JP4578170B2 - セロオリゴ糖発酵性ザイモバクター形質転換属微生物 - Google Patents

セロオリゴ糖発酵性ザイモバクター形質転換属微生物 Download PDF

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Description

本発明は、β-グルコシダーゼ外来遺伝子を含む組換えDNA及び該組換えDNAを含む形質転換微生物に関し、該形質転換微生物はセロビオースを含有する原料からのエタノールの効率的な生産に利用することができる。
エタノール生産に用いられる主な微生物としてはSaccharomyces属の酵母やZymomonas属またはZymobacter属の細菌が挙げられる。通常、これらの微生物は、グルコースなどの単糖から効率よくエタノールを生産するが、オリゴ糖や多糖からはエタノールを生産することができない。そのため、セルロース系バイオマスを原料としてエタノール生産を行う場合、まず、セルロースを微生物で発酵可能な単糖にまで分解しておく必要がある。セルロースの分解・糖化には、通常、セルラーゼを用いる酵素法や硫酸などを用いる酸糖化法などが用いられるが、これらの方法を用いてもセルロースを完全に単糖まで分解することは困難であったり、分解率を上げるために過剰に反応させると糖の回収率が低下し、その結果、エタノールの生産効率が悪くなるなどの問題があるというのが現状である。
このため、バイオマスを原料としたエタノール生産の収率を向上させるには、エタノール生産に用いられる微生物にβ-グルコシダーゼ遺伝子を導入し、セルロースの部分分解物であるセロオリゴ糖を基質としてエタノールを生産することができる形質転換微生物を構築する必要がある。
Zymomonas属およびZymobacter属の細菌は、Saccharomyces属の酵母より発酵速度が速いことが知られており、Zymomonas属の細菌を宿主細胞とした形質転換微生物の構築に関する試みが種々なされている。例えば、特許文献1には、Zymomonas属の細菌にペントース発酵性を形質転換したことが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法でβ-グルコシダーゼ遺伝子をZymomonas属の細菌に導入しても、β-グルコシダーゼが細胞外に分泌されず、さらに、セロオリゴ糖がZymomonas属の細胞壁を透過することができないことからセロオリゴ糖からのエタノール発酵は不可能である。また、特許文献2には、Klebsiella属細菌のセロビオース取り込み系遺伝子をZymomonas属に形質転換することにより、細胞内でのセロビオースからのエタノール生産を可能としたことが開示されているが、エタノールの生産効率はよくない。
米国特許第5,712,133号明細書 特表2001-519662公報
本発明の主たる目的は、セロオリゴ糖を資化することができないZymobacter属の微生物に対し、組換えDNA法によりβ-グルコシダーゼを導入することにより、セロオリゴ糖からのエタノール生産能をもつ形質転換微生物を提供することである。
本発明者らは、β-グルコシダーゼ生産性微生物に注目し、種々スクリーニングを行ったところ、幅広いセロオリゴ糖分解特性を示す酵素を得ることができた。しかし、Zymobacter属の細菌における宿主-ベクター系が確立されていないことから、ベクターの構築、形質転換法、セロオリゴ糖の代謝に関与する酵素の遺伝子のクローニング等について鋭意検討を重ねた結果、今回、Zymobacter属を宿主細胞とすると、形質転換したβ-グルコシダーゼが細胞外に分泌されることを見出し、これにより基質の取り込みによる律速の影響を排除することができ、セロオリゴ糖を含有する発酵原料からエタノールを効率よく生産することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、β-グルコシダーゼの外来遺伝子が導入されたZymobacter属のセロオリゴ糖発酵性、すなわち、セロオリゴ糖を基質としてエタノールを生産する能力をもつ形質転換微生物を提供するものである。
本発明は、また、β-グルコシダーゼ生産性菌株由来のβ-グルコシダーゼをコードするDNA断片をベクターに結合させてなる組換えDNAを提供するものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明においては、β-グルコシダーゼ生産能を有する微生物をDNA供与体として用い、それからβ-グルコシダーゼをコードするDNAを分離、精製した後、種々の方法で切断することにより、β-グルコシダーゼ遺伝子含有DNA断片を調製する。このβ-グルコシダーゼ遺伝子含有DNA断片をベクターDNA断片と、例えばDNAリガーゼなどにより結合させ、β-グルコシダーゼ遺伝子を含有する組換えDNAを形成する。
