JP4578468B2 - ボールペン - Google Patents
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Description
【0001】
この発明は、先端に筆記ボールを回転可能に支持した筆記チップと、インクを内部に収容したインク収容管と、前記筆記チップとインク収容管とを連結してインク収容管内のインクを前記筆記チップ側に供給する継ぎ手部材とを備えてなるリフィールを利用するボールペンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に細字用として設計されたボールペンの中には、筆記チップを小径化したものが提供されている。これは小さく細い文字や図形を筆記する際に、筆記チップにより筆記描線が隠れて見えなくなる範囲をできるだけ少なくするという目的がある。このような小径化された筆記チップは、例えばパイプ状の材料から塑性加工や切削加工により製造したもの、円柱状の材料から切削加工により成形したものが市場で受け入れられている。
【0003】
前記したように筆記チップを小径化した場合には、筆記加重が加わるチップ先端に剛性不足が生じ、またチップの小径化に伴いその内径、すなわちインク流路も小径化されることとなり、先端の筆記ボール側に対するインクの供給が不十分になるなどの問題が発生する。
このために、筆記チップの軸方向の長さを極力短く設計せざるを得ないという技術的な制約が生ずる。それ故、筆記チップを圧入固定した光輝感の少ない合成樹脂製の継ぎ手部材が、筆記チップの先端付近までせり出すような構成を余儀なくされ、外観上の品位を落とすような二次的な問題が発生する。
【0004】
そこで、前記した筆記加重が加わる筆記チップ先端の剛性不足を補い、筆記チップの曲がり及びぐらつきを防止することを目的としたボールペンの構成が、次に示す各特許文献に開示されている。すなわち、実開平7−37681号公報には筆記チップの剛性不足を補うために金属製カバー部材を採用した構成が示されており、特開平8−118876号公報には筆記チップの剛性不足を補うための金属製カバー部材の一部が、さらに筆記チップに当接して支持した構成が示されている。また、特開平8−118877号公報には筆記チップの剛性不足を補うための金属製カバー部材を、筆記チップの外周に圧入した構成が示されている。
【0005】
図12および図13は、前記した実開平7−37681号公報に開示されたボールペンに採用された金属製カバー部材の構成を示したものである。なお、図12はカバー部材を継ぎ手部材の外周面に沿って嵌合しようとする状態を示しており、また、図13はカバー部材が継ぎ手部材の外周面に沿って装着された状態をそれぞれ断面図で示している。この図12および図13において、符号1は先端に筆記ボール2を回転可能に支持した筆記チップを示し、符号3は前記筆記チップ1を圧入固定した合成樹脂製の第1継ぎ手部材を示し、また、符号4は前記第1継ぎ手部材3をさらに圧入固定した同じく合成樹脂製の第2継ぎ手部材を示している。
【0006】
なお、この図12よび図13には示されていないが、前記第2継ぎ手部材4は後述するようにさらにインク収容管に圧入固定されることで、ボールペンリフィールを構成している。そして、前記各筆記チップ1、第1継ぎ手部材3、第2継ぎ手部材4にはそれぞれインク流路1a、3a、4aが形成されて前記したインク収容管からのインクが、筆記チップ1の先端に配置された筆記ボール2に向かって供給されるように構成されている。
【0007】
また、前記第2継ぎ手部材4内には、インク流路4aに向かって円錐形を形成した弁室4bが形成されて、当該弁室4b内にはボール弁5が収容されている。この構成により、例えば上向き筆記を行なった場合に、ボール弁5が弁室4bの前記円錐形部において閉弁動作を果たし、インクが逆流するのを防止させると共に、筆記チップ1内に空気が流入するのが防止できるように作用する。
【0008】
前記した構成のボールペンリフィールにおける第1継ぎ手部材3には、この継ぎ手部材3の外周面に沿って金属製による筒状のカバー部材6が嵌合により装着されるように構成されている。このカバー部材6は、図に示すように大径部6aとこれに連なる小径部6bより構成されており、大径部6aを継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合することで、その小径部6bが筆記チップ1における第1継ぎ手部材3への圧入側が包囲できるように構成されている。
【0009】
したがって、カバー部材6を継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合装着した図13に示す状態によると、筆記チップ1の外周面がカバー部材6の小径部6bによって包囲されるので、筆記加重が加わり筆記チップ1に曲がり及びぐらつきが発生しようとした時、カバー部材6の小径部6bが筆記チップ1に当接して、この動作を阻止するように作用する。
