本発明は、熱交換器で作動ガスが吸熱した熱エネルギを機械エネルギに変換する熱エネルギ回収装置に関する。
従来、熱エネルギを機械エネルギに変換する熱サイクル機関が存在する。例えば、この種の熱サイクル機関としては、下記の特許文献1,2に開示されたブレイトンサイクル機関が知られている。そのブレイトンサイクル機関とは、吸入した作動ガスを断熱圧縮する圧縮機と、この圧縮機で断熱圧縮された作動ガスに高温流体の熱を等圧力で入熱させる熱交換器と、この熱交換器で等圧受熱された作動ガスを断熱膨張させる膨張機とを備え、その膨張力を利用して出力軸たるクランクシャフトから機械エネルギを出力させるものである。
このように、熱サイクル機関とは、高温流体の熱エネルギを利用して機械的な出力を得るものであり、その高温流体の熱エネルギを回収する熱エネルギ回収装置として構築される。例えば、この熱エネルギ回収装置の一例としては、内燃機関から排出された排気ガスを高温流体として利用した内燃機関の排気熱回収装置がある。
尚、下記の特許文献3には、内燃機関の排気触媒装置の下流側にスクロール膨張機を配備した技術が開示されている。
特開平6−257462号公報
特開2005−325711号公報
特開2003−138933号公報
ところで、上述した熱エネルギ回収装置を内燃機関の排気熱回収装置として構築する場合には、その内燃機関の排気経路上に熱交換器を配設するのが一般的である。しかしながら、その熱交換器を排気経路上の何れの位置に配置するかによっては、内燃機関のエミッション性能の悪化や熱エネルギ回収装置における排気熱の回収量の低下が懸念される。即ち、通常の内燃機関の排気経路上には排気ガス浄化用の排気触媒装置が配設されているが、その排気触媒装置に対して熱交換器を排気ガスの流れ方向から見て上流側に配置するか下流側に配置するかによっては、内燃機関のエミッション性能と熱エネルギ回収装置における排気熱の回収量という以下の如き二律背反する課題が生じてしまう。
例えば、熱交換器を排気触媒装置よりも下流の排気経路上に配置した場合には、内燃機関から排出された高温の排気ガスが熱交換器よりも先に排気触媒装置を通過する。従って、かかる場合には、排気触媒装置が活性温度まで早い段階で昇温されるので、この排気触媒装置における排気ガス中のHC成分の浄化性能を向上させることができる。その反面、かかる場合には、排気ガスの排気熱が排気触媒装置で大量に奪われてしまうので、熱交換器において作動ガスに入熱される排気熱が低くなり、排気ガスからの回収量が少なくなってしまう。また、高温の排気ガスが先に排気触媒装置を通過するので、この排気触媒装置は、その排気ガスの温度如何で触媒担体温度が高くなり過ぎて劣化してしまう虞もある。
一方、熱交換器を排気触媒装置よりも上流の排気経路上に配置した場合には、高温の排気ガスが排気触媒装置よりも先に熱交換器を通過するので、その排気熱の回収量を増加させることができる。その反面、かかる場合には、排気ガスの排気熱が熱交換器で大量に奪われてしまうので、排気触媒装置を活性温度へと到達させるまでに時間がかかり又は排気触媒装置を活性温度に保つことができず、排気ガス中のHC成分が浄化されずに大気へと放出されてしまう。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、燃焼機関のエミッション性能を確保しつつ排気触媒装置の劣化を防止しながら排気熱の回収量を増加させることが可能な熱エネルギ回収装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、燃焼機関の排気ガスの流れに対して排気触媒装置よりも上流側の排気経路上に配置され、その燃焼機関の排気熱を作動ガス流路の作動ガスに入熱させる第1熱交換器と、その燃焼機関の排気ガスの流れに対して排気触媒装置よりも下流側の排気経路上に配置され、その燃焼機関の排気熱を作動ガス流路の作動ガスに入熱させる第2熱交換器と、その第1熱交換器と第2熱交換器の夫々の作動ガス流路を連通させる作動ガス通路と、吸入した作動ガスを圧縮し、この圧縮された作動ガスを第1熱交換器又は第2熱交換器の内の何れか一方の作動ガス流路に作動ガス排出通路を介して送出する圧縮機と、その第1熱交換器又は第2熱交換器の内の何れか他方の作動ガス流路から作動ガス供給通路を介して供給された入熱後の作動ガスの膨張によって機械エネルギを出力する膨張機と、を備えている。
この請求項1記載の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置の前後の第1熱交換器と第2熱交換器とで排気熱が入熱されるので、その排気触媒装置に流入する排気ガスが浄化性能及び耐久性の観点から最適な温度となる最大限の熱交換容量に第1熱交換器を設定し、その浄化性能及び耐久性に影響を与えない第2熱交換器の熱交換容量を可能な限り大きく設定することができる。従って、この熱エネルギ回収装置は、排気触媒装置の浄化性能を確保し且つ過熱による排気触媒装置の劣化を防止することができ、更に、排気触媒装置の前後何れかにのみ熱交換器を配置した従来のものよりも作動ガスへの実際の入熱量を増加させることができる。
ところで、その請求項1記載の熱エネルギ回収装置においては、請求項2記載の発明の如く、排気触媒装置の触媒担体温度に応じて第1熱交換器における作動ガスへの入熱量を制御する作動ガス入熱量制御手段を設けることが好ましい。その作動ガス入熱量制御手段は、例えば、請求項3記載の発明の如く、排気触媒装置の触媒担体温度が活性温度よりも低い又は低くなる温度のときに作動ガスへの入熱量を減少させ、それ以外の温度のときに作動ガスへの入熱量を増加させるよう構成する。
