JP4574787B2 - 植物の青枯病防除方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、青枯病の防除方法に関し、詳しくは、3−(3−インドリル)酪酸の青枯病防除効果が持続する植物を用いて青枯病を防除する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トマト、ナス、ピーマン、タバコ、ダイコン、イチゴ、バナナ等の植物に発生する土壌病害の一つである青枯病(立枯病)は、ラルストニア・ソラナセアラム(Ralstonia solanacearum)(以前は、シュードモナスソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)に分類されていた)により引き起こされる細菌病である。
【0003】
青枯病を防除する手段としては、クロルピクリン剤などの薬剤による土壌消毒がー般的に行なわれているが、これらの薬剤は青枯病の防除以外に植物や土壌、更には作業者ヘの悪影響が問題となっている。近年、青枯病菌ラルストニア・ソラナセアラム(Ralstonia solanacearum)に対する特異的な抗菌性を有する物質として、3−(3−インドリル)酪酸(以下、「3-IBA」ともいう。)が提案された(特開平7-228502号参照)。本物質は、土壌や養液栽培における養液に混入することにより、青枯病菌の増殖を抑制させることができる。また、本物質は植物体への毒性が全く認められないため、予め根等から吸収させておくことができ、その後侵入してきたラルストニア・ソラナセアラムの増殖を完全に抑制することもできる。
【0004】
3-IBAのマウスにおける経口急性毒性、魚毒性もまったく確認されておらず、安全性の非常に高い効果的な薬剤であるが、3-IBAの青枯病菌抑制効果は、施用後数日しか持続せず、効果を持続させるためには定期的に新たな3-IBAを植物体に吸収させる必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように3-IBAは、施用後の青枯病の防除効果の持続性が短く、薬剤のコスト増大、あるいは労カ増大という問題が生じていた。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、3-IBAの効果を持続させるための方法及び同方法に用いる植物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、3-IBAの植物への施用後の青枯病防除効果の持続性が短い理由を解析した結果、植物体内に吸収された3-IBAは速やか3-IBAグルコシド(3-IBAグルコース配糖体)に変換されており、3-IBAグルコシドは青枯病菌(ラルストニア・ソラナセアラム)に対する抗菌性を失うことが明らかとなった。しかし、変換された3-IBAグルコシドは、主に植物の根に蓄積されることも明らかとなった。この知見に基づいて、蓄積された3-IBAグルコシドを、加水分解して再度3-IBAに戻すことができれぱ、効率的な青枯病防除システムの構築が可能であると考えた。そして、植物にグルコース遊離酵素遺伝子を導入し、発現させたところ、形質転換植物における3-IBAの青枯病に対する防除効果が持続することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)植物に3−(3−インドリル)酪酸又はその塩を施用することにより青枯病を防除する方法において、前記植物は、3−(3−インドリル)酪酸の配糖体を3−(3−インドリル)酪酸に加水分解する反応を触媒するβ−グルコシダーゼをコードする遺伝子を導入されたものであることを特徴とする方法。
(2)β−グルコシダーゼが、大腸菌、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、バシルス・サブティリス、又はサッカロマイセス・セレビシエのβ−グルコシダーゼである(1)記載の方法。
(3)β−グルコシダーゼが大腸菌又はアグロバクテリウム・ツメファシエンスのβ−グルコシダーゼである(2)記載の方法。
【0009】
(4)前記β−グルコシダーゼが、前記植物の細胞内で構成的に発現するプロモーターの制御下にある(1)〜(3)いずれかに記載の方法。
(5)前記プロモーターが、MASプロモーター、CaMV 19Sプロモーター、CaMV 35Sプロモーター、NOSプロモーター、OCSプロモーターから選ばれる(4)記載の方法。
(6)前記β−グルコシダーゼが、前記植物の細胞内で青枯病菌の感染特異的に発現するプロモーターの制御下にある(1)〜(3)いずれかに記載の方法。
(7)前記プロモーターが、rd29Aプロモーター又はPR1aプロモーターである(6)記載の方法。
