JP4575155B2 - 感圧部材、及び、ベッド使用者監視システム - Google Patents

Description

本発明は、ベッド使用者の健康状態及び／又は活動の監視に関する。本発明は、インターフェース電子機器に接続される感圧部材を備えた新規のシステムを提供するものである。

ベッド使用者を監視するため、マットレスにセンサを配置することが知られている。例えばトリプレット等（Triplett et al.）（米国特許第４，１７５，２６３号）は、病院のベッドに感圧機構を配置することを開示している。当該感圧機構は、患者がベッドの中央近傍にいるときにその患者の体重を検知する第１の感圧パッドと、患者がベッドの端近傍にいるときにその患者の体重を検知する第２の感圧パッドと、を備えている。患者がベッドの端近傍へと移動するときにアラームが発せられる場合がある。

タクノット等（Tucknott et al.）（米国特許第４，６３３，２３７号）は、ベッドに配置されるマット内にマトリクス状のセンサを組み込んだ、患者用ベッドアラームシステムを開示している。当該マトリクス状のセンサは、ベッドにおける患者の位置を算出するため、マイクロコンピュータと接続されている。患者がベッドから離れようとするときにアラームが発せられる場合がある。

アリアンカ等（Alihanka et al.）（米国特許第４，３２０，７６６号）は、患者の動作を監視するためマットレス等の下に容量性動作センサを配置すること開示している。

マクマオン等（McMahon et al.）（米国特許第５，４３５，３１７号）は、ベッドにいる患者の呼吸障害を検知するデバイスを開示している。当該デバイスは、ベッドのマットレスの下に設けられた検知ユニットと、検知ユニットからの信号を受けてベッドを揺動させる刺激ユニットと、を備えている。検知ユニットは、具体的には、マットレスの下に設けられるパッドのようなデバイスである。

ベリン等（Bellin et al.）（米国特許第５，５５８，９９６号）は、患者が接触するベッドのシーツ内に複数のセンサを配置した、患者監視デバイスを開示している。第１のセンサは、呼吸による肺の活動及び心筋ポンプ作用音に対応する信号を生成する。第２のセンサは、体位の変化に対応する信号を生成する。これらの信号をプロセッサで増幅したりフィルターをかけたりすることによって、呼吸数、心拍数、及び、体位の変化に深く関連する出力結果が得られる。

ライマー等（Reimer et al.）（米国特許第５，９１７，１８０号）は、光キャビティ内で多様に拡散された光を検出することによる、圧力センサを開示している。光キャビティの容量変化は、標準光の強度変化により検知される。光ファイバー技術を用い、センサを高密度に備えた感圧マットが形成される。

ミュシック（Musick）（米国特許第５，８４４，４８８号）は、マットレス上に且つマットレス幅に亘って、横になった患者の胴の中央近傍に取り付けられる、幅狭の感圧センサパッドを開示している。当該パッドは、中央及び端部の両方にスイッチ領域を有する。中央の感圧スイッチは、ベッドの中央に患者がいることを示す。患者がベッドの端に向かって移動すると、端部のスイッチが作動し、患者がベッドの中央から端へと移動してベッドから監視対象外領域に出ようとしていることを付き添い人に知らせる、早期警報信号を発する。

ハメット（Hammett）（米国特許第５，１４４，２８４号）は、マットレスをカバーするのに適したベッドカバーデバイスを開示している。当該デバイスは、人による圧縮力を下面で検出する弾力のある平坦な感圧手段と、当該感圧手段から現出し且つ監視デバイス及びアラームとモジュール方式で接続される電気コネクタ手段と、有する。

リューデック（Rudeke）（国際公開公報第９１０２８１Ａ１号）は、病院内の患者向けのベッドアラーム、及び、患者がベッドから離れようとすることを知らせるための設備のようなものを開示している。アラームは、患者がベッドに横たわっているか否かを検出する機能を有する圧力センサであって、ベッド内、好ましくはベッドの基部とマットレスとの間に配置される圧力センサを含む。

リンコー等（Rincoe et al.）（米国特許第５，９９３，４００号）及びスコット（Scott）（米国特許第６，０６７，０１９号）は、ベッド使用者がベッドから出そうになるのを検出するセンサの配置を活用したデバイスを開示している。ジョセフ等（Joseph et al.）（米国特許第５，４１０，２９７号）は、使用者の位置を追跡するための体重感知式容量性センサを開示している。ディクソン等（Dixon et al.）（米国特許第６，２０８，２５０号）は、ベッド上の患者の位置を決定するために用いられる、２つのセンサと１つのプロセッサとを備えたシステムを開示している。

