JP4574845B2 - マクロファージの活性化を調節する方法 - Google Patents

マクロファージの活性化を調節する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4574845B2
JP4574845B2 JP2000531161A JP2000531161A JP4574845B2 JP 4574845 B2 JP4574845 B2 JP 4574845B2 JP 2000531161 A JP2000531161 A JP 2000531161A JP 2000531161 A JP2000531161 A JP 2000531161A JP 4574845 B2 JP4574845 B2 JP 4574845B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
subject
anionic
amino
disease
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000531161A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002502871A (ja
JP2002502871A5 (ja
Inventor
セリーヌ モリセット
フランシーヌ ジェルベ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bellus Health International Ltd
Original Assignee
Bellus Health International Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bellus Health International Ltd filed Critical Bellus Health International Ltd
Publication of JP2002502871A publication Critical patent/JP2002502871A/ja
Publication of JP2002502871A5 publication Critical patent/JP2002502871A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4574845B2 publication Critical patent/JP4574845B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

【0001】
発明の背景
アミロイド生成たんぱくは、器質化して細胞外原線維たんぱく沈着物になることのできる一群のたんぱく質である。これらのたんぱく質は性質こそ異なるが、ひとそろいの特有の構造上の性質を有している。即ち、コンゴ・レッド染料に結合して、偏光下で観察したときに青リンゴ色に見える複屈折を呈するのである。
【0002】
脳内の特定の領域のAβたんぱくの細胞外沈着が、アルツハイマー病の特徴の一つである。Aβたんぱくは、前駆たんぱくであるβAPPの異常な蛋白分解による開裂を由来とする。いったん脳内に沈着すると、それは老人性斑紋を形成するが、この斑紋はアルツハイマー病患者の脳内により多く観察されてきたものである。さらに、これは脳血管壁に浸潤し血管障害を引き起こすことも判明している。進行性の神経細胞消失には、老人性斑紋へのAβアミロイド原繊維の沈着が伴う。Aβはニューロンにとって毒性が高いことが複数のグループによってin vitroで示されている。ラフェルラ氏らは最近、神経細胞をin vitroで可溶性Aに曝露するとアポトーシスを導けることを示した。Aβたんぱくは、いったん内部へ移行すると安定し、アポトーシスの特徴である、DNAの断片化を誘発する。Aβたんぱくの25から35ドメインがこのような毒性誘起活性を担っていることが示されている。これらの結果から、科学者たちは、この疾患の後期に観察される、Aβ繊維の老人性斑紋への器質化がホストに対して有害であるだけでなく、可溶性のAβたんぱくですら、この疾患の過程の初期において神経細胞消失を誘発する場合があると考えるようになった。
【0003】
小グリア細胞の活性化も、アルツハイマー病患者の脳内で観察されている。これらの脳のマクロファージの活性化プロセスが、脳抽出物における炎症媒介物質の存在の理由であると考えられている。これらの媒介物質、例えば炎症性サイトカイン、酸化窒素及び反応性酸素中間体など、が神経細胞毒性を誘発する上で大きな役割を果たしているかも知れない。可溶性Aβたんぱくは、最近、NOなどの炎症性媒介物質の酸性で調べたところ、小グリア細胞によって内部移行して活性化プロセスを誘起することができることが示されている(バーガー氏ら)。ギリアン氏らもまた、この活性化プロセスの原因はAβの特異的ドメイン、即ち残基10から16のドメイン、であることを示唆している。この活性化プロセスは、このたんぱく質(特にAβたんぱくの10から16ドメイン)がマクロファージ細胞表面に付着することが原因である可能性がある。
【0004】
発明の概要
スルホン酸塩を含む特定の陰イオン化合物により、Aβが誘発するマクロファージ活性化(又はその他のアミロイド生成たんぱく又はペプチドが誘発するマクロファージ活性化)を遮断することができることが今日発見されている。このような化合物は、Aβがマクロファージを活性化する能力に干渉することにより、アルツハイマー病などのAβの沈着を特徴とする疾患に苦しむ患者の脳内などにおいて、当該炎症性プロセスを阻害することができるのである。
【0005】
従って、ある態様では、本発明は、アミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージの活性化を阻害する方法を提供するものである。当該方法は、マクロファージの活性化が阻害されるよう、マクロファージを、アミロイド生成たんぱく又はペプチドの存在下で、陰イオン化合物、例えば式I又はIIの陰イオン化合物など、に接触させるステップを含む。
【0006】
ある一つの態様では、本発明は、アミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージの活性化を阻害する方法を提供するものである。当該方法は、マクロファージの活性化が阻害されるよう、マクロファージを、アミロイド生成たんぱく又はペプチドの存在下で、陰イオン化合物、例えば(例えば式I又はIIの)陰イオン化合物など、に接触させるステップを含む。実施例の一つでは、本治療用化合物は以下の式:(式I):
Figure 0004574845
を持つものとしてよいが、ただしこのときYは生理pHにおいて陰イオンの基であり、Qは担体分子であり、Xは陽イオンの基であり、そしてnは整数である。陰イオンの基の数(「n」)は、当該化合物の活性が維持されながらも、目的標的部位への当該化合物の生体内分布が妨げられないように選択する。例えば、陰イオンの基の数は、例えば細胞膜などの解剖学的障壁の通過や、血液脳関門などの生理学的障壁を横切った進入を、このような性質が好ましい場合にこれを阻害する程大きくない数字となる。ある一つの実施例では、nは1から10までの間の整数である。別の実施例では、nは3から8までの間の整数である。
【0007】
別の実施例では、当該化合物を以下の式(式II):
Figure 0004574845
で表すことができるが、ただしこのときZがXR又はRであり、R及びRはそれぞれ個別に、水素、一個の置換された又は置換されていない脂肪族の基、一個のアリール基、一個のヘテロ環式の基、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、 アリール、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Xは、それぞれ個別にO又はSであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは0から12までの間の整数である。
【0008】
好適な化合物には、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボキシレート、及び、これらの官能基の組合せを含む化合物、が含まれる。特に好適な化合物には、1,4-ブタンジオールジスルフェート、1,5-ペンタンジスルホン酸ナトリウム、タウリン(2-アミノ-エタンスルホン酸ナトリウム)、及びホモタウリン(3-アミノプロパンスルホン酸)を含む、しかしこれらに限らない)置換された及び置換されていない低級アルキル硫酸塩及びスルホン酸塩がある。その他の好適な化合物には、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホネート、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン-エタンスルホネート、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド-3,4-二硫化ナトリウム3水和物、4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸ナトリウム、 1,3,5-ペンタントリオル三硫酸ナトリウム、2-硫酸水素アミノエチル、ホスホノギ酸、ホスホノ酢酸、又はインジゴカルミンが含まれる。好適な化合物は3-アミノプロパンスルホン酸、又はその塩である(下記の例を参照されたい)。
【0009】
別の態様では、本発明は、炎症性プロセス(例えば、アミロイド生成たんぱく又はペプチドの存在、又は、アミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージの活性化、を原因とした炎症性プロセスなど)を阻害する方法を提供するものである。当該方法は、Aβなどのアミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージ活性化を阻害することなどにより、炎症性プロセスが阻害されるよう、治療上有効量の陰イオン化合物を、これを必要とする被験体(例えばアミロイドの沈着を有する被験体)に投与するステップを含む。好適な実施例では、当該被験体は、アルツハイマー病患者である。
【0010】
いくつかの実施例では、当該陰イオン化合物は、式I又はIIで表される化合物である。好適な化合物には、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボキシレート、及びこれらの官能基の組合せを含む化合物がある。特に好適な化合物には、(1,4-ブタンジオールジスルフェート、1,5-ペンタンジスルホン酸ナトリウム、タウリン (2-アミノ-エタンスルホン酸ナトリウム)、及びホモタウリン(3-アミノプロパンスルホン酸)を含め、しかしこれらに限らず)置換された及び置換されていない低級アルキル硫酸塩及びスルホン酸塩がある。その他の好適な化合物には、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホネート、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン-エタンスルホネート, 3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド-3,4-二硫酸ナトリウム3水和物、4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸ナトリウム、1,3,5-ペンタントリオル三硫酸ナトリウム、2-硫酸水素アミノエチル、ホスホノギ酸、ホスホノ酢酸、又はインジゴカルミンが含まれる。好適な化合物は、3-アミノプロパンスルホン酸又はその塩である。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、アミロイド生成たんぱく又はペプチドが存在する、アルツハイマー病又はその他の疾患の患者など、炎症及び神経細胞の死を含めた状態に罹患した患者のための治療処置を提供するものである。マクロファージの活性化プロセスを誘発するAβの能力を阻害することにより、脳内炎症状態が原因の神経細胞の消失を遅延させたり、又は防止することができる。
【0012】
ここで用いられる場合の「マクロファージ活性化を阻害する」又は「炎症プロセスを阻害する」という術語は、in vitro又は被験体において、それぞれマクロファージの活性化又は炎症を、減らす、阻害する、遅延させる、改善させる、又は、経過又は程度を逆行させることを言う。
【0013】
ある態様では、本発明は、アミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージの活性化を阻害する方法を提供するものである。当該方法は、マクロファージの活性化が阻害されるよう、マクロファージを、アミロイド生成たんぱく又はペプチドの存在下で、
陰イオン化合物、例えば式I又はIIの陰イオン化合物など、に接触させるステップを含む。一実施例では、本化合物は、以下の式(式I):
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときYは生理pHで陰イオンの基であり、Qは担体分子であり、Xは陽イオンの基であり、そしてnは整数である。陰イオンの基の数(「n」)は、当該化合物の活性が維持されながらも、目的標的部位への当該化合物の生体内分布が妨げられないように選択する。例えば、陰イオンの基の数は、例えば細胞膜などの解剖学的障壁の通過や、血液脳関門などの生理学的障壁を横切った進入を、このような性質が好ましい場合には、これを阻害する程大きくない数字となる。ある一つの実施例では、nは1から10までの間の整数である。別の実施例では、nは3から8までの間の整数である。