【0010】
以下、本明細書において特記しない限り、3-IBAというときは、3-IBA又はその塩を含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の青枯病の防除方法は、グルコース遊離酵素遺伝子が導入された植物を用いる。グルコース遊離酵素を発現する植物を用いることにより、3-IBA又はその塩による青枯病防除効果を持続させることができる。
【0012】
グルコース遊離酵素としては、3-IBAグルコシドを3-IBAに加水分解することができる酵素であれば特に制限されないが、例えば、β−グルコシダーゼ等が挙げられる。これらの酵素をコードする遺伝子の採取源も、これらの酵素を産生する生物であれば特に制限されず、大腸菌(エシェリヒア・コリ(E. coli))、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、バシルス・サブティリス(Bacillus subtilis)等の細菌、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母等の微生物が挙げられる。また、植物由来の遺伝子を用いてもよい。これらの中ではアグロバクテリウム・ツメファシエンスが好ましい。
β−グルコシダーゼ遺伝子は、例えば、大腸菌のβ−グルコシダーゼ遺伝子(Science (1997) Vol.277 No.5331: 1453-1474)、及びアグロバクテリウム・ツメファシエンスのβ−グルコシダーゼ遺伝子(Journal of Bacteriology (1988) Vol.170, No.1: 301-307)は公知であり、その塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、大腸菌又はアグロバクテリウム・ツメファシエンスの染色体DNAを鋳型とするPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)によって、取得することができる。このようなプライマーとしては、大腸菌のβ−グルコシダーゼ遺伝子では配列番号1及び2に示すオリゴヌクレオチドが、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのβ−グルコシダーゼ遺伝子では配列番号3及び4に示すオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0013】
植物にグルコース遊離酵素遺伝子を導入するには、その植物に適した形質転換法を採用すればよい。具体的には、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、アグロバクテリウム法等が挙げられる。これらの方法の一般的な手順は、例えば「ラボマニュアル植物遺伝子の機能解析」岩淵 雅樹ら編、丸善株式会社(1992)に記載されている。
【0014】
植物に導入するグルコース遊離酵素遺伝子は、その植物細胞で機能するプロモーターを有していない場合は、コード領域の上流に植物細胞で機能する適当なプロモーターを連結しておく。そのようなプロモーターとしては、構成的(constitutive)に発現するプロモーター、及び青枯病菌の感染特異的に発現するプロモーターが挙げられる。植物細胞でグルコース遊離酵素が構成的に発現すれば、青枯病菌の細胞内への侵入、感染を予防することができる。また、グルコース遊離酵素が、青枯病菌が感染したときに発現すれば、青枯病菌が感染してもその増殖を防止することができる。植物体に蓄積された3-IBAグルコシドを効率的に利用することを考慮すると、青枯病菌の感染特異的に発現するプロモーターを用いることが好ましい。
【0015】
構成的に発現するプロモーターとしては、MASプロモーター(Plant Mol. Biol. (1992) Vol.20, No.2, 219-233)、CaMV19Sプロモーター、CaMV35Sプロモーター、NOSプロモーター(J. Mol. Appl. Genet. (1982) Vol.1, No.6, 561-573)、OCSプロモーター(J. Mol. Appl. Genet. (1982) Vol.1, No.6, 499-511)等が挙げられる。また、青枯病菌の感染特異的に発現するプロモーターとしては、rd29Aプロモーター(Mol. Gen. Genet. (1993) Vol.236, 331-340)又はPR1aプロモーター(タバコ由来:FEBS Lett. (1987) Vol.255, 243-246、トマト由来:Plant Mol. Biol. (1992) Vol.20, No.3, 513-527)等が挙げられる。