本発明において用いるβ-グルコシダーゼ遺伝子含有DNA供与体微生物としては、特に制限はなく、セルロース、部分分解セルロースまたはセロオリゴ糖分解能を有するものであればよいが、特に、Ruminococcus属に属する微生物が好適に用いられ、その中でもRuminococcus albusが好ましい。その他のRuminococcus属微生物、あるいはRuminococcus属以外の微生物であって、β-グルコシダーゼ産生能を有するもの、さらにはプロモーター部位やリボソーム結合部位の異常などによりβ-グルコシダーゼ産生能は有しないが、そのDNA上にβ-グルコシダーゼ構造遺伝子をコードする微生物もまたβ-グルコシダーゼ遺伝子含有DNA供与体として使用可能である。さらに、遺伝子組換えなどにより、β-グルコシダーゼ構造遺伝子が導入された形質転換微生物などもβ-グルコシダーゼ遺伝子含有DNA供与体微生物として使用することができる。
β-グルコシダーゼ遺伝子を含有する組換えDNAは、宿主であるZymobacter属に属する微生物に導入することにより、β-グルコシダーゼ産生能をもつ形質転換微生物を構築することができる。導入された組換えDNAは、そのすべてあるいは一部が、Zymobacter属の宿主細胞のゲノム中に取り込まれても、また、形質転換に用いられたベクター上に存在していてもよい。
上記の供与体微生物からのDNA の分離、精製は、それ自体既知の方法、例えば、斉藤・三浦らの方法(Biochem.Biophys.Acta,Vol.72,619〜629,1963)やその変法、さらには市販のDNA 抽出キットを用いる方法などにより行うことができる。以下、斉藤・三浦らの方法に準じた方法についてさらに具体的に説明する。
まず、供与体微生物をグリシン0.5%含むイースト−スターチ培地(組成:酵母エキス0.2%,可溶性澱粉1.0%,pH7.3)などの適当な液体培地に接種し、4〜60℃、好ましくは30℃で8〜48時間、好ましくは一夜攪拌培養する。培養終了後、固−液分離操作、例えば0〜50℃、好ましくは4℃にて回転数3000〜15000rpm、好ましくは10000rpmの条件で遠心分離を行うことにより集菌する。
集菌した微生物を次いでVS緩衝液(0.15M NaCl,0.1M EDTA,pH8.0)に懸濁させ、リゾチームを加えた後、4〜45℃、好ましくは37℃で0.5〜4時間、好ましくは1時間放置してプロトプラスト液を得る。該液に、TSS緩衝液(0.1M トリス,0.1M NaCl,1%SDS,pH9.0)及び5M NaClを加えてプロトプラストを溶解させる。続いて、TE溶液(10mM トリス,1mM EDTA,pH8.0)−飽和フェノールを加え、穏やかにかつ十分に懸濁させる。得られる懸濁液を0〜50℃、好ましくは4℃にて回転数3000〜15000rpm、好ましくは12000rpmで遠心分離し、得られる上層(水相)をクロロホルム液で懸濁させる。さらに、これを0〜50℃、好ましくは4℃にて回転数3000〜15000rpm、好ましくは12000rpmで遠心分離し、得られる上層(水相)を再度フェノール及びクロロホルムを用いて懸濁処理する。
続いて、冷エタノールを加え、生ずる白濁した粗染色体DNAを回収し、該DNAをSSC緩衝液(0.15M NaCl,0.015M クエン酸ナトリウム)に溶解し、SSC緩衝液に対して一晩透析する。この透析内液に、リボヌクレアーゼを終濃度1〜50μg /ml、好ましくは10μg/mlで加え、4〜45℃、好ましくは37℃で0.5〜16時間、好ましくは2時間放置する。さらに、プロテアーゼを終濃度0.1〜10μg/ml、好ましくは1μg/mlで加え、4〜45℃、好ましくは37℃で15分間〜8時間、好ましくは30分間放置する。これを、上記と同様にフェノール及びクロロホルムを用いて処理し、SSC緩衝液に対して透析し、精製された供与体微生物の染色体DNA液を得る。
