JP4622819B2 - 熱エネルギ回収装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器で吸熱した熱エネルギを機械エネルギに変換する熱エネルギ回収装置に関する。
従来、熱エネルギを機械エネルギに変換する熱サイクル機関が存在する。
例えば、この種の熱サイクル機関としては、吸入した作動ガスを断熱圧縮する圧縮機と、この圧縮機で断熱圧縮された作動ガスに高温流体の熱を等圧力で吸熱させる熱交換器と、この熱交換器で等圧受熱された作動ガスを断熱膨張させる膨張機とを備え、その膨張力を利用してクランクシャフトから出力を取り出すブレイトンサイクル機関があり、下記の特許文献1に開示されている。
このように、熱サイクル機関は、熱を加えた作動ガスの膨張力を利用して出力を得るものであり、例えば、内燃機関の排気ガスの排気熱を用いることによって内燃機関の排気熱回収装置(熱エネルギ回収装置)として構築することができる。
また、そのような熱サイクル機関としては、作動ガスを封入したシリンダに対する外部からの加熱とこの加熱により膨張した作動ガスの冷却とを繰り返し、温度上昇した作動ガスの膨張力によるピストンの押下と膨張した作動ガスの冷却によるピストンの上昇を繰り返させてクランクシャフトから出力を取り出すスターリングサイクル機関があり、下記の特許文献2に開示されている。
ここで、この種の熱エネルギ回収装置においては作動ガスとして空気が一般的であるが、その空気よりも比熱比κの高い不活性ガスを用いることによって熱エネルギ回収効率を向上させることができる。このような不活性ガスを作動ガスとして用いた熱エネルギ回収装置としては、下記の特許文献3に開示されている。
この特許文献3に開示されたものは、作動媒体を同一経路上で還流させるブレイトンサイクルシステムであって、タービンの回転により送出される作動媒体と圧縮機から送出される作動媒体とを熱交換器で熱交換させ、そのタービンからの作動媒体を圧縮機側へと送り、その圧縮機からの作動媒体をタービン側へと送って循環させるものである。このブレイトンサイクルシステムにおいては、2種類の不活性ガスを作動媒体として使用しており、その夫々の作動媒体の流量を調整している。
特開平6−257462号公報 特開2002−266701号公報 特開平8−82224号公報
ところで、上記特許文献3においては、不活性ガスと水蒸気とが混在する作動媒体が同一経路を循環する装置であって、その循環経路上に凝縮器を配備した所謂内燃式ランキンサイクル装置にも適用し得る旨が記載されている。そして、その内燃式ランキンサイクル装置においても同様の作用効果を奏することができる旨が記載されている。
しかしながら、この特許文献3においては、その内燃式ランキンサイクル装置の具体的構成について何ら開示されておらず、如何様な構成を以てすれば同様の作用効果を得ることができるのかが明らかになっていない。従って、その構成如何では、同様の作用効果が得られないことも考えられる。また、この特許文献3には、圧縮機,熱交換機及び膨張機を備えたブレイトンサイクル機関の熱エネルギ回収装置にて、如何様に比熱比κの高い不活性ガス等の作動ガスを取り込んで還流させればよいのかについても何ら開示されておらず、かかる熱エネルギ回収装置において、どの様な構成で熱エネルギ回収効率を向上させればよいのか明らかになっていない。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、圧縮機,熱交換機及び膨張機を備えたブレイトンサイクル機関で熱エネルギ回収効率を向上させ得る熱エネルギ回収装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、作動ガス吸入通路から吸入した作動ガスを圧縮する圧縮機と、この圧縮機で圧縮された作動ガスに高温流体の熱を吸熱させる熱交換器と、この吸熱された作動ガスの膨張により押動されるピストンを備えた膨張機とを有する熱エネルギ回収装置において、作動ガスたる単原子ガスと酸素及び水素とを燃焼室に供給すると共に当該燃焼室から排出された排気経路上の排気ガスから前記単原子ガスを凝縮器で分離して吸気経路へと循環させる閉サイクル内燃機関の排気経路に、圧縮機の作動ガス吸入通路と熱交換器の高温流体通路の高温流体流入口及び高温流体排出口と膨張機の作動ガス排出通路とを連通させている。
この請求項1記載の発明は、閉サイクル内燃機関にて循環している単原子ガスを熱エネルギ回収装置の作動ガスとして取り込み、その閉サイクル内燃機関の排気熱との熱交換を行わせた後に再び閉サイクル内燃機関の循環経路上へと戻すことができる。従って、この請求項1記載の発明によれば、閉サイクル内燃機関の動作を妨げることなく比熱比の高い単原子ガスを熱エネルギ回収装置の作動ガスとして利用することができるので、熱エネルギ回収効率を向上させることができる。
また、上記目的を達成する為、請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の熱エネルギ回収装置において、圧縮機の作動ガス吸入通路を閉サイクル内燃機関の排気経路における凝縮器の下流側に連通させている。
この請求項2記載の発明によれば、その排気ガス中の水蒸気を凝縮器で取り除いた下流側から単原子ガスのみが圧縮機に引き込まれるので、高い比熱比の単原子ガスのみで熱エネルギ回収装置を駆動させることが可能になり、熱エネルギ回収効率を更に向上させることができる。
また、上記目的を達成する為、請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の熱エネルギ回収装置において、熱交換器の高温流体通路を閉サイクル内燃機関の排気経路における凝縮器の上流側に連通させている。
この請求項3記載の発明によれば、凝縮器で冷却される前の高温の排気ガスを熱交換器の高温流体通路に通すことができるので、圧縮機を経た後の単原子ガスとの間の温度差を大きくして熱エネルギ回収効率を更に向上させることができる。