【0014】
本発明の治療用化合物の陰イオンの基は、担体分子に結び付いたときに、アミロイド生成たんぱく又はペプチド、あるいはそのフラグメント(例えばAβ又はそのフラグメント)によるマクロファージ活性化を阻害することのできる、負に帯電した成分である。本発明のこのような目的のためには、当該陰イオンの基は生理pHにおいて負に帯電している。好ましくは、当該陰イオン性の治療用化合物は、硫酸化プロテオグリカンの構造を模倣するものであるとよく、即ち、硫酸化化合物又はその機能上の等価物であるとよい。硫酸塩の「機能上の等価物」には、スルファミン酸塩や、生体同配体などの化合物が含まれるものとして意図されている。生体同配体は、伝統的な生体同配体の等価物と非伝統的な生体同配体の等価物の両方を包含するものである。硫酸塩基の伝統的及び非伝統的な生体同配体は当業において公知である(例えばSilverman, R.B. The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc.: San Diego, CA, 1992, pp. 19-23を参照されたい)。従って、本発明の治療用化合物に、スルホン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩, カルボキシレート、及び以下の式:
Figure 0004574845
のヘテロ環式の基を含む、少なくとも一つの陰イオンの基を含めることができる。担体分子によっては、二つ以上の陰イオンの基がそれに結び付いていてもよい。二つ以上の陰イオンの基が担体分子に結び付いている場合、複数の陰イオンの基が同じ構造の基(例えばすべてがスルホン酸塩であるなど)であっても、又はその代わりに、異なる陰イオンの基の組合せを用いてもよい(例えばスルホン酸塩及び硫酸塩、等々)。「陰イオンの基」という術語には、陰イオンの基の、例えば薬学的に容認可能な塩類など、塩類が含まれていることを理解されたい。本発明において陰イオンの基を有する有用な化合物の例については、例えば米国特許第5,643,562号(参考文献としてここに編入することとする)を参照されたい。
【0015】
別の実施例では、本化合物を以下の式(式II):
Figure 0004574845
で表すことができるが、ただしこのときZはXR又はRであり、R及びRはそれぞれ個別に水素、一個の置換された又は置換されていない脂肪族の基(好ましくは、鎖内に1個から24個の炭素原子を有する分岐鎖又は直鎖の脂肪族成分、又は、脂肪族の環内に4個から7個の炭素原子を有する置換されていない又は置換された環状の脂肪族成分であり、好適な脂肪族及び環状の脂肪族の基はアルキル基、より好ましくは低級アルキル)、一個のアリール基、一個のヘテロ環式の基、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、アリール、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ(環状のアミノ成分を含む)、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)であり、Xはそれぞれ個別にO又はSであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)、アルキル(好ましくは低級アルキル)、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは0から12まで(より好ましくは0から6まで、より好ましくは0又は1)の整数である。
【0016】
本発明の陰イオン化合物は、典型的には、さらに対陽イオン(即ち一般式Q−[−Y]nのX)を含む。陽イオンの基には、正に帯電した原子及び成分が含まれる。陽イオンの基には、正に帯電した原子及び成分が含まれる。当該陽イオンの基が水素、つまりHである場合、この化合物は酸である、例えばエタンスルホン酸など、であるとみなされる。水素が金属又はその等価物に置換された場合、その化合物はその酸の塩である。陰イオン化合物の薬学的に容認可能な塩は、本発明の範囲内である。例えば、Xは薬学的に容認可能なアルカリ金属、アルカリ土類、より高い価の陽イオン(例えばアルミニウム塩)、多価の陽イオン性対イオン又はアンモニアであってもよい。好適な薬学的に容認可能な塩はナトリウム塩であるが、その他の塩類もまた、それらの薬学的に容認可能な範囲で考察されるところである。
【0017】
当該陰イオン化合物中では、陰イオンの基は担体分子に共有結合している。適した担体分子には、炭水化物、ポリマー、ペプチド、ペプチド誘導体、脂肪族の基、脂環式の基、ヘテロ環式の基、芳香族の基又はこれらの組合せが含まれる。担体分子は、例えば一つ又はそれ以上のアミノ、ニトロ、ハロゲン、チオール又はヒドロキシ基で置換されてもよい。
【0018】
ここで用いられる場合の「炭水化物」という術語は、置換された及び置換されていないモノ−、オリゴ−、及びポリサッカリドを含むものとして意図されている。モノサッカリドは、組み合わさってオリゴサッカリド又はポリサッカリドを形成することのできる、通常は式C12からなる単糖類である。モノサッカリドには、モノサッカリドのエナンチオマー、及びD及びLの両方の立体異性体が含まれる。炭水化物は、複数の陰イオンの基を各モノサッカリド成分に結合させていてもよい。例えば、八硫酸スクロースでは、四つの硫酸塩の基が二つのモノサッカリド成分のそれぞれに付いている。
【0019】
ここで用いられる場合の「ポリマー」という術語には、モノマーと呼ばれる二つ以上の組み合わさったサブユニットが化学的に一つになることで形成された分子が含まれるものとして意図されている。モノマーは、通常炭素を含むと共に、比較的低分子量であり、構造も簡単な分子又は化合物である。モノマーは、それ自体を組み合わせたり、又はその他の類似の分子又は化合物を組み合わせることにより、ポリマーに転化させることができる。ポリマーは、単一の同一のサブユニットが反復していたり、又は、複数の異なるサブユニットが反復している(コポリマ)ものから構成される場合がある。本発明の範囲内のポリマーには、置換された及び置換されていないビニル、アクリル、スチレン及び炭水化物誘導ポリマー及びコポリマー並びにそれらの塩類が含まれる。実施例の一つでは、当該ポリマーは約800から1000ダルトンの分子量を有する。適した陰イオン基(例えばスルホン酸塩又は硫酸塩)を共有結合させたポリマーの例には、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-コ-アクリロニトリル)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-コ-スチレン)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)や、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(ビニルアルコール)から誘導した硫酸塩及びスルホン酸塩、並びにこれらの薬学的に容認可能な塩類が含まれる。適した陰イオン基を共有結合させた炭水化物誘導ポリマーの例には、式:
Figure 0004574845
のものが含まれるが、ただしこのとき、RはSO 又はOSO であり、又は薬学的に容認可能なこれらの塩類である。
【0020】
ペプチド及びペプチド誘導体もまた担体分子として働くことができる。「ペプチド」という術語には、ペプチド結合を介して共有結合した二つ以上のアミノ酸が含まれる。ペプチド担体分子に用いることのできるアミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンなど、たんぱく質に見られる天然発生型のアミノ酸が含まれる。アミノ酸という術語には、さらに、天然発生型のアミノ酸の類似体、誘導体及び同属体が含まれ、これらのうち一つ又はそれ以上がペプチド誘導体中に存在していてもよい。例えば、アミノ酸類似体は、適した官能基を持っていれば、延長した又は短縮した側鎖あるいは変異側鎖を有していてもよい。さらに、当該アミノ酸の構造にとって立体異性体型の形成が可能である場合には、D型及びL型のアミノ酸立体異性体も含まれる。「ペプチド誘導体」という術語には、さらに、ペプチドの主鎖を模倣する分子を含むがアミノ酸ではないような化合物(いわゆるペプチドミメティックス)、例えばベンゾジアゼピン分子(例えば James, G. L. et al. (1993) Science 260:1937-1942を参照されたい)が含まれる。陰イオンの基は、ペプチド又はペプチド誘導体に、特定のアミノ酸の側鎖に付いた官能基、又はその他の適した官能基を介して結び付いていてもよい。例えば、硫酸塩又はスルホン酸塩の基が、セリン残基のヒドロキシル側鎖を介して結合していてもよい。ペプチドを、(上述したように)Ab−ペプチドの基底膜構成成分(例えばGAG)の結合部位と相互作用するようにデザインしてもよい。従って、ある一つの実施例では、当該ペプチドは四つのアミノ酸を含み、陰イオンの基(例えばスルホン酸塩)が一番目、二番目及び四番目のアミノ酸に結び付いている。例えば、当該ペプチドはSer-Ser-Y-Serであってもよく、ただしこのとき陰イオンの基は各セリン残基の側鎖に結び付いており、Yはいかなるアミノ酸でもよい。ペプチド及びペプチド誘導体に加え、単一のアミノ酸を本発明の陰イオン化合物の担体として用いてもよい。例えば、システイン酸、システインのスルホン酸誘導体、を用いてもよい。
【0021】
「脂肪族の基」という術語には、典型的には1から22個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖を特徴とする有機化合物が含まれるものとして意図されている。脂肪族の基には、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が含まれる。複雑な構造では、この鎖は分岐鎖でも又は架橋結合していてもよい。アルキル基には、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基を含め、一つ又はそれ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素が含まれる。このような炭化水素成分は、一つ又はそれ以上の炭素上で、例えば一個のハロゲン、一個のヒドロキシル、一個のチオール、一個のアミノ、一個のアルコキシ、一個のアルキルカルボキシ、一個のアルキルチオ、又は一個のニトロ基に置換されていてもよい。炭素数を特に他に明示しない限り、ここで用いられる「低級脂肪族の」という術語は、上に定義したような、しかし1個から6個の炭素原子を有する脂肪族の基(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)を意味する。このような低級脂肪族の基、例えば低級アルキル基、の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-クロロプロピル、n-ブチル、s-ブチル、2-アミノブチル、イソブチル、t-ブチル、3-チオペンチル、等々である。ここで用いられる「アミノ」という術語は−NHを意味し、「ニトロ」という術語は−NOを意味し、「ハロゲン」という術語は−F、−Cl、−Br、又は−Iを指し、「チオール」という術語はSHを意味し、そして「ヒドロキシル」という術語は−OHを意味する。このように、ここで用いられる「アルキルアミノ」という術語は、一個のアミノ基を結合させた、上に定義したようなアルキル基を意味する。「アルキルチオ」という術語は、一個のスルフヒドリル基を結合させた、上に定義したようなアルキル基を言う。ここで用いられる「アルキルカルボキシル」という術語は、一個のカルボキシル基を結合させた、上に定義したようなアルキル基を言う。ここで用いられる「アルコキシ」という術語は、一個の酸素原子を結合させた、上に定義したようなアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、等々が含まれる。「アルケニル」及び「アルキニル」という術語は、アルキルに類似の不飽和脂肪族の基であるが、それぞれ少なくとも一つの二重又は三重結合を含むものを言う。
【0022】
「脂環式の基」という術語は、三つ又はそれ以上の炭素原子から成る閉環構造を含むものとして意図されている。脂環式の基には、飽和の環状炭化水素であるシクロパラフィン又はナフテン、二つ又はそれ以上の二重結合を持って不飽和となったシクロオレフィン、及び、一個の三重結合を持つシクロアセチレンが含まれる。これらは芳香族の基を含まない。シクロパラフィンの例には、シクロプロパン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンがある。シクロオレフィンの例にはシクロペンタジエン及びシクロオクタテトラエンがある。脂環式の基には、さらに、アルキル置換された脂環式の基など、縮合環構造及び置換された脂環式の基が含まれる。脂環の場合には、このような置換基には、さらに低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CN、等々を含めることができる。
【0023】