このようにして得られる供与体微生物のDNAを制限酵素などにより分解し、蔗糖密度勾配法により1kbp未満のDNA断片を除いたものを、供与体DNA断片として用いることが可能である。このときに用いる制限酵素は特に限定はなく、DNAを切断するEcoRIなどの各種酵素類を使用することができる。また、上記の酵素法以外にも、超音波処理や物理的剪断力などを用いてDNAを切断することも可能である。その際、例えば、クレノーフラグメントやDNAポリメラーゼ、マングビーンヌクレアーゼなどの酵素で供与体DNA断片の末端を処理しておくと、後のベクターDNAとの結合効率が上がり好ましい。さらに、供与体微生物のDNAやその断片をテンプレートとしてPCR増幅したものについても、そのままあるいは上記の処理を行うことにより供与体DNA断片として使用することができる。
他方、ベクターDNA断片としては、特に限定はないが、グラム陰性細菌間の広宿主域性プラスミド由来のpRK290、pMFY40またはpMFY31を制限酵素で切断処理したものなどを好適に用いることができる。上記以外のベクター、例えば、既知のグラム陰性細菌の広宿主域性プラスミドを適宜選択し使用することも可能である。用いる制限酵素についても、粘着末端を生じるものに限らず、DNAを切断する各種の酵素類を使用することができ、さらに、上記の供与体微生物のDNAの切断と同様な方法によるベクターDNAの切断が可能である。
得られるベクターDNA断片は、上記の供与体DNA断片との結合反応に先立ち、アルカリ性フォスファターゼ処理することができる。これにより、該断片と供与体DNA断片との結合効率が向上する。さらに、PCR増幅により供与体DNA断片を調製する場合には、予め増幅断片の両末端にSalIなどの制限酵素部位付与プライマーを用い、その制限酵素切断したDNA断片と同じ制限酵素で切断したベクター断片を用いると、結合効率を上げることができる。供与体DNA断片とベクターDNA断片との結合反応は、公知のDNA リガーゼを使用する方法等の常法を用いて行うことができ、例えば、供与体DNA断片とベクターDNA断片とをアニーリングした後、生体外で適当なDNAリガーゼの作用により組換えDNAを作成することができる。また、必要であれば、アニーリングした後、宿主微生物に導入し、生体内のDNA修復能を利用して組換えDNAにすることもできる。
供与体DNA断片とベクターDNA断片を含む組換えDNAを挿入する宿主微生物としては、エタノール発酵能を有し且つ組換えDNAが安定に保持されるものであればいずれの微生物でもよいが、本発明においては、好適には、Zymobacter属に属する微生物、一般的にはZymobacter palmaeが用いられる。宿主微生物に組換えDNAを導入する方法は、特に限定されるものではないが、Zymobacter palmaeなどの場合には、エレクトロポレーションなどの電気的刺激を利用する方法による組換えDNAの導入が好適である。また、Zymobacter palmae以外の他のエタノール生産性微生物、例えばZymomonas mobilisや酵母、その他の宿主についても、同様の方法によって組換えDNAの導入が可能である。
このようして得られる形質転換微生物の増殖培地としては、例えば、宿主微生物がZymobacterの場合は、RM培地などがよく用いられる。宿主微生物としてZymobacter以外の枯草菌や酵母など用いる場合は、用いた宿主微生物に応じた各種の培地での培養が可能であり、培養温度等の培養条件も宿主微生物の性質に応じて適宜設定することができる。また、用いるベクターDNA断片が、各種の抗生物質耐性遺伝子をコードしているものであれば、培地中に、相当する抗生物質を適量加えることにより、組換えDNAをより安定的に保持することができる。さらに、用いるベクターDNAが、宿主微生物の栄養要求性を補う遺伝子をコードしているものであれば、その要求される栄養素を含まない培地を用いることにより、同様に組換えDNAの安定性を向上させることができる。
本発明により、組換えDNA法を用いてZymobacter属の微生物にセロビオース発酵性を付与することを可能にする組換えDNA及びその組換えDNA断片を含む形質転換微生物が提供される。該形質転換微生物を用いることによって、セロビオース含有糖液を原料とした効率的なエタノールの製造が可能となる。
セロビオース含有糖液を原料としたエタノールの生産は、セロビオースを含む糖化原料を上記のセロオリゴ糖発酵性形質転換微生物を用いて発酵させ、得られる発酵液からエタノールを回収することにより行うことができる。例えば、上記の形質転換微生物を固定化した固定化担体を用い、それ自体既知のアルコール発酵法に従って行うことができる。