また、上記目的を達成する為、請求項4記載の発明では、上記請求項1,2又は3に記載の熱エネルギ回収装置において、膨張機の作動ガス排出通路を閉サイクル内燃機関の排気経路における熱交換器の高温流体通路の下流側に連通させている。
この請求項4記載の発明によれば、断熱膨張後の単原子ガスが熱交換器の高温流体通路の上流に流入して排気ガスの温度を低下させる、という不都合を回避することができるので、その排気ガスと圧縮機を経た後の単原子ガスとの間の温度差による熱エネルギ回収効率の更なる向上を図ることができる。
ここで、その膨張機の作動ガス排出通路は、請求項5記載の発明の如く、閉サイクル内燃機関の排気経路における熱交換器の高温流体通路の下流側と凝縮器の上流側との間に連通させることができる。
この請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明と同様の効果を奏すると共に、断熱膨張後の単原子ガスも凝縮器で冷却されて閉サイクル内燃機関の燃焼室に吸入されるので、この閉サイクル内燃機関の熱負荷の軽減が可能になる。
また、その膨張機の作動ガス排出通路は、請求項6記載の発明の如く、閉サイクル内燃機関の排気経路における凝縮器の下流側で且つ当該排気経路における圧縮機の作動ガス吸入通路との連通部分の下流側に連通させることができる。
この請求項6記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明と同様の効果を奏すると共に、温度上昇した断熱膨張後の単原子ガスが閉サイクル内燃機関の燃焼室に吸入されるので、吸気温度の上昇に伴い水素への着火性が良好になり、閉サイクル内燃機関の燃焼効率が向上する。
また、その膨張機の作動ガス排出通路は、請求項7記載の発明の如く、一方が膨張機の作動ガス排出口に連通する第1排出通路と、一方が第1排出通路に連通すると共に他方が閉サイクル内燃機関の排気経路における熱交換器の高温流体通路の下流側と凝縮器の上流側との間に連通する第2排出通路と、一方が第1及び第2の排出通路に連通すると共に他方が閉サイクル内燃機関の排気経路における凝縮器の下流側で且つ当該排気経路における圧縮機の作動ガス吸入通路との連通部分の下流側に連通する第3排出通路とを備えるよう構成する。そして、その第1から第3の排出通路の各々の連通状態又は遮断状態を閉サイクル内燃機関の運転状態に応じて切り替える流路切替手段を設ける。
この請求項7記載の発明によれば、閉サイクル内燃機関の運転状態に応じて上記請求項5,6の夫々の効果を得ることができる。
更に、その膨張機の作動ガス排出通路は、請求項8記載の発明の如く、一方が膨張機の作動ガス排出口に連通すると共に他方が閉サイクル内燃機関のクランクケース内に連通する第1排出通路と、一方が閉サイクル内燃機関のクランクケース内に連通すると共に他方が閉サイクル内燃機関の排気経路における熱交換器の高温流体通路の下流側と凝縮器の上流側との間に連通する第2排出通路とを備えてもよい。
この請求項8記載の発明によれば、断熱膨張後の単原子ガスによってクランクケース内が強制換気されるので、オイルパン内の潤滑油の劣化を抑制すると共にクランクケース内のスラッジの生成も抑制することができる。また、ブローバイガスの中に含まれる水素も掃気されるので、クランクケース内での燃焼(爆発)も防止することができる。
ここで、その膨張機の作動ガス排出通路は、請求項9記載の発明の如く、上記請求項8記載の熱エネルギ回収装置において、第1排出通路と第2排出通路とを連通させる連通路を備えてもよい。
この請求項9記載の発明によれば、断熱膨張後の単原子ガスの一部のみがクランクケース内に送られ、残りがクランクケース内を介さずに閉サイクル内燃機関の排気経路に戻されるので、クランクケース内の潤滑油による単原子ガスの汚れを抑制することができる。
本発明に係る熱エネルギ回収装置は、上述したが如く、閉サイクル内燃機関で循環している単原子ガスを取り込み、その閉サイクル内燃機関の排気熱との熱交換を行わせた後に再び閉サイクル内燃機関の循環経路上へと戻すので、その閉サイクル内燃機関の動作を妨げることなく比熱比の高い単原子ガスを作動ガスとして利用して熱エネルギ回収効率を向上させることができる。
以下に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例1を図1から図3に基づいて説明する。図1の符号1は、本実施例1の熱エネルギ回収装置を示す。
本実施例1の熱エネルギ回収装置1は、高温流体の熱を利用して作動ガスを断熱圧縮→等圧受熱→断熱膨張→等圧放熱させて駆動力を得るブレイトンサイクル機関であって、図1に示す如く、吸入した作動ガスを断熱圧縮する圧縮機10と、この圧縮機10にて断熱圧縮された作動ガスに高温流体の熱を等圧力で吸熱させる熱交換器20と、この熱交換器20で等圧受熱された作動ガスを断熱膨張させる膨張機30と、この膨張機30の断熱膨張に伴って回転するクランクシャフト40とを備えている。
この熱エネルギ回収装置1においては、図2−1のP−V線図や図2−2のT−s線図に示す如く、圧力P1の作動ガスが圧縮機10に吸入され、この圧縮機10にて圧力P1,体積V1(=Vcomp),温度T1,エントロピs1の作動ガスを断熱圧縮する。しかる後、この断熱圧縮された圧力P2,体積V2,温度T2,エントロピs1の作動ガスが熱交換器20へと送出され、この熱交換器20にて高温流体と等圧受熱される。そして、その等圧受熱された圧力P2,体積V3,温度T3,エントロピs2の作動ガスが膨張機30へと流入して断熱膨張を行い、その断熱膨張後の圧力P1,体積V4,温度T4,エントロピs2の作動ガスが膨張機30から排出(等圧放熱)される。
ここで、この熱エネルギ回収装置1の熱エネルギ回収効率は、圧力比γ(=P1/P2)や作動ガスの比熱比κに依存するものであり、その圧力比γや比熱比κが高くなるにつれて向上することが知られている。従って、本実施例1にあっては、その圧力比γが高くなるように圧縮機10の諸元を設定する。