「ヘテロ環式の基」という術語には、その環内の一つ又はそれ以上の原子が、例えば窒素、又は酸素など、炭素以外の元素であるような閉環構造が含まれるものとして意図されている。ヘテロ環の基は飽和又は不飽和でもよく、ピロール及びフランなどのヘテロ環の基は芳香族の性質を有していてもよい。これらには、キノリン及びイソキノリンなどの縮合環構造が含まれる。ヘテロ環の基の例には他にも、ピリジン及びプリンがある。さらにヘテロ環の基は一つ又はそれ以上の構成原子が、例えば一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、一個の低級アルコキシ、一個の低級アルキルチオ、一個の低級アルキルアミノ、一個の低級アルキルカルボキシル、一個のニトロ、一個のヒドロキシル、−CF、−CN、等々に置換されていてもよい。
【0024】
「芳香族の基」という術語は、一つ又はそれ以上の環を含有する不飽和の環状炭化水素を含むものとして意図されている。芳香族の基には、5−及び6−員環の単一環の基が含まれ、この基にはゼロから4個のヘテロ原子が含まれていてもよく、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン、等々である。この芳香族の環は、一つ又はそれ以上の環位置で、例えば一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、一個の低級アルコキシ、一個の低級アルキルチオ、一個の低級アルキルアミノ、一個の低級アルキルカルボキシル、一個のニトロ、一個のヒドロキシル、−CF、−CN、等々に置換されてもよい。
【0025】
本発明の方法の好適な実施例の一つでは、被験体に投与される陰イオン化合物は、担体分子に共有結合した少なくとも一つのスルホン酸塩の基、又は薬学的に容認可能なその塩から成る。従って、陰イオン化合物は構造:
Figure 0004574845
を有していてよく、ただしこのときQは担体分子であり、X+は陽イオンの基であり、そしてnは整数である。適した担体分子及び陽イオンの基は前述したものである。スルホン酸塩の基の数(「n」)は、前にも説明したように、当該化合物の活性が維持されながらも目的の標的部位への化合物の生体内分布が妨げられないよう、選択される。ある一つの実施例では、nは1から10までの間の整数である。別の実施例では、nは3から8までの間の整数である。前にも説明したように、複数のスルホン酸塩の基を持つ陰イオン化合物は、当該化合物がAbペプチドのHSPG結合部位と最適に相互作用するように間隔を置いたスルホン酸塩の基を有していてもよい。
【0026】
好適な実施例では、スルホン酸塩のための担体分子は、低級脂肪族の基(例えば低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニル)、ヘテロ環式の基、ジサッカリド、ポリマー又はペプチドあるいはペプチド誘導体である。さらに、担体は、例えば一つ又はそれ以上のアミノ、ニトロ、ハロゲン、チオール又はヒドロキシの基など、で置換されてもよい。特定の実施例では、スルホン酸塩のための担体分子は一個の芳香族の基である。
【0027】
適したスルホン酸化ポリマーである陰イオン化合物の例には、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-コ-アクリロニトリル)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-コ-スチレン)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(アクリル酸)のスルホン酸誘導体、ポリ(メチルアクリレート)のスルホン酸誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)のスルホン酸誘導体、及びポリ(ビニルアルコール)のスルホン酸塩誘導体、並びに薬学的に容認可能なこれらの塩類が含まれる。
【0028】
好適なスルホン酸化ポリマーは、ポリ(ビニルスルホン酸)(PVS)又は薬学的に容認可能なその塩、好ましくはそのナトリウム塩である。実施例の一つでは、分子量が約800から1000ダルトンのPVSを用いる。PVSは立体異性体の混合したものとして用いても、又は単一の活性な異性体として用いてもよい。
【0029】
好適なスルホン酸化ジサッカリドは、例えば八スルホン酸化スクロースなど、完全に又は部分的にスルホン酸化したスクロース、又はその薬学的に容認可能な塩である。その他のスルホン酸化サッカリドには、5-デオキシ-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-キシロフラノース-スルホン酸 (XXIII、ナトリウム塩として示した)がある。
【0030】
好適な低級脂肪族のスルホン酸化陰イオン化合物には、エタンスルホン酸、2-アミノエタンスルホン酸(タウリン)、システイン酸(3-スルホアラニン又はa-アミノ-b-スルホプロピオン酸)、1-プロパンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、1,3-プロパンジスルホン酸、1,4-ブタンジスルホン酸、1,5-ペンタンジスルホン酸、及び4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。その他の脂肪族のスルホン酸化陰イオン化合物には、1-ブタンスルホン酸、2-プロパンスルホン酸、3-ペンタンスルホン酸、4-ヘプタンスルホン酸、1-デカンスルホン酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。スルホン酸化した置換脂肪族の陰イオン化合物には、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸、3-硫酸ヒドロキシプロパンスルホン酸、1,7-ジヒドロキシ-4-ヘプタンスルホン酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類が含まれる。さらに別のスルホン酸化化合物には、2-[(4-ピリジニル)アミド]エタンスルホン酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。
【0031】
好適なヘテロ環式のスルホン酸化陰イオン化合物には、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、及びテトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド-3,4-ジスルホン酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。
【0032】
芳香族のスルホン酸化陰イオン化合物には、1,3-ベンゼンジスルホン酸、2,5-ジメトキシ-1,4-ベンゼンジスルホン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-1-ナフタレンスルホン酸、3,4-ジアミノ-1-ナフタレンスルホン酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類が含まれる。
【0033】
本発明の方法の別の実施例では、被験体に投与される陰イオン化合物は、担体分子に共有結合した少なくとも一つの硫酸塩の基、又は薬学的に容認可能なその塩から構成される。従って、当該陰イオン化合物は構造:
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときQは担体分子であり、Xは陽イオンの基であり、そしてnは整数である。適した担体分子及び陽イオンの基は前述したものである。硫酸塩の基の数(「n」)は、前にも説明したように、当該陰イオン化合物の活性が維持されながらも目的の標的部位への化合物の生体内分布が妨げられないよう、選択される。ある一つの実施例では、nは1から10までの間の整数である。別の実施例では、nは3から8までの間の整数である。前にも説明したように、複数の硫酸塩の基を持つ陰イオン化合物は、当該化合物がAbペプチドのGAG結合部位と最適に相互作用するように間隔を置いた硫酸塩の基を有していてもよい。
【0034】
好適な実施例では、硫酸塩のための担体分子は、低級脂肪族の基(例えば低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニル)、芳香族の基、ジサッカリド、ポリマー又はペプチドあるいはペプチド誘導体である。さらに、担体は、例えば一つ又はそれ以上のアミノ、ニトロ、ハロゲン、チオール又はヒドロキシの基など、で置換されてもよい。
【0035】
適した硫酸化ポリマーの陰イオン化合物の例には、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-プロピル硫酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-プロピル硫酸-コ-アクリロニトリル)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-プロピル硫酸-コ-スチレン)、ポリ(ビニル硫酸)、ポリ(4-スチレン硫酸ナトリウム)、ポリ(アクリル酸)の硫酸塩誘導体、ポリ(メチルアクリレート)の硫酸塩誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)の硫酸塩誘導体、及びポリ(ビニルアルコール)の硫酸塩誘導体、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。
【0036】
好適な硫酸化ジサッカリドは、八硫酸スクロース又は薬学的に容認可能なその塩である。その他の硫酸化サッカリドには、メチル-α-D-グルコピラノシド 2,3-ジスルフェートの酸型、メチル 4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシド 2,3-ジスルフェート、2,3,4,3',4'-五硫酸スクロース、1,3:4,6-ジ-O-ベンジリデン-D-マンニトール 2,5-ジスルフェート、D-マンニトール 2,5-ジスルフェート、2,5-ジ-O-ベンジル-D-四硫酸マンニトール、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類が含まれる。
【0037】
本発明での利用にとって好適な低級脂肪族硫酸化陰イオン化合物には、エチル硫酸、2-アミノエタン-1-オル硫酸、1-プロパノール硫酸、1,2-エタンジオール二硫酸、1,3-プロパンジオール二硫酸、1,4-ブタンジオール二硫酸、1,5-ペンタンジオール二硫酸、及び1,4-ブタンジオールモノ硫酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類が含まれる。本発明での利用が考察されるその他の硫酸化脂肪族陰イオン化合物には、1,3-シクロヘキサンジオール ジスルフェートの酸型、1,3,5-ヘプタントリオールトリスルフェート、2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールトリスルフェート、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオールトリスルフェート、1,3,5,7-ヘプタンテトラオールテトラスルフェート、1,3,5,7,9-ノナンペンタスルフェート、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。本発明での利用が考えられるその他の硫酸化陰イオン化合物には、酸型の2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールトリスルフェート、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオールジスルフェート、3-ヒドロキシプロピルスルファミン酸スルフェート、2,2'-イミノエタノールジスルフェート、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)スルファミン酸ジスルフェート、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。
【0038】
好適なヘテロ環式の硫酸化陰イオン化合物には、3-(N-モルホリノ)プロパン硫酸、及びテトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド-3,4-ジオール二硫酸、及び薬学的に容認可能なそれらの塩類がある。
【0039】
本発明は、さらに、in vivoで本発明の方法で用いられる陰イオン化合物に転化するプロドラッグの利用を考察するものである(例えば R.B. Silverman, 1992, "The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action", Academic Press, Chp. 8を参照されたい)。このようなプロドラッグを用いると、当該陰イオン化合物の(例えば通常は血液脳関門を通過しないような化合物に血液脳関門を通過させるなどして)生体内分布を変化させたり、又は当該陰イオン化合物の薬物動態を変化させたりすることができる。例えば、硫酸塩又はスルホン酸塩などの陰イオンの基をメチル基又はフェニル基などでエステル化して硫酸エステル又はスルホン酸エステルにしてもよい。この硫酸エステル又はスルホン酸エステルを被験体に投与すると、このエステルは酵素的又は非酵素的、還元作用又は加水分解作用により開裂して当該の陰イオン基を露出させることになる。このようなエステルは環状、例えば環状の硫酸塩又はスルトンなど、でもよく、又は、二つ以上の陰イオン成分を結合基を介してエステル化してもよい。環状の陰イオン化合物の例には、例えば、2-スルホ安息香酸、プロパンスルトン、ブタンスルトン、1,3-ブタンジオール環状スルフェート、α-クロロ-α-ヒドロキシ-o-トルエンスルホン酸スルトン、及び6-ニトロナフタ-[1,8-cd]-1,2,-オキサチオール2,2-ジオキシドがある。ある好適な実施例では、当該プロドラッグは環状の硫酸塩又はスルトンである。陰イオン基は、開裂させたときに中間陰イオン化合物を露出させるような成分(例えばアシルオキシメチルエステルなど)でエステル化してもよく、次にこの中間陰イオン化合物が分解して活性陰イオン化合物を生成することとなる。別の実施例では、このプロドラッグはチオールなどの硫酸塩又はスルホン酸塩の還元型であり、これがin vivoで酸化して陰イオン化合物になる。さらに、陰イオン成分を、in vivoで能動的に輸送される基、又は、標的の臓器によって選択的に取り込まれるような基にエステル化させてもよい。このエステルを、担体分子について下に記載するように、当該陰イオン化合物を標的の臓器に向かわせる特異的ターゲッティングが可能であるように選択してもよい。
