1)第1実施形態
以下、本発明によるシフトバイワイヤ装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1はシフトバイワイヤ装置を示す概要ブロック図であり、図2はシフトバイワイヤ装置のアクチュエータユニットを示す断面図であり、図3はシフトバイワイヤ装置が適用された駆動装置である自動変速機を示す概要図であり、図4はコントロールユニットおよびアクチュエータユニットにおけるモータ駆動関係の概要回路図である。
シフトバイワイヤ装置(以下、SBW装置という)10は、レンジ選択手段としてのシフトレバー11、アクチュエータユニット12、コントロールユニットであるシフトバイワイヤECU(以下、SBWECUまたはSCUという)13を備えている。
シフトレバー11は、車室内に配設されており、操作者によって操作され、自動変速機20の変速レンジを所望のレンジ、すなわち要求レンジにするために選択するレンジ選択手段である。セレクタスイッチ11aは、このシフトレバー11に設けられ、選択されたレンジを検出してその検出信号であるレンジ信号をSCU13に出力するレンジ検出手段であり、レンジ選択手段の一部を構成する。
アクチュエータユニット12は、駆動装置である自動変速機20に付設されており、自動変速機20の変速レンジをモータ32の回動に基づいて切換えることによって切り替えるものである。このアクチュエータユニット12は、主として図2に示すように、ディテントレバー31、モータ32、駆動機構33、ポジションセンサ34などから構成されている。
ディテントレバー31は、一端部がケーシング35に回転自在に支持されたマニュアルシャフト33dの一端部に一体的に取り付けられており、マニュアルシャフト33dの軸回りにマニュアルシャフト33dとともに回動する。ディテントレバー31の他端の周縁には、基端が固定されたディテントスプリング(図示省略)の先端に回転自在に支持されているローラ36が係脱可能に係合する複数のレンジ溝が形成されている。これらレンジ溝がマニュアルバルブ25aのP位置、R位置、N位置、D位置に対応している。例えば、図3にて右端のレンジ溝がPレンジに対応しており、左端のレンジ溝がDレンジに対応している。図3は、ローラ36が右端のレンジ溝に係合している状態、すなわち自動変速機20がRレンジにある状態を示している。
ディテントレバー31の他端の周縁には、マニュアルバルブ25aに連結されている連結部材37が連結されている。ディテントレバー31が回動すると、マニュアルバルブ25aが軸方向(図示矢印A−B方向)に移動するようになっている。
モータ32は、ケーシング35の外側に取付けられ、出力軸32aがケーシング35内に挿入されている。このモータ32はDCモータである。モータ32は、SCU13からの指令信号であるシフト信号に基づいて制御されている。モータ32が駆動すると、駆動機構33が作動して、マニュアルシャフト33dが軸周りに回動し、それにともなってディテントレバー31が矢印C−D方向に回動するようになっている。
駆動機構33は、ボールネジ軸33a、ボールナット33b、アーム33c、およびマニュアルシャフト33dなどから構成されている。ボールネジ軸33aは、ケーシング35に軸回りに回転自在に支持されている。このボールネジ軸33aは、モータ32の出力軸32aに固定されたギヤ32a1と噛合するギヤ33a1が固定されている。ボールネジ軸33aには、ボールナット33bが軸方向に移動可能に螺合されている。アーム33cは、一端がマニュアルシャフト33dに一体的に固定され、二股に分かれている他端がボールナット33bに回動自在に取り付けられている。
モータ32が回転すると、ギヤ32a1、ギヤ33a1を介してボールネジ軸33aが回転し、ボールナット33bがボールネジ軸33aの軸方向に移動する。この移動に伴って、アーム33cがマニュアルシャフト33dの軸回り(図示矢印C−D方向)にマニュアルシャフト33dとともに回動するとともに、ディテントレバー31も回動する。
ポジションセンサ34は、ケーシング35内に収納され、ポジションセンサ34の中央にはマニュアルシャフト33dの他端が接続されている。このポジションセンサ34はレンジ切り替え手段であるマニュアルバルブ25aの位置を検出するもの、すなわち自動変速機20の駆動状態である変速レンジの状態を検出するレンジ状態検出手段である。ポジションセンサ34が検出した検出結果(検出信号)は、SCU13に出力されるようになっている。ポジションセンサ34としては、例えばポテンショメータがあり、この場合、マニュアルシャフト33dの回転角度、すなわちディテントレバー31の回転角度に対応した電圧が検出信号として出力される。
さらに、アクチュエータユニット12は、開閉手段であるリレー36を備えている。リレー36は、図4に示すように、電気接点を有する機械式リレーすなわち有接点型のリレーであり、機械接点36aと電磁石36bから構成されている。機械接点36aは、モータ32のコイルに電流を供給する電流供給経路L1上に設けられ、電磁石36bは、リレー36に許可信号であるリレー駆動電圧を供給する信号供給経路L2上に設けられている。リレー36にリレー駆動電圧が供給されると、すなわち電磁石36bに電流が流れると、機械接点36aがオンして、モータ32に電圧が印加されていればモータ32が駆動する。一方、リレー36にリレー駆動電圧が供給されないと、すなわち電磁石36bに電流が流れないと、機械接点36aがオフして、モータ32に電圧が印加されていてもモータ32は駆動しない。なお、リレーとしてフォトMOSタイプのリレーを採用するようにしてもよい。