一方、熱エネルギ回収装置1(ブレイトンサイクル機関)に用いる作動ガスの代表的なものとしては空気が知られている。しかしながら、その空気よりも比熱比κの高い気体を作動ガスとして用いれば、この熱エネルギ回収装置1は、更なる熱エネルギ回収効率の向上が図れる。そこで、本実施例1にあっては、空気(κ=1.40)よりも比熱比κの高い単原子ガス,その中でもアルゴンガス(κ=1.66)等の希ガスを作動ガスとして利用する。ここでは、作動ガスとしてアルゴンガスを例示する。
尚、圧力比γに対する熱エネルギ回収効率の理論値(ブレイトンサイクル理論効率)について空気とアルゴンガスとを比較したものを図3に示す。この図3によれば、例えば、圧力比γ=3において、アルゴンガスを作動ガスとして用いた方が空気よりもブレイトンサイクル理論効率が約31%向上することが判る。
先ず、本実施例1における熱エネルギ回収装置1の圧縮機10について説明する。
この圧縮機10は、容積Vcompが一定のシリンダ11と、このシリンダ11内を往復運動するピストン12とを備えている。このピストン12は、コネクティングロッド13を介してクランクシャフト40に連結される。尚、そのクランクシャフト40には、フライホイール50が配設されている。
また、この圧縮機10には、作動ガスをシリンダ11内に導く作動ガス吸入通路14と、そのシリンダ11内でピストン12により断熱圧縮された作動ガスを熱交換器20の後述する作動ガス通路22へと導く作動ガス排出通路15とが設けられており、その夫々に吸気側開閉弁16と排気側開閉弁17が配備されている。
ここで、その吸気側開閉弁16としては、作動ガス吸入通路14とシリンダ11内の圧力差により作動ガスをシリンダ11内に流入させる一方、その作動ガスの作動ガス吸入通路14への逆流を防ぐ逆止弁を用いる。また、排気側開閉弁17としては、作動ガス排出通路15とシリンダ11内の圧力差により断熱圧縮後の作動ガスを熱交換器20の作動ガス通路22に流入させる一方、シリンダ11内への逆流を防ぐ逆止弁を用いる。
続いて、本実施例1における熱エネルギ回収装置1の熱交換器20について説明する。
この熱交換器20は、高温流体が流れる高温流体通路21と、圧縮機10で断熱圧縮された作動ガスが流れる作動ガス通路22とを備えている。ここで、その高温流体通路21と作動ガス通路22は、作動ガスへの吸熱効率(熱交換器効率)を高める為に高温流体の流れ方向と作動ガスの流れ方向とが逆になるよう配置することが好ましい。
続いて、本実施例1における熱エネルギ回収装置1の膨張機30について説明する。
この膨張機30は、容積Vexp(ここではVexp≧Vcomp)が一定のシリンダ31と、このシリンダ31内を往復運動するピストン32とを備えている。このピストン32は、コネクティングロッド33を介して圧縮機10と同一のクランクシャフト40に連結される。
また、この膨張機30には、熱交換器20で等圧受熱された作動ガスをシリンダ31内に導く作動ガス吸入通路34と、断熱膨張後の作動ガスをシリンダ31の外に導く作動ガス排出通路35とが設けられており、その夫々に吸気側開閉弁36と排気側開閉弁37が配備されている。
ここで、その吸気側開閉弁36及び排気側開閉弁37としては、例えばチェーンやスプロケット等を介することによりクランクシャフト40の回転に同期して開閉動作を行う回転同期弁を用いることができる。
ところで、内燃機関の中でも単原子ガス(具体的には、希ガス)を循環させる閉サイクル内燃機関が知られている。従って、この閉サイクル内燃機関における単原子ガスの還流経路と熱エネルギ回収装置1における吸気経路(圧縮機10の作動ガス吸入通路14)及び排気経路(膨張機30の作動ガス排出通路35)とを連通させることによって、その閉サイクル内燃機関における単原子ガスの循環を妨げることなく、且つ、熱エネルギ回収装置1の作動ガスの為に別途作動ガス貯留タンク等を設けることなく、熱エネルギ回収装置1を作動させることができる。また、その閉サイクル内燃機関から排出された排気ガスは高温になっており、その排気ガスを熱交換器20の高温流体として利用すれば、本実施例1の熱エネルギ回収装置1は、その閉サイクル内燃機関の排気ガスの排気熱を回収して機械エネルギへと変換させる(即ち、閉サイクル内燃機関の排気熱を回収する)ことができる。
そこで、本実施例1にあっては、その閉サイクル内燃機関の還流経路の内の排気経路に熱エネルギ回収装置1を配置する。
以下に、ここで例示する閉サイクル内燃機関について説明する。図1の符号101は、本実施例1の閉サイクル内燃機関を示す。
この閉サイクル内燃機関101は、燃焼室111aが形成されるシリンダ111と、このシリンダ111内を往復運動するピストン112とを備えている。このピストン112は、コネクティングロッド113を介してクランクシャフト(図示略)に連結される。
また、この閉サイクル内燃機関101には、一端が燃焼室111a内に各々開口された吸気経路と排気経路とが設けられており、これら吸気経路と排気経路の夫々の他端を連通させることによりアルゴンガスArを循環させている。
ここで、この閉サイクル内燃機関101においては、燃焼時の燃料としての水素H2を燃焼室111aに供給する水素供給手段120と、その燃焼を促進させる酸素O2を燃焼室111aに供給する酸素供給手段130とが設けられている。
その水素供給手段120は、水素H2が例えば70MPaで貯留された水素タンク121と、この水素タンク121からの水素供給経路122上に配備されたレギュレータ123,水素流量計124,サージタンク125及び水素噴射装置126とで構成されている。その水素噴射装置126は、図示しない電子制御装置(ECU)により運転状態に応じて噴射時期や噴射量が制御され、燃焼室111a内へと直接水素H2を噴射する。
また、その酸素供給手段130は、酸素O2が例えば70MPaで貯留された酸素タンク131と、この酸素タンク131からの酸素供給経路132上に配備されたレギュレータ133,酸素流量計134及び酸素ミキサ135とで構成されている。その酸素ミキサ135は、吸気経路と排気経路との間に配設され、排気経路から流入してきたアルゴンガスArと酸素供給経路132から供給された酸素O2とを混合して吸気経路へと送出するものである。