上記形質転換微生物の固定化担体への固定化は、それ自体既知の方法によって行うことができ、例えば、包括法、物理的吸着法、共有結合法等が挙げられる。
担体としては、中空状、凹凸状、多孔質状等の形態で単位体積当たりの表面積が大きいもの或いは水を吸収して膨潤するものであって、流動性を持ち、容易に反応系から流出しない粒径及び比重を有するものが好適であり、担体形状としては、例えば、板状体、繊維状体、円筒などの特殊形状体、スポンジ状体、粒・塊状体、立方体状などいずれでもよいが、中でも、流動性と充分な表面積を確保しやすい微小な粒状体が好ましい。担体素材としては、微生物や酵素などの担体材料として従来から用いられている各種の有機・無機材料を用いることができ、例えば、粒状活性炭、破砕活性炭、木炭、ゼオライト、雲母、砂粒等の無機材料;光硬化性樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、寒天、アルギン酸、カラギーナン、セルロース、デキストラン、アガロース、イオン交換樹脂等の樹脂材料;シリカゲル等の多孔質セラミックス;アンスラサイト;樹脂材料に活性炭等を混入したものなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて用いることができる。
上記固定化担体は、通常、バイオリアクター内に充填されて用いられる。発酵に用いられるバイオリアクターとしては、その形式の違いから、完全混合槽型、充填層型、膜型、流動層型、横型等のリアクターが挙げられる。このようなバイオリアクターを用いると、連続発酵が可能となり、微生物等の投入・回収が不要となるので好適である。
上記のアルコール発酵の際には、微生物の種々の栄養源を必要に応じて糖液中に配合することができ、例えば、窒素源として酵母エキス、コーンスティープリカー、ペプトン、肉エキス、カツオエキスなどを使用することができる。
本発明により、組換えDNA法を用いてZymobacter属の微生物にセロビオース発酵性を付与することを可能にする組換えDNA及びその組換えDNA断片を含む形質転換微生物が提供される。該形質転換微生物を用いることによって、セロビオース含有糖液を原料とした効率的なエタノールの製造が可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1:Zymobacter palmaeの遺伝子導入方法
一般に、大腸菌やPseudomonas細菌などのグラム陰性細菌には自己伝達性を有する多剤薬剤耐性プラスミドDNAの存在が報告されており、これらのプラスミドは大腸菌やPseudomonas細菌間を伝搬することが知られている。これら広宿主域性の多剤薬剤耐性プラスミド、およびこれら広宿主域性多剤薬剤耐性プラスミドの伝達性と自己複製に関する遺伝子領域を残したプラスミドは広宿主域性ベクタープラスミドとして利用されることがある(BIO/TECHNOLOGY, November, 784-791,1983)。これまで、Zymobacter palmaeのベクタープラスミドとその遺伝子導入方法については開発されていない。そこで、Zymobacter palmaeへの遺伝子導入のためのベクタープラスミドとして、グラム陰性細菌間の広宿主域性プラスミドから、Tc耐性マーカーをもつpRK290およびpMFY40とCm耐性マーカーをもつpMFY31の3種を選択した(Agric. Biol. Chem., Vol.49(9), 2719-2724, 1985)(図1)。Zymobacter palmaeへの遺伝子導入法は知られていないことから、一般的な遺伝子導入法からエレクトロポレーション法を用いた。
Zymobacter palmae(ATCC 51623)をRM培地(2.0% Glucose、1.0% Bacto-yeast extract、0.2% KH2PO4、pH6.0)で一晩静置培養した5mlの前培養液を、50mlのT培地(2.0% Glucose、1.0% Bacto-yeast extract、1.0% KH2PO4、0.2% (NH4)2SO4、0.05% MgSO4・7H2O、pH6.0)に植え継ぎ、30℃で90分間培養した。培養液を4℃、300rpmで10分間の遠心分離により菌体を集め、20mlの冷却した10%グリセロールを加え、懸濁・洗浄した。再び、4℃、3000rpmで10分間遠心してコンピテントセルとした。200μlのコンピテントセルと10μlのベクタープラスミドDNA溶液を氷上にて混合した後、エレクトロポレーション装置付属のキュベットに移して、電圧が200V、静電容量が250μFD、抵抗値が200Ωの条件下で電気的パルスを印加した。直ちに1mlのT培地をキュベットに添加して、30℃で1時間静置培養した後、使用した広宿主域性プラスミドベクターの薬剤耐性遺伝子発現に対応する抗生物質を添加した選択培地上でコロニーを形成させた。開発した遺伝子導入方法によるZymobacter palmaeのプラスミドpMFY40による形質転換効率は約1×106/μg DNAであった(表1)。
