JP2004284424A - 車両盗難防止システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両盗難を生じ難くする車両盗難防止システムを提供すること。
【解決手段】車両盗難防止システム1は電源管理システム3を備えている。電源管理システム3はユーザが正規ユーザであるか否かの判断を行う。電源管理システム3は指紋センサ6及びユーザIF18と接続されている。電源管理システム3は指紋センサ6により読み取られたユーザの指紋データに基づいてユーザが正規ユーザであるか否かの判断を行う。指紋センサ6にてユーザを正規ユーザと識別できなかった場合には電源管理システム3はユーザIFから入力されたパスワード情報に基づいてユーザが正規ユーザであるか否かの判断を行う。電源管理システム3はユーザを正規ユーザと識別するとセキュリティの解除を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】車両盗難防止システム1は電源管理システム3を備えている。電源管理システム3はユーザが正規ユーザであるか否かの判断を行う。電源管理システム3は指紋センサ6及びユーザIF18と接続されている。電源管理システム3は指紋センサ6により読み取られたユーザの指紋データに基づいてユーザが正規ユーザであるか否かの判断を行う。指紋センサ6にてユーザを正規ユーザと識別できなかった場合には電源管理システム3はユーザIFから入力されたパスワード情報に基づいてユーザが正規ユーザであるか否かの判断を行う。電源管理システム3はユーザを正規ユーザと識別するとセキュリティの解除を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両盗難防止システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両盗難を防止するために種々の技術が開発され、この種の車両盗難防止システムとして車両のドアロック解錠を指紋識別によって行う技術が提案されている。その指紋識別を用いた車両盗難防止システムでは車両のドア等に指紋識別装置を設け、ドア操作を行う際に操作者の指紋を指紋識別装置によって読み取り、予め登録された指紋と一致した場合にドアロック解錠を許可している。しかし、指紋識別装置はドアロックの解錠のために車外に設けられているため該指紋識別装置に汚れや水などが付着している場合や、指紋識別を行う人の指に損傷や汚れがある場合には、指紋識別装置が正規ユーザを正しく認証できず、指紋認証誤りが発生する。従って、このような車両盗難防止システムにおいては、指紋識別装置が指紋識別できなかった場合であっても、正規ユーザがドアロックの解錠を行えるように指紋認証以外の方法でドアロックを解錠する方法を備えて構成されている。例えば、特許文献1の、車両盗難防止システムは、キーレスエントリシステムで知られるように、携帯送信機と車両側受信機の暗証コードの一致を判断し、該暗証コードが一致した場合にドアロックの解錠を行う。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−65211号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の車両盗難防止システムでは、指紋の識別ができなかった場合においても携帯送信機の信号によりドアロックが解錠されるため、該携帯送信機を持っていれば誰でもドアロックの解錠を行うことができることとなる。従って、正規ユーザではなくても携帯送信機を持っていれば車室内に入ることができ、車両の操作をされてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両盗難を生じ難くする車両盗難防止システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車両に乗り込んだ乗込者の身体情報を認識する認識手段と、パスワード情報を入力するパスワード情報入力手段と、前記車両の所有者が有する固有の身体情報及びパスワード情報を記憶した記憶手段と、前記認識手段により入手した前記身体情報と、前記記憶手段に予め登録された身体情報とを比較し、2つの前記身体情報が一致しなかった場合に前記パスワード情報入力手段により入手したパスワード情報と、前記記憶手段に予め登録されたパスワード情報とを比較する照合手段と、前記照合手段の照合結果により2つの前記身体情報が一致した場合、或いは2つの前記パスワード情報が一致した場合にセキュリティを解除するセキュリティ解除手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認識手段を指紋センサとした。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記認識手段を車室内に配設した。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記パスワード情報は前記車両の所有者の免許証番号とした。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、バッテリ電源の供給を制御する制御手段を備え、セキュリティの解除は前記制御手段にてバッテリ電源を供給することで行った。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、認識手段により入手した身体情報と記憶手段に予め登録された身体情報とが一致しなかった場合には、パスワード情報入力手段により入手したパスワード情報と記憶手段に予め登録されたパスワード情報とが比較され、該2つのパスワード情報が一致すればセキュリティが解除される。このように、セキュリティの解除は、身体情報及びパスワード情報に基づいて行われるため車両盗難防止システムの安全性が高く保たれる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、認識手段を指紋センサとすることでユーザは指をセンサにあてるだけの簡単な動作で指紋のデータが認識手段に入力される。
請求項3に記載の発明によれば、認識手段を車室内に配設することにより、該認識手段に雨粒や埃などの汚れが付着することが抑制される。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、他人が想到することが難しく、且つ車両の所有者が忘失するおそれのないパスワード情報が設定される。