尚、本実施例1にあっては、便宜上、その酸素ミキサ135を境にして吸気経路と排気経路とを区別する。
本実施例1の吸気経路は、一端が燃焼室111a内に開口され、他端が酸素ミキサ135の排出口135aに連通された吸気通路141で構成されている。従って、この閉サイクル内燃機関101の燃焼室111aには、その酸素ミキサ135で混合されたアルゴンガスArと酸素O2が吸気通路141を介して吸入され、更に水素噴射装置126から水素H2が噴射されて、燃焼が行われる。
その燃焼後には、燃焼室111aから排気経路へとアルゴンガスArと水蒸気H2Oが排出される。そこで、その排気経路上には、アルゴンガスArと水蒸気H2Oとを分離させる凝縮器151が配設されている。この凝縮器151は、内部に冷却水が循環されており、水蒸気H2Oを液体の水H2Oに凝縮して水排出口151aから外部に排出すると共に、アルゴンガスArを排気ガス排出口151bから排気経路に戻すものである。
更に、上述したが如く、本実施例1にあっては、その排気経路上に熱エネルギ回収装置1を配備する。
ここで、この熱エネルギ回収装置1における熱交換器20の高温流体としては、閉サイクル内燃機関101の排気経路の排気ガス(アルゴンガスArと水蒸気H2O)を利用する。そして、その熱交換器20は、排気ガスの中でも高温の状態のものを利用することで熱エネルギの回収効率が向上する。これが為、この熱交換器20は、排気経路における燃焼室111a側で且つ凝縮器151よりも上流側に配置する。
従って、本実施例1の排気経路は、一端が燃焼室111a内に開口され、他端が熱交換器20の高温流体通路21における高温流体流入口21aに連通された第1排気通路161と、一端がその高温流体通路21における高温流体排出口21bに連通され、他端が凝縮器151の排気ガス流入口151cに連通された第2排気通路162と、一端が凝縮器151の排気ガス排出口151bに連通され、他端が酸素ミキサ135の排気ガス流入口135bに連通された第3排気通路163とで構成されている。尚、その第3排気通路163には、O2センサ171とH2センサ172が配設されており、電子制御装置が夫々の検出信号から凝縮器151を通過した後の排気ガス中の残存酸素濃度と残存水素濃度を検出している。
また更に、本実施例1にあっては、上述したが如く、熱エネルギ回収装置1の作動ガスたるアルゴンガスArを閉サイクル内燃機関101の還流経路(吸気経路、排気経路)から取り込む。
ここで、熱エネルギ回収装置1を作動させるとの観点からすれば、そのアルゴンガスArは、閉サイクル内燃機関101の吸気経路又は排気経路の何れから取り込んでもよいが、閉サイクル内燃機関101における燃焼を鑑みた場合、吸気経路から取り込むことは好ましくない。また、アルゴンガスArを排気経路から取り込む場合について考察すると、凝縮器151よりも上流側から取り込んだときには、アルゴンガスArと共に水蒸気H2Oも圧縮機10に吸入されてしまうので、比熱比κが低くなって熱エネルギ回収効率が悪化する。
そこで、本実施例1にあっては、図1に示す如く、熱エネルギ回収装置1における圧縮機10の作動ガス吸入通路14を閉サイクル内燃機関101の排気経路における凝縮器151の下流側(具体的には、第3排気通路163)に連通させる。
これにより、水蒸気H2Oが取り除かれたアルゴンガスArのみが圧縮機10に吸入されるようになるので、高い比熱比κのアルゴンガスArのみで熱エネルギ回収装置1を駆動させ、熱エネルギ回収効率を向上させることができる。
また、凝縮器151の下流側においては、冷却水によりアルゴンガスArの温度が低下している。従って、熱交換器20においては、その作動ガス通路22を流れるアルゴンガスArと高温流体通路21を流れる高温流体(アルゴンガスArと水蒸気H2O)との間の温度差が大きくなり、その高温流体からアルゴンガスArへの入熱量が大きくなるので、熱エネルギ回収装置1の出力(クランクシャフト40の出力トルク)を増加させることができる。
そのようにして熱エネルギ回収装置1の作動ガスとして供されたアルゴンガスArは、膨張機30の作動ガス排出通路35から閉サイクル内燃機関101の排気経路に戻される。
ここで、図2−2に示す如く、熱エネルギ回収装置1で利用されるアルゴンガスArは、圧縮機10に吸入されたときよりも膨張機30で断熱膨張された後の方が温度上昇している。これが為、その断熱膨張後のアルゴンガスArを凝縮器151の下流側に戻してしまうと、温度の高いアルゴンガスArが閉サイクル内燃機関101の燃焼室111aに吸入されてしまい、この閉サイクル内燃機関101の熱負荷(即ち、燃焼時の最高温度)が高くなる。
一方、その断熱膨張後のアルゴンガスArは、温度が高いといっても閉サイクル内燃機関101における第1排気通路161の排気ガス(アルゴンガスArと水蒸気H2O)よりも低温である。これが為、その断熱膨張後のアルゴンガスArが第1排気通路161(即ち、熱交換器20の上流側)に戻されてしまうと、熱交換器20の高温流体通路21へと流入する排気ガスの温度が低下してしまい、この熱交換器20における作動ガス通路22のアルゴンガスArへの入熱量が減少する。
そこで、本実施例1にあっては、図1に示す如く、熱エネルギ回収装置1における膨張機30の作動ガス排出通路35を閉サイクル内燃機関101の排気経路における熱交換器20の下流側で且つ凝縮器151の上流側(具体的には、第2排気通路162)に連通させる。
これにより、断熱膨張後のアルゴンガスArは凝縮器151を経て冷却され、これが閉サイクル内燃機関101の燃焼室111aに吸入されるので、その閉サイクル内燃機関101の熱負荷を軽減することができる。また、熱交換器20の高温流体通路21へと流入する排気ガスの温度に影響を与えないので、この熱交換器20における作動ガス通路22のアルゴンガスArへの入熱を阻害する、という不都合を回避することができる。