アクチュエータユニット12は、図3および図4に示すように、コネクタ38、39を備えている。コネクタ38は、電流供給経路L1の両端がそれぞれ接続され、かつ、外部電源が接続可能である一対の電源用端子12a,12bを有している。コネクタ39は、信号供給経路L2の両端が接続され、かつ、外部に設けられて許可信号を供給する信号供給源が接続可能である一対の許可信号用端子12c,12dを有している。なお、許可信号は、リレー36の開閉許可を与える信号である。
SCU13は、上記アクチュエータユニット12と別体に構成され同アクチュエータユニット12を制御するコントロールユニットである。このSCU13は、一般的に車室内に搭載されている。SCU13は、上述したようにアクチュエータユニット12のモータ32およびポジションセンサ34、シフトレバー11のセレクタスイッチ11aが接続されており、さらに、図1に示すように、自動変速機20の車速センサ28が接続されるとともに、エンジンECU(電子コントロールユニット)16が互いに通信可能に接続されている。
車速センサ28は、自動変速機20に設けられ、車速と相関する出力軸24の回転数を検出してSCU13に出力する。エンジンECU16はエンジン14を制御するものであり、エンジン14の回転数を入力しSCU13に出力する。なお、エンジンECU16は、自動変速機20の油圧制御装置25の各種バルブを制御する自動変速機ECU(ATECU)17と互いに通信可能に接続されている。
SCU13は、図4に示すように、マイクロプロセッサ41と、モータ32を駆動させるモータドライバ回路42と、マイクロプロセッサ41からの制御指令信号に基づいてモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号であるオン・オフ信号を形成して該モータドライバ回路42に送信するモータドライバ回路制御部43と、上述した許可信号を形成する信号形成回路44を有している。信号形成回路44は、許可信号の信号供給源である。
マイクロプロセッサ41は、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図6,7,9,10に示すフローチャートに対応したプログラムを実行して、シフトレバー11の操作に応じてSBW装置のモータ32を作動させて自動変速機20の変速レンジを所望のレンジに切り替え制御する。
このマイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路42を制御する制御指令信号を送信する。制御指令信号は、自動変速機20の現在の実レンジとシフトレバー11からのシフト信号に基づいて決定される回転方向の指令信号である。
モータドライバ回路42は、モータ32を正逆転させるH型ブリッジ回路である。このモータドライバ回路42は、モータドライバ回路制御部43から独立してそれぞれ供給されるオン・オフ信号に応じてモータ32の駆動電圧を独立してオン・オフする複数(本実施形態においては4つ)のスイッチング素子42a,42b,42c,42dから構成されている。
具体的には、モータドライバ回路42は、4つのスイッチング素子42a,42b,42c,42d(例えばMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ))から構成されている。スイッチング素子42aおよび42cのドレインは、バッテリ電源+B(12V)にそれぞれ接続されている。スイッチング素子42aおよび42cのソースは、スイッチング素子42bおよび42dのドレインにそれぞれ接続されている。スイッチング素子42bおよび42dのソースは接地されている。スイッチング素子42a〜42dの各ゲートは、モータドライバ回路制御部43の各出力ポートにそれぞれ接続されている。なお、各スイッチング素子42a,42b,42c,42dには、それぞれダイオードが設けられている。
スイッチング素子42aとスイッチング素子42bの間の接続点は、電源用端子13aに接続されており、電源用端子13aはアクチュエータユニット12の電源用端子12aに接続されている。スイッチング素子42cとスイッチング素子42dの間の接続点は、電源用端子13bに接続されており、電源用端子13bはアクチュエータユニット12の電源用端子12bに接続されている。
例えば、リレー36が閉状態であり、スイッチング素子42aおよび42dがオンされ、スイッチング素子42bおよび42cがオフされると、図示矢印E方向に電流が流れてモータ32が正転し、また、スイッチング素子42aおよび42dがオフされ、スイッチング素子42bおよび42cがオンされると、図示矢印F方向に電流が流れてモータ32が逆転する。
モータドライバ回路制御部43は、上述したようにマイクロプロセッサ41からの制御指令信号に基づいて駆動信号であるオン・オフ信号を形成して該モータドライバ回路42のスイッチング素子の各ゲートに送信するとともに、マイクロプロセッサ41からイネーブル信号を受信するようになっている。この信号を受信すると、モータドライバ回路制御部43が能動となり、モータ32の駆動が可能となる。イネーブル信号の代わりにチップセレクト信号を受信するようにしてもよい。
信号形成回路44は、スイッチング素子(例えばMOSFET)で構成されている。このスイッチング素子のドレインはバッテリ電源+Bに接続され、ソースはアクチュエータユニット12の信号用端子12cに接続されている信号用端子13cに接続され、ゲートはマイクロプロセッサ41の出力ポートに接続されている。なお、スイッチング素子には、ダイオードが設けられている。このスイッチング素子がオンされると、バッテリ電源+Bの電圧がリレー駆動電圧としてリレー36に供給される。このリレー駆動電圧が許可信号である。また、このスイッチング素子がオフされると、バッテリ電源+Bの電圧がリレー駆動電圧としてリレー36に供給されない。なお、SCU13は、図4に示すように、一対の電源用端子13a,13b、および信号用端子13cを含むコネクタ46を備えている。
