JP4574841B2 - 無人ヘリコプターのラジエータ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷式エンジンを搭載した無人ヘリコプターの冷却水放熱用のラジエータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の無人ヘリコプターのラジエータは、機体の前部上面側のメインロータの下側に装着され、メインロータからの風を受けて冷却水を放熱させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無人ヘリコプターは、機体の向きを一定にしたままホバリング状態や前後左右に飛行して飛行方位が変わり、これに応じて飛行姿勢も変化する。このため、ラジエータが受ける風向が変化して放熱効果に影響を及ぼす。特にエンジン出力が大きく発熱量が大きくなる高速前進飛行や、前方配置ラジエータを通過する外気の量が少なくなる後進飛行の場合にラジエータにより冷却水を十分冷却しきれない場合があった。
【0004】
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、飛行姿勢を変化させて前後左右に飛行しかつ空中停止し、飛行速度や搭載重量に応じてエンジン出力を増減する無人ヘリコプターにおいて、あらゆる飛行状態で有効なエンジン冷却効果が得られるラジエータ構造の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、ボディカバーで覆われた機体内にエンジンを備え、該エンジンの冷却水が循環するラジエータを備えた無人ヘリコプターのラジエータ構造において、機体前部の上部側に設けたボディカバー開口部に第1のラジエータを配置し、この機体前部の下部側で該第1のラジエータの下方の位置に、機体内外を連通する第1の通気口を設け、該機体前部の下部側であって機体の外側に、風受け面を垂直にした第2のラジエータを備え、前記エンジンの後方のボディカバーの上面側かつメインロータの下方に第2の通気口を設けたことを特徴とする無人ヘリコプターのラジエータ構造を提供する。
【0006】
この構成によれば、特にホバリングや低速飛行時に上からメインロータの風を受けてこれを機体前部の上部側の第1のラジエータを連通させて機体内に導き、その下方の第1の通気口から逃がすことにより充分な放熱効果が得られるとともに、特に冷却能力が必要とされる高速前進飛行時に第2のラジエータがその垂直な風受け面から前方からの風を受けて充分な放熱効果を得ることができる。この第2のラジエータが受けた風は、第2のラジエータが機体外部に設けられた場合には、そのままラジエータを通過してラジエータの熱を外部に放熱させる。第2のラジエータが機体内(機体前端面)に配置された場合には、この第2のラジエータが受けた風は機体内を流れてエンジン後方の第2の通気口から逃がされる。
この場合、第2の通気口がエンジン後方に備わるため、特に高出力運転状態の高速前進飛行時に、機体前端面から流入する空気により機体内を換気してさらにエンジン周りを冷却する効果も得られる。
【0007】
後進飛行時には、逆に第2の通気口から機体内に空気が流入し、この空気が第1のラジエータを通過して機体外部に逃がされ、これにより第1のラジエータから放熱させる。第2のラジエータが機体内(機体前端面)に配置された場合には、後進飛行時に機体内に流入した空気は第1のラジエータとともにこの第2のラジエータを通過してこれを冷却する。
【0009】
この構成によれば、第2のラジエータがボディカバーの外側の機体外に設けられるため、前進飛行および後進飛行ともに充分に外気が流通して大きな放熱効果が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る無人ヘリコプターの全体構成図で機体を破断して表したものあり、図2、図3および図4は、それぞれそのホバリング時、高速前進時および後進時の風の流れを示す説明図である。
【0013】
図1に示すように、この無人ヘリコプター1は、ボディカバー(シュラウド)2で覆われた機体3からなり、この機体3内に水冷式エンジン4およびエンジン4に連結されたトランスミッション5が設けられる。6は排気管である。機体3の上部に、トランスミッション5からロータ軸7を介して連結されたメインロータ8が備わる。機体3の下部には着陸時に接地するスキッド12が備わる。機体3の後端部に、トランスミッション5からベルト(またはチェーン)9を介して回転駆動されるテールロータ10が備わる。
【0014】