ここで、第1熱交換器の作動ガス流路への作動ガスの流入量を増減させることによって、この第1熱交換器においての作動ガスへの入熱量の増減が可能になる。これが為、上記の作動ガス入熱量制御手段の具体例として、請求項4記載の発明の如く、排気触媒装置の触媒担体温度に応じて第1熱交換器の作動ガス流路への作動ガスの流入量を制御する作動ガス流入量制御手段を請求項1記載の熱エネルギ回収装置に設ける。この作動ガス流入量制御手段は、請求項5記載の発明の如く、排気触媒装置の触媒担体温度が活性温度よりも低い又は低くなる温度のときに第1熱交換器の作動ガス流路への作動ガスの流入量を減少させ、それ以外の温度のときに第1熱交換器の作動ガス流路への作動ガスの流入量を増加させるよう構成する。
これら請求項2〜5に記載の熱エネルギ回収装置は、第1熱交換器においての作動ガスへの入熱量を排気触媒装置の触媒担体温度に応じて増減させることができるので、その触媒担体温度に応じた第1熱交換器通過後の排気ガスの温度の増減制御が可能になる。従って、この熱エネルギ回収装置においては、その排気触媒装置の浄化性能と耐久性を保ちつつ作動ガスへの入熱量を増加させることができる。
具体的に、その作動ガス流入量制御手段は、請求項6記載の発明の如く、圧縮機の作動ガス排出通路を第1熱交換器の作動ガス流路に連通させると共に膨張機の作動ガス供給通路を第2熱交換器の作動ガス流路に連通させた場合、圧縮機の作動ガス排出通路と作動ガス通路を連通させるバイパス通路と、その作動ガス排出通路を第1熱交換器の作動ガス流路に連通させ且つバイパス通路から遮断させた第1状態と当該作動ガス排出通路をバイパス通路に連通させ且つ第1熱交換器の作動ガス流路から遮断させた第2状態とを切り替える流路切替弁と、を備えて構成することができる。
また、その作動ガス流入量制御手段は、請求項7記載の発明の如く、圧縮機の作動ガス排出通路を第1熱交換器の作動ガス流路に連通させると共に膨張機の作動ガス供給通路を第2熱交換器の作動ガス流路に連通させた場合、圧縮機の作動ガス排出通路と作動ガス通路を連通させるバイパス通路と、その作動ガス排出通路から第1熱交換器の作動ガス流路及びバイパス通路への夫々の作動ガスの流量を調節可能な流量制御弁と、を備えて構成することができる。
また、その作動ガス流入量制御手段は、請求項8記載の発明の如く、圧縮機の作動ガス排出通路を第2熱交換器の作動ガス流路に連通させると共に膨張機の作動ガス供給通路を第1熱交換器の作動ガス流路に連通させた場合、作動ガス通路と膨張機の作動ガス供給通路を連通させるバイパス通路と、その作動ガス通路を第1熱交換器の作動ガス流路に連通させ且つバイパス通路から遮断させた第1状態と当該作動ガス通路をバイパス通路に連通させ且つ第1熱交換器の作動ガス流路から遮断させた第2状態とを切り替える流路切替弁と、を備えて構成することができる。
また、その作動ガス流入量制御手段は、請求項9記載の発明の如く、圧縮機の作動ガス排出通路を第2熱交換器の作動ガス流路に連通させると共に膨張機の作動ガス供給通路を第1熱交換器の作動ガス流路に連通させた場合、膨張機の作動ガス供給通路と作動ガス通路を連通させるバイパス通路と、その作動ガス通路から第1熱交換器の作動ガス流路及びバイパス通路への夫々の作動ガスの流量を調節可能な流量制御弁と、を備えて構成することができる。
本発明に係る熱エネルギ回収装置は、排気触媒装置の前後に配置した第1熱交換器と第2熱交換器とで装置全体で所望される熱交換容量(入熱量)を確保し、その排気触媒装置へと流入させる排気ガスを浄化性能及び耐久性の双方にとって最適な温度にすることができる。従って、この熱エネルギ回収装置によれば、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置の劣化の防止を図りながら従来よりも多くの排気熱を回収することができる。
以下に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例1を図1及び図2−2に基づいて説明する。
本実施例1の熱エネルギ回収装置は、高温流体の熱を利用して作動ガスを断熱圧縮→等圧受熱→断熱膨張→等圧放熱させて動力を得るブレイトンサイクル機関であって、吸入した作動ガスを断熱圧縮する圧縮機10と、この圧縮機10にて断熱圧縮された作動ガスに対して高温流体の熱を等圧力で入熱させる2つの熱交換器(第1及び第2の熱交換器)20A,20Bと、これら第1及び第2の熱交換器20A,20Bで等圧受熱された作動ガスを断熱膨張させる膨張機30と、この膨張機30の断熱膨張に伴って回転する出力軸たるクランクシャフト41と、を備えている。
この熱エネルギ回収装置においては、図2−1のP−V線図や図2−2のT−s線図に示す如く、圧力P1の作動ガスが圧縮機10に吸入され、この圧縮機10にて圧力P1,体積V1(=Vcomp),温度T1,エントロピs1の作動ガスを断熱圧縮する。しかる後、この断熱圧縮された圧力P2,体積V2,温度T2,エントロピs1の作動ガスが第1及び第2の熱交換器20A,20Bへと送出され、この第1及び第2の熱交換器20A,20Bにて高温流体と等圧受熱される。そして、その等圧受熱された圧力P2,体積V3,温度T3,エントロピs2の作動ガスが膨張機30へと流入して断熱膨張を行い、その断熱膨張後の圧力P1,体積V4,温度T4,エントロピs2の作動ガスが膨張機30から排出(等圧放熱)される。
