JP2002515429A - ニューロン細胞死を調節する方法 - Google Patents

ニューロン細胞死を調節する方法

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JP2002515429A JP2000549236A JP2000549236A JP2002515429A JP 2002515429 A JP2002515429 A JP 2002515429A JP 2000549236 A JP2000549236 A JP 2000549236A JP 2000549236 A JP2000549236 A JP 2000549236A JP 2002515429 A JP2002515429 A JP 2002515429A
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フランシーヌ ジェルベ
ルイス アール. ラモンタグネ
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ネウロケム、インク
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Abstract

(57)【要約】 本発明はAβ誘導ニューロン細胞死を阻害する方法を提供するものである。さらに本発明は、被験体に神経保護を提供する方法と、被験体のAβ誘導ニューロン細胞死を特徴とする疾患状態を治療する方法とを提供するものである。p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を阻害する方法や、p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする被験体の疾患状態を治療する方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 本発明はニューロン細胞死を調節する方法に関する。
【0002】 発明の概要 アミロイドβ(Aβ)はアルツハイマー病の病因への関与が示唆されている神
経毒性ペプチドである。実際の脳の特定の領域にAβが細胞外沈着を起こすこと
が、アルツハイマー病の特徴の一つである。Aβペプチドは前駆たんぱくである
アミロイド−β前駆たんぱく(βAPP)の正常なたんぱく分解開裂を由来とす
る。脳内にいったん沈着すると、このAβペプチドは老人斑を形成するが、この
老人斑はアルツハイマー病患者の脳ではより多数が見つかっている。さらにAβ
ペプチドは、脳血管壁を浸潤し血管障害を起こすことが示されている。進行性の
ニューロン細胞消失に伴って、Aβアミロイド原線維が老人斑に沈着する。Aβ
ペプチドはいくつかのグループによりニューロンに対して毒性が高いことが示さ
れている。アミロイド斑は反応性グリオーシス、異栄養生神経突起及びアポトー
シス細胞に直接関係があるが、このことはこの斑が神経変性変化を誘起すること
を示唆している。試験管内では、AβはラットPC−12細胞で壊死性であるこ
とが示されているが、それは胎児ラットからの初代海馬及び分化前のヒト神経種
SH−SY5Y細胞系でアポトーシスを誘起する(Li et al.(199
6)Brain Research738:196−204)。
【0003】 ADに伴う神経変性は、原線維Aβの存在に結び付けられてきた。数多くの報
告で、Aβ原線維が神経変性を誘起できることが示されている。このような活性
は、Aβのβシート構造獲得が原因であるという仮説が立てられている。非原線
維性Aβはまたニューロンに対しては細胞毒性がないことが示されている。ラフ
ェルラ氏(1997)J.Clin.Invest.100(2):310−3
20)は、最近、ニューロン細胞が試験管内で可溶性Aβに曝露されたときに、
それらはアポトーシス性と場合があることを示した。いったん内部移行すると、
Aβペプチドは安定化し、アポトーシスの特徴であるDNA断片化を誘起する。
【0004】 βシート原線維の形成で主要な事象の一つは、細胞表面に存在する硫酸化プロ
テオグリカンへのAβペプチドの結合である。基底膜グリコサミノグリカン(G
AGs)があらゆる種類のアミロイドたんぱくと相互作用することが示されてい
る。GAGsのAβペプチドとの相互作用が不溶性の原線維の凝集及び形成によ
って有利になるコンフォメーション上の変化を誘導することが示唆されている。
【0005】 神経成長因子(NGF)もまた、分化した海馬ニューロンに対する神経毒性を
強めることが示されている(Yankner B.A.et al.(1990
)Proc.Natl.Acad.Sci.87:9020−23)。βアミロ
イド沈着物が、ニューロン細胞種、特にNGFに対して非反応性のもののNGF
レセプタを誘導するかも知れないことが示唆されている。
【0006】 例えばAβペプチドで誘導されるニューロン細胞死など、ニューロン細胞死に
関与する機序及び特異分子は依然、不明である。その結果、今日までのところで
は、例えば神経変性疾患など、ニューロン細胞死に関連する状態のための効果的
な治療は開発されていない。従ってニューロン細胞死を阻害する方法が、いまだ
に必要とされている。
【0007】 発明の概要 本発明は、Aβ誘導ニューロン細胞死及び/又はp75レセプタ伝達ニューロ
ン細胞死など、ニューロン細胞死を阻害する方法を提供するものである。本発明
は、少なくとも部分的には、Aβペプチドの結合、例えばAβペプチドの、細胞
表面に存在する硫酸GAGsへの結合に干渉し、ニューロン細胞のアポトーシス
又はネクローシスを防ぐ化合物の発見に基づくものである。
【0008】 従って、本発明は、Aβ誘導ニューロン細胞死を阻害する方法に関する。本方
法は、ニューロン細胞死が阻害されるように、ニューロン細胞をAβ干渉物質に
接触させるステップを含む。このAβ干渉物質は、Aβペプチドがアミロイド原
線維を形成する能力、及び/又は、Aβペプチドが細胞表面分子に結合する能力
に干渉することができる。細胞表面分子は、例えば、神経栄養レセプタ、例えば
アポトーシス関連p75レセプタ、血漿たんぱくが提示するたんぱく質、例えば
RAGE、又はグリコサミノグリカンであってもよい。Aβペプチドは可溶性型
でも、又は原線維型でもよい。
【0009】 実施例の一つでは、Aβ干渉物質は、エタンスルホン酸、1,2−エタンジス
ルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4−
ブタンジスルホン酸、1,5−ペンタンジスルホン酸、2−アミノエタンスルホ
ン酸、4−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸、及びこれらの薬学的に容認可能
な塩類のうちのいずれかから選択される。別の好適な実施例では、Aβ干渉物質
は、1−ブタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、
3−ペンタンスルホン酸、4−ヘプタンスルホン酸、及び薬学的に容認可能なこ
れらの塩類のうちのいずれかから選択される。さらに別の実施例では、Aβ干渉
物質は、1,7−ジヒドロキシ−4−ヘプタンスルホン酸、3−アミノ−1−プ
ロパンスルホン酸、又は薬学的に容認可能なこれらの塩類、のうちのいずれかか
ら選択される。別の実施例では、Aβは、細胞接着(aa10−16)を担う領
域であるGAG結合部位領域(13−16)や、又はβシート形成を担う領域(
16−21)など、Aβペプチドの特異領域と相互作用するペプチド又はペプチ
ドミメティックである。これらのペプチドは、Aβのd−ステレオイソマー、又
は、Aβペプチドの相補像である。
【0010】 本発明の別の態様は、神経保護が提供されるよう、Aβ干渉物質を被験体に投
与するステップを含む、被験体に神経保護を提供する方法に関するものである。
【0011】 実施例の一つでは、当該Aβ干渉物質は、Aβペプチドが細胞表面分子、例え
ばアポトーシス関連p75レセプタ、血漿たんぱくが提供するたんぱく質、例え
ばRAGE、又はグリコサミノグリカンや、神経栄養性レセプタなど、の細胞表
面分子に結合する能力に干渉するものである。Aβペプチドは可溶型でも原線維
型でもよい。
【0012】 ある実施例では、Aβ干渉物質は、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスル
ホン酸、1−プロパンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4−ブ
タンジスルホン酸、1,5−ペンタンジスルホン酸、2−アミノエタンスルホン
酸、4−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸、及び薬学的に容認可能なこれらの
塩類のうちのいずれかから選択される。別の好適な実施例では、Aβ干渉物質は
、1−ブタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、3
−ペンタンスルホン酸、4−ヘプタンスルホン酸、及び薬学的に容認可能なこれ
らの塩類、のうちのいずれかから選択される。さらに別の好適な実施例では、A
β干渉物質は、1,7−ジヒドロキシ−4−ヘプタンスルホン酸,3−アミノ−
1−プロパンスルホン酸、又は薬学的に容認可能なこれらの塩類である。
【0013】 ある実施例では、Aβ干渉物質は薬学的に容認可能な製剤に入れて投与される
。この薬学的に容認可能な製剤は、例えば脂質を基にした製剤、リポソーム製剤
、又は多小胞体リポソーム製剤など、分散系であってもよい。またこの薬学的に
容認可能な製剤は、例えばポリエステル(PLA、PLGA)、ポリエチレング
リコール、ポロキソマー、ポリ無水物、及びプルオロニックスなどの合成ポリマ
から選択されるか、又は、アルブミン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、コラ
ーゲン、フィブリン、ゼラチン、及びポリサッカリドなどの天然由来のポリマか
ら選択されるポリママトリックスを含んでいてもよい。別の好適な実施例では、
薬学的に容認可能な製剤は、Aβ干渉物質の被験体の送達を持続させるものであ
る。
【0014】 本発明のさらに別の態様は、被験体におけるAβ誘導ニューロン細胞死を特徴
とする疾患状態を治療する方法に関するものである。本方法は、Aβ誘導ニュー
ロン細胞死を特徴とする疾患状態が治療されるよう、被験体にAβ干渉物質を投
与するステップを含む。
【0015】 本発明の別の態様は、p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を阻害する方法に
関する。本方法は、ニューロン細胞を構造: を有する治療化合物に接触させるステップを含むが、ただしこのときYは、生
理的pHで陰イオンの基であり、Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であ
り、nは意図された標的部位への治療化合物の生体分布が妨げられないながらも
、当該治療化合物がコンドロイチン硫酸Aでないことを条件に、このようなニュ
ーロン細胞死が阻害されるよう、本治療化合物の活性が維持されるように選択さ
れる整数である。
【0016】 本発明の更なる態様は、神経保護を被験体に提供する方法に関するものである
。本方法は、被験体に対し、構造: を有する治療化合物を投与するステップを含むが、ただしこのときYは、生理
的pHで陰イオンの基であり、Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であり
、nは意図された標的部位への治療化合物の生体分布が妨げられないながらも、
当該治療化合物がコンドロイチン硫酸Aでないことを条件に、神経保護が提供さ
れるよう、本治療化合物の活性が維持されるように選択される整数である。
【0017】 別の態様では、本発明は、p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする
被験体の疾患状態を治療する方法を特徴とするものである。本方法は、被験体に
対し、構造: を有する治療化合物を投与するステップを含むが、ただしこのときYは、生理
的pHで陰イオンの基であり、Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であり
、nは意図された標的部位への治療化合物の生体分布が妨げられないながらも、
当該治療化合物がコンドロイチン硫酸Aでないことを条件に、p75レセプタ伝
達ニューロン細胞死を特徴とする疾患状態が治療されるよう、本治療化合物の活
性が維持されるように選択される整数である。