【0040】
本陰イオン化合物で有用な担体分子には、前に説明したような担体分子、例えば炭水化物、ポリマー、ペプチド、ペプチド誘導体、脂肪族の基、脂環式の基、ヘテロ環式の基、芳香族の基又はこれらの組合せ、がある。適したポリマーには、置換された及び置換されていないビニル、アクリル、スチレン及び炭水化物誘導ポリマー及びコポリマー並びにこれらの塩類がある。好適な担体分子には、低級アルキル基、ヘテロ環式の基、ジサッカリド、ポリマー又はペプチドあるいはペプチド誘導体がある。
【0041】
本発明において有用な担体分子には、さらに、本陰イオン化合物が標的の一臓器又は複数の臓器に特異的に送達されることを可能とする成分を含めてもよい。例えば、本イオン化合物の脳への送達が好ましい場合、当該担体分子には、本陰イオン化合物を能動的輸送又は受動的輸送のいずれかにより脳に向かわせることのできる成分(ターゲティング成分)を含めてもよい。実例を挙げると、当該担体分子には、例えば、両者ともボドール氏の米国特許第4,540,564号及び第5,389,623号に説かれたようなレドックス成分を含めてもよい。これらの特許は、脳内に進入し、酸化することで帯電したピリジニウム種になって脳に捕捉させることのできるジヒドロピリジン成分に結合させた薬剤を開示している。このように、薬剤は脳内に蓄積する。本発明のピリジン/ジヒドロピリジン化合物の例には、1-(3-スルホプロピル)-1,4-ジヒドロピリジンナトリウム、2-(ニコチニルアミド)-エタンスルホン酸ナトリウム、及び1-(3-スルホプロピル)-ピリジニウムベタインがある。その他の担体成分には、例えばアミノ酸又はチロキシンなど、in vivoで能動的又は受動的に輸送することのできる化合物が含まれる。実例としての化合物は、タウリン分子がフェニルアラニン(大型の神経アミノ酸)に結合したフェニルアラニルタウリンである。このような担体成分はin vivoで代謝により取り除かれるものでも、又は活性陰イオン化合物の一部としてそのまま残るものでもよい。アミノ酸(及びその他の能動的に輸送される成分)の構造上の擬態も本発明において有用である(例えば1-(アミノメチル)-1-(スルホメチル)-シクロヘキサン)。その他のアミノ酸擬態の例には、p-(スルホメチル)フェニルアラニン, p-(1,3-ジスルホプロピ-2-イル)フェニルアラニン、及びO-(1,3-ジスルホプロピ-2-イル)チロシンがある。数多くのターゲティング成分が公知であり、その中には、例えばアシアロ糖たんぱく(例えば、ウー氏の米国特許第5,166,320号を参照されたい)、及び、レセプター伝達エンドサイトーシスを介して細胞内に輸送されるその他のリガンドが含まれる(担体分子に共有又は非共有結合させてもよいターゲティング成分のその他の例については以下を参照されたい)。さらに、本発明の陰イオン化合物は血流中でアミロイド生成たんぱく、例えばAbペプチドなど、に結合してもよく、こうして作用部位に輸送されてもよい。
【0042】
上述のターゲティング及びプロドラッグ戦略を組み合わせることで、所望の作用部位にプロドラッグとして輸送され、そこで覆いをはがして活性陰イオン化合物を露出するような陰イオン化合物を生成してもよい。例えば、ボドール氏のジヒドロピリン(上記を参照されたい)戦略を、例えば2-(1-メチル-1,4-ジヒドロニコチニル)アミドメチル-プロパンスルトンなど、の環状のプロドラッグと組み合わせることができる。
【0043】
一実施例では、本薬剤組成中の陰イオン化合物は、スルホン化ポリマー、例えばポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-コ-アクリロニトリル)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸-コ-スチレン)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸水素ナトリウム)、ポリ(アクリル酸)のスルホン酸誘導体、ポリ(メチルアクリレート)のスルホン酸誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)のスルホン酸誘導体、及びポリ(ビニルアルコール)のスルホン酸誘導体、並びに薬学的に容認可能なそれらの塩類など、である。
【0044】
別の実施例では、当該薬剤組成中の陰イオン化合物は、硫酸化ポリマー、例えばポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパン硫酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパン硫酸-コ-アクリロニトリル)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパン硫酸-コ-スチレン)、ポリ(ビニル硫酸)、ポリ(4-スチレン硫酸ナトリウム)、ポリ(アクリル酸)の硫酸誘導体、ポリ(メチルアクリレート)の硫酸誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)の硫酸誘導体、及びポリ(ビニルアルコール)の硫酸誘導体、並びに薬学的に容認可能なそれらの塩類など、である。
【0045】
さらに本陰イオン化合物は構造:
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときZはXR又はRであり、R及びRはそれぞれ個別に水素、置換された又は置換されていない脂肪族の基(好ましくは、鎖内に1から24個の炭素原子を有する分岐鎖又は直鎖の脂肪族成分、又は脂肪族の環内に4から7個の炭素原子を有する置換されていない又は置換された環状の脂肪族成分。好適な脂肪族及び環状の脂肪族の基はアルキル基、より好ましくは低級アルキルである)、一個のアリール基、一個のヘテロ環式の基、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、アリール、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Xはそれぞれ個別にO又はSであり、Rは 水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Y1及びY2はそれぞれ個別に水素、ハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)、低級アルキル、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは0から12までの間の整数(より好ましくは0から6まで、より好ましくは0又は1)である。これらの化合物は、その内容を参考としてここに編入することとする米国出願番号08/912,574号に説かれている。
【0046】
本発明での利用に好適な陰イオン化合物には、R及びRの両方が薬学的に容認可能な塩を形成する陽イオンであるような化合物が含まれる。陰イオン化合物の、(存在する場合の)塩を形成する対イオンへの化学量論は、当該化合物の陰イオン部分(存在する場合)の電荷と、対イオンの電荷に応じて様々であることは理解されよう。特に好適な実施例では、R、R及びRはそれぞれ個別にナトリウム、カリウム又はカルシウム陽イオンである。R及びRの少なくとも一方が一個の脂肪族の基であるいくつかの実施例では、この脂肪族の基は1から10個の炭素原子をその直鎖又は分岐鎖に有し、そしてより好ましくは一個の低級アルキル基であるとよい。R及びRの少なくとも一方が一個の脂肪族の基である別の実施例では、この脂肪族の基は10から24個の炭素原子をその直鎖又は分岐鎖に有する。いくつかの好適な実施例では、nは0又は1であるが、より好ましくはnは0であるとよい。当該治療用化合物のいくつかの好適な実施例では、Y及びYはそれぞれ水素である。
【0047】
いくつかの好適な実施例では、本発明の陰イオン化合物は、構造:
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときR,R、R、Y、Y、X及びnは上に定義した通りである。より好適な実施例では、本発明の陰イオン化合物は構造:
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときR、R、R、Y、Y、及びXは上に定義した通りであり、R及びRはそれぞれ個別に水素、アルキル、アリール、又はヘテロシクリルであるか、又は、R及びRはこれらが結び付いた窒素原子と一緒に捉えられると、環内に3から8個の原子を有する環状成分を形成し、そしてnは0から6までの間の整数である。 いくつかの好適な実施例では、R及びRはそれぞれ水素である。いくつかの好適な実施例では、本発明の化合物はα−アミノ酸、(又はα−アミノ酸エステル)、より好ましくはL-α-アミノ酸又はエステルを含むとよい。
【0048】
Z、Q、R、R、R、Y、Y、及びX基は、それぞれ個別に、当該陰イオン化合物の活性が維持されながらも目的の標的部位への当該陰イオン化合物の生体内分布が妨げられないように選択される。例えば、陰イオン基の数(及び、本治療用化合物上の全体の電荷)は、例えば細胞膜などの解剖学的障壁の通過や、血液脳関門などの生理学的障壁を横切った進入を、このような性質が好ましい場合には、これを阻害する程大きくあってはならない。例えば、ホスホノギ酸塩のエステルの有する生体内分布特性はホスホノギ酸塩の生体内分布特性とは異なる、そして場合によってはより優れていることが報告されている(例えば、ヘルグストランド氏らの米国特許第4,386,081号及び第4,591,583号、及びホステットラー氏らの米国特許第5,194,654号及び第5,463,092号を参照されたい)。このように、いくつかの実施例では、R及びRの少なくとも一方は脂肪族の基(より好ましくはアルキル基)であるが、このときこの脂肪族の基は10から24個の炭素原子をこの直鎖又は分岐鎖に有する。脂肪族の鎖の分岐の数、長さ、及び程度は、例えば親油性など、所望の性質をもたらすように選択してもよい。別の実施例では、R及びRの少なくとも一方は脂肪族の基(より好ましくはアルキル基)であるが、このときこの脂肪族の基は1から10個の炭素原子をこの直鎖又は分岐鎖に有する。やはり、脂肪族の鎖の分岐の数、長さ、及び程度は、例えば親油性、又は酵素によるエステル開裂の容易さなど、所望の性質をもたらすように選択してもよい。いくつかの実施例では、好適な脂肪族の基はエチル基である。
【0049】
別の実施例では、本発明の陰イオン化合物は構造:
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときGはアリール環上の水素又は一つ以上の置換基(例えばアルキル、アリール、ハロゲン、アミノ、等々)を表し、Lは置換アルキル基(いくつかの実施例では、好ましくは低級アルキル)、より好ましくはヒドロキシ置換アルキル又は、ヌクレオシド塩基で置換されたアルキルである。特定の実施例では、Gは水素又は電子供与基である。Gが電子求引基である実施例では、Gは好ましくはメタ位置における電子求引基であるとよい。「電子求引基」という術語は当業において公知であり、ここで用いられる場合、水素よりも電子求引性が大きい基を言う。様々な電子求引基が公知であるが、そのなかにはハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード基など)、ニトロ、シアノ、等々がある。同様に、ここで用いられる「電子供与基」という術語は、水素よりも電子求引性が小さい基を言う。Gが電子供与基である実施例では、Gはオルト、メタ又はパラ位置にあってもよい。
【0050】
いくつかの好適な実施例では、Lは:
Figure 0004574845
のうちのいずれかから選択される成分である。
【0051】
表1は、従来技術を用いたこれらの化合物の特徴付けに関するデータを挙げたものである。
Figure 0004574845
Figure 0004574845
【0052】
本発明の陰イオン化合物のいくつかの構造には非対称の炭素原子が含まれることに注目されよう。従って、このような非対称性から生ずる異性体(例えばエナンチオマー及びジアステレオマー)は本発明の範囲に包含されることを理解されたい。このような異性体は、伝統的な分離技術や立体制御された合成により、ほぼ純粋な形で得ることができる。この出願の目的のために、そうでないと特に明示した場合を除き、陰イオン化合物は各キラル中心でのR又はS立体異性体の両方を含むものとしてみなされたい。
【0053】