また、図3に示すように、自動変速機20は、エンジン14の駆動力を変速してプロペラシャフト15、ディファレンシャル(図示省略)および左右駆動軸(図示省略)を経て駆動輪である左右後輪(図示省略)にそれぞれ伝達するものである。自動変速機20は、入力軸22、変速機構23、出力軸24、油圧制御装置25、SBW装置10のアクチュエータユニット12、および車速センサ28を備えている。
入力軸22は、エンジン14からの駆動力を入力する。変速機構23は、トルクコンバータ、プラネタリギヤトレーンなどからなり、油圧制御装置25からの指示を受けてギヤ段を切り替えて(変速や逆回転)入力軸22から入力した駆動力を変速して出力する。出力軸24は、変速機構23からの変速された動力をプロペラシャフト15を介して駆動輪に出力する。
油圧制御装置25は、プラネタリギヤトレーンの各ギヤのクラッチ、ブレーキの油路を自動的に切り替えてプラネタリギヤトレーンを制御する。油圧制御装置25は、図1に示すように、SBW装置10のアクチュエータユニット12によって駆動されるマニュアルバルブ25aを備えている。このマニュアルバルブ25aは、シフトレバー11によって選択されるレンジに応じてラインプレッシャの油路を切り替え、自動変速機20の駆動状態をPレンジ(駐車(パーキング)レンジ)、Rレンジ(リバースレンジ)、Nレンジ(ニュートラルレンジ)、Dレンジ(ドライブレンジ)などの各変速レンジに切り替えるものである。シフトレバー11には、自動変速機20の各変速レンジに対応するレンジが選択可能に設定されている。また、自動変速機20の油圧制御装置25内に配設されたマニュアルバルブ25aが、Pレンジに対応するP位置、Rレンジに対応するR位置、Nレンジに対応するN位置、およびDレンジに対応するD位置などに移動できるようになっており、このマニュアルバルブ25aが軸方向(図示矢印A−B方向)に移動することにより、油圧制御装置25内の油路を切り替えて、シフトレバー11によって選択されたレンジ、すなわち要求レンジになるように自動変速機20の変速レンジが設定されるようになっている。
次に、上述したシフトバイワイヤ装置の作動について図6,7,9,10に示すフローチャートおよび図11のタイムチャートを参照して説明する。車両のイグニッションスイッチ(図示省略)がONにされると、エンジンECU16に電源が供給され、図5に示す初期化処理プログラムが開始される。
エンジンECU16は、アクセサリ電源をONする(ステップ102)。エンジンECU16は、予め設定されている車両側IDと、車両Mの鍵のキーIDとを照合し、両IDが一致していれば(ステップ104にて「YES」と判定し)、IDフラグを「ON」に設定し(ステップ106)、両IDが不一致であれば(ステップ104にて「NO」と判定し)、IDフラグを「OFF」に設定する(ステップ108)。エンジンECU16は、設定されたIDフラグをSCU13に送信する(ステップ110)。これでエンジンECU16の初期化が終了する。
一方、車両のイグニッションスイッチがONにされると、SCU13に電源が供給され、図6に示す初期化処理プログラムが開始される。SCU13は、エンジンECU16からIDフラグを受信する(ステップ202)。SCU13は、受信したIDフラグが「OFF」であると(ステップ204にて「NO」と判定し)、シフト許可フラグおよび通常制御フラグをそれぞれ「OFF」に設定する(ステップ206,208)。
また、SCU13は、受信したIDフラグが「ON」であっても、エンジンECU16から受信した(ステップ210)エンジン回転数が所定値未満である場合には(ステップ204,212にてそれぞれ「YES」、「NO」と判定し)、シフト許可フラグおよび通常制御フラグをそれぞれ「OFF」に設定する(ステップ206,208)。
また、SCU13は、受信したIDフラグが「ON」であって、エンジンECU16から受信したエンジン回転数が所定値以上である場合には(ステップ204,212にてそれぞれ「YES」と判定し)、リレー回路を駆動し(ステップ214)、シフト許可フラグおよび通常制御フラグをそれぞれ「ON」に設定するとともに(ステップ216,220)、エンジンECU16にシフト許可フラグを送信する(ステップ218)。これでSCU13の初期化が終了する。
したがって、図11のタイムチャートに示すように、車両のイグニッションスイッチがONにされると、アクセサリ電源がONされる(時刻t1)。これにより、SCU13の電源がONされると、コントロールユニットであるSCU13は、SCU13からアクチュエータユニット12に、モータ32への電流を供給可能となるとともに許可信号を送信可能な状態である駆動状態となる。車両側IDと車両Mの鍵のキーIDが一致していると判定されれば(時刻t2)、シフトバイワイヤ装置10はシフトポジション(レンジ切り替え)許可状態となる。所定のシフトポジション許可条件(例えばエンジン回転数が所定値以上である(ステップ212))を満足すれば、シフト移動が許可される。そして、ステップ214において、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43にイネーブル信号を送信して同制御部43を能動状態とし、信号形成回路44にオン信号を送信してリレー36に許可信号を送信する(時刻t3)。つまり、信号供給源である信号形成回路44からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー36に送信され、該リレー36は信号供給経路L2を閉状態に制御される。これにより、リレー36がオンされるので、モータ32に電流を流すことが可能となり、シフトレバー11の操作に応じて自動変速機20の変速レンジが選択可能(シフトポジション可能)となる(時刻t4)。