【特許文献1】
実開平7−37681号公報
【特許文献2】
特開平8−118876号公報
【特許文献3】
特開平8−118877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、実開平7−37681号公報に開示された前記カバー部材6の構成によると、図12に示すようにカバー部材6の大径部6aを第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合させようとした場合、すなわち、矢印Kで示すようにカバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に接した状態においては、カバー部材6における小径部6bの内面が筆記チップ1の先端部付近に相当に接近する。さらにここで後述するような各種のばらつきが発生した場合には、カバー部材6によって筆記チップ1の先端部付近に傷を付けるという問題が発生する。特に、前記したように小径化された極細用の筆記チップを採用した場合においては、そのチップ先端部に傷をつけるにとどまらず、致命的なダメージを与えることもある。
【0011】
この問題は、手動による組み立て時に利用される治具や、組立機の精度向上により改善されるところもあるが、組み立てコスト、設備費用等といった経済性の面も配慮しなければならず、精度向上の問題と経済性の問題は両立させることは難しい。前記した組み立ての際に、カバー部材を筆記チップに当接させることなく前記した継ぎ手部材に嵌合させていくには、筆記チップ、継ぎ手部材等の位置決め精度、カバー部材側の位置決め精度と、それを相対的に移動させて嵌合させる動作の精度が問題となる。
【0012】
しかしながら部材にもよるが、組み立てる部材自体の寸法ばらつきが合成樹脂製の部品であると0.05mm程度、金属製の部品であっても0.03mm程度ある上に、当然ながら組み立てるための設備側にも加工ばらつき、位置決め精度ばらつき、部材を相対的に移動させる時に部材に傷をつけないためのクリアランス等を必要とする。したがって、筆記チップに対するカバー部材の当接を避けるには、これらが累積したばらつきを許容させる必要があり、これは通常0.1mm程度、好ましくは0.2mm程度要求される。
【0013】
したがって、特に図12に示されたようなカバー部材6の構成においては、組み立て時において許容されるべきばらつきの範囲、すなわち筆記チップの周囲における二点鎖線で示す前記したばらつきの許容範囲内にカバー部材6の一部(図12においてはカバー部材の小径部6bの一部)が存在することになるため、時にはカバー部材6の前記一部が筆記チップ1の先端部付近に当接して傷を付けるという問題が発生する。
【0014】
この発明は、前記した技術的な観点に基づいてなされたものであり、前記したカバー部材を継ぎ手部材等に嵌合装着させる組み立て工程において、カバー部材によって筆記チップに傷をつけることのないボールペンの構成を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるボールペンは、先端に筆記ボールを回転可能に支持した筆記チップと、インクを内部に収容したインク収容管と、前記筆記チップと前記インク収容管とを連結してインク収容管内のインクを前記筆記チップ側に供給する継ぎ手部材とを備えたボールペンであって、前記継ぎ手部材の外周面に沿って、もしくは前記継ぎ手部材に形成された装着孔内に沿って嵌合し装着することができるカバー部材がさらに具備され、前記カバー部材を前記継ぎ手部材の外周面に沿って、もしくは装着孔内に沿って嵌合させる嵌合開始時に、前記カバー部材が前記筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されている点に特徴を有する。
【0016】
このボールペンによると、カバー部材を継ぎ手部材の外周面に沿って、もしくは装着孔内に沿って嵌合させる嵌合開始時に、カバー部材が筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されているので、前記したように、カバー部材、筆記チップ、継ぎ手部材等の個々の成形ばらつきや、組立機や治具における前記したような種々のばらつきが存在しても、前記カバー部材を嵌合させるに際し、筆記チップに損傷を与えることなく製品を仕上げることができる。
【0017】
この場合、前記カバー部材は金属製の素材により構成されていることが望ましい。このようにカバー部材を金属製の素材により構成することにより、筆記チップを圧入固定した継ぎ手部材の十分な補強効果を得ることができ、さらにはカバー部材の金属光沢により、外観の品位を向上させて高級感をもたらす効果も享受できる。そして、金属製のカバー部材は継ぎ手部材からインク溶媒が揮発するのを効果的に抑制させると共に、逆に内部に空気が入り込むのを抑制させるという効果も期待できる。