先ず、この熱エネルギ回収装置に用いる圧縮機10について説明する。この圧縮機10は、吸入した作動ガス(例えば、ここでは空気)を断熱圧縮し、その断熱圧縮後の作動ガスを熱交換器(ここでは、第1熱交換器20A)へと供給させる為に熱エネルギ回収装置に配備される。
本実施例1の圧縮機10には、容積Vcompが一定のシリンダ11と、このシリンダ11内を往復運動するピストン12と、が設けられている。そのピストン12は、コネクティングロッド13を介してクランクシャフト41に連結される。尚、そのクランクシャフト41には、フライホイール51が配設されている。
また、この圧縮機10には、作動ガスをシリンダ11内に導く作動ガス吸入通路14と、そのシリンダ11内でピストン12によって断熱圧縮された作動ガスを熱交換器(ここでは、第1熱交換器20Aの後述する作動ガス流路22)へと導く作動ガス排出通路15と、が設けられており、その夫々に吸気側開閉弁16と排気側開閉弁17が配備されている。
ここで、その吸気側開閉弁16としては、作動ガス吸入通路14とシリンダ11内の圧力差によって作動ガスをシリンダ11内へと吸入させる一方、その吸入後の作動ガスの作動ガス吸入通路14への逆流を防ぐ逆止弁を用いる。また、排気側開閉弁17としては、作動ガス排出通路15とシリンダ11内の圧力差によって断熱圧縮後の作動ガスをシリンダ11内から排出させる一方、その排出後の作動ガスのシリンダ11内への逆流を防ぐ逆止弁を用いる。
続いて、この熱エネルギ回収装置に用いる膨張機30について説明する。
本実施例1の膨張機30には、容積Vexp(ここではVexp≧Vcomp)が一定のシリンダ31と、このシリンダ31内を往復運動するピストン32と、が設けられている。そのピストン32は、コネクティングロッド33を介して圧縮機10と同一のクランクシャフト41に連結される。
また、この膨張機30には、熱交換器(ここでは、第2熱交換器20Bの後述する作動ガス流路22)を通過した作動ガスをシリンダ31内に導く作動ガス供給通路34と、そのシリンダ31内で断熱膨張した作動ガスをシリンダ31の外に導く作動ガス排出通路35とが設けられており、その夫々に吸気側開閉弁36と排気側開閉弁37が配備されている。その吸気側開閉弁36及び排気側開閉弁37としては、例えばチェーンやスプロケット等を介することによりクランクシャフト41の回転に同期して開閉動作を行う回転同期弁を用いることができる。
この膨張機30は、シリンダ31内に供給した作動ガスを断熱膨張させることによってピストン32を押動させ、これによりクランクシャフト41を回転させて機械エネルギを出力させるべく熱エネルギ回収装置に配備される。
続いて、この熱エネルギ回収装置に用いる第1及び第2の熱交換器20A,20Bについて説明する。
この第1及び第2の熱交換器20A,20Bは、夫々に、高温流体が流れる高温流体流路21と、その高温流体との熱交換に供される作動ガスが流れる作動ガス流路22と、を備えている。その高温流体流路21と作動ガス流路22は、略平行に配置する。
ここで、本実施例1の熱エネルギ回収装置においては、この第1及び第2の熱交換器20A,20Bを図示しない燃焼機関(ここでは、炭化水素系燃料を燃焼させることによって動力を発生させる内燃機関について例示する。)の排気経路100上に配置し、この排気経路100と連通させた第1及び第2の熱交換器20A,20Bの夫々の高温流体流路21に高温流体としての排気ガスを流入させる。即ち、本実施例1の熱エネルギ回収装置は、圧縮機10,第1及び第2の熱交換器20A,20B並びに膨張機30等の各種構成部品によって構築された燃焼機関の排気熱の回収手段(以下、「排気熱回収手段」という。)として例示する。
本実施例1にあっては、燃焼機関の排気ガスの流れに対して排気触媒装置101よりも上流側の排気経路100上に第1熱交換器20Aを配設し、その排気ガスの流れに対して排気触媒装置101よりも下流側の排気経路100上に第2熱交換器20Bを配設する。これが為、燃焼機関から排出された排気ガスは、前段側の第1熱交換器20Aの高温流体流路21を経て排気触媒装置101へと流入し、この排気触媒装置101で浄化された後、後段側の第2熱交換器20Bの高温流体流路21を通過する。
また、本実施例1にあっては、その第1熱交換器20Aと第2熱交換器20Bの夫々の作動ガス流路22,22を図1に示す作動ガス通路61によって連通し、その夫々の作動ガス流路22,22間で作動ガスを流動させる。ここでは、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22と圧縮機10の作動ガス排出通路15とを連通させる一方、第2熱交換器20Bの作動ガス流路22と膨張機30の作動ガス供給通路34とを連通させる。これが為、圧縮機10で断熱圧縮された作動ガスは、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22を通過した後、作動ガス通路61を経て第2熱交換器20Bの作動ガス流路22へと流入し、膨張機30へと送られる。
従って、本実施例1の熱エネルギ回収装置においては、圧縮機10で断熱圧縮された作動ガスが第1熱交換器20Aで排気ガスと熱交換された後、更に第2熱交換器20Bにおいても排気ガスと熱交換され、その第1及び第2の熱交換器20A,20Bで等圧受熱された作動ガスが膨張機30に送られる。
