物質を投入し、反応を行なわせる。反応後、反応容器中より、基質としてインフルエンザウイルスを用いた場合は、その外膜糖蛋白質前駆体であるヘムアグルチニン(HA)の切断によって生じるヘムアグルチニン1(HA1)とヘムアグルチニン2(HA2)のサブユニットが存在するか否か、また基質にセンダイウイルスを用いた場合は、その外膜糖蛋白質前駆体(F0)の切断によって生じる(F1)と(F2)のサブユニットが存在するかを否かを分析する。
もし、それらサブユニットが存在した場合は、ヒトミニプラスミンの作用が発揮されたことを示すため、当該投入物質には抗インフルエンザウイルス作用を有さないことが証明され、反対にそれらのサブユニットが存在しない場合には、ヒトミニプラスミンの作用が阻害されたことを示すため、当該投入物質が抗インフルエンザウイルス作用を有することが証明されたことになる。
このようにして、抗インフルエンザウイルス作用を有する物質を探索することが可能となる。
なお、ヒトミニプラスミンの作用が阻害されたか否かを調べる方法としては、上記の他に、インフルエンザウイルスをMDCK細胞に感染させたときの細胞への感染価(CIU:Cell Infecting Unit)を用いる方法でも良い。具体的には、ヒトミニプラスミンとその基質であるインフルエンザウイルスが混入された反応系に、抗インフルエンザウイルス作用の有無を探索したい物質を投入し、反応を行なわせた後、反応溶液中より、インフルエンザウイルスを取り出し、MDCK細胞に感染させ、感染した細胞数を蛍光標識した抗インフルエンザ抗体で検出し、CIUを算出する。探索物質を添加してミニプラスミンによって活性化されたときのCIU値が、探索物質の投与群での無添加群に比べて低い値を示すときは、抗インフルエンザウイルス作用を示したことになる。このようなCIU値の評価により、当該投入物質が抗インフルエンザウイルス作用を有するか否かを探索することが可能である。
ところで、本発明方法における基質の選択方法であるが、表3に示したような人工基質を指標にしたミニプラスミン阻害物質の探索方法では、基質として蛋白や実際のウイルスを使用した探索方法と比べ、それぞれの基質の立体構造の違いのために異なった阻害効率を示すことが考えられる。従って、本発明では、実際のインフルエンザウイルスやセンダイウイルスを基質として用いることが好ましい。
試験例
1.ヒトミニプラスミンの構造
精製されたヒトミニプラスミンのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を図1に示す。還元剤非存在下で、ミニプラスミンは約36−38kDaのほぼ単一の蛋白バンドを示し、還元剤存在下では28kDaの蛋白と12kDaの2本の蛋白バンドに分離した。この事からミニプラスミンは、28kDaの蛋白と12kDaの蛋白がS−S結合していることが明らかになった。28kDaと12kDaの蛋白バンドをPVDF膜にプロットした後、それぞれN端末から約20残基のアミノ酸シークエンスの解析を行なった。その結果、12kDaの蛋白バンドは、VVAPPPVVLLPNVETPSEED−の配列を、28kDaの蛋白バンドはVVGGCVAHPHSWP WDVSLRY−の配列を示した。なおヒトの顆粒球のエラスターゼで処理した場合も、12kDa、28kDaの蛋白バンドは全く同一のアミノ酸配列を示した。
以上のことから図2に示すように、ヒトのミニプラスミンは、12kDa蛋白はV441から始まるクリングル(Kringle)5を、28kDaはV561から始まるミクロプラスミンからなることが明らかになった。
2.ヒトミニプラスミンの性質
このようにして得られたミニプラスミンはプラスミンと比較して種々の性質を異にする。表1に示すようにミニプラスミンはプラスミンのN端末側に存在するクリングル(Kringle)1〜4の領域(アンギオスタチン)を欠くことから分子量は94kDaから38kDaに減少すると共に疎水性が著しく増加する。その結果ミニプラスミンは細胞膜表面に強固に結合することになり、0.5M以上のNaClか0.5%トリトンX(商品名:シグマ社製のポリオキシエチレンオクチルエーテル)のような界面活性剤を用いないと可溶化できないように変化する。
なお、ミニプラスミンのKringle5を除いたミクロプラスミンは、pHが中性領域において極めて不安定となり、数分のうちに自己分解により活性が50%以下に減少する。しかし、ミニプラスミンは同じ条件下でも数時間は不安定な活性が保たれている。