【0018】
これに加えて、前記筆記チップはパイプ状のチップにより形成されることが望ましい。このように前記筆記チップは、好ましくはパイプ状のチップにより形成される。この場合、前記筆記チップの素材となるパイプ状のチップは、パイプ状の素材を塑性加工を施すことで形成することができ、また無垢の素材を切削により形成することもできる。この場合さらに好ましくは、チップ前方もしくは全体が外径φ1.3mm以下の小径部を、1.5mm以上の長さで有する筆記チップとすることが望ましい。
【0019】
さらには、前記カバー部材を前記継ぎ手部材の外周面に沿って、もしくは装着孔内に沿って嵌合させる嵌合開始時から装着完了状態になされるカバー部材の相対移動範囲において、前記カバー部材が前記筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
このようにカバー部材を継ぎ手部材に嵌合させる際から、装着完了状態になされるカバー部材の相対移動範囲において、前記カバー部材が筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成させることで、前記カバー部材により筆記チップに損傷を与える度合いを、より一層低減させることができる。
【0021】
また、前記カバー部材は円筒状に形成されると共に前記筒体部の一端部には外側方向に折り曲げられた鍔部が形成され、前記鍔部が継ぎ手部材の端面に当接するように構成されていることが望ましい。
このように、カバー部材の鍔部が継ぎ手部材の端面に当接するため、継ぎ手部材の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明にかかるボールペンに利用されるリフィールの全体構成を示した断面図である。
【図2】図2は、この発明にかかる第1の実施の形態において、カバー部材を嵌合しようとする状態を示した断面図である。
【図3】図3は、同じく第1の実施の形態において、カバー部材が装着された状態を示した断面図である。
【図4】図4は、この発明にかかる第2の実施の形態において、カバー部材を嵌合しようとする状態を示した断面図である。
【図5】図5は、同じく第2の実施の形態において、カバー部材が装着された状態を示した断面図である。
【図6】図6は、この発明にかかる第3の実施の形態において、カバー部材を嵌合しようとする状態を示した断面図である。
【図7】図7は、同じく第3の実施の形態において、カバー部材が装着された状態を示した断面図である。
【図8】図8は、この発明にかかる第4の実施の形態において、カバー部材を嵌合しようとする状態を示した断面図である。
【図9】図9は、同じく第4の実施の形態において、カバー部材が装着された状態を示した断面図である。
【図10】図10は、この発明にかかる第5の実施の形態において、カバー部材を嵌合しようとする状態を示した断面図である。
【図11】図11は、同じく第5の実施の形態において、カバー部材が装着された状態を示した断面図である。
【図12】図12は、従来のボールペンの構成において、カバー部材を嵌合しようとする状態を示した断面図である。
【図13】図13は、同じくカバー部材が装着された状態を示した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明にかかるボールペンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。まず、図1はこの発明にかかるボールペンを構成するリフィールの全体構成を示したものである。すなわち、この図1に示すリフィールが、図示せぬ周知の軸筒内に収容されることでボールペンが形成される。なお、図1に示すリフィールの構成、および以下に説明する各図においては、すでに説明した図12、図13に示した各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって、その詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
まず、図1に示すリフィールの構成において符号1,3,4,5,6は、すでに説明した筆記チップ、第1継ぎ手部材、第2継ぎ手部材、ボール弁、カバー部材をそれぞれ示している。そして、第2継ぎ手部材4の後端部がインク収容管7に圧入されることにより、筆記チップ1を含む各継ぎ手部材等がインク収容管7に対して機械的に接続された構成とされている。そして、インク収容管7内にはインク8が充填されるとともに、インクの後端にはインクの減少に追従してインク収容管7内を移動するグリース状のフォロア9が充填されている。
【0025】