【0018】 さらに別の態様では、本発明は、p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を阻害
する方法を特徴とするものである。本方法は、ニューロン細胞を、構造: を有するp75レセプタ干渉物質に接触させるステップを含むが、ただしこのと
きZはXR又はR、R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂
肪族の基、アリール基、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、R
は水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、Rは水
素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Xは、それぞれ個別にO又はS
であり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒ
ドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは、ニューロン細
胞死が阻害されるような0から12までの整数である。
【0019】 更なる態様では、本発明は、神経保護を被験体に提供する方法を特徴とする。
本方法は、被験体に対して、構造: を有するp75レセプタ干渉物質を投与するステップを含むが、ただしこのとき
ZはXR又はRであり、R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置
換脂肪族の基、アリール基、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、
は水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、R
は水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Xは、それぞれ個別にO又
はSであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ
、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは、神経保護
が提供されるような0から12までの整数である。
【0020】 別の態様では、本発明は、p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする
、被験体の疾患状態を治療する方法を特徴とする。本方法は、被験体に対し、構
を有するp75レセプタ干渉物質を投与するステップを含むが、ただしこのとき
ZはXR又はRであり、R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置
換脂肪族の基、アリール基、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、
は水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、R
は水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Xは、それぞれ個別にO又
はSであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ
、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは、p75レ
セプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする前記疾患状態が治療されるような0か
ら12までの整数である。
【0021】 本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、及び請求の範囲から明
白となろう。
【0022】 本発明の詳細な説明 本発明は、少なくとも部分的には、Aβペプチドに干渉する化合物、例えばA
βペプチドが、細胞表面に存在する部位又は硫酸GAGsに結び付くのに干渉し
て、ニューロン細胞のアポトーシス又はネクローシスを防ぐ化合物の発見に基づ
くものである。
【0023】 本発明は、Aβ誘導ニューロン細胞死を阻害する方法に関する。本方法は、ニ
ューロン細胞死が阻害されるよう、ニューロン細胞をAβ干渉物質に接触させる
ステップを含む。
【0024】 ここで用いられる場合の「接触させる」という言語は、Aβ干渉物質又はp7
5レセプタ干渉物質が、ニューロン細胞のアポトーシスなどの死に対し、例えば
阻害などの調節をすることができるよう、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉
物質をニューロン細胞の近傍に置く生体内又は試験管内の方法の両方を含むもの
として意図されている。例えば、Aβ干渉物質を被験体に非経口、例えば静脈内
、皮内、皮下、経口(例えば吸入を介して)、経皮(局所)、経粘膜、又は直腸
を通じて投与することによって、ニューロン細胞をAβ干渉物質に生体内で接触
させてもよい。さらに、例えばAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質を、ニ
ューロン細胞を成長させた組織培養皿内に加えるなどによって、ニューロン細胞
を導いてもよい。
【0025】 さらに本発明は、神経保護が提供されるよう、Aβ干渉物質を被験体に投与す
るステップを含む、被験体に神経保護を提供する方法にも関する。
【0026】 ここで用いられる、「被験体」という術語は、ニューロン細胞死を特徴とする
状態に感受性のある動物、好ましくはほ乳類、最も好ましくはヒト、を含むもの
として意図されている。好適な実施例では、被験体は霊長類である。さらにより
好適な実施例では、この霊長類はヒトである。被験体のその他の例には、マウス
、ラット、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ及びウシなどの実験動物が含まれる
。この実験動物は、例えばアルツハイマー型の神経病理を持つトランスジェニッ
クマウスなど、疾患の動物モデルであってもよい。被験体は、アルツハイマー病
、又はパーキンソン病などの神経変性疾患に苦しむヒトであってもよいよい。
【0027】 ここで用いられるように、「神経保護」という術語は、Aβペプチドが誘導す
る細胞死、及び/又はアポトーシス関連p75レセプタが伝達する細胞死など、
細胞死から被験体のニューロン細胞を保護することを含むものとして意図されて
いる。神経保護には、例えば、細胞骨格の不安定化などのプロセスの阻害、ホス
ホリパーゼA2、カルシウム活性化プロテアーゼ、及びカルシウム活性化エンド
ヌクレアーゼなどの加水分解酵素の活性化、細胞対細胞連絡の減少又は不在につ
ながる細胞間結合の破壊、及び、細胞死、例えば即時−初期遺伝子など、細胞死
に関与する遺伝子発現の活性化、が含まれる。
【0028】 Aβ干渉物質及びp75レセプタ干渉物質 実施例の一つでは、本発明の方法は、担体分子に共有結合させた少なくとも一
つの陰イオン基を有する有効量のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質を、
ニューロン細胞に試験管内で接触させるか、又は被験体に生体内投与するステッ
プを含む。ここで用いられる場合の「Aβ干渉物質」とは、AβペプチドがAβ
原線維を形成する能力か、又は、例えば基底膜のプロテオグリカン成分、例えば
グリコサミノグリカン、アポトーシス関連p75レセプタなどの神経栄養性レセ
プタなどの細胞表面レセプタ、又は、RAGEなどの血漿たんぱくが提示するた
んぱく質など、細胞表面分子と相互作用する能力、に干渉することのできる化合
物を言う。Aβ干渉物質は、原線維又は非原線維Aβの両方の、アポトーシス関
連p75レセプタ又はRAGEなどの細胞表面分子と相互作用する能力に干渉す
ることができる。ここで用いられる「p75レセプタ干渉物質」とは、アポトー
シス関連p75レセプタが、ニューロン細胞の細胞死を伝達する能力に干渉する
ことのできる化合物を言う。p75レセプタ干渉物質は、p75レセプタのリガ
ンド結合部位を遮断することができるか、p75レセプタへの結合のための天然
リガンドと競合することができるか、又は、天然リガンド上のp75レセプタ結
合部位を遮断することができることで、リガンド−レセプタ相互作用を妨げるも
のである。特定の化合物に関する以下の説明、及び式は、Aβ干渉物質及びp7
5レセプタ干渉物質の両例に応用できることを理解されたい。
【0029】 Aβ干渉物質又はp75レセプタ−干渉物質は、構造: を有していてもよいが、ただしこのときYは生理pHで陰イオンの基であり、
Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であり、そしてnは整数である。陰イ
オンの基の数(「n」)は、意図された標的部位へのAβ干渉物質又はp75レ
セプタ干渉物質の生体分布が、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の活性
を維持しながらも妨げないよう、選択される。例えば陰イオンの基の数は、細胞
膜などの解剖学的障壁を通過したり、又は血液脳関門などの生理学的障壁を横切
って進入するなどを、このような性質が望ましい場合に妨げない程度の大きさと
なる。実施例の一つでは、nは1から10の間の整数である。別の実施例では、
nは3から8の間の整数である。これらの化合物は、その内容を参考文献として
ここに編入することとする米国特許第5,643,562号に説かれている。
【0030】 本発明のAβ干渉物質の陰イオン基は負に帯電した成分であり、この成分を担
体の基に結合させると、AβペプチドがAβ原線維を形成するのを阻害したり、
又は、基底膜のプロテオグリカン成分、例えばグリコサミノグリカンなど、細胞
表面レセプタ、例えばアポトーシス関連p75レセプタなどの神経栄養性レセプ
タなどや、又は、RAGEなどの血漿たんぱくが提示するたんぱく質、と相互作
用することで、ニューロン細胞死を妨げることができる。
【0031】 本発明のp75レセプタ干渉物質の陰イオン基は負に帯電した成分であり、こ
の成分を担体の基に結合させると、アポトーシス関連p75レセプタがニューロ
ン細胞の細胞死を伝達するのを阻害することができる。
【0032】 本発明の目的のためには、当該陰イオンの基は生理pHで負に帯電している。
好ましくは、本陰イオンのAβ干渉物質は硫酸化プロテオグリカンの構造を模倣
するものであり、即ち、硫酸化化合物又はその機能的等価物である。硫酸塩の「
機能的等価物」とは、スルファミン酸塩や生同配体などの化合物を含むものとし
て意図されている。生同配体は、伝統的な生同配体等価物と、非伝統的な生同配
体等価物の両方を包含する。硫酸基の伝統的及び非伝統的同配体は当業において
公知である(例えばSilverman,R.B.The Organic C
hemistry of Drug Design and Drug Act
ion,Academic Press,Inc.:San Diego,CA
,1992,pp.19−23を参照されたい)。従って、本発明のAβ干渉物
質には、スルホン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、
カルボン酸塩、及び以下の式: のヘテロ環の基を含む、少なくとも一つの陰イオンの基を含めることができる。
担体の基に応じて、二つ以上の陰イオンの基をこれに結合させてもよい。二つ以
上の陰イオンの基を担体の基に結合させる場合には、複数の陰イオンの基が同じ
構造の基(例えばすべてスルホン酸塩)、であっても、又はその代わりに、異な
る陰イオンの基の組み合わせを用いてもよい(例えばスルホン酸塩、ホスホン酸
塩、及び硫酸塩、等々)。
【0033】 本発明のAβ干渉物質が、Aβペプチドと、基底膜の糖たんぱく又はプロテオ
グリカン構成成分との間の相互作用する阻害する能力は、ルブーグル氏ら(19
98)J.of Neurochem.70(2):736−744が説いたよ
うな試験管内結合アッセイによって評価することができる。基底膜の構成成分、
好ましくはグリコサミノグリカン(GAG)を、例えば10,000cpmの特
異活性で放射標識した後、Aβ干渉物質の存在下又は不在下で、例えば5:1(
v/v)の割合でAβペプチド−セファロースビードと一緒にインキュベートす
ることができる。Aβペプチド−セファロースべーど及び放射標識したGAGは
、約30分間室温でインキュベートし、その後、このビードを、NaCl(0.