3.ヒトミニプラスミンの基質特異性
表2にヒトミニプラスミンの基質特性を示す。種々のトリプシン型プロテアーゼの人工基質の中で、特にプラスミンの人工基質Boo−Glu−Lys−Lys−MCAが最も高い切断活性を示した。次いで、これまでに報告されているヒトのインフルエンザウイルスに共通して認められている切断部位認識アミノ酸配列(切断モチーフ)と同じタイプであるGlu(Glu)−X−Argの配列を持つ人工基質群に対し、Argの後を良く切断した。
しかし、血液凝固因子の1つでトリプシン様活性を示す蛋白分解酵素であるファクターXaの人工基質Boc−Ile−Gly−Arg−MCAや、リソゾーム酵素の1つであるカテプシンBの人工基質Bz−Arg−MCAには殆ど切断活性を示さなかった。
4.ヒトミニプラスミンのインヒビター特異性
表3にヒトミニプラスミンのインヒビター特異性を示す。種々のプロテアーゼインヒビターの中でウシの肺に由来するアプロチニン(Aprotinine)、植物に由来するクニックタイプソイビーントリプシンインヒビター(Kunitz−type soybean trypsin inhibitor)とボウマンバークトリプシンインヒビター(Bowman−Birk trypsin inhibitor)はミニプラスミンのプロテアーゼ活性を強く阻害した。しかし、エラスターゼやトリプシンの活性を阻害するアンチロイコプロテアーゼ(Anti−leukoprotease:別名MPI、SLPI)は殆どミニプラスミンの活性を阻害しない。またトリプシンの活性を阻害するベンザミジン(Benzamizine)やジイソプロピルフルオロフォスフェート(Diisopropylfluorophosphate)、フェニルメチルスルフォニルフルオライド(phenylmethylsulfonyl fluoride)の場合1mM〜10mMといった高濃度で強い阻害活性を示した。
5.ヒトミニプラスミンのインフルエンザウイルス、センダイウイルスの活性化作用
図3に示すように[3H]グルコサミンでラベルした非感染型インフルエンザウイルスとセンダイウイルスをミニプラスミン(1.5μg)とそれぞれ37℃で15分、37℃で60分処理することにより、インフルエンザウイルスの殆ど全てのHAは、HA1とHA2のサブユニットに、センダイウイルスのF0は約1/3がF1とF2のサブユニットに分解された。なおセンダイウイルスに関しては更に3時間まで処理を延長することにより全てのF0をF1とF2のサブユニットに分解できた(図5)。
そこで、ミニプラスミンで処理したインフルエンザウイルスをMDCK細胞に感染させたときの細胞への感染価(CIU)を調べた(図4)。具体的には、非感染型インフルエンザA/Aichi/2/68(H3N2)株に種々の濃度のミニプラスミンをPBS存在下に37℃で15分間処理した後にウイルスをMDCK細胞に感染させ、感染した細胞数を蛍光標識した抗インフルエンザA/Aichi/2/68(H3N2)抗体で検出してCIUを算出した。
その結果、ミニプラスミンの濃度に依存して、著しい感染価の増加が認められ、10.4mU/ml以上でプラトーに達した。なおここで示したミニプラスミンの活性は人工基質Boc−Glu−Ala−Arg−MCAを1分間に1μmol分解する酵素をもって1unitとした。
上記結果より、ヒトミニプラスミンが、非感染型インフルエンザウイルスやセンダイウイルスを感染型へ変換する活性を有することが分かった。
発明を実施するための最良の形態
参考例1 ヒトプラスミンからのヒトミニプラスミンの作成
ヒトプラスミン(シグマ社製)1mgとブタ膵エラスターゼ3μgを50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、3時間15分間まわしながら反応させた。反応後、終濃度50μMとなるようにエラスタチナールを加え、更に30分まわしながら室温で反応させた。反応後、終濃度50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)/0.5M NaClとなるようにNaClを含む緩衝液を加え、14,000xgで、30分遠心した。上清をソイビーントリプシンインヒビターセファロース(soybean trypsin inhibitor sepharose)4Bカラムにかけてミニプラスミンを吸着させ、十分に洗浄した後吸着部分を50mMグリシン−塩酸緩衝液(pH2.8)/0.5M NaClで溶出した。これをゲルろ過HPLCカラム(Superdex200:商品名、アマシャム ファルマシア バイオテク社製)にかけ、不純物を取り除いた後、最終標品を得た。