実施例2:β-グルコシダーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドの作製
Ruminococcus albus由来のβ-グルコシダーゼ遺伝子は、当該菌体から調製したゲノムDNAをテンプレートとしたPCRにより増幅し、その増幅DNA断片をベクタープラスミドに挿入して組換えプラスミドを作製した。PCRに用いたβ-グルコシダーゼ遺伝子増幅のためのプライマーとしては、公知の当該遺伝子の塩基配列に基づき(Nucleic Acids Res. Vol.18, 671, 1990)、β−グルコシダーゼ遺伝子の上流域に配座するプロモーター領域も含み、その両末端に制限酵素切断部位としてSalI部位を付与するように設計した以下の2種のプライマーを用いた:
BGN primer:5’-GCGGTCGACATCAAGGTGTGATGTTGATTATACC-3’
BGC primer:5’-CGCGTCGACTCATGTTTGACAGCTTATCATCGAT-3’
PCRによりプロモーターとβ-グルコシダーゼ遺伝子を含む約3.2kbpのDNA断片を制限酵素SalIにより切断し、一方、ベクタープラスミドpMFY31をSalI切断後、アルカリフォスファターゼ処理したDNA断片と混合して、リガーゼを利用して連結させた。この組換えプラスミドを含むリガーゼ反応溶液の10μlを実施例1に記載した200μlのZymobacter palmaeコンピテント細胞と混合して、エレクトロポレーション法により形質転換した。形質転換株は、薬剤として100μg/mlのアンピシリンと20μg/mlの5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラニシド(X-glc)を添加したT平板培地上での青色のコロニーとして選択した。得られた形質転換株は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されており、その寄託番号はFERM P−19450である(これは平成16年6月30日にブタペスト条約のもとでの国際寄託に移管され受託番号FERM BP−10047が与えられた)。なお、β-グルコシダーゼ遺伝子が挿入された組換えプラスミドをpMF31-βgと称する(図2)。
実施例3:組換えZymobacter palmae株によるセロオリゴ糖発酵性
実施例2で作製された組換えZymobacter palmae株内でのβ-グルコシダーゼの発現と細胞内局在性を検討した。
Zymobacter palmae/pMFY31-βg株、Zymobacter palmae/pMFY31株およびE.coli JM109/pMFY31-βg株をそれぞれ培養した後、回収した菌体から細胞分画を行い(Science,Vol.156(781),1451〜1455,1967)、細胞外画分に相当する培養液上清、細胞表層画分に相当する菌体洗浄液、高張液による洗液、ペリプラズム画分に相当する浸透圧ショック液、細胞膜画分、細胞質内画分の各細胞画分のβ-グルコシダーゼ活性を測定した(J Bacteriol., Vol.161(1), 432-434, 1985)。
Zymobacter palmae/pMFY31-βg株におけるβ-グルコシダーゼ活性はE.coli JM109 /pMFY31-βg株と同程度の活性を示した。さらに、発現したβ-グルコシダーゼは、Zymobacter palmae/pMFY31-βgにおいて、洗菌液に29.5 %、浸透圧ショック液に17.1%、無細胞抽出液に29.5 %局在しており、大腸菌に比較して高い分泌性を示した(表2)。すなわち、発現した全活性の約50%が細胞膜を透過して分泌された。
組換え菌Zymobacter palmae /pMFY31-βg株を2%グルコース,2%セロビオース及び2%グルコース+セロビオースを炭素源とした培地に植菌し、菌体の生育度及びエタノールの生成量を経時的に測定した。セロビオースを唯一の炭素源とした培地では、グルコース培地に比べて生育速度は低下したが、培養10日目で2%セロビオースを消費し、理論収率のエタノールを生産した(図3)。