ところで、本実施例1にあっては第1熱交換器20Aを排気触媒装置101よりも上流に配置しているので、その第1熱交換器20Aにおいては、排気触媒装置101で吸熱される前の高温の排気熱が作動ガスに入熱される。従って、本実施例1の熱エネルギ回収装置においては、燃焼機関からの高温の排気熱を効率良く回収することができる。
一方、その第1熱交換器20Aにおいて排気熱を大量に回収してしまった場合には、その後の排気ガスの温度が大幅に低下してしまうので、排気触媒装置101が活性温度に達していなければ活性温度へと到達させるまでに時間がかかり、また、排気触媒装置101が活性温度に達していてもこれを保ち続けることができなくなる可能性がある。これが為、かかる場合には、排気ガス中のHC(炭化水素)成分が排気触媒装置(三元触媒)101で浄化されずに大気へと放出されてしまう虞がある。その反面、例えば、燃焼機関から排出された排気ガスの温度が高くなり過ぎたときには、その排気熱が第1熱交換器20Aにおいて作動ガスに入熱されて排気ガスの温度を低下させるので、排気触媒装置101の過熱が抑制され、その劣化を防止することができる。
そこで、本実施例1にあっては、その排気触媒装置101の触媒担体温度を低下又は上昇させ過ぎることなく活性温度に保ち得るように第1熱交換器20Aの熱交換性能を設定する。例えば、この第1熱交換器20Aは、高温流体流路21の通過に伴い低下した排気ガスの温度が、活性温度に未達の排気触媒装置101を短時間で活性化させることの可能な温度で、且つ、排気触媒装置101の触媒担体温度を活性温度に保ち続けることの可能な温度となるよう作動ガスへの入熱量(即ち、熱交換容量)を設定する。これにより、本実施例1の第1熱交換器20Aは、排気触媒装置101を活性化させ且つ排気触媒装置101の過熱を防ぎながら最大限の入熱量を得ることができる。
このように、この第1熱交換器20Aは排気触媒装置101を活性化させる為に熱交換容量を低く抑えているので、本実施例1の第2熱交換器20Bは、その抑えられた熱交換容量を補填可能な熱交換容量に設定する。これにより、本実施例1の熱エネルギ回収装置においては、所望の装置全体の熱交換容量が排気触媒装置101の前後の第1熱交換器20Aと第2熱交換器20Bとで分散される。これが為、この熱エネルギ回収装置においては、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りつつ、燃焼機関の排気熱の最低限の回収量を確保することができる。
一方、排気触媒装置101よりも下流の第2熱交換器20Bにおいては可能な限り大きな熱交換容量にすることが望ましく、また、そのようにしても何ら弊害が現れることはない。これが為、本実施例1の第2熱交換器20Bは、搭載可能な範囲内で、その第1熱交換器20Aで抑えられた熱交換容量よりも大きな熱交換容量に設定することが好ましい。これにより、本実施例1の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101の浄化性能を確保し且つ過熱による排気触媒装置101の劣化を防止することができ、更に、排気触媒装置101の前後何れかにのみ熱交換器を配置した従来のものよりも作動ガスへの実際の入熱量を増加させることができる。従って、この熱エネルギ回収装置によれば、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りながらも燃焼機関の排気熱の回収量の増加が可能になる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例2を図3に基づいて説明する。本実施例2の熱エネルギ回収装置は、前述した実施例1の熱エネルギ回収装置を以下の如く変更したものであり、それ以外についてはその実施例1の熱エネルギ回収装置と同様に構成する。
ここで、実施例1の熱エネルギ回収装置においては、その第1及び第2の熱交換器20A,20Bにおける夫々の高温流体流路21と作動ガス流路22とを略平行に配置し、排気ガスと作動ガスを略同一方向に流動させている。しかしながら、その第1及び第2の熱交換器20A,20Bは、その夫々の流れ方向を逆にすることによって、排気ガスから作動ガスへの入熱効率(熱交換効率)を向上させることができる。
そこで、本実施例2の熱エネルギ回収装置は、図3に示すように構成し、第1及び第2の熱交換器20A,20Bにおいての排気ガスの流れ方向と作動ガスの流れ方向とが逆になるように設定してもよい。この図3に示す熱エネルギ回収装置は、実施例1の熱エネルギ回収装置において、圧縮機10の作動ガス排出通路15を第2熱交換器20Bの作動ガス流路22と連通させ、且つ、膨張機30の作動ガス供給通路34を第1熱交換器20Aの作動ガス流路22と連通させたものである。
これにより、この本実施例2の熱エネルギ回収装置は、第1及び第2の熱交換器20A,20Bにおいて排気ガスと作動ガスの夫々の流れ方向が逆になり、排気ガスから作動ガスへの入熱効率(熱交換効率)が高まる。従って、この熱エネルギ回収装置によれば、例えば、排気ガスの温度が低くて作動ガスへの入熱量が少ない燃焼機関の低負荷運転時等であっても、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りつつ、できるだけ多くの排気熱を回収することができる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例3を図4から図6に基づいて説明する。本実施例3の熱エネルギ回収装置は、前述した実施例1の熱エネルギ回収装置を以下の如く変更したものであり、それ以外についてはその実施例1の熱エネルギ回収装置と同様に構成する。