以上示した如く、本実施例1の熱エネルギ回収装置1によれば、閉サイクル内燃機関101の排気熱を有効活用しつつ、この閉サイクル内燃機関101において循環している比熱比κの高いアルゴンガスArを作動ガスとして利用しているので、閉サイクル内燃機関101の動作を妨げることなく熱エネルギ回収効率を向上させることができる。
また、この熱エネルギ回収装置1においては、凝縮器151を通過した後のアルゴンガスArを圧縮機10に吸入させ、膨張機30で断熱膨張された後のアルゴンガスArを閉サイクル内燃機関101の排気経路における熱交換器20の下流側で且つ凝縮器151の上流側に戻している。
これが為、圧縮機10には水蒸気H2Oを取り除いたアルゴンガスArが吸入されるので、その比熱比κの高いアルゴンガスArを利用して熱エネルギ回収装置1の熱エネルギ回収効率が向上する。更に、圧縮機10には低温のアルゴンガスArが吸入され、熱交換器20の高温流体通路21には温度低下を招く断熱膨張後のアルゴンガスArが流入しないので、熱交換器20における高温流体通路21の排気ガス(アルゴンガスArと水蒸気H2O)と作動ガス通路22のアルゴンガスArとの間の温度差を大きくすることができ、熱エネルギ回収装置1の出力増加を図ることができる。また、断熱膨張後のアルゴンガスArは凝縮器151で冷却されて燃焼室111aに吸入されるので、閉サイクル内燃機関101の熱負荷軽減が可能になる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例2を図4に基づいて説明する。
本実施例2の熱エネルギ回収装置1は、図4に示す如く、前述した実施例1と同様の構成を備え、同じく実施例1と同様の構成からなる閉サイクル内燃機関101の排気経路上に配置されたものであり、その排気経路への膨張機30の作動ガス排出通路35の配置を変更したものである。
具体的に、本実施例2の熱エネルギ回収装置1においては、その作動ガス排出通路35を閉サイクル内燃機関101の排気経路における凝縮器151の下流側(具体的には、第3排気通路163)に連通させる。
従って、実施例1よりも温度の高い断熱膨張後のアルゴンガスArが第3排気通路163へと流入して、閉サイクル内燃機関101の燃焼室111aに吸入される。即ち、そのアルゴンガスArによって、閉サイクル内燃機関101の吸気温度が上昇する。そして、これにより、水素噴射装置126から噴射された水素H2の着火性が良好になって、燃焼室111aでの燃焼効率が向上する。
このように、本実施例2の熱エネルギ回収装置1によれば、実施例1と同様の熱エネルギ回収効率の向上や出力増加を図ることができると共に、閉サイクル内燃機関101の着火性や、これに伴う燃焼効率の向上を図ることができる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例3を図5に基づいて説明する。
前述した各実施例1,2は、その夫々において閉サイクル内燃機関101の排気経路に対しての膨張機30の作動ガス排出通路35の接続部分が異なるものであり、実施例1では閉サイクル内燃機関101の熱負荷軽減を考慮して凝縮器151の上流側に接続し、実施例2では閉サイクル内燃機関101の着火性向上を考慮して凝縮器151の下流側に接続している。
これら各実施例1,2は、その夫々に別個の上述した有用な効果を奏する反面、実施例1の構成においては着火性が悪化し、実施例2の構成においては熱負荷が高くなる、という二律背反する効果と不都合を有している。従って、その双方の有用な効果のみを得るべく構成することができれば、閉サイクル内燃機関101の本来の作用効果を妨げることなく熱エネルギ回収装置1における熱エネルギ回収効率の向上や出力増加を図ることが可能になる。
そこで、本実施例3にあっては、実施例1の作動ガス排出通路35に替えて図5に示す作動ガス排出通路351と流路切替弁61を設け、熱負荷の軽減要求又は着火性の向上要求に応じて閉サイクル内燃機関101の排気経路への断熱膨張後のアルゴンガスArの流路を切り替える。
本実施例3の熱エネルギ回収装置1は、図5に示す如く、各実施例1,2と略同様の構成を備え、同じく各実施例1,2と同様の構成からなる閉サイクル内燃機関101の排気経路上に配置されたものであり、その各実施例1,2における作動ガス排出通路35を上記の如き流路切り替え可能な作動ガス排出通路351と流路切替弁61とに置き換えたものである。
具体的に、その作動ガス排出通路351は、一端が膨張機30の作動ガス排出口に連通された第1排出通路351aと、一端が閉サイクル内燃機関101の第2排気通路162(排気経路における熱交換器20の下流側で且つ凝縮器151の上流側)に連通された第2排出通路351bと、一端が閉サイクル内燃機関101の第3排気通路163(排気経路における凝縮器151の下流側)に連通された第3排出通路351cとで構成する。そして、これら第1から第3の排出通路351a〜351cは、その夫々の他端を上述した流路切替弁61に接続する。
ここで、その流路切替弁61は、第1排出通路351aと第2排出通路351b又は第3排出通路351cとを個別に連通させるべく切り替え動作を行うものであって、図示しない電子制御装置により閉サイクル内燃機関101の運転状態(熱負荷の軽減要求であるのか又は着火性の向上要求であるのか)に応じて制御される。
より具体的に説明すると、その電子制御装置は、閉サイクル内燃機関101において熱負荷の軽減要求があったときに、第1排出通路351aと第2排出通路351bとを連通させ、これら第1及び第2の排出通路351a,351bと第3排出通路351cとを遮断させるべく流路切替弁61を切り替える。
これにより、閉サイクル内燃機関101においては、実施例1の構成と同様に膨張機30で断熱膨張された後のアルゴンガスArが第2排気通路162に流入して、そのアルゴンガスArが凝縮器151にて冷却されて燃焼室111aに吸入されるので、吸気温度の低下に伴って熱負荷の軽減を図ることができる。