請求項5に記載の発明によれば、バッテリ電源の回路を制御する簡単な構成でセキュリティの設定及び解除が行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、車両盗難防止システム1は、バッテリ2の電源を車載機器に供給するか否かを制御する電源管理システム3を備えている。電源管理システム3は記憶手段、照合手段、セキュリティ解除手段、及び制御手段としてのマイコン4及びIGリレー5を備え、IGリレー5のコイル部5aがマイコン4に、スイッチ部5bがバッテリ2の+端子に接続されている。
【0013】
マイコン4はIGリレー5のリレー状態を制御し、コイル部5aを励磁することでスイッチ部5bの接点を接触状態にしてIGリレー5をオンする。IGリレー5がオン状態でIGスイッチ(エンジンスタートスイッチ)が押されると、供給されるIG電源(イグニッション電源)によるエンジンが始動した状態となる。
【0014】
マイコン4は電源管理システム3のメイン制御を司る。マイコン4には指紋及びパスワードの照合によって車両盗難を防止するための車両盗難防止プログラムが記憶されている。マイコン4は電源投入時に車両盗難防止プログラムを常時実行し、指紋及びパスワードの照合を行って車両の盗難防止を図っている。また、マイコン4には車両の所有者(正規ユーザ)の指紋データ及びパスワード情報が記憶されている。
【0015】
車室内には運転者の指紋を認識する認識手段としての指紋センサ6が配設されている。指紋センサ6は運転者の指紋を読み取り、その指紋データを出力するセンサであり、例えば光学式、感圧式、半導体静電容量タイプ等が用いられる。
【0016】
また、電源管理システム3は指紋センサ電源回路7及び指紋センサ入力回路8を備えている。指紋センサ電源回路7は入力側がバッテリ2に、出力側が指紋センサ6に接続されている。指紋センサ電源回路7はマイコン4に接続され、マイコン4から電源供給を開始する旨のセンサ作動信号Saを受信すると、駆動電源を指紋センサ6に供給する。
【0017】
指紋センサ入力回路8は入力側が指紋センサ6に、出力側がマイコン4に接続されている。指紋センサ6は起動時においてセンサ面に触れられた指紋を読み取り、その指紋データを出力する。マイコン4は指紋センサ入力回路8を介して指紋データが入力され、該指紋データと予め記憶された正規ユーザの指紋データと比較する。マイコン4はその比較結果に基づきIGリレー5のリレー状態を制御する。
【0018】
電源管理システム3は乗員検知センサ入力回路11、ドアSW入力回路12及びホーン駆動回路13を備えている。乗員検知センサ14は運転者の有無を検知するために車載されたセンサであり、例えば赤外線センサや超音波センサ、座席に埋め込まれた荷重センサ等が用いられる。マイコン4は乗員検知センサ14から出力される検知信号を乗員検知センサ入力回路11から入力し、運転席における運転者の有無を判断する。
【0019】
ドアSW入力回路12は入力側が車載されたドアSW15に、出力側がマイコン4に接続されている。ドアSW15はドア(図示省略)の開閉を検出するスイッチであり、例えばドア開時にオンしドア閉時にオフする。マイコン4はドアSW15のオンオフ状態に応じた検出信号をドアSW入力回路12から入力し、ドアの開閉状態を判断する。また、マイコン4はホーン駆動回路13を介して車載されたホーン16を駆動制御する。
【0020】
電源管理システム3はインターフェイス回路17(以下、IF回路)を備えている。IF回路17はパスワード情報入力手段としてのユーザインターフェイス18(以下、ユーザIF)に接続されている。ユーザIF18は様々な情報をユーザに提供するディスプレイや、タッチパネルなどの入力スイッチを備えている。ユーザIF18は例えば車両室内のコンソールパネル上に配設されている。マイコン4は、ユーザに提供する情報をIF回路17を介してユーザIF18に出力し、該情報をユーザIF18が備えるディスプレイに表示する。また、マイコン4はユーザが入力したパスワード情報をIF回路17を介して入力し、予め記憶された正規ユーザのパスワード情報と比較する。マイコン4はその比較結果に基づきIGリレー5のリレー状態を制御する。
【0021】
IGリレー5の出力側には、車載された図示しない自動変速機のATコンピュータ21が接続されている。ATコンピュータ21は自動変速機のギヤ変換を行うもので、マイコン4によるIGリレー5のリレー状態に基づき供給されるIG電源に基づいて動作して図示しない自動変速機を制御する。即ち、ATコンピュータ21はIGリレー5がオンであれば図示しないシフトレバーの操作位置に応じて自動変速機の作動を許可する。一方、ATコンピュータ21はIGリレー5がオフであればIG電源が供給されないため動作しない。従って、自動変速機のギヤ状態は変更されない。
【0022】
電源管理システム3はマイコン4とATコンピュータ21との間を接続する通信回路22を備えている。マイコン4は通信回路22を介してATコンピュータ21と相互通信が可能である。電源管理システム3とATコンピュータ21は、相互通信により互いの存在を確認する。また、ATコンピュータ21にはマイコン4側と機能的に同じであるホーン23が接続されている。
【0023】
電源管理システム3はマイコン4とATコンピュータ21との間にIG電源モニタ回路24を備えている。マイコン4はIG電源モニタ回路24を介してIG電源をモニタし、ATコンピュータ21がバッテリ2に直結されているか否かを判断する。例えば、マイコン4はIGリレー5をオンしていないにも拘わらずIG電源の供給があると判断したとき、ATコンピュータ21に自動変速機の作動を許可しない。例えば、マイコン4は所定の制限信号Rを出力し、ATコンピュータ21はその制限信号Rに応答して自動変速機を非作動にする。
【0024】
ATコンピュータ21は、図示しない運転席のシフトレバーの操作に連動してモータ25を駆動制御し、前進位置、停止位置(P位置)及び後進位置(R位置)の基本となる油圧回路の切り換えを行う。
【0025】
マイコン4は通信回路22を介してキーレスエントリコントローラ26(以下、KEコントローラ)と接続されている。
KEコントローラ26は、各車両ドアの施錠及び解錠を行うドアロックアクチュエータ27が接続されており、該ドアロックアクチュエータ27の駆動を制御する。KEコントローラ26はバッテリ2からバッテリ電源が直接供給されており、常時駆動されている。
【0026】
KEコントローラ26は内部にコントローラ側通信回路26aを備えている。コントローラ側通信回路26aはリモコン28との間で各種信号を送受信可能である。例えば、コントローラ側通信回路26aはID信号の送信要求信号を送信可能であるとともに、リモコン28から送信されたID信号を受信可能である。