前述した実施例1においても説明した通り、排気触媒装置101よりも上流に配置された第1熱交換器20Aが大量の排気熱を回収した場合には、その排気触媒装置101を活性化させ難く、その浄化性能を確保することができない可能性がある。その一方で、第1熱交換器20Aを排気触媒装置101よりも上流に配置することは、燃焼室から排出された高温状態の排気熱を回収することができ、また、排気触媒装置101を劣化させるほどに排気ガスが高温のときに第1熱交換器20Aで排気ガスの温度を低下させることができるので、排気熱の回収効率向上や排気触媒装置101の耐久性向上との観点から有用である。従って、実施例1の熱エネルギ回収装置においては、作動ガスへの入熱量(熱交換容量)に制限をかけた,即ち、その入熱量(熱交換容量)を配備可能なものよりも低く抑えた第1熱交換器20Aを利用している。
しかしながら、この実施例1の熱エネルギ回収装置は、排気触媒装置101の浄化性能や耐久性に悪影響を与えることなく更に多くの排気熱を回収できるにも拘わらず、第1熱交換器20Aの入熱量(熱交換容量)が固定されているので、予め決められた量しか入熱させることができず非効率である。また、この熱エネルギ回収装置は、異常燃焼等で更に高温の排気ガスが燃焼室から排出されてしまった場合に、その排気熱を第1熱交換器20Aで限界まで入熱させたとしても排気ガスの温度の低下代が足りず、排気触媒装置101が過熱されて劣化してしまう虞がある。
そこで、本実施例3の熱エネルギ回収装置は、前述した実施例1の熱エネルギ回収装置において、第1熱交換器20Aを外観上の大きさ等の様々な制約の中で配備し得る最大限の入熱量(熱交換容量)のものとし、その第1熱交換器20Aの入熱量(熱交換容量)を排気触媒装置101の触媒担体温度に応じて可変制御可能な,換言すれば、排気触媒装置101の触媒担体温度に応じて第1熱交換器20A通過後の排気ガスの温度を増減制御可能な作動ガス入熱量制御手段を設ける。
ここで、その第1熱交換器20Aの入熱量は、高温流体流路21を流れる排気ガスの流量及び温度が一定であれば作動ガス流路22を流れる作動ガスの流量によって増減する。例えば、作動ガスの流量が多ければその分だけ排気熱を入熱させることができるので入熱量が増加し、作動ガスの流量が少なければそれしか排気熱を入熱させることができないので入熱量が減少する。従って、本実施例3においては、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22への作動ガスの流入量を制御する作動ガス流入量制御手段を設け、これを作動ガス入熱量制御手段として利用する。
例えば、その作動ガス流入量制御手段は、圧縮機10の作動ガス排出通路15と作動ガス通路61とを連通させるバイパス通路71と、その作動ガス排出通路15とバイパス通路71の接続部分に配置した制御弁72と、を備えて構成する。
ここでは、その接続部分よりも圧縮機10寄りの作動ガス排出通路15を第1熱交換器20Aの作動ガス流路22に連通させ且つバイパス通路71から遮断させた第1状態と、その接続部分よりも圧縮機10寄りの作動ガス排出通路15をバイパス通路71に連通させ且つ第1熱交換器20Aの作動ガス流路22から遮断させた第2状態と、を切り替える流路切替弁(三方弁)を制御弁72として例示する。以下、この説明においては、制御弁72を「流路切替弁72」という。
その流路切替弁72は、図4に示す電子制御装置(以下、「ECU」という。)80が排気触媒装置101の触媒担体温度に応じて駆動制御する。ここでは、その触媒担体温度が所定温度以上か否かによって上記の第1状態と第2状態とを切り替えさせる。
先ず、そのECU80は、図5のフローチャートに示す如く、排気触媒装置101の触媒担体温度を図4に示す温度センサ91から検出し(ステップST1)、この触媒担体温度が所定温度以上か否かについて判定する(ステップST2)。
ここでは触媒担体温度を温度センサ91から直接検出する態様について例示するが、その触媒担体温度については、燃焼機関の運転状況から推定してもよい。例えば、図示しない排気温センサ等から第1熱交換器20Aに流入する前の排気ガスの温度を測定し、ECU80にその排気ガスの排気熱を算出させる。また、そのECU80には、第1熱交換器20Aにおいての作動ガスへの入熱量を算出させる。そして、その排気ガスの温度や排気熱、第1熱交換器20Aにおいての入熱量の各情報を用いてECU80に触媒担体温度を推定させる。このように、既存の排気温センサ等の情報を利用することによって触媒担体温度を推定することができるので、上記の如き専用の温度センサ91が不要になり原価の上昇を抑えることができる。
また、ステップST2の所定温度としては、排気触媒装置101の活性と不活性の境界温度(即ち、活性温度の下限値)を設定してもよいが、第1熱交換器20Aでの熱交換に伴い排気ガスの温度が低くなり触媒担体温度を低下させてしまうので、その境界温度よりも高温側,例えば第1熱交換器20Aで熱交換され続けると排気触媒装置101が活性温度よりも低くなってしまう温度に設定することが好ましい。ここでは、その後者の温度となるように所定温度を設定する。