図2および図3は、図1に示したリフィールにおける第2継ぎ手部材4より先端部側を拡大して示したこの発明にかかる第1の実施の形態を示したものである。この図2および図3に示された実施の形態における筆記チップ1は、パイプ状のチップにより形成されており、このパイプ状のチップは、金属製のパイプ素材を塑性加工により形成したものである。すなわち、前記パイプ素材の先端部近傍において、外周面から内方への突出部1bを成形加工し、またパイプ素材の先端部をカシメ加工することで、筆記ボール2を回転可能に支持した構成になされている。特に細字用として設計される前記した筆記チップ1においては、直径が1.3mm以下のパイプ素材を利用して成形される。
【0026】
図2は円筒状のカバー部材6を第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合しようとする状態(嵌合開始時の状態)を示しており、また、図3はカバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合装着された状態をそれぞれ示している。この図2および図3に示したカバー部材6は、金属製の素材により構成されており、円筒状に形成された筒体部6aの一端部には、周の外側方向に折り曲げられた一連の鍔部6cが形成されている。また、その他端部は閉塞状態に加工されると共に、その閉塞部にはほぼ真円状の開口部6dが形成されている。
【0027】
このカバー部材6を取り付けるには、先ず図2に示したように鍔部6cが形成されたカバー部材6の端部を、第1継ぎ手部材3の外周面に接する状態に位置させる。続いて、カバー部材6はその姿勢を保ったまま第1継ぎ手部材3の外周面に沿って押し込まれ、この結果、カバー部材6の鍔部6cが第1継ぎ手部材3の端面に当接すると共に、カバー部材6は図3に示すように第1継ぎ手部材3の外周面に嵌合装着される。
ここで、図2に示すようにカバー部材6の端部を矢印Kで示したように第1継ぎ手部材3の外周面に接するように位置させると共に、カバー部材6の軸芯と継ぎ手部材3の軸芯とを合わせた時、前記カバー部材6が前記筆記チップ1の周囲における二点鎖線で示した所定の範囲内に接近しない寸法関係になされている。
【0028】
前記筆記チップ1の周囲に二点鎖線で示した所定の範囲は、この実施の形態においては0.2mmに設定されている。これはすでに説明したように、組み立て時において許容される最大限のばらつきの範囲である。したがって、この図2に示すカバー部材6の構成によると、カバー部材6を第1継ぎ手部材3の外周面に嵌合させようとする時(嵌合開始時)に、カバー部材6の一部が筆記チップ1に接触することはなく、筆記チップ1が損傷を受けるという問題を回避することができる。
【0029】
つづいて、カバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に沿って若干押し込まれた状態となった場合には、第1継ぎ手部材3の外周面がガイドとなり、カバー部材6は第1継ぎ手部材3の外周面に沿ってそのまま押し込まれる。この実施の形態においては、図2に示すようにカバー部材6に形成された開口部6dの寸法径も、前記二点鎖線の範囲よりも大きな内径となるように構成されている。
【0030】
すなわち、カバー部材6を継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合させる嵌合開始時から、装着完了状態になされるカバー部材の相対移動範囲において、カバー部材が筆記チップ1の周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されている。したがって、この構成によると、カバー部材6の取り付け時に開口部6dの一部が筆記チップ1に当接し、損傷を与えるという問題も効果的に回避することができる。
【0031】
以上説明した図2および図3に示す第1の実施の形態においては、カバー部材6に筆記チップ1の剛性不足を補う機能を持たせてはいないが、カバー部材6が装着された状態においては、第1継ぎ手部材3が金属製のカバー部材6によって包囲され、筆記チップ1を圧入固定した第1継ぎ手部材3が補強されるように作用する。また、カバー部材6の鍔部6cが第1継ぎ手部材3の端面に当接するため、第1継ぎ手部材3の変形を抑制する。
この場合、カバー部材6に金属素材を用いた場合には、その光沢により外観の品位を向上させて高級感をもたらす効果も発揮される。また、前記した金属製のカバー部材6は継ぎ手部材3からインク溶媒が揮発するのを効果的に抑制させると共に、逆に内部に空気が入り込むのを抑制させるという効果も期待できる。
【0032】
なお、第1継ぎ手部材3の外周面には、軸方向に複数本のリブが形成されており(図3に示す二点鎖線)、また、カバー部材6には開口部6dが設けられているため、開口部6dを通じて、第1継ぎ手部材の外周面は、外気に接していることになる。よって、カバー部材6の根元付近(鍔部6c付近)において、インク溶媒の揮発及び空気の侵入を抑制している。開口部6dを塞いだり、カバー部材6と第1継ぎ手部材3の外周面を密接させるようにすれば、よりインク溶媒の揮発及び空気の侵入を抑制することができる。