【0027】
リモコン28はリモコン側通信回路28a及びID信号の送信スイッチ28bを備えている。リモコン側通信回路28aはコントローラ側通信回路26aから送信されたID信号の送信要求信号を受信可能に構成されるとともに、ID信号を送信可能に構成されている。リモコン28はID信号の送信要求を受信すること、或いはID信号の送信スイッチ28bがオンされることでKEコントローラ26に該リモコン28固有の情報を含んだID信号を送信する。
【0028】
KEコントローラ26はリモコン28から送信されたID信号を受信すると、該ID信号と予め設定された正規ユーザのID信号とを比較し、受信したID信号が正規ユーザのものであるか否かを判断する。KEコントローラ26は、その判断結果に基づいてドアロックアクチュエータ27を制御し、車両ドアの施錠及び解錠を行う。
【0029】
次に、車両盗難防止システム1の作用を説明する。
マイコン4は、乗員が正規ユーザであるか否かによってATコンピュータ21に供給するIG電源を制御し、セキュリティの設定及び解除を行う。即ち、電源管理システム3からATコンピュータ21にIG電源が供給されない状態においては、エンジンがスタートできないため車両は走行不能状態(セキュリティが設定された状態)となる。一方、電源管理システム3からATコンピュータ21にIG電源が供給されると、エンジンをスタートすることができるため車両は走行可能状態(セキュリティが解除された状態)となる。
【0030】
また、盗難者が車両内部に侵入した場合には、バッテリ2を直結してATコンピュータ21にIG電源が供給される場合が考えられるが、このような場合には、マイコン4はIG電源モニタ回路24を介して意図しないIG電源の供給を検出する。意図しないIG電源の供給を検出すると、マイコン4は自動変速機に制限をかける旨の制限信号RをATコンピュータ21に出力する。
【0031】
ATコンピュータ21はマイコン4からの制限信号Rに基づきモータ25を非通電にし、シフトレバーが操作されても油圧回路を車両停止のときの状態から切り換えない。従って、IG電源をバッテリ2に直結してエンジンを始動しても、自動変速機がP位置から動かず、車両が発進できない状態となる。
【0032】
電源管理システム3及びATコンピュータ21は定期的に相互通信を行い、互いの存在を確認し合っている。この通信形式としてはATコンピュータ21が確認信号Sbを、電源管理システム3が確認信号Scを交互に出し合って、相手が正しいか否かを判断している。そして、通信相手が取り替えられた場合や取り外された場合、電源管理システム3はホーン16を鳴らして、一方のATコンピュータ21はホーン23を鳴らして警報を報知する。
【0033】
マイコン4は必要に応じてKEコントローラ26にID信号の照合を行う旨の信号を送信する。KEコントローラ26はID信号の照合を行う旨の信号を受信すると、上述した態様でリモコン28からID信号を受信し、該ID信号が正規ユーザのID信号であるか否かを判断する。KEコントローラ26はリモコン28のID信号が正規ユーザのID信号であるか否かを判断すると、通信回路22を介して該判断結果をマイコン4に入力する。
【0034】
マイコン4はドアSW15のオンオフに基づきドアの開閉を検出し、該開閉をトリガとして乗員検知センサ14から入力される検出値に基づいて乗員が車室内に存在するか否かを判断する。マイコン4は、車室内に乗員が存在すると判断した場合には指紋識別モードとなり、指紋センサ電源回路7を介して指紋センサ6を起動状態とする。次に、マイコン4は指紋センサ6に駆動電源を供給するとユーザIF18を用いてユーザに指紋データの入力を要求する。そして、指紋センサ6によって運転者の指紋が読み取られると、マイコン4は指紋センサ入力回路8を介して指紋センサ6から指紋データを入力し、該指紋データと予めマイコン4に記憶した正規ユーザの指紋データとを照合する。
【0035】
以下、指紋センサ6駆動後の車両盗難防止システム1の処理を図2に示すフローチャートに基づき説明する。
ステップ31において、指紋データが入力されると、マイコン4は該指紋データと予め登録された正規ユーザの指紋データとの照合を行い、処理をステップ32に移行する。
【0036】
ステップ32において、入力された指紋データが正規ユーザのものと同一であると判断すると、マイコン4は乗員を正規ユーザであると判断して処理をステップ33に移行し、セキュリティの解除、即ちATコンピュータ21にIG電源を供給する。このため、マイコン4は車両に対して盗難を防止する特別な規制をかけず、エンジン始動を許可した状態となる。従って、キー操作やイグニッションスイッチ操作等によりスタータが作動してエンジンが始動する。
【0037】
一方、ステップ32において、入力された指紋データが正規ユーザのものと同一ではないと判断すると、マイコン4は処理をステップ34に移行しKEコントローラ26にてID信号の照合を行う。具体的には、マイコン4はKEコントローラ26にID信号の照合を行う旨の信号を出力する。KEコントローラ26は上述した態様でリモコン28のID信号の照合を行うと処理をステップ35に移行する。
【0038】
ステップ35において、リモコン28のID信号が正規ユーザのID信号と同一であると判断すると、KEコントローラ26は該判断を示す旨の情報をマイコン4に入力して処理をステップ36に移行する。
【0039】
ステップ36において、マイコン4はユーザIF18を用いてユーザにパスワード情報の入力を要求し、入力されたパスワード情報と予め登録された正規ユーザのパスワード情報との照合を行い、処理をステップ37に移行する。
【0040】
ステップ37において、入力されたパスワード情報が正規ユーザのパスワード情報と同一であると判断すると、マイコン4は乗員を正規ユーザであると判断して処理をステップ38に移行し、セキュリティの解除、即ちATコンピュータ21にIG電源を供給する。このため、キー操作やイグニッションスイッチ操作等によりスタータが作動してエンジンが始動する。
【0041】
尚、パスワード情報は他人が容易に想到できない情報であることが好ましく、本実施の形態においては正規ユーザが常時携帯する免許証の番号が用いられている。
【0042】