55M及び2M)を含有するTris緩衝液で連続的に洗浄してもよい。次に、
基底膜成分(例えばGAG)のAβペプチドへの結合を、洗浄液からの画分を採
集し、それらをシンチレーション計数にかけることで訃測してもよい。Aβペプ
チドと、基底膜の糖たんぱく又はプロテオグリカン構成成分、例えばGAG、と
の間の相互作用を阻害するAβ干渉物質は、洗浄液中で検出される放射能の量を
上昇させることであろう。
【0034】 好ましくは、本発明のAβ干渉物質が、Aβペプチドにおける基底膜糖たんぱ
く又はプロテオグリカンの結合部位に相互作用し、それによってAβペプチドの
基底膜構成成分、例えばGAG、への結合を阻害するとよい。基底膜糖たんぱく
及びプロテオグリカンには、GAG、ラミニン、コラーゲンタイプIV、フィブ
ロネクチン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が含まれる。好適な実
施例では、当該治療化合物は、AβペプチドとGAGとの間の相互作用を阻害す
るものである。アミロイド産生たんぱくにおけるGAGのためのコンセンサス結
合部位モチーフが解説されている(例えばHileman R.E.et al
.(1998)BioEssays20:156−167を参照されたい)。例
えば、GAGコンセンサス結合モチーフは一般式X−B−B−X−B−X又はX
−B−B−B−X−X−B−Xのものであってもよく、ただしこのときBは塩基
性アミノ酸(例えばリシン又はアルギニン)、であり、そしてXは水治療(原語
:hydropathic)アミノ酸である。さらにGAGコンセンサス結合モ
チーフは、一般式T−X−X−B−X−X−T−B−X−X−X−T−B−Bの
ものでもよく、ただしこのときTは塩基性アミノ酸のターンを規定し、Bは塩基
性アミノ酸(例えばリシン、アルギニン又は場合によってはグルタミン)であり
、そしてXは水治療アミノ酸である。一番目と二番目のターンの間の距離は約1
2オングストロームから17オングストロームの間であってよい。二番目及び三
番目のターンの間の距離は約14オングストロームであってもよい。一番目及び
三番目の間の距離は約13オングストロームから18オングストロームの間であ
ってもよい。ごく最近、AβのGAG結合部位ドメイン(即ち13−16領域)
:HHQK)が、Aβの小グリア細胞への付着に関与して、その活性を引き起こ
すことが示されている(D.Guilian,JBC 1998)。これらの結
果は、Aβの付着を、その特異的GAG結合部位を遮断することで干渉すれば、
Aβニューロン細胞死をなくせるだろうという「観念」を裏付けている。
【0035】 従って、本発明のAβ干渉物質においては、複数の陰イオンの基を担体の基に
つなげた場合、陰イオンの基同士の間の相対的距離は、陰イオンの基(例えばス
ルホン酸塩又はホスホン酸塩)が、選択的に、GAG結合部位内の塩基性残基と
相互作用するよう(またそれによってGAGのこの部位との相互作用を阻害する
よう)選択してもよい。例えば、陰イオンの基は、約15±1.5オングストロ
ーム、14±1.5オングストローム及び/又は16±1.5オングストローム
、又はこれらの適した倍数の距離をおいていることで、陰イオンの基同士の相対
的距離によって、Aβペプチドにおける基底膜構成成分(例えばGAG)にとっ
ての結合部位と最適に相互作用できるようになっていてもよい。
【0036】 好ましくは、本発明のp75レセプタ干渉物質が、p75レセプタのリガンド
結合部位を遮断できても、p75レセプタへの結合について天然のリガンドと競
合できても、又は天然リガンドのp75レセプタ結合部位を遮断できてもよい。
【0037】 本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、典型的には、さらに対
陽イオン(即ち一般式Q−[−Y]nのX)を含む。陽イオン基には正
に帯電した原子及び成分が含まれる。陽イオン基が水素、Hである場合、当該
化合物は、例えばエタンスルホン酸などの酸とみなされる。水素が金属又はその
等価物と置換された場合、当該化合物はこの酸の塩である。Aβ干渉物質又はp
75レセプタ干渉物質の薬学的に容認可能な塩類は本発明の範囲内にある。例え
ば、Xは薬学的に容認可能なアルカリ金属、アルカリ土類、多価の陽イオン、
ポリカチオン対イオン又はアンモニアであってもよい。好適な薬学的に容認可能
な塩類はナトリウム塩であるが、その他の塩類もまた、薬学的に容認可能な範囲
において考察されるところである。
【0038】 Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質内で、陰イオンの基は担体の基に共
有結合している。適した担体の基には、脂肪族の基、脂環式の基、ヘテロ環の基
、芳香族の基、及び、炭水化物、ポリマ、ペプチド、ペプチド誘導体、又はこれ
らの組み合わせを由来とする基が含まれる。担体の基は、例えば一つ又はそれ以
上のアミノ、ニトロ、ハロゲン、チオール又はヒドロキシル基で置換してもよい
【0039】 ここで用いられる「炭水化物」という術語は、置換された及び置換されていな
いモノ−、オリゴ−、及びポリサッカリドを含むものとして意図されている。モ
ノサッカリドは、組み合わせるとオリゴサッカリド又はポリサッカリドを形成す
ることのできる、通常式C12の単糖類である。モノサッカリドには、
モノサッカリドのD及びL型立体異性体の両方が含まれる。炭水化物は、各モノ
サッカリド成分に結合した複数の陰イオンの基を有していてもよい。例えば、八
硫酸スクロースでは、四つの硫酸基が二つのモノサッカリド成分のそれぞれに結
合している。
【0040】 ここで用いられる「ポリマ」という術語は、モノマと呼ばれる二つ又はそれ以
上の組み合わせのサブユニットが化学結合して形成される分子を含むものとして
意図されている。モノマは、多くの場合炭素を含み、比較的低分子量であり簡単
な構造をした分子又は化合物である。モノマは、それ自体を組み合わせて、又は
その他の類似の分子又は化合物を組み合わせてポリマに変化させることができる
。ポリマは単一の同一の繰り返しサブユニットか、又は複数の異なる繰り返しサ
ブユニット(コポリマ)から構成される。本発明の範囲内のポリマには、置換さ
れた及び置換されていないビニル、アクリル、スチレン及び炭水化物由来ポリマ
及びコポリマ並びにこれらの塩類が含まれる。実施例の一つでは、このポリマは
約800から1000ダルトンの分子量を有する。適した共有結合した陰イオン
の基(例えばスルホン酸塩又は硫酸塩)を持つポリマには、ポリ(2−アクリル
アミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−
2−メチル−1−プロパンスルホン酸−コ−アクリロニトリル);ポリ(2−ア
クリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸−コ−スチレン)、ポリ(
ビニルスルホン酸)、ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホン酸)、及びポリ(
アクリル酸)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、
及びポリ(ビニルアルコール)を由来とする硫酸塩及び/又はスルホン酸塩、及
び薬学的に容認可能なこれらの塩類、が含まれる。適した共有結合した陰イオン
の基を持つポリマの例には、式: のものが含まれるが、ただしこのときRはSOH又はOSOHであり、薬学
的に容認可能なこれらの塩類である。
【0041】 ペプチド及びペプチド誘導体はさらに担体としても働くことができる。「ペプ
チド」という術語には、ペプチド結合を介して共有結合した二つ以上のアミノ酸
が含まれる。ペプチド担体に用いることのできるアミノ酸には、グリシン、アラ
ニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メ
チオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン
、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、及びトリ
プトファンなど、たんぱく質に見られる天然発生型のアミノ酸が含まれる。アミ
ノ酸という術語には、さらに、天然発生型のアミノ酸の類似体、誘導体及び同族
体が含まれるが、これらのうちの一つ又はそれ以上はペプチド誘導体途中に存在
するものでもよい。例えばアミノ酸類似体は、適した官能基を持つ伸長された又
は短縮された側鎖又は変異側鎖を有するものでもよい。さらに、アミノ酸の構造
から立体異性体が形成可能である場合、アミノ酸のD型及びL型立体異性体であ
る。さらに「ペプチド誘導体」という術語は、ペプチド骨格を模倣するが、アミ
ノ酸ではない(いわゆるペプチドミメティックス)分子、例えばベンゾジアゼピ
ン分子など、を含む化合物を含む(例えばJames,G.L.et al.(
1993)Science 260:1937−1942)。陰イオンの基は、
特定のアミノ酸の側鎖上の官能基、又はその他の適した官能基を介してペプチド
又はペプチド誘導体に結合していてもよい。例えば、硫酸基はセリン残基のヒド
ロキシル側鎖を通じて結合していてもよい。ペプチドは、(上述したように)A
βペプチドにおける基底膜構成成分(例えばGAG)の結合部位と相互作用する
よう、デザインすることができる。従って、一実施例では、ペプチドは四つのア
ミノ酸を含み、陰イオンの基(例えばスルホン酸塩)は一番目、二番目及び四番
目のアミノ酸に結合している。例えば、このペプチドは Ser−Ser−Y−Serであってもよく、ただしこのとき陰イオンの基は各
セリン残基の側鎖に結合しており、Yは何らかのアミノ酸である。ペプチド及び
ペプチド誘導体に加えて、単一のアミノ酸を本発明のAβ干渉物質又はp75レ
セプタ干渉物質の担体として利用することができる。例えば、システイン酸、シ
ステインのスルホン酸誘導体を利用することができる。
【0042】 「脂肪族の基」という術語は、典型的には1から22個の炭素原子を有する、
直鎖又は分岐鎖を特徴とする有機化合物を含むものとして意図されている。脂肪
族の基にはアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が含まれる。複雑な構造
では、この鎖は分岐していても架橋していてもよい。アルキル基には、直鎖アル
キル基及び分岐鎖アルキル基を含め、一つ又はそれ以上の炭素原子を有する飽和
炭化水素が含まれる。このような炭化水素成分は、一つ又はそれ以上の炭素で、
例えばハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、アルコキシ、アルキルカル
ボキシ、アルキルチオ又はニトロ基で置換されてもよい。特に炭素の数をそうで
ないと明記する場合を除き、ここで用いられる「低級脂肪族」とは、上に定義し
た(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)通りの、しかし一
個から六個の炭素原子を有する脂肪族の基を意味する。このような低級脂肪族の
基、例えば低級アルキルなど、の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、s−ブチル、2−アミノブチル、イ
ソブチル、t−ブチル、3−チオペンチル、等々である。ここで用いられる「ア
ミノ」という術語は、−NH2を意味し、「ニトロ」という術語は−NO2を意
味し、「ハロゲン」という術語は−F、−Cl、−Br又は−Iを意味し、「チ
オール」という術語はSHを意味し、「ヒドロキシル」という術語は−OHを意
味する。このように、ここで用いられる「アルキルアミノ」という術語は、−N
HRを意味するがただしこのときRは上に定義した通りのアルキル基である。「
アルキルチオ」という術語は−SRを意味するが、ただしこのときRは上に定義
したとおりのアルキル基である。ここで用いられる「アルキルカルボキシル」と
いう術語は、−COORを意味するが、ただしこのときRは上に定義したとおり
のアルキル基である。ここで用いられる「アルコキシ」という術語は、−ORを
意味するが、ただしこのときRは上に定義したとおりのアルキル基である。代表
的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、等々
が含まれる。「アルケニル」及び「アルキニル」という術語は、不飽和脂肪族の
基であって、しかし少なくとも一つの二重又は三重結合をそれぞれ含むものを言
う。
【0043】 「脂環式の基」という術語は、三つ又はそれ以上の炭素原子の閉環構造を含む
ものとして意図されている。脂環式の基には、飽和環状炭化水素であるシクロパ
ラフィン又はナフテン、二つ又はそれ以上の二重結合を持って不飽和となったシ
クロオレフィン、及び三重結合を有するシクロアセチレンが含まれる。これらに
は芳香族の基が含まれない。シクロパラフィンの例にはシクロプロパン、シクロ
ヘキサン、及びシクロペンタンがある。シクロオレフィンの例には、シクロペン
タジエン及びシクロオクタテトラエンがある。脂環式の基には、さらに、縮合環
構造や、アルキル置換された脂環式の基など、置換された脂環式の基が含まれる
。脂環の場合、このような置換基にはさらに、低級アルキル、低級アルケニル、
低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボ
キシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CN、等々を含めることができる
【0044】 「ヘテロ環式の基」という術語は、環内の一つ又はそれ以上の原子が例えば窒
素又は酸素など、炭素以外の元素であるような閉環構造を含むものとして意図さ
れている。ヘテロ環式の基は飽和でも不飽和でもよく、ピロール及びフランなど
のヘテロ環式の基は芳香族の性質を有していてもよい。これらにはキノリン及び
イソキノリンなどの縮合環構造が含まれる。ヘテロ環式の基のその他の例にはピ
リジン及びプリンがある。ヘテロ環式の基は、さらに、一つ又はそれ以上の構成
原子の位置で、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキ
シ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニト
ロ、ヒドロキシル、−CF、−CN、等々で置換されてもよい。
【0045】 「芳香族の基」という術語は、一つ又はそれ以上の環を含む不飽和環状炭化水
素を含むものとして意図されている。芳香族の基には、5員環及び6員環の単一
環の基が含まれるが、この基にはゼロから4個のヘテロ原子が含まれていてもよ
く、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾ
ール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジ
ン及びピリミジン、等々である。芳香族の環は、一つ又はそれ以上の環位置で、
例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキ
ルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシ
ル、−CF、−CN、等々で置換されてもよい。
【0046】 本発明の方法の好適な実施例においては、被験体に投与されるAβ干渉物質は
、担体の基に共有結合した少なくとも一つのスルホン酸基、又は薬学的に容認可
能なその塩を含む。従って、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、構造
を有していてもよく、ただしこのときQは担体の基であり、Xは陽イオンの基
であり、そしてnは整数である。適した担体の基及び陽イオンの基は上に述べた
ものである。スルホン酸基の数(「n」)は、上述したように、意図された標的
部位への当該化合物の生体分布が、当該化合物の活性を維持しながらも妨げない
よう、選択される。実施例の一つでは、nは1から10までの間の整数である。
別の実施例では、nは3から8までの間の整数である。先に述べたように、複数
のスルホン酸基を持つAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、当該化合物
が、Aβペプチド内のHSPG結合部位と最適に相互作用するような距離を置い
たスルホン酸基を有していてもよい。
【0047】 好適な実施例では、スルホン酸塩のための担体の基は低級脂肪族の基(例えば
低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニル)、ヘテロ環式の基、及び
、ジサッカリド、ポリマ又はペプチドあるいはペプチド誘導体を由来とする基で
ある。さらに、担体は、例えば一つ又はそれ以上のアミノ、ニトロ、ハロゲン、
スルフヒドリル又はヒドロキシル基で置換されてもよい。いくつかの実施例では
、スルホン酸塩のための担体は芳香族の基である。
【0048】 適したスルホン酸化ポリマAβ干渉物質の例には、ポリ(2−アクリルアミド
−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メ
チル−1−プロパンスルホン酸−コ−アクリロニトリル)、ポリ(2−アクリル
アミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸−コ−スチレン)、ポリ(ビニル
スルホン酸)、ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホン酸)、ポリ(アクリル酸
)のスルホン酸誘導体、ポリ(メチルアクリレート)のスルホン酸誘導体、ポリ
(メチルメタクリレート)のスルホン酸誘導体、ポリ(ビニルアルコール)のス
ルホン酸誘導体、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類、がある。
【0049】 好適なスルホン酸化ポリマはポリ(ビニルスルホン酸)(PVS)又は薬学的
に容認可能なその塩、好ましくはそのナトリウム塩である。実施例の一つでは、
分子量が約800から1000ダルトンのPVSを用いる。PVSは立体異性体
の混合物として、又は、単一の活性異性体として用いてもよい。
【0050】 好適なスルホン酸化サッカリドには5−デオキシ−1,2−O−イソプロピリ
デン−α−D−キシロフラノース−5−スルホン酸(VIII、ナトリウム塩と
して示した)がある。
【0051】 本発明で用いるのに好適な低級脂肪族スルホン酸化Aβ干渉物質には、エタン
スルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)、システイン酸(3−ス
ルホアラニン又はα−アミノ−β−スルホプロピオン酸)、1−プロパンスルホ
ン酸、1,2−エタンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4−
ブタンジスルホン酸、1,5−ペンタンジスルホン酸、及び4−ヒドロキシブタ
ン−1−スルホン酸(VIII、ナトリウム塩として示した)及び薬学的に容認
可能なこれらの塩類、がある。本発明での使用が考察されるその他の脂肪族のス
ルホン酸化Aβ干渉物質には、1−ブタンスルホン酸(XLVII、ナトリウム
塩として示した)、2−プロパンスルホン酸(XLIX、ナトリウム塩として示
した)、3−ペンタンスルホン酸(L、ナトリウム塩として示した)、4−ヘプ
タンスルホン酸(LII、ナトリウム塩として示した)、1−デカンスルホン酸
(XLVIII、ナトリウム塩として示した)、及び薬学的に容認可能なこれら
の塩類、がある。本発明での利用が考察されるスルホン酸置換脂肪族のAβ干渉
物質には、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸(XXII、ナトリウム塩とし
て示した)、3−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸硫酸塩(XXXV、ジナ
トリウム塩として示した)、1,7−ジヒドロキシ−4−ヘプタンスルホン酸(
LIII、ナトリウム塩として示した)、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類
、がある。本発明での利用が考察されるさらに別のスルホン酸化化合物には、2
−[4−ピリジニル)アミド]エタンスルホン酸(LIV、ナトリウム塩として
示した)、及び薬学的に容認可能なその塩類、が含まれる。
【0052】 好適なヘテロ環式のスルホン酸化Aβ干渉物質には、3−(N−モルホリノ)
−1−プロパンスルホン酸、及びテトラヒドロチオフェン−1,1−ジスルホン
酸−3,4−ジスルホン酸、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類、がある。
【0053】 芳香族スルホン酸化Aβ干渉物質には、1,3−ベンゼンジスルホン酸(XX
XVI、ジナトリウム塩として示した)、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゼ
ンジスルホン酸(ジナトリウム塩として示した、XXXVII、又はジカリウム
塩として示した、XXXIX)4−アミノ−3−ヒドロキシ−1−ナフタレンス
ルホン酸(XLIII)、3,4−ジアミノ−1−ナフタレンスルホン酸(XL
IV)、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類、がある。
【0054】 本発明の方法の別の実施例では、被験体に投与されるAβ干渉物質は、担体の
基に共有結合した少なくとも一つの硫酸基、又はその薬学的に容認可能な塩を含
む。従って、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、構造: を有していてもよく、ただしこのときQは担体の基であり、Xは陽イオンの基
であり、そしてnは整数である。適した担体及び陽イオンの基はここで上述した
ものである。硫酸基の数(「n」)は、上述したように、意図された標的部位へ
の当該化合物の生体分布が、当該Aβ干渉物質物の活性を維持しながらも妨げな
いよう、選択される。実施例の一つでは、nは1から10までの間の整数である
。別の実施例では、nは3から8までの間の整数である。先に述べたように、複
数の硫酸基を持つAβ干渉物質は、当該化合物が、Aβペプチド内のGAG結合
部位と最適に相互作用するような距離を置いた硫酸基を有していてもよい。
【0055】 好適な実施例では、硫酸塩のための担体の基は低級脂肪族の基(例えば低級ア
ルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニル)、芳香族の基や、ジサッカリド
、ポリマ又はペプチドあるいはペプチド誘導体を由来とする基である。さらに、
担体は、例えば一つ又はそれ以上のアミノ、ニトロ、ハロゲン、スルフヒドリル
又はヒドロキシル基で置換されてもよい。
【0056】 適した硫酸化ポリマAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の例には、ポリ
(2−アクリルアミド−2−メチル−プロピル硫酸)、ポリ(2−アクリルアミ
ド−2−メチル−プロピル硫酸−コ−アクリロニトリル)、ポリ(2−アクリル
アミド−2−メチル−プロピル硫酸−コ−スチレン)、ポリ(ビニル硫酸)、ポ
リ(ナトリウム4−スチレン硫酸)、ポリ(アクリル酸)の硫酸誘導体、ポリ(
メチルアクリレート)の硫酸誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)の硫酸誘導
体、及びポリ(ビニルアルコール)の硫酸誘導体、並びに薬学的に容認可能なこ
れらの塩類、がある。
【0057】 好適な硫酸化ポリマはポリ(ビニル硫酸)又は薬学的に容認可能なその塩であ
る。
【0058】 好適な硫酸化ジサッカリドは、八硫酸スクロース又は薬学的に容認可能なその
塩である。本発明での利用が考察されるその他のサッカリドには、メチル−α−
D−グルコピラノシド2,3−ジスルフェート(XVI)、メチル4,6−O−
ベンジリデン−α−D−グルコピラノシド2,3−ジスルフェート(XVII)
、2,3,4,3′,4′−五硫酸スクロース(XXXIII)、1,3:4,
6−ジ−O−ベンジリデン−D−マンニトール2,5−ジスルフェート(XLI
)、D−マンニトール2,5−ジスルフェート(XLII)、2,5−ジ−O−
ベンジル−D−四硫酸マンニトール(XLV)の酸型、及び薬学的に容認可能な
これらの塩類、が含まれる。
【0059】 本発明で利用するのに好適な低級脂肪族の硫酸化Aβ干渉物質には、エチル硫
酸、2−アミノエタン−1−オル硫酸、1−プロパノール硫酸、1.2−エタン
ジオール二硫酸、1,3−プロパンジオール二硫酸、1,4−ブタンジオール二
硫酸、1,5−ペンタンジオール二硫酸、及び1,4−ブタンジオールモノ硫酸
、並びに薬学的に容認可能なこれらの塩類、がある。本発明で利用が考察された
その他の硫酸化脂肪族のAβ干渉物質には、1,3−シクロヘキサンジオール二
硫酸(XL)、1,3,5−ヘプタントリオル三硫酸(XIX)、2−ヒドロキ
シメチル−1,3−プロパンジオール三硫酸(XX)、2−ヒドロキシメチル−
2−メチル−1,3−プロパンジオール三硫酸、(XXI)、1,3,5,7−
ヘプタンテトラオル四硫酸(XLVI)、1,3,5,7,9−ノナン五硫酸(
LI)の酸型、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類、が含まれる。本発明での
利用が考察されたその他のAβ干渉物質には2−アミノ−2−ヒドロキシメチル
−1,3−プロパンジオール三硫酸(XXIV)、2−ベンジルオキシ−1,3
−プロパンジオール二硫酸(XXIX)、3−ヒドロキシプロピルスルファミン
酸硫酸(XXX)2,2′−イミノエタノール二硫酸(XXXI)、N,N−ビ
ス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸二硫酸(XXXII)の酸型、及び
薬学的に容認可能なこれらの塩類、がある。
【0060】 好適なヘテロ環式の硫酸化Aβ干渉物質には、3−(N−モルホリノ)−1−
プロピル硫酸、及びテトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール−1,1−ジス
ルホン酸二硫酸、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類、が含まれる。
【0061】 本発明はさらに、生体内で転化して、本発明の方法で用いられるAβ干渉物質
になるプロドラッグの利用も考察するところである(例えばR.B.Silve
rman,1992,″The Organic Chemistry of
Drug Design and Drug Action″,Academi
c Press,Chp.を参照されたい)。このようなプロドラッグを用いる
と、Aβ干渉物質の生体分布(例えば通常は血液脳関門を通過しないような化合
物に血液脳関門を通過させるなど)又は薬物動態を変化させることができる。例
えば、陰イオン基、例えば硫酸塩又はスルホン酸塩)を、メチル基又はフェニル
基などでエステル化すると、硫酸エステル又はスルホン酸エステルを生じさせる
ことができる。この硫酸又はスルホン酸エステルを被験体に投与すると、このエ
ステルは酵素的又は非酵素的、還元又は加水分解により開裂して陰イオン基が現
れることとなる。このようなエステルは、例えば環状スルフェート又はスルトン
など、環状であってもよく、又は、二つ又はそれ以上の陰イオン成分を結合基を
介してエステル化させてもよい。代表的な環状のAβ干渉物質には、例えば、2
−スルホ安息香酸環状無水物(LV)、1.3−プロパンスルトン(LVI)、
1,4−ブタンスルトン(LVII)、1,3−ブタンジオール環状硫酸塩(L
VIII)、α−クロロ−α−ヒドロキシ−o−トルエンスルホン酸γ−スルト
ン(LIX)、及び6−ニトロナフタ−[1,8−cd]−1,2,−オキサチ
オール2,2−ジオキシド(LX)、がある。好適な実施例では、このプロドラ
ッグは環状のスルフェート又はスルトンである。陰イオン基は、開裂すると中間
のAβ干渉物質が洗われるような成分(例えばアシルオキシメチルエステルなど
)でエステル化すると、この成分が分解したときに活性Aβ干渉物質が生じるこ
ととなる。別の実施例では、このプロドラッグは、生体内で酸化するとAβ干渉
物質になるチオールなどの硫酸塩又はスルホン酸塩の還元型である。さらに、陰
イオン成分は、生体内で能動輸送される、又は標的の器官によって選択的に取り
込まれる基にエステル化してもよい。このエステルは、担体成分について下に説
明するように、Aβ干渉物質の特異的ターゲッティングが可能なように選択する
ことができる。
【0062】 Aβ干渉物質で利用できる担体の基には、前に説明したような基、例えば脂肪
族の基、脂環式の基、ヘテロ環式の基、芳香族の基、炭化水素、ポリマ、ペプチ
ド、ペプチド誘導体、又はこれらの組み合わせを由来とする基、が含まれる。適
したポリマには、置換された及び置換されていないビニル、アクリル、スチレン
、及び炭化水素由来ポリマ及びコポリマ並びに塩類が含まれる。好適な担体の基
には、低級アルキル基、ヘテロ環式の基、ジサッカリド、ポリマ、ペプチド、又
はペプチド誘導体がある。
【0063】 本発明において有用な担体の基は、Aβ干渉物質を標的の一つの器官又は複数
の器官に選択的に送達可能とする成分を含んでいてもよい。例えば、Aβ干渉物
質の脳内への送達が望まれる場合、担体の基には能動又は受動的輸送のいずれか
によって脳内にAβ干渉物質をターゲッティングすることのできる成分(「ター
ゲッティング成分」)を含めてもよい。実例を挙げると、担体の基には、例えば
、両方ともボドール氏の特許である米国特許第4,540,564号及び第5,
389,623号に説かれているレドックス成分が含まれていてもよい。これら
の特許は、脳内に進入して、そこで酸化して電荷を持ったジヒドロピリジニウム
種になり、これが脳に捕獲させることのできるジヒドロピリジン成分に結合させ
た薬剤を開示している。このように、薬剤は脳内に蓄積する。この発明の代表的
なピリジン/ジヒドロピリジン化合物には、ナトリウム2−(ニコチニルアミド
)−エタンスルホネート(LXII)、及び1−(3−スルホプロピル)−ピリ
ジニウムベタイン(LXIII)がある。その他の担体の基には、生体内で受動