【0033】
図4および図5は、この発明にかかる第2の実施の形態を示したものであり、同様に第2継ぎ手部材4より先端部側を拡大して示している。そして、図4は円筒状のカバー部材6を第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合しようとする状態(嵌合開始時の状態)を示しており、また、図5はカバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合装着された状態をそれぞれ示している。
【0034】
この図4および図5に示す実施の形態においては、金属素材により構成されたカバー部材6に筆記チップ1の一部を包囲させる小径部6bを形成させて、筆記チップ1の剛性不足を補う機能を持たせている。すなわち、図4および図5に示すカバー部材6は、すでに説明した図12および図13に示した構成と同様に小径部6bを備えている。この小径部6bは筆記加重が加わり筆記チップ1に曲がり及びぐらつきが発生しようとした時、筆記チップ1に当接してその動作を阻止するように作用する。
【0035】
一方、この実施の形態にかかるカバー部材6は、図4に示すようにカバー部材6の端部を矢印Kで示したように第1継ぎ手部材3の外周面に接するように位置させると共に、カバー部材6の軸芯と継ぎ手部材3の軸芯とを合わせた時、前記カバー部材6が前記筆記チップ1の周囲における二点鎖線で示した所定の範囲(0.2mm)内に接近しない寸法関係になされている。したがって、この図4に示すカバー部材6の構成によると、カバー部材6を第1継ぎ手部材3の外周面に嵌合させようとする時(嵌合開始時)に、カバー部材6の一部が筆記チップ1に接触することはなく、筆記チップ1が損傷を受けるという問題を回避することができる。
【0036】
また、カバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に沿って若干押し込まれた状態となった場合には、第1継ぎ手部材3の外周面がガイドとなり、カバー部材6は第1継ぎ手部材3の外周面に沿ってそのまま押し込まれる。したがって、筆記チップ1の外径とカバー部材6における小径部6bの内径との間に若干のクリアランスを設定することで、組み立て工程において筆記チップ1がカバー部材6によって損傷を受ける問題を回避することができる。
【0037】
この図4および図5に示した構成においても、すでに説明した図2および図3に示した実施の形態と同様の作用効果を得ることができると共に、カバー部材6に形成された小径部6bが筆記チップの剛性不足を補い、筆記加重による筆記チップの曲がり及びぐらつきを効果的に防止させることができる。
【0038】
図6および図7は、この発明にかかる第3の実施の形態を示したものであり、同様に第2継ぎ手部材4より先端部側を拡大して示している。そして、図6は円筒状のカバー部材6を第2継ぎ手部材4の外周面に沿って嵌合しようとする状態(嵌合開始時の状態)を示しており、また、図7はカバー部材6が第2継ぎ手部材4の外周面に沿って嵌合装着された状態をそれぞれ示している。
【0039】
この図6および図7に示す実施の形態においては、金属素材により構成された円筒状のカバー部材6には、第2継ぎ手部材4の外周面に嵌合される大径部6eが形成されている。そして、この大径部6eを除いたカバー部材の他の構成は、すでに説明した図2および図3に示した構成と同様である。
【0040】
図6および図7に示したカバー部材6は、図6に示すようにカバー部材6の端部を矢印Kで示したように第2継ぎ手部材4の外周面に接するように位置させると共に、カバー部材6の軸芯と継ぎ手部材4の軸芯とを合わせた時、前記カバー部材6が前記筆記チップ1の周囲における二点鎖線で示した所定の範囲(0.2mm)内に接近しない寸法関係になされている。したがって、この図7に示すカバー部材6の構成によると、カバー部材6を第2継ぎ手部材4の外周面に嵌合させようとする時に、カバー部材6が筆記チップ1に接触することはなく、筆記チップ1が損傷を受けるという問題を回避することができる。
【0041】
つづいて、カバー部材6が第2継ぎ手部材4の外周面に沿って若干押し込まれた状態となった場合には、第2継ぎ手部材4の外周面がガイドとなり、カバー部材6は第2継ぎ手部材4の外周面に沿ってそのまま押し込まれる。この実施の形態においては、図6に示すようにカバー部材6に形成された開口部6dの寸法径も、前記二点鎖線の範囲よりも大きな内径となるように構成されている。
【0042】