ローゼンタール（Rosenthal）（米国特許第３，９６１，２０１号）は、患者がベッドの端に移動するのを検出するのに用いられるスイッチであって、マットレスとベッドフレームとの間に配置されるスイッチを開示している。フェルドゥル（Feldl）（米国特許第４，０２０，４８２号）は、マットレスの下に配置される空気袋であって、当該空気袋内の空気圧が閾値を下回ると患者が外に出るという信号を発する空気袋を開示している。ニコラス（Nicholas）（米国特許第４，３８１，４３４号）は、マットレスの下に完全に取り付けられるデバイスであって、リミットスイッチを備えたバネ入りプレートを含むデバイスを開示している。

多くの特許文献が現存するにもかかわらず、公知のデバイスには重大な欠点がある。デバイスの多くは、デバイスの動作に信頼性を持たせるため、マットレス上に設置しなければならない。これには２つの短所がある。第１に、デバイスはしばしば剛性（即ち、曲げに対する抵抗性）を有し且つ硬いため、ベッド使用者が不快感を感じてしまう。いくつかの適用例において、例えば痴呆患者の監視に適用する場合等には、ベッド使用者が身体的且つ精神的な刺激を受けることがある。第２に、デバイスがマットレス上に配置されるため、素材疲労を繰り返し被り、通常使用下において破損してしまう。

本発明の感圧部材は、上部発泡層と、下部発泡層と、複数の光ファイバー対とを備えた感圧部材であって、各光ファイバー対は、当該２本の光ファイバーが互いに隣り合っていると共に、端部同士が上部発泡層と下部発泡層との間において互いに近接しており、各光ファイバー対に係る２本の光ファイバーの端部近傍には、付加される圧力に応じた強度の光学的圧力信号を供給する圧力センサが構成されており、各光ファイバー対には、上部発泡層と下部発泡層との間において正弦曲線状に配置されている領域があり、前記複数の光ファイバー対の端部は二次元的に分布している。
複数の光ファイバー対は、一方向に延在していると共に、一方向と直交する方向に並列に配置された複数の光ファイバー群を構成しており、各光ファイバー群は、２以上の光ファイバー対からなり、直交する方向に関して、互いに隣り合う２つの光ファイバー群同士の離隔距離は、各光ファイバー群内における互いに隣り合う２つの光ファイバー対同士の離隔距離よりも大きくてもよい。
各光ファイバー群に属する２以上の光ファイバー対は、それぞれに係る当該２本の光ファイバーの端部が一方向に関して一直線上に等間隔に並ぶように配置されていてもよい。
本発明のベッド使用者監視システムは、（ａ）ベッド使用者を支持する支持部材に配置される請求項１〜３のいずれか一項に記載の感圧部材と、（ｂ）複数の圧力センサに波エネルギーを供給するため複数の圧力センサに接続された少なくとも１つの波エネルギー供給源と、（ｃ）光学的圧力信号を電気的圧力信号に変換するため複数の圧力センサに接続された少なくとも１つの波エネルギー検出器と、を備えており、一対の光ファイバーは、波エネルギー供給源に接続された入力ファイバーと波エネルギー検出器に接続された出力ファイバーとを備えている。
感圧部材は、支持部材の上又は中に配置されていてもよい。

支持部材がマットレスを備え、感圧部材の上面がマットレスの上面と同一平面上になるようにマットレスの上面近傍に形成された凹部内に感圧部材が配置されてよい。

本発明に係る監視システムは、圧力センサを周辺光から遮蔽するための不透明な被覆材料をさらに備えてよい。

本発明に係る監視システムは、感圧部材とインターフェース電子機器との間にある光ファイバーを被覆する保護鞘をさらに備えてよい。

添付図面には、本発明に係る非制限の実施例が描かれている。

本発明についての理解を深めるため、以下に具体的な実施形態について詳細を述べるが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明が不必要に曖昧になってしまうのを避けるため、周知の要素については示したり詳細に述べたりしていない場合がある。以下の説明及び添付図面は、本発明を限定するものではなく一実施例を示すものと解釈されたい。