また、SCU13は、図7に示すシフトバイワイヤ制御(SBW制御)開始処理ルーチンを所定の短時間毎に実行する。SCU13は、通常制御フラグが「ON」である場合には(ステップ302にて「YES」と判定し)、通常のSBW制御を開始する(ステップ304)。通常のSBW制御は、一般的によく知られているように、シフトレバー11の操作に応じてモータ32を制御して自動変速機20の変速レンジを選択する制御である。
また、エンジンECU16は、図8に示す終了処理プログラムを実行する。すなわち、SCU13が上述した各ルーチンを実行するなかで、エンジンECU16は、車両のイグニッションスイッチがOFFにされるまでは(ステップ122にて「NO」と判定し)、IGフラグを「ON」に設定し(ステップ124)、その設定されたIGフラグをSCU13に送信する(ステップ128)。また、エンジンECU16は、車両のイグニッションスイッチがOFFにされると(ステップ122にて「YES」と判定し)、IGフラグを「OFF」に設定し(ステップ126)、その設定されたIGフラグをSCU13に送信する(ステップ128)。
さらに、SCU13は、図9に示す終了処理プログラムを実行する。すなわち、SCU13は、エンジンECU16からIGフラグを受信する(ステップ232)。SCU13は、受信したIGフラグが「OFF」であり、かつ、実レンジがPレンジである場合には(ステップ234にて「YES」と判定し)、リレー回路を停止し(ステップ238)、通常制御フラグを「OFF」に設定し(ステップ240)、終了処理を終了する。また、SCU13は、受信したIGフラグが「ON」であり、または、実レンジがPレンジでない場合には(ステップ234にて「NO」と判定し)、エンジンECU16にPレンジに切り替える旨の要求信号を送信し(ステップ236)、終了処理を終了する。
なお、ステップ238においては、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43へのイネーブル信号の送信を停止して同制御部43を非能動状態とし、信号形成回路44にオフ信号を送信してリレー36への許可信号の送信を停止する。これにより、リレー36がオフされるので、モータ32に電流を流すことが不能となり、シフトレバー11が操作されても自動変速機20の変速レンジの選択が不能となる。
したがって、図11のタイムチャートに示すように、車両のイグニッションスイッチがOFFにされると、アクセサリ電源がOFFされる(時刻t5)。これにより、SCU13の電源がOFFされると(SCU13への電圧供給が停止されると)、SCU13は、SCU13からアクチュエータユニット12に、モータ32への電流を供給不能となるとともに許可信号を送信不能な状態である非駆動状態となる。このとき、車両側IDと車両Mの鍵のキーIDが一致していないとし、さらに所定のシフトポジション許可条件(例えばエンジン回転数が所定値以上である(ステップ212))を満足しなくなるので、シフトバイワイヤ装置10はシフトポジション(レンジ切り替え)不許可状態となる。そして、ステップ238において、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43へのイネーブル信号の送信を停止して同制御部43を非能動状態とし、信号形成回路44にオフ信号を送信してリレー36への許可信号の送信を停止する。つまり、信号供給源である信号形成回路44からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー36に送信されていないので、該リレー36は信号供給経路L2を開状態に制御される。これにより、シフトレバー11が操作されても自動変速機20の変速レンジの選択が不能(シフトポジション不能)となる。
また、SCU13は、図10に示すSBW制御終了処理ルーチンを所定の短時間毎に実行する。SCU13は、通常制御フラグが「ON」である場合には(ステップ312にて「NO」と判定し)、通常のSBW制御を継続し(ステップ314)、通常制御フラグが「OFF」である場合には(ステップ312にて「YES」と判定し)、通常のSBW制御を終了する(ステップ316)。
上述の説明から明らかなように、この第1実施形態においては、一つ許可信号用端子12cに対応した一つの許可信号(リレー駆動電圧)が入力されると開閉手段であるリレー36が開状態となる。これにより、電源用端子12a,12b間に外部電源であるバッテリ電源+Bの電圧が印加されると、モータ32のコイルに電流が供給されモータ32が駆動される。すなわち、単に電源用端子12a,12b間にバッテリ電源+Bの電圧を印加するだけでなく、許可信号を余分に供給することにより、モータを駆動可能状態に、すなわちシフトポジション可能状態にすることができる。換言すれば、単に電源用端子12a,12b間にバッテリ電源+Bの電圧を印加するだけで、許可信号を供給しない場合には、モータ32を駆動不能状態に、すなわちシフトポジション不能状態にすることができる。したがって、シフトバイワイヤ装置10を複雑な構成とすることなく、高コストを招くことなく、車両の盗難を防止することができる。また、車室内に設けたシフト装置に盗難防止機能を施すのではなく、車室外に設けたアクチュエータユニット12に盗難防止機能を施すので、この盗難防止機能をメカ的に解除する作業を人目につかないで比較的容易に行うことは難しくなり、盗難防止性をより高くすることができる。