ここで、触媒担体温度が所定温度以上の場合には、排気触媒装置101の浄化性能を確保した状態で排気熱の回収ができる又は耐久性の為に触媒担体温度の低下が必要とされる、との判断が可能になる。従って、ECU80は、上記ステップST2にて肯定判定された際に流路切替弁72を上記の第1状態に切り替えて、圧縮機10の作動ガス排出通路15を第1熱交換器20Aの作動ガス流路22に連通させる一方でバイパス通路71から遮断させ、その作動ガス流路22にのみ圧縮機10からの断熱圧縮後の作動ガスを流入させる(ステップST3)。
これにより、この実施例3の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101の活性状態を保ちつつ触媒担体の過熱を防ぎながら、第1熱交換器20Aにて排気熱を可能な限り最大限の入熱量で作動ガスに入熱させることができる。
一方、触媒担体温度が所定温度よりも低い場合には、排気触媒装置101が活性化していない又は第1熱交換器20Aでの熱交換の継続によって触媒担体温度が活性温度よりも低くなってしまう、との判断が可能になる。従って、ECU80は、上記ステップST2にて否定判定された際に流路切替弁72を上記の第2状態に切り替えて、圧縮機10の作動ガス排出通路15をバイパス通路71に連通させる一方で第1熱交換器20Aの作動ガス流路22から遮断させ、第1熱交換器20Aを通過させずに圧縮機10からの断熱圧縮後の作動ガスをバイパス通路71から作動ガス通路61へと流入させる(ステップST4)。
これにより、この実施例3の熱エネルギ回収装置においては、燃焼機関から排出された排気ガスが高温状態のまま排気触媒装置101に流入されるので、その触媒担体温度を効率良く上昇させることができる。これが為、この熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101の活性前であれば早期活性化が図れ、また、触媒担体温度の温度低下が懸念されているときであれば排気触媒装置101の活性状態を保つことができる。また、この熱エネルギ回収装置は、排気触媒装置101を通過した排気ガスの排気熱が第2熱交換器20Bにおいて作動ガスに入熱される。
以上示した如く、この本実施例3の熱エネルギ回収装置によれば、排気触媒装置101の浄化性能や耐久性が保たれるので、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りながらも実施例1よりも多くの排気熱を回収することができる。
ここで、上述した本実施例3の熱エネルギ回収装置においては作動ガス流入量制御手段の制御弁72として2つの流路(第1熱交換器20Aの作動ガス流路22、バイパス通路71)を切り替える流路切替弁を用いたが、その制御弁72としては、圧縮機10から排出された断熱圧縮後の作動ガスを第1熱交換器20Aの作動ガス流路22とバイパス通路71とに夫々の流量を調節して流入させる流量制御弁を用いてもよい。以下、この説明においては、制御弁72を「流量制御弁72」という。この流量制御弁72は、圧縮機10の作動ガス排出通路15におけるバイパス通路71との接続部分よりも圧縮機10寄りの作動ガスを任意の分配比率で第1熱交換器20Aの作動ガス流路22とバイパス通路71に分配させるものであって、ECU80によって設定された分配比率となるように駆動制御される。
例えば、そのECU80は、図6のフローチャートに示す如く、上記と同様に排気触媒装置101の触媒担体温度を検出又は推定し(ステップST1)、この触媒担体温度が所定温度以上か否かを判定する(ステップST2)。
ここで、そのステップST2にて肯定判定された場合、ECU80は、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22への断熱圧縮後の作動ガスの流入量を現状よりも増加させるべく流量制御弁72を駆動制御する(ステップST5)。
例えば、このステップST5では、その作動ガス流路22における作動ガスの流量を予め定めた所定量ずつ増加させることが可能な流量増加用の所定の分配比率へと流量制御弁72の分配比率を変更する。かかる場合、ECU80は、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22の流量が最大になる(即ち、その作動ガス流路22に圧縮機10から排出された作動ガスが全て流入する)まで、又は、例えば触媒担体温度が排気触媒装置101の劣化等の始まる最低温度に到達する手前の温度に到達するまでステップST1→ST2→ST5の動作を繰り返す。
また、そのステップST5では、触媒担体温度を排気触媒装置101の劣化等が始まる最低温度に到達することのない限界温度まで即座に上昇可能な分配比率へと変更してもよい。かかる場合、触媒担体温度に応じた変更後の分配比率のマップデータを予め用意しておき、ECU80は、その流量増加用のマップデータに上記ステップST1で求めた触媒担体温度を照らし合わせて流量制御弁72の分配比率を設定する。
このように、この熱エネルギ回収装置においては、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22における過剰な作動ガスの流量の増加を防ぐことができるので、その第1熱交換器20Aにて必要以上に排気熱が回収され、排気ガスの温度が下がり過ぎてしまう、という状況を回避することができる。これが為、この熱エネルギ回収装置においては、排気熱の回収量は上記の図5に示す態様よりも減少してしまうことがあるが、排気触媒装置101の過熱を確実に抑えながら活性状態に保つことができる。