本発明は、例えばベッドに横たわっている患者等のベッド使用者を監視する装置及び方法を提供するものである。本発明に係る装置は、ベッド使用者の存在、心拍数、呼吸数、及び／又は、動作を監視するのに利用することができる。本発明に係る装置は、インターフェース電子機器と接続されたベッドに配置される、感圧部材を備えている。感圧部材は、付加された圧力を示す信号を生成する複数の圧力センサを備えているのが好ましい。

図１は、本発明の一実施形態に係るベッド使用者監視システム７の概略図である。ベッド使用者６は、マットレス又は他の支持部材４を含むベッドの上に横たわっている。監視システム７は、支持部材４上に配置された感圧部材１を含む。感圧部材１は、信号伝送体８を介して、インターフェース電子機器２に接続されている。信号伝送体８は、感圧部材１に含まれる圧力センサ５からの信号をインターフェース電子機器２に伝送可能な、光ファイバー、電線、又は、他の信号伝送体を備えてよい。

インターフェース電子機器２は、図１のように単一の筐体内に収容されてよいし、送信手段（図示せず）により互いに接続された１以上の筐体内に収容されてもよい。送信手段は、例えば１以上の電線、光学信号伝送体、ワイヤレス接続等、任意の適切な信号伝送体を備えてよい。インターフェース電子機器２は任意選択により表示デバイス３を備えてよい。表示デバイス３は、可視又は可聴アラーム、データ表示システム、係員呼出システム等を備えてよい。

感圧部材１は、複数の圧力センサ５を備えている。各圧力センサ５は、使用者６の近傍にかかる支持圧を測定する。この支持圧の変化によって、圧力センサ５の出力値が変化する。圧力センサ５は１〜１５ｍｍＨｇの圧力に反応するのが好ましい。圧力センサ５は、光学的出力信号を生成する圧力センサを備えているのが好ましい。圧力センサは電気機器又は電子機器をセンサの位置に配置する必要のない光学式センサであるのが最も好ましい。ここで“光学”とは、可視スペクトルに対応する波長のみではなくあらゆる波長の電磁波エネルギーを意味する。光学式圧力センサの場合、有害となり得る電子機器をベッドに配置することなく使用者６を監視することができるため、有利である。

圧力センサ５は、引用文献であるライマー等（Reimer et al.）の米国特許第５，９１７，１８０号に基づいて構成されてよい。このようなセンサは、カナダのブリティッシュコロンビア州ビクトリアにあるタクテクス・コントロールズ社のキノテクス（Kinotex）という商品名で市販されている。当該センサは、広範囲の圧力レベルに亘って微小な圧力変化に対して高レベルの感度を示すので、ベッド使用者を監視するのに特に好ましい。同様の感度を有する従来の圧力センサでは一般に、高い圧力レベルにおいてベッド上で人が横たわっているか座っているかというような微小な圧力変化を検知することができない。

本発明の具体的な一実施形態において、各圧力センサ５は、インターフェース電子機器２からの圧力センサ５に付加される圧力に応じた強度を有する入射波エネルギーを反射させるよう形成されている。この実施形態において、信号伝送体８は、一対ごとに各圧力センサ５に接続された複数対のファイバーを備えている。各圧力センサは、入射波エネルギーを供給する入力ファイバー１５（図２参照）と反射波エネルギーをインターフェース電子機器２に伝送する出力ファイバー１４（図２参照）とを介して、インターフェース電子機器２に接続されている。

ライマー等の文献に記載されているように、キノテクス（Kinotex）という圧力センサは、光と電子とのインターフェースを利用したものである。当該光‐電子インターフェースは、一般に発光体（１以上の発光ダイオード）が用いられる１以上の波エネルギー供給源と、一般に光検出器（１以上のフォトダイオード又はフォトトランジスタ）が用いられる１以上の波エネルギー検出器と、を備えている。インターフェース電子機器２は光‐電子インターフェースを含む。

本発明の一実施形態において、光‐電子インターフェースは１つの発光体及び１つの光検出器を備え、またインターフェース電子機器は、感圧部材１にかかる合計圧力を示す信号を出力するよう構成されたアナログ及び／又はデジタルの回路要素を備えている。別の実施形態では、光‐電子インターフェースは少なくとも１つの発光体及び１以上の光検出器を備え、また信号処理を行う上記電子機器は、図１０を参照して後述するように、感圧部材の異なる領域にかかる圧力を示す多重信号を出力するよう構成されたアナログ及び／又はデジタルの回路要素を備えている。