実施例4
組換え菌Zymobacter palmae FERM P-19450(FERM BP-10047)をバイオマス部分糖化液由来のセロビオースを唯一の炭素源としたCB培地(2.0%セロビオース、1.0%酵母エキス、1.0%KH2PO4、0.2%(NH4)2SO4、0.05%MgSO4・7H2O、pH6.0)に植菌し、5日間静置培養を行い、前培養液とした。本培養は前述のCB培地を用い、本培養用CB培地に対し10%の割合で前培養液を植菌し、30℃で緩やかに攪拌培養を行った。菌体の生育度、セロビオース濃度およびエタノール濃度を経時的に測定したところ、7日間の培養でセロビオースをほぼ消費し、理論収率のエタノールを生産した(図4)。
実施例5
廃木材の硫酸糖化により調製した糖液(10%グルコース、1%セロビオース)に酵母エキスを1.0%、KH2PO4を1.0%、 (NH4)2SO4を0.2%、MgSO4・7H2Oを0.05%になるようにそれぞれ添加し、pHを6.0に調整した培地を用いて連続発酵を行った。組換えZymobacter palmaeFERM P-19450(FERM BP-10047)は光硬化性樹脂ENTG-3800(関西ペイント社製)を用いて包括固定化した。連続発酵にはドラフトチューブ型バイオリアクター(流動層型)を用い、固定化担体を充填率20%でリアクターに投入した後、上記培地をリアクター下部から連続的に注入した。さらに、発酵によって生じる炭酸ガスを一旦捕集した後、リアクター下部から再度供給することで流動床を形成させた。30℃、希釈率D=0.1h-1で連続発酵を行ったところ、糖消費率99%以上かつエタノール収率95%以上で1ヶ月以上安定して連続発酵を行うことができた。
実施例6
古紙由来のセルロースをセルラーゼにより酵素糖化させて調製した糖液(8%グルコース、2%セロビオース)に酵母エキスを1.0%、KH2PO4を1.0%、 (NH4)2SO4を0.2%、MgSO4・7H2Oを0.05%になるようにそれぞれ添加し、pHを6.0に調整した培地を用いて連続発酵を行った。中空円筒型(2mmφ×3mm)ポリプロピレン製担体を菌体懸濁液中に投入することにより、組換えZymobacter palmaeFERM P-19450(FERM BP-10047)の付着固定化を行った。連続発酵には固定床バイオリアクター(充填層型)を用い、固定化担体を充填率80%でリアクターに投入した後、上記培地をリアクター下部から連続的に供給した。30℃、希釈率D=0.2h-1で連続発酵を行ったところ、糖消費率99%以上かつエタノール収率95%以上で1ヶ月以上安定して連続発酵を行うことができた。
ベクタープラスミドの制限酵素切断地図である。 β-グルコシダーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドの制限酵素切断地図である。 組換えZymobacter palmaeによるセロビオースからのエタノールの発酵生産性を示すグラフである。 組換えZymobacter palmaeによるセロビオースからのエタノールのバッチ発酵生産性を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 配列番号1及び2のPCRプライマーを用いてRuminococcus albusから得られる、β−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチドで形質転換された、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号 FERM BP−10047として寄託されているZymobacter palmae菌株。
  2. セロビオースを含む糖化原料を、請求項1に記載のZymobacter palmae菌株を用いて発酵させ、得られる発酵液からエタノールを回収することを特徴とするエタノールの製造方法。
  3. 請求項1に記載のZymobacter palmae菌株を固定化した固定化担体。
  4. 請求項に記載の固定化担体を備えたバイオリアクター。
  5. 請求項に記載の固定化担体を用いてセロビオースを含む糖化原料を連続的に発酵させることを特徴とするエタノールの製造方法。
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