いくつかの実施例では、本発明の陰イオン化合物は陽イオンを含む(即ち、いくつかの実施例では、R、R又はRの少なくとも一つは陽イオンである)。陽イオン基が水素、H、である場合、本陰イオン化合物は酸、例えばホスホノギ酸など、であると見なされる。水素が金属イオン又はその等価物に置換された場合、当該陰イオン化合物はその酸の塩である。この陰イオン化合物の薬学的に容認可能な塩類は本発明の範囲内にある。例えば、R、R又はRの少なくとも一つは、薬学的に容認可能なアルカリ金属(例えばLi、Na、又はK)、アンモニウム陽イオン、アルカリ土類陽イオン(例えばCa2+、Ba2+、Mg2+)、原子価の高い陽イオン、又はポリカチオン対イオン(例えばポリアンモニウム陽イオン)であってもよい。(例えばBerge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照されたい 。)陰イオン化合物の、(存在する場合の)塩を形成する対イオンへの化学量論は、当該化合物の陰イオン部分(存在する場合)の電荷と、対イオンの電荷に応じて様々であることは理解されよう。好適な薬学的に容認可能な塩類には、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩があるが、その他の塩類も、それらの薬学的に容認可能な範囲内で考察されるところである。
【0054】
「薬学的に容認可能なエステル」という術語は、本発明の陰イオン化合物の比較的無毒性のエステル化生成物を言う。これらのエステルは、当該陰イオン化合物の最終的な単離及び精製の際にin situで作製しても、又は、精製された陰イオン化合物をその遊離酸形のまま又はヒドロキシルを、適したエステル化剤に別々に反応させることにより作製してもよく、これらの方法のいずれも当業者に公知である。カルボン酸及びホスホン酸を当業に置いて公知の方法、例えば触媒存在下でアルコール処理するなど、によりエステルに転化させることができる。好適なエステル基(例えばRが低級アルキルである場合)はエチルエステル基である。
【0055】
「アルキル」という術語は直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族の基を言う。好適な実施例では、直鎖又は分岐鎖アルキルは30以下の炭素原子をその主鎖に(例えば直鎖の場合はC−C30に、分岐鎖はC−C30に)有し、より好ましくは20以下の炭素原子を有する。同様に、好適なシクロアルキルは4から10個の炭素原子をそれらの環構造に有し、より好ましくは4から7個の炭素原子をその環構造に有する。「低級アルキル」という術語は1から6個の炭素を鎖内に有するアルキル基と、3から6個の炭素を環構造内に有するシクロアルキルとを言う。
【0056】
さらに、本明細書及び請求の範囲を通じて使用される(「低級アルキル」を含む)「アルキル」という術語は、「置換されていないアルキル」及び「置換されたアルキル」の両方を含むものとして意図されており、この後者は炭化水素の主鎖上の一つ又はそれ以上の炭素に付いた水素が置換基に置換されたアルキル成分を言う。このような置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、又は、芳香族又はヘテロ芳香族成分を含めることができる。当業者であれば、炭化水素の鎖上で置換された成分は、適当であれば、それ自体が置換されてもよいことは理解されよう。シクロアルキルはさらに、例えば上述したような置換基など、で置換されてもよい。「アラルキル」成分は、アリールで置換されたアルキル(例えばフェニルメチル(ベンジル))である。
【0057】
ここで用いられる「アルコキシ」という術語は、アルキル成分が上述したものである、構造−O−アルキルを有する成分を言う。
【0058】
ここで用いられる「アリール」という術語は、5−及び6−員環の単一環芳香族の基を含み、この基にはゼロから4個のヘテロ原子が含まれていてもよく、例えば、置換されていない又は置換されたベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン、等々である。アリール基には、さらに、多環式の縮合芳香族基、例えばナフチル、キノリル、インドリル、等々が含まれる。芳香族の環は一つ又はそれ以上の環一で、例えばアルキル基について上述したようなものなどの置換基で置換されてもよい。好適なアリール基には、置換されていない及び置換されたフェニル基が含まれる。
【0059】
ここで用いられる場合の「アリールオキシ」という術語は、アリール成分が上に定義したようなものである構造−O−アリールを有する基を言う。
【0060】
ここで用いられる「アミノ」という術語は、式−NRの置換されていない又は置換された成分を言うが、ただしこのときR及びRはそれぞれ個別に水素、アルキル、アリール、又はヘテロシクリルであるか、あるいはR及びRは、これらが結び付いた窒素原子と一緒に捉えられると、環内に3から8個の原子を有する環状成分を形成するものである。このように、「アミノ」という術語は、特に他に明示しない場合、ピペリジニル又はピロリジニル基などの環状アミノ成分を包含するものとして意図されている。「アミノ置換アミノ基」とは、R及びRの少なくとも一方がさらにアミノ基で置換されたアミノ基を言う。
【0061】
ある好適な実施例では、R又はRは(少なくともその一つについては)長鎖の脂肪族成分であってもよい。ここで用いられる「長鎖脂肪族成分」という術語は、10から24個の炭素を脂肪族の鎖に有する直鎖又は分岐鎖脂肪族成分(例えばアルキル又はアルケニル成分など)、例えば当該長鎖脂肪族成分が脂肪酸(好ましくは天然発生型脂肪酸)の脂肪族の鎖であるなど、を有する成分を言う。代表的な長鎖脂肪族成分には、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、等々の脂肪族の鎖が含まれる。
【0062】
いくつかの実施例では、本発明の陰イオン化合物は構造:
Figure 0004574845
を有していてもよく、ただしこのときR及びRはそれぞれ個別に水素、一個の脂肪族の基(好ましくは1から24個の炭素原子、より好ましくは10から24個の炭素原子を鎖内に有する、分岐鎖又は直鎖の脂肪族成分、又は、4から7個の炭素原子を脂肪族の環に有する置換されていない又は置換された環状の脂肪族成分)、一個のアリール基、一個のヘテロ環式の基、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、アリール、又は一個の塩を形成する陽イオンであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)、低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは0から12までの間の整数である。本発明での利用に好適な陰イオン化合物には、R及びRの両方が薬学的に容認可能な塩を形成する陽イオンである化合物が含まれる。特に好適な実施例では、R、R及びRはそれぞれ個別にナトリウム、カリウム又はカルシウム陽イオンであり、nは0である。本治療用化合物のいくつかの好適な実施例では、Y及びYはそれぞれ水素である。 特に好適な陰イオン化合物はホスホノギ酸塩の塩類である。(アストラ社から)市販のホスホノギ酸三ナトリウム(ホスカーネットナトリウム又はFoscavirO)を入手可能であり、その臨床学的薬理が研究されている(例えば"Physician's Desk Reference", 51st Ed., pp. 541-545 (1997)を参照されたい)。
【0063】
別の実施例では、本発明で利用される陰イオン化合物はアミノホスホネート、ビホスホネート、ホスホノカルボキシレート誘導体、ホスホネート誘導体、又はホスホノカルボハイドレートであってもよい。
【0064】
薬学的に容認可能な製剤
本発明の方法においては、本陰イオン化合物を薬学的に容認可能な製剤として投与することができる。本発明は、例えば巨大分子状の錯体、ナノカプセル、マイクロスフィア、又はビードの形状の合成又は天然のポリマー、及び水中油乳濁液、ミセル、混合ミセル、合成膜ベシクル、及びリシールド・エリスロサイト(原語:resealed erythrocyte)を含む、脂質を基剤にした製剤など、あらゆる薬学的に容認可能な製剤に関するものである。
【0065】
ある実施例では、当該の薬学的に容認可能な製剤はポリマーマトリックスを含む。
【0066】
「ポリマー」又は「ポリマーの」という術語は当業で認識されており、標的の状態の処置が行われるよう、陰イオン化合物を送達することのできる、モノマーの単位が反復して成る構造上の枠組みを含むものである。この術語はさらに、合成又は天然発生型などのコポリマー及びホモポリマーを含む。線状ポリマー、分岐ポリマー、及び架橋ポリマーも含まれるものと意図されている。
【0067】
例えば、本発明で利用される薬学的に容認可能な製剤を形成するのに適したポリマー材料には、アルブミン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、及びポリサッカリドなどの天然由来のポリマーや、ポリエステル(PLA、PLGA)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、多価無水物、及びプルロニックなどの合成ポリマーが含まれる。これらのポリマーは、中枢神経系を含む神経系に生体適合性があり、これらは分解によって何ら毒性の副産物を生じることなく中枢神経系内で生分解可能であり、そしてこれらはポリマーの運動特性を操作することにより、陰イオン化合物放出の態様及び時間を調節できる可能性を有する。ここで用いられる「生分解可能」という術語は、当該ポリマーが、被験体身体内の酵素作用、加水分解作用及び/又はその他の同様な機序により経時的に分解していくことを意味する。ここで用いられる「生体適合性の」という術語は、当該ポリマーが、毒性又は有害性なく、そして免疫学的拒絶反応を生ずることなく、生体組織又は生命体に適合性があることを意味する。
【0068】
ポリマーは当業で公知の方法を用いて作製が可能である (Sandler, S. R.; Karo, W. Polymer Syntheses; Harcourt Brace: Boston, 1994; Shalaby, W.; Ikada, Y.; Langer, R.; Williams, J. Polymers of Biological and Biomedical Significance (ACS Symposium Series 540; American Chemical Society: Washington, DC, 1994)。ポリマーは柔軟性であるようにデザインすることができ、生物活性のある側鎖間の距離と、ポリマーの骨格と基との間のリンカーの長さは調節が可能である。その他の適したポリマー及びそれらの作製法は、米国特許第5,455,044号及び第5,576,018号に説かれているが、その内容を参考文献としてここに編入することとする。
【0069】
ポリマー製剤は、好ましくは、その教示を参考としてここに編入することとする米国特許第4,883,666号に説かれているように、液化ポリマー内に当該陰イオン化合物を分散させたり、又は、その内容を参考としてここに編入することとするOdian G., Principles of Polymerization and ring opening polymerization, 2nd ed., John Wiley & Sons, New York, 1981に説かれているようにバルク重合法、界面重合法、溶液重合法、及びリング重合法などの方法により形成するとよい。製剤の特性及び性質は、反応温度、ポリマー濃度及び陰イオン化合物濃度、用いる溶媒の種類、及び反応時間などのパラメータを変更することによって制御が可能である。
【0070】
陰イオン化合物及び薬学的に容認可能なポリマーに加え、本発明の方法で用いられる薬学的に容認可能な製剤には、さらなる薬学的に容認可能な担体及び/又は賦形剤を含めてもよい。ここで用いられる「薬学的に容認可能な担体」には、生理学的に適合性のあるあらゆるすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗カビ剤、等張剤及び吸収遅延剤、等々が含まれる。例えば、担体は脳脊髄液への注射に適するものでもよい。賦形剤には薬学的に容認可能な安定化剤及び崩壊剤が含まれる。
【0071】
当該陰イオン化合物は、一つ又はそれ以上の薬学的に容認可能なポリマー内に封入して、ここでは互換可能に呼ばれるマイクロカプセル、マイクロスフィア、又はマイクロ粒子を形成してもよい。マイクロカプセル、マイクロスフィア、及びマイクロ粒子は、従来より、2ミリメートル以下の直径、通常500ミクロン以下の直径の球形粒子から構成される自由に流れる粉末である。1ミクロン未満の粒子は通常ナノカプセル、ナノ粒子又はナノスフィアと呼ばれる。多くの場合、マイクロカプセル及びナノカプセル、マイクロスフィア及びナノスフィア、又はマイクロ粒子及びナノ粒子、間の違いは大きさであり、これら二者の間に内部構造の違いは、あったとしてもほとんどない場合が多い。本発明の一態様では、中間の平均直径は約45μm未満、好ましくは20μm未満、そしてより好ましくは約0.1から10μmの間、である。
【0072】
別の実施例では、当該の薬学的に容認可能な製剤は脂質を基剤とした製剤を含む。公知の脂質を基剤とした薬剤送達系のいずれを本発明の実施に用いてもよい。例えば、多胞体リポソーム(MVL)、多重膜リポソーム(多重膜ベシクル又は「MLV」としても知られる)、小型の一重膜リポソーム(一重膜ベシクル又は「SUV」としても知られる)及び大型の一重膜リポソーム(大型一重膜ベシクル又は「LUV」としても知られる)を含む一重膜リポソーム、はすべて、封入された陰イオン化合物の持続的な放出速度が確立可能である限り、利用できる。実施例の一つでは、脂質を基剤とした本製剤は多胞体リポソーム系であってよい。放出が制御された多胞体リポソーム薬剤送達系を作製する方法は、その内容を参考としてここに編入することとするPCT出願番号US96/11642号、US94/12957号、及びUS94/04490号に説かれている。