本発明に係る別の実施形態では、インターフェース電子機器は各圧力センサからの信号を個別に測定するよう構成されている。別の方法として（又は付加的に）、信号における時間微分（即ち時間の変化率）のような他の情報を抽出するため、高域フィルター、低域フィルター、ノッチフィルター、又は、これらの任意の組み合わせによるものなど、さらなる回路要素を含んでよい。これら各回路要素はベッド使用者の状態に関する様々な情報を提供するものである。

原則的にはアナログのみの電子機器を用いても本発明を実施可能であるが、アナログ・光・デジタルの組み合わせの電子機器を用いるのが好ましい。インターフェース電子機器２において信号処理機能を担うのは、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせであってよい。信号をノイズ比まで増幅させて当該信号から所望の情報を抽出するために標準的な信号処理技術を用いてよい。

好適な一実施形態として、図２に、簡略化されたインターフェース電子機器２の図が示されている。マイクロプロセッサ３２は、発光ダイオード３０に電流を供給する２つの発光ダイオード駆動回路３１に接続されている。発光ダイオード３０は圧力センサ５を照明するものである。簡略化のため図２には２つの発光ダイオード３０及び２つの発光ダイオード駆動回路３１を示しているが、発光ダイオード３０及び２つの発光ダイオード駆動回路３１の数は任意であると理解されたい。発光ダイオード３０からの光エネルギーは、入力ファイバー１５によって、各圧力センサ５（図２には示されていない）に供給される。各圧力センサ５（図２には示されていない）からの光は、出力ファイバー１４によって、光検出器３３に戻される。光検出器３３は、出力ファイバー１４と個々に関連する複数のフォトダイオードからなる列を備えているのが好ましい。

マイクロプロセッサ３２は制御信号３８を供給し、光検出器３３に、圧力センサ５から受信した光度に対応するアナログ信号３９を出力させる。図示された実施形態における制御信号３８は、光検出器３３が複数のフォトダイオードからなる列又は他のセンサを備えている場合に光検出器３３の各要素からマイクロプロセッサ３２に送られてくる複数の信号を調整するのに用いられる。また別の形態として、光検出器３３は、当該光検出器３３の各要素から要素毎に独立したアナログ信号３９をマイクロプロセッサ３２に供給するよう構成されてもよい。さらに別の形態の監視システム７は、２以上の圧力センサ５からの信号を組み合わせて当該組み合わされた信号の特性を示す信号（例えば２以上の圧力センサ５に作用した圧力の平均値の情報を含む信号）をマイクロプロセッサ３２に供給する信号集結器（図示せず）を含んでよい。複数の信号は、例えば複数の圧力センサ５からの光を単一の光検出器で検出することにより光学的に組み合わされてよいし、検出後に電子的に組み合わされてもよい。

アナログ信号３９は、任意選択により、増幅され、フィルターをかけられ、又はアナログ回路３４で調整されてよい。その後アナログ信号３９はＡＤ変換器によってデジタルに変換され、そして当該サンプリングされた信号がマイクロプロセッサ３２で読み取られる。マイクロプロセッサ３２は、後述のように、あらゆる必要な信号処理を行い、適切な駆動回路３６を介して出力信号４０を供給する。駆動回路３６は、任意選択により、ＲＳ−２３２、ＲＳ−４８５、イーサネット、ＵＳＢなどの周知の電子インターフェース、又は、デジタル制御のドライバを備えてよい。出力信号４０は、表示デバイス３（図２には示されていない）、遠隔監視所、自動アラームシステムなどに伝送されてよい。

監視システム７は、肺及び／又は心臓の活動を含むベッド使用者６の健康状態に関する様々な指標を監視するのに用いられてよい。再び図２を参照して説明すると、インターフェース電子機器２が生成する出力信号４０は、圧力信号に関する時間微分の合計、圧力信号の二乗に関する時間微分の合計、及び、圧力信号の絶対値に関する時間微分の合計のうち、任意のパラメータを示すものであってよい。出力信号４０は、デジタル、アナログ、又は、光信号を備えてよい。本発明者等は、上記算出されたパラメータから、ベッド占有者の肺及び心臓の活動並びに身体の動作が決定され得るということを見出した。