ステップ35においてリモコン28のID信号が正規ユーザのID信号と同一ではないと判断した場合、或いはステップ37において入力されたパスワード情報が正規ユーザのパスワード情報と同一ではないと判断した場合、マイコン4は乗員が正規ユーザではないと判断し処理を終了する。この場合、マイコン4はIG電源の供給に規制をかける。即ち、キー操作やイグニッションスイッチ操作がなされても、IGリレー5をオフのままにしてエンジン始動を許可しない状態にする。従って、キー操作やイグニッションスイッチ操作がなされてもスタータが作動せずエンジンが始動しない。
【0043】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)個人認証の方法として個人特有の身体情報である指紋を用い、指紋照合が一致すればセキュリティの解除を行う構成としている。このため、指紋センサ6を用いることによって各個人をほぼ正確に認識することが可能であり、車両盗難防止効果を向上することができる。
【0044】
(2)車両盗難防止システム1は、指紋データに基づいて乗員が正規ユーザであると判断できなかった場合には、ID信号とパスワード情報とを照合することで乗員が正規ユーザであるか否かを判断する。そのため、指紋センサ6の不具合などで指紋データによる正規ユーザの認証ができない場合であってもID信号とパスワード情報によって正規ユーザを判断することができる。
【0045】
(3)指紋センサ6にて正規ユーザの認証を行っているため、ユーザは正規ユーザの認証の際に指を該指紋センサ6にあてるだけの動作を行えばよく、簡単に正規ユーザの認証を行うことができる。
【0046】
(4)指紋センサ6は車室内に備えられている。従って、指紋センサ6に雨や埃などの汚れが付着することが抑制され、汚れによる指紋センサ6の検出精度の低下を抑制することができる。従って、乗員が正規ユーザである場合には、殆どの場合指紋データの入力のみでセキュリティの解除を行うことができる。
【0047】
(5)マイコン4はパスワード情報に正規ユーザの免許証番号を用いている。従って、パスワード情報は他人が容易に想到できない情報であるとともに、乗員が正規ユーザの場合には携帯した免許証を調べることでパスワード情報を容易に確認することができる。従って、車両盗難防止システム1の安全性を高めるとともに、正規ユーザがパスワード情報を忘れてしまうことなどによるパスワード情報の紛失を防ぐことができる。
【0048】
(6)セキュリティの設定及び解除は電源管理システム3に備えられたIGリレー5への通電を制御することで行われている。従って、セキュリティの設定及び解除をIGリレー5を用いるだけの簡単な構成で実現することができる。
【0049】
(7)バッテリ2を直結してIG電源を供給状態にしてエンジンを始動させた場合には、自動変速機のモータ25が非通電になって油圧回路が切り換えられずギヤがP位置に固定される。従って、盗難者などがバッテリ2を直結することでIG電源を供給してエンジンを作動させても車両が動かせず、車両盗難の防止を図ることができる。
【0050】
(8)マイコン4は、車室内に乗員が存在すると判断した場合に指紋識別モードとなり、指紋センサ電源回路7を介して指紋センサ6を起動状態とする。一方、マイコン4が車室内に乗員が存在しないと判断した場合には、指紋センサ6に駆動電源が供給されない。従って、車室内に乗員が存在しない場合には指紋センサ6が動作しないため無駄な電力消費を抑えることができる。
【0051】
(9)電源管理システム3及びATコンピュータ21は相互通信を行って互いの存在を確認し合い、一方が取り外されて存在が確認できなくなった場合、他方がホーン16(23)を鳴らして警告が報知される。従って、車両盗難を目的として電源管理システム3やATコンピュータ21が取り外されても、その旨を周りに知らせることができ、車両盗難の防止効果を向上できる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・上記実施の形態において、セキュリティの設定及び解除はATコンピュータ21に供給するIG電源を制御することによって行ったが、セキュリティの設定及び解除はその他の手段を用いて行ってもよい。
【0053】
・上記実施の形態において、パスワード情報は正規ユーザの免許証番号を用いて構成されていたが、パスワード情報は他人が容易に想到できない情報であればよくその他のものを用いてもよい。
【0054】
・上記実施の形態において、指紋照合によりセキュリティの解除が行われなかった場合はID信号の照合及びパスワード情報の照合のそれぞれが正規ユーザのデータであると識別された時のみセキュリティの解除が行われていた。しかし、指紋照合によるセキュリティ解除が不可能な時に行われるユーザの識別方法はパスワード情報の照合のみを用いてもよい。
【0055】
・上記実施の形態において、車両盗難防止システム1は指紋センサ6を備え、セキュリティの解除は該指紋センサ6を用いた指紋データの照合により行われていた。しかし、その他のバイオメトリクス認証を用いてセキュリティの解除を行ってもよく、例えば掌紋、手形、手の甲の静脈、虹彩、顔、音声などを用いてセキュリティの解除を行ってもよい。
【0056】
・車室内に乗員が存在するか否かの判断は、ドアSW15のオンオフをトリガとして行われていた。しかし、車室内に乗員が存在するか否かの判断を行う際のトリガは、ドアSW15のオンオフに限定されず、例えば、ドアノブに感圧センサを設置し、そのセンサが人体を検知したときに車両内に乗員が存在するか否かの判断を行うようにしてもよい。
【0057】
・電源管理システム3とATコンピュータ21とが相互通信により互いの存在を確認し合う場合、相手の存在が確認できないときに実施される処理はホーン16(23)による報知に限定されない。例えば、油圧回路のP位置固定、シフトロック解除の禁止、車輪へのブレーキ力付与でもよい。
【0058】
・IGリレー5はコイル部5a及びスイッチ部5bからなるメカリレーに限らず、トランジスタを用いた半導体リレーでもよい。
・車両は自動車に限らず、産業車両等の各種車両を採用してもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば車両盗難を生じ難くする車両盗難防止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両盗難防止システムのブロック図。