また、信号供給源からの許可信号が信号供給経路L2を介して開閉手段であるリレー36に送信されている場合、該リレー36は信号供給経路L2を閉状態に制御され、信号供給源からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー36に送信されていない場合、該リレー36は信号供給経路L2を開状態に制御される。したがって、信号供給源からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー36に送信されていない場合、リレー36が信号供給経路L2を開状態にする。つまり、信号供給経路L2が断線している状態と同じような状態になっているので、コントロールユニットであるSCU13から制御信号(駆動電圧)に基づいてアクチュエータユニット12の制御つまりモータ32の駆動をすることができない。すなわち、信号供給源からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー36に送信されていなければ、リレー36を電気的に起動させることができないのでアクチュエータユニット12も起動することができない。この場合、モータ32に電流供給経路L1を介して電圧を印加しても駆動することがなく、モータ32の駆動に基づいて駆動装置の変速レンジを切り替えることができない。よって、盗難防止性をより高くすることができる。
また、開閉手段はリレー36であり、許可信号はリレー駆動電圧であるので、簡単な構成にて実現することができる。
また、コントロールユニットであるSCU13は、モータ32を駆動させるモータドライバ回路42と、該モータドライバ回路42を制御する制御指令信号を送信するマイクロプロセッサ41と、許可信号を形成する信号形成回路44と、を備えたので、簡単な構成にて許可信号をアクチュエータユニット12に送信することができ、アクチュエータユニット12を適切に制御することができる。
また、マイクロプロセッサ41からの制御指令信号に基づいてモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号を形成して該モータドライバ回路42に送信するモータドライバ回路制御部43をさらに備えたので、簡単な構成にてモータドライバ回路42を的確に駆動することができる。
2)第2実施形態
次に、本発明によるシフトバイワイヤ装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。図12はコントロールユニットおよびアクチュエータユニットにおけるモータ駆動関係の概要回路図であり、図13は本第2実施形態の作動を示すタイムチャートである。
本第2実施形態は、上述した第1実施形態と次の点で異なる。第2実施形態においては、開閉手段は、電流供給経路L1上に設けられ入力されるリレー駆動電圧に基づいて該電流供給経路L1を開閉するリレー36(第1実施形態と同様のもの)と、許可信号を入力し、その許可信号が所定形状である場合にリレー駆動電圧をリレー36に出力するリレー駆動回路51と、から構成されている。
リレー駆動回路51は、許可信号用端子12cに信号供給経路L2を介して接続されている信号入力ポート51aと、リレー36に信号であるリレー駆動電圧を供給する信号供給経路L3が接続されている出力ポート51bを有している。リレー駆動回路51には、この回路51の駆動電圧(例えば5V)が、SCU13のVCC電源から電源用端子13fおよび電源用端子12fを介して供給されている。この電圧はポジションセンサ34の駆動電圧として既に供給されている(第1実施形態においても同様である)。リレー駆動回路51には、リレー36の駆動電圧(例えば12V)が、SCU13のバッテリ電源+Bから電源用端子13eおよび電源用端子12eを介して供給されている。このバッテリ電圧はリレー駆動回路51にも供給されている。
一方、SCU13においては、信号供給源である信号形成回路として、スイッチング素子52(例えばトランジスタ)が設けられている。スイッチング素子52のコレクタは信号用端子13cに接続され、エミッタは接地され、ベースはマイクロプロセッサ41の出力ポートに接続されている。ベースにマイクロプロセッサ41からオン・オフ信号(パルス波形)が入力されると、所定の矩形パルス(例えば60Hz±20Hz)が出力されるようになっている。スイッチング素子52をオープンコレクタでオン・オフさせている。
このように構成された第2実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に作動する。この場合、ステップ214の処理においては、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43にイネーブル信号を送信して同制御部43を能動状態とし、VCC電源からVCC電圧を電圧用端子12fを介してリレー駆動回路51およびポジションセンサ34に供給し、バッテリ電源+Bからバッテリ電圧を電圧用端子12eを介してリレー駆動回路51に供給し、そして、信号形成回路52にオン・オフ信号を送信してリレー駆動回路51に所定形状の許可信号を送信する。