図３は、インターフェース電子機器２の機能的要素についての実施可能な配置の一例を示す。光検出器３３は、信号処理部４２に対して圧力信号を供給する。信号処理部４２は、増幅、時間微分、又は別の方法により圧力信号を処理した後、当該信号を閾値回路４４に伝送すると共に、任意に表示手段３にも伝送する。閾値回路４４は、閾値比較器４５、閾値超過検出器４６、及び、タイマー４７を備えているのが好ましい。閾値比較器４５は、圧力信号が所定の閾値を下回ることを示す信号を生成するよう構成されている。閾値超過検出器４６は、圧力信号が閾値を上回るとタイマーをリセットするよう構成されている。タイマー４７は、所定時間リセットされない場合に高出力を生成するよう構成されている。ＡＮＤゲート４８は、閾値比較器４５及びタイマー４７の両方から高出力を受信したときにアラーム信号生成器４９を作動させるよう構成されている。閾値回路４４は、後述のように、多数の異なる閾値について検討するよう構成されてよい。

図４は、本発明に係る監視システムを具備したベッドに横たわったベッド使用者による圧力信号の絶対値に関する微分の合計を、時間軸にプロットした模式的なグラフ５０である。グラフ５０は、感圧部材１を支持部材４上に配置した場合の、感圧部材１で生成された圧力信号を理想化したものである。感圧部材１が支持部材４の中又は支持部材４の下に配置された場合は、圧力信号の変化がこれよりも緩慢になるので、後述のように、ベッド使用者６の肺の活動及び身体の動作はまだ検出し得るが心拍数を決定するのが困難になり得る。実際の圧力信号のグラフは図４に示したものより乱れ得ることが理解されるであろうが、当該乱れはあらゆる適切なノイズ低減技術により最小限に抑えることができる。

グラフ５０では左右に軸５１に沿って時間が表されている。頂点５３，５４はそれぞれ、呼吸における吸い込み及び吐き出しに対応する。頂点５３，５４より低く且つより頻繁に現れる頂点５５は、心拍に対応する。大きな乱れ５６は、例えばベッド使用者が体重移動させた場合などの身体の動作に対応する。動作信号５６は一般に肺活動信号５３，５４の略１０倍の大きさであり、肺活動信号５３，５４は心拍信号５５の略１０倍の大きさである。圧力信号が一定になるのは、ベッド使用者が心拍停止した場合、ベッドから離れた場合、又は、動作不良の場合のみである。インターフェース電子機器２は、圧力信号が所定時間、予想心拍数にしたがって選択された心拍の閾値を下回ったままである場合、又は、圧力信号が所定時間一定である場合に、アラーム信号を生成するよう構成されてよい。任意選択により、インターフェース電子機器２における信号処理手段は、図４に示す信号から正確な呼吸数及び／又は心拍数を測定する処理をさらに行ってよい。信号処理手段は、マイクロプロセッサ３２、デジタル信号処理部、及び／又は、ノイズ低減回路を備えてよい。

本発明の一実施形態において、肺活動の閾値５７を設定し、圧力信号が所定時間肺活動の閾値５７を下回ったままである場合に肺活動が停止したことを知らせる肺活動アラームを出力信号４０に含ませるようにしてよい。肺活動アラームに対する所定時間は、予想呼吸頻度にしたがって設定されてよい。肺活動の閾値５７は、測定された圧力信号のパターンに基づいてマイクロプロセッサ３２により順応的に決定してよいし、監視システム７を製造して校正を行うときに予め設定してもよい。任意選択により、ベッド使用者の体重や呼吸パターンの違いに応じて肺活動の閾値５７及び肺活動アラームにおける所定時間を調整できるよう、ユーザー・インターフェース（図示せず）を設けてもよい。

別の実施形態において、身体動作の閾値５８を設定し、圧力信号が所定時間、動作の閾値５８を下回ったままである場合に動作が停止したことを知らせる動作アラームを出力信号４０に含ませるようにしてよい。動作アラームに対する所定時間は、ベッド使用者６が長い間動作しないため痛みを感じるほどになる前にアラームが発せられるように、設定されている。動作の閾値５８は、測定された圧力信号のパターンに基づいてマクロプロセッサ３２により順応的に決定してよいし、監視システム７を製造して校正を行うときに予め設定してもよい。任意選択により、ベッド使用者の体重や動作パターンの違いに応じて動作の閾値５８及び動作アラームにおける所定時間を調整できるよう、ユーザー・インターフェース（図示せず）を設けてもよい。