【図2】車両盗難防止システムの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…認識手段としての指紋センサ、14…パスワード情報入力手段としてのユーザインターフェイス(ユーザIF)、16…記憶手段、照合手段、セキュリティ解除手段、及び制御手段としてのマイコン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両盗難防止システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両盗難を防止するために種々の技術が開発され、この種の車両盗難防止システムとして車両のドアロック解錠を指紋識別によって行う技術が提案されている。その指紋識別を用いた車両盗難防止システムでは車両のドア等に指紋識別装置を設け、ドア操作を行う際に操作者の指紋を指紋識別装置によって読み取り、予め登録された指紋と一致した場合にドアロック解錠を許可している。しかし、指紋識別装置はドアロックの解錠のために車外に設けられているため該指紋識別装置に汚れや水などが付着している場合や、指紋識別を行う人の指に損傷や汚れがある場合には、指紋識別装置が正規ユーザを正しく認証できず、指紋認証誤りが発生する。従って、このような車両盗難防止システムにおいては、指紋識別装置が指紋識別できなかった場合であっても、正規ユーザがドアロックの解錠を行えるように指紋認証以外の方法でドアロックを解錠する方法を備えて構成されている。例えば、特許文献1の、車両盗難防止システムは、キーレスエントリシステムで知られるように、携帯送信機と車両側受信機の暗証コードの一致を判断し、該暗証コードが一致した場合にドアロックの解錠を行う。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−65211号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の車両盗難防止システムでは、指紋の識別ができなかった場合においても携帯送信機の信号によりドアロックが解錠されるため、該携帯送信機を持っていれば誰でもドアロックの解錠を行うことができることとなる。従って、正規ユーザではなくても携帯送信機を持っていれば車室内に入ることができ、車両の操作をされてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両盗難を生じ難くする車両盗難防止システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車両に乗り込んだ乗込者の身体情報を認識する認識手段と、パスワード情報を入力するパスワード情報入力手段と、前記車両の所有者が有する固有の身体情報及びパスワード情報を記憶した記憶手段と、前記認識手段により入手した前記身体情報と、前記記憶手段に予め登録された身体情報とを比較し、2つの前記身体情報が一致しなかった場合に前記パスワード情報入力手段により入手したパスワード情報と、前記記憶手段に予め登録されたパスワード情報とを比較する照合手段と、前記照合手段の照合結果により2つの前記身体情報が一致した場合、或いは2つの前記パスワード情報が一致した場合にセキュリティを解除するセキュリティ解除手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認識手段を指紋センサとした。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記認識手段を車室内に配設した。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記パスワード情報は前記車両の所有者の免許証番号とした。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、バッテリ電源の供給を制御する制御手段を備え、セキュリティの解除は前記制御手段にてバッテリ電源を供給することで行った。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、認識手段により入手した身体情報と記憶手段に予め登録された身体情報とが一致しなかった場合には、パスワード情報入力手段により入手したパスワード情報と記憶手段に予め登録されたパスワード情報とが比較され、該2つのパスワード情報が一致すればセキュリティが解除される。このように、セキュリティの解除は、身体情報及びパスワード情報に基づいて行われるため車両盗難防止システムの安全性が高く保たれる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、認識手段を指紋センサとすることでユーザは指をセンサにあてるだけの簡単な動作で指紋のデータが認識手段に入力される。
請求項3に記載の発明によれば、認識手段を車室内に配設することにより、該認識手段に雨粒や埃などの汚れが付着することが抑制される。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、他人が想到することが難しく、且つ車両の所有者が忘失するおそれのないパスワード情報が設定される。
請求項5に記載の発明によれば、バッテリ電源の回路を制御する簡単な構成でセキュリティの設定及び解除が行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、車両盗難防止システム1は、バッテリ2の電源を車載機器に供給するか否かを制御する電源管理システム3を備えている。電源管理システム3は記憶手段、照合手段、セキュリティ解除手段、及び制御手段としてのマイコン4及びIGリレー5を備え、IGリレー5のコイル部5aがマイコン4に、スイッチ部5bがバッテリ2の+端子に接続されている。
【0013】
マイコン4はIGリレー5のリレー状態を制御し、コイル部5aを励磁することでスイッチ部5bの接点を接触状態にしてIGリレー5をオンする。IGリレー5がオン状態でIGスイッチ(エンジンスタートスイッチ)が押されると、供給されるIG電源(イグニッション電源)によるエンジンが始動した状態となる。
【0014】
マイコン4は電源管理システム3のメイン制御を司る。マイコン4には指紋及びパスワードの照合によって車両盗難を防止するための車両盗難防止プログラムが記憶されている。マイコン4は電源投入時に車両盗難防止プログラムを常時実行し、指紋及びパスワードの照合を行って車両の盗難防止を図っている。また、マイコン4には車両の所有者(正規ユーザ)の指紋データ及びパスワード情報が記憶されている。
【0015】
車室内には運転者の指紋を認識する認識手段としての指紋センサ6が配設されている。指紋センサ6は運転者の指紋を読み取り、その指紋データを出力するセンサであり、例えば光学式、感圧式、半導体静電容量タイプ等が用いられる。
【0016】