したがって、図13のタイムチャートに示すように、車両のイグニッションスイッチがONにされると、アクセサリ電源がONされる(時刻t1)。これにより、SCU13の電源がONされると、コントロールユニットであるSCU13は、SCU13からアクチュエータユニット12に、モータ32への電流を供給可能となるとともに許可信号を送信可能な状態である駆動状態となる。車両側IDと車両Mの鍵のキーIDが一致していると判定されれば(時刻t2)、シフトバイワイヤ装置10はシフトポジション(レンジ切り替え)許可状態となる。所定のシフトポジション許可条件(例えばエンジン回転数が所定値以上である(ステップ212))を満足すれば、シフト移動が許可される。そして、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43にイネーブル信号を送信して同制御部43を能動状態とし、VCC電源からのVCC電圧をリレー駆動回路51およびポジションセンサ34に供給し、バッテリ電源+Bからのバッテリ電圧をリレー駆動回路51に供給する(時刻t3)。そして、信号形成回路52にオン・オフ信号を送信してリレー駆動回路51に所定形状の許可信号を送信する(時刻t4)。つまり、信号供給源である信号形成回路52からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー駆動回路51に送信され、該リレー駆動回路51は信号供給経路L2を閉状態に制御される。これにより、リレー駆動回路51からリレー駆動電圧がリレー36に供給されて、リレー36がオンされるので、モータ32に電流を流すことが可能となり、シフトレバー11の操作に応じて自動変速機20の変速レンジが選択可能(シフトポジション可能)となる(時刻t4)。
また、ステップ238においては、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43へのイネーブル信号の送信を停止して同制御部43を非能動状態とし、VCC電圧のリレー駆動回路51およびポジションセンサ34への供給を停止し、バッテリ電圧のリレー駆動回路51への供給を停止する。さらに、信号形成回路52へのオン・オフ信号の送信を停止してリレー駆動回路51への許可信号の送信を停止する。これにより、リレー36がオフされるので、モータ32に電流を流すことが不能となり、シフトレバー11が操作されても自動変速機20の変速レンジの選択が不能となる。
したがって、図13のタイムチャートに示すように、車両のイグニッションスイッチがOFFにされると、アクセサリ電源がOFFされる(時刻t5)。SCU13の電源がOFFされると(SCU13への電圧供給が停止されると)、SCU13は、SCU13からアクチュエータユニット12に、モータ32への電流を供給不能となるとともに許可信号を送信不能な状態である非駆動状態となる。このとき、車両側IDと車両Mの鍵のキーIDが一致していないとし、さらに所定のシフトポジション許可条件(例えばエンジン回転数が所定値以上である(ステップ212))を満足しなくなるので、シフトバイワイヤ装置10はシフトポジション(レンジ切り替え)不許可状態となる。そして、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43へのイネーブル信号の送信を停止して同制御部43を非能動状態とし、VCC電圧のリレー駆動回路51およびポジションセンサ34への供給を停止し、バッテリ電圧のリレー駆動回路51への供給を停止する。さらに、信号形成回路52へのオン・オフ信号の送信を停止してリレー駆動回路51への許可信号の送信を停止する。つまり、信号供給源である信号形成回路52からの許可信号が信号供給経路L2を介してリレー駆動回路51に送信されていないので、該リレー駆動回路51は信号供給経路L2を開状態に制御される。これにより、シフトレバー11が操作されても自動変速機20の変速レンジの選択が不能(シフトポジション不能)となる。
すなわち、第1実施形態の許可信号は単なるオン信号であるリレー駆動電圧であったが、第2実施形態の許可信号は所定形状の信号(例えば矩形パルス)であり、さらにリレー駆動回路に供給される2つの異なる電圧も許可信号として扱うことができるので、アクチュエータユニット12に複雑な許可信号を付与しなければならないだけでなく、複数の許可信号を付与しなければ、シフトポジション可能状態にすることができない。したがって、本第2実施形態によれば、より暗号性の高い許可信号および複数の許可信号を使用することにより、盗難防止性をより高くすることができる。
また、SCU13は、モータ32を駆動させるモータドライバ回路42と、該モータドライバ回路42を制御する制御指令信号を送信するマイクロプロセッサ41と、所定形状の許可信号を形成する信号形成回路52と、を備えたので、簡単な構成にて所定形状の許可信号をアクチュエータユニット12に送信することができ、アクチュエータユニット12を適切に制御することができる。
また、マイクロプロセッサ41からの制御指令信号に基づいてモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号を形成して該モータドライバ回路42に送信するモータドライバ回路制御部43をさらに備えたので、簡単な構成にてモータドライバ回路42を的確に駆動することができる。
3)第3実施形態
次に、本発明によるシフトバイワイヤ装置の第3実施形態について図面を参照して説明する。図14はコントロールユニットおよびアクチュエータユニットにおけるモータ駆動関係の概要回路図であり、図15は本第3実施形態の作動を示すタイムチャートである。
本第3実施形態は、上述した第1実施形態と次の点で異なる。第3実施形態においては、開閉手段は、モータ32を駆動させるモータドライバ回路42の少なくとも一部から構成され、信号供給源はモータドライバ回路制御部43であり、許可信号はモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号である。この場合、リレー36を削除することができる。