図５は、本発明の一実施形態に係るベッド使用者監視方法を示すフローチャートである。ブロック１００では、光検出器３３により圧力信号が測定される。ブロック１０２では、信号処理器４２により測定された圧力信号が処理される。ブロック１０４では、閾値比較器４５により信号が閾値と比較される。信号が閾値を下回っていない場合（ブロック１０４；ＮＯ）、ブロック１００に戻る。信号が閾値を下回る場合（ブロック１０４；ＹＥＳ）ブロック１０６へと進む。ブロック１０６では、閾値超過検出器４６により、信号が閾値を超過したか否かが決定される。信号が閾値を超過した場合（ブロック１０６；ＹＥＳ）、ブロック１０８にてタイマー４７がリセットされ、ブロック１００に戻る。信号が閾値を超過していない場合（ブロック１０６；ＮＯ）ブロック１１０へと進む。ブロック１１０では、タイマー４７が前にリセットされてから所定時間経った場合（ブロック１１０；ＹＥＳ）、ブロック１１２にてアラーム信号が生成される。また所定時間経っていない場合は（ブロック１１０；ＮＯ）、ブロック１００に戻る。

図６及び図７（ａ），（ｂ）には、本発明の一実施形態に係る感圧部材１が示されている。感圧部材１は、圧縮性材料からなる２つの層９，１０の間に挟まれた、複数のキノテクス（Kinotex）の圧力センサ５を含む。圧縮性材料は、発泡体、好ましくは軟質のポリウレタンフォームを備えている。塑性体である光ファイバーの群８により、インターフェース電子機器２から圧力センサ５へと光エネルギーが伝送されたり引き出されたりするのが好ましい。光ファイバー群８はそれぞれ複数の光ファイバー対１４，１５を備えている。各光ファイバー対１４，１５を各圧力センサ５の上下にある層９，１０に固定するのに、接着部１１の領域が用いられるのが好ましい。図９（ａ），（ｂ），（ｃ）に示すように感圧部材を支持部材４の上又は中に配置する実施形態では、感圧部材１がある程度の柔軟性及び弾性を持つよう、光ファイバー群８を層９，１０の間において正弦曲線状に配置するのが好ましい。図９（ｄ），（ｅ）に示すように感圧部材１を支持部材４の下に配置する実施形態では、感圧部材１を剛面に近接させるか又は剛面上に取り付けるのが好ましいので、光ファイバー群８を全長に亘って接着してよい。

上層９及び下層１０は、圧力センサ５の特性に適合するよう、選択した材料から構成されるのが好ましい。キノテクス（Kinotex）の圧力センサによく適合する材料は、構造上自立し、圧縮性があり、且つ、少なくとも部分的に光伝達性があると共に、任意に弾性を有する。本発明者等は、キノテクス（Kinotex）の圧力センサを使用する場合、白又は自然色の低密度のポリウレタンフォームが適切な材料であると判定した。このようなポリウレタンフォームは、特に、ミシガン州セント・チャールズにあるレンデルマニュファクチュアリング社の製品コードＨＳＳとして市販されている。本発明者等はまた、標準的なベッドマットレスの発泡体材料のほとんどを上層９及び／又は下層１０として使用できるとしている。多くの種類の発泡体材料が同様の特性を有し、本発明が特定の材料に限定されないことがわかるであろう。またキノテクス（Kinotex）の圧力センサが周辺光により阻害されないよう、圧力センサ５で用いられる波長を通さない不透明な被覆材料（図示せず）を設けるのが好ましい。不透明な被覆材料は、内側が黒色で外側が白色である二色調の柔軟なプラスチックカバー備え、感圧部材１を覆うのが好ましい。

別の実施形態における感圧部材１は、圧力センサ５が内設されるマットレスの領域を備えている。図８には、入力ファイバー１５及び出力ファイバー１４が挿入されたマットレス１３の一部分が描かれている。マットレス１３の圧縮性材料は、ベッド使用者６（図８には示されていない）を支持するだけではなく、入力ファイバー１５から受信した入射波エネルギーを出力ファイバー１４へと反射し、圧力センサ５を構成している。図８に示す実施形態は、単に光ファイバーをマットレス内に挿入するだけでよいので、既存のベッドに本発明に係るベッド使用者監視システム７を具備させる場合に特に有効である。

感圧部材１は柔らかく弾性があるのが好ましい。マットレスを備え得る支持部材４上で、ベッド使用者が横たわるシーツやカバーの下に、感圧部材１を配置することができる。本発明者等は、キノテクス（Kinotex）のように柔らかいタイプの圧力センサを用いる場合、ベッド使用者６が感圧部材１を本質的に検知しないようにできると判定した。圧力センサ５を構成する変形可能な材料は、周囲の圧力センサ５の材料と実質的に同じ弾性係数を有する場合がある。