【0073】
合成膜ベシクルの組成は、通常、ホスホリピドを通常ステロイド、特にコレステロールと組み合わせたものである。その他のホスホリピド又はその他の脂質を用いてもよい。
【0074】
合成膜ベシクル作製に有用な脂質の例には、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、及びガングリオシドがある。卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、及びジオレオイルホスファチジルグリセロールを含むホスホリピドが用いられるのが好ましい。
【0075】
陰イオン化合物を含有する、脂質を基剤としたベシクルを作製する上では、陰イオン化合物封入の効率、陰イオン化合物の不安定性、ベシクルの最終的集団の均一性及び大きさ、陰イオン化合物対脂質の割合、透過性、調剤の不安定性、及び、製剤の薬学的容認可能性といった可変因子を考慮せねばならない(例えばその内容を参考としてここに編入することとするSzoka, et al., Annual Reviews of Biophysics and Bioengineering, 9:467, 1980; Deamer, et al., in Liposomes, Marcel Dekker, New York, 1983, 27; and Hope, et al., Chem. Phys. Lipids, 40:89, 1986を参照されたい)。
【0076】
薬学的に容認可能な製剤の投与
一実施例では、本陰イオン化合物を、例えば被験体の脳脊髄液内など、被験体の中枢神経系へ導入することにより投与する。本発明のいくつかの態様では、本陰イオン化合物は、例えば脳室、腰部又は大槽など、鞘内に導入する。
【0077】
当該の薬学的に容認可能な製剤は、水性の伝播体中に容易に懸濁させることができ、また従来の皮下注射針を介して又は輸注ポンプを用いて容易に導入することができる。導入に先駆けて、本製剤を、好ましくは、その内容を参考としてここに編入することとする米国特許第436,742号に説かれたガンマ線又は電子ビーム滅菌法によって滅菌することができる。
【0078】
本発明の別の実施例では、本陰イオン化合物製剤を被験体に鞘内投与する。ここで用いられる「鞘内投与」という術語は、(その内容を参考文献としてここに編入することとするLazorthes et al. Advances in Drug Delivery Systems and Applications in Neurosurgery, 143-192 and Omaya et al., Cancer Drug Delivery, 1: 169-179に説かれている)頭蓋骨孔又は脳槽又は腰部穿孔、等々を介して側頭部脳室注射を用いる技術により、被験体の脳脊髄液へ直接、陰イオン化合物製剤を送達することを含むものとして意図されている。「腰部領域」という術語は、第三及び第四腰椎(背面下方)間の領域を含むものとして意図されている。「大槽」という術語は頭部背面において頭蓋骨が終わり脊髄が始まる辺りの領域を含むものとして意図されている。「脳室」という術語は、脊髄中心管に連続する脳内の腔を含むものとして意図されている。上述した部位のいずれかへの陰イオン化合物の投与は、陰イオン化合物製剤の直接の注射、又は、輸注ポンプの利用により達成することができる。注射には、本発明の陰イオン化合物製剤は、液体溶液、好ましくは、ハンクス溶液又はリンガー溶液などの生理学的に適合性のある緩衝液など、の中に調製することができる。加えて、当該陰イオン化合物製剤を固体形で調製し、使用直前に再溶解させたり又は懸濁させてもよい。凍結乾燥形も含まれる。注射は、当該陰イオン化合物製剤の、例えば大量注射の形でも、又は(輸注ポンプを用いた)連続注射の形でもよい。
【0079】
投与の時間及びレベル
本発明の方法の別の実施例においては、当該の薬学的に容認可能な製剤は、その薬学的に容認可能な製剤を被験体に投与してから少なくとも一、二、三、又は四週間にわたって、その陰イオン化合物の持続的な送達、例えば「遅延された放出」を被験体に提供するものである。
【0080】
ここで用いられる「持続的な送達」という術語は、投与後の一定期間、好ましくは数日間、一週間又は数週間にわたった、陰イオン化合物のin vivoでの継続的な送達を包含するものとして意図されている。この陰イオン化合物の持続的な送達は、例えば当該陰イオン化合物の一定期間にわたる継続的な治療効果により実証することができる(例えば陰イオン化合物の持続的な送達は、神経細胞の死が一定期間にわたって継続的に阻害されることで実証が可能である)。あるいはその代わりに、本陰イオン化合物の持続的な送達を、当該陰イオン化合物のin vivoでの存在を一定期間にわたって検出することによって実証してもよい。
【0081】
ある一つの実施例では、当該の薬学的に容認可能な製剤は、その陰イオン化合物を被験体に投与してから30日未満、被験体に対する陰イオン化合物の持続的な送達を提供するものである。例えば、当該の薬学的に容認可能な製剤、例えば「遅延放出」製剤は、その陰イオン化合物を被験体に投与してから一、二、三又は四週間、被験体に対して陰イオン化合物の持続的な送達を提供するものでもよい。あるいは、当該の薬学的に容認可能な製剤は、その陰イオン化合物を被験体に投与してから30日間を越える期間、被験体に対して陰イオン化合物の持続的な送達を提供するものかも知れない。
【0082】
本発明の方法で用いられる薬学的製剤は、治療上有効量の陰イオン化合物を含有する。「治療上有効量」とは、所望の結果を達成するのに必要な用量及び期間で有効な量を言う。本陰イオン化合物の治療上の有効量は、被験体の疾患の状態、年齢及び体重や、被験体において所望の応答を引き出す上でのその陰イオン化合物の能力(単独での能力、又は一つ又はそれ以上のその他の薬剤と組み合わせたときの能力)などの因子に応じて様々であろう。投与用量計画は最適な治療応答をもたらすように調節してもよい。さらに治療上の有効量は、当該陰イオン化合物の毒性の又は有害な作用よりも、治療上の有益な作用の方が高いような量である。陰イオン化合物の治療上の有効濃度の非限定的な範囲は100mMから1mMである。さらに、特定の被験体に向けて、特定の投与用量計画を、ある一定期間にわたって、個々のニーズや、また、その陰イオン化合物を投与する又はその投与を監視する人物の職業的判断に応じて調節せねばならず、また、ここで掲げた投与用量範囲は単なる例であり、請求の範囲に記載された本発明の範囲又は実施を限定するものとは意図されていないことを理解されたい。
【0083】
本発明の好適な化合物には、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボキシレート、及び、これらの官能基の組合せを含む化合物、が含まれる。特に好適な化合物には、置換された及び置換されていない低級アルキル硫酸塩及びスルホン酸塩(1,4-ブタンジオールジスルフェート、1,5-ペンタンジスルホン酸ナトリウム、タウリン(2-アミノ-エタンスルホン酸ナトリウム)、及びホモタウリン(3-アミノプロパンスルホン酸)を含め、しかしこれらに限らない)がある。その他の好適な化合物には3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホネート、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン-エタンスルホネート、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド-3,4-二硫酸ナトリウム三水和物、4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸ナトリウム, 1,3,5-ペンタントリオール三硫酸ナトリウム、2-硫酸水素アミノエチル、ホスホノギ酸、ホスホノ酢酸、又はインジゴカルミンがある。好適な化合物は3-アミノプロパンスルホン酸、又はその塩である(例えば下の例を参照されたい)。
【0084】
別の態様では、本発明は、炎症性プロセス(例えば、アミロイド生成たんぱく又はペプチドの存在、又はアミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージの活性化、を原因とする炎症性プロセスなど)を阻害する方法を提供するものである。本方法は、例えばAβなどのアミロイド生成たんぱく又はペプチドによるマクロファージ活性化を阻害するなどにより、炎症性プロセスが阻害されるよう、治療上有効量の陰イオン化合物を、これを必要とする被験体(例えばアミロイド沈着を有する被験体)に投与するステップを含む。好適な実施例では、この被験体はアルツハイマー病患者である。いくつかの実施例では、この陰イオン化合物は式I又はIIで表される化合物である。好適な治療用化合物には、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボキシレート、及びこれらの官能基の組合せを含む化合物、が含まれる。特に好適な化合物には、置換された及び置換されていない低級アルキル硫酸塩及びスルホン酸塩 (1,4-ブタンジオールジスルフェート、1,5-ペンタンジスルホン酸ナトリウム、タウリン(2-アミノ-エタンスルホン酸ナトリウム)、及びホモタウリン(3-アミノプロパンスルホン酸)を含め、しかしこれらに限らない)がある。その他の好適な化合物には3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホネート、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン-エタンスルホネート、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド-3,4-二硫酸ナトリウム三水和物、4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸ナトリウム、1,3,5-ペンタントリオール三硫酸ナトリウム、 2-硫酸水素アミノエチル、ホスホノギ酸、ホスホノ酢酸、又はインジゴカルミンがある。好適な化合物は3-アミノプロパンスルホン酸、又はその塩である。
【0085】
例 1
マクロファージ(骨髄由来マクロファージ−RAW細胞)をAβ1−40原線維を加えた無血清媒質中で(Aβ1−40はAβたんぱくの残基1−40に相当するポリペプチドである)(最終濃度は2.5μM)、活性化の共誘起物質としてリポポリサッカリド(LPS)(0.01μg/ml)の存在下又は不在下でインキュベートした。このマクロファージを一晩インキュベートした。上清を採取し、炎症性サイトカインTNFα、IL−6や酸化窒素を測定した。TNFα、IL−6はELISAで測定し、NOはグリース試薬で測定した。
【0086】
陰性コントロールはLPS又はAβのみと一緒にインキュベートした細胞から構成した。陽性コントロールは、これらの細胞の最適な活性化を誘起することが判明している濃度のLPS及びIFNγと一緒にインキュベートした細胞から構成した。
【0087】
図1及び2に示すように、(溶液中に塩の形で存在する)3-アミノプロパンスルホン酸がAβ誘起TNFα生成の約60%を遮断することが判明したが、IL−6生成には影響が見られなかった。NO生成もまた、 3-アミノプロパンスルホン酸により阻害されたことが示されたが、この化合物はLPS及びIFNγの存在下でRAW細胞の生成するTNFα及びNOに対して何ら有意な影響は見せなかった。
【0088】
背景の項を含め、本出願を通じて引用された全参考文献、発行済み特許、及び公開済み特許出願の内容は参考としてここに編入されたものである。
【0089】
例 2
以下の例は、Aβの誘起する小グリア細胞の活性化を阻害する、本発明の化合物の能力を実証するものである。
【0090】
ヒト小グリア細胞THP−1細胞をLPS(リポポリサッカリド)(0.25μg/ml)で準備刺激し、次に5μMの繊維性Aβペプチドプレパラートと一緒にインキュベートした。細胞培養液上清中に放出されたIL−1βの量を測定することで活性化を調べた。細胞を化合物と一緒にインキュベートしたときに上清中に存在するサイトカイン(ここではIL−β)量を、(Aβと一緒にインキュベートした)コントロール細胞の上清で得られたそれと比較することによって、化合物が活性化プロセスを遮断/阻害する能力を判定した。
【0091】
細胞をスルホン酸化化合物、ここでは3-アミノプロパンスルホン酸で処置すると、IL−1β量の有意な減少(図3に示す)が10−7Mから10−3Mの濃度で見られ、小グリア細胞の阻害が示唆された。
【0092】
当業者であれば、ごく通常の実験を行うのみで、ここに説明した特定の手法の等価物を数多く、認識され、又は確認できることであろう。このような等価物は本発明の範囲内にあるとみなされ、また以下の請求の範囲の包含するところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 細胞培養において、様々な条件がマクロファージによる酸化窒素(NO)生成に及ぼす作用を示した棒グラフである。
【図2】 細胞培養において、様々な条件が、Aβの誘起する、マクロファージによるTNFα生成に及ぼす作用を示した棒グラフである。
【図3】 本発明の化合物、3-アミノプロパンスルホン酸がマクロファージの活性化を遮断又は阻害する能力を示したグラフである。