一方、上記ステップST2にて否定判定された場合、ECU80は、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22への断熱圧縮後の作動ガスの流入量を現状よりも減少させるべく流量制御弁72を駆動制御する(ステップST6)。
例えば、このステップST6では、その作動ガス流路22における作動ガスの流量を予め定めた所定量ずつ減少させることが可能な流量減少用の所定の分配比率へと流量制御弁72の分配比率を変更する。かかる場合、ECU80は、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22の流量が最小になる(即ち、その作動ガス流路22に圧縮機10から排出された作動ガスが全く流入しなくなる)まで、又は、上記ステップST2にて肯定判定が為されるまでステップST1→ST2→ST6の動作を繰り返す。
また、そのステップST6では、触媒担体温度を活性温度(又は上記の所定温度)まで即座に上昇させることが可能な分配比率へと変更してもよい。かかる場合、触媒担体温度に応じた変更後の分配比率の流量減少用のマップデータを予め用意しておき、ECU80は、そのマップデータに上記ステップST1で求めた触媒担体温度を照らし合わせて流量制御弁72の分配比率を設定する。
このように、この熱エネルギ回収装置においては、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22における過剰な作動ガスの流量の減少を防ぐことができるので、その第1熱交換器20Aでの排気熱からの入熱量が必要以上に減少して、燃焼機関から排出されたままの高温状態の排気ガスが排気触媒装置101に流入してしまう、という状況を回避することができる。これが為、この熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101の触媒担体温度を上記の図5に示す態様よりも早急に上昇させ難くなることもあるが、例えば、異常燃焼等によって排気ガスの温度が過剰に上昇した際の排気触媒装置101の過熱を確実に防ぐことができる。
以上示した如く、この制御弁72として上記の如き流量制御弁を用いた実施例3の熱エネルギ回収装置によれば、排気触媒装置101の浄化性能や耐久性が確実に確保されるので、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りながらも燃焼機関の排気熱の回収量を増加させることができる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例4を図5から図7に基づいて説明する。本実施例4の熱エネルギ回収装置は、前述した実施例2の熱エネルギ回収装置を前述した実施例3と同様の作用効果を得るべく以下のように変更したものであり、それ以外についてはその実施例2の熱エネルギ回収装置と同様に構成する。
この本実施例4の熱エネルギ回収装置は、前述した実施例2の熱エネルギ回収装置において、実施例3と同様に第1熱交換器20Aを外観上の大きさ等の様々な制約の中で配備し得る最大限の入熱量(熱交換容量)のものとし、その第1熱交換器20Aの入熱量(熱交換容量)を排気触媒装置101の触媒担体温度に応じて可変制御可能な,換言すれば、排気触媒装置101の触媒担体温度に応じて第1熱交換器20A通過後の排気ガスの温度を増減制御可能な作動ガス入熱量制御手段を設けたものである。
本実施例4においては、実施例3と同様に、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22への作動ガスの流入量を制御可能な作動ガス流入量制御手段を作動ガス入熱量制御手段として配備する。この本実施例4の作動ガス流入量制御手段は、例えば、図7に示す如く、作動ガス通路61と膨張機30の作動ガス供給通路34とを連通させるバイパス通路73と、その作動ガス通路61とバイパス通路73の接続部分に配置した制御弁74と、を備えて構成する。ここでは、その制御弁74としてECU80により駆動制御される実施例3と同様の流路切替弁や流量制御弁を利用する。
最初に、流路切替弁を制御弁74として用いる場合について説明する。以下、この説明においては、制御弁74を「流路切替弁74」という。
この流路切替弁74は、作動ガス通路61におけるバイパス通路73との接続部分よりも第2熱交換器20B寄りを第1熱交換器20Aの作動ガス流路22に連通させ且つバイパス通路73から遮断させた第1状態と、その接続部分よりも第2熱交換器20B寄りの作動ガス通路61をバイパス通路73に連通させ且つ第1熱交換器20Aの作動ガス流路22から遮断させた第2状態と、を切り替えることが可能な三方弁を用いることができる。
先ず、本実施例4のECU80は、図5のフローチャートに示す如く、排気触媒装置101の触媒担体温度を実施例3と同様にして検出又は推定し(ステップST1)、この触媒担体温度が実施例3で例示した所定温度以上か否か判定する(ステップST2)。
ここで、そのステップST2にて肯定判定された場合、ECU80は、流路切替弁74を上記の第1状態に切り替えて、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22にのみ第2熱交換器20Bで熱交換された作動ガスを流入させる(ステップST3)。一方、このECU80は、そのステップST2にて否定判定された場合に、流路切替弁74を上記の第2状態に切り替えて、バイパス通路73にのみ第2熱交換器20Bで熱交換された作動ガスを流入させる(ステップST4)。