【0016】
グルコース遊離酵素遺伝子のクローニング、同遺伝子をコードするDNA断片とアグロバクテリウム法に用いるベクターとの連結等の操作は、当業者に知られている通常の方法を採用することができる。これらの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Sambrookら、"Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition", Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))等に記載されている。
【0017】
本発明を適用することができる植物としては、青枯病菌が感染し、青枯病にかかる植物であれば特に制限されないが、例えばトマト、ナス、ピーマン、タバコ、ダイコン、イチゴ、バナナ等が挙げられる。例えば、トマトのアグロバクテリウム法による形質転換は、Journal of Experimantal Botany, 44(269), 1837-1845 (1993)、Plant Cell, Tissue and Organ Culture, 24, 115-121 (1991)、Plant Cell Report, 5, 81-84 (1986)等に詳述されている。また、現在形質転換体が得られていない植物であっても、形質転換が可能になれば、本発明を適用することができる。
【0018】
本発明においては、上記のようにしてグルコース遊離酵素を導入された植物に、3-IBA又はその塩を施用することにより、青枯病を防除する。3-IBAは、例えば、以下のようにして化学合成することにより得ることができる(特開平7-228502号参照)。先ず3−アセチルインドールを出発物質として、これを水素化ナトリウム存在下、1,2−ジメトキシエタン中でジエチルシアノメチルホスホネートと反応させ、3−アセチルインドールのカルボニル基をシアノメチレン基に変換する。次にこれをパラジウム−炭素存在下、メチルアルコール中で水素添加する。そして水素添加したものを水酸化ナトリウム水溶液とエチルアルコールとの混合溶液中で加水分解し、3-IBAを得る。
【0019】
3-IBAの塩としては、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
植物に3-IBAを施用する方法としては、3-IBAの溶液又は3-IBAを添加した肥料の土壌への散布、植物体への散水・散布、養液への添加等の方法が挙げられる。
通常、 土壌へは5〜100ppmの濃度で散布、植物体へは5〜100ppmの濃度で1週間から1カ月に1度、散水・散布、養液栽培の場合には5〜100ppmの濃度となるように養液に混合するのが適当であるが、植物あるいは土壌、養液における青枯病菌の存在状態等によって左右されるので、防除効果が低い場合は施用量又は回数を適宜増やせばよい。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0021】
【実施例1】
<1>大腸菌(E. coli)由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子の調製
大腸菌K-12株より、β−グルコシダーゼ遺伝子を調製した。大腸菌K-12株の染色体DNAを常法により調製し、これを鋳型とし、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCRにより、β−グルコシダーゼ遺伝子を含むDNA断片を増幅した。
【0022】
<2>β−グルコシダーゼ遺伝子導入べクターの構築
上記のようにして得られたβ−グルコシダーゼ遺伝子を含むDNA断片を、T-DNAベクターpBI121(クローンテック社)に導入した。pBI121は、選抜遺伝子としてカナマイシン(Km)抵抗性遺伝子(nptII)を含有し、また、レポーター遺伝子としてβ−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)を有する。従って、遺伝子導入のモニタリングは、Km抵抗性による安定形質転換体(stable transformant)の選抜により行うことができる。
【0023】
pBI121のGUS遺伝子の部分に、前記大腸菌由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子を挿入し、β−グルコシダーゼ遺伝子導入べクターを構築した(ベクターA)。具体的には、pBI121及びPCRにより得られたβ−グルコシダーゼ遺伝子を含むDNA断片を制限酵素BamHI及びSacIで切断し、これらを連結した。
【0024】
<3>アグロバクテリウム・ツメファシエンスを用いたトマトへのβ−グルクロニダーゼ遺伝子の導入