ここで、電子制御装置が熱負荷の軽減要求か否かを判定する際の条件としては、例えば、閉サイクル内燃機関101の機関回転数や負荷などがある。そして、この電子制御装置は、その機関回転数が高回転の場合や高負荷と判断したときに熱負荷の軽減要求であると判定して、上記の如く流路切替弁61の切り換えを行う。
一方、この電子制御装置は、閉サイクル内燃機関101において着火性の向上要求があったときに、第1排出通路351aと第3排出通路351cとを連通させ、これら第1及び第3の排出通路351a,351cと第2排出通路351bとを遮断させるべく流路切替弁61を切り替える。
これにより、閉サイクル内燃機関101においては、実施例2の構成と同様に膨張機30で断熱膨張された後のアルゴンガスArが第3排気通路163に流入して、凝縮器151を経た場合よりも温度の高いアルゴンガスArが燃焼室111aに吸入されるので、吸気温度の上昇に伴って水素噴射装置126から噴射された水素H2の着火性が良好になり、燃焼室111aにおける燃焼効率が向上する。
ここで、電子制御装置が着火性の向上要求か否かを判定する際の条件としては、例えば、閉サイクル内燃機関101の吸気温度、冷却水温度や潤滑油温度、図示しない吸気バルブの閉弁時期などがある。そして、この電子制御装置は、その吸気温度,冷却水温度又は潤滑油温度の全て又は少なくとも何れか1つが低温の場合に着火性の向上要求であると判定して、上記の如く流路切替弁61の切り換えを行う。また、この電子制御装置は、その吸気バルブの閉弁時期が遅角側に設定されているとき(即ち、実圧縮比が低いとき)に着火性の向上要求であると判定して、上記の如く流路切替弁61の切り換えを行う。
以上示した如く、本実施例3の熱エネルギ回収装置1によれば、実施例1,2と同様の熱エネルギ回収効率の向上や出力増加を図ることができると共に、閉サイクル内燃機関101の運転状態に応じて閉サイクル内燃機関101における熱負荷の軽減又は着火性の向上を図ることができる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例4を図6に基づいて説明する。
本実施例4の熱エネルギ回収装置1は、図6に示す如く、前述した各実施例1〜3と略同様の構成を備え、同じく各実施例1〜3と同様の構成からなる閉サイクル内燃機関101の排気経路上に配置されたものであり、膨張機30で断熱膨張された後のアルゴンガスArの閉サイクル内燃機関101における排気経路への戻り経路を変更したものである。
具体的に、本実施例4にあっては、その断熱膨張後のアルゴンガスArを一旦閉サイクル内燃機関101のクランクケース115内に引き込み、このクランクケース115内から閉サイクル内燃機関101の第2排気通路162(排気経路における熱交換器20の下流側で且つ凝縮器151の上流側)へと戻すように構成している。
例えば、その断熱膨張後のアルゴンガスArの引き込み用の通路としては、閉サイクル内燃機関101の外部とクランクケース115内とを連通させるべくシリンダヘッド114及びシリンダ111に形成された第1通路116を用いる。また、そのクランクケース115内に引き込まれたアルゴンガスArの戻り用の通路としては、例えば、閉サイクル内燃機関101の外部とクランクケース115内とを連通させるべくシリンダ111に形成された第2通路117を用いる。
本実施例4にあっては、図6に示す如く、膨張機30の作動ガス排出通路352を第1通路116側に連通させる第1排出通路352aと第2通路117側に連通させる第2排出通路352bとで構成する。その第1排出通路352aは、一端が膨張機30の作動ガス排出口に連通され、他端が第1通路116に連通されたものである。また、その第2排出通路352bは、一端が第2通路117に連通され、他端が閉サイクル内燃機関101の第2排気通路162に連通されたものである。
このように膨張機30の作動ガス排出通路352がクランクケース115内を介するよう構成されることによって、膨張機30で断熱膨張された後のアルゴンガスArは、クランクケース115内へと引き込まれた後に閉サイクル内燃機関101の第2排気通路162へと流入する。そして、そのアルゴンガスArは、前述した実施例1と同様に凝縮器151で冷却されて閉サイクル内燃機関101の燃焼室111aに吸入される。
これにより、本実施例4の熱エネルギ回収装置1は、アルゴンガスArを作動ガスとして用いたことによる熱エネルギ回収効率の向上等の実施例1と同様の効果を奏することができる。
また、その際、その断熱膨張後のアルゴンガスArと共にクランクケース115内のブローバイガスが第2通路117を介して第2排出通路352bへと排出され、第2排気通路162に流入する。そして、そのブローバイガスが閉サイクル内燃機関101の燃焼室111aに吸入される。即ち、本実施例4の作動ガス排出通路352は、ブローバイガス還元装置としての機能も備えている。
従って、本実施例4の熱エネルギ回収装置1によれば、閉サイクル内燃機関101のクランクケース115内が強制換気されて、オイルパン内の潤滑油の劣化を抑制すると共にクランクケース115内のスラッジの生成も抑制することができる。更に、その閉サイクル内燃機関101は水素H2を燃料として使用しているので、ブローバイガスの中には未燃焼の水素H2も含まれている。これが為、クランクケース115内が強制換気されることによって、このクランクケース115内での燃焼(換言すれば、爆発)も防止することができる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例5を図7に基づいて説明する。
前述した実施例4においては、閉サイクル内燃機関101のクランクケース115内の強制換気を行う為に、そのクランクケース115内を経るように膨張機30の作動ガス排出通路352を構成した。しかしながら、膨張機30を経た断熱膨張後のアルゴンガスArの全てについてクランクケース115内を通させると、そのアルゴンガスArが潤滑油で汚されてしまう。そして、その潤滑油で汚されたアルゴンガスArを熱エネルギ回収装置1の作動ガスとして導入すると、比熱比κの低下に伴う熱エネルギ回収効率の悪化を招く虞がある。