参考例2 ヒトプラスミンからのヒトミニプラスミンの作成
ヒトプラスミン(シグマ社製)1mgとヒト顆粒球エラスターゼ3μgを50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、3時間15分間まわしながら反応させた。反応後、終濃度50μMとなるようにエラスタチナールを加え、更に30分まわしながら室温で反応させた。反応後、終濃度50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)/0.5M NaClとなるようにNaClを含む緩衝液を加え、14,000xgで、30分遠心した。上清をソイビーントリプシンインヒビターセファロース(soybean trypsin inhibitor sepharose)4Bカラムにかけてミニプラスミンを吸着させ、十分に洗浄した後吸着部分を50mMグリシン−塩酸緩衝液(pH2.8)/0.5M NaClで溶出した。これをゲルろ過HPLCカラム(Superdex200:商品名、アマシャム ファルマシア バイオテク社製)にかけ、不純物を取り除いた後、最終標品を得た。
実施例1
始めに[3H]標識センダイウイルスに、参考例1で得られたミニプラスミン(0.1μg)を37℃で3時間処理したところ、F0が殆ど全てF1とF2のサブユニットに限定分解されたことを確認した(図5)。
そこでこの反応系に1mMジイソプロピルフルオロフォスフェート(Diisopropylfluorophosphate)を加え、37℃で3時間処理した後、反応系のF1とF2のサブユニットの存在を以下の方法で確認した。
すなわち、反応後、反応液10μLに3μLの3倍に濃縮された電気泳動用サンプル緩衝液(6%SDS、30%グリセロール、0.2Mトリス−塩酸緩衝液、pH6.8)を加え、すみやかに100℃で5分間加熱処理を行なった。サンプルはその後10−20%濃度勾配SDS−ポリアクリルアミドゲルにかけ、電気泳動を行なった。泳動は1枚のポリアクリルアミドゲル当たり30mAで2時間行なった。電気泳動後、SDS−ポリアクリルアミドゲルを固定液(メタノール50%、酢酸50%)中で1時間固定した後、増感液(Amplify:商品名:アマシャム ライフ サイエンス社製)で20分間処理した。増感液で処理したSDS−ポリアクリルアミドゲルを加熱乾燥した後、オートラジオグラフを行なった。オートラジオグラフはRX−U(商品名:富士写真フィルム社製)を用いて、3日間−80℃で被爆した後、現像定着をして、F0、F1、F2のバンドの検出を行なった。
その結果、ほぼ完全にF0からF1とF2への変換を阻止したことが確認され、ジイソプロピルフルオロフォスフェートがミニプラスミンの阻害物質であることを確認した。
実施例2
実施例1と同様の反応系に1μMアプロチニン(Aprotinin)を加え、37℃で3時間処理した後、反応系中のF1とF2のサブユニットの存在を実施例1に記載した方法で確認した。
その結果、ほぼ完全にF0からF1とF2への変換を阻止したことが確認され、アプロチニンがミニプラスミンの阻害物質であることを確認した。
実施例3
実施例1と同様の反応系に1μMベンザミジン(Benzamidine)を加え、37℃で3時間処理した後、反応系中のF1とF2のサブユニットの存在を実施例1に記載した方法で確認した。
その結果、ほぼ完全にF0からF1とF2への変換を阻止したことが確認され、ベンザミジンがミニプラスミンの阻害物質であることが確認された。
実施例4
実施例1と同様の反応系に、1μMクニックタイプソイビーントリプシンインヒビター(Kunitz−type soybean trypsin inhibitor)を加え、37℃で3時間処理した後、反応系中のF1とF2のサブユニットの存在を実施例1に記載した方法で確認した。
その結果、ほぼ完全にF0からF1とF2への変換を阻止したことが確認され、クニックタイプソイビーントリプシンインヒビターがミニプラスミンの阻害物質であることが確認された。
実施例5