ベクターAを、接合機能を有するヘルパープラスミドpRK2013の仲介により、アグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404に三親接合を用いて導入した。具体的には、以下に示すようにして行った。ベクターAを含む大腸菌、pRK2013を含む大腸菌、アグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404を、それぞれ培養して集菌し、LB培地(Bacto-Tryptone 0.1%、Yeast Extract 0.05%、NaCl 0.05%)で洗浄した後、1mlのLB培地に懸濁した。抗生物質を含まないLB寒天培地に3者を100μlずつ混合してまき、28℃で24時間培養した。その後、形成されたコロニーをカナマイシン25μg/ml、ストレプトマイシン300μg/ml、リファンピシン100μg/mlを含む寒天培地上で培養し、ベクターAが導入されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404を選抜した。
【0025】
上記のようにして得たべクターAを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404を、カナマイシン25μg/ml、ストレプトマイシン300μg/mlを含むLB固体培地(Bacto-Tryptone 0.1%、Yeast Extract 0.05%、NaCl 0.05%、寒天1.5%)で28℃、2日間静置培養した後、LB培地で28℃で24時間振とう培養を行なった。
【0026】
アグロバクテリウム・ツメファシエンスを振とう培養後、菌体を回収し、1/10 MS無機塩(MS無機塩:(NH4)2SO4 1650mg/l、KNO3 1900mg/l、CaCl2 440mg/l、MgSO4・7H2O 370mg/l、NaH2PO4・H2O 170mg/l、MnSO4・4H2O 22.3mg/l、ZnSO4・7H2O 8.6mg/l、CuSO4・5H2O 0.025mg/l、CoSO4・7H2O 0.025mg/l、KI 0.83mg/l、H3BO3 6.2mg/l、Na2MoO4・2H2O 0.25mg/l、FeSO4・7H2O 27.8mg/l、Na2-EDTA 37.3mg/l)、IAA(インドール酢酸)0.1μg/ml、zeatin riboside 1.0μg/ml、ショ糖3%、グルコース10mMを含む液体培地(pH5.8)で洗浄後、20倍に希釈して懸濁した。
この懸濁液に無菌的に用意したトマト幼芽の子葉、胚軸を10分問浸漬させて接種した。
【0027】
続いて、余分な菌体懸濁液を除去して、MS無機塩((NH4)2SO4 1650mg/l、KNO31900mg/l、CaCl2 440mg/l、MgSO4・7H2O 370mg/l、NaH2PO4・H2O 170mg/l、MnSO4・4H2O 22.3mg/l、ZnSO4・7H2O 8.6mg/l、CuSO4・5H2O 0.025mg/l、CoSO4・7H2O 0.025mg/l、KI 0.83mg/l、H3BO3 6.2mg/l、Na2MoO4・2H2O 0.25mg/l、FeSO4・7H2O 27.8mg/l、Na2-EDTA 37.3mg/l)、IAA(インドール酢酸)0.1μg/ml、zeatin riboside 1.0μg/ml、ショ糖3%、グルコース10mM、寒天0.75%を含む液体培地(pH5.8)で3日間共存培養を行なった。
その後、子葉、胚軸を300μg/ml濃度のカルベニシリン、0.1μg/ml濃度のIAA(インドール酢酸)、1.0μg/ml濃度のzeatin ribosideを含むMS固体培地(MS無機塩((NH4)2SO4 1650mg/l、KNO3 1900mg/l、CaCl2 440mg/l、MgSO4・7H2O 370mg/l、NaH2PO4・H2O 170mg/l、MnSO4・4H2O 22.3mg/l、ZnSO4・7H2O 8.6mg/l、CuSO4・5H2O 0.025mg/l、CoSO4・7H2O 0.025mg/l、KI 0.83mg/l、H3BO3 6.2mg/l、Na2MoO4・2H2O 0.25mg/l、FeSO4・7H2O 27.8mg/l、Na2-EDTA 37.3mg/l)、ショ糖 3%、寒天 0.75%、pH5.8)に置床し、明条件で16時間、暗条件で8時間、25℃で培養して、アグロバクテリウム・ツメファシェンスの殺菌を行なった。
【0028】