また、電源管理システム3は指紋センサ電源回路7及び指紋センサ入力回路8を備えている。指紋センサ電源回路7は入力側がバッテリ2に、出力側が指紋センサ6に接続されている。指紋センサ電源回路7はマイコン4に接続され、マイコン4から電源供給を開始する旨のセンサ作動信号Saを受信すると、駆動電源を指紋センサ6に供給する。
【0017】
指紋センサ入力回路8は入力側が指紋センサ6に、出力側がマイコン4に接続されている。指紋センサ6は起動時においてセンサ面に触れられた指紋を読み取り、その指紋データを出力する。マイコン4は指紋センサ入力回路8を介して指紋データが入力され、該指紋データと予め記憶された正規ユーザの指紋データと比較する。マイコン4はその比較結果に基づきIGリレー5のリレー状態を制御する。
【0018】
電源管理システム3は乗員検知センサ入力回路11、ドアSW入力回路12及びホーン駆動回路13を備えている。乗員検知センサ14は運転者の有無を検知するために車載されたセンサであり、例えば赤外線センサや超音波センサ、座席に埋め込まれた荷重センサ等が用いられる。マイコン4は乗員検知センサ14から出力される検知信号を乗員検知センサ入力回路11から入力し、運転席における運転者の有無を判断する。
【0019】
ドアSW入力回路12は入力側が車載されたドアSW15に、出力側がマイコン4に接続されている。ドアSW15はドア(図示省略)の開閉を検出するスイッチであり、例えばドア開時にオンしドア閉時にオフする。マイコン4はドアSW15のオンオフ状態に応じた検出信号をドアSW入力回路12から入力し、ドアの開閉状態を判断する。また、マイコン4はホーン駆動回路13を介して車載されたホーン16を駆動制御する。
【0020】
電源管理システム3はインターフェイス回路17(以下、IF回路)を備えている。IF回路17はパスワード情報入力手段としてのユーザインターフェイス18(以下、ユーザIF)に接続されている。ユーザIF18は様々な情報をユーザに提供するディスプレイや、タッチパネルなどの入力スイッチを備えている。ユーザIF18は例えば車両室内のコンソールパネル上に配設されている。マイコン4は、ユーザに提供する情報をIF回路17を介してユーザIF18に出力し、該情報をユーザIF18が備えるディスプレイに表示する。また、マイコン4はユーザが入力したパスワード情報をIF回路17を介して入力し、予め記憶された正規ユーザのパスワード情報と比較する。マイコン4はその比較結果に基づきIGリレー5のリレー状態を制御する。
【0021】
IGリレー5の出力側には、車載された図示しない自動変速機のATコンピュータ21が接続されている。ATコンピュータ21は自動変速機のギヤ変換を行うもので、マイコン4によるIGリレー5のリレー状態に基づき供給されるIG電源に基づいて動作して図示しない自動変速機を制御する。即ち、ATコンピュータ21はIGリレー5がオンであれば図示しないシフトレバーの操作位置に応じて自動変速機の作動を許可する。一方、ATコンピュータ21はIGリレー5がオフであればIG電源が供給されないため動作しない。従って、自動変速機のギヤ状態は変更されない。
【0022】
電源管理システム3はマイコン4とATコンピュータ21との間を接続する通信回路22を備えている。マイコン4は通信回路22を介してATコンピュータ21と相互通信が可能である。電源管理システム3とATコンピュータ21は、相互通信により互いの存在を確認する。また、ATコンピュータ21にはマイコン4側と機能的に同じであるホーン23が接続されている。
【0023】
電源管理システム3はマイコン4とATコンピュータ21との間にIG電源モニタ回路24を備えている。マイコン4はIG電源モニタ回路24を介してIG電源をモニタし、ATコンピュータ21がバッテリ2に直結されているか否かを判断する。例えば、マイコン4はIGリレー5をオンしていないにも拘わらずIG電源の供給があると判断したとき、ATコンピュータ21に自動変速機の作動を許可しない。例えば、マイコン4は所定の制限信号Rを出力し、ATコンピュータ21はその制限信号Rに応答して自動変速機を非作動にする。
【0024】
ATコンピュータ21は、図示しない運転席のシフトレバーの操作に連動してモータ25を駆動制御し、前進位置、停止位置(P位置)及び後進位置(R位置)の基本となる油圧回路の切り換えを行う。
【0025】
マイコン4は通信回路22を介してキーレスエントリコントローラ26(以下、KEコントローラ)と接続されている。
KEコントローラ26は、各車両ドアの施錠及び解錠を行うドアロックアクチュエータ27が接続されており、該ドアロックアクチュエータ27の駆動を制御する。KEコントローラ26はバッテリ2からバッテリ電源が直接供給されており、常時駆動されている。
【0026】
KEコントローラ26は内部にコントローラ側通信回路26aを備えている。コントローラ側通信回路26aはリモコン28との間で各種信号を送受信可能である。例えば、コントローラ側通信回路26aはID信号の送信要求信号を送信可能であるとともに、リモコン28から送信されたID信号を受信可能である。
【0027】
リモコン28はリモコン側通信回路28a及びID信号の送信スイッチ28bを備えている。リモコン側通信回路28aはコントローラ側通信回路26aから送信されたID信号の送信要求信号を受信可能に構成されるとともに、ID信号を送信可能に構成されている。リモコン28はID信号の送信要求を受信すること、或いはID信号の送信スイッチ28bがオンされることでKEコントローラ26に該リモコン28固有の情報を含んだID信号を送信する。
【0028】
KEコントローラ26はリモコン28から送信されたID信号を受信すると、該ID信号と予め設定された正規ユーザのID信号とを比較し、受信したID信号が正規ユーザのものであるか否かを判断する。KEコントローラ26は、その判断結果に基づいてドアロックアクチュエータ27を制御し、車両ドアの施錠及び解錠を行う。
【0029】
次に、車両盗難防止システム1の作用を説明する。
マイコン4は、乗員が正規ユーザであるか否かによってATコンピュータ21に供給するIG電源を制御し、セキュリティの設定及び解除を行う。即ち、電源管理システム3からATコンピュータ21にIG電源が供給されない状態においては、エンジンがスタートできないため車両は走行不能状態(セキュリティが設定された状態)となる。一方、電源管理システム3からATコンピュータ21にIG電源が供給されると、エンジンをスタートすることができるため車両は走行可能状態(セキュリティが解除された状態)となる。
【0030】