すなわち、カバー部材6を継ぎ手部材4の外周面に沿って嵌合させる嵌合開始時から、装着完了状態になされるカバー部材の相対移動範囲において、カバー部材が筆記チップ1の周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されている。したがって、この構成によると、カバー部材6の取り付け時に開口部6dの一部が筆記チップ1に当接し、損傷を与えるという問題も効果的に回避することができる。
【0043】
以上説明した図6および図7に示す第3の実施の形態においては、カバー部材6に筆記チップ1の剛性不足を補う機能を持たせてはいないが、カバー部材6が装着された状態においては、第2継ぎ手部材4が金属製のカバー部材6によって包囲され、第2継ぎ手部材4が補強されるように作用する。この場合、カバー部材6に金属素材を用いた場合には、その光沢により外観の品位を向上させて高級感をもたらす効果も発揮される。また、前記した金属製のカバー部材6は、第1継ぎ手部材3および第2継ぎ手部材4からインク溶媒が揮発するのを効果的に抑制させると共に、逆に内部に空気が入り込むのを抑制させるという効果も期待できる。
【0044】
なお、第1継ぎ手部材3の外周面と、カバー部材6の内周面との間には隙間が形成されており、また、カバー部材6には開口部6dが設けられているため、開口部6dを通じて、第1継ぎ手部材3の外周面は、外気に接していることになる。よって、カバー部材6により覆われた第2継ぎ手部材4の前方(筆記チップ側)付近において、インク溶媒の揮発及び空気の侵入を抑制している。なお、開口部6dを塞いだり、カバー部材6と第1継ぎ手部材3の外周面を密接させるようにすれば、よりインク溶媒の揮発及び空気の侵入を抑制することができる。
【0045】
図8および図9は、この発明にかかる第4の実施の形態を示したものであり、同様に第2継ぎ手部材4より先端部側を拡大して示している。そして、図8は円筒状のカバー部材6を第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合しようとする状態(嵌合開始時の状態)を示しており、また、図9はカバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に沿って嵌合装着された状態をそれぞれ示している。
【0046】
この図8および図9に示すカバー部材6は、筒体部6aと鍔部6cとにより構成されており、筒体部6aが第1継ぎ手部材3の外周面に嵌合されるように構成されている。この場合、図8に示すようにカバー部材6の端部を矢印Kで示したように第2継ぎ手部材4の外周面に接するように位置させると共に、カバー部材6の軸芯と継ぎ手部材3の軸芯とを合わせた時、前記カバー部材6が前記筆記チップ1の周囲における二点鎖線で示した所定の範囲(0.2mm)内に接近しない寸法関係になされている。
【0047】
したがって、この図8に示すカバー部材6の構成によると、カバー部材6を第1継ぎ手部材4の外周面に嵌合させようとする嵌合開始時に、カバー部材6の一部が筆記チップ1に接触することはなく、筆記チップ1が損傷を受けるという問題を回避することができる。
【0048】
つづいて、カバー部材6が第1継ぎ手部材3の外周面に沿って若干押し込まれた状態となった場合には、第1継ぎ手部材3の外周面がガイドとなり、カバー部材6は第1継ぎ手部材3の外周面に沿ってそのまま押し込まれる。
【0049】
以上説明した図8および図9に示す第4の実施の形態においては、カバー部材6に筆記チップ1の剛性不足を補う機能を持たせてはいないが、カバー部材6が装着された状態においては、第1継ぎ手部材3が金属製のカバー部材6によって包囲され、筆記チップ1を圧入固定した第1継ぎ手部材3が補強されるように作用する。また、カバー部材6の鍔部6cが第1継ぎ手部材3の端面に当接するため、第1継ぎ手部材3の変形を抑制する。
そして、カバー部材6の金属光沢により、外観の品位を向上させて高級感をもたらす効果を発揮する。
【0050】
図10および図11は、この発明にかかる第5の実施の形態を示したものであり、同様に第2継ぎ手部材4より先端部側を拡大して示している。そして、図10はカバー部材6を第1継ぎ手部材3に形成された装着孔内に沿って嵌合しようとする状態(嵌合開始時の状態)を示しており、また、図11はカバー部材6が第1継ぎ手部材3の前記装着孔内に嵌合装着された状態をそれぞれ示している。
【0051】
この実施の形態においては、第1継ぎ手部材3に対して前記したようにカバー部材6が嵌合される装着孔3bが形成されている。この装着孔3bは、圧入された筆記チップ1の周囲に沿って形成されており、この装着孔3bの内周面にカバー部材6の外周面が嵌合されるように構成されている。したがって、ここで用いられるカバー部材6は、その外周面は単純な円筒面を形成している。
【0052】