アクチュエータユニット12においては、電源用端子12aと12bの間の電流供給経路L1は途中で2本に分かれており、各分岐経路にそれぞれ直列にスイッチング素子42a,42bおよびスイッチング素子42c,42dが設けられている。そして、スイッチング素子42aと42bの間の接続点、およびスイッチング素子42cと42dの間の接続点がそれぞれモータ32に接続されている。このモータドライバ回路42は、モータ32を正逆転させるH型ブリッジ回路である。
各スイッチング素子42a〜42dのゲートは、許可信号用端子12c1〜12c4に信号供給経路L21〜L24を介してそれぞれ接続されている。許可信号用端子12c1〜12c4は、SCU13の信号用端子13c1〜12c4を介してモータドライバ回路制御部43の各出力ポートに接続されている。モータドライバ回路制御部43からの複数のPWM信号が複数の許可信号としてスイッチング素子42a〜42dのゲートにそれぞれ入力されるようになっている。
また、電源用端子12aは、SCU13の電源用端子13aを介してバッテリ電源+Bに接続され、電源用端子12bは、SCU13の電源用端子13bを介して接地されている。
一方、SCU13においては、モータドライバ回路42を制御する制御指令信号を送信するマイクロプロセッサ41と、マイクロプロセッサ41からの制御指令信号に基づいてモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号(PWM信号)を形成して許可信号として該モータドライバ回路42に送信するモータドライバ回路制御部43と、を備えている。
このように構成された第3実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に作動する。この場合、ステップ214の処理においては、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43にイネーブル信号を送信して同制御部43を能動状態とし、許可信号として駆動信号(PWM信号)をスイッチング素子42a〜42dに供給する。
したがって、図15のタイムチャートに示すように、車両のイグニッションスイッチがONにされると、アクセサリ電源がONされる(時刻t1)。これにより、SCU13の電源がONされると、コントロールユニットであるSCU13は、SCU13からアクチュエータユニット12に、モータ32への電流を供給可能となるとともに許可信号を送信可能な状態である駆動状態となる。車両側IDと車両Mの鍵のキーIDが一致していると判定されれば(時刻t2)、シフトバイワイヤ装置10はシフトポジション(レンジ切り替え)許可状態となる。所定のシフトポジション許可条件(例えばエンジン回転数が所定値以上である(ステップ212))を満足すれば、シフト移動が許可される。そして、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43にイネーブル信号を送信して同制御部43を能動状態とする(時刻t3)。そして、許可信号として駆動信号(PWM信号)をスイッチング素子42a〜42dに供給する(時刻t4)。つまり、信号供給源であるモータドライバ回路制御部43からの許可信号が信号供給経路L2(L21〜L24)を介してスイッチング素子42a〜42dに送信され、該スイッチング素子42a〜42dは信号供給経路L2を閉状態に制御される。これにより、モータ32に電流が流れるので、シフトレバー11の操作に応じて自動変速機20の変速レンジが選択可能(シフトポジション可能)となる。
また、ステップ238においては、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43へのイネーブル信号の送信を停止して同制御部43を非能動状態とし、駆動信号(PWM信号)のスイッチング素子42a〜42dへの供給を停止する。これにより、リレー36がオフされるので、モータ32に電流が流れないので、シフトレバー11が操作されても自動変速機20の変速レンジの選択が不能となる。
したがって、図13のタイムチャートに示すように、車両のイグニッションスイッチがOFFにされると、アクセサリ電源がOFFされる(時刻t5)。SCU13の電源がOFFされると(SCU13への電圧供給が停止されると)、SCU13は、SCU13からアクチュエータユニット12に、モータ32への電流を供給不能となるとともに許可信号を送信不能な状態である非駆動状態となる。このとき、車両側IDと車両Mの鍵のキーIDが一致していないとし、さらに所定のシフトポジション許可条件(例えばエンジン回転数が所定値以上である(ステップ212))を満足しなくなるので、シフトバイワイヤ装置10はシフトポジション(レンジ切り替え)不許可状態となる。そして、マイクロプロセッサ41は、モータドライバ回路制御部43へのイネーブル信号の送信を停止して同制御部43を非能動状態とし、駆動信号(PWM信号)のスイッチング素子42a〜42dへの供給を停止する。つまり、信号供給源であるモータドライバ回路制御部43からの許可信号が信号供給経路L2(L21〜L24)を介してスイッチング素子42a〜42dに送信されていないので、該スイッチング素子42a〜42dは開状態に制御される。これにより、シフトレバー11が操作されても自動変速機20の変速レンジの選択が不能(シフトポジション不能)となる。
したがって、第3実施形態によれば、開閉手段は、モータ32を駆動させるモータドライバ回路42の少なくとも一部から構成され、許可信号はモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号であるので、複雑な構成の許可信号を使用することにより、盗難防止性をより高くすることができる。