また、盗難者が車両内部に侵入した場合には、バッテリ2を直結してATコンピュータ21にIG電源が供給される場合が考えられるが、このような場合には、マイコン4はIG電源モニタ回路24を介して意図しないIG電源の供給を検出する。意図しないIG電源の供給を検出すると、マイコン4は自動変速機に制限をかける旨の制限信号RをATコンピュータ21に出力する。
【0031】
ATコンピュータ21はマイコン4からの制限信号Rに基づきモータ25を非通電にし、シフトレバーが操作されても油圧回路を車両停止のときの状態から切り換えない。従って、IG電源をバッテリ2に直結してエンジンを始動しても、自動変速機がP位置から動かず、車両が発進できない状態となる。
【0032】
電源管理システム3及びATコンピュータ21は定期的に相互通信を行い、互いの存在を確認し合っている。この通信形式としてはATコンピュータ21が確認信号Sbを、電源管理システム3が確認信号Scを交互に出し合って、相手が正しいか否かを判断している。そして、通信相手が取り替えられた場合や取り外された場合、電源管理システム3はホーン16を鳴らして、一方のATコンピュータ21はホーン23を鳴らして警報を報知する。
【0033】
マイコン4は必要に応じてKEコントローラ26にID信号の照合を行う旨の信号を送信する。KEコントローラ26はID信号の照合を行う旨の信号を受信すると、上述した態様でリモコン28からID信号を受信し、該ID信号が正規ユーザのID信号であるか否かを判断する。KEコントローラ26はリモコン28のID信号が正規ユーザのID信号であるか否かを判断すると、通信回路22を介して該判断結果をマイコン4に入力する。
【0034】
マイコン4はドアSW15のオンオフに基づきドアの開閉を検出し、該開閉をトリガとして乗員検知センサ14から入力される検出値に基づいて乗員が車室内に存在するか否かを判断する。マイコン4は、車室内に乗員が存在すると判断した場合には指紋識別モードとなり、指紋センサ電源回路7を介して指紋センサ6を起動状態とする。次に、マイコン4は指紋センサ6に駆動電源を供給するとユーザIF18を用いてユーザに指紋データの入力を要求する。そして、指紋センサ6によって運転者の指紋が読み取られると、マイコン4は指紋センサ入力回路8を介して指紋センサ6から指紋データを入力し、該指紋データと予めマイコン4に記憶した正規ユーザの指紋データとを照合する。
【0035】
以下、指紋センサ6駆動後の車両盗難防止システム1の処理を図2に示すフローチャートに基づき説明する。
ステップ31において、指紋データが入力されると、マイコン4は該指紋データと予め登録された正規ユーザの指紋データとの照合を行い、処理をステップ32に移行する。
【0036】
ステップ32において、入力された指紋データが正規ユーザのものと同一であると判断すると、マイコン4は乗員を正規ユーザであると判断して処理をステップ33に移行し、セキュリティの解除、即ちATコンピュータ21にIG電源を供給する。このため、マイコン4は車両に対して盗難を防止する特別な規制をかけず、エンジン始動を許可した状態となる。従って、キー操作やイグニッションスイッチ操作等によりスタータが作動してエンジンが始動する。
【0037】
一方、ステップ32において、入力された指紋データが正規ユーザのものと同一ではないと判断すると、マイコン4は処理をステップ34に移行しKEコントローラ26にてID信号の照合を行う。具体的には、マイコン4はKEコントローラ26にID信号の照合を行う旨の信号を出力する。KEコントローラ26は上述した態様でリモコン28のID信号の照合を行うと処理をステップ35に移行する。
【0038】
ステップ35において、リモコン28のID信号が正規ユーザのID信号と同一であると判断すると、KEコントローラ26は該判断を示す旨の情報をマイコン4に入力して処理をステップ36に移行する。
【0039】
ステップ36において、マイコン4はユーザIF18を用いてユーザにパスワード情報の入力を要求し、入力されたパスワード情報と予め登録された正規ユーザのパスワード情報との照合を行い、処理をステップ37に移行する。
【0040】
ステップ37において、入力されたパスワード情報が正規ユーザのパスワード情報と同一であると判断すると、マイコン4は乗員を正規ユーザであると判断して処理をステップ38に移行し、セキュリティの解除、即ちATコンピュータ21にIG電源を供給する。このため、キー操作やイグニッションスイッチ操作等によりスタータが作動してエンジンが始動する。
【0041】
尚、パスワード情報は他人が容易に想到できない情報であることが好ましく、本実施の形態においては正規ユーザが常時携帯する免許証の番号が用いられている。
【0042】
ステップ35においてリモコン28のID信号が正規ユーザのID信号と同一ではないと判断した場合、或いはステップ37において入力されたパスワード情報が正規ユーザのパスワード情報と同一ではないと判断した場合、マイコン4は乗員が正規ユーザではないと判断し処理を終了する。この場合、マイコン4はIG電源の供給に規制をかける。即ち、キー操作やイグニッションスイッチ操作がなされても、IGリレー5をオフのままにしてエンジン始動を許可しない状態にする。従って、キー操作やイグニッションスイッチ操作がなされてもスタータが作動せずエンジンが始動しない。
【0043】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)個人認証の方法として個人特有の身体情報である指紋を用い、指紋照合が一致すればセキュリティの解除を行う構成としている。このため、指紋センサ6を用いることによって各個人をほぼ正確に認識することが可能であり、車両盗難防止効果を向上することができる。
【0044】
(2)車両盗難防止システム1は、指紋データに基づいて乗員が正規ユーザであると判断できなかった場合には、ID信号とパスワード情報とを照合することで乗員が正規ユーザであるか否かを判断する。そのため、指紋センサ6の不具合などで指紋データによる正規ユーザの認証ができない場合であってもID信号とパスワード情報によって正規ユーザを判断することができる。
【0045】
(3)指紋センサ6にて正規ユーザの認証を行っているため、ユーザは正規ユーザの認証の際に指を該指紋センサ6にあてるだけの動作を行えばよく、簡単に正規ユーザの認証を行うことができる。
【0046】
(4)指紋センサ6は車室内に備えられている。従って、指紋センサ6に雨や埃などの汚れが付着することが抑制され、汚れによる指紋センサ6の検出精度の低下を抑制することができる。従って、乗員が正規ユーザである場合には、殆どの場合指紋データの入力のみでセキュリティの解除を行うことができる。