機体3の前部の上部側(すなわち、機体3の先端を通る軸線Cより上側で上方を向く部分)のボディカバー2に開口2Aが設けられ、この開口2A部に第1のラジエータ11が嵌め込まれて装着される。したがって、この第1のラジエータ11の風受け面11aは、機体形状に沿って幾分斜め前下がりの上方に向き、メインロータ8からの風を受ける。
【0015】
この場合、ラジエータ11は、ボディカバー2の開口2A周縁部への取付け状態によって、その周囲のボディカバー2の表面より上側に出る場合もあるし、図1のように、周囲のボディカバーより下側(裏面側)に装着される場合もある。
いずれの場合でも、開口2Aを通過する空気がラジエータ11も通過するように開口2A部にラジエータ11が配置される。なお、本実施形態では機体前部の上部側(軸線Cより上側)の位置に、機体形状に沿って、すなわち、ボディカバー2の形状に沿ってラジエータ11が設けられる。
【0016】
この第1のラジエータ11の下方の位置のボディカバー2(すなわち、機体3の下部側(軸線Cより下側))を覆うボディカバー2であって、ラジエータ11の下方の位置のボディカバーに第1の通気口13が設けられる。また、エンジン4に連結されたトランスミッション5の後方で機体3の上面側のボディカバー2に第2の通気口14Aが設けられる。この第2の通気口14Aは、機体3の左右両側に設けてもよい。さらに、トランスミッション5の後方はボディカバー2が閉じられず開いたままとされ、第3の通気口14Bが形成される。
【0017】
本実施形態では、機体3の前部の下部側(軸線Cより下側)の機体外部に、第2のラジエータ15がその風受け面15aをほぼ垂直にして取付けられる。図の例では、第2のラジエータ15の取付け位置は、第1のラジエータ11の前端部の下側になる。この第2のラジエータ15は、連通管16を介して前記第1のラジエータ11と直列に接続される。
【0018】
このような第1および第2のラジエータ11,15を通過する空気の流れは、図2〜図4に示される。
ホバリング時には、図2に示すように、メインロータ8からの風が矢印Dのように上から第1のラジエータ11に吹き当ってこれを通過し、矢印Eのように機体内を流通し、その下方の第1の通気口13から矢印Fのように吹き抜ける。この場合には、第2のラジエータ15にはほとんど風は流通しない。
【0019】
前進時には、図3に示すように、機体3に対する前方からの風の一部とメインロータ8からの風の合わさったものが矢印Gのように、第1のラジエータ11に吹き当ってこれを通過し、矢印Iのように機体内を流通し、エンジン後方の第2の通気口14A及び第3の通気口14Bから矢印Jのように吹き抜ける。高速前進時には、矢印Gの風が前傾する(水平に近づく)とともに、より多くの機体前方からの風が、矢印Hのように、第2のラジエータ15にほぼ正面から吹き当ってこれを通過し矢印Kのように吹き抜ける。
【0020】
後進時には、図4に示すように、第2の通気口14A及び第3の通気口14Bから矢印Lのように機体内に風が流入し、機体内を矢印Mのように流通して第1のラジエータ11から矢印Nのように吹き抜ける。さらにこの場合、後方からの風が矢印Oのように第2のラジエータ15に吹き当り、これを通過して矢印Pのように前方に吹き抜ける。特に、第2の通気口14Aからはメインロータ8からの風も導入される。
【0021】
図5は、上記第1及び第2のラジエータ11,15の斜視図である。
連通管16により直列に接続された第1及び第2のラジエータ11,15は、冷却水ホース17を介してエンジンの冷却ジャケット(不図示)に連通し、ウォータポンプ(不図示)により冷却水が矢印のように循環する。このように第1及び第2のラジエータ11,15を直列接続することにより、配管構造が簡素化するとともに効率よく各ラジエータ11,15を通る冷却水から放熱させてこれを冷却することができる。
【0022】
なお、連通管16の途中にリニア三方弁30を配置し、エンジン出力に対応して高速前進時のようにエンジン出力が大なる時、上流側連通管16Aから下流側連通管16Bへ大部分の冷却水を流し、ホバリング時や下降飛行時等エンジン出力が小なる時、上流連通管16Aから分流帰還用の冷却水ホース31への冷却水流量を増加するように、リニア三方弁30の開度位置制御を行うようにしてもよい。ラジエータ15の下流側の冷却水ホース17との冷却水ホース31が合流してエンジンの冷却水ジャケットに戻される。
【0023】
図6は、本発明に係る無人ヘリコプターの正面図である。図示したように、前述の図1の例の第2のラジエータ15は機体下部側のボディカバー2のさらに下側に設けられる。この位置に代えて図のAで示すように、機体外側の左右両側に第2のラジエータ18を設けてもよい。あるいはBで示すように、機体の前端面に第2のラジエータ19を設けてもよい(後述の図7の実施形態)。この場合、第1のラジエータ11と第2のラジエータ20を連続した一体構造としてもよい(後述の図8の実施形態)。いずれの場合にも、第2のラジエータ15,18,19,20は、機体先端の軸線Cより下側である。なお、図6中2点鎖線で示すものはトランスミッション5の後方の第3の通気口14Bである。