そして、この実施の形態においては、カバー部材6に筆記チップ1の剛性不足を補う機能を持たせるために、その先端部付近に縮径部6fが形成されている。この縮径部6fは金属素材により構成された円筒状のカバー部材6に対して、その外周面から絞り加工を施すことにより、カバー部材6の内周面に向かって環状の凸部を形成させたものである。
【0053】
この実施の形態においては、図10に示すようにカバー部材6の端部を矢印Kで示したように、装着孔3bの内周面に接するように位置させると共に、カバー部材6の軸芯と継ぎ手部材3の軸芯とを合わせた時、前記カバー部材6が前記筆記チップ1の周囲における二点鎖線で示した所定の範囲(0.2mm)内に接近しない寸法関係になされている。したがって、この図10に示すカバー部材6の構成によると、カバー部材6を第1継ぎ手部材4の装着孔3bに嵌合させようとする嵌合開始時に、カバー部材6の一部が筆記チップ1に接触することはなく、筆記チップ1が損傷を受けるという問題を回避することができる。
【0054】
つづいて、カバー部材6が第1継ぎ手部材3の前記装着孔3b内に若干押し込まれた状態となった場合には、第1継ぎ手部材3の装着孔3bがガイドとなり、カバー部材6は前記装着孔3bに沿ってそのまま押し込まれる。この時、図10に示されたように、カバー部材6に形成された縮径部6fの内径は、筆記チップ1の周囲における二点鎖線で示した所定の範囲よりも小さな関係になされているが、カバー部材6は第1継ぎ手部材3に形成された前記装着孔3bの内周面にガイドされて装着されるので、縮径部6fが筆記チップ1に接触することはなく、筆記チップ1が損傷を受けるという問題を回避することができる。
【0055】
図10および図11に示した第5の実施の形態によると、カバー部材6に形成された縮径部6fは筆記加重が加わり筆記チップ1に曲がり及びぐらつきが発生しようとした時、筆記チップ1に当接してその動作を阻止するように作用する。したがって、この第5の実施の形態によると、カバー部材6に形成された縮径部6fが筆記チップ1の剛性不足を補う機能を果たす。加えて、カバー部材6が筆記チップ1の根元部分を包囲したデザインになされ、カバー部材6の金属光沢が高級感をもたらす効果を発揮する。
【0056】
以上説明した各実施の形態におけるカバー部材6は、全て円筒状に形成されたものを利用しているが、このカバー部材は必ずしも円筒状に形成されている必要はなく、継ぎ手部材もしくは筆記チップの一部を覆うことができる構成にされていればよい。
Claims (6)
- 先端に筆記ボールを回転可能に支持した筆記チップと、インクを内部に収容したインク収容管と、前記筆記チップと前記インク収容管とを連結してインク収容管内のインクを前記筆記チップ側に供給する継ぎ手部材とを備えたボールペンであって、
前記継ぎ手部材の外周面に沿って嵌合し装着することができるカバー部材がさらに具備され、前記カバー部材を筆記チップが取付けられた継ぎ手部材の外周面に沿って嵌合させる嵌合開始時に、前記カバー部材が前記筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されていることを特徴とするボールペン。 - 先端に筆記ボールを回転可能に支持した筆記チップと、インクを内部に収容したインク収容管と、前記筆記チップと前記インク収容管とを連結してインク収容管内のインクを前記筆記チップ側に供給する継ぎ手部材とを備えたボールペンであって、
前記継ぎ手部材に形成された装着孔内に沿って嵌合し装着することができるカバー部材がさらに具備され、前記カバー部材を筆記チップが取付けられた継ぎ手部材の装着孔内に沿って嵌合させる嵌合開始時に、前記カバー部材が前記筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されていることを特徴とするボールペン。 - 前記カバー部材が金属製の素材により構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載のボールペン。
- 前記筆記チップはパイプ状のチップにより形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載のボールペン。
- 前記カバー部材を前記継ぎ手部材の外周面に沿って嵌合させる嵌合開始時から装着完了状態になされるカバー部材の相対移動範囲において、前記カバー部材が前記筆記チップの周囲における0.2mm以内に接近しない寸法関係に構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のボールペン。
- 前記カバー部材は円筒状に形成されると共に前記筒体部の一端部には外側方向に折り曲げられた鍔部が形成され、前記鍔部が継ぎ手部材の端面に当接するように構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のボールペン。
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