従って、この本実施例4の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101が活性状態にあれば、前述した実施例3で流路切替弁72を用いた場合と同様に、その状態を保ちつつ触媒担体の過熱を防ぎながら、第1熱交換器20Aにて排気熱を可能な限り最大限の入熱量で作動ガスに入熱させることができる。更に、この本実施例4の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101が活性状態になければ、その実施例3と同様に、その早期活性化が図れ、また、触媒担体温度の温度低下が懸念されているときに排気触媒装置101の活性状態を保つことができる。このように、この本実施例4の熱エネルギ回収装置によれば、排気触媒装置101の浄化性能や耐久性が保たれるので、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りながらも燃焼機関の排気熱を実施例2よりも多く回収することができる。
続いて、流量制御弁を制御弁74として用いる場合について説明する。以下、この説明においては、制御弁74を「流量制御弁74」という。
この流量制御弁74は、作動ガス通路61におけるバイパス通路73との接続部分よりも第2熱交換器20B寄りの作動ガスを任意の分配比率で第1熱交換器20Aの作動ガス流路22とバイパス通路73に分配させるものである。
先ず、かかる場合のECU80は、図6のフローチャートに示す如く、上記と同様に、排気触媒装置101の触媒担体温度を検出又は推定し(ステップST1)、この触媒担体温度が所定温度以上か否か判定する(ステップST2)。
ここで、そのステップST2にて肯定判定された場合、ECU80は、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22への作動ガスの流入量を現状よりも増加させるべく流量制御弁74を駆動制御して分配比率を変更する(ステップST5)。その分配比率としては、前述した実施例3で流量制御弁72を用いた際の流量増加時のものと同様のものを利用することができる。一方、このECU80は、そのステップST2にて否定判定された場合に、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22への作動ガスの流入量を現状よりも減少させるべく流量制御弁74を駆動制御して分配比率を変更する(ステップST6)。この場合の分配比率としては、前述した実施例3で流量制御弁72を用いた際の流量減少時のものと同様のものを利用することができる。
従って、この流量制御弁74を用いた本実施例4の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101が活性状態にあれば、前述した実施例3で流量制御弁72を用いた場合と同様に、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22における過剰な作動ガスの流量の増加を防ぎ、その第1熱交換器20Aでの排気熱の回収量を制限して排気ガスの過剰な温度低下を防止することができる。更に、この本実施例4の熱エネルギ回収装置においては、排気触媒装置101が活性状態になければ、その実施例3と同様に、第1熱交換器20Aの作動ガス流路22における過剰な作動ガスの流量の減少を防ぎ、その第1熱交換器20Aでの排気熱の回収量の大幅な減少に伴う当該第1熱交換器20A通過後の排気ガスの過剰な高温状態を回避することができる。このように、この本実施例4の熱エネルギ回収装置によれば、排気触媒装置101の浄化性能や耐久性が確実に確保されるので、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置101の劣化の防止を図りながらも燃焼機関の排気熱の回収量を増加させることができる。
以上のように、本発明に係る熱エネルギ回収装置は、燃焼機関のエミッション性能の確保と排気触媒装置の劣化の防止を図りつつ燃焼機関の排気熱の回収量を増加させる技術に有用である。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例1の構成を示す図である。
ブレイトンサイクル機関について説明するP−V線図である。
ブレイトンサイクル機関について説明するT−s線図である。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例2の構成を示す図である。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例3の構成を示す図である。
実施例3,4の熱エネルギ回収装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
実施例3,4の熱エネルギ回収装置の動作の他の例を説明するフローチャートである。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例4の構成を示す図である。
符号の説明
10 圧縮機
15 作動ガス排出通路
20A 第1熱交換器
20B 第2熱交換器
21 高温流体流路
22 作動ガス流路
30 膨張機
34 作動ガス供給通路
61 作動ガス通路
71 バイパス通路
72 制御弁(流路切替弁,流量制御弁)
73 バイパス通路
74 制御弁(流路切替弁,流量制御弁)
91 温度センサ
100 排気経路
101 排気触媒装置