【0024】
図7は、本発明の別の実施形態を示す。
この実施形態では、機体の前面部のボディカバー2に第2の開口2Bを設け、この開口2B部に第2のラジエータ19が、その風受け面19aをほぼ垂直にして、機体内(機体3の前端面)に取付けられる。第1のラジエータ11の配置やその他の構成は前述の図1の例と同様である。このように第2のラジエータ19を第2の開口2B部の機体内側に設けることにより、連通管16や冷却水ホース等の配管構造が簡素化するとともに、飛行抵抗が小さくなる。
【0025】
図8は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
この実施形態は、開口2Aを機体上面から前面に渡るものとし、第1のラジエータ11に連続してその前端部にL字状に屈曲して一体的に第2のラジエータ20を設けたものである。この構成によれば、第1および第2のラジエータ11,20同士を連通させる連通管が不要になって配管構造がさらに簡素化する。その他の構成および作用効果は前記図7の実施形態と同様である。
【0026】
上記図7および図8の実施形態の風の流れは、第2のラジエータ19,20が機体内の前端面に取付けられるため、前進時および後進時に第2のラジエータ19,20を通過する気流が機体内を流通する点を除いて、前述の図2〜図4の気流と同様である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、機体前部上面の第1のラジエータにより、特にホバリングや低速飛行時に上からメインロータの風を受けてこれを第1の通気口から逃がすことにより充分な放熱効果が得られるとともに、特に冷却能力が必要とされる高速前進飛行時に第2のラジエータがその垂直な風受け面から前方からの風を受けて充分な放熱効果を得ることができる。このように第2のラジエータを備えることにより、あらゆる飛行状態において放熱効果が高められ、充分にエンジンを冷却して安定した飛行を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る無人ヘリコプターの全体構成図。
【図2】図1の実施形態のホバリング時の気流説明図。
【図3】図1の実施形態の高速前進時の気流説明図。
【図4】図1の実施形態の後進時の気流説明図。
【図5】図1のラジエータの斜視図。
【図6】図1の無人ヘリコプターの正面図。
【図7】本発明の別の実施形態の全体構成図。
【図8】本発明のさらに別の実施形態の全体構成図。
【符号の説明】
1:無人ヘリコプター、2:ボディカバー、2A:開口、2B:第2の開口、
3:機体、4:エンジン、5:トランスミッション、
6:排気管、7:ロータ軸、8:メインロータ、
9:ベルト、10:テールロータ、11:第1のラジエータ、
11a:風受け面、12:スキッド、13:第1の通気口、
14A:第2の通気口、14B:第3の通気口、
15:第2のラジエータ、15a:風受け面、
16:連通管、16A:上流側連通管、16B:下流側連通管、
17:冷却水ホース、18:第2のラジエータ、
19:第2のラジエータ、19a:風受け面、20:第2のラジエータ、
30:リニア三方弁、31:冷却水ホース。
Claims (3)
- ボディカバーで覆われた機体内にエンジンを備え、該エンジンの冷却水が循環するラジエータを備えた無人ヘリコプターのラジエータ構造において、
機体前部の上部側に設けたボディカバー開口部に第1のラジエータを配置し、
この機体前部の下部側で該第1のラジエータの下方の位置に、機体内外を連通する第1の通気口を設け、
該機体前部の下部側であって機体の外側に、風受け面を垂直にした第2のラジエータを備え、
前記エンジンの後方のボディカバーの上面側かつメインロータの下方に第2の通気口を設けたことを特徴とする無人ヘリコプターのラジエータ構造。 - 請求項1記載の無人ヘリコプターのラジエータ構造において、前記エンジンの後方の前記ボディカバーの下面側に第3の通気口を設けたことを特徴とする無人ヘリコプターのラジエータ構造。
- 請求項1記載の無人ヘリコプターのラジエータ構造において、前記第2のラジエータを機体外側の左右両側に設けたことを特徴とする無人ヘリコプターのラジエータ構造。
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