【0047】
(5)マイコン4はパスワード情報に正規ユーザの免許証番号を用いている。従って、パスワード情報は他人が容易に想到できない情報であるとともに、乗員が正規ユーザの場合には携帯した免許証を調べることでパスワード情報を容易に確認することができる。従って、車両盗難防止システム1の安全性を高めるとともに、正規ユーザがパスワード情報を忘れてしまうことなどによるパスワード情報の紛失を防ぐことができる。
【0048】
(6)セキュリティの設定及び解除は電源管理システム3に備えられたIGリレー5への通電を制御することで行われている。従って、セキュリティの設定及び解除をIGリレー5を用いるだけの簡単な構成で実現することができる。
【0049】
(7)バッテリ2を直結してIG電源を供給状態にしてエンジンを始動させた場合には、自動変速機のモータ25が非通電になって油圧回路が切り換えられずギヤがP位置に固定される。従って、盗難者などがバッテリ2を直結することでIG電源を供給してエンジンを作動させても車両が動かせず、車両盗難の防止を図ることができる。
【0050】
(8)マイコン4は、車室内に乗員が存在すると判断した場合に指紋識別モードとなり、指紋センサ電源回路7を介して指紋センサ6を起動状態とする。一方、マイコン4が車室内に乗員が存在しないと判断した場合には、指紋センサ6に駆動電源が供給されない。従って、車室内に乗員が存在しない場合には指紋センサ6が動作しないため無駄な電力消費を抑えることができる。
【0051】
(9)電源管理システム3及びATコンピュータ21は相互通信を行って互いの存在を確認し合い、一方が取り外されて存在が確認できなくなった場合、他方がホーン16(23)を鳴らして警告が報知される。従って、車両盗難を目的として電源管理システム3やATコンピュータ21が取り外されても、その旨を周りに知らせることができ、車両盗難の防止効果を向上できる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・上記実施の形態において、セキュリティの設定及び解除はATコンピュータ21に供給するIG電源を制御することによって行ったが、セキュリティの設定及び解除はその他の手段を用いて行ってもよい。
【0053】
・上記実施の形態において、パスワード情報は正規ユーザの免許証番号を用いて構成されていたが、パスワード情報は他人が容易に想到できない情報であればよくその他のものを用いてもよい。
【0054】
・上記実施の形態において、指紋照合によりセキュリティの解除が行われなかった場合はID信号の照合及びパスワード情報の照合のそれぞれが正規ユーザのデータであると識別された時のみセキュリティの解除が行われていた。しかし、指紋照合によるセキュリティ解除が不可能な時に行われるユーザの識別方法はパスワード情報の照合のみを用いてもよい。
【0055】
・上記実施の形態において、車両盗難防止システム1は指紋センサ6を備え、セキュリティの解除は該指紋センサ6を用いた指紋データの照合により行われていた。しかし、その他のバイオメトリクス認証を用いてセキュリティの解除を行ってもよく、例えば掌紋、手形、手の甲の静脈、虹彩、顔、音声などを用いてセキュリティの解除を行ってもよい。
【0056】
・車室内に乗員が存在するか否かの判断は、ドアSW15のオンオフをトリガとして行われていた。しかし、車室内に乗員が存在するか否かの判断を行う際のトリガは、ドアSW15のオンオフに限定されず、例えば、ドアノブに感圧センサを設置し、そのセンサが人体を検知したときに車両内に乗員が存在するか否かの判断を行うようにしてもよい。
【0057】
・電源管理システム3とATコンピュータ21とが相互通信により互いの存在を確認し合う場合、相手の存在が確認できないときに実施される処理はホーン16(23)による報知に限定されない。例えば、油圧回路のP位置固定、シフトロック解除の禁止、車輪へのブレーキ力付与でもよい。
【0058】
・IGリレー5はコイル部5a及びスイッチ部5bからなるメカリレーに限らず、トランジスタを用いた半導体リレーでもよい。
・車両は自動車に限らず、産業車両等の各種車両を採用してもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば車両盗難を生じ難くする車両盗難防止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両盗難防止システムのブロック図。
【図2】車両盗難防止システムの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…認識手段としての指紋センサ、14…パスワード情報入力手段としてのユーザインターフェイス(ユーザIF)、16…記憶手段、照合手段、セキュリティ解除手段、及び制御手段としてのマイコン。
Claims (5)
- 車両に乗り込んだ乗込者の身体情報を認識する認識手段と、
パスワード情報を入力するパスワード情報入力手段と、
前記車両の所有者が有する固有の身体情報及びパスワード情報を記憶した記憶手段と、
前記認識手段により入手した前記身体情報と、前記記憶手段に予め登録された身体情報とを比較し、2つの前記身体情報が一致しなかった場合に前記パスワード情報入力手段により入手したパスワード情報と、前記記憶手段に予め登録されたパスワード情報とを比較する照合手段と、
前記照合手段の照合結果により2つの前記身体情報が一致した場合、或いは2つの前記パスワード情報が一致した場合にセキュリティを解除するセキュリティ解除手段と
を備えたことを特徴とする車両盗難防止システム。 - 前記認識手段は指紋センサであることを特徴とする請求項1に記載の車両盗難防止システム。
- 前記認識手段は車室内に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両盗難防止システム。
- 前記パスワード情報は前記車両の所有者の免許証番号であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
- バッテリ電源の供給を制御する制御手段を備え、セキュリティの解除は前記制御手段にてバッテリ電源を供給することで行うことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の車両盗難防止システム。
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