又は能動輸送することのできる、アミノ酸又はチロキシンなどを由来とするもの
など、の基が含まれる。代表的な化合物はフェニルアラニルタウリン(LXIX
)であるが、この化合物内では、タウリン分子がフェニルアラニン(大型の神経
アミノ酸)に抱合している。このような担体成分は代謝により生体内で除去され
るか、又は活性Aβ干渉物質の一部としてそのまま残るものでもよい。アミノ酸
の構造擬態(及びその他の能動輸送される成分)もまた、本発明の考察するとこ
ろである(例えば1−(アミノメチル)−1−(スルホメチル)−シクロヘキサ
ン(LXX)。その他の代表的なアミノ酸擬態には、p−(スルホメチル)フェ
ニルアラニン(LXXII)、p−(1,3−ジスルホプロプ−2−イル)フェ
ニルアラニン(LXXIII)、及びO−(1,3−ジスルホプロプ−2−イル
)チロシン(LXXIV)がある。代表的なチロキシン擬態には化合物LXXV
、LXVI、及びLXXVIIがある。数多くのターゲティング成分が公知であ
るが、例えばアシアロ糖たんぱく(例えばウー氏の米国特許第5,166,32
0号を参照されたい)及び、レセプタ伝達エンドサイトーシスを介して細胞内に
輸送されるその他のリガンド(担体分子に共有又は非共有的に結合させることの
できるターゲッティング成分の例については、さらに以下を参照されたい)がこ
れに含まれる。さらに、本発明のAβ干渉物質は、血流中でアミロイド産生たん
ぱく、例えばAβペプチドなど、に結合することで作用部位に輸送されるものと
してもよい。
【0064】 上述したターゲッティング及びプロドラッグ戦略を組み合わせると、目的の作
用部位にプロドラッグとして輸送され、その後被いが剥がされて活性Aβ干渉物
質が現れるようなAβ干渉物質を作製することができる。例えば、ボドール氏の
ジヒドロピリン戦略(上を参照のこと)を環状のプロドラッグに組み合わせ、例
えば2−(1−メチル−1,4−ジヒドロニコチル)アミドメチル−プロパンス
ルトン(LXXI)とすることができる。
【0065】 実施例の一つでは、薬剤組成中のAβ干渉物質は、スルホン酸化ポリマ、例え
ばポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ(
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸−コ−アクリロニト
リル)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸−コ
−スチレン)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ナトリウム4−スチレンスル
ホン酸)、ポリ(アクリル酸)のスルホン酸化誘導体、ポリ(メチルアクリレー
ト)のスルホン酸化誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)のスルホン酸化誘導
体、及びポリ(ビニルアルコール)のスルホン酸化誘導体、並びに薬学的に容認
可能なこれらの塩類、である。
【0066】 別の実施例では、薬剤組成中のAβ干渉物質は、硫酸化ポリマ、例えばポリ(
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロピル硫酸)、ポリ(2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロピル硫酸−コ−アクリロニトリル)、ポリ(2−ア
クリルアミド−2−メチル−1−プロピル硫酸−コ−スチレン)、ポリ(ビニル
硫酸)、ポリ(ナトリウム4−スチレン硫酸)、ポリ(アクリル酸)の硫酸化誘
導体、ポリ(メチルアクリレート)の硫酸化誘導体、ポリ(メチルメタクリレー
ト)の硫酸化誘導体、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類、である。
【0067】 本Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質はさらに構造: を有していてもよく、ただしこのときZはXR又はRであり、R及びR
はそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂肪族の基(好ましくは分岐又は直鎖の
脂肪族成分であって、1から24個の炭素原子を鎖内に有するもの、又は未置換
又は置換された環状の脂肪族成分であって脂肪族の環内に4から7個の炭素原子
を有するものである。好適な脂肪族及び環状脂肪族の基はアルキル基、より好ま
しくは低級アルキルである。)、アリール基、ヘテロ環の基、又は塩を形成する
陽イオンであり、Rは水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イ
オンであり、Xは、それぞれ個別にO又はSであり、Rは水素、低級アルキル
、アリール又はアミノであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン(
例えばF、Cl、Br、又はI)、低級アルキル、アミノ(アルキルアミノ、ジ
アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールア
ミノを含む)、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてn
は(アミロイド沈着が阻害されるような)0から12まで(より好ましくは0か
ら6まで、より好ましくは0又は1)の整数である。これらの化合物は、その内
容を参考としてここに編入することとする米国出願番号08/912,574号
に説かれている。
【0068】 本発明で用いるのに好適なAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質には、R
及びRの両方が薬学的に容認可能な塩を形成する陽イオンであるような化合
物が含まれる。陰イオン化合物の、塩を形成する対イオン(存在する場合)に対
する化学量論は、化合物の陰イオン部分(存在する場合)の電荷、及び対イオン
の電荷に依存して様々であろうことは理解されよう。特に好適な実施例では、R
、R及びRはそれぞれ個別にナトリウム、カリウム又はカルシウム陽イオ
ンである。R及びRの少なくとも一方が脂肪族の基であるような実施例では
、この脂肪族の基は1から10個の間の炭素原子をその直鎖又は分岐鎖に有して
おり、またより好ましくは低級アルキル基である。R及びRの少なくとも一
方が脂肪族の基である別の実施例では、その脂肪族の基は10から24個の間の
炭素原子をその直鎖又は分岐鎖に有する。いくつかの好適な実施例では、nは0
又は1であり、より好ましくは、nは0である。本治療化合物のいくつかの好適
な実施例では、Y及びYはそれぞれ水素である。
【0069】 いくつかの好適な実施例では、本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉
物質は構造: を有していてもよく、ただしこのときR、R、R、Y、Y、X及びn
は上に定義したとおりである。より好適な実施例では、本発明のAβ干渉物質又
はp75レセプタ干渉物質は構造: を有していてもよく、ただしこのときR、R、R、Y、Y、X及びn
は上に定義したとおりであり、R及びRはそれぞれ個別に水素、アルキル、
アリール又はヘテロシクリルであるか、又はR及びRをこれらが結合した窒
素原子と一緒に捉えると、環内に3から8個の原子を有する環状成分を形成する
ものであり、そしてnは0から6までの整数である。いくつかの好適な実施例で
は、R及びRはそれぞれ水素である。いくつかの好適な実施例では、本発明
の化合物はα−アミノ酸(又はα−アミノ酸エステル)、より好ましくはL−α
−アミノ酸又はエステルである。
【0070】 Z、R、R、R、Y、Y、及びX基はそれぞれ個別に、意図された
標的部位へののAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の生体分布が妨げられ
ないながらも、当該Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の活性が維持され
るように選択される。例えば、陰イオン基の数は、細胞膜などの解剖学的障壁を
通過したり、又は血液脳関門などの生理学的障壁を横切って進入するなどを、こ
のような性質が望ましい場合にこれを妨げない程度の大きさとなる。例えば、ホ
スホノギ酸塩のエステルは、ホスホノギ酸塩の生態分布特性とは異なる、そして
場合によっては優れた生体特性を有することが報告されている(例えばヘルグス
トランド氏らの米国特許第4,386,081号及び第4,591,583号及
びホルステットラー氏の米国特許第5,194,654号及び第5,463,0
92号を参照されたい)。このように、いくつかの実施例では、R及びR
少なくとも一方は脂肪族の基(より好ましくはアルキル基)であり、このときこ
の脂肪族の基は10から24個の間の炭素原子をその直鎖又は分岐鎖に有する。
脂肪族の鎖の数、長さ及び分岐の程度は、親油性など、希望の性質を提供するよ
うに選択してもよい。別の実施例では、R及びRの少なくとも一方は脂肪族
の基(より好ましくはアルキル基)であるが、このときこの脂肪族の基は1から
10個の間の炭素原子をその直鎖又は分岐鎖に有する。やはり、脂肪族の鎖の数
、長さ及び分岐の程度は、親油性、又は、酵素によるエステル開裂などの容易さ
など、希望の性質を提供するように選択してもよい。いくつかの実施例では、好
適な脂肪族の基はエチル基である。
【0071】 別の実施例では、本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は構造:
を有していてもよく、ただしこのときGは水素、又は、そのアリール環上の一つ
又はそれ以上の置換基(例えばアルキル、アリール、ハロゲン、アミノ、等々)
を表し、Lは置換アルキル基(いくつかの実施例では、好ましくは低級アルキル
)、より好ましくはヒドロキシル置換アルキル、又は、ヌクレオシド塩基で置換
されたアルキルである。いくつかの実施例では、Gは水素又は電子供与基である
。Gが電子求引基である実施例では、Gは好ましくはメタ位置にある電子求引基
であるとよい。「電子求引基」という術語は当業で公知であり、ここで用いられ
る場合、水素よりも電子求引性の大きい基を言う。様々な電子求引基が公知であ
るが、その中にはハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード基な
ど)、ニトロ、シアノ、等々がある。同様に、ここで用いられる「電子供与基」
という術語は、水素よりも電子求引性の小さい基を言う。Gが電子供与基である
実施例では、Gは、オルト、メタ、又はパラ位置にあってもよい。
【0072】 いくつかの好適な実施例では、Lは から選択される成分である。
【0073】 表1−2は、当業で公知の技術を用いたこれらの化合物の特徴付けに関するデ
ータである。表1−2の化合物IVa−IVgは以下の構造に相当するが、この
構造においてLは同じ番号を付した上記のリストから選択される基である(グル
ープIVa−IVg) 表1 表2
【0074】 本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の陰イオン基(即ちリン酸
基又はカルボン酸基)は、負に帯電した成分であり、この成分は、いくつかの好
適な実施例では、Aβペプチドと基底膜成分、例えばGAG又はp75レセプタ
との間の相互作用を調節することで、例えばAβ原線維又は細胞死を調節するこ
とができる。
【0075】 本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質のいくつかの構造は非対称
の炭素原子を含むことに注目されよう。従って、このような非対称性から生ずる
異性体(例えばエナンチオマ及びジアステレオマ)は本発明の範囲に含まれる。
このような異性体は、伝統的な分離技術や、立体制御された合成によってほぼ純
粋な形で得ることができる。この出願の目的のために、そうでないと特に明示す
る場合を除き、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、各キラル中心にお
けるR又はS立体異性体の両方を含むものとして考えられよう。
【0076】 いくつかの実施例では、本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は
、陽イオンを含む(即ち、いくつかの実施例では、R、R、又はRのうち
の少なくとも一つが陽イオンである)。陽イオン基が水素、Hである場合、A
β干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は酸、例えばホスホノギ酸と見なされる
。水素が金属イオン又はその等価物で置換された場合には、そのAβ干渉物質又
はp75レセプタ干渉物質はその酸の塩である。Aβ干渉物質又はp75レセプ
タ干渉物質の薬学的に容認可能な塩類は本発明の範囲内にある。例えば、R
、又はRのうちの少なくとも一つは、薬学的に容認可能なアルカリ金属(
例えばLi、Na、又はK)、アンモニウム陽イオン、アルカリ土類陽イオン(
例えばCa2+、Ba2+、Mg2+、多価の陽イオン、又は多価の陽イオン性
対イオン(例えばポリアンモニウム陽イオン)であってもよい。(例えば、Be
rge et al.(1977)″Pharmaceutical Salt
s″,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照されたい)。陰イオン化
合物の、塩を形成する対イオン(存在する場合)に対する化学量論は、化合物の
陰イオン部分(存在する場合)の電荷、及び対イオンの電荷に依存して様々であ
ろうことは理解されよう。好適な薬学的に容認可能な塩類には、ナトリウム、カ
リウム又はカルシウム塩があるが、その他の塩類もまた、それらの薬学的に容認
可能な範囲で考察されるところである。
【0077】 「薬学的に容認可能なエステル」という術語は、本発明のAβ干渉物質又はp
75レセプタ干渉物質の比較的に非毒性の、エステル化生成物を言う。これらの
エステルは、当該Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の最終的な単離及び
精製中にin situで調製したり、又は、精製されたAβ干渉物質又はp7
5レセプタ干渉物質をその遊離酸型又はヒドロキシルの状態で、適切なエステル
化剤と別々に反応させることによって調製することができるが、どちらも当業者
に公知の方法である。例えば触媒の存在下でアルコールで処理するなど、当業で
公知の方法に基づいて、カルボン酸及びホスホン酸を転化させてエステルにする
ことができる。好適なエステル基(例えばRは低級アルキルである)はエチル
エステル基である。
【0078】 「アルキル」という術語は飽和脂肪族の基を言い、直鎖アルキル基、分枝鎖ア
ルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及び
シクロアルキル置換アルキル基を含む。好適な実施例では、直鎖又は分枝鎖アル
キルは30個以下の炭素原子をその主鎖に有する(例えば直鎖であればC−C
30に、分枝鎖であればC−C30に)が、より好ましくは20個以下である