図１は本発明の実施可能な代表的一形態の図である、と理解されなければならない。各構成要素の物理的位置やサイズは様々に変更可能である。例えば、特に感圧部材１については使用者６と支持部材４との間に配置してもよいし、支持部材４内に配置してもよい。図９（ａ）〜（ｅ）に、感圧部材１の可能な配置のいくつかが示されている。図９（ａ）〜（ｅ）には、感圧部材１が支持部材４に対して異なる位置に配置された、本発明の様々な実施形態が示されている。図９（ａ）は、感圧部材１が支持部材４上に配置されている実施形態を示す。図９（ｂ）は、感圧部材１の上面が支持部材４の上面と同一平面上になるように、感圧部材１が支持部材４の上面近傍に形成された凹部１７内に配置されている実施形態を示す。図９（ｃ）は、支持部材４が少なくとも２つの互いに積層された層から構成され、これら層の間で空洞１８内に感圧部材１が配置されている実施形態を示す。図９（ｄ）は、感圧部材１の下面が支持部材４の下面と同一平面上になるように、感圧部材１が支持部材４の下面近傍に形成された凹部１９内に配置されている実施形態を示す。図９（ｅ）は、感圧部材１が支持部材４の下に取り付けられている実施形態を示す。

キノテクス（Kinotex）のようにダイナミックレンジの広いタイプの圧力センサでは、たとえ感圧部材１がマットレスの下又は中に配置されていても、有効な信号を得ることができる。

圧力センサ５は、様々に配置可能であるが、支持部材４の幅に亘って矩形状に配置するのが好都合である。圧力センサ５は互いに略２ｃｍ〜１０ｃｍ離隔してよい。対象となる用途にもよるが、多数の圧力センサ５により支持部材４の全長又は全長の一部が延長されてよい。本発明者等は、例えばベッド使用者の呼吸を監視するには幅略９０ｃｍ・長さ３０ｃｍの領域に６０のセンサを配置するのが十分であるということを見出した。使用者がより大きい場合には、より多くのセンサを相応に備えたより大きなデバイスを用いてよい。

図１０には本発明の一実施形態に係る感圧部材２０が示されており、圧力センサ５が３つの群２１，２２，３内に配置されている。図１０において、感圧部材２０は支持部材４の幅に亘った寸法に配置され、側群２１，２３が支持部材４の両端部近傍に配置されている。インターフェース電子機器２は、出力光を検出する単一のフォトセンサ（図５には示されていない）を用いて、中央群２２内に配置された全ての圧力センサ５の応答を一斉に合計する。中央群２２内の圧力センサ５に圧力がかかると、インターフェース電子機器２からの出力信号、即ち中央群２２内の圧力センサにかかった圧力の平均値を示す出力信号が変化する。側群２１，２３内の圧力センサ５からの信号は、第２のフォトセンサ（図示せず）を用いて同様に合計される。これにより、中央群２２にかかった圧力の合計を表す信号、及び、側群２１，２３にかかった圧力を表す信号、という２つの出力信号が得られる。

インターフェース電子機器２は、上記２つの出力信号を比較することにより得られる第３の信号を生成するアナログの電子機器をさらに備えてよい。第３の信号は起こり得る以下の３つの状況を示す：１）ベッド上に誰もいない（第１及び第２の信号が閾値を下回る場合） ２）ベッド使用者が中央の領域にいる（第１の信号が第１の閾値を上回り、且つ、第２の信号が第２の閾値を下回る場合） ３）ベッド使用者がベッドの端部近傍にいる（第２の信号が第２の閾値を上回る場合）。インターフェース電子機器は、第３の信号が上記３つの状況のいずれを示すかに応じて、また予め設定された監視のパラメータに応じて、可聴アラーム又は係員呼出システムを動作させるのに用いることができる。

当業者が上述の開示を考慮して明らかであるように、本発明の実施はその範囲を超えない限り多くの代替及び変形が可能である。本発明の範囲は請求項で定義する要素に基づいて構成されるものである。