Claims (25)

  1. Aβアミロイド生成性タンパク質又はペプチドが存在するような状態又は疾患を有する被験体における炎症、神経細胞毒性、神経細胞死又は神経細胞消失の治療用の医薬製造のための、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸又は薬学的に許容可能なその塩の使用。
  2. 前記状態又は疾患がAβ沈着を特徴とする、請求項1に記載の使用。
  3. 前記状態又は疾患がアルツハイマー病である、請求項1又は2に記載の使用。
  4. Aβ誘導性マクロファージ活性化が被験体において阻害される、請求項1乃至3のいずれかに記載の使用。
  5. 前記被験体が脳内の炎症に罹患している、請求項1乃至4のいずれかに記載の使用。
  6. Aβ誘導性神経細胞死が被験体において阻害される、請求項1乃至5のいずれかに記載の使用。
  7. 被験体の脳内の可溶性Aβ誘導性神経細胞毒性が阻害される、請求項1乃至6のいずれかに記載の使用。
  8. 前記3−アミノ−1−プロパンスルホン酸又は薬学的に許容可能なその塩が3−アミノ−1−プロパンスルホン酸である、請求項1乃至7のいずれかに記載の使用。
  9. 前記3−アミノ−1−プロパンスルホン酸又は薬学的に許容可能なその塩が3−アミノ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムである、請求項1乃至7のいずれかに記載の使用。
  10. 前記医薬が経口投与用に適合される、請求項1乃至9のいずれかに記載の使用。
  11. 前記医薬が、アルツハイマー病に罹患している被験体における可溶性Aβ誘導性神経細胞毒性の治療用である、請求項1乃至10のいずれかに記載の使用。
  12. 前記医薬が、アルツハイマー病に罹患している被験体における炎症の治療用である、請求項1乃至10のいずれかに記載の使用。
  13. 前記医薬が、アルツハイマー病に罹患している被験体における神経細胞死の治療用である、請求項1乃至10のいずれかに記載の使用。
  14. 前記医薬が、アルツハイマー病に罹患している被験体における神経細胞消失の治療用である、請求項1乃至10のいずれかに記載の使用。
  15. Aβアミロイド生成性タンパク質又はペプチドが存在するような状態又は疾患を有する被験体における炎症、神経細胞毒性、神経細胞死又は神経細胞消失の治療に用いる治療用組成物であって、治療上有効量の3−アミノ−1−プロパンスルホン酸又は薬学的に許容可能なその塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む、治療用組成物。
  16. 前記状態又は疾患がAβ沈着を特徴とする、請求項15に記載の治療用組成物。
  17. 前記状態又は疾患がアルツハイマー病である、請求項15又は16に記載の治療用組成物。
  18. 炎症又はマクロファージ活性化が被験体において阻害される、請求項15乃至17のいずれかに記載の治療用組成物。
  19. 可溶性Aβ誘導性神経細胞毒性が被験体において阻害される、請求項15乃至17のいずれかに記載の治療用組成物。
  20. 神経細胞死が被験体において阻害される、請求項15乃至17のいずれかに記載の治療用組成物。
  21. 神経細胞消失が被験体において阻害される、請求項15乃至17のいずれかに記載の治療用組成物。
  22. 3−アミノ−1−プロパンスルホン酸を含む、請求項15乃至21のいずれかに記載の治療用組成物。
  23. 3−アミノ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを含む、請求項15乃至21のいずれかに記載の治療用組成物。
  24. 前記医薬組成物が経口投与用の形である、請求項15乃至23のいずれかに記載の治療用組成物。
  25. 前記医薬組成物が、中枢神経系への導入による投与用の形である、請求項15乃至23のいずれかに記載の治療用組成物。
JP2000531161A 1998-02-11 1999-02-11 マクロファージの活性化を調節する方法 Expired - Lifetime JP4574845B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7429598P 1998-02-11 1998-02-11
US60/074,295 1998-02-11
US24839699A 1999-02-10 1999-02-10
US09/248,396 1999-02-10
PCT/IB1999/000354 WO1999040909A1 (en) 1998-02-11 1999-02-11 Method for modulating macrophage activation