とよい。同様に、好適なシクロアルキルは4から10個の炭素原子をそれらの環
構造に有するが、より好ましくは4から7個の炭素原子をその環構造に有すると
よい。「低級アルキル」という術語は1から6個の炭素をその鎖に有するアルキ
ル基と、3から6個の炭素をその環構造に有するシクロアルキルとを言う。
【0079】 さらに、本明細書及び請求の範囲を通じて用いられる「アルキル」(「低級ア
ルキル」を含む)という術語は、「置換されていないアルキル」及び「置換され
たアルキル」の両方を含むものとして意図されているが、後者は炭化水素の主鎖
の一つ又はそれ以上の炭素に結合した水素が置換基に置換されたアルキル成分を
言う。このような置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカル
ボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリ
ールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコ
キシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、
ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミ
ノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリ
ールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカル
ボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフ
ヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート
、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチ
ル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族又はヘテロ芳香
族の成分を含めることができる。当業者であれば、炭化水素の鎖で置換された成
分はそれら自体、適宜置換されてもよいことは理解されよう。シクロアルキルは
、例えば上述したような置換基などでさらに置換されてもよい。「アラルキル」
成分とは、アリールで置換されたアルキルである(例えばフェニルメチル(ベン
ジル)など)。
【0080】 ここで用いられる「アルコキシ」という術語は、そのアルキル成分が上に記載
された、構造−O−アルキルを有する成分を言う。
【0081】 ここで用いられる「アリール」という術語には5−及び6−員環の単一環の芳
香族の基が含まれ、この基には0から4個のヘテロ原子、例えば置換されていな
い又は置換されたベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オ
キサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピ
リダジン及びピリミジン、等々を含めることができる。アリール基にはさらに、
ナフチル、キノリル、インドリル、等々などの多環式の縮合された芳香族の基が
含まれる。芳香族の環は一つ又はそれ以上の環位置で、例えばアルキル基につい
て上述したような置換基で置換されてもよい。好適なアリール基には置換されて
いない及び置換されたフェニル基が含まれる。
【0082】 ここで用いられる「アリールオキシ」という術語は、そのアリール成分が上に
定義した通りであるような構造−O−アリールを有する基を言う。
【0083】 ここで用いられる「アミノ」という術語は、式−NraRbの置換されていな
い又は置換された成分を言い、ただしこのときRa及びRbはそれぞれ個別に水
素、アルキル、アリール、又はヘテロシクリルであるか、又はRa及びRbは、
これらが結合した窒素原子と共に一緒に捉えられると、環内に3から8個の原子
を有する環状成分を形成するものである。このように、「アミノ」という術語は
、そうでないと特に明示する場合を除き、例えばピペリジニル又はピロリジニル
基などの環状のアミノ成分を含むものとして意図されている。「アミノ置換され
たアミノ基」とは、Ra及びRbの少なくとも一方がさらに一個のアミノ基で置
換されたようなアミノ基を言う。
【0084】 好適な実施例では、R又はRは(それぞれ一個について)長鎖の脂肪族成
分であってもよい。ここで用いられる「長鎖の脂肪族成分」という術語は、その
脂肪族の鎖に10から24個の炭素を有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族の成分(例
えばアルキル又はアルケニル成分)を言い、例えばこの長鎖の脂肪族成分が、脂
肪酸(好ましくは天然発生型の脂肪酸)の脂肪族の鎖であるなどである。代表的
な長鎖の脂肪族成分には、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、等々の脂肪
族の鎖が含まれる。
【0085】 いくつかの実施例では、本発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は
、構造: ただしこのとき、R及びRはそれぞれ個別に水素、脂肪族の基(好ましくは
分岐又は直鎖の脂肪族成分であって、1から24個の炭素原子を鎖内に有するも
の、又は10から24個の炭素原子をその鎖内に有するもの、又は、4から7個
の炭素原子をその脂肪族の環内に有する未置換又は置換環状脂肪族成分)、アリ
ール基、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、Rは水素、低級ア
ルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、Y及びYはそれぞれ
個別に水素、ハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)、低級アルキル、ヒド
ロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、そしてnは、アミロイド沈着
が調節されるような0から12までの整数である。好適な実施例の一つでは、本
発明のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、当該Aβ干渉物質又はp7
5レセプタ干渉物質を投与した被験体のアミロイド沈着を防止又は阻害するもの
である。本発明で用いるのに好適なAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質に
は、R及びRの両方が薬学的に容認可能な塩を形成する陽イオンであるよう
な化合物が含まれる。特に好適な実施例では、R、R及びRはそれぞれ個
別にナトリウム、カリウム又はカルシウム陽イオンであり、nは0である。本治
療化合物のいくつかの好適な実施例では、Y及びYはそれぞれ水素である。
特に好適なAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、ホスホノギ酸塩の塩類
である。ホスホノギ酸三ナトリウム(ホスカーネットナトリウム又はFosca
vir(登録商標))は市販のものが入手可能(例えばアストラ社製)であり、
その臨床上の薬理が調査されている(例えば、″Physician′s De
sk Reference″,51st Ed.,pp.541−545(19
97)を参照されたい)。
【0086】 別の実施例では、本発明で用いられるAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物
質はアミノホスホン酸塩、ビスホスホン酸塩、ホスホノカルボン酸塩誘導体、ホ
スホン酸塩誘導体、又はホスホノ炭水化物であってもよい。例えば、Aβ干渉物
質又はp75レセプタ干渉物質はここに提出する添付書類Aに説明した化合物の
うちの一つであってもよい。
【0087】 薬学的に容認可能な製剤 本発明の方法において、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質はは薬学的
に容認可能な製剤に入れて投与することができる。本発明は、巨大分子錯体、ナ
ノカプセル、マイクロスフィア、又はビード、及び、水中油乳濁液、ミセル、混
合ミセル、合成膜ベシクル、及び放出赤血球を含む脂質を基にした製剤の形の合
成又は天然ポリマなど、あらゆる薬学的に容認可能な製剤に関する。
【0088】 実施例の一つでは、当該の薬学的に容認可能な製剤はポリマ・マトリックスを
含む。
【0089】 「ポリマ」又は「ポリマの」という術語は当業において認識されており、CN
Sの損傷などの目的の状態が治療されるよう、Aβ干渉物質又はp75レセプタ
干渉物質を送達することのできる繰り返しモノマ単位から成る構造の枠組みを含
む。この術語はさらに、例えば合成又は天然発生型のものなど、コポリマ及びホ
モポリマを含む。直線形のポリマ、分岐ポリマ、及び架橋ポリマもまた、含まれ
るものとして意図されている。
【0090】 例えば、本発明で利用する薬学的に容認可能な製剤を形成するのに適したポリ
マ材料は、アルブミン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、コラーゲン、フィブ
リン、ゼラチン、及びポリサッカリドなどの天然由来のポリマや、ポリエステル
(PLA、PLGA)、ポリエチレングリコール、ポロキサマ、ポリ無水物、及
びプルロニックスなどの合成ポリマを含む。これらのポリマは中枢神経系を含む
神経系に対して生体適合性があり、これらは分解によって何ら有毒な副産物を生
じることなく中枢神経系内で分解が可能であり、そしてこれらは、そのポリマの
運動特徴を操作することによってAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の放
出の態様及び期間を調節できるという能力を持つものである。ここで用いられる
場合の「生分解可能」という術語は、このポリマが、酵素の働き、加水分解作用
、及び/又は、被験体の身体内のその他の同様な作用により時間と共に分解する
ことを意味する。ここで用いられる「生体適合性がある」という術語は、このポ
リマが、有毒又は有害であることなく、そして免疫学的拒絶反応を起こすことな
く生体組織又は生物に適合性があることを意味する。
【0091】 ポリマは、当業で公知の方法を用いて調製が可能である(Sandler,S
.R.;Karo,W.Polymer Syntheses;Harcour
t Brace:Boston,1994;Shalaby,W.;Ikada
,Y.;Langer,R.;Williams,J.Polymers of
Biological and Biomedical Significa
nce(ACS Symposium Series 540;America
n Chemical Society:Washington,DC,199
4)。ポリマは可撓性であるようにデザインすることができる。生活性のある側
鎖間の距離、及び、ポリマ主鎖とその基との間のリンカーの長さを調節すること
ができる。その他の適切なポリマ及びその調製方法は、その内容を参考としてこ
こに編入することとする米国特許第5,455,044号及び第5,576,0
18号に説かれている。
【0092】 ポリマ製剤は、好ましくは、その教示をここに参考として編入することとする
米国特許第4,883,666号に説かれているように、液化ポリマ内にAβ干
渉物質又はp75レセプタ干渉物質を分散させたり、又は、塊状重合法、界面重
合法、溶解重合法、及び、その内容を参考としてここに編入することとするOd
ian G.,Principles of Polymerization
and ring opening polymerization,2nd
ed.,John Wiley & Sons,New York,1981に
説かれているような環重合法などの方法によって、形成するとよい。製剤の性質
及び特徴は、反応時間、ポリマ及びAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の
濃度、用いる溶剤の種類、及び反応時間といったパラメータを変更することで制
御される。
【0093】 Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質及び薬学的に容認可能なポリマに加
え、本発明の方法で用いた薬学的に容認可能な製剤には、更なる薬学的に容認可
能な担体及び/又は賦形剤を含めることができる。ここで用いられる「薬学的に
容認可能な担体」には、生理学的に適合性のある、あらゆる溶剤、分散媒、コー
ティング、抗菌剤及び抗カビ剤、等張剤及び吸収遅延剤、等々が含まれる。例え
ば、担体は、脳脊髄液内への注射に適したものでもよい。賦形剤には、薬学的に
容認可能な安定化剤及び崩壊剤が含まれる。
【0094】 Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は、一つ又はそれ以上の薬学的に容
認可能なポリマに被包して、ここでは互換可能に呼ばれるマイクロカプセル、マ
イクロスフィア、又はマイクロ粒子を形成してもよい。マイクロカプセル、マイ
クロスフィア、又はマイクロ粒子は、通常、直径2ミリメータ以下、多くの場合
直径500ミクロン未満の球形粒子から成る自由に流れる粉末である。1ミクロ
ン未満の粒子は通常ナノカプセル、ナノ粒子又はナノスフィアと呼ばれる。多く
の場合、マイクロカプセルとナノカプセル、マイクロスフィアとナノスフィア、
又はマイクロ粒子とナノ粒子との間の違いは大きさであり、一般的には、この二
つの内部構造の間に違いがあったとしてもほとんどない。本発明のある一つの態
様では、中間の平均直径は約45μm未満、好ましくは20μm未満、そしてよ
り好ましくは約0.1と10μmとの間である。
【0095】 別の実施例では、薬学的に容認可能な製剤は、脂質を基にした製剤を含む。公
知の脂質を基にしたあらゆる薬剤送達系を本発明の実施に用いることができる。
例えば、多小胞体リポソーム(MVL)、多重膜リポソーム(多重膜ベシクル又
は「MLV」としても知られる)、小型単一膜リポソーム(単一膜ベシクル又は
「SUV」としても知られる)及び大型単一膜リポソーム(大型単一膜ベシクル
又は「LUV」としても知られる)を含む単一膜リポソームはすべて、被包され
たAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の補出速度の持続を確定できる限り
において、利用が可能である。実施例の一つでは、脂質を基にした製剤は多重膜
ベシクルリポソーム系であってもよい。制御放出多重膜リポソーム薬剤送達系を
作成する方法は、その内容を参考としてここに編入することとするPCT出願番
号US96/11642号、US94/12957号及びUS94/04490
号に説かれている。
【0096】 合成膜ベシクルの組成は通常、通常はステロイド、特にコレステロールと組み
合わせれるホスホリピドの組み合わせである。その他のホスホリピド又はその他
のリピドも用いてもよい。
【0097】 合成膜ベシクル作製に有用なリピドの例には、ホスファチジルグリセロール、
ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、及びガングリオシドがある。好ましくは、
卵ホスファチジルコリン、ジオールエオイルホスファチジルコリン、ジパルミト
イルホスファチジルグリセロール、及びジオールエオイルホスファチジルグリセ
ロールを含むホスホリピドを用いるとよい。
【0098】 Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質を含有する脂質を基にしたベシクル
を作製する場合、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の被包の効率、Aβ
干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の不安定性、生じたベシクル集団の均質性
及び大きさ、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質対脂質の割合、透過性、
製剤の不安定性、及び製剤の薬学的容認性といった変数を考慮せねばならない(
その内容を参考としてここに編入することとするSzoka,et al.,A
nnual Reviews of Biophysics and Bioe
ngineering,9:467,1980;Deamer,et al.,
in Liposomes,Marcel Dekker,New York,
1983,27;and Hope,et al.,Chem.Phys.Li
pids,40:89,1986を参照されたい)。
【0099】 薬学的に容認可能な製剤の投与 実施例の一つでは、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質を、被験体の中
枢神経系、例えば被験体の脳脊髄液内に導入することによって投与する。本発明
の特定の態様では、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質は鞘内、例えば脳
室、腰椎部分、又は大槽に導入する。
【0100】 薬学的に容認可能な当該製剤は、水性の伝播体に容易に懸濁させることができ
、また従来の皮下針を通じて、又は輸注ポンプを用いて導入することができる、
導入に先駆けて、製剤は好ましくは、その内容を参考としてここに編入すること
とする米国特許第436,742号に説かれたガンマ線照射又は電子ビーム滅菌
によって滅菌することができる。
【0101】 本発明の別の実施例では、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質製剤を被
験体に鞘内投与する。ここで用いられる「鞘内投与」という術語は、バーホール
又は脳槽又は腰部穿孔等々(その内容を参考としてここに編入することとするL
azorthes et al.Advances in Drug Deli
very Systems and Applications in Neu
rosurgery,143−192 and Omaya et al.,C
ancer Drug Delivery,1:169−179を通じた側方脳
室注射を含む技術によって、被験体の脳脊髄液に直接、Aβ干渉物質又はp75
レセプタ干渉物質製剤を送達することを含むものとして意図されている。「腰部
領域」という術語は、三番目と四番目の腰椎(背面下部)脊髄間の区域を含むも
のとして意図されている。「大槽」という術語は、頭部後ろ側の、頭蓋骨が終わ
り脊髄が始まる部分の区域を含むものとして意図されている。「脳室」という術
語は、脊髄中心管に連続する脳内の窩を含むものとして意図されている。上記し
た部位のいずれかにAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の投与は、Aβ干
渉物質又はp75レセプタ干渉物質製剤を直接注射したり、又は輸注ポンプを利
用すれば行うことができる。注射の場合は、本発明のAβ干渉物質又はp75レ
セプタ干渉物質製剤は液体製剤、好ましくはハンクス溶液又はリンガー溶液など
の生理学的に適合性のある緩衝液ちゅうに調製することができる。加えて、Aβ
干渉物質又はp75レセプタ干渉物質製剤は固体型で調製しておき、使用直前に
再溶解させたり、又は懸濁させてもよい。凍結乾燥型もまた含まれる。注射は、
例えばAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質製剤の大量注射又は連続注射(
例えば輸注ポンプを用いた)の形であってもよい。
【0102】 投与の期間及び量 本発明の別の実施例では、薬学的に容認可能な製剤は、当該の薬学的に容認可
能な製剤を被験体に投与した後、少なくとも一週間、二週間、三週間、又は四週
間の間、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質製剤の被験体への、例えば「
遅延放出」などの持続的送達を提供するものである。
【0103】 ここで用いられる「持続的送達」という術語は、Aβ干渉物質又はp75レセ
プタ干渉物質が、投与後一定期間、好ましくは少なくとも数日間、一週間又は数
週間、生体内で継続的に送達されることを含むものとして意図されている。Aβ
干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の持続的送達は、例えば、Aβ干渉物質又
はp75レセプタ干渉物質による、一定期間にわたる治療効果によって実証が可
能である(例えば、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の持続的送達は、
一定期間の間のニューロン細胞死の継続的阻害によって実証が可能である)。そ
の代わりに、Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の持続的送達は、Aβ干
渉物質又はp75レセプタ干渉物質の存在を生体内で一定期間にわたって検出す
ることによって実証してもよい。
【0104】 実施例の一つでは、薬学的に容認可能な製剤は、Aβ干渉物質又はp75レセ
プタ干渉物質が、そのAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質が被験体に投与
された後の30日間未満、持続的に送達されるようにするものである。例えば、
薬学的に容認可能な製剤、例えば「遅延放出」製剤は、Aβ干渉物質又はp75
レセプタ干渉物質の被験体への持続的送達を、そのAβ干渉物質又はp75レセ
プタ干渉物質が被験体に投与されてから一、二、三又は四週間、持続的に送達す
るものかも知れない。あるいは、薬学的に容認可能な製剤は、Aβ干渉物質又は
p75レセプタ干渉物質の被験体への持続的送達を、そのAβ干渉物質又はp7
5レセプタ干渉物質が被験体に投与されてから30日間以上、持続的に送達する
ものかも知れない。
【0105】 本発明の方法で用いられる薬剤は、治療上有効量のAβ干渉物質又はp75レ
セプタ干渉物質を含む。「治療上有効量」とは、所望の結果を達成するのに効果
的な、そして所望の結果を達成するのに必要な時間にとって効果的な、用量にお
ける量を言う。Aβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質の治療上有効量は、被
験体の疾患状態、年齢及び体重や、そのAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物
質(単独で、又は一つ又はそれ以上の他の薬剤と組み合わせて)が所望の反応を
被験体で引き出す能力といった因子に応じて様々であろう。投薬計画は最適な治
療反応を提供するように調節してもよい。治療上の有効量は、さらに、Aβ干渉
物質又はp75レセプタ干渉物質の何らかの毒性又は有害な作用よりも、治療上
の有益な作用の方が大きいようなものである。Aβ干渉物質又はp75レセプタ
干渉物質の治療上の有効濃度のための非限定的な範囲は100μMから1mMで
ある。さらに特定の被験体にとっては、特定の投薬計画を個々のニーズや、Aβ
干渉物質又はp75レセプタ干渉物質を投薬する人物又はその投薬を監視する人
物の職業的判断に基づいて、一定期間にわたって調節すべきであること、そして
、ここに挙げた投薬範囲は単なる例示であって、請求の範囲に記載された本発明
の範囲又は実施を限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0106】 ニューロン細胞の試験管内処理 ニューロン、例えばCNSニューロンなど、又は、分離されたニューロン細胞
を、さらに、治療上有効量のAβ干渉物質又はp75レセプタ干渉物質に試験管
内で接触させてもよい。従って、当業で公知の技術を用いて、ニューロン細胞を
被験体から分離し、試験管内で成長させることができる。簡単に説明すると、ニ
ューロン細胞培養株は、適した基質(例えば培養皿)に付着しているニューロン
組織の断片からニューロン細胞を泳動させたり、又は、機械的又は酵素的に組織
を離解させて、ニューロン細胞の懸濁液を生成することで、得ることができる。
例えば、酵素トリプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、D
Nアーゼ、ジスパーゼ、又は様々なこれらの組み合わせを利用してもよい。トリ
プシン及びプロナーゼを用いると最も完全な離解が行われるが、細胞が損傷する
可能性がある。コラゲナーゼ及びジスパーゼによる離解はそれほど完全ではない
が、害は少ない。組織(例えばニューロン組織)を分離する方法、及び、細胞(
例えばニューロン細胞)を得るための組織の離解は、その内容を参考としてここ
に編入することとするFreshney R.I.,Culture of A
nimal Cells,A Manual of Basic Techni
que,Third Edition,1994に説かれている。
【0107】 次に、このような細胞を、上述した量及び時間、Aβ干渉物質又はp75レセ
プタ干渉物質に接触させてもよい。ニューロン細胞死の阻害が得られれば、これ
らのニューロン細胞を、例えば移植などによって被験体に再投与してもよい。
【0108】 Aβ誘導及び/又はp75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする状態 本発明はさらに、被験体においてAβ誘導及び/又はp75レセプタ伝達ニュ
ーロン細胞死を特徴とする疾患状態を治療する方法に関するものでもある。ここ
で用いられる場合の「状態」という術語は、当業で公知であり、Aβ誘導及び/
又はp75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする異常、疾患又は状態を含
む。このような異常の例には、アルツハイマー病、アルツハイマー病に関連する
痴呆(例えばピックス病)、パーキンソン病及びその他のレーヴィびまん性小体
病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、及び海綿状脳炎があ
る。
【0109】 さらに本発明の以下の例によって説明するが、同例は更なる限定を加えるもの
として捉えられてはならない。この出願を通じて引用された参考文献、特許、及
び公開済みの特許出願の内容はすべて、ここに参考として編入されたものである
【0110】 NGF分化PC−12細胞を、Aβ干渉物質の存在下又は不在下で原線維Aβ
40又は原線維Aβ42で処理した。24時間のインキュベート後、死亡細胞の
パーセンテージをMTT及びSRB(ローダミンを基にした染料−たんぱく質計
数)アッセイによって判定した(例えばRubinstein L.V.et
al.(1990)J.Natl.Cancer Inst.82(13):1
113−8で説かれたように)。細胞は、Aβ40に同じ重さの化合物を1:1
又は1:2の重量:重量比で加えたものと一緒にインキュベートされた。
【0111】この出願を通じて引用された参考文献、発行済み特許、及び
公開済みの特許出願の内容はすべて、その背景も含めて、ここに参考として編入
されたものである。
【0112】 等価物 当業者であれば、ごく通常の実験を用いるのみで、ここに記載された具体的な
手法の等価物を数多く、認識され、又は確認可能であることであろう。このよう
な等価物は本発明の範囲内にあるとみなされ、また以下の請求の範囲の包含する
ところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 様々なAβ干渉物質と一緒に1:1の割合で投与したAβ(1−4
0)のPC−12細胞に対する毒性の棒グラフである。
【図2】 様々なAβ干渉物質と一緒に1:2の割合で投与したAβ(1−4
0)のPC−12細胞に対する毒性の棒グラフである。
【図3】 1:2及び1:1の割合のAβ(1−40)及び様々なAβ干渉物
質で処理した分化PC−12細胞の細胞生存率%を示した棒グラフである。
【図4】 分化PC−12細胞でのAβ(1−40)伝達神経毒性アッセイの
結果を示す棒グラフである。
【図5】 Aβがニューロン細胞死を誘起する能力をSH−5454神経芽細
胞腫ヒト細胞系を用いて示したグラフである。毒性は二つの異なるアッセイを用
いて測定した。WST−1アッセイ及び3H−チペリジン取込である。
【図6】 本発明の化合物であるNC−2125が、Aβ:nc−2125を
モル比1:4でインキュベートしたときのAβ誘導毒性を有意に低下させる能力
を示す。ラミニンをAβ:ラミニンモル比1:10−3で用いたときが、内部陽
性対照(神経保護)である。
【添付書類A】
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年6月22日(2000.6.22)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/665 A61K 31/665 31/675 31/675 31/7008 31/7008 47/30 47/30 A61P 25/00 A61P 25/00 43/00 107 43/00 107 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W Fターム(参考) 4C076 AA16 AA19 AA61 BB11 BB21 CC01 CC26 EE23 EE24 EE30 EE31 EE36 EE41 EE42 EE43 4C084 AA17 MA05 MA21 MA24 MA38 ZA162 ZB212 4C086 AA01 AA02 DA34 DA37 DA38 EA02 MA01 MA02 MA04 MA05 MA21 MA24 MA38 NA14 ZA16 ZB21 4C206 AA01 AA02 JA06 JA08 MA01 MA02 MA04 MA05 MA41 MA44 MA58 NA14 ZA16 ZB21

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニューロン細胞死が阻害されるよう、ニューロン細胞をAβ干
    渉物質に接触させるステップを含む、Aβ誘導ニューロン細胞死を阻害する方法
  2. 【請求項2】 前記Aβ干渉物質が、Aβペプチドがアミロイド原線維を形成
    する能力に干渉する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記Aβ干渉物質が、Aβペプチドが細胞表面分子に結合する