そこで、本実施例5にあっては、かかる不都合を改善する為に、前述した実施例4の構成において、図7に示す如く膨張機30の作動ガス排出通路352を構成する第1排出通路352aと第2排出通路352bとを連通路72を介して連通させる。
これにより、膨張機30で断熱膨張された後のアルゴンガスArは、一部がクランクケース115内を介して閉サイクル内燃機関101の第2排気通路162へと流入する一方、残りが直接第2排気通路162へと流入する。従って、クランクケース115内を流れるアルゴンガスArの流量が実施例4よりも減少するので、閉サイクル内燃機関101の還流経路を流れるアルゴンガスArの潤滑油による汚れが軽減する。また、これに伴って、本実施例5の熱エネルギ回収装置1においては、潤滑油で汚されたアルゴンガスArの作動ガスとしての流動量が減少するので、比熱比κの低下による熱エネルギ回収効率の悪化を抑制することができる。
ここで、本実施例5にあっては、作動ガス排出通路352における第1及び第2の排出通路352a,352bと連通路72の通路径によって、断熱膨張後のアルゴンガスArのクランクケース115内を介する流動量と当該クランクケース115内を介させない流動量とを調節する。
例えば、クランクケース115内の強制換気よりも上記のアルゴンガスArの汚れの抑制を主眼として本装置を構成するのであれば、クランクケース115内に多量のアルゴンガスArを流入させるのは好ましくない。そこで、かかる場合には、第1及び第2の排出通路352a,352bの通路径よりも連通路72の通路径を大きくして、クランクケース115内へのアルゴンガスArの流入量を少なくする。
また、クランクケース115内の強制換気を主眼とするのであれば、第1及び第2の排出通路352a,352bの通路径よりも連通路72の通路径を小さくして、クランクケース115内へのアルゴンガスArの流入量を多くする。
このように、本実施例5の熱エネルギ回収装置1によれば、クランクケース115内を強制換気しつつもアルゴンガスArの潤滑油による汚れを抑制することができるので、潤滑油の劣化及びスラッジの生成の抑制並びにクランクケース115内での爆発の防止を図りながらも、アルゴンガスArによる熱エネルギ回収効率の向上代を阻害せずに実施例1と同様の効果奏することができる。
次に、本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例6を図8に基づいて説明する。
本実施例6の熱エネルギ回収装置1は、図8に示す如く、前述した実施例5の構成において、膨張機30の作動ガス排出通路352における第1排出通路352aと第2排出通路352bとを連通させる連通路72上に三方弁62を配備して、第1排出通路352aにおけるアルゴンガスArのクランクケース115を介した第2排出通路352bへの流量及び第2排出通路352bへの直接の流量を適宜調節し得るように構成したものである。
ここでは、その三方弁62を連通路72と第2排出通路352bとの接続部分に配置しているが、連通路72と第1排出通路352aとの接続部分に配置してもよい。その三方弁62は、図示しない電子制御装置によりデューティー比で流量の調節を行うよう構成されている。
例えば、その電子制御装置は、クランクケース115内へのアルゴンガスArの流入量を少なくして、アルゴンガスArの潤滑油による汚れの抑制を図るべく制御している三方弁62の状態を通常時とする。即ち、この通常時においては、連通路72へのアルゴンガスArの流入量をクランクケース115側よりも増加させている。
そして、この電子制御装置は、例えば、クランクケース115内の水素濃度を検出する図示しないH2センサの検出信号に基づいて水素量が増加したときに、クランクケース115内のブローバイガス濃度が濃くなったと判断し、クランクケース115内へのアルゴンガスArの流入量を連通路72への流入量よりも増加させるべく三方弁62を制御する。これにより、クランクケース115内の強制換気が重視され、潤滑油の劣化及びスラッジの生成の抑制並びにクランクケース115内での爆発の防止が図られる。しかる後、この電子制御装置は、そのH2センサから水素量の減少を検出した際に上記の通常時へと三方弁62を制御する。
以上示した如く、本実施例6の熱エネルギ回収装置1は、断熱膨張後のアルゴンガスArのクランクケース115を介した第2排出通路352bへの流量と連通路72を介した第2排出通路352bへの流量とを閉サイクル内燃機関101の運転状態に応じて適宜調節することができるので、クランクケース115内の強制換気とアルゴンガスArの潤滑油による汚れの抑制を両立させることができる。これが為、この熱エネルギ回収装置1によれば、前述した実施例2,5の夫々の有用な効果を閉サイクル内燃機関101の運転状態に応じた最適な状態で得ることができるようになる。
尚、上述した三方弁62に替えて、弁体の開弁角度を適宜可変させることでアルゴンガスArの流量を調節し得る開閉弁を連通路72の中間部分に配備してもよい。
また、本実施例6にあっては、クランクケース115側と連通路72側の双方に断熱膨張後のアルゴンガスArが流れるよう構成しているが、運転状態に応じてその一方のみに断熱膨張後のアルゴンガスArが流れるよう構成してもよい。
以上のように、本発明に係る熱エネルギ回収装置は、閉サイクル内燃機関で循環している単原子ガスを作動ガスとして利用して熱エネルギ回収効率の向上を図る技術に有用である。