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002502871A JP2002502871A (ja) 2002-01-29
JP2002502871A5 JP2002502871A5 (ja) 2008-11-20
JP4574845B2 true JP4574845B2 (ja) 2010-11-04

Family

ID=26755484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000531161A Expired - Lifetime JP4574845B2 (ja) 1998-02-11 1999-02-11 マクロファージの活性化を調節する方法

Country Status (13)

Country Link
EP (1) EP1054664B1 (ja)
JP (1) JP4574845B2 (ja)
AU (1) AU2437899A (ja)
CA (2) CA2632106A1 (ja)
CY (1) CY1113205T1 (ja)
DK (1) DK1054664T3 (ja)
ES (1) ES2392391T3 (ja)
HK (1) HK1032915A1 (ja)
IL (1) IL137751A0 (ja)
MX (2) MX2008014823A (ja)
NZ (2) NZ568553A (ja)
PT (1) PT1054664E (ja)
WO (1) WO1999040909A1 (ja)

Families Citing this family (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5605938A (en) 1991-05-31 1997-02-25 Gliatech, Inc. Methods and compositions for inhibition of cell invasion and fibrosis using dextran sulfate
AU3726299A (en) * 1998-05-15 1999-12-06 Neurochem, Inc. Use of amyloid inhibitors for modulating neuronal cell death
US6310073B1 (en) 1998-07-28 2001-10-30 Queen's University At Kingston Methods and compositions to treat glycosaminoglycan-associated molecular interactions
DE60042896D1 (de) * 1999-04-28 2009-10-15 Bellus Health Int Ltd Zusammensetzungen und verfahren zur behandlung von amyloidosis mit sulphonatderivaten
AU5994900A (en) * 1999-07-09 2001-01-30 Isis Innovation Limited Compounds for inhibiting diseases and preparing cells for transplantation
EP1251837A2 (en) * 1999-12-23 2002-10-30 Neurochem, Inc. Compounds and methods for modulating cerebral amyloid angiopathy
US7105336B2 (en) * 2002-10-07 2006-09-12 Biogaia Ab Selection and use of lactic acid bacteria for reducing inflammation caused by Helicobacter
WO2004058239A1 (en) * 2002-12-24 2004-07-15 Neurochem (International) Limited Therapeutic formulations for the treatment of beta-amyloid related diseases
DE10303974A1 (de) 2003-01-31 2004-08-05 Abbott Gmbh & Co. Kg Amyloid-β(1-42)-Oligomere, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung
US20050142191A1 (en) * 2003-06-23 2005-06-30 Neurochem (International) Limited Pharmaceutical formulations of amyloid inhibiting compounds
US7253306B2 (en) 2003-06-23 2007-08-07 Neurochem (International) Limited Pharmaceutical drug candidates and methods for preparation thereof
EP1646659B1 (en) * 2003-06-23 2014-05-14 Kiacta Sàrl Method for the preparation of 1,3-propane disulfonic acid compounds
WO2006085149A2 (en) 2004-12-22 2006-08-17 Neurochem (International) Limited Methods and compositions for treating amyloid-related diseases
TW200716088A (en) * 2005-04-15 2007-05-01 Neurochem Int Ltd Formulations and methods for treating amyloidosis
PL2289909T3 (pl) 2005-11-30 2015-04-30 Abbvie Inc Sposób przeszukiwania, proces oczyszczania niedyfundujących oligomerów Abeta, selektywne przeciwciała przeciw niedyfundującym oligomerom Abeta i sposób wytwarzania tych przeciwciał
CN102898519B (zh) 2005-11-30 2015-10-28 Abbvie公司 抗淀粉样β蛋白的单克隆抗体及其用途
EP1968561B8 (en) 2005-12-22 2010-10-20 Kiacta Sàrl Treatment of diabetic nephropathy
DK2089417T3 (en) 2006-10-12 2015-03-23 Bhi Ltd Partnership Methods, Compounds, Compositions and Vehicles for Delivery of 3-Amion-1-Propanesulfonic Acid
US8455626B2 (en) 2006-11-30 2013-06-04 Abbott Laboratories Aβ conformer selective anti-aβ globulomer monoclonal antibodies
US20100311767A1 (en) 2007-02-27 2010-12-09 Abbott Gmbh & Co. Kg Method for the treatment of amyloidoses
US8048420B2 (en) 2007-06-12 2011-11-01 Ac Immune S.A. Monoclonal antibody
US8613923B2 (en) 2007-06-12 2013-12-24 Ac Immune S.A. Monoclonal antibody
WO2009048539A2 (en) 2007-10-05 2009-04-16 Genentech, Inc. Monoclonal antibody
JP2012517822A (ja) * 2009-02-19 2012-08-09 ガラパゴス・ナムローゼ・フェンノートシャップ 炎症を包含する疾患の診断及び治療に有用な同定方法及び化合物
SG10202100421XA (en) * 2009-09-17 2021-02-25 Bespoke Bioscience Llc Role of n-2 hydroxy-ethyl-piperazine-n'-2-ethane sulfonic acid (hepes) in pain control and reversal of demyelinization injury
EP2558494B1 (en) 2010-04-15 2018-05-23 AbbVie Inc. Amyloid-beta binding proteins
NZ606357A (en) 2010-07-30 2015-05-29 Genentech Inc Safe and functional humanized anti beta-amyloid antibody
US9062101B2 (en) 2010-08-14 2015-06-23 AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG Amyloid-beta binding proteins
WO2016163886A2 (en) * 2015-04-10 2016-10-13 Clues2Cure International B.V. Administration of taurine or an analog thereof for the treatment of nerve cell damage
CN109381452A (zh) * 2017-08-11 2019-02-26 江西青峰药业有限公司 乙基硫酸类化合物的应用及其制备方法
CN109381453A (zh) * 2017-08-14 2019-02-26 江西青峰药业有限公司 乙基硫酸钾在制备用于预防或治疗炎症性疾病药物中的应用
CN109394746A (zh) * 2017-08-15 2019-03-01 江西青峰药业有限公司 乙基硫酸铵在制备用于预防或治疗炎症性疾病药物中的应用
WO2023212289A1 (en) 2022-04-28 2023-11-02 Alzheon, Inc. Tramiprosate for treating apoe4-related diseases
WO2024119183A1 (en) 2022-12-02 2024-06-06 Alzheon, Inc. Methods for treating neurodegenerative disorders with tramiprosate

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1144937A (en) * 1977-12-22 1983-04-19 Dke J.E. Helgstrand Aromatic derivatives, pharmaceutical compositions and methods for combatting virus infections
US5087618A (en) * 1982-05-18 1992-02-11 University Of Florida Redox carriers for brain-specific drug delivery
US5463092A (en) * 1989-11-22 1995-10-31 Vestar, Inc. Lipid derivatives of phosphonacids for liposomal incorporation and method of use
US5276059A (en) * 1992-07-10 1994-01-04 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Inhibition of diseases associated with amyloid formation
US5840294A (en) * 1993-03-29 1998-11-24 Queen's University At Kingston Method for treating amyloidosis
US5643562A (en) * 1993-03-29 1997-07-01 Queen's University Of Kingston Method for treating amyloidosis
EP1614416A3 (en) * 1993-03-29 2009-07-01 BELLUS Health (International) Limited Method for treating amyloidosis
US5869469A (en) * 1997-08-18 1999-02-09 Queen's University At Kingston Phosphonocarboxylate compounds for treating amyloidosis
IL134619A0 (en) * 1997-08-18 2001-04-30 Univ Kingston Phosphono-carboxylate compounds for treating amyloidosis

Also Published As

Publication number Publication date
CA2320224A1 (en) 1999-08-19
MX2008014823A (es) 2009-03-06
JP2002502871A (ja) 2002-01-29
CA2632106A1 (en) 1999-08-19
PT1054664E (pt) 2012-11-02
NZ568553A (en) 2010-02-26
MXPA00007815A (es) 2002-04-24
ES2392391T3 (es) 2012-12-10
AU2437899A (en) 1999-08-30
CY1113205T1 (el) 2016-04-13
WO1999040909A1 (en) 1999-08-19
EP1054664B1 (en) 2012-08-08
CA2320224C (en) 2008-08-12
EP1054664A1 (en) 2000-11-29
NZ550199A (en) 2008-07-31
DK1054664T3 (da) 2012-11-05
HK1032915A1 (en) 2001-08-10
IL137751A0 (en) 2001-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4574845B2 (ja) マクロファージの活性化を調節する方法
KR20080003945A (ko) 대뇌 아밀로이드 혈관병증을 조절하는 화합물 및 방법
US20080249184A1 (en) Methods for modulating neuronal cell death
JP2002515429A (ja) ニューロン細胞死を調節する方法
JPH11501635A (ja) アミロイド症の治療法
EP2964218B1 (en) Prodrugs of multifunctional nitroxide derivatives and uses thereof
AU2006228064C1 (en) Method for modulating macrophage activation
JP2002503209A (ja) 著しく改善された抗腫瘍活性によるリポソーム抗腫瘍療法
EP4132469B1 (en) Administration of mtor inhibitors into the central nervous system
AU2006203051B2 (en) Use of amyloid inhibitors for modulating neuronal cell death
AU2008207470A1 (en) Use of amyloid inhibitors for modulating neuronal cell death
AU2006201445A1 (en) Compounds and methods for modulating cerebral amyloid angiopathy

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20051214

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090519

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090818

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090825

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090917

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100803

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term