また、モータドライバ回路は、独立してそれぞれ供給されるオン・オフ信号に応じてモータの駆動電圧を独立してオン・オフする複数のスイッチング素子から構成され、許可信号はオン・オフ信号であるので、簡単な構成にて複雑な構成の許可信号を使用することができる。
また、モータドライバ回路42はモータを正逆転させるH型ブリッジ回路であるので、簡単な構成にてモータ32を的確に制御することができる。
また、SCU13は、モータドライバ回路42を制御する制御指令信号を送信するマイクロプロセッサ41と、マイクロプロセッサ41からの制御指令信号に基づいてモータドライバ回路42を駆動させる駆動信号を形成して該モータドライバ回路42に送信するモータドライバ回路制御部43と、を備えたので、より簡単な構成とすることができる。
なお、上述した第3実施形態においては、スイッチング素子42a〜42dを全てアクチュエータユニット12側に設けたが、少なくとも何れか一つのスイッチング素子をアクチュエータユニット12側に設けるようにしてもよい。
なお、上記各実施形態においては、自動変速機が配設された車両を例に説明したが、自動変速機ではない駆動装置が配設された車両であってもよい。例えば、自動変速機がないハイブリッド車両などがこれに該当する。さらに、ハイブリッドなどの場合、駆動装置自体にパーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジとドライブレンジなどが設定されていない場合もあるが、この場合、駆動装置を制御する制御装置においてそれぞれの変速レンジと同等に駆動装置を駆動することになるのでこの場合においても上記実施形態を実施することができる。
また、モータ32としてDCモータを例に挙げて説明したが、他の形式のモータ、例えば交流のACモータ、でも本発明を適用することはできる。
また、上述した各実施形態において、上記図5に示すエンジンECU16側の初期化処理に代えて、図16に示す初期化処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップ104で「NO」と判定した場合には、ステップ108の処理に代えてリレー回路駆動フラグを「OFF」に設定する(ステップ158)。さらに、ステップ104で「YES」と判定した場合には、シフト許可されているか否かを判定し(ステップ152)、許可されていなければ(ステップ152にて「NO」と判定し)、リレー回路駆動フラグを「OFF」に設定する(ステップ158)。また、許可されていれば(ステップ152にて「YES」と判定し)、シフト許可フラグおよびリレー回路駆動フラグをそれぞれ「ON」に設定する(ステップ154,156)。
さらに、上記図6に示すSCU13側の初期化処理に代えて、図17に示す初期化処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップ202の処理後、リレー回路駆動フラグが「ON」であれば(ステップ252にて「YES」と判定し)、リレー回路を駆動し(ステップ212)、リレー回路駆動フラグが「ON」でなければ(ステップ252にて「NO」と判定し)、ステップ254の処理を行う。そして、シフト許可フラグが「ON」であれば(ステップ254にて「YES」と判定し)、通常制御フラグを「ON」に設定し(ステップ220)、シフト許可フラグが「ON」でなければ(ステップ254にて「NO」と判定し)、通常制御フラグを「OFF」に設定する(ステップ208)。
さらに、上記図8に示すエンジンECU16側の終了処理に代えて、図18に示す終了処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップ122にて「YES」と判定した場合、ステップ126の処理に代えてリレー回路駆動フラグを「OFF」に設定し(ステップ162)、SCU13にそのフラグを送信する(ステップ128)。ステップ122にて「NO」と判定した場合、何も行わない。
さらに、上記図9に示すSCU13側の終了処理に代えて、図19に示す終了処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップ234の判定処理に代えてリレー回路駆動フラグが「OFF」であるか否かを判定し(ステップ262)、リレー回路駆動フラグが「OFF」であればリレー回路を停止し(ステップ238)、通常制御フラグを「OFF」に設定する(ステップ240)。また、リレー回路駆動フラグが「OFF」でなければ、通常制御フラグを「OFF」に設定する(ステップ240)。
このように、エンジンECU16側にもシフト許可信号を持たせることができるので、上述したようにSCU13側にシフト許可信号を持たせるかあるいはエンジンECU16にシフト許可信号を持たせるか盗難防止として2つの選択肢を持たせることができる。したがって、幅広い顧客のニーズやシステムの考え方に応じて適切に対応できる盗難防止システムを提供することができる。
10…シフトバイワイヤ装置(SBW装置)、11…シフトレバー、12…アクチュエータユニット、13…SCU(コントロールユニット)、20…自動変速機(駆動装置)、25…油圧制御装置、25a…マニュアルバルブ、31…ディテントレバー、32…モータ、33d…マニュアルシャフト、34…ポジションセンサ、36…リレー(開閉手段)、41…マイクロプロセッサ、42…モータドライバ回路(開閉手段)、42a〜42d…スイッチング素子、43…モータドライバ回路制御部(信号供給源)、44,52…信号形成回路(信号供給源)、12a,12b…電源用端子、12c、12c1〜12c4…許可信号用端子、L1…電流供給経路、L2…信号供給経路、51…リレー駆動回路(開閉手段)。