    能力に干渉する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記細胞表面分子が神経栄養レセプタである、請求項3に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 前記神経栄養レセプタがアポトーシス関連p75レセプタであ
    る、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記細胞表面分子がグリコサミノグリカンである、請求項3に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記Aβペプチドが可溶性型である、請求項3に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記Aβペプチドが原線維型である、請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記Aβ干渉物質が、以下の構造: を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記Aβ干渉物質が、エタンスルホン酸、1,2−エタンジ
    スルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4
    −ブタンジスルホン酸、1,5−ペンタンジスルホン酸、2−アミノエタンスル
    ホン酸、4−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸、及びこれらの薬学的に容認可
    能な塩類のうちのいずれかから選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記Aβ干渉物質が、1−ブタンスルホン酸、1−デカンス
    ルホン酸、2−プロパンスルホン酸、3−ペンタンスルホン酸、4−ヘプタンス
    ルホン酸、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類のうちのいずれかから選択され
    る、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記Aβ干渉物質が、1,7−ジヒドロキシ−4−ヘプタン
    スルホン酸、又は薬学的に容認可能なその塩である、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記Aβ干渉物質が、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸
    、又はその塩である、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記Aβ干渉物質が以下の構造: を有し、ただしこのとき ZはXR又はRであり、 R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂肪族の基、アリール基
    、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Xは、それぞれ個別
    にO又はSであり、 Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒドロキ
    シ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、及び nは、ニューロン細胞死が阻害されるような0から12までの整数である 請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 神経保護が被験体に提供されるように、前記被験体にAβ干
    渉物質を投与するステップを含む、被験体に神経保護を提供する方法。
  16. 【請求項16】 前記Aβ干渉物質が、Aβペプチドが細胞表面分子に結合す
    る能力に干渉する、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記細胞表面分子が神経栄養レセプタである、請求項16に
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記神経栄養レセプタがアポトーシス関連p75レセプタで
    ある、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記細胞表面分子がグリコサミノグリカンである、請求項1
    6に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記Aβペプチドが可溶性型である、請求項16に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 前記Aβペプチドが原線維型である、請求項16に記載の方
    法。
  22. 【請求項22】 前記Aβ干渉物質が、以下の構造: を有する、請求項15に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記Aβ干渉物質が、エタンスルホン酸、1,2−エタンジ
    スルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4
    −ブタンジスルホン酸、1,5−ペンタンジスルホン酸、2−アミノエタンスル
    ホン酸、4−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸、及びこれらの薬学的に容認可
    能な塩類のうちのいずれかから選択される、請求項15に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記Aβ干渉物質が、1−ブタンスルホン酸、1−デカンス
    ルホン酸、2−プロパンスルホン酸、3−ペンタンスルホン酸、4−ヘプタンス
    ルホン酸、及び薬学的に容認可能なこれらの塩類のうちのいずれかから選択され
    る、請求項15に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記Aβ干渉物質が、1,7−ジヒドロキシ−4−ヘプタン
    スルホン酸、又は薬学的に容認可能なその塩である、請求項15に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記Aβ干渉物質が、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸
    、又はその塩である、請求項15に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記Aβ干渉物質が以下の構造: を有し、ただしこのとき ZはXR又はRであり、 R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂肪族の基、アリール基
    、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、Xは、それぞれ個別
    にO又はSであり、 Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒドロキ
    シ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、及び nは、ニューロン細胞死が阻害されるような0から12までの整数である 請求項15に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記Aβ干渉物質が薬学的に容認可能な製剤に入れて投与さ
    れる、請求項15に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記薬学的に容認可能な製剤が分散系である、請求項28に
    記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記薬学的に容認可能な製剤が脂質を基にした製剤を含む、
    請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記薬学的に容認可能な製剤がリポソーム製剤を含む、請求
    項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記薬学的に容認可能な製剤が多小胞体リポソーム製剤を含
    む、請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記薬学的に容認可能な製剤がポリママトリックスを含む、
    請求項29に記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記ポリママトリックスが、アルブミン、アルギン酸塩、セ
    ルロース誘導体、コラーゲン、フィブリン、ゼラチン、及びポリサッカリドなど
    の天然由来のポリマのうちのいずれかから選択される、請求項33に記載の方法
  35. 【請求項35】 前記ポリママトリックスが、ポリエステル(PLA、PLG
    A)、ポリエチレングリコール、ポロキソマー、ポリ無水物、及びプルオロニッ
    クスなどの合成ポリマのうちのいずれかから選択される、請求項33に記載の方
    法。
  36. 【請求項36】 前記ポリママトリックスがマイクロスフィアの型である、請
    求項33に記載の方法。
  37. 【請求項37】 前記薬学的に容認可能な製剤が、前記Aβ干渉物質の持続的
    送達を被験体に提供する、請求項28に記載の方法。
  38. 【請求項38】 Aβ誘導ニューロン細胞死を特徴とする疾患状態が治療され
    るよう、被験体にAβ干渉物質を投与するステップを含む、前記被験体における
    Aβ誘導ニューロン細胞死を特徴とする前記疾患状態を治療する方法。
  39. 【請求項39】 p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を阻害する方法であっ
    て、ニューロン細胞を構造: を有する治療化合物に接触させるステップを含み、ただしこのときYは、生理
    的pHで陰イオンの基であり、Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であり
    、nは意図された標的部位への治療化合物の生体分布が妨げられないながらも、
    当該治療化合物がコンドロイチン硫酸Aでないことを条件に、このようなニュー
    ロン細胞死が阻害されるよう、本治療化合物の活性が維持されるように選択され
    る整数である、 方法。
  40. 【請求項40】 神経保護を被験体に提供する方法であって、被験体に対し、
    構造: を有する治療化合物を投与するステップを含み、ただしこのときYは、生理的
    pHで陰イオンの基であり、Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であり、
    nは意図された標的部位への治療化合物の生体分布が妨げられないながらも、当
    該治療化合物がコンドロイチン硫酸Aでないことを条件に、神経保護が提供され
    るよう、本治療化合物の活性が維持されるように選択される整数である、 方法。
  41. 【請求項41】 p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする被験体の
    疾患状態を治療する方法であって、被験体に対し、構造: を有する治療化合物を投与するステップを含み、ただしこのときYは、生理的
    pHで陰イオンの基であり、Qは担体の基であり、Xは陽イオンの基であり、
    nは意図された標的部位への治療化合物の生体分布が妨げられないながらも、当
    該治療化合物がコンドロイチン硫酸Aでないことを条件に、p75レセプタ伝達
    ニューロン細胞死を特徴とする疾患状態が治療されるよう、本治療化合物の活性
    が維持されるように選択される整数である、 方法。
  42. 【請求項42】 p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を阻害する方法であっ
    て、ニューロン細胞を、構造: を有するp75レセプタ干渉物質に接触させるステップを含み、ただしこのとき ZはXR又はRであり、 R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂肪族の基、アリール基
    、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、 Xは、それぞれ個別にO又はSであり、 Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒドロキ
    シ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、及び nは、ニューロン細胞死が阻害されるような0から12までの整数である、 方法。
  43. 【請求項43】 神経保護を被験体に提供する方法であって、被験体に対して
    、構造: を有するp75レセプタ干渉物質を投与するステップを含み、ただしこのとき ZはXR又はRであり、 R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂肪族の基、アリール基
    、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、 Xは、それぞれ個別にO又はSであり、Y及びYはそれぞれ個別に水素、
    ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールオキシで
    あり、及び nは、神経保護が提供されるような0から12までの整数である、 方法。
  44. 【請求項44】 p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする、被験体の
    疾患状態を治療する方法であって、被験体に対し、構造: を有するp75レセプタ干渉物質を投与するステップを含み、ただしこのとき ZはXR又はRであり、 R及びRはそれぞれ個別に水素、置換又は未置換脂肪族の基、アリール基
    、ヘテロ環の基、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール、又は塩を形成する陽イオンであり、 Rは水素、低級アルキル、アリール又はアミノであり、 Xは、それぞれ個別にO又はSであり、 Y及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アミノ、ヒドロキ
    シ、アルコキシ、又はアリールオキシであり、及び nは、p75レセプタ伝達ニューロン細胞死を特徴とする前記疾患状態が治療
    されるような0から12までの整数である、 方法。
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