始めに非感染型インフルエンザA/Aichi/2/68(H3N2)株に、ミニプラスミン(944mU/mg)の標品をPBS存在下に37℃で15分間それぞれ(0、1.2、5.2、10.4、52mU/ml)の濃度で処理した後ウイルスをMDCK細胞に感染させ、感染した細胞数を蛍光標識した抗インフルエンザA/Aichi/2/68(H3N2)抗体で検出して感染価(CIU)を算出した。感染価はそれぞれ(0(検出不能値)、1×106、1.3×107、7.5×107、9.6×107)CIUを示した。
次に、この反応系の中でプラトーを示したミニプラスミン(10.4mU/ml)に1μMアプロチニン(Aprotinin)を加え、37℃で15分間処理した後、上記と同様の方法でCIUを算出した。
その結果、1μMアプロチニン(Aprotinin)を処理することにより、感染価は3.7×103CIU値を示した。探索物質の無添加群におけるミニプラスミンによって活性化されたウイルスのCIU値が7.5×107CIUであることから、CIUの値がアプロチニン(Aprotinin)の処理により減少し、アプロチニン(Aprotinin)はほぼ完全に非感染型インフルエンザウイルスから感染型のウイルスへの変換を抑制したことが判明した。
産業上の利用可能性
ミニプラスミンをプローブとすることにより、抗インフルエンザウイルス作用を有する物質をインビトロで、効率的に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、ヒトミニプラスミンのSDS−PAGEを示す電気泳動測定結果を示す。
1、2は非還元下で、3、4は還元下で電気泳動を行った後、銀染色を行った。
*分子量マーカー:rabbit muscle phospholase B(97.2kDa),BSA(66.4kDa),ovalmin(45.0kDa),carbonic anhydrase(29.0kDa),soybean trypsin inhibitor(20.1kDa),lysozyme(14.3kDa)
図2は、ヒトプラスミノーゲンとヒトミニプラスミンの1次構造を示す図である。
ヒトのプラスミノーゲン(1−790残基)とミニプラスミン(441−790残基)を示す。
図3は、ミニプラスミンによるインフルエンザA/Aichi/2/68のHAとセンダイウイルスF0の限定分解を示す電気泳動測定結果を示す。
図4は、非感染型インフルエンザA/Aichi/2/68(H3N2)のミニプラスミンによる感染型への変換と、アプロチニンによる阻害効果を示すグラフである。
非感染型インフルエンザA/Aichi/2/68/(H3N2)を種々の濃度のミニプラスミン(●)で処理するか、20mU/mlのミニプラスミンに最終濃度1μMびアプロチニン(□)を加え、37℃で15分間処理した後MDCK細胞に投与して10時間後の感染細胞数を蛍光色素(FITC)標識抗インフルエンザA/Aichi抗体によって検出した。
図5は、[3H]標識センダイウイルスを基質としたときの精製酵素標品のインヒビター特異性を示す電気泳動測定結果を示す。
Claims (4)
- ミニプラスミンをプローブとし、センダイウイルスを基質として被探索物質と反応させた後、反応液中のセンダイウイルスのフュージョンプロテイン1サブユニット(F1)およびフュージョンプロテイン2サブユニット(F2)の量を指標とすることを特徴とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法。
- ミニプラスミンをプローブとし、インフルエンザウイルスを基質として被探索物質と反応させた後、反応液中のインフルエンザウイルスのヘムアグルチニン1サブユニット(HA1)およびヘムアグルチニン2サブユニット(HA2)の量を指標とすることを特徴とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法。
- ミニプラスミンをプローブとし、センダイウイルスを基質として被探索物質と反応させた後、反応後のセンダイウイルスをMDCK細胞に感染させたときの感染価を指標とすることを特徴とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法。
- ミニプラスミンをプローブとし、インフルエンザウイルスを基質として被探索物質と反応させた後、反応後のインフルエンザウイルスをMDCK細胞に感染させたときの感染価を指標とすることを特徴とする抗インフルエンザウイルス作用を有する物質の探索方法。
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