本発明の一実施形態に係る監視システムを具備したベッドに使用者が横たわ っている様子を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係るインターフェース電子機器を示す概略図である。 本発明の別の実施形態に係るインターフェース電子機器の回路要素を示すブ ロック図である。 本発明に係る監視システムを具備したベッドを占用する患者による外部圧力 の、経時的変化の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るベッド使用者監視方法を示すフローチャートであ る。 本発明の一実施形態に係る感圧部材及びインターフェース電子機器を示す図 である。 （ａ）は、図２に描かれた感圧部材の一部で最上層を除いた状態を示す上面 図である。（ｂ）は、図３（ａ）に描かれた感圧部材の一部の断面図である。 本発明の別の実施形態に係る、内部に一対の光ファイバーが挿入されたマッ トレスの一部を示す断面図である。 （ａ）は、本発明の一実施形態において、感圧部材が支持部材上に配置されている状態を示す図である。（ｂ）は、本発明の別の実施形態において、感圧部材が支持部材の上面に形成された凹部内に配置されている状態を示す図である。（ｃ）は、本発明の別の実施形態において、感圧部材が支持部材の空洞内に配置されている状態を示す図である。（ｄ）は、本発明の別の実施形態において、感圧部材が支持部材の下面に形成された凹部内に配置されている状態を示す図である。（ｅ）は、本発明の別の実施形態において、感圧部材が支持部材の下に配置されている状態を示す図である。 本発明の別の実施形態において、圧力センサが感圧部材における３つの群 内に配置されている状態を示す図である。

１，２０ 感圧部材
２ インターフェース電子機器
３ 表示デバイス
４ 支持部材
５ 圧力センサ
６ ベッド使用者
７ ベッド使用者監視システム
８ 信号伝送体，光ファイバー群
９ 上層
１０ 下層
１３ マットレス
１４ 出力ファイバー
１５ 入力ファイバー
２１，２３ 側群
２２ 中央群
３０ 発光ダイオード
３１ 発光ダイオード駆動回路
３２ マイクロプロセッサ
３３ 光検出器

Claims (8)

1. 上部発泡層と、下部発泡層と、複数の光ファイバー対とを備えた感圧部材であって、
   各光ファイバー対は、当該２本の光ファイバーが互いに隣り合っていると共に、端部同士が前記上部発泡層と前記下部発泡層との間において互いに近接しており、
   各光ファイバー対に係る２本の光ファイバーの前記端部近傍には、付加される圧力に応じた強度の光学的圧力信号を供給する圧力センサが構成されており、
   各光ファイバー対には、前記上部発泡層と前記下部発泡層との間において正弦曲線状に配置されている領域があり、
   前記複数の光ファイバー対の端部は二次元的に分布していることを特徴とする感圧部材。
2. 前記複数の光ファイバー対は、一方向に延在していると共に、前記一方向と直交する方向に並列に配置された複数の光ファイバー群を構成しており、
   各光ファイバー群は、２以上の前記光ファイバー対からなり、
   前記直交する方向に関して、互いに隣り合う２つの前記光ファイバー群同士の離隔距離は、各光ファイバー群内における互いに隣り合う２つの前記光ファイバー対同士の離隔距離よりも大きいことを特徴とする請求項１に記載の感圧部材。
3. 各光ファイバー群に属する前記２以上の光ファイバー対は、それぞれに係る当該２本の光ファイバーの前記端部が前記一方向に関して一直線上に等間隔に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項２に記載の感圧部材。
4. （ａ）ベッド使用者を支持する支持部材に配置される請求項１〜３のいずれか一項に記載の感圧部材と、
   （ｂ）前記複数の圧力センサに波エネルギーを供給するため前記複数の圧力センサに接続された少なくとも１つの波エネルギー供給源と、
   （ｃ）前記光学的圧力信号を電気的圧力信号に変換するため前記複数の圧力センサに接続された少なくとも１つの波エネルギー検出器と、を備えており、
   前記一対の光ファイバーは、前記波エネルギー供給源に接続された入力ファイバーと前記波エネルギー検出器に接続された出力ファイバーとを備えていることを特徴とするベッド使用者監視システム。
5. 前記感圧部材は、前記支持部材の上又は中に配置されていることを特徴とする請求項４に記載のベッド使用者監視システム。
6. 前記支持部材がマットレスを備え、前記感圧部材の上面が前記マットレスの上面と同一平面上になるように、前記感圧部材が前記マットレスの上面近傍に形成された凹部内に配置されている、請求項４に記載のベッド使用者監視システム。
7. 前記圧力センサを周辺光から遮蔽するための不透明な被覆材料をさらに備えている、請求項４に記載のベッド使用者監視システム。
8. 前記感圧部材と前記インターフェース電子機器との間にある前記光ファイバーを被覆する保護鞘をさらに備えている、請求項４に記載のベッド使用者監視システム。

Images