本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例1の構成を示す図である。 ブレイトンサイクル機関について説明するP−V線図である。 ブレイトンサイクル機関について説明するT−s線図である。 ブレイトンサイクル機関の圧力比γに対する熱エネルギ回収効率の理論値(ブレイトンサイクル理論効率)について空気とアルゴンガスとを比較した図である。 本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例2の構成を示す図である。 本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例3の構成を示す図である。 本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例4の構成を示す図である。 本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例5の構成を示す図である。 本発明に係る熱エネルギ回収装置の実施例6の構成を示す図である。
符号の説明
10 圧縮機
14 作動ガス吸入通路
15 作動ガス排出通路
20 熱交換器
21 高温流体通路
21a 高温流体流入口
21b 高温流体排出口
22 作動ガス通路
30 膨張機
34 作動ガス吸入通路
35 作動ガス排出通路
61 流路切替弁
62 三方弁
72 連通路
101 閉サイクル内燃機関
111 シリンダ
111a 燃焼室
114 シリンダヘッド
115 クランクケース
116 第1通路
117 第2通路
120 水素供給手段
130 酸素供給手段
141 吸気通路
151 凝縮器
151b 排気ガス排出口
151c 排気ガス流入口
161 第1排気通路
162 第2排気通路
163 第3排気通路
351 作動ガス排出通路
351a 第1排出通路
351b 第2排出通路
351c 第3排出通路
352 作動ガス排出通路
352a 第1排出通路
352b 第2排出通路

Claims (9)

  1. 作動ガス吸入通路から吸入した作動ガスを圧縮する圧縮機と、該圧縮機で圧縮された作動ガスに高温流体の熱を吸熱させる熱交換器と、該吸熱された作動ガスの膨張により押動されるピストンを備えた膨張機とを有する熱エネルギ回収装置において、
    前記作動ガスたる単原子ガスと酸素及び水素とを燃焼室に供給すると共に当該燃焼室から排出された排気経路上の排気ガスから前記単原子ガスを凝縮器で分離して吸気経路へと循環させる閉サイクル内燃機関の排気経路に、前記圧縮機の作動ガス吸入通路と前記熱交換器の高温流体通路の高温流体流入口及び高温流体排出口と前記膨張機の作動ガス排出通路とを連通させたことを特徴とする熱エネルギ回収装置。
  2. 前記圧縮機の作動ガス吸入通路を前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記凝縮器の下流側に連通させたことを特徴とする請求項1記載の熱エネルギ回収装置。
  3. 前記熱交換器の高温流体通路を前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記凝縮器の上流側に連通させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱エネルギ回収装置。
  4. 前記膨張機の作動ガス排出通路を前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記熱交換器の高温流体通路の下流側に連通させたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の熱エネルギ回収装置。
  5. 前記膨張機の作動ガス排出通路は、前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記熱交換器の高温流体通路の下流側と前記凝縮器の上流側との間に連通させたことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の熱エネルギ回収装置。
  6. 前記膨張機の作動ガス排出通路は、前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記凝縮器の下流側で且つ当該排気経路における前記圧縮機の作動ガス吸入通路との連通部分の下流側に連通させたことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の熱エネルギ回収装置。
  7. 前記膨張機の作動ガス排出通路は、一方が当該膨張機の作動ガス排出口に連通する第1排出通路と、一方が当該第1排出通路に連通すると共に他方が前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記熱交換器の高温流体通路の下流側と前記凝縮器の上流側との間に連通する第2排出通路と、一方が当該第1及び第2の排出通路に連通すると共に他方が前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記凝縮器の下流側で且つ当該排気経路における前記圧縮機の作動ガス吸入通路との連通部分の下流側に連通する第3排出通路と、を備え、
    前記第1から第3の排出通路の各々の連通状態又は遮断状態を前記閉サイクル内燃機関の運転状態に応じて切り替える流路切替手段を設けたことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の熱エネルギ回収装置。
  8. 前記膨張機の作動ガス排出通路は、一方が当該膨張機の作動ガス排出口に連通すると共に他方が前記閉サイクル内燃機関のクランクケース内に連通する第1排出通路と、一方が前記閉サイクル内燃機関のクランクケース内に連通すると共に他方が前記閉サイクル内燃機関の排気経路における前記熱交換器の高温流体通路の下流側と前記凝縮器の上流側との間に連通する第2排出通路と、を備えたことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の熱エネルギ回収装置。
  9. 前記膨張機の作動ガス排出通路は、前記第1排出通路と第2排出通路とを連通させる連通路を備えたことを特徴とする請求項8記載の熱エネルギ回収装置。
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