さらに1週間後に、50μg/ml濃度のカナマイシン、300μg/ml濃度のカルべニシリン、0.1μg/ml濃度のIAA(インドール酢酸)、1.0μg/ml濃度のzeatin ribosideを含むMS固体培地に移植し、安定形質転換体の選抜を行なった。得られた形質転換体は、100μg/ml濃度のカナマイシンを含み、IAA(インドール酢酸)及びzeatin ribosideを含まないホルモンフリーのMS固体培地に移植して発根を促し、馴化した後、鉢上げして育成した。
【0029】
形貿転換当代の個体から自殖種子を獲得し、β−グルコシダーゼ遺伝子を同型接合体に保有する個体をサザン解析により選抜して、β−グルコシダーゼ遺伝子導入トマトの作出を完了した。
【0030】
<4>β−グルコシダーゼ遺伝子導入トマトの3-IBAによる青枯病菌に対する防除効果の確認
上記のようにして得られたβ−グルコシダーゼ遺伝子導入トマトの苗を、常法に従って育成し、定植前に5〜100ppmの3-IBA溶液を散水等の処理により苗に吸収させ、その後ラルストニア・ソラナセアラムを接種した。その結果、非組換えトマトの場合と比較してラルストニア・ソラナセアラムの増殖抑制効果がより長く持続することが明らかとなった。
【0031】
植物体内で含成されたβ−グルコシダーゼにより、3-IBAグルコシドが再度3-IBAに加水分解されて、抗菌性を示したものと考えられる。
【0032】
【実施例2】
<1>アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子の調製
アグロバクテリウム・ツメファシエンスATCC21400株より、β−グルコシダーゼ遺伝子を調製した。アグロバクテリウム・ツメファシエンスATCC21400株の染色体DNAを常法により調製し、これを鋳型とし、配列番号3及び4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCRにより、β−グルコシダーゼ遺伝子を含むDNA断片を増幅した。
【0033】
pBI121のGUS遺伝子の部分に、前記アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子を挿入し、β−グルコシダーゼ遺伝子導入べクターを構築した(ベクターB)。具体的には、pBI121及びPCRにより得られたβ−グルコシダーゼ遺伝子を含むDNA断片を制限酵素BamHI及びSacIで切断し、これらを連結した。
【0034】
ベクターAの代わりにベクターBを用いた以外は実施例1と同様にして、β−グルコシダーゼ遺伝子をトマトに導入し、得られたβ−グルコシダーゼ遺伝子導入トマトの3-IBAによる青枯病菌に対する防除効果を調べた。その結果、β−グルコシダーゼ遺伝子導入トマトは、非組換えトマトの場合と比較して、3-IBAによるラルストニア・ソラナセアラムの増殖抑制効果がより長く持続した。
【0035】
【発明の効果】
本発明にしたがって、グルコース遊離酵素遺伝子を導入した植物を用いることにより、3-IBAの青枯病防除効果を持続させることができる。
【0036】
【配列表】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
Claims (7)
- 植物に3−(3−インドリル)酪酸又はその塩を施用することにより青枯病を防除する方法において、前記植物は、3−(3−インドリル)酪酸の配糖体を3−(3−インドリル)酪酸に加水分解する反応を触媒するβ−グルコシダーゼをコードする遺伝子を導入されたものであることを特徴とする方法。
- β−グルコシダーゼが、大腸菌、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、バシルス・サブティリス、又はサッカロマイセス・セレビシエのβ−グルコシダーゼである請求項1記載の方法。
- β−グルコシダーゼが大腸菌又はアグロバクテリウム・ツメファシエンスのβ−グルコシダーゼである請求項2記載の方法。
- 前記β−グルコシダーゼが、前記植物の細胞内で構成的に発現するプロモーターの制御下にある請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
- 前記プロモーターが、MASプロモーター、CaMV 19Sプロモーター、CaMV 35Sプロモーター、NOSプロモーター、OCSプロモーターから選ばれる請求項4記載の方法。
- 前記β−グルコシダーゼが、前記植物の細胞内で青枯病菌の感染特異的に発現するプロモーターの制御下にある請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
- 前記プロモーターが、rd29Aプロモーター又はPR1aプロモーターである請求項6記載の方法。
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